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HOME > 遊戯王SS一覧 > 第五十八話「ストアブレーカー」

第五十八話「ストアブレーカー」 作:イクス

第五十八話「ストアブレーカー」


サマーズの旅行から戻ってきた遊太達は、それぞれの生活へと戻っていた。
そして、そのゲームショップ烏間では、デュエルイベントが行われていた。遊太と同じ年くらいの子供達が、一生懸命デュエルを行っていた。そこには、真薄もいた。
「さあ、皆! 大会頑張って勝ってねえ!」
「はぁーい!」
その大会に、遊太は参加していない。珍しく、今回だけは眺めるだけである。
「いいねえ、たまにはこうやって皆のデュエルを眺めるのも悪くないよ」
「それにしてもどうしたんですか? 遊太君。今日はデュエルをしないで見るだけなんて、デュエルが大好きなあなたらしくないですね」
「いや、ちょっとね? あの時ずーっとデュエルばっかりしてたから、しばらくデュエルはお休みさ。まあ、いつかはやるつもりさ。いつかはね」
「まあ、僕はは楽しませてもらいますよ! そこで観戦してててください、遊太君!」
「うん!」
そうして、遊太は傍目でデュエルを見ることにしたのであった。これからデュエルをする、他の子供達はというと。
「え~、遊太君がデュエルしないのか~」
「ちょっぴり残念だね~」
「折角プラクサスのチャンピオン遊太君と戦えるかと思ったのに~」
といった具合に、残念そうであった。そして、遊太も。
「やっぱり、参加した方がよかったかな……」
といったぐあいに、ちょっと後悔するのであった。でも、一度言ったことを撤回する訳にはいかないので、一先ず観戦するのであった。
だが。
「ほー、中々良い店じゃねえか。たんまり持っていそうだな」
「アニキ、次はここを狙うんですね?」
「ああ、今度はこの店を頂くぜ!」
「やりましょう、アニキ!」
店の外で、フードを被った背の高い男と、小さな2人の男が良からぬことを企んでいた。
「アイツ……」
「よくも……」
そして、その後ろでおおくの子供達が歯ぎしりをしていることに。


イベントは続く。真薄は、イベントにおいて勝ちを積み重ねていた。
「よし、『C・HERO ヒートブラスト』で、ダイレクトアタック! 火炎放射(ヒートブラスト)!」
「ああっ、くそ~! 負けた!」
「よし……これでレベル17はいきましたかね?」
「真薄君、調子良いなあ。このまま行っちゃうかな?」
「よーし、次は!?」
「やるなあ。よし、次は俺だ!」
「よーし、僕が相手ですよ!」
真薄が連戦連勝でいる中、先程の男と手下の男が相談していた。
「恐らく、あのチビガキがここで一番強いデュエリストだろう。使っているのは、融合モンスターのデッキ……だったら、このデッキを使うのが良いだろう」
「へい、アニキ」
「おい、次は俺とデュエルしろよ!」
「おっしゃあ、来い!」
それを、遠くから眺めている遊太と烏間は。
「こりゃあ、また菊姫の勝ちかなあ?」
「うふふ、そうね。いつもの他の子はいないから、必然的に、真薄君が一番強くなっちゃうのよね」
「だとしたら、このイベントの一等賞は真薄君かな?」
「アハハ、そうかもね~」
そう話をしていると、遊太と烏間の二人に話しかけてくる子供達が現れた。
「あの、お店の人ですか?」
「ん、どうしたの? イベントに参加したいんだったら、まだまだ受け付けているけど……」
「そうじゃないんです。あの……僕達と一緒に一旦外に出てくれませんか?」
「どうしたの? 一体」
子供達に連れられて、店の外へと出た遊太と烏間。すると、子供達は思いつめた表情で語った。
「大会を、この大会を今すぐ中止してください! じゃないと、この店……潰されちゃう!」
「ええっ、どうして!?」
「僕達、隣町のデュエリストなんですけど……町のゲームショップで大会に出ていました。その時、アイツらが現れて、大会はおろか、店すらも滅茶苦茶にしてしまったんです!」
「なんだって!?」
「奴らはストアブレーカーと呼ばれていて、僕達のような弱いデュエリストからデュエルでレアカードを巻き上げ、店からは上納金を巻き上げる……それに逆らえば、暴力で屈服させられ、店は滅茶苦茶にされてしまったんだ……」
「ウソでしょ!?」
「本当なんだ! 奴らのせいで、店は売上が激減して潰されてしまって……デュエリスト達も減ってしまった……奴らのせいで、僕らが楽しくデュエルする場所がなくなってしまったんだ!」
「そうなのか……なんて奴らだ! デュエリストの風上にも置けない奴だ! 僕が――」
「やめなさい、遊太君。奴らを倒すのは私よ」
「烏間さん……」
「隣町で良からぬデュエリストが暴れている聞いていたんだけど、まさか本当だとはね……ここは、私に任せておきなさい。ショップの店長として、やらなきゃいけないことだからね」
「烏間さん……!」
「それに、奴らを封じ込めるアテもあるしね」


