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HOME > 遊戯王SS一覧 > 第六十九話「突入、アポカリプトのアジト」

第六十九話「突入、アポカリプトのアジト」 作:イクス

第六十九話「突入、アポカリプトのアジト」


アポカリプトがプラクサスシティに構えている、アジトの場所が判明した。ロベルトは、すでに突入の算段を立てていた。
「あのアジトを潰したところで、あの組織が痛手を負うはずがない……だが、この町を守るだけでも、みんなをダークネスカードの驚異から守れるはず……なんだ」
「確かに、あんなものをのさばらせていちゃあ、カードショップとしても売り上げ落ちちゃうし、みんなの心も良くならないわよね~」
隣にいる烏間も、その突入に参加する予定であった。
「よし、確保隊が正面から突入した後、裏から私たちが潜入し、親玉を叩く。構成員程度ならミナコ社の部隊でもなんとかやれるだろうけど……親玉は多分簡単にはいかない」
「構成員程度ならって言っても、あいつら平気でダークネスカード使って来るわよ?」
「大丈夫、彼らも一流のデュエリストだ。それに、暴力で訴えるならそれ相応の対応ができる人間もいるから……」
「まあ、突入メンバーが100人以上いるから、ある程度は大丈夫でしょうね」
「問題は、私たちだ。親玉を叩くと言っても、奴が素直に応じてくれるとも思わない。それなりに護身用の武器を持って行った方が良いかもしれない」
「さすがに銃とかはダメかもしれないけど、ある程度ショックを与えるものがいいわね」
「ああ……烏間。今回の作戦は、この町のデュエリストを守るための作戦だ。いずれは全世界の奴らを止めなくちゃいけない。だから……」
「いいの。何も言わなくて良いの。ロベルトは、本当にデュエルを愛しているし、子供たちも、デュエリストたちを愛している……だから、あんなことをする輩は許せないのよね」
「ああ、許せないんだ。だからこそこの作戦を絶対に成功させる! ……けれど、これはかなり危険なことだ。傷つくかもしれない。でも、君は一緒にやってくれるんだね。雛姫」
「当たり前じゃない」


そして、ロベルトが立案した作戦を決行する日が来た。
「皆さん、お願いします。奴らを叩いてください。親玉は私たちがなんとかします」
「構成員は銃器を使ってくる可能性もあります、だからなるべく強めの防具を装備してください」
「そして、奴らがデュエルを仕掛けてきたら、何が何でも勝ってください。ダークネスカードを使われても、焦らずに対応してください」
「この作戦の概要は、大体こんな感じです。では……行きましょう、皆さん」
「「「はいっ!」」」
そうして、アポカリプトのメンバーが巣くうアジトへと、車を進めていった。
「頼りにしているよ、雛姫」
「ええ、でも今の私はこれから違う人物になるのよ」
そういうと、烏間はペストマスクを被り……。
「今の私は大鴉なんだもの」
そうして、アポカリプトがアジトとしている廃工場へとたどり着く。周りには人っ子一人おらず、しんとしている。
「ここだ。この地下に奴らは潜伏している」
中に入ると、ここがかつて稼働していた頃の名残を残すように、壊れた機械や使い物にならない資材が散らばっていた。だが人は一人もいない。
「普通だったら、誰もいないように見えるんだけど……」
工場に設置されているエレベーターのボタンを押すと、チンと音がしてエレベーターの扉が開く。エレベーターには、普通のボタンと、後から付け足されたボタンがある。
「よし、ここから皆さんは侵入してください。私たちは、別の方向から侵入します」
「了解」
確保部隊がすし詰め状態になるまでぎゅうぎゅうに入る。全員は入らないが、それでも大人数が入る。
「みなさんは正面から突入して、できるだけ構成員を確保してください。後続の皆さんも後から来てください。私たちは後から別の入り口から入ります。では……作戦開始!」
「「「オオオーッ!」」」


