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第二十二話「菊姫の切り札」 作:イクス
第二十二話「菊姫の切り札」
プラクサスジュニアデュエル大会、準決勝。遊太は菊姫と対戦することになった。
その初手、遊太はいつもの通り『英雄騎士への覚醒』を発動するも、遊太の戦術を研究していた菊姫は、メタカードである『封魔の呪印』によって、キーカードである『英雄騎士への覚醒』を封じられてしまう。
いきなり苦しい展開となった初手、遊太はここから勝ちへ持って行くことはできるのか?
そして、観客席の遊太両親はというと。
「あわわわ~……なんか、遊太がヤバい! 何かわからないが……ヤバい! そんな気がする!」
「お父さん、デュエルがわからないのに、そんなことはわかるんですね」
「当たり前だ! 俺は遊太の父親だ! 息子がピンチの時ぐらい、わからないとダメだろう。しかし、デュエルがわからない以上、応援することしか、俺にはできない……だから、応援する! 頑張れ、遊太ー!」
「……まあ、頑張りなさい、遊太」
観客席から乗り出して、大声を出しながら応援する遊太の父、幸市。それを横目で見ながら、適切な声で応援する母幸子。
それを隣から、あきれ顔で眺める知多と真薄であった。
「さっきこの人、遊太に静かにしろって言われていなかったっけ?」
「ええ、言われていましたね」
「どうする? このままほっとくと、また幸市さん遊太に怒られるじゃん?」
「……ほっときましょうか」
「そだねー」
と、こんな具合にで。隣りの菊姫の取り巻き共はというと。
「アネゴー!」
「ここから一気に、勝利ですよー!」
といった具合に、菊姫しか見えていなかった。
4・遊太のターン
「僕のターン、ドロー!」(遊太手札2→3)
しかし遊太は、父の応援に気を配っている余裕はない。先程のドローで引いたカードは、速攻魔法『英雄騎士への覚醒』。普通なら良いカードなのだが、先程カウンター罠『封魔の呪印』によって、発動を封じられているため、使えない。
「くっ、せっかく引いたのに、このカードは……今は使えない……」
(防御を固めようにも、菊姫の『古代の機械巨人』は、貫通効果を持っている……守備表示で出しても、ダメージは受けてしまう)
(一体どうしたら……)
遊太は考える。どうすればこののっぴきならない状況を打破できるのか。
それを見て、菊姫は。
(やはり、あのキーカードを封じれば殆ど手詰まりになる。アタシの睨んだ通りだ!)
(さあ、どうするのかな?)
そして遊太の盤面。悩んでいても仕方ないので、とりあえず動くことにした。
「僕は、モンスターを反転召喚! 『ロードナイト・ディスフェンス』! そして、ディスフェンスのリバース効果によって、デッキより『ロードナイト』を特殊召喚! デッキより、『ロードナイト・ダージ』を特殊召喚する。更に、ダージは特殊召喚された時、デッキから1枚ドローできる!」(遊太手札3→4)
(……よし、これなら……!)
「そして、この2体をリリースして、手札よりアドバンス召喚する! 現れろ、レベル7『ロードナイト・トゥワイス』を攻撃表示でアドバンス召喚!」(遊太手札4→3)(遊太墓地3→5)
らしくないアドバンス召喚によって召喚されたのは、大剣を持つ長身の『ロードナイト』。攻撃力は2500。
「フン、アドバンス召喚で活路を見出したか。でも、そのモンスターの攻撃力じゃあ、届かないぜ?」
「慌てないでよ、ただ出した訳じゃあないんだからね。トゥワイスのモンスター効果、発動! 相手モンスター1体を対象として、そのモンスターの攻撃力の半分を得る! ディインズ・チャージ!」
菊姫の場にいる、『古代の機械巨人』攻撃力3000の半分、1500が加わり、トゥワイスの攻撃力が4000となる。(トゥワイス攻撃力2500→4000)
「さあ、行くよ。バトルフェイズ! 僕はトゥワイスで、『古代の機械巨人』を攻撃! ブレイク・ソード!」
攻撃力4000と、3000では破壊されるのは自明の理である。しかし、そう簡単にやられる菊姫ではない。
「リバースカード、オープン! 速攻魔法『リミッター解除』! アタシの場にいる機械族モンスターの攻撃力を2倍にする!」(菊姫墓地1→2)
「何っ、そのカードを惜しげもなく使うだと……!」
『リミッター解除』により、『古代の機械巨人』は攻撃力3000から、2倍の6000にアップする。これでは、攻撃力4000といえども、太刀打ち出来ない。
「ぐわっ! 返り討ちだって!?」(遊太ライフ6200→4200)(遊太墓地3→4)
「言っただろう、アタシはきっちりとお前を研究しているんだぜ。無論、『リミッター解除』によって攻撃力が上がった『古代の機械巨人』はこのターンのエンドフェイズに破壊されるが……問題ないぜ」
「……くっ、リバースカード1枚セットして、ターンエンド」(遊太手札3→2)
流石に、リミッターを解除して限界まで力を発揮した機械は壊れる。『古代の機械巨人』は、音を立てて崩れ去ってしまった。(菊姫墓地2→3)
(やれやれ……菊姫の奴、相当僕に向けてデッキ調整をしてきたみたいだね……ここは防ぐカードで耐えきるしかない……! 手札にある、『英雄騎士への覚醒』が死に札になっている以上、『イクスロードナイト』は特殊召喚できない……!)
遊太
ライフポイント4200
手札枚数2枚
モンスター0体
魔法・罠ゾーンのカード3枚
発動しているカード0枚
墓地の枚数5枚
除外されているカード1枚
5・菊姫のターン
「アタシのターン、ドロー!」(菊姫手札1→2)
(元々、アタシの『古代の機械巨人』が破壊されるのは、折り込み済みだ。というより、フィールドにモンスターがいない方が、この罠カードを使えるから勝手が良い。破壊されなかったとしても、無理矢理空けるけどな)
「リバースカード、オープン! 永続罠『古代の機械蘇生』! この永続罠の効果は、アタシのフィールドにモンスターがいない時、発動ができる! 自分の墓地から『古代の機械』モンスターを、特殊召喚できる! アタシは墓地より、『古代の機械飛竜』を、特殊召喚する!」(菊姫墓地3→2)
「そしてモンスター効果。召喚・特殊召喚時にデッキから『アンティーク・ギア』カードを手札に加えられる。アタシはデッキより、『古代の機械箱』を手札に加える。更に箱の効果、発動! ドロー以外の方法で手札に加わった時、デッキより地属性で機械族の、攻撃力か守備力が500のモンスターを1体、手札に加えられる。アタシはデッキより、守備力500の『古代の機械騎士』を手札に加える」(菊姫手札2→3→4)
「何をする気だ……? まさか、また『古代の機械巨人』を呼び出す気なのか?」
「うーん、ちょっと惜しいねえ。確かに、今から召喚するのは『古代の機械巨人』だけど……普通の機械巨人じゃあない」
「どういうことだい!?」
「なら見せてやる、アタシはフィールド魔法『歯車街』の効果により、1体のリリースでこのモンスターをアドバンス召喚! 来い、レベル8『古代の機械巨人-アルティメット・パウンド-』!」(菊姫手札4→3)(菊姫墓地2→3)
アドバンス召喚によって現れたのは、同じく『古代の機械巨人』なのだが、何かが違う……?
