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第九話「儀式降臨のサフィラ」 作:イクス
第九話「儀式降臨のサフィラ」
遊太達は、プラクサスシティで行われる大会に向けて、デュエルの特訓をしていた。目指すは、皆優勝。
しかし遊太は、自分に特別なカード『ロードナイト』をくれたロベルト・フランシスから、『ロードナイト』をくれた真意を聞くために大会に参加する。
そのため、今日も今日とて皆特訓に明け暮れる。
そして、ここにも優勝を目指す人間がいた。
「『青眼の白龍』で、ダイレクトアタック! 滅びの爆裂疾走……!」
「ぐああああっ!」
「すげえ! これで20人抜きだ!」
「さっきから挑戦するデュエリスト、全員をぶちのめしていやがる!」
「やはり、八神アキラの実力は凄すぎる……!」
「さあ、次は誰が俺とやる?」
八神アキラ。彼は小学生ながら凄腕のデュエリストとして、このプラクサスシティで有名であった。そんな彼も、大会に向けて特訓しているようだった。だが、20人抜きをしている所を見ると、どうやら相手が自分と実力が違いすぎて、特訓になっていないようだった。
当然、実力の違いを散々見せつけられた結果、彼にデュエルを挑もうなどという人間はいないわけで……。
「お、俺……別の相手とやろう」
「アイツには勝てない……」
「今度の大会も、アイツの一人勝ちかなあ……」
と、口々に去っていくのであった。
「やれやれ、根性のねえ奴ら。けれど、今はこれで良いか……」
と呟き、その場を去って行った。
アキラがその場を去って行ったことによって、デュエルをしていた連中は安堵した。
「やっと出て行った……」
「アイツ、実力が違いすぎるんだよ……!」
そう陰口を叩く奴がいる中、こう呟く連中もいる。
「でも、アイツなんか変わったよな……」
「前はもっとこう……余裕を持ってというか、楽しそうにデュエルしていたよな……」
「今はなんかこう……凄味というか、怖さすら感じる何かがあるなあ……」
と、呟いた人間もいた。
そして、当のアキラはというと。
「俺は、優勝するまで誰にも負ける訳にはいかねえ。俺は次の大会で絶対に優勝する。そして……」
歩きながらそうブツブツと喋り、そこまで言いかけた時、言葉が自然に止まる。
「俺は……」
言葉に詰まり、その場で立ち止まるアキラ。そのまま、言葉が言えずに立ち尽くす。
そんな沈黙を、一人が破った。
「もしもし、アキラ君……ですね?」
「ん? お前……」
「何回か大会でも、それ以外の時にも会ったことがありますよね? アキラ君」
「榊原夏鈴……か、お前、俺に何の用だ?」
話しかけた人間は、ツインテールの清楚な格好をした少女。榊原夏鈴。そんなカリンを見て鬱陶しそうな表情をするアキラ。
「何の用だよ」
「アキラ君が、どうにも窮屈そうなデュエルをしていましたから……凄く気になりまして」
「ハァ? そんなことで俺に声かけて来た訳?」
「ええ、そうですわ? できればゲームショップ烏間の大会に出ている時、声をかけたかったのですが……」
「別に、俺自身が窮屈だなんて思っちゃいねーよ。そんなこと聞く暇があるなら、デュエルの特訓でもしてろよ。どうせお前も出るんだろ? 大会に」
「ええ、出ますわ。でも、そんな貴方が窮屈そうなデュエルをする理由は、もうわかっています。……お父様の件は、残念でしたね……」
「!?」
父の件、その言葉を聞いただけで、酷く焦ったような表情になるアキラ。そして、カリンに問い詰める。
「おいテメエ! 父さんの件を知っているだと!?」
「ええ、病気で倒れたのでしょう? それ以降、大会でアキラ君のデュエルを見てきましたが……やっぱり窮屈そうで、何処か余裕のない、怖さのあるようなデュエルをしていましたわ」
「……あの件は、お前がどうこう言うことじゃねえ。というか、それを俺に言ってどうする?」
「アキラ君、私とデュエルをしてくださいませんか? 窮屈で余裕のない、デュエルを楽しめていないアキラ君では、あなたの本来の実力は出せていないことを、お教えしましょう! ……そして、あなたの持つ『青眼の白龍』、貴方に見えるはずものが見えていない、そういったことも、教えますわ」
「……ああ、良いぜ。丁度他の奴らには飽き飽きしていた所だ。俺はお前に勝つ」
「ええ、良いでしょう。デュエルなら、直接わからせてあげることも出来るでしょう。さあ、行きましょうか」
二人は、デュエルデスクのある所へと戻ってくる。そして、二人がデュエルの準備をすると、周りの人がざわつき始める。
「あ、アレは……アキラと、カリンちゃん!? アキラはさっきまでいたから良いとして、なんでカリンちゃんみたいなデュエリストがここに!?」
「榊原夏鈴は、大会で優勝経験もあるし、アキラと戦って互角にやりあった経験もある……! ここでデュエルするのかあ!?」
「良いぞー! やれやれー!」
そんな言葉には耳を貸さず、淡々とデュエルの準備をする二人。そして、デュエルを始める!
