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第六十七話「堕ちたヒーロー」 作:イクス

第六十七話「堕ちたヒーロー」


ヒロシからヴェンデットシリーズを教えてもらった遊太たちは、ヴェンデットにハマっていた。
「ねーねー菊姫、大分使っちゃったから、ガレキに使うスプレー後で貸してくれない?」
「アタシだってスプレー使ってほとんどねえんだよ! 自分で買えや遊太!」
「カードとガレキの二足のわらじはキツイよ~」
「アタシもだよ!」
「ポスター結構高いじゃん?」
「外国にしか売ってないやつ多いですからねえ」
といった具合に、ヴェンデットに多少なりとも興味を抱いていた。
だが……。
「そーいや、ヒロシのヤツどーした? ここ最近アタシたちと会ってねーが……」
「あー……そういえば、あの日以降会ってないなあ。なんでだろ?」
「ちょっと僕……見てきます」
そうして、クラスへと赴いた真薄。クラスにはヒロシがいたが……。
「アレ……?」
ヒロシは、机に突っ伏したまま眠っていた。スースーと、本気で眠っていた。その理由をクラスメイトへと聞く。
「なんで眠っているんですか?」
「ここ最近、ずーっとこうなんだよ。授業も昼休みも眠りっぱなしでさあ」
「センセーが教科書で軽く叩いても起きないくらい、本気で眠っていててさあ。なーんか変なんだよねー。最近」
「そうなんですか!? あ、あの~、ヒロシ君?」
ゆっさゆっさと揺すって、ヒロシを起こす真薄。すると、ようやく起きた。
「あ、ううん……真薄……君? どしたの? ……ふぁあ~」
「どうしたんですか? 最近ずっとこんな風だって、クラスのみんなが言っていますけど……何かあったのですか?」
「え? ちょ、ちょっと……いろいろあってね……」
「いろいろどころじゃないでしょう! ちょっと眠いだけならまだしも、こんな本気寝をするぐらいなんて……なにかあったとしか思えません!」
「いや、ホントに……なんでもないんだ。海外サイトが面白くてついつい夜更かししちゃうんだ。そんな程度のことなんだ」
「……ヒロシ君、君何か隠していませんか? そんなになって隠そうとするなんて……」
「いや、そんなこと……」
「ヒロシ君」
「……スマン、実は……」
そうして真薄は、ヒロシがなぜこんなことになっているのかの理由を聞いた。
「なんですって!? そんなことが!?」
「うん……あの日の夜から、スレイヤーの格好をした何者かに、無理矢理仲間にされちゃって……それで夜な夜な自称悪党退治の手伝いをさせられて……ほとんど徹夜でやらされてるから、眠くて眠くて……ああ~……」
「道理で……」
「俺だって、止めたいって思っているんだけど。ソイツデタラメなほどに強くて……悪党がそれこそ重傷を負うくらいなんだ。ソイツ自身はヒーローだっていってるんだけど、やっていることチンピラ相手に不当な私刑を与えているだけなんだ……それで……僕にも……殴れって……すぅ~……」
「あー! 寝ちゃダメです! 話を聞かせてください!」
「ああっ、またつい寝かけた……だから僕も殴りたくないって言っているのに、無理矢理……」
「な、なんてことを……もはやヒーローと称している悪党としかいえない所業ですよ! 大丈夫です。僕がなんとかしますから!」
「なんとかするって言っても……アイツメチャクチャ強いよ? 立ち向かったって、どうにも……警察の人もぶっ飛ばしたくらいだよ」
「う……そ、それでもなんとかしますから!」
「大丈夫~?」
「なんとかしますから! ですので、ソイツが現れる時刻を教えてください!」
「いいの~?」
そうして遊太たちのところに戻り、ヒロシのことを伝えた真薄。
「なるほどなあ~……アイツ、あんな災難に遭っていたのかよ」
「な~んか、いろいろ大変なことになってるじゃん?」
「でも、ソイツスレイヤーのアレコレをすっごく誤解してない? 人間は傷つけないのが、スレイヤーだよね」
「許せんなあコイツァ……日本でも、ヴェンデットシリーズが広まろうとしているって時に、エセヒーローが現れるとはなぁ……」
「菊姫、まだそんなに広まってないじゃん」
「だからだよ! シリーズの誤解を招くようなのは、いかーん! よし、今夜ソイツをとっちめに行こう!」
「いや、警察がぶっ飛ばされるヤツに僕たちがどうやって立ち向かうの?」
「武装して、後警察に連絡すりゃあいいだろ」
「軽薄……」
「と、ともかく! ヒロシんちに今夜集合だぞー!」
「強引……」
結局、菊姫の提案でスレイヤーのヤツを捕まえることにした遊太たちなのであった。