「これは……? でも、何でも良い。僕はこの瞬間に、罠カード『英雄騎士の魂』を発動! 自分の墓地から、『ロードナイト』を1体特殊召喚する! 僕は、墓地からトゥワイスを攻撃表示で、特殊召喚する!」
「フン、モンスターを出して来たか。でも、そんなの関係ねえ。アタシはアルティメット・パウンドで、トゥワイスを攻撃! アルティメット・パウンド!」
しかし、遊太はここで違和感を感じる。罠カードを、発動できることだ。
「罠カード、発動! 『ガード・ブロック』! 相手から受ける戦闘ダメージを0にして、1枚ドローする!」(遊太手札2→3)(遊太墓地5→6)
「惜しかったね、そのモンスター、『古代の機械』モンスター特有の攻撃時に魔法・罠を封じる効果を持ってないみたいだね」
「フン、防いだか。だが……これだけじゃあ無いんだぜ! アルティメット・パウンドのモンスター効果、発動! 相手モンスターを破壊した時、手札から機械族モンスターを手札から捨てることによって、もう一回攻撃を可能にする! 手札より『古代の機械箱』を捨てて、もう一回攻撃だ!」(菊姫手札3→2)(菊姫墓地3→4)
「なら……僕は罠カード『体力増強剤スーパーZ』を発動! 僕が2000ポイント以上の戦闘ダメージを受ける時、1度だけライフを4000ポイント回復する!」
「更に、罠カード『ピンポイント・ガード』を発動! 相手の攻撃宣言時、墓地から破壊耐性を持たせてレベル4以下のモンスターを特殊召喚する! これにより、墓地からダージを特殊召喚する。ダージの守備力は800だから……ダメージは2200。でも、これを差し引いてもライフが回復する! さらには、ダージの効果で1枚ドローできる!」(遊太ライフ4200→8200→6000)(遊太手札3→4)(遊太墓地7→8)
「……チッ、モンスターを破壊出来なきゃ、追加効果は発生しねえ。オマケにアドを稼ぐとは……やっぱり侮れない相手だな、お前」
「褒められても、今は嬉しくない。ところで、まだ何かあるかな?」
「……ターンエンドだ」
菊姫
ライフポイント8000
手札枚数2枚
モンスター1体
『古代の機械巨人-アルティメット・パウンド-』(攻撃表示・攻撃力3000・レベル8・地属性)
魔法・罠ゾーンのカード1枚
発動しているカード2枚
『古代の機械蘇生』(永続罠)
『歯車街』(フィールド魔法)
墓地の枚数4枚
除外されているカード0枚
6・遊太のターン
「僕のターン、ドロー!」(遊太手札4→5)
(……さて、防ぐことはできたとはいえ、このままじゃ一方的に押し切られて負けるかもしれない……)
(けれど、覚醒が手札で発動できない死に札になっている以上、エクストラデッキから『イクスロードナイト』は特殊召喚できない……)
(他の手札……さっき『ガード・ブロック』で引いたこの魔法カード『増援』と……ダージの効果で引いた、速攻魔法『魔法置換』……このカードは、発動時手札から通常・速攻魔法を捨てることによって、同じ効果を得るカード……でも、今の手札には……)
(ん……同じ効果を……得るカード?)
この時、遊太の中で何かが繋がった!
「なるほど、そうか……菊姫! さっきあのカウンター罠で僕のカードを封じたは良いけど、それだけじゃあ、僕の勢いは止められなかったようだね!」
「何だと……何をする気だ!?」
「僕は手札より、魔法カード『増援』を発動。デッキより、レベル4以下の戦士族モンスターを手札に加える。僕はレベル1の『ロードナイト・スラスト』を手札に加え、効果を発動! スラストは通常のドロー以外で手札に加わった時、特殊召喚できる! 特殊召喚!」(遊太手札5→4)(遊太墓地8→9)
「そして、僕は手札から速攻魔法『魔法置換』を発動! この魔法カードの発動時、手札から通常・速攻魔法を1枚捨てる。それにより、このカードの効果は捨てたカードと同じになる!」
「……何! ということは!」
「そう、僕は手札から、速攻魔法『英雄騎士への覚醒』を捨てることにより、同じ効果を得る! フィールドの闇属性『ロードナイト』、スラストをリリースして……」(遊太手札4→2)(遊太墓地9→11)
「呼ぶのはアルファか?」
「いいや、僕が呼ぶのは新しい『イクスロードナイト』! 『イクスロードナイト・ドゥフト』を攻撃表示で特殊召喚する!」
現れたのは、群青色の鎧とマントを身に着けた『イクスロードナイト』。右手にはフルーレを、左手には羅針盤らしき器具をつけている。
「ドゥフトのモンスター効果、手札を1枚捨てることにより、デッキ・墓地から『英雄騎士』罠カードを、僕のフィールドにセットする」(遊太手札2→1)(遊太墓地11→12)
ドゥフトが左手の機器を動かし、何やら計算をしているようである。どうやら策を練っているようであり、フィールドにその策と思しき伏せカードが現れる。
(なんだ……? 何を伏せたんだ?)
「僕は、更にカードを1枚伏せて、ターンエンド」(遊太手札1→0)
遊太
ライフポイント6000
手札枚数0枚
モンスター1体
『イクスロードナイト・ドゥフト』(攻撃表示・攻撃力2600・レベル8・闇属性)
魔法・罠ゾーンのカード2枚
発動しているカード0枚
墓地の枚数12枚
除外されているカード1枚
7・遊太のターン
「アタシのターン、ドロー!」(菊姫手札2→3)
(何を伏せたが気になるが……ここはやはり伏せカードを除去するに限る!)
「手札より、速攻魔法『サイクロン』を発動! これにより、フィールドの魔法・罠を1枚破壊する! アタシは、お前の伏せカードを破壊する!」(菊姫手札3→2)(菊姫墓地4→5)
カードから巻き起こった竜巻が、遊太の伏せカードを破壊しようと巻き込む。しかし……。
「何っ、破壊されないだと!?」
「百戦錬磨の策士が、それくらい読めてない訳ないさ。このモンスターが場にいる限り、僕の魔法・罠ゾーンのカードは1ターンに1度だけ、破壊されない」
「チッ、やっぱり対策してない訳無いのかよ……!」
(なら、罠に引っ掛かりに行こうじゃあねえか。見え見えだがな!)