一方、ゲームショップ内。真薄とストアブレーカーの手下がデュエルしていた。
「む、むう~……」
「どうした、もう終わりか?」
「うぐ……ボクの負け、です……」
(『融合失敗』に『ヘル・ポリマー』……明らかに)
「どうしたどうした!? もう終わりか? この店で一番強いのは、まさか俺か!?」
そう粋がっているいると、ドアがバン! と、荒々しい音を立てて開かれた。
「アンタら……今すぐデュエルを中止しなさい。これは店長命令よ」
「烏間さん!」
「ハァ!? なんでそんなことしなきゃいけねーんだよ!」
「アンタらのことは既に調べがついているのよ。西条真也(さいじょうしんや)! と、その仲間達!」
「!」
「アンタらのことは、調べさせてもらったわ。大体のことはわかっている。まさか、こんな所にまで来るとはね……」
「知っていたんですか、烏間さん……」
「……だとしたら、どうする?」
「その曲がった根性、叩きなおしてやるわ。私とデュエルをしなさい! ここの店長、私が直々にね」
「ほう……店長が直々にデュエルをしてくれるとはな。こちら側が勝ったら、お前の売上金をもらうぞ!」
「いいわ、それで。こっちが勝ったら、アンタが今まで奪ってきたカードをかえしてもらうわ」
「良いだろう、デュエルの内容はそれでいい」
「さて……ここは空気が混み込みして嫌ね。外へ出なさい、この寄生虫め!」
こうして、ストアブレーカーと店長烏間とのデュエルが始まろうとしていた! 
店の外へと出た烏間と西条。各自腕にデュエルディスクをつけて、臨戦態勢をとる。
「先攻後攻は?」
「どちらでも」
「じゃあ私は、後攻を選ぶわ」
「なら、俺は先攻か」
「さあ、行くわよ!」


「「ルールはマスタールール3! ライフポイントは8000!」」
「「デュエル!」」


烏間店長の後ろから、デュエルを眺める遊太と真薄。そして、被害者一堂達。
「大丈夫かな……」
「絶対大丈夫だよ! 烏間さん、デュエル凄く強いし! 僕が保障するよ!」
「だと、良いんですけど……」


1・西条のターン

「俺のターン」
「俺は手札より、モンスターを1体セットする。更に、カードを2枚セットして、ターンエンドだ」(西条手札5→2)
(さあ、お前のスタイルは何なんだ?)