夜。誰もが眠りに入る時間に、遊太は家を出ようとしていた。
「えーっと……ヘルメットに、バット……プロテクターにレガース……とりあえずこれでいいかな?」
押し入れから引っ張り出した武器になりそうなものを、リュックに詰め込み、なんとか見つからないように家を出ようとする遊太。だが、それを見ているのが2人いた。
(コラ! 遊太! お前そんなものもってどこへ行く気だ!)
(いい~! アルファ! なんでこんな時に言うのさ~!)
(しかも、こんな夜中に危ないモノを持って出て行くなんて……何か事件の予感がする。だから、我々もつれて行け!)
(なんで!?)
もう一人は。
「遊太サン……どうしたのデスか? こんな時間にどうしたというのデスか?」
「うえ~。ユイにまで……」
そうして、菊姫たちとの集合に来たのだが……。
「オイ遊太! なんでユイさんまで連れてきてんだよ!」
ローラースケートのヘルメットとホッケーのスティックを持ってきた菊姫に怒鳴られた。他には、工具用のヘルメットや角材を持ってきた知多と、知多と同じような格好をした真薄もいた。
「しかも、丸腰じゃねえかユイさん! これから危ないヤツと戦うっていうのに……なんだってんだもう!」
「だ、だってユイがどうしても行くって言うから……」
「だって子供だけでそんなことするなんて、危ないデス! ワタシだって遊太サンをお守りしたいのデス!」
「ったく……どーなったってしらねーぞ?」
そうして、会話をしていたのは遊太たちだけではなかった。
(グレイマター……お前も真薄について行ったのか?)
(ああ、なんとなく嫌な予感がしたからついて行ったんだ。何かありそうな気がしたからね)
(私たちも、同じ感じだ)
真薄の精霊、グレイマターもその場に来ていた。
そうして、ヒロシの家へとやってきた遊太たち。案の定、ソイツはいた。『リヴェンデット・スレイヤー』の姿をした、大人のヤツが。
「やいテメエか! ヒロシを連れ回して悪人ぶっ飛ばしているのは!」
「これ以上は、俺たちがさせないじゃ~ん!」
「……お前たち、何者だ? 夜中にその格好……お前たちも悪人か?」
「悪人じゃねえよ! お前を捕まえるためにここにいるんだ! オメエら、かかれー!」
「おおーっ!」
そうして挑みかかった菊姫たちだったが……。ヤツは強かった。バットは折られ、スティックもバキバキやられ、防御につけたモノも無意味なほどぶん殴られ蹴られた。
「ぐ、ぐうぅぅ……まさかこれほどまでとは……」
「お前たち悪人は、ここで滅される運命なのだ。この、ヒーローたちの裁きにによって……」
土手っ腹にいろいろやられた遊太たちだったが、その言葉を聞いた真薄はというと。
「ヒーロー……だって……!? 取り消せ、その言葉は、お前が使っていい言葉じゃない……! お前にヒーローなどという言葉を使って良い資格なんて……ない!」
「ま、真薄……」
いつもなら、誰に対しても敬語で話しかける真薄が、感情を表向きにして、怒りの言葉をなげかける。遊太たちは、その言葉に驚いていた。
「ヒーローっていうのは……人を助けるためにその力を使うんだ。それが、良いヒーローの条件。確かに、悪人に裁きを執行するダークヒーローだっている。けれど、彼らは絶対に外せない矜持を持っているんだ。正道から外れたヤツでも、人として大事なことをもっているんだ!」
「『リヴェンデット・スレイヤー』だって、そうだ。彼は憎しみを糧にヴェンデットになった。けれど、彼は決して人間は傷つけなかった。人を食うヴェンデットなのに! それは、彼女の存在がいたから……愛する人がいたから……だからこそ、人を食うヴェンデットの本能にあらがえた。スレイヤーがダークヒーローなのは、人として譲れないモノを持っているからなんだ!」
「お前は全然違う! ただ悪人を暴力に任せ私刑にする! ヒーローなどとはほど遠い! お前がヒーローを名乗る資格は無い! 僕は……お前をヒーローとして認めない!」
「貴様、正義にケチをつける気か!」
そうして、真薄は蹴り飛ばされる。すると、真薄がポケットに入れていたデュエルモンスターズのカードがばらまかれる。
「……む? 貴様、そのカード……『C・HERO』だと……? 貴様も、ヒーローを持つというのか? 私のジャスティスを否定する、お前が?」
「だからだよ……お前も『ヴェンデット』を持つというのなら、当然カードもあるはずだろ?」
「なるほど……今度はデュエルで決着をつけようというのか。面白い!」
「……デュエルだって? わかった、受けてやる。どっちがヒーローなのか……! これで……」
リュックから取り出した、デュエルディスクを腕につける真薄。バラバラのカードも拾い集め、ディスクにセットする。それを見たスレイヤーのなり損ないも、どこから取り出したのか、ディスクとデッキをセットする。
「マジかよ……ここでデュエルって……!」
「まさかとは思うけど……アイツ!」

「「ルールはマスタールール3! ライフポイントは8000!」」
「「デュエル!」」


その瞬間、スレイヤーもどきから闇のオーラがあふれ出る。そのオーラに、遊太たちは覚えがあった。
「これは……」
「ダークネスカード!?」
「じゃん!?」
「ハワワワ~、なんデスか~!?」
(遊太、これは……)
(ああ、アルファ。多分、ヤツにはダークネスカードの影響があるんだと思う……だから、ああなって……!)
(これも、かなり危険なデュエルとなりそうだぞ……!)