「バトルフェイズ! アタシはアルティメット・パウンドで、『イクスロードナイト・ドゥフト』を攻撃! アルティメット・パウンド!」
アルティメット・パウンドの攻撃宣言時、ドゥフトの目がキラリと光る。これを、待っていたかのように。
「来たか、僕は罠カード『英雄騎士の奇策』を発動! 自分の墓地に存在する『ロードナイト』1体につき、相手モンスター全ての攻撃力は、800ポイントダウンする! 僕の墓地には、『ロードナイト』モンスターが5体。よって、アルティメット・パウンドの攻撃力は4000ダウンする!」(遊太墓地12→13)
ドゥフトの奇策により、アルティメット・パウンドの攻撃力は0となる。当然、相手の攻撃力分のダメージが、襲い掛かる。
「なにっ、くそおっ!」(菊姫ライフ8000→5400)(菊姫墓地5→6)
「やった! これで僅かだけど、逆転したぞ!」
「だが……アタシはアルティメット・パウンドの効果発動。このモンスターが破壊された時、デッキから『融合』を1枚手札に加えられる。更に、墓地から『古代の機械』モンスターを手札に加えられる。アタシは『古代の機械巨人』を、手札に加える」(菊姫手札2→3→4)(菊姫墓地5→4)
「何、融合だと……!?」
「ああ、融合さ。待っていろよ。アタシはリバースカードを1枚セットして、ターンエンドだ」(菊姫手札4→3)
(……次のターン、目に物見せてやる……!)
菊姫
ライフポイント5400
手札枚数3枚
モンスター0体
魔法・罠ゾーンのカード1枚
発動しているカード2枚
『古代の機械蘇生』(永続罠)
『歯車街』(フィールド魔法)
墓地の枚数4枚
除外されているカード0枚
8・遊太のターン
「僕のターン、ドロー!」(遊太手札0→1)
「よし、こっちの伏せカード『戦線復帰』を発動! 自分の墓地から、モンスター1体を特殊召喚する。僕は、墓地のダージを特殊召喚する。そしてその効果で、1枚ドローする」(遊太手札1→2)
「……よし、僕は手札から、『ロードナイト・スピーダー』を攻撃表示で召喚!」(遊太手札2→1)
「スピーダーは召喚された時、デッキから『ロードナイト』モンスターを1体手札に加えられる。『ロードナイト・ビート』を手札に加える」(遊太手札1→2)
「行くよ、僕はドゥフトで、菊姫にダイレクトアタック! グリックストリーム!」
(例え、罠カードを伏せていたとしても、ドゥフトは手札を1枚捨てることで、相手の罠カードを無効にして破壊できる……攻撃反応を伏せていたとしても、発動は無効にできる!)
ダイレクトアタックをする遊太だったが、当然そんな攻撃が通る筈もない。例え、無効できる効果を持っていたとしても……。
「カウンター罠、『攻撃の無力化』! 相手モンスター1体の攻撃を無効にして、バトルフェイズを終了させる!」(菊姫墓地4→5)
「くっ、ドゥフトは罠を無効にできるけど、カウンター罠はカウンター罠でしか無効にできない……通すしかない……」
「フン、そんなことをするのは読めていたさ。徹底抗戦するには、これぐらいやらなきゃいけねえ」
「……手札を1枚伏せて、ターンエンド」(遊太手札2→1)
遊太
ライフポイント6000
手札枚数1枚
モンスター2体
『イクスロードナイト・ドゥフト』(攻撃表示・攻撃力2600・レベル8・闇属性)
『ロードナイト・スピーダー』(攻撃表示・攻撃力1800・レベル4・風属性)
魔法・罠ゾーンのカード1枚
発動しているカード0枚
墓地の枚数13枚
除外されているカード1枚
9・菊姫のターン
「アタシのターン、ドロー!」(菊姫手札3→4)
ドローしたカードを、見てみる菊姫。そして、ニヤリと笑う。
(来た……! この時を待っていたんだ!)
「アタシはフィールドより、永続罠『古代の機械蘇生』の効果によって、墓地から飛竜を特殊召喚する!」(菊姫墓地5→4)
「飛竜のモンスター効果、発動! 自分のデッキから『アンティークギア』カードを手札に加えられる。アタシは手札に『古代の機械要塞』を手札に加える。そして、そのまま発動!」
菊姫のフィールドに、見るからに重厚な要塞が現れる。それはまさしく、古代の機械の要塞とでも言える要塞。
「さあ、行くぜ遊太。ここからアタシの切り札を見せてやるぜ!」
「切り札……!? まさか、あの『融合』で……!?」
「ああ。アタシは手札から、魔法カード『融合』を発動! 手札の『古代の機械巨人』1体と、手札の『古代機械騎士』、フィールドの『古代の機械飛竜』を融合させて……現れろ、私の切り札! レベル10『古代の機械究極巨人』!」(菊姫手札4→1)(菊姫墓地4→8)
『融合』によって現れたのは、ケンタウロス型となり、更に重装備となった『古代の機械巨人』! 攻撃力は、なんと破格の……。
「こ、攻撃力4400だって!?」
遊太はAブロックで、攻撃力4500のモンスターと戦ったこともある。しかし、これはそれだけではないと、遊太もわかっていた。しかし、ただ黙って召喚させるほど、遊太は甘くない。甘くないのだが……。
「残念ながら、それは読めていたよ。菊姫! 残念ながら、切り札の威力を発揮する前にご退場だ! 罠カード、発動! 『奈落の落とし穴』! このカードは、相手がモンスターを召喚した時に発動。召喚されたモンスターを破壊し、除外する!」
究極巨人の足元に、落とし穴が展開される。しかし……。
「な、何……破壊されないだって!?」(遊太墓地13→14)
「フフン、残念ながら、アタシの場には永続魔法『古代の機械要塞』がある。コレの効果で、『古代の機械』モンスターが召喚・特殊召喚されたターンには、相手効果の対象とはならず、破壊もされない。更には、『古代の機械』カードの発動に、お前はカードを発動することすらできない!」
「なんだって……!」
「じゃあ行くぜ、アタシは『古代の機械究極巨人』で、『イクスロードナイト・ドゥフト』を攻撃! ギガント・パウンド!」
究極巨人による、重く鋭い一撃が、ドゥフトに襲い掛かる! 攻撃力4400の攻撃は、当たれば痛い一撃だ。
遊太も、ただ黙ってやられる訳ではない。
「手札より、『ロードナイト・ビート』のモンスター効果発動! 戦闘時、このカードを手札から捨てることによって、戦闘ダメージを1度だけ0にできる!」(遊太手札1→0)(遊太墓地14→16)
究極巨人の拳を、その身を呈して守るビート。ドゥフトは破壊されてしまったが、何とかダメージは0にできた。
「ふむ……防いだか。究極巨人が攻撃時防ぐのは、あくまで魔法・罠の発動だ。モンスター効果でダメージを0にされちゃあ、意味はないわな。だが、それでもアタシにはこのモンスターがいる。そして、お前は頼みの綱だった『イクスロードナイト』も失った。この状況、アンタが圧倒的に不利だとおもうけどねえ?」
「まあ良いか。アタシはカードを1枚伏せて、ターンエンド。さあ、このモンスターを倒せるものなら、倒してみな!」(菊姫手札1→0)
菊姫
ライフポイント5400
手札枚数0枚
モンスター1体
『古代の機械究極巨人』(攻撃表示・攻撃力4400・レベル10・地属性)
魔法・罠ゾーンのカード2枚
発動しているカード3枚
『古代の機械蘇生』(永続罠)
『古代の機械要塞』(永続魔法)
『歯車街』(フィールド魔法)
墓地の枚数8枚
除外されているカード0枚
強力なモンスターを出され、窮地に陥った遊太。
しかし、遊太はこれしきのことでピンチだとは感じない。逆に、楽しんでいるくらいなのだ。
(菊姫の奴……あんな切り札を隠し持っていたのか……やるじゃん。流石、この準決勝まで残ってくるだけはあるよ……)
(ロベルトさんとの、あの約束を果たしたいってのもあるけど……それよりも、デュエルが楽しいってのもある。菊姫が全力で向かってくるなら、僕だって全力で向かって行くだけだ!)