西条

ライフポイント8000
手札枚数2枚
モンスター1体
(裏守備表示)
魔法・罠ゾーンのカード2枚
発動しているカード0枚
墓地の枚数0枚
除外されているカード0枚


2・烏間のターン

「私のターン、ドロー」(烏間手札5→6)
(伏せカードと伏せ守備モンスターのみ……攻撃を誘っている? なら、望み通り突破してやるわ)
「私は手札より、魔法カード『闇の誘惑』を発動。デッキから2枚ドローして、手札より闇属性モンスター1体を除外するわ。私は手札より『BF-砂塵のハルマッタン』を除外するわ」(烏間墓地0→1)(烏間除外0→1)
「……よし。私は手札より、永続魔法『黒い旋風』を発動させるわ!」(烏間手札6→5)
烏間のフィールドに、突如黒い羽根が舞い散る突風が吹き荒れる。それを見て、遊太は確信する。
「来たね、いつもの流れが」
「何がですか?」
「アレが烏間さんのいつものデュエルだよ」
デュエルに再び眼を向けると、烏間は。
「私は手札から、レベル4チューナー『BF-南風のアウステル』を召喚するわ。アウステルは召喚された時、除外されているレベル4以下の『BF』を特殊召喚できるわ。私はレベル2のハルマッタンを特殊召喚するわ!」(烏間手札5→4)(烏間除外1→0)
「更に、『BF』が召喚された時、永続魔法『黒い旋風』の効果発動。召喚された『BF』よりも攻撃力が低い『BF』をデッキから手札に加える。私はアウステルの攻撃力1300より低い、攻撃力1200の『BF-上弦のピナーカ』を手札に加えるわ」(烏間手札4→5)
(チューナーとそれ以外のモンスター……ということは、シンクロ召喚か……!)
「レベル2のハルマッタンに、レベル4のアウステルをチューニング! シンクロ召喚! 吹きすさべ旋風! レベル6『BF-星影のノートゥング』!」(烏間墓地1→3)
烏間のエースモンスターが、早速現れる。攻撃力は2400だが、それでも動きの根幹を成す効果を持っている。
「ノートゥングが特殊召喚に成功した時、相手に800ポイントのダメージを与えるわ。その後、相手のモンスターの攻撃力・守備力を800下げるけど……今はモンスターがいないため、ステータス低下は無し」
「チッ」(西条ライフ8000→7200)
「更に、ノートゥングがフィールドにいる時、私は通常召喚に加えてもう1度だけ、『BF』を召喚できる。私は『BF-上弦のピナーカ』を召喚するわ」(烏間手札5→4)
「『黒い旋風』発動。ピナーカの攻撃力1200より低い、攻撃力800の『BF-白夜のグラディウス』を手札に加えるわ」(烏間手札4→5)
「更に、私のフィールドに『BF』がいる時、手札の『BF-黒槍のブラスト』を特殊召喚するわ!」(烏間手札5→4)
「またチューナーと違うモンスター……新たなモンスターを召喚するのか?」
「いいえ。その前に露払いをしておかないとね。自分フィールドの『BF』が3体だけの場合、手札の罠カード『デルタ・クロウ・アンチリバース』を発動するわ!」
「何っ!? 手札から罠カードだと!?」
「その効果により、相手フィールドのセットされた魔法・罠を全て破壊するわ!」(烏間手札4→3)
「させるか! カウンター罠『ギャクタン』を発動! 罠カードの発動を無効化し、デッキに戻す!」(西条墓地0→1)
「流石に、簡単にはやらせてはくれないわね。だけど、思う通りには行かせないわ、レベル4の黒槍のブラストに、レベル3の上弦のピナーカをチューニング! 現れよ黒羽、雷鳴と共に! シンクロ召喚! レベル7『A BF-驟雨のライキリ』!」(烏間墓地5→7)
雷鳴より現れた、日本刀を持つ黒羽の戦士。攻撃力は2600。
「ライキリの効果発動。私の場にいるライキリ以外の『BF』の数だけ、相手フィールドのカードを破壊できる! 私の場には、ノートゥングがいる。これにより、貴方の伏せカードを破壊するわ!」
「なんだと!?」(西条墓地1→2)
「破壊されたのは、『攻撃の無力化』? 厄介なモンスターね。まあ、どうでもいいけど。それじゃあバトルフェイズ! ノートゥングで、伏せ守備モンスターを攻撃!」
伏せ守備が表側表示となると、それは双子の天使として現れた。
「『ジェルエンデュオ』の効果、このカードは戦闘では破壊されない」
「ふ~ん、一丁前に壁となるモンスターを揃えてはいるのね。カードを1枚伏せて、ターンエンド。このエンドフェイズ、ピナーカの効果発動。フィールドから墓地へ送られたピナーカは、エンドフェイズにデッキから『BF』を手札に加えられる。私は『BF-残夜のクリス』を手札に加える」(烏間手札3→2→3)