1・真薄のターン

「先攻が僕がもらいます。僕は手札から、魔法カード『コスモ・コール』を発動。デッキから『C・HERO』モンスター1体を手札に加える。僕は『C・HERO グレイ』を手札から加え、そのまま手札から捨てて効果発動。、デッキから『融合』を手札に加える」(真薄墓地0→2)
「そして僕は、魔法カード『融合派兵』を発動! このターン、エクストラから融合モンスター以外の特殊召喚を封じる代わり、手札・デッキから融合モンスターに記されたモンスターを特殊召喚する! 僕はエクストラデッキの『C・HERO グープ』に記された『C・HERO グー』を特殊召喚する!」(真薄手札5→4)(真薄墓地2→3)
「手札から、『C・HERO アズマス』を召喚! 召喚・特殊召喚に成功したアズマスは、デッキから『C・HERO』か『コスモ』カード1枚を手札に加えます。僕はデッキから『コスモテック・フュージョンサポート』を手札に加えます」
「永続魔法『コスモテック・フュージョンサポート』を発動! このカードの発動処理として、デッキから『C・HERO』モンスター1体を手札に加える。デッキから『C・HERO ジョーズ』を手札に加える」
「魔法カード『融合』を発動! フィールドのグーと、水属性のジョーズを素材として、融合召喚! 現れろ『C・HERO グープ』!」(真薄手札4→2)(真薄墓地3→6)
現れたのは、人型をした青色のスライムであった。攻撃力は2400。
「『C・HERO』モンスターの融合召喚に成功したとき、フュージョンサポートの効果が発動する。デッキから融合召喚したモンスターと違う属性を持つ『C・HERO』を1体手札に加えられる。僕はデッキから闇属性の『C・HERO フィード』を手札に加える」(真薄手札2→3)
「リバースカードを2枚セットして、ターンエンド」(真薄手札3→1)

真薄

ライフポイント8000
手札枚数1枚
モンスター2体
『C・HERO グープ』(攻撃表示・攻撃力2400・水属性・レベル6)
『C・HERO アズマス』(攻撃表示・攻撃力0・闇属性・レベル1)
魔法・罠ゾーンのカード2枚
発動しているカード0枚
墓地の枚数6枚
除外されているカード0枚


2・スレイヤーのターン

「俺のターン、ドロー」(スレイヤー手札5→6)
「フィールド魔法『ヴェンデット・ナイト』を発動!」(スレイヤー手札6→5)
「こ、これは!?」
フィールドに展開されたのは、夜の大都会。だが、真薄や遊太たちがいるのは、柵で隔離されたゾンビのいるところであった。
「これは……ヴェンデットシリーズの舞台!?」
「このカードの効果により、手札1枚を捨てることで『ヴェンデット』モンスターを手札に加えられる。俺は『ヴェンデット・ストリゲス』を捨て、『リヴェンデット・スレイヤー』を手札に加える」(スレイヤー墓地0→1)
「来るか!」
「そして墓地へ送られたストリゲスの効果発動。墓地へ送られたこのカードは、手札の『ヴェンデット』カードを見せることで墓地から特殊召喚できる! スレイヤーを見せ、特殊召喚する!」(スレイヤー墓地1→0)
現れたのは、鳥獣や爬虫類といったモンスターが複合したゾンビ。守備力は2000。
「そして、手札より『ヴェンデット・レヴナント』を召喚!」(スレイヤー手札5→4)
男女問わないゾンビの群れが現れる。攻撃力は1800。
「こ、これは……ヴェンデットが始めにヴェンデット化させたもの……!」
「フン、わかるか。なら今に見せてやろう! 手札より儀式魔法『リヴェンデット・ボーン』を発動! フィールドのレベル2ストリゲスと、レベル4レヴナントをリリースし、手札のレベル6『リヴェンデット・スレイヤー』を儀式召喚する!」(スレイヤー手札4→2)(スレイヤー墓地0→2)(スレイヤー除外0→1)
ゾンビを糧として現れたのは、遊太たちがヒロシから紹介されたダークヒーロー。『リヴェンデット・スレイヤー』。攻撃力は2400と、そんなに高くはないが。
「これが、デュエルモンスターズの『リヴェンデット・スレイヤー』……!」
「ソリッドビジョンで見てみると、なかなか迫力があるぜ!」
「って、関心している場合じゃないじゃ~ん!」
「その通り。スレイヤーは単体では非力だが、儀式召喚のためにリリースしたモンスターが力を与える!」
「は、そうでした! スレイヤーは、倒したヴェンデットから力を得ていくんでした!」
「レヴナントをリリースしたことによって、相手の特殊召喚したモンスター1体を対象として除外することができ、ストリゲスは戦闘を行った時に手札交換を行える効果を得た! 行くぞ、スレイヤーの効果により、貴様のグープを除外する!」
「まずい! いきなりそんな効果を使われるなんて!」
「大丈夫です、遊太くん! グープの効果発動! 戦闘を行う時、もしくはこのモンスターが対象にとられた時、効果が発動します! このカードを破壊して、相手フィールドのカード1枚を破壊する! このとき、モンスターを破壊したら元々の攻撃力の半分のダメージを与える! 僕は当然スレイヤーを破壊する! アシッド・ブースト!」(真薄墓地6→7)
破壊して飛び散ったグープの破片が、スレイヤーに襲いかかる。だが。
「墓地の儀式魔法『リヴェンデット・ボーン』は、『リヴェンデット・スレイヤー』が破壊される時、除外することで破壊を免れる。そう簡単にはやらせんよ」(スレイヤー除外1→2)
「……」
「俺はバトルフェイズに入り、スレイヤーで攻撃力0のアズマスを攻撃する! リヴェンデット・ファング!」
「速攻魔法『コスモ・リンク』を発動! フィールドの『C・HERO』1体を対象として発動、手札・デッキから同じ属性を持つ『C・HERO』を特殊召喚する。その後、特殊召喚したモンスターと同じ属性のモンスターをフィールドから墓地へ送ることで、融合召喚を行えます! 闇属性のアズマスと同じ属性を持つ『C・HERO フィード』をデッキから特殊召喚し、アズマスとフィードをフィールドから墓地へ送り、融合召喚! 現れろ、レベル7『C・HERO フィードバック』!」(真薄墓地7→10)
指や足、触覚が電線コードのようになった電線コードの悪魔が現れる。攻撃力は……アズマスと同じ0。
「融合召喚に使われたアズマスの効果で、墓地から『融合』『フュージョン』カードを1枚手札に加えられる。墓地から『融合』を手札に加える。更に、永続魔法フュージョンサポートの効果で、デッキから光属性の『C・HERO アプリ』を手札に加える」(真薄手札1→2→3)(真薄墓地10→9)
「また融合召喚だと、だが関係ない。このまま攻撃だ! ゆけ、『リヴェンデット・スレイヤー』!」
『リヴェンデット・スレイヤー』の触腕が、フィードバックに襲いかかる。だが、フィードバックは! 
「フィードバックは戦闘では破壊されない!」
「だが、その程度のモンスターごときでは止められない! 『リヴェンデット・スレイヤー』の効果発動! 相手モンスターとの戦闘をするとき、墓地のアンデット族を除外し攻撃力を300アップする。レヴナントを除外し攻撃力を2700に!」(スレイヤー墓地2→1)(スレイヤー除外2→3)
「確かにね、フィードバックは単体ではあんまり強くない。けれど、相手の力を使えば、どこまでも強くなれる! フィードバックの戦闘で受けるダメージは全て、相手プレイヤーが受ける!」
「なにいっ!?」
「逆境が強いほど強くなるのが、フィードバックの特性さ! 行くぞ、カウンター・バック!」
フィードバックがスレイヤーの触腕を受け止めると、その手でつかんで逆にビリビリさせる。それが逆にダメージを受けることとなった。
「ぐぅっ」(スレイヤーライフ8000→5300)
「やった! 真薄君が先制攻撃を浴びせたぞ!」
「先制攻撃っつーか、相手の攻撃を利用した感じじゃん?」
「やるなあ、アイツ。しかし棒立ちの攻撃力0に何の策もなく突っ込むとか、わからんやつだな」
「ぐうぅぅ……だが、ストリゲスをリリースしていたことにより、デッキから1枚ドローし、手札を1枚捨てる。その後メインフェイズ2で、リバースカードを2枚伏せ、ターンエンドだ」(スレイヤー手札2→3→2→1)(スレイヤー墓地1→2)
「墓地のグープの効果発動、破壊されたグープは、破壊されたターンのエンドフェイズに墓地から復活する!」(真薄墓地9→8)