「「ルールはマスタールール3! ライフポイントは8000!」」
「「デュエル!」」
「先攻後攻は、どっちを取る?」
「私は、後攻を取らせてもらいますわ」
「そうか? じゃあ俺は先攻を取らせてもらう」
1・アキラのターン
「俺のターン、俺は『ファミリア・ナイト』を攻撃表示で召喚」(アキラ手札5→4)
「そして俺は、カードを1枚セットしてターンエンド」(アキラ手札4→3)
アキラ
ライフポイント8000
手札枚数3枚
モンスター1体
『ファミリア・ナイト』(攻撃表示・攻撃力1200・レベル3)
魔法・罠ゾーンのカード1枚
発動しているカード0枚
墓地の枚数0枚
除外されているカード0枚
2・カリンのターン
「では私のターン、ドロー」(カリン手札5→6)
「私は手札から、『デュミナス・ヴァルキリア』を攻撃表示で召喚致します」(カリン手札6→5)
カリンの場に現れたのは神々しい天使。攻撃力は1800と、レベル4にしては高い。
「私は『デュミナス・ヴァルキリア』で、『ファミリア・ナイト』を攻撃! エンジェルダスト!」
『デュミナス・ヴァルキリア』の攻撃によって、『ファミリア・ナイト』は簡単に破壊される。しかし……。
「『ファミリア・ナイト』は戦闘で破壊された時、お互いに手札からレベル4モンスターを特殊召喚できる。俺は手札から『レアメタル・ドラゴン』を攻撃表示で特殊召喚!」(アキラライフ8000→7400)(アキラ手札3→2)(アキラ墓地0→1)
出されたドラゴンは、レベル4でありながらなんと攻撃力2400を誇るドラゴン! これには周りの観客も驚く。
「嘘だろ!? いきなり攻撃力2400のモンスターを特殊召喚だと!?」
「マジかよ……マジだな」
しかし、カリンは驚くことをしない。むしろ想定内といった感じである。
「『レアメタル・ドラゴン』は、通常召喚不可という制約を持つために、攻撃力2400を持つモンスター……『ファミリア・ナイト』の効果を利用して特殊召喚なんて、それぐらい当たり前ですわ。では、私は『コーリング・ノヴァ』を守備表示で特殊召喚します」(カリン手札5→4)
「そして、手札からカードを2枚セットして、ターンエンドですわ」(カリン手札4→2)
カリン
ライフポイント8000
手札枚数2枚
モンスター2体
『デュミナス・ヴァルキリア』(攻撃表示・攻撃力1800・レベル4)
『コーリング・ノヴァ』(守備表示・守備力800・レベル4)
魔法・罠ゾーンのカード2枚
発動しているカード0枚
墓地の枚数0枚
除外されているカード0枚
3・アキラのターン
「俺のターン、ドロー!」(アキラ手札3→4)
「俺は手札から、『アサルトワイバーン』を攻撃表示で召喚!」(アキラ手札4→3)
そして今度現れたのは、鋭い翼を持つドラゴン。攻撃力は1800と、下級では最高クラス。
「行くぞ、俺は場より永続罠『竜の逆鱗』を発動! これによって、俺の場のドラゴン族モンスターが守備モンスターを攻撃した時、貫通ダメージを与えられる! これで、お前は守備表示で逃げ回ることはできない。行くぞ、俺は『レアメタル・ドラゴン』で、『デュミナス・ヴァルキリア』を攻撃!」
「そう来ましたか……けれど、私は永続罠『銀幕の鏡壁』を発動! 相手の攻撃モンスターの攻撃力は、半分になります! これで攻撃は……」
「なら、俺は速攻魔法『サイクロン』を発動! 『銀幕の鏡壁』を破壊!」(アキラ手札3→2)(アキラ墓地1→2)
「ふむ……そう来ましたか……」(カリンライフ8000→7400)(カリン墓地0→2)
「そして、俺は『アサルトワイバーン』で、『コーリング・ノヴァ』を攻撃! 喰らえ!」
鋭い翼によって、『コーリング・ノヴァ』はいとも簡単に切り裂かれてしまう。ダメージも受けるが……。
「『コーリング・ノヴァ』のモンスター効果発動! このモンスターが戦闘で破壊された時、デッキから攻撃力1500以下の光属性・天使族を1体特殊召喚できます! 私はデッキより、『シャイン・エンジェル』を守備表示で特殊召喚します!」(カリンライフ7400→6400)(カリン墓地2→3)
「チッ、リクルーターモンスターか。けれど、そう簡単にはやらせねえよ。俺は『アサルトワイバーン』の効果発動! 相手モンスターを戦闘で破壊した時、『アサルトワイバーン』をリリースすることで、手札・墓地からドラゴン族モンスターを特殊召喚できる! 俺は『クリスタル・ドラゴン』を特殊召喚する! そして、バトルフェイズ中にモンスターが特殊召喚されたため、追加攻撃ができる! 行け! 『シャイン・エンジェル』を攻撃!」
「三連攻撃ですか……でも、それ以上の攻撃は受けません! 罠カード発動! 『ガード・ブロック』! 相手からの戦闘ダメージを0にして、私はカードを1枚ドローします!」(カリン墓地3→5)(カリン手札2→3)
「更に、『シャインエンジェル』のモンスター効果を発動します。戦闘で破壊された時、デッキから攻撃力1500以下の光属性モンスターを、攻撃表示でデッキから特殊召喚できます。私はデッキより『サイバー・プチ・エンジェル』を特殊召喚します」
そして現れたのは、機械化された『プチテンシ』のようなモンスター。攻撃力は300と、その程度だが。
「『サイバー・プチ・エンジェル』は、召喚・反転召喚・特殊召喚された時、デッキから『サイバー・エンジェル』モンスターか『機械天使の儀式』を手札に加えられます。私は、『機械天使の儀式』を手札に加えます」(カリン手札3→4)
「『儀式』……それがお前のいつもの手だったな。だが、俺も『クリスタル・ドラゴン』の効果を発動させる。『クリスタル・ドラゴン』は戦闘を行ったダメージステップ終了時、デッキからレベル8のドラゴン族モンスターを手札に加えられる。俺はデッキより、レベル8の『青眼の白龍』を手札に加える」(アキラ手札2→3)
「俺はリバースカードを1枚セットして、ターンエンド」(アキラ手札3→2)
(『青眼の白龍』……私には感じる。やっぱりそのカードは、遊太君と同じ精霊を感じる。けれど、今のアキラ君には、見えていない……でも、アキラ君には見えていたはず……だから)
アキラ
ライフポイント7400
手札枚数2枚
モンスター2体
『レアメタル・ドラゴン』(攻撃表示・攻撃力2400・レベル4)
『クリスタル・ドラゴン』(攻撃表示・攻撃力2500・レベル6)
魔法・罠ゾーンのカード2枚
発動しているカード1枚
『竜の逆鱗』(永続罠)
墓地の枚数3枚
除外されているカード0枚
4・カリンのターン
「私のターン、ドロー」(カリン手札4→5)
「行きますよ、ここからが私のデュエルの始まりです……!」
その言葉と同時に、観客達が沸き立つ。
「おおっ~! 出るぞ! カリンちゃんの本領発揮が!」
「大会で何度もやられたデュエルだ!」
そんな観客には眼もくれず、カリンはアキラを見つめている。
「行きますよ、私は手札から、『センジュ・ゴッド』を召喚します!」(カリン手札5→4)
まるで千手観音のような天使が現れる。攻撃力は1400。