烏間

ライフポイント8000
手札枚数2枚
モンスター2体
『BF-星影のノートゥング』(攻撃表示・攻撃力2400・光属性・レベル6)
『A BF-驟雨のライキリ』(攻撃表示・攻撃力2600・光属性・レベル7)
魔法・罠ゾーンのカード2枚
発動しているカード1枚
『黒い旋風』(永続魔法)
墓地の枚数7枚
除外されているカード0枚


3・西条のターン

「俺のターン、ドロー!」(西条手札2→3)
(なるほど……理解した。先程から使用された『闇の誘惑』や『BF』……奴のデュエルスタイルは、闇! それを封じれば、奴に勝つことは容易い!)
「フィールドに表側表示でいる『ジェルエンデュオ』は、天使族・光属性モンスターをアドバンス召喚する時、1体で2体分のリリースにできる。『エンジェルO7』をアドバンス召喚する!」(西条手札3→2)(西条墓地2→3)
光を伴い現れた、機械仕掛けの天使。攻撃力は2500だが、突如光を発しライキリとノートゥングを焼き付ける。
「これは……」
「『エンジェルO7』はアドバンス召喚で召喚された場合、効果モンスターの効果は発動できない。これでお前のモンスターは効果を封じられるんだ」
「そうお? まあいいわ。で、続ける?」
「続きだ。魔法カード『コンセントレイト』を発動。フィールドのモンスター1体を選択し、対象としたそのモンスターの攻撃力は、守備力分アップする。O7の守備力は1500。よって4000にアップする!」(西条手札2→1)(西条墓地3→4)
「『エンジェルO7』で、ライキリを攻撃! ホーリーバースト!」
攻撃力が大幅に上がったため、完全に力負けするライキリ。それでも、烏間は平然としている。
「……鳥獣族モンスターが戦闘で破壊された時、罠カード『ブラック・リベンジ』を発動できる。このカードは自分フィールドに『BF-ブラック・クレスト・トークン』を2体特殊召喚できる」(烏間ライフ8000→6600)(烏間墓地7→9)
「フン、やせ我慢か? まあいいさ。どうせこっちの有利には変わりないのだからな。カードを1枚セットして、ターンエンド」(西条手札1→0)

西条

ライフポイント8000
手札枚数0枚
モンスター1体
『エンジェルO7』(攻撃表示・攻撃力2500・光属性・レベル7)
魔法・罠ゾーンのカード1枚
発動しているカード0枚
墓地の枚数4枚
除外されているカード0枚


4・烏間のターン

「私のターン、ドロー」(烏間手札3→4)
「私は手札よりレベル4チューナー『BF-東雲のコチ』を召喚するわ。そして、『黒い旋風』の効果でデスの攻撃力700以下の『BF-銀盾のミストラル』を手札に加えるわ」
「そして、レベル2のトークン2体に、レベル4のデスをチューニング! 黒き疾風よ、その黒の翼を現世に現出せよ! シンクロ召喚! レベル8『ブラック・フェザー・ドラゴン』!」(烏間墓地9→10)
現れたのは、なんと攻撃力2800の黒い羽根のドラゴン! いきなり現れた強力なモンスターに、驚く西条。
「何!?」
「行くわよ。『ブラック・フェザー・ドラゴン』で、『エンジェルO7』を攻撃! ノーブル・ストリーム!」
「チィッ……」(西条ライフ8000→7700)(西条墓地4→5)
「更に、ノートゥングでダイレクトアタック!」
「チッ……だがこの瞬間、罠カード『ライト・ゲート』を発動! 戦闘・効果でダメージを受けた時、デッキからそのダメージ以下の攻撃力を持つ光属性・天使族を特殊召喚できる! これにより、俺は『創造の代行者 ヴィーナス』を守備表示で特殊召喚する!」(西条ライフ7700→5300)(西条墓地4→5)
「フン、守りを固めるので精一杯? カードを1枚伏せて、私はターンエンド」