スレイヤー

ライフポイント5300
手札枚数0枚
モンスター1体
『リヴェンデット・スレイヤー』(攻撃表示・攻撃力2700・闇属性・レベル6)
魔法・罠ゾーンのカード2枚
発動しているカード1枚
『ヴェンデット・ナイト』(フィールド魔法)
墓地の枚数2枚
除外されているカード3枚


3・真薄のターン

「僕のターン、ドロー!」(真薄手札3→4)
「手札より魔法カード『コスモの繋がり』を発動! 手札1枚をコストに、デッキから同じ属性を持つ『C・HERO』を2体手札に加えられる。僕はデッキから地属性の『C・HERO ヒューモンガ』と『C・HERO ストーン』を手札に加える。その後、墓地に『融合』がある場合、それを手札に加えられる。さっきコストにしたのは『融合』だから、手札に加えられる」(真薄手札4→5)(真薄墓地8→9)
「そして永続魔法『コスモテック・フュージョンサポート』を発動! 手札のアプリを光属性から地属性に変更して、『融合』を発動! 手札のストーンと、地属性となったアプリを素材として、融合召喚! 現れろ『C・HERO クロマストーン』!」(真薄手札5→2)(真薄墓地9→12)
現れたのは細身で鋭い紫色の鉱石エイリアン。攻撃力は2700。そして……。
「融合素材となったアプリの効果発動。アプリが融合素材となったとき、自分フィールドのモンスター1体の装備カードにできる! フィードバックの装備カードとして、装備!」(真薄墓地12→11)
墓地から現れた液体金属の生命体が、フィードバックに溶けるようにまとわりついて装備カードとなる。
「バトルフェイズ! フィードバックで、スレイヤーにこうげ――」
「そうはいかん! 罠カード『ヴェンデット・リボーン』を発動! 相手フィールドの、モンスター1体を対象として発動。そのモンスターをリリースする! お前のフィードバックをリリース!」
「なんだって!?」(真薄墓地11→12)
「更に、リリースしたモンスターと同じレベルを持つ『ヴェンデットトークン』を1体を特殊召喚する。フィードバックはレベル7。よってトークンはレベル7となる!」(スレイヤー墓地2→3)
「リリースされたか……だけど、まだグープとクロマストーンの攻撃が残っている! クロマストーンでスレイヤーをこうげ――」
「更に罠カード発動! 『攻撃の無力化』! 相手モンスター1体の攻撃を無効化し、バトルフェイズを終了させる!」(スレイヤー墓地3→4)
「そう来ましたか……僕はリバースカードを1枚伏せ、ターンエンドです」(真薄手札2→1)

真薄

ライフポイント8000
手札枚数1枚
モンスター2体
『C・HERO グープ』(攻撃表示・攻撃力2400・水属性・レベル6)
『C・HERO クロマストーン』(攻撃表示・攻撃力2700・地属性・レベル7)
魔法・罠ゾーンのカード3枚
発動しているカード1枚
『C・HERO アプリ』(装備カード)
墓地の枚数12枚
除外されているカード0枚