一方こちらは、アポカリプトプラクサス支部の内部。玉座にふんぞり返るように座る仮面の男がいた。そこに駆けつけてくる、フードをまとった黒の人物。
「ぎ、ギース様! 大変です!」
「何事だ」
「ミナコ社の連中がここを嗅ぎつけ、襲撃して来ました!」
「かまわん、返り討ちにしろ。我らが恐ろしさを見せつけてやるのだ。ダークネスカードによってな……」
「は、はっ……!」
そうして、その男も襲撃から守るために戦いに行った……が。
「うわあああっ!」
ついさっき出て行ったにも関わらず、ぶっ飛ばされて出てきた黒フードの男。そうして、扉から玉座の間に入ってきたのは。
「お前が……ここの首領か」
「ロベルト・フランシス……それと、そちらの仮面は大鴉といったところか」
「追い詰めたぞ、アポカリプト! ここはお前たちにとって一部分の部署に過ぎないかもしれないが、これ以上この町を荒らすことは許さない!」
「フン、わざわざミナコ社一のデュエリストが来るとはな……。私はギース」
「今日この日をもって、ここは潰させてもらう! お前たちのダークネスカード工場も!」
「ほう……我々の正当なるビジネスを邪魔するというのか……企業の風上にもおけない輩だな」
「正当なるビジネスだと!? 人を狂わせ、苦しませ、そんなことをして何がビジネスだ! デュエルは、人々に楽しんでもらうためにある! お前たちのダークネスカードは、強さだけしか持たない悪魔の兵器でしかない! だからこそ潰すのだ!」
「ハッ、人々が求めているものを作っているのになぜ糾弾されないといけない?」
「お前たちのカードを求める者は全て、邪な心だった……あるいは、心の隙間につけ込んでのことでしかない!」
「ロベルト、もう禅問答はやめましょう。こいつらはこっちの言うことなんて聞く耳持たないみたいだから」
「……ああ、ちょうど僕もそう思っていたところだから。もう話をやめようと思う。さあ潔くお縄につけ!」
「だが、私は捕まらない。私が負けを認めるのは……デュエルで負けた時だけだ!」
その言葉と同時に、床からせり上がってきたのはデュエルリング。それを見て、ロベルトも察する。
「どうやら、そうしなくちゃいけないみたいだね。受けて立とう!」
「気をつけて、ロベルト。相手は違法組織の連中よ」
「わかっている。それに、デュエルディスクじゃなくわざわざデュエルリングを使うってことは、それが必要だという理由があるということだ。どうせディスクじゃ受けてくれないだろうしね。奴らのルールに従うしかないな」
リングに上がる双方。首領はデッキをリングにセットし、ロベルトはディスクをリングにつなげる。
「行くぞギース!」
「かかって来いロベルト!」


「「ルールはマスタールール3! ライフポイントは8000!」」
「「デュエル!」」


「先攻を取るのは私だ。私のターン!」

1・ギースのターン

「私は永続魔法『補給部隊』を発動! その効果は……今はいいか。そして、モンスターを1体セットし、カードを1枚セット。ターンエンドだ」(ギース手札5→2)

ギース

ライフポイント8000
手札枚数2枚
モンスター1体
(裏守備表示)
魔法・罠ゾーンのカード2枚
発動しているカード1枚
『補給部隊』(永続魔法)
墓地の枚数0枚
除外されているカード0枚