烏間

ライフポイント6600
手札枚数4枚
モンスター2体
『BF-星影のノートゥング』(攻撃表示・攻撃力2400・闇属性・レベル6)
『ブラックフェザー・ドラゴン』(攻撃表示・攻撃力2800・闇属性・レベル8)
魔法・罠ゾーンのカード2枚
発動しているカード1枚
『黒い旋風』(永続魔法)
墓地の枚数10枚
除外されているカード0枚


5・西条のターン

「俺のターン、ドロー!」(西条手札0→1)
「俺は手札から、魔法カード『流転の宝札』を発動! これにより、デッキから2枚ドロー!」(西条手札0→2)(西条墓地5→6)
ドローしたカードを見てみる西条。そのカードを見て、思わず笑みがこぼれる。
(来た……! この時を待っていたんだ……! このクソみたいな状況を、一瞬で変えられるカードが……!)
「俺は500ポイントライフを支払い、ヴィーナスの効果発動! デッキより『神聖なる球体』を特殊召喚する! 来い、『神聖なる球体』! 守備表示!」(西条ライフ5300→4800)
ヴィーナスの導きにより、フィールドに光り輝く球体が現れる。攻守共に500と、モンスターとして強力さは持っていない。
「更に、もう一度ヴィーナスの効果により、500ポイントライフを支払うことでデッキより『神聖なる球体』を特殊召喚する。守備表示」(西条ライフ4800→4300)
「更にもう一回、ヴィーナスの効果によって『神聖なる球体』を特殊召喚する。再び守備表示」(西条ライフ4300→3800)
「モンスターを大量に並べてきた……アドバンス召喚かしら?」
「俺はこれでターンエンドだ。このエンドフェイズ、『流転の宝札』の効果で、カードを1枚墓地へ送る。手札のカード1枚を墓地へ送る」(西条手札2→1)(西条墓地6→7)
「何?」
(通常召喚が残っているのに、モンスターを召喚しないですって? 本当にモンスターがいなかったのかしら……?)

西条

ライフポイント3800
手札枚数1枚
モンスター4体
『創造の代行者ヴィーナス』(守備表示・守備力0・光属性・レベル3)
『神聖なる球体』×3(守備表示・守備力500・光属性・レベル2)
魔法・罠ゾーンのカード0枚
発動しているカード0枚
墓地の枚数7枚
除外されているカード0枚


6・烏間のターン

「私のターン、ドロー」(烏間手札4→5)
「私は手札から、『BF-残夜のクリス』を召喚するわ。それにより、『黒い旋風』の効果で『BF-黒槍のブラスト』を手札に加えるわ」
「更に、黒槍のブラストをノートゥングの効果で通常召喚して、『黒い旋風』の効果で『BF-疾風のゲイル』を手札に加えるわ」
「そして、疾風のゲイルはフィールドに『BF』がいる場合、特殊召喚できる! レベル3チューナーのゲイルを特殊召喚!」(烏間手札5→4)
「そして、レベル4のクリスに、レベル3のゲイルをチューニング! シンクロ召喚! 現れろ、レベル7『BF-アーマード・ウィング』!」(烏間墓地10→12)
強固な装甲に覆われた、攻撃力2500の鳥獣が現れる。このまま行けば、一気にモンスターを全滅させることができるが……。
「バトルフェイズ! 黒槍のブラストで、守備表示のヴィーナスを攻撃! ブラストは、守備表示モンスターを攻撃した時、貫通ダメージを与える!」
「くっ」(西条ライフ3800→2100)(西条墓地7→8)
「更に、ノートゥングで『神聖なる球体』を攻撃!」
『神聖なる球体』も、あっというまに破壊されてしまう。が、西条は。
「良いぞ、この時を待っていた! 1度のバトルフェイズでモンスターが2体破壊された時、このモンスターを手札から特殊召喚できる! 現れろ、レベル8『テュアラティン』!」(西条墓地8→9)(西条手札1→0)
「何!?」
西条の手札から現れたのは、白きヴェールに包まれたきかいの天使。攻撃力は2800と、非常に高い。
「『テュアラティン』のモンスター効果発動。自身の効果で特殊召喚されたこのモンスターは、特定の属性を宣言できる。その宣言した属性のモンスターを全て破壊する! 俺が宣言するのは、闇属性。よって、お前のモンスターは全て破壊される!」
『テュアラティン』が放った光によって、烏間のフィールドにいるモンスターが全て破壊されてしまう。
「くっ」(烏間墓地12→16)
「形勢逆転だな。さあ、どうする?」
「……カードを1枚伏せて、ターンエンド」(烏間手札4→3)
「まあそうするしか無いよな。だが、『テュアラティン』が自身の効果で存在する限り、宣言した属性のモンスターは召喚・特殊召喚することはできない! お前のその戦術もここまでだな……」

