第14話：炎王猛襲　作：光芒

「ガルドニクスは破壊されたが、まだ俺には召喚権が残っている。俺は永続魔法“炎舞-「天キ」”を発動」


※炎舞-「天キ」
永続魔法
「炎舞-「天キ」」は1ターンに1枚しか発動できない。
(1):このカードの発動時の効果処理として、デッキからレベル4以下の獣戦士族モンスター1体を手札に加える事ができる。
(2):このカードが魔法＆罠ゾーンに存在する限り、自分フィールドの獣戦士族モンスターの攻撃力は100アップする。


「俺は天キの発動時に(1)の効果で“炎王獣 バロン”を手札に加え、そのバロンを召喚！」


※炎王獣 バロン
効果モンスター
星4/炎属性/獣戦士族/攻1800/守200
自分フィールド上に表側表示で存在する「炎王」と名のついたモンスターがカードの効果によって破壊された場合、このカードを手札から特殊召喚できる。
また、このカードがカードの効果によって破壊され墓地へ送られた場合、次のスタンバイフェイズ時に発動する。デッキから「炎王獣 バロン」以外の「炎王」と名のついたカード1枚を手札に加える。


「そしてバロンの攻撃力は天キの(2)の効果によって100ポイントアップする！」

炎王獣 バロン ATK1800→1900

「わずか100のアップだがこれでエアーマンは破壊出来る！ バトルフェイズ、バロンでエアーマンを攻撃！」

炎王獣 バロン ATK1900 VS E・HERO エアーマン ATK1800

千夏 LP8000→7900

「俺はこれでターンエンドだ」


孝輔 LP5600　手札2枚
デッキ:32　モンスター:1（炎王獣 バロン）　魔法・罠:3（王宮の鉄壁・炎舞-「天キ」　墓地:3　除外:0
千夏 LP7900　手札3枚
デッキ:32　モンスター:1（E・HERO アブソルートZero）　魔法・罠:0　墓地:5　除外:0


「まずいわね、ガルドニクスが効果で破壊されてしまった」
「あのモンスターは確か……」
「ええ、効果で破壊されることで真価を発揮するモンスターよ。早めに手を打たないと大変な事になるわ」


☆TURN04

「私のターン、ドロー！！……スタンバイフェイズ」
「スタンバイフェイズへ移行した時、俺の墓地に存在するガルドニクスの効果が発動。カードの効果で破壊されたガルドニクスはスタンバイフェイズごとに墓地から蘇生する！ 蘇れ、ガルドニクス！」

　墓地から巨大な翼を羽ばたかせながらガルドニクスがフィールドに現れる。しかしただ蘇るだけではないのがガルドニクスというモンスターだ。

「そしてガルドニクスがこの効果で蘇った時、フィールドに存在する自身以外のモンスターを全て破壊する！ 舞い上がれ、“ボルケーノ・ライジング”！！」

　ガルドニクスの力は千夏のフィールドのアブソルートZeroのみではなく、自分のフィールドのバロンもろともその炎によって消滅させた。しかし、カードの効果でフィールドを離れたアブソルートZeroの効果も同時に発動する。
　アブソルートZeroの氷の身体はガルドニクスの炎によって完全に消滅したわけではなく、残った力を振り絞ったアブソルートZeroは自身の身体を巨大な氷柱のような槍に変え、ガルドニクスの身体を貫いた。

「これでフィールドのモンスターは一掃された。だが次のスタンバイフェイズにアブソルートZeroの効果で破壊されたガルドニクスとバロンの効果が発動する！」
「っ……私はE・HERO ブレイズマンを召喚！」

　本来は起死回生の効果になりえるはずのアブソルートZeroの全体破壊効果が相手を利する形になってしまった。それでも今孝輔のフィールドにモンスターはいないがら空きの状態だ。


※E・HERO ブレイズマン
効果モンスター
星4/炎属性/戦士族/攻1200/守1800
「E・HERO ブレイズマン」の(1)(2)の効果は1ターンに1度、
いずれか１つしか使用できない。
(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。デッキから「融合」1枚を手札に加える。
(2):自分メインフェイズに発動できる。
デッキから「E・HERO ブレイズマン」以外の「E・HERO」モンスター1体を墓地へ送る。このカードはターン終了時まで、この効果で墓地へ送ったモンスターと同じ属性・攻撃力・守備力になる。この効果の発動後、ターン終了時まで自分は融合モンスターしか特殊召喚できない。


「ブレイズマンの召喚成功時に(1)の効果を発動。デッキから「融合」1枚を手札に加えるわ。そして……バトルフェイズ。ブレイズマンでダイレクトアタックよ！」

E・HERO ブレイズマン　ATK1200

孝輔 LP5600→4400

「なんだ、融合しないのか？ 融合モンスターで攻撃すれば俺のライフは半分を切るぞ？」
「うっさいわね！ したくても出来ないのよ！ 私はカードを1枚セットしてターンエンドよ！」