「『センジュ・ゴッド』のモンスター効果、私はデッキから儀式モンスターを1体手札に加えます。私は『サイバー・エンジェル-韋駄天-』を手札に加えます」(カリン手札4→5)
「そして私は手札から、儀式魔法『機械天使の儀式』を発動させます! フィールド・手札から『サイバー・エンジェル』モンスターのレベル以上になるように、モンスターをリリースすることで、手札から『サイバー・エンジェル』モンスターを儀式召喚します! 私はフィールドのレベル2『サイバー・プチ・エンジェル』とレベル4『センジュ・ゴッド』をリリースして、レベル6の『サイバー・エンジェル-韋駄天-』を儀式召喚します!」(カリン手札5→3)(カリン墓地5→8)
厳かな儀式によって現れたのは、サイバースーツを身に纏った俊足の女神! 攻撃力は1600と、レベル6にしては今一つだが……。
「韋駄天は儀式召喚された時、デッキ・墓地から儀式魔法を1枚手札に加えられます。私はデッキより、儀式魔法『祝祷の聖歌』を手札に加えます」(カリン手札3→4)
この儀式召喚によって、観客達が沸き立つ。これが、カリンのデュエルだと理解している連中が多いからだ。
「出たあ! これがカリンちゃんの儀式召喚だ!」
「これを出されれば、アキラ君もそう簡単には……」
しかし、カリンは観客に構っている様子など無いようだった。
「そして手札から、魔法カード『儀式の準備』を発動させます。デッキよりレベル7以下の儀式モンスターを手札に加えることができます。私は『サイバー・エンジェル-弁天-』を手札に加え、更に『儀式の準備』の追加効果を発動させます! レベル7以下儀式モンスターを手札に加えた後、墓地に儀式魔法があった場合、そのカードも手札に加えられます! 私は、先程儀式召喚に使った、『機械天使の儀式』を手札に加えます」(カリン手札4→5)
「更に手札から、もう一度儀式魔法『機械天使の儀式』を発動させます! レベル6の韋駄天をリリースすることによって、手札から『サイバー・エンジェル-弁天-』を儀式召喚します!」(カリン手札5→3)(カリン墓地8→10)
再び厳かな儀式によって現れたのは、サイバースーツに身を包んだ、扇を武器とした女神。攻撃力は1800と、またしてもそれ程でもないが。
「韋駄天はリリースされた時、私のフィールドに存在する儀式召喚モンスターの攻撃力・守備力が1000ポイントアップします。これで、弁天の攻撃力は1000アップします!」(弁天攻撃力1800→2800)(弁天守備力1000→2000)
「……」
「行きますよ! 『サイバー・エンジェル-弁天-』で『レアメタル・ドラゴン』を攻撃! エンジェリック・ターン!」
まるでスケーターのターンの如くスピンする弁天の攻撃によって、『レアメタル・ドラゴン』は破壊される……と、思いきや。
「速攻魔法『コマンド・サイレンサー』を発動!」
いきなりトーテムポールのような置物が出されたかと思えば、騒音を鳴らして弁天の攻撃を遮ってしまう。
「お前の命令が聞こえないなら、攻撃も無効だ。『コマンド・サイレンサー』は、相手の攻撃宣言時、攻撃を無効にして、バトルフェイズを終了させる。更にその後、俺はデッキから1枚ドローする」(アキラ手札2→3)(アキラ墓地3→4)
「やりますね、では、私はカードを1枚セットして、ターンエンドです」(カリン手札3→2)
カリン
ライフポイント6400
手札枚数2枚
モンスター1体
『サイバー・エンジェル-弁天-』(攻撃表示・攻撃力2800・レベル6)
魔法・罠ゾーンのカード1枚
発動しているカード0枚
墓地の枚数8枚
除外されているカード0枚
アキラにやられても、カリンはしっかりとお返しを決める。ハイレベルなデュエルを行う二人に対し、観客達は沸き立つばかりであった。
「相変わらず凄いデュエルだな……流石、あの二人なだけはあるなあ」
「アキラはもちろんのこと、カリンちゃんだって……すげえぞ」
「いや、でも……アキラの奴は、余裕が無さそうにも見えるぞ」
「反面カリンちゃんは……凄く余裕のありそうな顔をしているなあ……」
5・アキラのターン
「俺のターン……ドロー」(アキラ手札3→4)
先程の観客の声は、しっかりとアキラに聞こえていた。しかし、それに対しアキラはこう思う。
(余裕が無い……ねえ、確かに俺は優勝するまで勝ち続けなきゃいけねえ……だから、俺は勝つ!)
「俺は手札から魔法カード『マジック・プランター』を発動。フィールドの永続罠1枚を墓地へ送り、2枚ドローする。俺は『竜の逆鱗』を墓地へ送り、2枚ドロー」(アキラ手札4→3→5)(アキラ墓地4→6)
「そして、俺は手札から魔法カード『コストダウン』を発動! 手札1枚を捨てることで、手札にあるモンスターのレベルを2下げることができる」(アキラ手札5→3)(アキラ墓地6→8)
(手札のモンスターのレベルを2下げる……それによって、レベル5・6のモンスターはリリース無しで、レベル7・8のモンスターはリリース1体でリリース1体で通常召喚できます! 狙いは勿論……)
「よって、俺はレベル8である『青眼の白龍』を、リリース1体で通常召喚できる! 俺は『レアメタル・ドラゴン』をリリースして、手札から『青眼の白龍』を、攻撃表示で通常召喚! 現れろ俺のエースモンスター!『青眼の白龍』!」(アキラ手札3→2)(アキラ墓地8→9)
レアメタルのごときドラゴンがリリースされて現れたのは、青き眼を持つ白きドラゴン! 攻撃力は3000と、並大抵の攻撃力ではない。
「……来ましたね、あなたのエースと言える、そのモンスターが……!」
「どうだ、このモンスターが出てきた以上、そう簡単には俺に勝てないぜ?」
「そうですね、貴方の『青眼の白龍』は、貴方にとってデッキそのものと言うべきモンスター……けれど、本来の輝きを失っている貴方にとって、そのモンスターはさほど脅威ではありません」
「脅威じゃねえ? ケッ、言ってやがれ。俺は手札から魔法カード『魂の解放』を発動! 自分と相手の墓地から、合計5枚までカードを除外できる。俺はお前の墓地に存在する『機械天使の儀式』と『サイバー・エンジェル-韋駄天-』を除外する。そのカードは、何回も使われると面倒な上に、厄介な墓地効果も持っているからな」(アキラ手札2→1)(アキラ墓地9→10)
「『機械天使の儀式』は、墓地にある時光属性モンスターの破壊を免れる効果を持っています……ふむ、やっぱり警戒されますね」(カリン墓地8→6)(カリン除外0→2)
「そして、俺はバトルフェイズを行う! 俺は『青眼の白龍』で、『サイバー・エンジェル-弁天-』を攻撃する!」
「させません! 罠カード『光子化』を発動させます! 相手モンスターの攻撃宣言時、相手モンスターの攻撃を無効にして、私のエンドフェイズまで攻撃モンスターの攻撃力を得ます!」(カリン墓地6→7)
「そんな反撃は読めている! カウンター罠発動! 『盗賊の七つ道具』! 1000ポイントライフを支払い、相手の罠カードの発動を無効にする! よって、元の攻撃力のままでバトルは続行! くらえ、滅びの反撃爆裂疾走!」(アキラライフ7400→6400)(アキラ墓地10→11)