烏間

ライフポイント6600
手札枚数3枚
モンスター0体
魔法・罠ゾーンのカード3枚
発動しているカード1枚
『黒い旋風』(永続魔法)
墓地の枚数16枚
除外されているカード0枚


一気に、窮地に追い詰められてしまった烏間。それを見て、西条にしてやられた子供達は不安がる
「ああ、またアイツだ……」
「皆アイツにやられてきたんだ……」
「そうなの?」
「そうなんだよ! アイツの前に皆沈められてきたんだ!」
「ふーん、そう? まあ、これくらいどうってことないね。烏間さんにとっては」
「えっ?」
「まあ見てなよ、後でギャフンと言わせられるからさ」
遊太が子供達をなだめ、真薄も静かにうなずく。二人は再び、デュエルに目を向ける。


7・西条のターン

「俺のターン、ドロー」(西条手札0→1)
「俺は2体の『神聖なる球体』をリリースして、手札の『守護天使ジャンヌ』を召喚する!」(西条手札1→0)(西条墓地9→11)
頭に輪をつけた、白い天使の女神が現れる。攻撃力は2800と、上級モンスターとしてのスペックは高い。
「これでモンスターは2体。行くぞバトルフェイズ! ジャンヌでダイレクトアタック! ホーリースパーク!」
「リバースカード、オープン! 罠カード『BF-バックフラッシュ』! 私の墓地に『BF』が5体以上いる時、相手のダイレクトアタック宣言時に発動! 相手モンスターを全て破壊する!」(烏間墓地16→17)
「そうはいかねえ! リバースカードオープン! 速攻魔法『天羽の盾』を発動! このターン、俺の天使族モンスターは戦闘・効果で破壊されない!」(西条墓地11→12)
「これによって、破壊はされずダメージが入る……って訳ね」(烏間ライフ5600→3800)
「その通りだ。更に俺は、『テュアラティン』でダイレクトアタック! 裁きの矢!」
「……」(烏間ライフ3800→1000)
「フン、ライフがそこまで減ったっていうのに、よくそんな冷静でいられるな? それとも、やせ我慢か? ターンエンド」

西条

ライフポイント2100
手札枚数0枚
モンスター2体
『テュアラティン』(攻撃表示・攻撃力2800・光属性・レベル8)
『守護天使ジャンヌ』(攻撃表示・攻撃力2800・光属性・レベル8)
魔法・罠ゾーンのカード0枚
発動しているカード0枚
墓地の枚数12枚
除外されているカード0枚


8・烏間のターン

「私のターン、ドロー」(烏間手札3→4)
「私はモンスターを1体セットして、ターンエンド」(烏間手札4→3)
「フン、『テュアラティン』がいる以上、お前はそうやってモンスターをセットするしかないよなあ」

烏間

ライフポイント1000
手札枚数3枚
モンスター1体
(裏守備表示)
魔法・罠ゾーンのカード2枚
発動しているカード1枚
『黒い旋風』(永続魔法)
墓地の枚数17枚
除外されているカード0枚