(さて、次は僕のターンだ! 菊姫のあのカードで、『英雄騎士への覚醒』は封じられているし、あのモンスターは簡単には倒せないと思うけど……やってみせる!)
第二十二話。終わり。
プラクサスジュニアデュエル大会、準決勝。遊太は菊姫と対戦することになった。
その初手、遊太はいつもの通り『英雄騎士への覚醒』を発動するも、遊太の戦術を研究していた菊姫は、メタカードである『封魔の呪印』によって、キーカードである『英雄騎士への覚醒』を封じられてしまう。
いきなり苦しい展開となった初手、遊太はここから勝ちへ持って行くことはできるのか?
そして、観客席の遊太両親はというと。
「あわわわ~……なんか、遊太がヤバい! 何かわからないが……ヤバい! そんな気がする!」
「お父さん、デュエルがわからないのに、そんなことはわかるんですね」
「当たり前だ! 俺は遊太の父親だ! 息子がピンチの時ぐらい、わからないとダメだろう。しかし、デュエルがわからない以上、応援することしか、俺にはできない……だから、応援する! 頑張れ、遊太ー!」
「……まあ、頑張りなさい、遊太」
観客席から乗り出して、大声を出しながら応援する遊太の父、幸市。それを横目で見ながら、適切な声で応援する母幸子。
それを隣から、あきれ顔で眺める知多と真薄であった。
「さっきこの人、遊太に静かにしろって言われていなかったっけ?」
「ええ、言われていましたね」
「どうする? このままほっとくと、また幸市さん遊太に怒られるじゃん?」
「……ほっときましょうか」
「そだねー」
と、こんな具合にで。隣りの菊姫の取り巻き共はというと。
「アネゴー!」
「ここから一気に、勝利ですよー!」
といった具合に、菊姫しか見えていなかった。
4・遊太のターン
「僕のターン、ドロー!」(遊太手札2→3)
しかし遊太は、父の応援に気を配っている余裕はない。先程のドローで引いたカードは、速攻魔法『英雄騎士への覚醒』。普通なら良いカードなのだが、先程カウンター罠『封魔の呪印』によって、発動を封じられているため、使えない。
「くっ、せっかく引いたのに、このカードは……今は使えない……」
(防御を固めようにも、菊姫の『古代の機械巨人』は、貫通効果を持っている……守備表示で出しても、ダメージは受けてしまう)
(一体どうしたら……)
遊太は考える。どうすればこののっぴきならない状況を打破できるのか。
それを見て、菊姫は。
(やはり、あのキーカードを封じれば殆ど手詰まりになる。アタシの睨んだ通りだ!)
(さあ、どうするのかな?)
そして遊太の盤面。悩んでいても仕方ないので、とりあえず動くことにした。
「僕は、モンスターを反転召喚! 『ロードナイト・ディスフェンス』! そして、ディスフェンスのリバース効果によって、デッキより『ロードナイト』を特殊召喚! デッキより、『ロードナイト・ダージ』を特殊召喚する。更に、ダージは特殊召喚された時、デッキから1枚ドローできる!」(遊太手札3→4)
(……よし、これなら……!)
「そして、この2体をリリースして、手札よりアドバンス召喚する! 現れろ、レベル7『ロードナイト・トゥワイス』を攻撃表示でアドバンス召喚!」(遊太手札4→3)(遊太墓地3→5)
らしくないアドバンス召喚によって召喚されたのは、大剣を持つ長身の『ロードナイト』。攻撃力は2500。
「フン、アドバンス召喚で活路を見出したか。でも、そのモンスターの攻撃力じゃあ、届かないぜ?」
「慌てないでよ、ただ出した訳じゃあないんだからね。トゥワイスのモンスター効果、発動! 相手モンスター1体を対象として、そのモンスターの攻撃力の半分を得る! ディインズ・チャージ!」
菊姫の場にいる、『古代の機械巨人』攻撃力3000の半分、1500が加わり、トゥワイスの攻撃力が4000となる。(トゥワイス攻撃力2500→4000)
「さあ、行くよ。バトルフェイズ! 僕はトゥワイスで、『古代の機械巨人』を攻撃! ブレイク・ソード!」
攻撃力4000と、3000では破壊されるのは自明の理である。しかし、そう簡単にやられる菊姫ではない。
「リバースカード、オープン! 速攻魔法『リミッター解除』! アタシの場にいる機械族モンスターの攻撃力を2倍にする!」(菊姫墓地1→2)
「何っ、そのカードを惜しげもなく使うだと……!」
『リミッター解除』により、『古代の機械巨人』は攻撃力3000から、2倍の6000にアップする。これでは、攻撃力4000といえども、太刀打ち出来ない。
「ぐわっ! 返り討ちだって!?」(遊太ライフ6200→4200)(遊太墓地3→4)
「言っただろう、アタシはきっちりとお前を研究しているんだぜ。無論、『リミッター解除』によって攻撃力が上がった『古代の機械巨人』はこのターンのエンドフェイズに破壊されるが……問題ないぜ」
「……くっ、リバースカード1枚セットして、ターンエンド」(遊太手札3→2)
流石に、リミッターを解除して限界まで力を発揮した機械は壊れる。『古代の機械巨人』は、音を立てて崩れ去ってしまった。(菊姫墓地2→3)
(やれやれ……菊姫の奴、相当僕に向けてデッキ調整をしてきたみたいだね……ここは防ぐカードで耐えきるしかない……! 手札にある、『英雄騎士への覚醒』が死に札になっている以上、『イクスロードナイト』は特殊召喚できない……!)