2・ロベルトのターン

「私のターン、ドロー!」(ロベルト手札5→6)
「悪いが、速攻でいかせてもらうよ。フィールド魔法『天空の虹彩』を発動!」(ロベルト手札6→5)
ロベルトのフィールドに、ペンデュラムの軌跡を描くような円形が現れる。そこには、虹色の輝きがある。
「このカードがあるとき、私のPゾーンにある『魔術師』『オッドアイズ』『EM』は相手効果の対象とはならない!」
「手札より『EMドクロバット・ジョーカー』を召喚! その効果により、デッキから『慧眼の魔術師』を手札に加える」
「そしてフィールド魔法『天空の虹彩』の効果発動! このカード以外の自分フィールドのカードを破壊し、デッキから『オッドアイズ』カードを1枚手札に加える。ドクロバットを破壊し、デッキから『EMオッドアイズ・ユニコーン』を手札に加える」(ロベルト手札5→6)(ロベルトエクストラ0→1)
「よし、手札よりスケール5の『慧眼の魔術師』と、スケール8の『EMオッドアイズ・ユニコーン』をPスケールにセッティング!」(ロベルト手札6→4)
「更に、永続魔法『星霜のペンデュラムグラフ』を発動させる。このカードが魔法・罠ゾーンにある場合、私の魔法使い族モンスターを相手魔法の対象にできない」(ロベルト手札4→3)
「更に、もう片方のPスケールに『EM』か『魔術師』Pカードがある場合、Pスケールの『慧眼の魔術師』の効果を発動できる。このカードを破壊し、同名カード以外の『魔術師』PモンスターをPスケールにセットできる。デッキより『紫毒の魔術師』をセットする。このモンスターのPスケールは1。よってレベル2から7までのモンスターを手札・エクストラから特殊召喚できる!」(ロベルトエクストラ1→2)
「更に、永続魔法『星霜のペンデュラムグラフ』の効果発動。表側表示の『魔術師』Pモンスターがモンスターゾーン・Pスケールから離れた時、デッキから『魔術師』Pモンスターを手札に加える。私は『貴竜の魔術師』を手札に加える」(ロベルト手札3→4)
「私はPスケールを使い、ペンデュラム召喚! 手札よりレベル7『オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』エクストラより『慧眼の魔術師』をペンデュラム召喚!」(ロベルト手札4→3)(ロベルトエクストラ2→1)
「そうして、手札のレベル3チューナー『貴竜の魔術師』の効果発動。フィールドの『オッドアイズ』モンスターのレベルを3つ下げることで、手札・墓地から特殊召喚できる。ペンデュラム・ドラゴンのレベルを3下げる!」(ロベルト手札3→2)(オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンレベル7→4)
「私はレベル4となっている『オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』に、レベル3の『貴竜の魔術師』をチューニング! シンクロ召喚! 現れろレベル7『オッドアイズ・メテオバースト・ドラゴン』!」(ロベルトエクストラ1→3)
「メテオバーストの効果発動。Pスケールの『紫毒の魔術師』を特殊召喚する!」
「レベル4の『魔術師』Pモンスター2体、慧眼と紫毒を素材とし、エクシーズ召喚! 現れろランク4『星刻の魔術師』!」
「『星刻の魔術師』の効果発動。エクシーズ素材を1つ取り除き、効果発動。デッキ・墓地・エクストラから魔法使い族・闇属性モンスター1体を手札に加えられる。エクストラからドクロバットを手札に加える」(ロベルト手札2→3)(ロベルトエクストラ3→2)(ロベルト墓地0→1)
「バトルフェイズに入り――」
「このバトルフェイズ前に、罠カード『砂漠の光』を発動させる。自分フィールドの、モンスター全てを表守備表示にする。そして、リバースした『サイバーポッド』のモンスター効果を発動させる」(ギース墓地0→1)
「『サイバーポッド』だと!? そのカードは禁止カードに指定され、公式デュエルでは使えないカードだ。まさか……!」
「おそらくこのデュエルリングね、ロベルト。多分違法な改造がしてあって、禁止カードも使えるみたい」
「くそ……やはり思った通りか!」
「効果処理を続けるぞ。リバースした『サイバーポッド』は、フィールドのモンスター全てを破壊する」
「だが、私のフィールドにいる『星刻の魔術師』の効果。モンスターゾーンかPスケールのモンスターが破壊される時、代わりにデッキから魔法使い族モンスター1体を墓地へ遅れる。私はデッキより『調律の魔術師』を墓地へ送り、破壊を無効化する!」(ロベルト墓地0→1)
「防がれたか。まあ私のポッドが破壊される。そして互いにデッキの上からカードを5枚めくり、その中にレベル4以下のモンスターがいる場合、攻撃表示か裏守備表示で特殊召喚する。私は『BM-4ボムスパイダー』と『ツインバレル・ドラゴン』『魔装機関車 デコイチ』を裏守備表示で特殊召喚する」(ギース墓地1→2)
「ならこっちは『EMトランプ・ガール』と『EMシルバー・クロウ』を攻撃表示で特殊召喚する」
「最後に、残りのめくったカードは手札に加える」(ギース手札2→4)
「……」(ロベルト手札3→6)
「その後、効果で私のモンスターが破壊されたことにより、永続魔法『補給部隊』によって1枚ドロー」(ギース手札4→5)
「ならこっちも、効果発動。ペンデュラム・マジシャンは特殊召喚に成功した時、フィールドのカードを2枚まで破壊し、破壊した数までデッキから『EM』モンスターを手札に加えられる。ペンデュラム・マジシャンとシルバー・クロウを破壊し、デッキより『EMリザードロー』と『EMラクダウン』を手札に加える」(ロベルト手札6→8)(ロベルトエクストラ2→4)
「本格的にバトルフェイズに入り、『星刻の魔術師』で裏守備の『ツインバレル・ドラゴン』を攻撃する!」
「……」(ギース墓地2→3)
「カードを2枚伏せ、ターンエンド!」(ロベルト手札8→6)

ロベルト

ライフポイント8000
手札枚数6枚
モンスター2体
『オッドアイズ・メテオバースト・ドラゴン』(攻撃表示・攻撃力2500・炎属性・レベル7)
『星刻の魔術師』(攻撃表示・攻撃力2400・闇属性・ランク4・X素材1つ)
魔法・罠ゾーンのカード3枚
発動しているカード3枚
『天空の虹彩』(フィールド魔法)
『星霜のペンデュラムグラフ』(永続魔法)
『EMオッドアイズ・ユニコーン』(スケール8)
墓地の枚数2枚
除外されているカード0枚