「くぅっ……やりますね……」(カリンライフ6400→6200)(カリン墓地7→8)
「そして、俺は『クリスタル・ドラゴン』でダイレクトアタック! クリスタ・レイン!」
「ううっ、く……」(カリンライフ6200→3700)
「そして俺は、『クリスタル・ドラゴン』の効果でレベル8のドラゴン族である『青眼の白龍』をまた手札に加える。そしてリバースカードを1枚セットして、ターンエンド。どうだ? これでもまだ脅威じゃねえって言うか?」(アキラ手札1→2→1)
アキラ
ライフポイント6400
手札枚数1枚
モンスター2体
『青眼の白龍』(攻撃表示・攻撃力3000・レベル8)
『クリスタル・ドラゴン』(攻撃表示・攻撃力2500・レベル6)
魔法・罠ゾーンのカード1枚
発動しているカード0枚
墓地の枚数11枚
除外されているカード0枚
「す、すげえ……」
「的確に攻撃を防いで、そこから更に的確に攻撃を加えた……やはりアキラは強いぜ!」
「これは、カリンちゃんでも厳しいか……?」
観客が口々に戦況のことを話している中、カリンはもっと別のことを考えていた。それは、普通の人間には到底わからないこと。
(やっぱり、今のアキラ君の『青眼の白龍』は以前のような輝きを見せていない……精霊の姿だって、今は見えない……。それはきっと、アキラ君がデュエルを苦しそうに、窮屈そうにやっているから……)
(だから、あなたには負けてもらいます)
そう決意し、デッキに手を伸ばす。
6・カリンのターン
「私のターン、ドロー」(カリン手札2→3)
そして、ドローしたカードを見て考えるカリン。
(なるほど……わかりました)
「私は手札から、魔法カード『貪欲な壺』を発動させます。自分の墓地から5枚モンスターをデッキに戻した後、2枚ドローします。私は『シャインエンジェル』『デュミナス・ヴァルキリア』『コーリング・ノヴァ』『サイバー・プチ・エンジェル』『サイバー・エンジェル-弁天-』をデッキに戻し、2枚ドローします」(カリン手札3→2→4)(カリン墓地8→3→4)
「そして私は、手札から魔法カード『救援光』を発動させます! 除外されている自分の光属性モンスターを1体、自分の手札に加えます。私は除外されている韋駄天を手札に加えます!」(カリン墓地4→5)(カリン除外2→1)
「そして……これから、私のエースカードであるカードを見せます。覚悟はよろしくて?」
「……フン、来やがれ」
「では、行きます。私は手札から儀式魔法『祝祷の聖歌』を発動させます! 手札より、レベル6の韋駄天をリリースして、手札からレベル6の儀式モンスター『竜姫神サフィラ』を、儀式召喚します! 現れよ、『竜姫神サフィラ』!」(カリン手札4→1)(カリン墓地5→7)
ステンドグラスが張られた教会で、聖歌は奏でられる。それによって現れたモンスターは、透き通った翼と青き体を持つ、ドラゴンの女神。攻撃力は2500と、中々高い。
「リリースされた韋駄天の効果を発動します! 韋駄天はリリースされた時、フィールドの儀式モンスターの攻撃力・守備力を1000アップさせます。よって、サフィラの攻撃力は3500にアップします」
「……来いよ」
エースカードを出したカリンに対し、如何にも臨戦態勢のアキラ。それを見て、カリンは……。
(……ねえ、サフィラ。あなたがこうしてアキラ君の目の前に姿を見せているって言うのに、アキラ君、全然反応が無いわね……ええ、こうなったら、わからせてやるために思いっきり叩きのめしてやりましょうか。ねえ、サフィラ?)
「私は手札より、装備魔法『リチュアル・ウェポン』をサフィラに装備します。この装備魔法はレベル6以下の儀式モンスターの攻撃了・守備力を1500ポイントアップさせます。これで、サフィラの攻撃力は5000に!」
「私は、攻撃力5000となっているサフィラで、『クリスタル・ドラゴン』を攻撃セイント・ジ・オペラ!」
サフィラの手に光が集まり、それが光球となる。それを見て、アキラは伏せカードを。
「罠カード『不運の爆弾』を発動! 相手フィールドのモンスター1体を対象に、その攻撃力の半分のダメージを俺が受け、その後同じダメージを俺が受ける! 喰らえ!」
不意にフィールドに爆弾が落っこちて来て、爆発する。それにより、ダメージも受ける。
「ぐっ」(アキラライフ6400→3900)(アキラ墓地11→12)
「きゃあっ、でも、モンスターの攻撃は続行します!」(カリンライフ3700→1200)
「む……」(アキラライフ3900→1400)(アキラ墓地12→13)
攻撃が続行され、ダメージを受けるアキラ。しかし……。
「まだだ、まだ負ける訳にはいかねえよ」
「……私はカードを1枚伏せて、ターンエンド。このエンドフェイズ、サフィラのモンスター効果が発動されます。サフィラは儀式召喚された時、もしくは光属性モンスターが手札・デッキから墓地へ送られた時、3つの効果から1つを選択して発動できます。1つは、2枚ドローし手札から1枚捨てる、2つ目は相手の手札を1枚ランダムに捨てる、3つ目は墓地の光属性モンスターを手札に加えられます。私は2枚ドローして、1枚捨てます」(カリン手札0→2→1)(カリン墓地7→8)
(手札に加えたこのカード……このまま何も考えずサフィラに攻撃するようなら、引導火力となりそうですね……)
カリン
ライフポイント1200
手札枚数1枚
モンスター1体
『竜姫神サフィラ』(攻撃表示・攻撃力3500・レベル6)
魔法・罠ゾーンのカード1枚
発動しているカード0枚
墓地の枚数8枚
除外されているカード1枚
7・アキラのターン
「俺のターン、ドロー」(アキラ手札1→2)
「俺は手札から、魔法カード『トレード・イン』を発動。手札のレベル8モンスターを墓地へ送り、2枚ドローする。俺はさっき手札に加えた『青眼の白龍』を墓地へ送り2枚ドロー!」(アキラ墓地12→14)
「……カリン、てめえはさっき俺のブルーアイズを全然脅威じゃあねえと言った。けれど、それは間違いだったってことに、気づかせてやる。デュエルはここで終わらせる!」
「……何かあるのですか?」
「俺は手札から、魔法カード『フォース』を発動!」
魔法カードから、何やら波動のようなものが出て、サフィラとブルーアイズを包み込む。それにより、ブルーアイズの攻撃力は5500に、サフィラの攻撃力は2500となってしまった。
「『フォース』の効果は、フィールドのモンスターの攻撃力半分を俺のモンスターに加え、対象のモンスターの攻撃力を半分にする。これによって、俺のブルーアイズの攻撃力分のダメージを、与えられるようになった訳だが?」(アキラ手札2→1)(アキラ墓地14→15)
「別に何も驚くことはありません、早く攻撃してきてはどうですか?」
(……随分余裕だな、恐らく、手札に何らかの防御札でも持っているのだろうが……いや、恐らくブラフかもしれない。だが、ここで終わらせられる引導火力が、俺にはある! 俺は絶対に負けねえ!)