遊太
ライフポイント4200
手札枚数2枚
モンスター0体
魔法・罠ゾーンのカード3枚
発動しているカード0枚
墓地の枚数5枚
除外されているカード1枚
5・菊姫のターン
「アタシのターン、ドロー!」(菊姫手札1→2)
(元々、アタシの『古代の機械巨人』が破壊されるのは、折り込み済みだ。というより、フィールドにモンスターがいない方が、この罠カードを使えるから勝手が良い。破壊されなかったとしても、無理矢理空けるけどな)
「リバースカード、オープン! 永続罠『古代の機械蘇生』! この永続罠の効果は、アタシのフィールドにモンスターがいない時、発動ができる! 自分の墓地から『古代の機械』モンスターを、特殊召喚できる! アタシは墓地より、『古代の機械飛竜』を、特殊召喚する!」(菊姫墓地3→2)
「そしてモンスター効果。召喚・特殊召喚時にデッキから『アンティーク・ギア』カードを手札に加えられる。アタシはデッキより、『古代の機械箱』を手札に加える。更に箱の効果、発動! ドロー以外の方法で手札に加わった時、デッキより地属性で機械族の、攻撃力か守備力が500のモンスターを1体、手札に加えられる。アタシはデッキより、守備力500の『古代の機械騎士』を手札に加える」(菊姫手札2→3→4)
「何をする気だ……? まさか、また『古代の機械巨人』を呼び出す気なのか?」
「うーん、ちょっと惜しいねえ。確かに、今から召喚するのは『古代の機械巨人』だけど……普通の機械巨人じゃあない」
「どういうことだい!?」
「なら見せてやる、アタシはフィールド魔法『歯車街』の効果により、1体のリリースでこのモンスターをアドバンス召喚! 来い、レベル8『古代の機械巨人-アルティメット・パウンド-』!」(菊姫手札4→3)(菊姫墓地2→3)
アドバンス召喚によって現れたのは、同じく『古代の機械巨人』なのだが、何かが違う……?
「これは……? でも、何でも良い。僕はこの瞬間に、罠カード『英雄騎士の魂』を発動! 自分の墓地から、『ロードナイト』を1体特殊召喚する! 僕は、墓地からトゥワイスを攻撃表示で、特殊召喚する!」
「フン、モンスターを出して来たか。でも、そんなの関係ねえ。アタシはアルティメット・パウンドで、トゥワイスを攻撃! アルティメット・パウンド!」
しかし、遊太はここで違和感を感じる。罠カードを、発動できることだ。
「罠カード、発動! 『ガード・ブロック』! 相手から受ける戦闘ダメージを0にして、1枚ドローする!」(遊太手札2→3)(遊太墓地5→6)
「惜しかったね、そのモンスター、『古代の機械』モンスター特有の攻撃時に魔法・罠を封じる効果を持ってないみたいだね」
「フン、防いだか。だが……これだけじゃあ無いんだぜ! アルティメット・パウンドのモンスター効果、発動! 相手モンスターを破壊した時、手札から機械族モンスターを手札から捨てることによって、もう一回攻撃を可能にする! 手札より『古代の機械箱』を捨てて、もう一回攻撃だ!」(菊姫手札3→2)(菊姫墓地3→4)
「なら……僕は罠カード『体力増強剤スーパーZ』を発動! 僕が2000ポイント以上の戦闘ダメージを受ける時、1度だけライフを4000ポイント回復する!」
「更に、罠カード『ピンポイント・ガード』を発動! 相手の攻撃宣言時、墓地から破壊耐性を持たせてレベル4以下のモンスターを特殊召喚する! これにより、墓地からダージを特殊召喚する。ダージの守備力は800だから……ダメージは2200。でも、これを差し引いてもライフが回復する! さらには、ダージの効果で1枚ドローできる!」(遊太ライフ4200→8200→6000)(遊太手札3→4)(遊太墓地7→8)
「……チッ、モンスターを破壊出来なきゃ、追加効果は発生しねえ。オマケにアドを稼ぐとは……やっぱり侮れない相手だな、お前」
「褒められても、今は嬉しくない。ところで、まだ何かあるかな?」
「……ターンエンドだ」
菊姫
ライフポイント8000
手札枚数2枚
モンスター1体
『古代の機械巨人-アルティメット・パウンド-』(攻撃表示・攻撃力3000・レベル8・地属性)
魔法・罠ゾーンのカード1枚
発動しているカード2枚
『古代の機械蘇生』(永続罠)
『歯車街』(フィールド魔法)
墓地の枚数4枚
除外されているカード0枚
6・遊太のターン
「僕のターン、ドロー!」(遊太手札4→5)
(……さて、防ぐことはできたとはいえ、このままじゃ一方的に押し切られて負けるかもしれない……)
(けれど、覚醒が手札で発動できない死に札になっている以上、エクストラデッキから『イクスロードナイト』は特殊召喚できない……)
(他の手札……さっき『ガード・ブロック』で引いたこの魔法カード『増援』と……ダージの効果で引いた、速攻魔法『魔法置換』……このカードは、発動時手札から通常・速攻魔法を捨てることによって、同じ効果を得るカード……でも、今の手札には……)
(ん……同じ効果を……得るカード?)
この時、遊太の中で何かが繋がった!
「なるほど、そうか……菊姫! さっきあのカウンター罠で僕のカードを封じたは良いけど、それだけじゃあ、僕の勢いは止められなかったようだね!」
「何だと……何をする気だ!?」
「僕は手札より、魔法カード『増援』を発動。デッキより、レベル4以下の戦士族モンスターを手札に加える。僕はレベル1の『ロードナイト・スラスト』を手札に加え、効果を発動! スラストは通常のドロー以外で手札に加わった時、特殊召喚できる! 特殊召喚!」(遊太手札5→4)(遊太墓地8→9)
「そして、僕は手札から速攻魔法『魔法置換』を発動! この魔法カードの発動時、手札から通常・速攻魔法を1枚捨てる。それにより、このカードの効果は捨てたカードと同じになる!」
「……何! ということは!」
「そう、僕は手札から、速攻魔法『英雄騎士への覚醒』を捨てることにより、同じ効果を得る! フィールドの闇属性『ロードナイト』、スラストをリリースして……」(遊太手札4→2)(遊太墓地9→11)
「呼ぶのはアルファか?」
「いいや、僕が呼ぶのは新しい『イクスロードナイト』! 『イクスロードナイト・ドゥフト』を攻撃表示で特殊召喚する!」
現れたのは、群青色の鎧とマントを身に着けた『イクスロードナイト』。右手にはフルーレを、左手には羅針盤らしき器具をつけている。
「ドゥフトのモンスター効果、手札を1枚捨てることにより、デッキ・墓地から『英雄騎士』罠カードを、僕のフィールドにセットする」(遊太手札2→1)(遊太墓地11→12)
ドゥフトが左手の機器を動かし、何やら計算をしているようである。どうやら策を練っているようであり、フィールドにその策と思しき伏せカードが現れる。
(なんだ……? 何を伏せたんだ?)