9・西条のターン

「俺のターン、ドロー」(西条手札0→1)
「行くぞ、俺はバトルフェイズに入り、ジャンヌで伏せ守備モンスターを攻撃! ホーリースパーク!」
烏間はその攻撃に対し、なんの表情を変えることもなくただ受ける。
「……」(烏間墓地17→18)
「これで最後だ、俺は『テュアラティン』で、お前にダイレクトアタック! 裁きの矢!」
『テュアラティン』のダイレクトアタックが、無情にも烏間を襲う! これにより、勝負あったかと誰もが思ったが……。
「な、何!?」
なんと、烏間のライフが1000のまま動いていない。ダイレクトアタックを喰らったというのに、ライフが0にならないことに、西条は驚く。
「何故、ライフが……」
「さっき戦闘で破壊された『BF-銀盾のミストラル』の効果。このターン受ける戦闘ダメージを1度だけ0にする」
「くっ、決着は先延ばしだ。俺はこれでターンエンドだ」

西条

ライフポイント2100
手札枚数1枚
モンスター2体
『テュアラティン』(攻撃表示・攻撃力2800・光属性・レベル8)
『守護天使ジャンヌ』(攻撃表示・攻撃力2800・光属性・レベル8)
魔法・罠ゾーンのカード0枚
発動しているカード0枚
墓地の枚数12枚
除外されているカード0枚


10・烏間のターン

「私のターン、ドロー」(烏間手札3→4)
「私はモンスターをセットして、ターンエンド」(烏間手札4→3)
(また……今度は何をするっていうんだ?)

烏間

ライフポイント1000
手札枚数3枚
モンスター1体
(裏守備表示)
魔法・罠ゾーンのカード2枚
発動しているカード1枚
『黒い旋風』(永続魔法)
墓地の枚数18枚
除外されているカード0枚


11・西条のターン

「俺のターン、ドロー」(西条手札1→2)
「バトルフェイズ、俺はジャンヌで伏せ守備モンスターを攻撃! ホーリースパーク!」
「『BF-白夜のグラディウス』の効果。このモンスターは1度だけ戦闘では破壊されない」
「だが、1度だけなんだろ? 『テュアラティン』でグラディウスを攻撃!」
「手札の『BF-蒼天のジェット』を手札から捨てて、効果発動。私の『BF』はその戦闘で破壊されない!」(烏間手札3→2)(烏間墓地18→19)
「チッ、またしても……! 俺はこれでターンエンドだ!」

西条

ライフポイント2100
手札枚数2枚
モンスター2体
『テュアラティン』(攻撃表示・攻撃力2800・光属性・レベル8)
『守護天使ジャンヌ』(攻撃表示・攻撃力2800・光属性・レベル8)
魔法・罠ゾーンのカード0枚
発動しているカード0枚
墓地の枚数12枚
除外されているカード0枚