3・ギースのターン

「私のターン、ドロー」(ギース手札5→6)
「裏守備のモンスター2体を反転召喚! そして、リバースしたデコイチの効果により、1枚ドロー」(ギース手札6→7)
「そして、ボムスパイダーの効果発動。自分フィールドの機械族・闇属性モンスター1体デコイチと、お前のメテオバースト1体を対象として発動。そのカードを破壊する!」
「その効果に対し、『星刻の魔術師』の効果によって、デッキから『EMトランプ・ウィッチ』を墓地へ送って、破壊を肩代わりする!」(ロベルト墓地2→3)
「これにより、私のデコイチだけが破壊される。が、永続魔法『補給部隊』によって1枚ドロー」(ギース手札7→8)(ギース墓地2→3)
「だが、破壊無効効果はもう使えまい! 私は手札から魔法カード『融合派兵』を手札より発動! このターン、エクストラデッキから融合モンスターしか特殊召喚できない代わりに、融合モンスターに名前が記されたモンスター1体を特殊召喚する! 私は『ガトリング・ドラゴン』を選択し、デッキから『リボルバー・ドラゴン』を特殊召喚する!」(ギース手札8→7)(ギース墓地3→4)
現れたのは、まるでリボルバー式拳銃の頭と腕を持つ機械のドラゴン。攻撃力は2600。
「拳銃のドラゴン?」
「これは、俺の過去を象徴するモンスターだ」
「何……?」
「俺はかつて、デュエルに夢を見て、プロになることを目指した人間だった……。だが、苦心してプロになった俺を待っていたのは、現実だった……。どれだけ頑張っても報われず、負け続け地に這いつくばる毎日……。それによって、惨めに裏デュエルやロシアンルーレットなどで糊口を凌ぐような生活……そんな惨めな生活から俺を救ってくれたのは、あのお方が作ったこの組織だった! そして、この町を汚染する支部を任された……それは喜ばしいことだ。何者からも嘲笑され、冷遇された俺が、輝ける場所を用意してもらったのだからな!」
「何があったか知らないが、何が理由であろうともお前がやっていることは罪に他ならない。だからこそ、倒す!」
「倒すと言っても、今は俺のターンだ! 行くぞ! 『リボルバー・ドラゴン』の効果発動! 1ターンに1度、相手モンスター1体を対象として発動。コイントスを3回行い、2回表が出ればそのモンスターを破壊する!」
「この効果にチェーンして、手札より速攻魔法『トラップ・ブースター』を発動。手札1枚をコストに、手札から罠カード1枚を発動できる! 俺は手札より永続罠『銃砲撃』を発動!」(ギース手札7→4)(ギース墓地4→6)
「そして、コイントスだ」
『リボルバー・ドラゴン』の砲身が回る。まるでロシアンルーレットのごとく回りながらモンスターへと狙いを定める。
砲身が止まる。その砲身には……! 
「コイントスの結果は全て表! ガン・キャノン・ショット!」
『リボルバー・ドラゴン』の銃身から弾丸が発射され、ロベルトの『星刻の魔術師』は破壊される! 
「ぐっ、やられたか……」(ロベルト墓地3→5)
「更に、永続罠『銃砲撃』の効果が発動される。1ターンに1度、コイントスを行う効果が発動した時に、表が出た数だけ効果が適用される。1回なら相手に500ダメージを与え、2回なら相手フィールドのカード1枚を破壊する。そして3回なら相手の手札を1枚捨てる!」
「強力な効果だ……! しかし、全て表ということは……!」
「その通り。全ての効果が適用され、お前に500ポイントのダメージを与え、お前のフィールドに存在する『星霜のペンデュラムグラフ』を破壊し、お前の手札を1枚捨てさせる!」
「ぐっ……」(ロベルトライフ8000→7500)(ロベルト手札6→5)(ロベルト墓地3→5)
「そして、このカードを手札より発動させる……。研究に研究を重ね、この俺が使うことを許してくれたこのカード……!」
手札より出されたのは、どす黒い黒のカード。ロベルトは、そのカードに見覚えがあった。
「それは、ダークネスカード!」
「そう、だがこれは前までのモノとは違う! その力を、試してみようじゃないか……! ダークネスカード、発動!」
その時、カードからどす黒い瘴気があふれ出る。その闇は、広い部屋であるにも関わらずあたりを埋め尽くす程。
「こ、これは……!?」
「今までに無い闇の力を感じるわ……!?」
「フィールドに存在する『リボルバー・ドラゴン』と『銃砲撃』、手札の『機甲部隊の最前線』をリリースし、発動! 『リボルバー・ドラゴン』を『ダークネスキャノン・ドラゴン』にし、『銃砲撃』を『銃殺撃』に、『機甲部隊の最前線』を『機甲部隊の人海戦術』を発動させる!」(ギース手札4→2)(ギース墓地6→9)
現れたのは、『リボルバー・ドラゴン』の砲身が大砲のようになっているモンスター。攻撃力は3800。
「何!? 新しいダークネスカードは、モンスターだけでなく魔法・罠も強化することができるのか!?」
「その通り! これにより、俺とお前のアドバンテージの差は圧倒的に俺に有利となった! ダークネスキャノン、効果発動! コイントスを3回行い、表が出た数まで相手フィールドのカードを除外できる!」
「伏せカード――」
「無駄だ、ダークネスキャノンの効果に相手はチェーンはできない! そして永続罠『銃殺撃』の効果発動! このカードが表側表示であるとき、コイントスを全て任意の出目にできる!」
「ちょっ……それコイントスの意味が無い!」
「これにより、全て表だ! これにより、お前の伏せカード2枚とメテオバーストを除外する!」
「ぐうっ……『時空のペンデュラムグラフ』と『ペンデュラムリボーン』が……!」(ロベルト除外0→3)
「ダイレクトアタック! ダークネスキャノンでダイレクトアタック! ダーク・キャノン・ショット!」
ダークネスキャノンから放たれた闇の砲撃が、ロベルトを襲う! その衝撃は……。
「ぐっ、うわああああっ!」(ロベルトライフ7500→3700)
「ロベルト!」
そして、その砲撃が壁にも直撃し、壁が崩れる……!? 
「ちょっ……キャアアア!」
「なにいっ!? 私だけじゃなく、現実にも影響を与えるだって……!? 大丈夫か、か……大鴉!」
「え、ええ……大丈夫よ……!」
「なんだこれは……! まるであたかも兵器に使うような……」
「それ以降は企業秘密だ。だがこのカードを越えられるものなら、越えてみせろ!」
「と、その前に『銃殺撃』の効果を発動する。これもコイントスを行って表が出た数だけ効果が適用される。表が1回なら相手に1000ポイントのダメージを与え、表が2回なら相手フィールドのカードを除外し、表が3回なら2枚ドローできる。これにより、お前に1000のダメージを与え、フィールド魔法の『天空の虹彩』を除外し、俺は2枚ドローする!」(ギース手札2→4)
「くっ」(ロベルトライフ3700→2700)(ロベルト除外3→4)
「モンスター1体を伏せ、リバースカードを1枚伏せ、ターンエンド」(ギース手札4→2)