「僕は、更にカードを1枚伏せて、ターンエンド」(遊太手札1→0)
遊太
ライフポイント6000
手札枚数0枚
モンスター1体
『イクスロードナイト・ドゥフト』(攻撃表示・攻撃力2600・レベル8・闇属性)
魔法・罠ゾーンのカード2枚
発動しているカード0枚
墓地の枚数12枚
除外されているカード1枚
7・遊太のターン
「アタシのターン、ドロー!」(菊姫手札2→3)
(何を伏せたが気になるが……ここはやはり伏せカードを除去するに限る!)
「手札より、速攻魔法『サイクロン』を発動! これにより、フィールドの魔法・罠を1枚破壊する! アタシは、お前の伏せカードを破壊する!」(菊姫手札3→2)(菊姫墓地4→5)
カードから巻き起こった竜巻が、遊太の伏せカードを破壊しようと巻き込む。しかし……。
「何っ、破壊されないだと!?」
「百戦錬磨の策士が、それくらい読めてない訳ないさ。このモンスターが場にいる限り、僕の魔法・罠ゾーンのカードは1ターンに1度だけ、破壊されない」
「チッ、やっぱり対策してない訳無いのかよ……!」
(なら、罠に引っ掛かりに行こうじゃあねえか。見え見えだがな!)
「バトルフェイズ! アタシはアルティメット・パウンドで、『イクスロードナイト・ドゥフト』を攻撃! アルティメット・パウンド!」
アルティメット・パウンドの攻撃宣言時、ドゥフトの目がキラリと光る。これを、待っていたかのように。
「来たか、僕は罠カード『英雄騎士の奇策』を発動! 自分の墓地に存在する『ロードナイト』1体につき、相手モンスター全ての攻撃力は、800ポイントダウンする! 僕の墓地には、『ロードナイト』モンスターが5体。よって、アルティメット・パウンドの攻撃力は4000ダウンする!」(遊太墓地12→13)
ドゥフトの奇策により、アルティメット・パウンドの攻撃力は0となる。当然、相手の攻撃力分のダメージが、襲い掛かる。
「なにっ、くそおっ!」(菊姫ライフ8000→5400)(菊姫墓地5→6)
「やった! これで僅かだけど、逆転したぞ!」
「だが……アタシはアルティメット・パウンドの効果発動。このモンスターが破壊された時、デッキから『融合』を1枚手札に加えられる。更に、墓地から『古代の機械』モンスターを手札に加えられる。アタシは『古代の機械巨人』を、手札に加える」(菊姫手札2→3→4)(菊姫墓地5→4)
「何、融合だと……!?」
「ああ、融合さ。待っていろよ。アタシはリバースカードを1枚セットして、ターンエンドだ」(菊姫手札4→3)
(……次のターン、目に物見せてやる……!)
菊姫
ライフポイント5400
手札枚数3枚
モンスター0体
魔法・罠ゾーンのカード1枚
発動しているカード2枚
『古代の機械蘇生』(永続罠)
『歯車街』(フィールド魔法)
墓地の枚数4枚
除外されているカード0枚
8・遊太のターン
「僕のターン、ドロー!」(遊太手札0→1)
「よし、こっちの伏せカード『戦線復帰』を発動! 自分の墓地から、モンスター1体を特殊召喚する。僕は、墓地のダージを特殊召喚する。そしてその効果で、1枚ドローする」(遊太手札1→2)
「……よし、僕は手札から、『ロードナイト・スピーダー』を攻撃表示で召喚!」(遊太手札2→1)
「スピーダーは召喚された時、デッキから『ロードナイト』モンスターを1体手札に加えられる。『ロードナイト・ビート』を手札に加える」(遊太手札1→2)
「行くよ、僕はドゥフトで、菊姫にダイレクトアタック! グリックストリーム!」
(例え、罠カードを伏せていたとしても、ドゥフトは手札を1枚捨てることで、相手の罠カードを無効にして破壊できる……攻撃反応を伏せていたとしても、発動は無効にできる!)
ダイレクトアタックをする遊太だったが、当然そんな攻撃が通る筈もない。例え、無効できる効果を持っていたとしても……。
「カウンター罠、『攻撃の無力化』! 相手モンスター1体の攻撃を無効にして、バトルフェイズを終了させる!」(菊姫墓地4→5)
「くっ、ドゥフトは罠を無効にできるけど、カウンター罠はカウンター罠でしか無効にできない……通すしかない……」
「フン、そんなことをするのは読めていたさ。徹底抗戦するには、これぐらいやらなきゃいけねえ」
「……手札を1枚伏せて、ターンエンド」(遊太手札2→1)
遊太
ライフポイント6000
手札枚数1枚
モンスター2体
『イクスロードナイト・ドゥフト』(攻撃表示・攻撃力2600・レベル8・闇属性)
『ロードナイト・スピーダー』(攻撃表示・攻撃力1800・レベル4・風属性)
魔法・罠ゾーンのカード1枚
発動しているカード0枚
墓地の枚数13枚
除外されているカード1枚
9・菊姫のターン
「アタシのターン、ドロー!」(菊姫手札3→4)
ドローしたカードを、見てみる菊姫。そして、ニヤリと笑う。
(来た……! この時を待っていたんだ!)