(俺は、勝つ!)
「……」
カリンに鋭い眼光を見せるアキラ。それを見て、カリンは少し何かを考えた。
「行け、『青眼の白龍』! 攻撃だ! 滅びの爆裂疾走!」
ブルーアイズの鋭い光線が、サフィラに向かって飛んでいく! それを見て、カリンは手札にある1枚のカードを使おうとするが……。
(サフィラ、ゴメンね。アキラ君あの様子では、ここで負かしたらアキラ君には悪いことになりそう。だから……ゴメンね?)
(な、なにっ!?)
カリンは、手札のカードから手を放し、そのまま攻撃を受けるのであった。
「……」(カリンライフ1200→0)
こうして、アキラとカリンの勝負は、アキラの勝利で終わったのであった……。
「カリンちゃんが負けちゃったよ……」
「しかし、あのアキラも凄いよな。僅差に追い詰められたとはいえ、あそこであんな風に決めるとはな」
「カリンちゃんもよくやったよ……」
アキラの勝利とは言え、あそこまで食い下がったカリンにも同じくらい賞賛を浴びせる観客達。しかし、とうのアキラはというと。
「おいカリン、さっきのあの手札……本当はなんのカードだったんだ?」
「いえ、なんでもありませんよ」
「とぼけるな、さっき俺が攻撃した時、手札にあるカードを使おうとしただろ?」
「別に……貴方が勝った今では、どうでも良いことでしょう? デュエルの前にわからせてあげるとは言いましたが……わからせられたのは、どうやら私だったみたいですね」
「テメエ……何が言いたい」
「まあ、気にしないでください。後それと……六道遊太君に会ったことありますよね?」
「大会で話しかけて来たアイツか? アイツが一体何だって言うんだ?」
「まあ、この話はこれで終わりです。私は、もう行きますので……それでは」
カリンはそう言い残した後、アキラの前から去って行った。
「……何だっていうんだ、アイツは……」
カリンが何を言っているのかわからないアキラは、そのまま立ち尽くすしかなかった。
そして、会場を去って行ったカリン。カリンは人気の無い所で、先程儀式召喚した『竜姫神サフィラ』と話をしているようだった。
「ねえ、サフィラ……さっきのアキラ君のデュエルは、どうだった?」
「……そうね、アキラ君はあの時、明らかに勝ちを急いでいたと思う。あの時の私の手札にあったカードはこの『オネスト』のカード……これを使えば、はっきり勝てたとは思う」
「けれど、今のアキラ君を負かしたら……それはそれで、今のアキラ君にはダメだと思うの。だから……今は勝たせておくわ」
「全ては大会で……アキラ君に気づいて欲しいのはその時まで……」
一通り会話を終えた後、サフィラをデッキにしまい、カリンは帰って行くのであった。
第九話。終わり。
遊太達は、プラクサスシティで行われる大会に向けて、デュエルの特訓をしていた。目指すは、皆優勝。
しかし遊太は、自分に特別なカード『ロードナイト』をくれたロベルト・フランシスから、『ロードナイト』をくれた真意を聞くために大会に参加する。
そのため、今日も今日とて皆特訓に明け暮れる。
そして、ここにも優勝を目指す人間がいた。
「『青眼の白龍』で、ダイレクトアタック! 滅びの爆裂疾走……!」
「ぐああああっ!」
「すげえ! これで20人抜きだ!」
「さっきから挑戦するデュエリスト、全員をぶちのめしていやがる!」
「やはり、八神アキラの実力は凄すぎる……!」
「さあ、次は誰が俺とやる?」
八神アキラ。彼は小学生ながら凄腕のデュエリストとして、このプラクサスシティで有名であった。そんな彼も、大会に向けて特訓しているようだった。だが、20人抜きをしている所を見ると、どうやら相手が自分と実力が違いすぎて、特訓になっていないようだった。
当然、実力の違いを散々見せつけられた結果、彼にデュエルを挑もうなどという人間はいないわけで……。
「お、俺……別の相手とやろう」
「アイツには勝てない……」
「今度の大会も、アイツの一人勝ちかなあ……」
と、口々に去っていくのであった。
「やれやれ、根性のねえ奴ら。けれど、今はこれで良いか……」
と呟き、その場を去って行った。
アキラがその場を去って行ったことによって、デュエルをしていた連中は安堵した。
「やっと出て行った……」
「アイツ、実力が違いすぎるんだよ……!」
そう陰口を叩く奴がいる中、こう呟く連中もいる。
「でも、アイツなんか変わったよな……」
「前はもっとこう……余裕を持ってというか、楽しそうにデュエルしていたよな……」
「今はなんかこう……凄味というか、怖さすら感じる何かがあるなあ……」
と、呟いた人間もいた。
そして、当のアキラはというと。
「俺は、優勝するまで誰にも負ける訳にはいかねえ。俺は次の大会で絶対に優勝する。そして……」
歩きながらそうブツブツと喋り、そこまで言いかけた時、言葉が自然に止まる。
「俺は……」
言葉に詰まり、その場で立ち止まるアキラ。そのまま、言葉が言えずに立ち尽くす。
そんな沈黙を、一人が破った。
「もしもし、アキラ君……ですね?」
「ん? お前……」
「何回か大会でも、それ以外の時にも会ったことがありますよね? アキラ君」
「榊原夏鈴……か、お前、俺に何の用だ?」
話しかけた人間は、ツインテールの清楚な格好をした少女。榊原夏鈴。そんなカリンを見て鬱陶しそうな表情をするアキラ。
「何の用だよ」
「アキラ君が、どうにも窮屈そうなデュエルをしていましたから……凄く気になりまして」
「ハァ? そんなことで俺に声かけて来た訳?」
「ええ、そうですわ? できればゲームショップ烏間の大会に出ている時、声をかけたかったのですが……」
「別に、俺自身が窮屈だなんて思っちゃいねーよ。そんなこと聞く暇があるなら、デュエルの特訓でもしてろよ。どうせお前も出るんだろ? 大会に」
「ええ、出ますわ。でも、そんな貴方が窮屈そうなデュエルをする理由は、もうわかっています。……お父様の件は、残念でしたね……」
「!?」
父の件、その言葉を聞いただけで、酷く焦ったような表情になるアキラ。そして、カリンに問い詰める。
「おいテメエ! 父さんの件を知っているだと!?」
「ええ、病気で倒れたのでしょう? それ以降、大会でアキラ君のデュエルを見てきましたが……やっぱり窮屈そうで、何処か余裕のない、怖さのあるようなデュエルをしていましたわ」
「……あの件は、お前がどうこう言うことじゃねえ。というか、それを俺に言ってどうする?」
「アキラ君、私とデュエルをしてくださいませんか? 窮屈で余裕のない、デュエルを楽しめていないアキラ君では、あなたの本来の実力は出せていないことを、お教えしましょう! ……そして、あなたの持つ『青眼の白龍』、貴方に見えるはずものが見えていない、そういったことも、教えますわ」
「……ああ、良いぜ。丁度他の奴らには飽き飽きしていた所だ。俺はお前に勝つ」
「ええ、良いでしょう。デュエルなら、直接わからせてあげることも出来るでしょう。さあ、行きましょうか」
二人は、デュエルデスクのある所へと戻ってくる。そして、二人がデュエルの準備をすると、周りの人がざわつき始める。
「あ、アレは……アキラと、カリンちゃん!? アキラはさっきまでいたから良いとして、なんでカリンちゃんみたいなデュエリストがここに!?」
「榊原夏鈴は、大会で優勝経験もあるし、アキラと戦って互角にやりあった経験もある……! ここでデュエルするのかあ!?」
「良いぞー! やれやれー!」
そんな言葉には耳を貸さず、淡々とデュエルの準備をする二人。そして、デュエルを始める!