ギース

ライフポイント8000
手札枚数2枚
モンスター2体
『ダークネスキャノン・ドラゴン』(攻撃表示・攻撃力3800・闇属性・レベル11)
(裏守備表示)
魔法・罠ゾーンのカード3枚
発動しているカード2枚
『機甲部隊の人海戦術』(永続魔法)
『銃殺撃』(永続罠)
墓地の枚数9枚
除外されているカード0枚


4・ロベルトのターン

「私のターン、ドロー!」(ロベルト手札5→6)
(なんという恐ろしい効果だ……それに、リアルにダメージじゃなく影響を及ぼすなんて……こんなもの、あってはいけない! だからこそ、勝たなくてはいけない!)
「手札より、Pスケールにスケール6の『EMリザードロー』をPスケールにセット! ここでPスケールのリザードローの効果を発動し、このカードを破壊して1枚ドロー!」(ロベルトエクストラ4→5)
「そして手札より、ドクロバットジョーカーを召喚し、デッキから『EMオッドアイズ・シンクロン』を手札に加える」
「最後にスケール2の『EMラクダウン』をスケールにセットし、ペンデュラム召喚! 現れろ、私のモンスターたち! エクストラよりレベル7『オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』、レベル4『EMシルバー・クロウ』手札よりレベル6『賤竜の魔術師』をペンデュラム召喚!」(ロベルト手札6→4)
「特殊召喚された『賤竜の魔術師』の効果により、墓地より『紫毒の魔術師』を手札に加える」(ロベルト手札4→5)(ロベルト墓地5→4)
「手札より魔法カード『ペンデュラム・フュージョン』を発動! 私の場に存在するモンスターを墓地へ送り、融合モンスターを融合召喚する! 私は賤竜とオッドアイズ素材として、融合召喚! 現れろレベル8『ルーンアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』!」(ロベルト手札5→4)(ロベルト墓地4→5)
(ルーンアイズの効果……それは融合召喚に魔法使い族モンスターを必要とするため、素材とした魔法使い族モンスターのレベルによって変化する。レベル4以下ならバトルフェイズにモンスターへの2回攻撃、レベル5以上ならモンスターへの3回攻撃! 素材としたのはレベル6の『賤竜の魔術師』だから、3回攻撃! あの永続魔法……墓地へ送ったのが『機甲部隊の最前線』ということは、戦闘で破壊するとロクなことにならなさそうだ。だが、Pスケールのラクダウンの効果を使い、手札のこのカードを使えば……これ以上余計なことをさせずにとどめをさせる!)
「手札より速攻魔法『アクションマジック-フルターン』を発動! このターン、モンスターの戦闘で発生するダメージは倍になる! 更にPスケールのラクダウンの効果、私のモンスター1体を対象とし、相手の守備モンスターの守備力800下げ、対象としたモンスターは貫通効果を得る! これ以上お前に余計なことはさせない!」
「ほう……」(ロベルト手札4→3)(ロベルト墓地5→6)
「バトルフェイズ! ルーンアイズで、伏せ守備モンスターを攻撃!」
(そしてルーンアイズは、ペンデュラム召喚されたモンスターを融合素材とした時、相手のいかなる効果も受けなくなる! 相手が罠カードを使ったとしても、問題ない!)
「永続罠『スピリットバリア』を発動! このカードにより、モンスター同士の戦闘によって発生する俺へのダメージを0にする!」
「なにっ!?」
ギースのモンスターの前に、バリアが張られる。ルーンアイズの攻撃はそれを突き抜けるが、ダメージは入らなかった。
「くそっ、ダメージが……だが、モンスターは!」
「いいや?」
「なにっ、モンスターが残っている!?」
ギースのフィールドには、戦闘によってリバースしたボムスパイダーが残っていた。
「『機甲部隊の人海戦術』の効果。このカードが俺の場にある限り俺の機械族モンスターは戦闘では破壊されない。そして機械族モンスターが戦闘を行ったダメージステップ終了時、デッキから同じ属性を持った機械族モンスターを1体特殊召喚できるのさ。この効果に回数制限はない。俺のモンスターゾーンが一杯になるまで使えるのさ。コレによって俺は、デッキから『可変機獣 ガンナードラゴン』を特殊召喚する」
「ば、馬鹿な……! これが新しいダークネスカードの力だというのか……?」
(ダメージが0となり、戦闘を行えば行うほどモンスターを出してしまうのなら、攻撃は意味が無い……くそっ! だが、ここままだ耐えろ……!)
「メインフェイズ2に入り、リバースカードを1枚伏せ、レベル4のPモンスター2体で、エクシーズ召喚! ランク4『昇竜剣士マジェスターP』! これでターンエンドだ……。このエンドフェイズ、マジェスターPの効果で、デッキからPモンスター『虹彩の魔術師』を手札に加え、ターンエンドだ……」