「アタシはフィールドより、永続罠『古代の機械蘇生』の効果によって、墓地から飛竜を特殊召喚する!」(菊姫墓地5→4)
「飛竜のモンスター効果、発動! 自分のデッキから『アンティークギア』カードを手札に加えられる。アタシは手札に『古代の機械要塞』を手札に加える。そして、そのまま発動!」
菊姫のフィールドに、見るからに重厚な要塞が現れる。それはまさしく、古代の機械の要塞とでも言える要塞。
「さあ、行くぜ遊太。ここからアタシの切り札を見せてやるぜ!」
「切り札……!? まさか、あの『融合』で……!?」
「ああ。アタシは手札から、魔法カード『融合』を発動! 手札の『古代の機械巨人』1体と、手札の『古代機械騎士』、フィールドの『古代の機械飛竜』を融合させて……現れろ、私の切り札! レベル10『古代の機械究極巨人』!」(菊姫手札4→1)(菊姫墓地4→8)
『融合』によって現れたのは、ケンタウロス型となり、更に重装備となった『古代の機械巨人』! 攻撃力は、なんと破格の……。
「こ、攻撃力4400だって!?」
遊太はAブロックで、攻撃力4500のモンスターと戦ったこともある。しかし、これはそれだけではないと、遊太もわかっていた。しかし、ただ黙って召喚させるほど、遊太は甘くない。甘くないのだが……。
「残念ながら、それは読めていたよ。菊姫! 残念ながら、切り札の威力を発揮する前にご退場だ! 罠カード、発動! 『奈落の落とし穴』! このカードは、相手がモンスターを召喚した時に発動。召喚されたモンスターを破壊し、除外する!」
究極巨人の足元に、落とし穴が展開される。しかし……。
「な、何……破壊されないだって!?」(遊太墓地13→14)
「フフン、残念ながら、アタシの場には永続魔法『古代の機械要塞』がある。コレの効果で、『古代の機械』モンスターが召喚・特殊召喚されたターンには、相手効果の対象とはならず、破壊もされない。更には、『古代の機械』カードの発動に、お前はカードを発動することすらできない!」
「なんだって……!」
「じゃあ行くぜ、アタシは『古代の機械究極巨人』で、『イクスロードナイト・ドゥフト』を攻撃! ギガント・パウンド!」
究極巨人による、重く鋭い一撃が、ドゥフトに襲い掛かる! 攻撃力4400の攻撃は、当たれば痛い一撃だ。
遊太も、ただ黙ってやられる訳ではない。
「手札より、『ロードナイト・ビート』のモンスター効果発動! 戦闘時、このカードを手札から捨てることによって、戦闘ダメージを1度だけ0にできる!」(遊太手札1→0)(遊太墓地14→16)
究極巨人の拳を、その身を呈して守るビート。ドゥフトは破壊されてしまったが、何とかダメージは0にできた。
「ふむ……防いだか。究極巨人が攻撃時防ぐのは、あくまで魔法・罠の発動だ。モンスター効果でダメージを0にされちゃあ、意味はないわな。だが、それでもアタシにはこのモンスターがいる。そして、お前は頼みの綱だった『イクスロードナイト』も失った。この状況、アンタが圧倒的に不利だとおもうけどねえ?」
「まあ良いか。アタシはカードを1枚伏せて、ターンエンド。さあ、このモンスターを倒せるものなら、倒してみな!」(菊姫手札1→0)
菊姫
ライフポイント5400
手札枚数0枚
モンスター1体
『古代の機械究極巨人』(攻撃表示・攻撃力4400・レベル10・地属性)
魔法・罠ゾーンのカード2枚
発動しているカード3枚
『古代の機械蘇生』(永続罠)
『古代の機械要塞』(永続魔法)
『歯車街』(フィールド魔法)
墓地の枚数8枚
除外されているカード0枚
強力なモンスターを出され、窮地に陥った遊太。
しかし、遊太はこれしきのことでピンチだとは感じない。逆に、楽しんでいるくらいなのだ。
(菊姫の奴……あんな切り札を隠し持っていたのか……やるじゃん。流石、この準決勝まで残ってくるだけはあるよ……)
(ロベルトさんとの、あの約束を果たしたいってのもあるけど……それよりも、デュエルが楽しいってのもある。菊姫が全力で向かってくるなら、僕だって全力で向かって行くだけだ!)
(さて、次は僕のターンだ! 菊姫のあのカードで、『英雄騎士への覚醒』は封じられているし、あのモンスターは簡単には倒せないと思うけど……やってみせる!)
第二十二話。終わり。
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127 | プロローグ「出会いは突然に」 | 1896 | 3 | 2018-01-27 | - | |
177 | 第一話「六道遊太、デュエルと出会う」 | 1535 | 1 | 2018-01-28 | - | |
102 | 第二話「六道遊太、デュエルスタンバイ!」 | 1413 | 3 | 2018-01-30 | - | |
147 | 第三話「ロードナイトVSC・HERO」 | 1231 | 1 | 2018-02-05 | - | |
83 | 第四話「大会にて」 | 1022 | 1 | 2018-02-11 | - | |
136 | 第五話「カリンとカードの精霊の話」 | 1139 | 1 | 2018-02-14 | - | |
124 | 第六話「戦いの幕開け」 | 1045 | 1 | 2018-02-18 | - | |
221 | 第七話「大鴉の特訓」 | 1138 | 1 | 2018-02-22 | - | |
89 | 第八話「知多泉、デュエルスタンバイ!」 | 1001 | 0 | 2018-02-25 | - | |
184 | 第九話「儀式降臨のサフィラ」 | 1060 | 0 | 2018-03-02 | - | |
96 | 第十話「驚きの予選会」 | 1163 | 1 | 2018-03-05 | - | |
84 | 第十一話「ペンデュラムと、英雄騎士達」 | 1197 | 2 | 2018-03-10 | - | |
95 | 第十二話「プラクサス大会スタート!」 | 1065 | 0 | 2018-03-13 | - | |
156 | 第十三話「恐怖のロックバーン」 | 1159 | 2 | 2018-03-17 | - | |
175 | 第十四話「カリンとサフィラ」 | 1030 | 0 | 2018-03-24 | - | |
155 | 第十五話「アキラ君の思い」 | 1184 | 2 | 2018-03-29 | - | |
77 | 第十六話「楽しむ心、やるべき心」 | 972 | 2 | 2018-04-03 | - | |
86 | 第十七話「本戦開始!」 | 964 | 0 | 2018-04-06 | - | |
143 | 第十八話「知多と遊太」 | 981 | 0 | 2018-04-13 | - | |
142 | 第十九話「僕のヒーロー」 | 1075 | 0 | 2018-04-17 | - | |
149 | 第二十話「僕のヒーローは」 | 1046 | 0 | 2018-04-21 | - | |
151 | 第二十一話「対決! 遊太VS菊姫!」 | 1134 | 2 | 2018-04-25 | - | |
139 | 第二十二話「菊姫の切り札」 | 985 | 2 | 2018-04-29 | - | |
107 | 第二十三話「覚醒を封じられた先に……!」 | 1000 | 2 | 2018-05-09 | - | |
146 | 第二十四話「プラクサス大会、決勝戦!」 | 1028 | 0 | 2018-05-12 | - | |
88 | 第二十五話「真の究極竜と、カオスMAX」 | 1047 | 2 | 2018-05-16 | - | |
144 | 第二十六話「決着、そして……!」 | 1057 | 2 | 2018-05-18 | - | |
83 | 第二十七話「ロードナイトの話」 | 1030 | 0 | 2018-05-26 | - | |
100 | 第二十八話「カリンと遊太」 | 1011 | 2 | 2018-05-28 | - | |
97 | 第二十九話「日傘の女の子」 | 952 | 0 | 2018-06-07 | - | |
161 | 第三十話「ヒーローショーを見に行こう!」 | 992 | 0 | 2018-06-11 | - | |
130 | 第三十一話「忍び寄る侵略の影」 | 986 | 0 | 2018-06-23 | - | |
109 | 第三十二話「侵略の一手」 | 834 | 0 | 2018-06-24 | - | |
168 | 第三十三話「帝国への招待状」 | 1086 | 0 | 2018-07-03 | - | |
131 | 第三十四話「いざ、帝国へ!」 | 976 | 0 | 2018-07-12 | - | |
237 | 遊戯王EXSキャラ紹介 その1 | 1425 | 2 | 2018-07-14 | - | |