「「ルールはマスタールール3! ライフポイントは8000!」」
「「デュエル!」」
「先攻後攻は、どっちを取る?」
「私は、後攻を取らせてもらいますわ」
「そうか? じゃあ俺は先攻を取らせてもらう」
1・アキラのターン
「俺のターン、俺は『ファミリア・ナイト』を攻撃表示で召喚」(アキラ手札5→4)
「そして俺は、カードを1枚セットしてターンエンド」(アキラ手札4→3)
アキラ
ライフポイント8000
手札枚数3枚
モンスター1体
『ファミリア・ナイト』(攻撃表示・攻撃力1200・レベル3)
魔法・罠ゾーンのカード1枚
発動しているカード0枚
墓地の枚数0枚
除外されているカード0枚
2・カリンのターン
「では私のターン、ドロー」(カリン手札5→6)
「私は手札から、『デュミナス・ヴァルキリア』を攻撃表示で召喚致します」(カリン手札6→5)
カリンの場に現れたのは神々しい天使。攻撃力は1800と、レベル4にしては高い。
「私は『デュミナス・ヴァルキリア』で、『ファミリア・ナイト』を攻撃! エンジェルダスト!」
『デュミナス・ヴァルキリア』の攻撃によって、『ファミリア・ナイト』は簡単に破壊される。しかし……。
「『ファミリア・ナイト』は戦闘で破壊された時、お互いに手札からレベル4モンスターを特殊召喚できる。俺は手札から『レアメタル・ドラゴン』を攻撃表示で特殊召喚!」(アキラライフ8000→7400)(アキラ手札3→2)(アキラ墓地0→1)
出されたドラゴンは、レベル4でありながらなんと攻撃力2400を誇るドラゴン! これには周りの観客も驚く。
「嘘だろ!? いきなり攻撃力2400のモンスターを特殊召喚だと!?」
「マジかよ……マジだな」
しかし、カリンは驚くことをしない。むしろ想定内といった感じである。
「『レアメタル・ドラゴン』は、通常召喚不可という制約を持つために、攻撃力2400を持つモンスター……『ファミリア・ナイト』の効果を利用して特殊召喚なんて、それぐらい当たり前ですわ。では、私は『コーリング・ノヴァ』を守備表示で特殊召喚します」(カリン手札5→4)
「そして、手札からカードを2枚セットして、ターンエンドですわ」(カリン手札4→2)
カリン
ライフポイント8000
手札枚数2枚
モンスター2体
『デュミナス・ヴァルキリア』(攻撃表示・攻撃力1800・レベル4)
『コーリング・ノヴァ』(守備表示・守備力800・レベル4)
魔法・罠ゾーンのカード2枚
発動しているカード0枚
墓地の枚数0枚
除外されているカード0枚
3・アキラのターン
「俺のターン、ドロー!」(アキラ手札3→4)
「俺は手札から、『アサルトワイバーン』を攻撃表示で召喚!」(アキラ手札4→3)
そして今度現れたのは、鋭い翼を持つドラゴン。攻撃力は1800と、下級では最高クラス。
「行くぞ、俺は場より永続罠『竜の逆鱗』を発動! これによって、俺の場のドラゴン族モンスターが守備モンスターを攻撃した時、貫通ダメージを与えられる! これで、お前は守備表示で逃げ回ることはできない。行くぞ、俺は『レアメタル・ドラゴン』で、『デュミナス・ヴァルキリア』を攻撃!」
「そう来ましたか……けれど、私は永続罠『銀幕の鏡壁』を発動! 相手の攻撃モンスターの攻撃力は、半分になります! これで攻撃は……」
「なら、俺は速攻魔法『サイクロン』を発動! 『銀幕の鏡壁』を破壊!」(アキラ手札3→2)(アキラ墓地1→2)
「ふむ……そう来ましたか……」(カリンライフ8000→7400)(カリン墓地0→2)
「そして、俺は『アサルトワイバーン』で、『コーリング・ノヴァ』を攻撃! 喰らえ!」
鋭い翼によって、『コーリング・ノヴァ』はいとも簡単に切り裂かれてしまう。ダメージも受けるが……。
「『コーリング・ノヴァ』のモンスター効果発動! このモンスターが戦闘で破壊された時、デッキから攻撃力1500以下の光属性・天使族を1体特殊召喚できます! 私はデッキより、『シャイン・エンジェル』を守備表示で特殊召喚します!」(カリンライフ7400→6400)(カリン墓地2→3)
「チッ、リクルーターモンスターか。けれど、そう簡単にはやらせねえよ。俺は『アサルトワイバーン』の効果発動! 相手モンスターを戦闘で破壊した時、『アサルトワイバーン』をリリースすることで、手札・墓地からドラゴン族モンスターを特殊召喚できる! 俺は『クリスタル・ドラゴン』を特殊召喚する! そして、バトルフェイズ中にモンスターが特殊召喚されたため、追加攻撃ができる! 行け! 『シャイン・エンジェル』を攻撃!」
「三連攻撃ですか……でも、それ以上の攻撃は受けません! 罠カード発動! 『ガード・ブロック』! 相手からの戦闘ダメージを0にして、私はカードを1枚ドローします!」(カリン墓地3→5)(カリン手札2→3)
「更に、『シャインエンジェル』のモンスター効果を発動します。戦闘で破壊された時、デッキから攻撃力1500以下の光属性モンスターを、攻撃表示でデッキから特殊召喚できます。私はデッキより『サイバー・プチ・エンジェル』を特殊召喚します」
そして現れたのは、機械化された『プチテンシ』のようなモンスター。攻撃力は300と、その程度だが。
「『サイバー・プチ・エンジェル』は、召喚・反転召喚・特殊召喚された時、デッキから『サイバー・エンジェル』モンスターか『機械天使の儀式』を手札に加えられます。私は、『機械天使の儀式』を手札に加えます」(カリン手札3→4)
「『儀式』……それがお前のいつもの手だったな。だが、俺も『クリスタル・ドラゴン』の効果を発動させる。『クリスタル・ドラゴン』は戦闘を行ったダメージステップ終了時、デッキからレベル8のドラゴン族モンスターを手札に加えられる。俺はデッキより、レベル8の『青眼の白龍』を手札に加える」(アキラ手札2→3)