ロベルト

ライフポイント2700
手札枚数3枚
モンスター2体
『昇竜剣士マジェスターP』(守備表示・攻撃力2000・風属性・ランク4・X素材2つ)
『ルーンアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』(攻撃表示・攻撃力3000・闇属性・レベル8)
魔法・罠ゾーンのカード1枚
発動しているカード2枚
『EMラクダウン』(スケール2)
『EMオッドアイズ・ユニコーン』
墓地の枚数6枚
除外されているカード5枚


5・ギースのターン

「俺のターン、ドロー」(ギース手札2→3)
「手札より魔法カード『リバースブースト』を発動! フィールドのセットされた魔法・罠を全て破壊する!」(ギース手札3→2)(ギース墓地11→12)
「フィールドから、罠カード『和睦の使者』を発動! このターン、戦闘ダメージは0となりモンスターは戦闘では破壊されない!」(ロベルト墓地6→7)
「だけど、ダメージは0となるから、これ以上攻撃はできない」
「なら、お前のモンスターを始末するだけだ! ボムスパイダーを攻撃表示にし、俺はダークネスキャノンでお前のモンスターを攻撃し、永続魔法の効果が発動してデッキから『デモニック・モーター・Ω』を特殊召喚! 更に、ボムスパイダーでも攻撃し、デッキから『スロットマシーンAM-7』を特殊召喚!」
「そしてメインフェイズ2にダークネスキャノンの効果を発動し、全て表としてお前のルーンアイズとエクシーズモンスター、Pスケール8のヤツを除外する!」
「……いい、それは受けよう」(ロベルト除外5→8)(ロベルト墓地6→8)
「永続罠『銃殺撃』の効果で、お前のライフを1000削り、デッキから2枚ドローし、お前のラクダウンを除外する!」(ロベルト除外8→9)
「はぁーっはっはあ! これでお前のフィールドは全壊! ペンデュラム召喚でモンスターを並べたとしても、俺のフィールドは傷一つつかねえ! このデュエル、勝負あったな!」
「挑発のつもりかい? だけど、僕はお前を倒す。絶対に……」
「やれるものならな。このライフとモンスターを越えられるものならな! 俺はボムスパイダーをリリースし、レベル6『ブローバックドラゴン』を召喚し、魔法カード『心材の生命』を発動! 自分フィールドのカードの数×1000ポイントライフを回復する。今俺のフィールドには8枚のカードが存在するから、俺は8000ライフを回復する。これでターンエンド!」(ギース手札2→1→0)(ギース墓地12→13→14)(ギースライフ8000→16000)


ギース

ライフポイント16000
手札枚数0枚
モンスター3体
『ダークネスキャノン・ドラゴン』(攻撃表示・攻撃力3800・闇属性・レベル11)
『可変機獣ガンナードラゴン』(攻撃表示・攻撃力2800・闇属性・レベル7)
『デモニック・モーター・Ω』(攻撃表示・攻撃力2800・闇属性・レベル8)
『スロットマシーンAM-7』(攻撃表示・攻撃力2000・闇属性・レベル7)
『ブローバックドラゴン』(攻撃表示・攻撃力2200・闇属性・レベル6)
魔法・罠ゾーンのカード3枚
発動しているカード2枚
『機甲部隊の人海戦術』(永続魔法)
『銃殺撃』(永続罠)
『スピリットバリア』(永続罠)
墓地の枚数14枚
除外されているカード0枚