4・スレイヤーのターン

「俺のターン、ドロー」(スレイヤー手札0→1)
「スレイヤーの効果で、お前のクロマストーンを除外する!」
「くっ」(真薄除外0→1)(真薄墓地12→13)
「更に手札より、魔法カード『強欲で金満な壺』を発動! エクストラデッキのカードを3・6枚裏側で除外し、除外したカード3枚につき1枚ドローできる。俺は6枚除外し、2枚ドロー!」(スレイヤー手札0→2)(スレイヤー墓地4→5)(スレイヤー除外3→9)
「そして儀式魔法『リヴェンデット・ボーン』を発動! フィールドのレベル7となっているヴェンデットトークン1体をリリースし、手札から『ヴェンデット・バスタード』を儀式召喚する!」(スレイヤー手札2→0)(スレイヤー墓地5→6)
現れたのは、巨大なナイフのような武器を持ったアンデット。攻撃力は2700。
「こ、コイツは……ヴェンデットの中でも最上位種であり、ヴェンデットの親玉ともいえる存在……」
「そうだ。コイツを倒すのはスレイヤーといえども苦労した相手だ。バスタードの効果発動。墓地から『ヴェンデット・レヴナント』を除外し、カードの種類を宣言する。そして、宣言した種類のカードは発動できない。俺はモンスターカードを宣言し、グープの効果を封じる」(スレイヤー墓地6→5)(スレイヤー除外9→10)
「グープの効果を封じられただって……!?」
「行くぞ、バトルフェイズ! スレイヤーでグープを攻撃! この瞬間、スレイヤーの効果を発動し、墓地のアニマを除外してスレイヤーの攻撃力を300アップする! ゆけ、リヴェンデット・ファング!」(スレイヤー墓地5→4)(スレイヤー除外10→11)
「ぐうっ!」(真薄ライフ8000→7400)(真薄墓地12→13)
「更に、バスタードでダイレクトアタック! ヴェンデット・トールハンマー!」
「ぐうううっ! だ、だけど! 戦闘ダメージを受けた時、罠カード『ダメージ・ゲート』を発動! 戦闘ダメージを受けたとき、受けたダメージ以下の数値を持つモンスターを墓地から特殊召喚する! 僕は墓地からグープを特殊召喚する!」(真薄ライフ7400→4700)
「フン、悪あがきだな……俺はフィールド魔法『ヴェンデット・ナイト』の効果を発動させる。墓地から『ヴェンデット』を除外し、戦闘で破壊したモンスターにもう一度モンスターへの攻撃を可能とする! 『ヴェンデット・コア』を除外し、バスタードをもう一度攻撃させる!」(スレイヤー墓地4→3)(スレイヤー除外11→12)
「ぐぅぅぅっ!」(真薄ライフ4700→4400)(真薄墓地13→14)
「ふっ、モンスターが全滅だな……ターンエンド」
「このエンドフェイズ、罠カード『融合準備』を発動! デッキから『C・HERO キャノンボルト』に記された『C・HERO キャノン』を手札に加え、その後墓地に『融合』があれば、それを手札に加えられる」(真薄手札1→3)

スレイヤー

ライフポイント5300
手札枚数0枚
モンスター2体
『リヴェンデット・スレイヤー』(攻撃表示・攻撃力3000・闇属性・レベル6)
『ヴェンデット・バスタード』(攻撃表示・攻撃力2700・闇属性・レベル7)
魔法・罠ゾーンのカード0枚
発動しているカード1枚
『ヴェンデット・ナイト』(フィールド魔法)
墓地の枚数4枚
除外されているカード11枚


5・真薄のターン

「僕のターン、ドロー!」(真薄手札3→4)
「僕はライフを800支払い、装備魔法『再融合』を発動! 墓地から融合モンスター1体を特殊召喚し、このカードを装備する! 僕が召喚するのはグープ!」(真薄ライフ4400→3600)(真薄手札4→3)(真薄墓地14→13)
「だがこの瞬間、スレイヤーによってお前のグープを除外する!」
「……」(真薄除外1→2)(真薄墓地13→14)
「フン、これ以上余計なことをさせるわけにはいかんからな」
「ああ、やられるだろう。けれど、これはおとりだ。手札から魔法カード『融合』を発動! 手札のキャノンとヒューモンガを素材として、レベル8『C・HERO キャノンボルト』を融合召喚する!」(真薄手札3→0)(真薄墓地14→17)
寸胴の、胴体に顔があるエイリアンが現れる。攻撃力は2700。
「フュージョンサポートの効果で、デッキからアズマスを手札に加える」(真薄手札0→1)
「ヒューモンガを融合素材とした融合モンスターは、攻撃力が1000アップする! これでキャノンボルトの攻撃力は3700に!」
「なんだと……!?」
「行くぞ、バトルフェイズ! キャノンボルトで、スレイヤーを攻撃! キャノンボルト・ボールフォーム!」
体を丸くして、攻撃モードに入るキャノンボルト。そうして、体を回転させてスレイヤーに突撃する! 
「ぐぅっ! だが、墓地の『リヴェンデット・ボーン』を除外し、スレイヤーの破壊は免れる!」(スレイヤーライフ4700→4000)(スレイヤー墓地3→2)(スレイヤー除外11→12)
「もう一回! キャノンボルトは相手モンスター全てに攻撃できる! バスタードへ攻撃!」
「グアアアア! だが、儀式召喚されたバスタードも墓地へ送られたとき、デッキから儀式モンスターの『ヴェンデット・エグゼクター』を手札に加え、デッキから『ヴェンデット・アニマ』を墓地へ送る」(スレイヤーライフ4000→3000)(スレイヤー手札0→1)(スレイヤー墓地2→3)
「僕は、これでターンエンド!」