「俺はリバースカードを1枚セットして、ターンエンド」(アキラ手札3→2)
(『青眼の白龍』……私には感じる。やっぱりそのカードは、遊太君と同じ精霊を感じる。けれど、今のアキラ君には、見えていない……でも、アキラ君には見えていたはず……だから)
アキラ
ライフポイント7400
手札枚数2枚
モンスター2体
『レアメタル・ドラゴン』(攻撃表示・攻撃力2400・レベル4)
『クリスタル・ドラゴン』(攻撃表示・攻撃力2500・レベル6)
魔法・罠ゾーンのカード2枚
発動しているカード1枚
『竜の逆鱗』(永続罠)
墓地の枚数3枚
除外されているカード0枚
4・カリンのターン
「私のターン、ドロー」(カリン手札4→5)
「行きますよ、ここからが私のデュエルの始まりです……!」
その言葉と同時に、観客達が沸き立つ。
「おおっ~! 出るぞ! カリンちゃんの本領発揮が!」
「大会で何度もやられたデュエルだ!」
そんな観客には眼もくれず、カリンはアキラを見つめている。
「行きますよ、私は手札から、『センジュ・ゴッド』を召喚します!」(カリン手札5→4)
まるで千手観音のような天使が現れる。攻撃力は1400。
「『センジュ・ゴッド』のモンスター効果、私はデッキから儀式モンスターを1体手札に加えます。私は『サイバー・エンジェル-韋駄天-』を手札に加えます」(カリン手札4→5)
「そして私は手札から、儀式魔法『機械天使の儀式』を発動させます! フィールド・手札から『サイバー・エンジェル』モンスターのレベル以上になるように、モンスターをリリースすることで、手札から『サイバー・エンジェル』モンスターを儀式召喚します! 私はフィールドのレベル2『サイバー・プチ・エンジェル』とレベル4『センジュ・ゴッド』をリリースして、レベル6の『サイバー・エンジェル-韋駄天-』を儀式召喚します!」(カリン手札5→3)(カリン墓地5→8)
厳かな儀式によって現れたのは、サイバースーツを身に纏った俊足の女神! 攻撃力は1600と、レベル6にしては今一つだが……。
「韋駄天は儀式召喚された時、デッキ・墓地から儀式魔法を1枚手札に加えられます。私はデッキより、儀式魔法『祝祷の聖歌』を手札に加えます」(カリン手札3→4)
この儀式召喚によって、観客達が沸き立つ。これが、カリンのデュエルだと理解している連中が多いからだ。
「出たあ! これがカリンちゃんの儀式召喚だ!」
「これを出されれば、アキラ君もそう簡単には……」
しかし、カリンは観客に構っている様子など無いようだった。
「そして手札から、魔法カード『儀式の準備』を発動させます。デッキよりレベル7以下の儀式モンスターを手札に加えることができます。私は『サイバー・エンジェル-弁天-』を手札に加え、更に『儀式の準備』の追加効果を発動させます! レベル7以下儀式モンスターを手札に加えた後、墓地に儀式魔法があった場合、そのカードも手札に加えられます! 私は、先程儀式召喚に使った、『機械天使の儀式』を手札に加えます」(カリン手札4→5)
「更に手札から、もう一度儀式魔法『機械天使の儀式』を発動させます! レベル6の韋駄天をリリースすることによって、手札から『サイバー・エンジェル-弁天-』を儀式召喚します!」(カリン手札5→3)(カリン墓地8→10)
再び厳かな儀式によって現れたのは、サイバースーツに身を包んだ、扇を武器とした女神。攻撃力は1800と、またしてもそれ程でもないが。
「韋駄天はリリースされた時、私のフィールドに存在する儀式召喚モンスターの攻撃力・守備力が1000ポイントアップします。これで、弁天の攻撃力は1000アップします!」(弁天攻撃力1800→2800)(弁天守備力1000→2000)
「……」
「行きますよ! 『サイバー・エンジェル-弁天-』で『レアメタル・ドラゴン』を攻撃! エンジェリック・ターン!」
まるでスケーターのターンの如くスピンする弁天の攻撃によって、『レアメタル・ドラゴン』は破壊される……と、思いきや。
「速攻魔法『コマンド・サイレンサー』を発動!」
いきなりトーテムポールのような置物が出されたかと思えば、騒音を鳴らして弁天の攻撃を遮ってしまう。
「お前の命令が聞こえないなら、攻撃も無効だ。『コマンド・サイレンサー』は、相手の攻撃宣言時、攻撃を無効にして、バトルフェイズを終了させる。更にその後、俺はデッキから1枚ドローする」(アキラ手札2→3)(アキラ墓地3→4)
「やりますね、では、私はカードを1枚セットして、ターンエンドです」(カリン手札3→2)
カリン
ライフポイント6400
手札枚数2枚
モンスター1体
『サイバー・エンジェル-弁天-』(攻撃表示・攻撃力2800・レベル6)
魔法・罠ゾーンのカード1枚
発動しているカード0枚
墓地の枚数8枚
除外されているカード0枚
アキラにやられても、カリンはしっかりとお返しを決める。ハイレベルなデュエルを行う二人に対し、観客達は沸き立つばかりであった。
「相変わらず凄いデュエルだな……流石、あの二人なだけはあるなあ」
「アキラはもちろんのこと、カリンちゃんだって……すげえぞ」
「いや、でも……アキラの奴は、余裕が無さそうにも見えるぞ」
「反面カリンちゃんは……凄く余裕のありそうな顔をしているなあ……」
5・アキラのターン
「俺のターン……ドロー」(アキラ手札3→4)
先程の観客の声は、しっかりとアキラに聞こえていた。しかし、それに対しアキラはこう思う。
(余裕が無い……ねえ、確かに俺は優勝するまで勝ち続けなきゃいけねえ……だから、俺は勝つ!)