134 | 第三十五話「GAME START」 | 945 | 0 | 2018-07-22 | - | |
84 | 決闘者の帝国における、特殊ルール | 919 | 2 | 2018-07-22 | - | |
170 | 第三十六話「まずは一つ」 | 1061 | 0 | 2018-07-29 | - | |
97 | 第三十七話「菊姫とアキラ」 | 1003 | 0 | 2018-08-05 | - | |
100 | 第三十八話「実力勝負!」 | 943 | 0 | 2018-08-12 | - | |
139 | 第三十九話「エンジョイデュエル!」 | 1047 | 0 | 2018-08-23 | - | |
90 | 第四十話「プレイヤーキラー、動く!」 | 856 | 0 | 2018-09-07 | - | |
80 | 第四十一話「闇を打ち砕け、遊太!」 | 928 | 0 | 2018-09-15 | - | |
117 | 第四十二話「ユニオンロボ&宇宙のヒーロー | 937 | 0 | 2018-09-29 | - | |
88 | 第四十三話「侵攻するワーム」 | 1002 | 0 | 2018-10-06 | - | |
133 | 第四十四話「ヒーロー覚醒!?」 | 958 | 2 | 2018-10-14 | - | |
213 | 第四十五話「血の刻印」 | 1146 | 2 | 2018-10-27 | - | |
72 | 第四十六話「二つの竜」 | 839 | 2 | 2018-11-08 | - | |
172 | 第四十七話「共鳴、そして目醒め」 | 1023 | 2 | 2018-11-19 | - | |
138 | 第四十八話「思わぬ敵」 | 972 | 2 | 2018-12-02 | - | |
102 | 第四十九話「救いと絶望」 | 948 | 0 | 2018-12-09 | - | |
149 | 第五十話「ロベルトを救う者」 | 988 | 0 | 2018-12-17 | - | |
135 | 第五十一話「決戦! 闇の王と遊太」 | 997 | 0 | 2019-01-17 | - | |
101 | 作者よりお知らせ | 826 | 0 | 2019-01-27 | - | |
84 | 第五十二話「突き抜ける意志」 | 783 | 0 | 2019-02-05 | - | |
99 | 第五十三話「神帝現る」 | 948 | 0 | 2019-02-12 | - | |
96 | 第五十四話「帝国の終焉」 | 854 | 0 | 2019-02-22 | - | |
115 | 特別編『超次元! 世界を越えた絆』1 | 1025 | 0 | 2019-03-07 | - | |
144 | 特別編『超次元! 世界を越えた絆』2 | 894 | 0 | 2019-03-14 | - | |
90 | 特別編『超次元! 世界を越えた絆』3 | 912 | 0 | 2019-03-22 | - | |
82 | 第五十五話「休息の時」 | 803 | 0 | 2019-04-07 | - | |
79 | 第五十六話「彼女との再会」 | 746 | 0 | 2019-04-20 | - | |
102 | 第五十七話「マダムの危ない罠」 | 764 | 0 | 2019-05-01 | - | |
70 | 第五十八話「ストアブレーカー」 | 791 | 0 | 2019-05-19 | - | |
74 | 第五十九話「闇のカード」 | 839 | 0 | 2019-06-04 | - | |
111 | 第六十話「変わり始める生活」 | 792 | 0 | 2019-07-18 | - | |
70 | 第六十一話「ユイのデュエル」 | 725 | 0 | 2019-08-04 | - | |
76 | 作者よりお知らせ2 | 733 | 0 | 2019-08-11 | - | |
94 | 第六十二話「プラクサスの怪人」 | 729 | 0 | 2019-09-11 | - | |
69 | お詫びとお知らせ | 493 | 0 | 2020-02-19 | - | |
147 | 第六十三話「暴走! 怪人クロウリー」 | 779 | 0 | 2020-02-19 | - | |
84 | 特別編『ブルーアイズVSブルーアイズ』 | 846 | 0 | 2020-02-22 | - | |
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70 | 第六十五話「鳥人を食う邪竜」 | 673 | 0 | 2020-04-18 | - | |
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87 | 第六十七話「堕ちたヒーロー」 | 719 | 0 | 2020-05-23 | - | |
79 | 第六十八話「視える未来(ビジョン)」 | 855 | 0 | 2020-05-30 | - | |
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59 | 第八十五話「タッグメイクデュエル」 | 524 | 0 | 2021-02-20 | - | |
66 | 第八十六話「タッグメイクデュエル②」 | 482 | 0 | 2021-04-04 | - | |
70 | 第八十七話「タッグメイクデュエル③」 | 436 | 0 | 2021-04-25 | - | |
71 | 第八十八話「タッグメイクデュエル④」 | 590 | 0 | 2021-05-04 | - | |
54 | 第八十九話「チーム結成!」 | 503 | 0 | 2021-05-08 | - | |
62 | 第九十話「J4の実力 輝く竜の星」 | 454 | 0 | 2021-06-02 | - | |
60 | 第九十一話「超弩級のパワー」 | 583 | 0 | 2021-06-12 | - | |
78 | 第九十二話「空飛ぶケモノたち」 | 457 | 0 | 2021-07-08 | - | |
69 | 第九十三話「雷と未来」 | 428 | 0 | 2021-07-18 | - | |
66 | 第九十四話「大トリ、明石慎之介」 | 647 | 0 | 2021-09-04 | - | |
59 | 作者からお知らせ4 | 463 | 0 | 2021-09-17 | - | |
75 | 特別編「冥界の王(ファラオ)と決闘!?」 | 554 | 2 | 2021-10-17 | - | |
60 | 第九十五話「最終予選1 友達VS友達」 | 489 | 0 | 2021-12-18 | - | |
65 | 第九十六話「最終予選2 竜姫神と青眼」 | 468 | 0 | 2022-01-04 | - | |
70 | 第九十七話『最終予選3 約束のために』 | 566 | 0 | 2022-01-10 | - | |
62 | 第九十八話「最終予選4 VSJ4最強」 | 672 | 0 | 2022-02-01 | - | |
54 | 第九十九話「異変」 | 517 | 0 | 2022-02-27 | - | |
72 | 第百話「D1グランプリ、本戦開始!」 | 413 | 0 | 2022-04-09 | - | |
75 | 第百一話「プロの実力」 | 427 | 0 | 2022-05-07 | - | |
62 | 第百二話「デストーイ・デコレーション」 | 516 | 0 | 2022-06-04 | - | |
46 | 第百三話「アマゾネスの首領」 | 376 | 0 | 2022-07-10 | - | |
41 | 第百四話「プロ辞めます!」 | 462 | 0 | 2022-08-28 | - | |
40 | 第百五話「強襲! 梁山泊デュエル!」 | 340 | 0 | 2022-10-16 | - | |
49 | 第百六話「鉄屑と星屑」 | 556 | 0 | 2022-11-27 | - |
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- 12/23 14:52 SS 第二十三話・1
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どんなに封じられていても、必ず抜け道があるのは、遊戯王ならではですよね。しかし、逆転の後にはピンチがあるのが遊戯王。これからどうするかは、楽しみにしていてください。
(2018-04-30 21:54)