真薄

ライフポイント4400
手札枚数1枚
モンスター1体
『C・HERO キャノンボルト』(攻撃表示・攻撃力2700・地属性・レベル8)
魔法・罠ゾーンのカード0枚
発動しているカード0枚
墓地の枚数17枚
除外されているカード2枚


6・スレイヤーのターン

(くっ、手札にはヤツを倒せるカードは無い……仮にスレイヤーの攻撃力を上げたとしても、ヤツには届かない。一番良いのはヤツを除外して殴ることだが……そうしたところでヤツへの決め手とはならない。どうすれば……)
「俺のターン、ドロー!」(スレイヤー手札1→2)
その時、スレイヤーがドローしたときに何か異常な気配を感じた遊太たち。
「知多、菊姫! これは……!」
「あ、あのときと同じってか!?」
「ハワワワ~、一体どうなるのデスか~!?」
無論、真薄とグレイマターも感じる。
「これって……」
(ああ、どうやらそうらしい)
「クハハハハ! 今から真の力を使う時が来たようだな! 手札よりダークネスカードを発動!」
「来たか!」
「それにチェーンしてスレイヤーの効果を発動し、お前のキャノンボルトを除外する!」
「見逃してはくれないか……」(真薄除外2→3)
「フィールドの『リヴェンデット・スレイヤー』を除外し、『リヴェンデット・スレイヤー - FD(フォールダウン)』を召喚する!」(スレイヤー手札2→1)
「『リヴェンデット・スレイヤー - FD(フォールダウン)』!?」
『リヴェンデット・スレイヤー』の体から、何かが突き破るように出てくる。そうして出てきたグチャグチャしたソンビの破片らしき物体が、スレイヤーを飲み込みどんどん巨大になっていく。
そうして形作られたのは、胴体と下半身が『リヴェンデット・キマイラ』、腕の部分が『ヴェンデット・バスタード』そして、上半身が『ヴェンデット・エグゼクター』という、もはや異形と形容することすら簡単すぎる姿であった。攻撃力は、2500!? 
「な、なんだこりゃ……」
「これがあの……『リヴェンデット・スレイヤー』なのか……?」
「なんじゃこりゃあああああ!」
「FDは特殊召喚に成功したとき、手札・デッキ・墓地から『ヴェンデット』儀式モンスターを3体まで装備できる。手札からエグゼクター、墓地からバスタード、デッキからキマイラを装備! そして、この効果で装備したモンスター1体につき攻撃力が600ポイントアップする。これにより3体装備したため攻撃力が4300となる」(スレイヤー手札1→0)(スレイヤー墓地3→2)
「おいおいおいおい! こりゃあマズイんじゃねえか!?」
「FDで、ダイレクトアタック! 我が正義にひれ伏せ、モンスター!」
「う、わああああっ!」(真薄ライフ4400→100)
「ああっ! ライフが一気に100に!」
「こりゃあマズイぞ!」
「ぐっ……だけど、だけど、ヤツが消えたことで相手ターン除外は無くなった。それに、攻撃力だって、なんとかすりゃあ……」
「どうかな……教えてやろう。FDは相手モンスターと戦闘を行うとき、除外されている『ヴェンデット』モンスターを墓地に戻すことで、攻撃力を2000ポイントアップさせることができる。更に、装備しているモンスターの効果を得ることができる!」
「馬鹿な! バスタードのカード効果発動できない効果と、キマイラの……」
「キマイラの効果は、フィールドのカードを破壊する効果を墓地のアンデット族をコストに無効にし、エグゼクターの効果として自分フィールドの他のカードを対象とすることはできない。ターンエンド」

スレイヤー

ライフポイント3000
手札枚数0枚
モンスター1体
『リヴェンデット・スレイヤー - FD』(攻撃表示・攻撃力4300・闇属性・レベル10)
魔法・罠ゾーンのカード3枚
『ヴェンデット・キマイラ』(装備カード)
『ヴェンデット・バスタード』(装備カード)
『リヴェンデット・エグゼクター』(装備カード)
発動しているカード1枚
『ヴェンデット・ナイト』(フィールド魔法)
墓地の枚数2枚
除外されているカード11枚


「ウッソだろ……スレイヤーの効果の強化版はともかく、他のモンスターの効果を得られるだと!?」
「他のヴェンデットを、吸収して強くなっていったスレイヤーのことを理解したモンスターみたいだけど……だからってこんな……」
遊太たちは、このFDを見て残念がる。影にいた彼も。
(こんなの……『リヴェンデット・スレイヤー』じゃない……)
先ほどからのいざこざを見ていた人物がいる。ヒロシだ。デュエルのことはわからないものの、今いる怪物を見て、本能的に恐れる。
これがヒーローの姿か? 復讐のために化け物を殺していたのに、自らがその化け物……いや、化け物以上に怪物。
……まさしくフォールダウン、墜ちた姿。
だけど、ありえない話でもないのだ。もしもスレイヤーの怒りが有頂天を貫いていたのなら、そういうIFがありえないわけじゃないのだ。
だが、これはあまりにも……。
(こんなの、僕は見たくない。人の心を持っていたはずの彼が、こんな醜い、化け物に成り下がってしまうなんて……ありえないわけじゃない。けれど、こんなの……こんなのって……)
「真薄くーん!」
「あっ、ヒロシ君!」
「お前一体いつからそこにいた!?」
「ヒロシ君……!?」
「お願いだ。今起こっていることは何もわからないけど、アイツを倒してくれ! だから、だから……ヤツを、倒してくれーっ!」
「あ……うん! わかりました! 『リヴェンデット・スレイヤー』のなれの果ては、今から倒します!」