12・烏間のターン

「私のターン、ドロー」(烏間手札2→3)
「私は手札から、『貪欲な壺』を発動。墓地のモンスター5体をデッキに戻し、2枚ドローする。私は墓地のノートゥング・ライキリ・アーマードウィング・ミストラル・ブラストをデッキに戻し、2枚ドロー!」(烏間手札2→4)(烏間墓地19→14→15)
「フン、いくら手札を増やそうとも、『テュアラティン』の効果でそのモンスターは召喚できない!」
「そうかしら? 確かにそのモンスター、かなり厄介なモンスターだけど、抜け道はいくらでもあるものなのよ」
「何……?」
「私はモンスターを裏守備でセットして、魔法カード『太陽の書』を発動。裏側モンスター1体を、表攻撃表示にする。私が表にするのは、さっきセットしたチューナーモンスター『BF-突風のオロシ』」(烏間手札4→2)(烏間墓地15→16)
「な、なんだと!? 『テュアラティン』の効果によって、召喚は封じられているはずだ!」
「これはただの表示形式の変更。召喚ではないからその効果には引っ掛からない。最も、反転召喚にその効果は対応していないみたいけど」
「くっ、だけどそこからどうやって強力なモンスターを出す!? シンクロは封じられているはずだ!」
「何も、強力なモンスターを出す方法は、シンクロ召喚だけじゃあない」
「フィールドの『BF』チューナー1体と、それ以外のモンスター1体を除外することで、このモンスターは特殊召喚できる! 現れろ、レベル10『BF-極光のアウロラ』!」(烏間手札2→1)(烏間除外0→2)
オーロラの中より現れた、小さな鳥モンスター。攻撃力は?と定まっていなかった。
「バカな……お前の操る『BF』は、闇属性のモンスター群のはず……」
「残念ね。このアウロラは『BF』で唯一光属性。よって召喚制限はないわ」
「だが、そのモンスターでどうやって倒す!?」
「こうするの。私はエクストラデッキから『BF』シンクロモンスターを除外して、アウロラの効果発動! 除外したモンスターと同じ攻撃力と効果を得るわ! 私は『A BF-涙雨のチドリ』を除外し、その効果を得る! チドリは攻撃力2600だけど、墓地の『BF』の数×300攻撃力をアップする。今墓地にいるのは、7体の『BF』。よって、攻撃力を2100アップする!」(烏間除外2→3)(アウロラ攻撃力2600→4700)
「なにィ!?」
「更に罠カード『ブラック・アロー』を発動! このカードは『BF』の装備カードとなり、攻撃力を500下げる」(アウロラ攻撃力4700→4200)
「なんだ? 何がしたいっていうんだ!」
「バトルフェイズ! 私はアウロラで、『テュアラティン』を攻撃! ブラック・アロー!」
黒の弓矢を装備したアウロラが、『テュアラティン』を撃ち抜く! 大ダメージともいうべきダメージが西条を襲う! 
「チィッ……だが、ライフはまだ……!」(西条ライフ2100→700)
「アウロラに装備された『ブラック・アロー』の効果発動。このカードを装備したモンスターが相手モンスターを戦闘で破壊した時、そのモンスターの守備力分のダメージを、相手に与える」
「なんだと!? 『テュアラティン』の守備力は2500。その分のダメージが……!」
「そ、受けて貰おうかしら。その分のダメージを」
「な、なあんだとォーッ……!?」(西条ライフ700→0)
「フン、これくらい当然ね」


「やったー!」
「勝ったー!」
ストアブレーカーである西条を倒したことによって、喜ぶ被害者の子供達。
「さ、これでストアブレーカーなんてバカな真似は止めることね」
「く、クソ……こうなったらー!」
そう言って、烏間に掴みかかろうとする西条だったが。
「すっとろいっ!」
「ぶべらっ!」
ハイキック一発でのされ、その場に倒れ込んだ西条。それを見て、西条の部下たちも一斉に逃げ出してしまう。
「さて、後はコイツをミナコ社に突き出して、全部終わりにしましょうか」
「やりましたね、烏間さん!」
「凄いデュエルでした!」
先程の烏間の活躍を見て、子供達が烏間の周りに群がる。それを見て、遊太と真薄はにっこり微笑むのであった。
「さて、コイツはどうしたもんか……ん?」
「どうしたんですか遊太君?」
「アイツの周りに落ちてた、このカード……」
西条の隣に落ちていた、謎の黒いカードを見つけた遊太。同じデュエルモンスターズのカードなのだが、妙に黒々としたカードであった。
「なんか……このカード……」
そのカードを手に取る遊太。すると。
(そのカードはダメだ! 遊太!)
(!? アルファ!?)
遊太の精霊であるアルファが、突如叫んで静止させる。それを聞いて、真薄の精霊であるグレイマターも。
(真薄……それは危険なカードだ!)
(えっ!?)
きっかけは、この1枚のカードからだった。過ぎ去った戦いの場に、またしても彼らが行くことに……。
遊太、菊姫、知多、真薄、カリン、アキラ。この6人が、またしても異常な者たちと戦うデュエルで……。

第五十八話。終わり。

次回、第三章『ダークネスカード編』スタート! 
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