6・ロベルトのターン

「私のターン、ドロー!」(ロベルト手札2→3)
「魔法カード『貧欲な壺』を発動! 除外されているモンスター5体をデッキに戻し、2枚ドローできる! 私は『調律の魔術師』メテオバースト、ドクロバット、クリスタルウィング、ラクダウンをデッキに戻し、2枚ドロー!」(ロベルト手札2→4)(ロベルト墓地5→6)(ロベルト除外9→4)
「よし! 魔法カード『サイクロン』を発動! フィールドの魔法・罠1枚を破壊する! 対象は、永続罠『スピリットバリア』!」(ロベルト手札4→3)(ロベルト墓地6→7)
「そうだ、お前はそうするしかない! だが、このモンスターの大群と、戦闘では破壊されない永続魔法、そしてこの膨大なライフ! どうやって削る? 防御カードが無ければ、次こそジ・エンドだ!」
「確かに、このターンでなんとかできなければ、私は負ける……だが、お前の述べた全ての条件、全てをクリアしてお前を倒せば良いのだろう!」
「できるわけがねえ!」
「やれるさ。私は手札より、スケール1の『紫毒の魔術師』と、スケール8の『虹彩の魔術師』を、Pスケールにセット! これで、レベル2から7までのモンスターが、ペンデュラム召喚可能になった!」(ロベルト手札3→1)
「現れろ、私のモンスターたち! エクストラよりレベル7『オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』レベル3『貴竜の魔術師』レベル3『EMリザードロー』。レベル4『EMペンデュラム・マジシャン』レベル6『賤竜の魔術師』をペンデュラム召喚する!」(ロベルトエクストラ5→1)
「『賤竜の魔術師』の効果で、私は墓地から『慧眼の魔術師』を手札に加え、ペンデュラム・マジシャンの効果で、賤竜を破壊しデッキから『EMトランプ・ウィッチ』を手札に加える」(ロベルト手札1→2)(ロベルト墓地7→6)
「そして、レベル4のペンデュラム・マジシャンに、レベルの貴竜をチューニング! シンクロ召喚! 現れろレベル7『オッドアイズ・メテオバースト・ドラゴン』!」(ロベルトエクストラ1→2)
「ロベルトがあのカードを出したということは……やはりこのターンで、決着はつくということね!」
「なにっ!? たった1体モンスターを出したぐらいで、なにができるというのだ!」
「こうするのさ。私はレベル7のメテオバーストに、レベル3のリザードローをチューニング!」
「なにっ!? チューナーでないモンスターをチューナーとして使うだと!?」
「このモンスターは、ペンデュラム召喚したモンスター1体をチューナーの代わりとしてシンクロ召喚できる! シンクロ召喚! 現れろレベル10『涅槃の超魔導剣士』!」(ロベルト墓地6→7)(ロベルトエクストラ2→3)
現れたのは、蒼を基調とした魔法の剣士。攻撃力は3300。
「自身の効果によって、Pモンスターをチューナーとした場合、墓地からカード1枚を手札に加えられる。私が手札に加えるのは……このカード! 『拡散する波動』!」(ロベルト手札2→3)(ロベルト墓地6→5)
「いつの間に、そんなカードを墓地へ?!」
「あったのさ。1度だけ、このカードを墓地へ遅れる時が。それは、お前の『銃砲撃』のハンデスによってね!」
「なんだと……!?」
「そしてこ瞬間、お前の負けは確定した! 私はPスケールの2体の魔術師の効果、発動! 虹彩は私の闇属性・魔法使い族モンスター1体が戦闘を行う時のダメージを倍加させ、紫毒は虹彩と同じ条件のモンスターが戦闘を行うダメージステップ開始時に、攻撃力を1200アップさせられる! そして、どちらも破壊される。虹彩の効果を発動し、『涅槃の超魔導剣士』の戦闘ダメージを倍加させる! そしてこのカードを破壊!」(ロベルトエクストラ3→4)
「行くぞ、『拡散する波動』を『涅槃の超魔導剣士』に発動させ、バトルフェイズ! 私はスロットマシーンへと攻撃し、紫毒の効果発動! これにより、攻撃力を1200アップさせ、ダメージも倍となった!」(ロベルトエクストラ4→5)(ロベルト手札3→2)(ロベルトライフ2700→1700)
「ぐっ、ぐうううう! だが、人海戦術によって、俺のモンスターは戦闘破壊されない!」(ギースライフ16000→11000)
「だが、紫毒のさらなる効果発動! このカードが破壊された時、相手の表側表示カード1枚を破壊する! これにより、お前の人海戦術を破壊!」
「なにっ!?」
「これで、もはや後続は呼べなくなり、戦闘で破壊できるようになった! 行くぞ! 『拡散する波動』は、対象としたモンスターを相手モンスターへ全体攻撃させられる! 、デモニック・モーターへと攻撃!」
「ぐううっ!」(ギースライフ11000→10000)(ギース墓地14→15)
「そして、モンスターを戦闘で破壊した『涅槃の超魔導剣士』の効果発動! 相手ライフを半分にする!」
「なんだと!?」(ギースライフ10000→5000)
「まだまだ! ガンナー・ドラゴンへと攻撃!」
「おおおっ!」(ギースライフ5000→4000→2000)
「終わりだ。『ブローバックドラゴン』へと攻撃! 超魔導・波動斬!」
「ぐおおおおおおっ!」(ギースライフ2000→0)