7・真薄のターン

「僕のターン、ドロー!」(真薄手札1→2)
「魔法カード『貪欲な壺』! 墓地のモンスター5体をデッキに戻し、2枚ドローする! 僕はグレイ・アズマス・ジョーズ・グー・キャノンを戻し、2枚ドロー!」(真薄手札1→3)(真薄墓地17→12→13)
「……来たっ! 僕は手札からアズマスを召喚して、効果発動。デッキから『C・HERO』モンスターを1枚、『C・HERO ヒート』を手札に加える」
「ここで、コイツの出番だ! フィールド魔法『コスモ・スペース』を発動!」(真薄手札3→2)
「『コスモ・スペース』!?」
真薄のフィールドが、七色の惑星が列挙する宇宙となる。
「行くよ! 魔法カード『コスモ・リンク』を発動! この効果によりアズマスと同じ属性の『C・HERO グレイ』を特殊召喚する! そして、フィールドのアズマスとグレイを素材として、融合召喚! 現れろ、レベル2『C・HERO グレイマター』!」(真薄手札2→1)(真薄墓地13→16)
「真薄君、わかっているねえ。ここで僕とは!」
「だからだよ。融合召喚に使用したグレイの効果で、墓地からヒューモンガを手札に加え、アズマスの効果で墓地から『融合』を手札に加える。更に、融合召喚に成功したことによって、フィールド魔法『コスモ・スペース』の効果が発動して、1枚ドローできる!」(真薄手札1→4)(真薄墓地16→14)
「更に、グレイマターをリリースして、デッキから『融合』『フュージョン』カードを1枚手札に加える! これにより僕は、速攻魔法『決闘融合-バトル・フュージョン-』を手札に加える」(真薄手札4→5)
「手札より、魔法カード『融合』を発動! 手札のヒートとヒューモンガを素材として、融合召喚を行う!」
「ちょ、ちょっと待て真薄! ヒートブラストを融合召喚するつもりなんだろうが、ヒートブラストは確かヒートと炎属性モンスターでしか融合召喚できないはずだ! ヒューモンガは地属性だろ!?」
「確かに、本来ならこの組み合わせはできない。無論『コスモテック・フュージョンサポート』を使ってヒューモンガの属性を変えることもできる。だけど、フィールド魔法『コスモ・スペース』は『C・HERO』を融合召喚するとき、融合素材とするモンスターの片方の属性を同じものとして扱える! これにより、ヒューモンガの属性地属性を炎属性として扱える! ヒューモンガの力を受け継いで現れろ、レベル7ヒートブラスト!」(真薄手札5→2)(真薄墓地14→17)
赤き炎をまとって現れた、体が溶岩でできた炎のヒーロー。攻撃力は2500だが……! 
「融合素材となったヒューモンガの効果により、攻撃力が1000アップ! 更に、墓地のモンスター1体を除外することで、除外したモンスターの攻撃力分攻撃力がアップ! 墓地のグープを除外することで、攻撃力が2400アップ! 更に『コスモ・スペース』の効果で、1枚ドロー! そしてフュージョンサポートの効果で『C・HERO マット』を手札に加える」(真薄墓地17→16)(真薄除外3→4)(真薄手札2→4)(ヒートブラスト攻撃力2500→3500→5900)
「よし! 攻撃力を上回った!」
「いっけえええ! ヒートブラスト! ブラストバーン!」
なんとヒートブラストが炎の槍となり、FDへと突撃する! だが……。
「舐めるな! FDの効果により、除外されているアンデットを墓地に戻すことで、攻撃力を2000アップ!」(スレイヤー墓地2→3)(スレイヤー除外11→10)(FD攻撃力4300→6300)
「これだけじゃ終わらない! フィールド魔法『コスモ・スペース』の効果発動! 自分フィールドの『C・HERO』が戦闘を行うとき、その攻撃力を1000アップさせることができる!」(ヒートブラスト攻撃力5900→6900)
「なら、今度はスレイヤー本来の効果を発動させ、墓地からアンデットを除外し攻撃力300アップ!」(スレイヤー墓地3→2)(FD攻撃力6300→6600)
「それでも、攻撃力はこっちが上だから、攻撃は通る!」
激しい爆炎が起こり、ダメージは通った……のように見えたが!? 
「あ、アレ!?」
「フッフッフ……」(スレイヤーライフ3000)
「ライフが……減ってねえ!」
「FDの効果、戦闘を行う時装備カードを1枚墓地へ送ることで、FDはその戦闘では破壊されず、ダメージも0になる。残念だったな……」(スレイヤー墓地2→3)(FD攻撃力6600→6000)
「ああっ、これじゃあヒートブラストの効果が……」
「手札より速攻魔法『トリプル・ブースト』を発動! 対象としたモンスターは、モンスターへの3回攻撃を可能とする! ヒートブラストを対象として、もう2回攻撃可能とする!」(真薄手札4→3)(真薄墓地16→17)
「よし! これなら……」
「甘い! FDの戦闘時効果は何回でも発動できる! もう一度除外されている『ヴェンデット』を墓地へ戻し、攻撃力2000アップ!」(スレイヤー除外10→9)(スレイヤー墓地3→4)(FD攻撃力6000→8000)
「ああっ! また攻撃力が上がった!」
「速攻魔法バトル・フュージョンを発動! この効果で、僕の融合モンスター1体の攻撃力を戦闘する相手モンスターの攻撃力分アップさせる!」(真薄手札3→2)(真薄墓地17→18)(ヒートブラスト攻撃力6900→14900)
「だが、スレイヤーは装備カード1枚を墓地へ送り、ダメージと破壊を無効化する」(スレイヤー墓地3→4)(スレイヤー攻撃力8000→7400)
「でも、それでも僕は……ヒートブラストでFDを攻撃する!」(ヒートブラスト攻撃力14900→6900)
「真薄君、何を考えているんだ……? これ以上攻撃したって、意味はないはずなのに!」
「何か策があるっていうのか!?」
「真薄サン……!」
「だが、そんなものに意味はありはしない。三度目はもはやありはしない! FDの効果を発動し、除外されている『ヴェンデット』を墓地に戻し、再び攻撃力を2000アップさせる!」(スレイヤー墓地4→5)(スレイヤー除外9→8)(FD攻撃力7400→9400)
「ああっ! 攻撃力がまた上がった!」
「こりゃあ、ダメか……?」
「いいえ、皆さん。これでいいんです。力を持ちすぎたモノは、己の力によって滅びる! 速攻魔法『雷火の烙印』を発動! 僕のモンスター1体を選択して、攻撃力を1000下げる。このモンスターの戦闘で受ける僕へのダメージは0となり、戦闘では破壊されない。そして、ダメージステップ終了時に、戦闘を行った相手モンスターと自分モンスターの攻撃力の差分だけ、相手プレイヤーにダメージを与える!」(ヒートブラスト攻撃力6900→5900)
「な、なにっ!?」
「まさか、アイツ……相手がここまで攻撃力を上げることを計算して……攻撃したのも、相手が何かあると読んで攻撃力を上げる選択肢を取らざるをえない状態にさせて……!」
「やるじゃん、真薄……!」
「真薄君!」
「その墜ちた力をもって、自らの罪を償え!」
「な、なんだとおっ!?」
「行け、ヒートブラスト! 反撃の一撃だ! リターンブラスト!」
ヒートブラストが攻撃を受ける。だが、その攻撃をヒートブラストは力に変え、更に炎を燃え上がらさせる! 
そうして、炎を放って相手にダメージを与える! 
「ぐおおおおっ!」(スレイヤーライフ3000→0)
「や、やったあっ!」