孝輔 LP4400　手札2枚
デッキ:32　モンスター:0　魔法・罠:3（王宮の鉄壁・炎舞-「天キ」　墓地:4　除外:0
千夏 LP7900　手札3枚
デッキ:31　モンスター:1（E・HERO ブレイズマン）　魔法・罠:1　墓地:6　除外:0


☆TURN05

「俺のターン、ドロー！ ドローフェイズを終えてスタンバイフェイズに移行。俺は前のターン破壊されたガルドニクスとバロンの効果を発動する。まずはガルドニクスの効果で自身を蘇生し、フィールドのモンスターを全て破壊する！」
「ブレイズマン……！」
「そしてバロンの効果で俺はデッキから炎王カード1枚をサーチ。手札に加えるのは“炎王炎環”だ。更に今引いたこのカードを発動する。魔法カード“テラ・フォーミング”！」


※テラ・フォーミング
通常魔法
デッキからフィールド魔法カード1枚を手札に加える。


「俺はデッキから“炎王の孤島”を手札に加え、そして発動！」

　ルールの改訂によってフィールド魔法は互いにそれぞれ1枚まで発動できるようになった。その効果で孝輔のフィールドのみ巨大な火山が際立つジャングルのようになった。


※炎王の孤島
フィールド魔法
「炎王の孤島」の(1)(2)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。
(1):自分メインフェイズにこの効果を発動できる。自分の手札・フィールドのモンスター1体を選んで破壊し、デッキから「炎王」モンスター1体を手札に加える。
(2):自分フィールドにモンスターが存在しない場合にこの効果を発動できる。手札の鳥獣族・炎属性モンスター1体を特殊召喚する。
(3)：フィールドゾーンの表側表示のこのカードが、墓地へ送られた場合または除外された場合に発動する。自分フィールドのモンスターを全て破壊する。


「俺は炎王の孤島の(1)の効果を発動！ 手札の“炎王獣 ヤクシャ”を破壊し、デッキから2枚目のガルドニクスをサーチする！ そして破壊されたヤクシャの効果が発動！」


※炎王獣 ヤクシャ
効果モンスター
星4/炎属性/獣戦士族/攻1800/守200
自分フィールド上に表側表示で存在する「炎王」と名のついたモンスターがカードの効果によって破壊された場合、このカードを手札から特殊召喚できる。
また、このカードが破壊され墓地へ送られた場合、自分の手札・フィールド上のカード1枚を選んで破壊できる。「炎王獣 ヤクシャ」のこの効果は1ターンに1度しか使用できない。


「ヤクシャの効果で今サーチした手札のガルドニクスを破壊する。そしてバトルフェイズ！ ガルドニクスでダイレクトアタックだ！ “エターナル・ブレイズ”！！」

炎王神獣ガルドニクス ATK2700

千夏 LP7900→5200

「っ……いたたっ……」
「俺はカードを1枚セットしてターンエンドだ」


孝輔 LP4400　手札1枚
デッキ:29　モンスター:1（炎王神獣ガルドニクス）　魔法・罠:5（王宮の鉄壁・炎舞-「天キ・炎王の孤島」　墓地:6　除外:0
千夏 LP5200　手札3枚
デッキ:31　モンスター:0　魔法・罠:1　墓地:7　除外:0


☆TURN06

「私のターン、ドローっ！！」
「スタンバイフェイズにヤクシャの効果で破壊されたガルドニクスが蘇生される。そしてフィールドのモンスターを全て破壊！」

　蘇った2体目のガルドニクスの効果で既にフィールドに存在していたガルドニクスが破壊される。結果孝輔のフィールドに存在するモンスターはガルドニクス1体ということに変わりない。しかし、孝輔の狙いはガルドニクスを複数体立たせることではなかった。

「……これでいい。これで俺の狙いは達成された！」
「何よ、自分のモンスターを破壊しただけじゃない」
「まだ気づかないのか？ ガルドニクスはカードの効果で破壊されることで次のスタンバイフェイズに蘇るんだぞ？」
「……そうか。あなたの狙いは」
「そう。俺のデッキは複数体のガルドニクスを毎ターン蘇生させることにある。仮にお前がガルドニクスの素の攻撃力を上回っているモンスターを出したとしても効果破壊耐性がない限り意味は無い。なんせスタンバイフェイズごとに“ブラック・ホール”が発動されるようなもんだからな！」

　ガルドニクスの攻撃力は2700。最上級モンスターにしては決して高いわけではないし、千夏のデッキのモンスターなら越えられない数値ではない。
　しかし素の攻撃力が高くないことは孝輔自体理解しているはずであるし、その対策だってきっと考えている。現に彼のフィールドに存在する5枚の魔法・罠カードのうち表側になっていない2枚のカードの種類が完全に割れていない以上迂闊に動くことが出来なかった。

（たぶんあの伏せカードのうち1枚は炎王炎還……でも最初から伏せられてるあのカードは……）

　考えれば考えるほど深まる疑念。しかし、それに捉われてばかりでどうする。そう思った千夏は首を数回横に振ると、自分がどうするかを決めた。

（……私は……デュエリストとしての自分の直感を信じる！）