「私の勝ちだ! 禁止カードやダークネスカードを使おうとも、そんな力に頼ったデッキに、私のデッキは負けはしない!」
「ぬおおおお……! なぜだ……! ここまでして、なぜ勝てぬ……!」
「私の言ったことがわからないようなら、何を言っても無駄かな……」
「俺は、俺は……ゴハッ!?」
「ええっ!?」
突如、ギースの仮面の間から血が垂れた。中で血を吐き出したようだ……! 
「どういうことだ!? どうしたんだいったい!?」
「なぜ!? リアルダメージはあっても、直接こんなことは起こらないはずなのに!」
「お、俺は……グフッ!」
そのままリングに突っ伏したギース。心配になり駆け寄って脈をみる。なんと……! 
「大丈夫だ、死んではいない……だが、意識が戻らない!?」
「なんで、こんなことに……!」
「フフフ、どうやら刺激が強すぎたようだな」
「誰だ!?」
突如玉座の後ろの壁が回転し、巨大なモニターとなった。そこに映し出されたのは、2本の角と口元にAの文字が描かれたフルフェイスヘルメットのようなマスクを被った謎の人物。体はマントで覆われており、全貌を見ることはできない。
「お前は誰だ!?」
「フフフ……私はアポカリプトのボス、ラグナ」
「なにっ!?」
「なんですって!?」
「世界を股にかける犯罪組織のリーダーと対面できて、君たちも嬉しいだろう? あいにく日本に設置できたのはこのプラクサスでやっとだったが……良い実験結果が出たから、今回の実験はこれで良いだろう」
「実験!? なんだそれは!」
「そんなことを教えはしない。だが、これだけは教えよう。私たちは近々大きなことを起こす。『大いなる災い』だ。それにより、私はこの世界の王となる」
「どういうことだ!?」
「そんなことを易々と教えはしない……だが、一つだけヒントを与えよう。ロベルト・フランシス、お前は精霊というものを知っているだろう?」
「何!? なぜお前がそんなことを知っている!?」
「この計画には、それが絡んでいる。それまでさらばだ、諸君」
それだけ言い残すと、モニターはプツンと切れてしまった。
「なんだったというのだ……今のは……」
「でも、ロベルト……奴ら、とんでもないことを企んでいるみたいね」
「ああ。あの時の帝国である程度精霊のみんなは保護できたけど、あれ以降全然見つからないのは、奴らが関連していたからなのか!?」
「わからないわ……けれど、わかったのは……何かとんでもないことが起ころうとしているのと、これでプラクサスでのダークネスカード事件は終わったということだけね」
「ああ、それだけだな……精霊のこともな」


翌日、アポカリプトがプラクサスに構えていたアジトが壊滅したということ。それにより、ダークネスカードをばらまいたのが元プロデュエリストだったこと。彼らが何か恐ろしいことを企んでいたこと……全てニュースで流れた。
それを聞いた遊太たちは、ロベルトの部屋にては話をしていた。
「今回の作戦により、ひとまずプラクサスのアジトは壊滅した。しかし、ダークネスカードの脅威は未だ去っていないうえに、奴らの行方も行方すれず……結局、なにも変わっていないんだ……」
「そうなんですか……結局、プラクサスでダークネスカードが少し減ったぐらいなんだね」
「チックショウ、結局アイツらのやりたい放題はとまんねーって言うのかよ」
「それに、落ちぶれたデュエリストを利用するなんて……ひどすぎです!」
「ケッ、落ちぶれたのは単にヤツがその程度ってだけだろ」
「でもロベルトさんの話では、プラクサスに限らずアポカリプトの逮捕事件では、そういう話が何回もあるって話ですわよね……」
「結局、奴らのアシはつかめてないのかよ」
「にしてもロベルトさん……奴らのボスが言っていた、大いなる災いと、精霊の話って……なんなんだろうね?」
「ああ……しかし、何か嫌な予感がする……杞憂であるのならいいのだけれど……」

こうして、プラクサスシティでのダークネスカード事件は一応の終わりを迎えた。
今はそれだけだった。だが、遊太たちの心の中で、何かざわつくものがあった。それは……大きな波紋となってゆき、遊太たちの心に、影を落とす……。


第六十九話。終わり。

第三章『ダークネスカード』編 終了。
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