こうして、スレイヤーを倒した真薄たち。気絶しているが、その体からは闇の瘴気が出ていた。
「で、コイツどうする?」
「警察にこのまんま突き出す訳にはいかないし……」
「あのときみたくユイが浄化してくれたら良いんだけど……」
「えっ、ええっ!? ワタシデスか!?」
「前みたく、できたりしないの? まあ、あのときは記憶がなかったからそう滅多にできるもんじゃないとは思うけど……」
「オイ、コイツの墓地からダークネスカード引っこ抜いたぞ、なんとかなんねーのか? ホレ」
「わっ、ちょっと菊姫! そんな危ないもの放り投げちゃ……」
「キャッ!」
その時、ユイの意識が途切れた。そして、別の意識が出てきて……。
「全くもう、反吐がでる。こんなもので人を支配しようとする奴らの心意気は、一体なんだというのかしら? 全く、いちいち浄化する私の身にもなってもらいたいわ」
すると、あのときと同じ光がユイの手から放たれる。それを受けて、男の体から出てきたのと菊姫が放り投げたダークネスカードは、ジュッと焦げるように消えてしまった。
そうして、ユイは倒れてしまう。
「ユイ……またしても君が……」
「……」


翌日、学校にて。
「あー……なんか君を巻き込む結果になっちゃったね。ヒロシ君」
「うん、結局あんな目に遭うとは……なんてこったい」
「まあでも、あの男は逮捕されたし、騒動も収まったりで、良かったんじゃない?」
「そうですよ。ヒロシ君はアイツにやらされてただけですから」
「まあ、そうだけど……それよりさ、真薄君! 昨日のアレ! すごかったよ!」
「えっ、ヒロシ君……何がですか?」
「デュエルだよデュエル! ヴェンデットのカードであんな風なデュエルができるなんて! すごいよ!」
「あー、そうですか? でも、アレは結構危険なデュエルでしたので……普通のデュエルの方が楽しいですよ?」
「だーから、それを教えてほしいの! 僕まだデュエルやったことねーから、それを教えてほしいの!」
「あ、はい! わかりました! 実は僕も遊太君や菊姫さんに教えてもらったので、一緒にゲームショップ烏間でやりましょうよ!」
「おおいいね、やろうやろう!」
「何はともあれ、デュエル仲間が増えるのか……なんか、いいもんだな」
「きっかけはろくでもないですけどね」
こうして、あらたなデュエル仲間が増えた遊太たち。なんだかんだでデュエルの毎日を謳歌しているのであった。


その頃、ミナコ社のロベルト・フランシスはというと。
「そうか……またしてもそんな事件が……」
「ええ、これで遊太君たちが受けただけでも三件目……遊太君がらみじゃなくても十数件ほどあるのよ」
「カードショップを経営する身としては、辛いモノがあるだろう、雛姫」
ミナコ社の自分の部屋で、知り合いである烏間雛姫と一緒にダークネスカードのことについて話し合っていた。
「この件に例の組織、アポカリプトが絡んでいることは間違いないだろう。しかし、今までのものと違って、使用者にそんな力をもたらすなんて……」
「これは早急に、なんとかしなくちゃいけないわね……。『リヴェンデット・スレイヤー』の格好をしていたあの男も、同じような人間からあのカードを受け取ったって言うし……」
「だが、手がかりが何もないというのは……いかんともしがたいな……」


第六十七話。終わり。
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