「俺は手札から魔法カード『マジック・プランター』を発動。フィールドの永続罠1枚を墓地へ送り、2枚ドローする。俺は『竜の逆鱗』を墓地へ送り、2枚ドロー」(アキラ手札4→3→5)(アキラ墓地4→6)
「そして、俺は手札から魔法カード『コストダウン』を発動! 手札1枚を捨てることで、手札にあるモンスターのレベルを2下げることができる」(アキラ手札5→3)(アキラ墓地6→8)
(手札のモンスターのレベルを2下げる……それによって、レベル5・6のモンスターはリリース無しで、レベル7・8のモンスターはリリース1体でリリース1体で通常召喚できます! 狙いは勿論……)
「よって、俺はレベル8である『青眼の白龍』を、リリース1体で通常召喚できる! 俺は『レアメタル・ドラゴン』をリリースして、手札から『青眼の白龍』を、攻撃表示で通常召喚! 現れろ俺のエースモンスター!『青眼の白龍』!」(アキラ手札3→2)(アキラ墓地8→9)
レアメタルのごときドラゴンがリリースされて現れたのは、青き眼を持つ白きドラゴン! 攻撃力は3000と、並大抵の攻撃力ではない。
「……来ましたね、あなたのエースと言える、そのモンスターが……!」
「どうだ、このモンスターが出てきた以上、そう簡単には俺に勝てないぜ?」
「そうですね、貴方の『青眼の白龍』は、貴方にとってデッキそのものと言うべきモンスター……けれど、本来の輝きを失っている貴方にとって、そのモンスターはさほど脅威ではありません」
「脅威じゃねえ? ケッ、言ってやがれ。俺は手札から魔法カード『魂の解放』を発動! 自分と相手の墓地から、合計5枚までカードを除外できる。俺はお前の墓地に存在する『機械天使の儀式』と『サイバー・エンジェル-韋駄天-』を除外する。そのカードは、何回も使われると面倒な上に、厄介な墓地効果も持っているからな」(アキラ手札2→1)(アキラ墓地9→10)
「『機械天使の儀式』は、墓地にある時光属性モンスターの破壊を免れる効果を持っています……ふむ、やっぱり警戒されますね」(カリン墓地8→6)(カリン除外0→2)
「そして、俺はバトルフェイズを行う! 俺は『青眼の白龍』で、『サイバー・エンジェル-弁天-』を攻撃する!」
「させません! 罠カード『光子化』を発動させます! 相手モンスターの攻撃宣言時、相手モンスターの攻撃を無効にして、私のエンドフェイズまで攻撃モンスターの攻撃力を得ます!」(カリン墓地6→7)
「そんな反撃は読めている! カウンター罠発動! 『盗賊の七つ道具』! 1000ポイントライフを支払い、相手の罠カードの発動を無効にする! よって、元の攻撃力のままでバトルは続行! くらえ、滅びの反撃爆裂疾走!」(アキラライフ7400→6400)(アキラ墓地10→11)
「くぅっ……やりますね……」(カリンライフ6400→6200)(カリン墓地7→8)
「そして、俺は『クリスタル・ドラゴン』でダイレクトアタック! クリスタ・レイン!」
「ううっ、く……」(カリンライフ6200→3700)
「そして俺は、『クリスタル・ドラゴン』の効果でレベル8のドラゴン族である『青眼の白龍』をまた手札に加える。そしてリバースカードを1枚セットして、ターンエンド。どうだ? これでもまだ脅威じゃねえって言うか?」(アキラ手札1→2→1)
アキラ
ライフポイント6400
手札枚数1枚
モンスター2体
『青眼の白龍』(攻撃表示・攻撃力3000・レベル8)
『クリスタル・ドラゴン』(攻撃表示・攻撃力2500・レベル6)
魔法・罠ゾーンのカード1枚
発動しているカード0枚
墓地の枚数11枚
除外されているカード0枚
「す、すげえ……」
「的確に攻撃を防いで、そこから更に的確に攻撃を加えた……やはりアキラは強いぜ!」
「これは、カリンちゃんでも厳しいか……?」
観客が口々に戦況のことを話している中、カリンはもっと別のことを考えていた。それは、普通の人間には到底わからないこと。
(やっぱり、今のアキラ君の『青眼の白龍』は以前のような輝きを見せていない……精霊の姿だって、今は見えない……。それはきっと、アキラ君がデュエルを苦しそうに、窮屈そうにやっているから……)
(だから、あなたには負けてもらいます)
そう決意し、デッキに手を伸ばす。
6・カリンのターン
「私のターン、ドロー」(カリン手札2→3)
そして、ドローしたカードを見て考えるカリン。
(なるほど……わかりました)
「私は手札から、魔法カード『貪欲な壺』を発動させます。自分の墓地から5枚モンスターをデッキに戻した後、2枚ドローします。私は『シャインエンジェル』『デュミナス・ヴァルキリア』『コーリング・ノヴァ』『サイバー・プチ・エンジェル』『サイバー・エンジェル-弁天-』をデッキに戻し、2枚ドローします」(カリン手札3→2→4)(カリン墓地8→3→4)
「そして私は、手札から魔法カード『救援光』を発動させます! 除外されている自分の光属性モンスターを1体、自分の手札に加えます。私は除外されている韋駄天を手札に加えます!」(カリン墓地4→5)(カリン除外2→1)
「そして……これから、私のエースカードであるカードを見せます。覚悟はよろしくて?」
「……フン、来やがれ」
「では、行きます。私は手札から儀式魔法『祝祷の聖歌』を発動させます! 手札より、レベル6の韋駄天をリリースして、手札からレベル6の儀式モンスター『竜姫神サフィラ』を、儀式召喚します! 現れよ、『竜姫神サフィラ』!」(カリン手札4→1)(カリン墓地5→7)
ステンドグラスが張られた教会で、聖歌は奏でられる。それによって現れたモンスターは、透き通った翼と青き体を持つ、ドラゴンの女神。攻撃力は2500と、中々高い。
「リリースされた韋駄天の効果を発動します! 韋駄天はリリースされた時、フィールドの儀式モンスターの攻撃力・守備力を1000アップさせます。よって、サフィラの攻撃力は3500にアップします」
「……来いよ」
エースカードを出したカリンに対し、如何にも臨戦態勢のアキラ。それを見て、カリンは……。
(……ねえ、サフィラ。あなたがこうしてアキラ君の目の前に姿を見せているって言うのに、アキラ君、全然反応が無いわね……ええ、こうなったら、わからせてやるために思いっきり叩きのめしてやりましょうか。ねえ、サフィラ?)
「私は手札より、装備魔法『リチュアル・ウェポン』をサフィラに装備します。この装備魔法はレベル6以下の儀式モンスターの攻撃了・守備力を1500ポイントアップさせます。これで、サフィラの攻撃力は5000に!」
「私は、攻撃力5000となっているサフィラで、『クリスタル・ドラゴン』を攻撃セイント・ジ・オペラ!」
サフィラの手に光が集まり、それが光球となる。それを見て、アキラは伏せカードを。
「罠カード『不運の爆弾』を発動! 相手フィールドのモンスター1体を対象に、その攻撃力の半分のダメージを俺が受け、その後同じダメージを俺が受ける! 喰らえ!」
不意にフィールドに爆弾が落っこちて来て、爆発する。それにより、ダメージも受ける。
「ぐっ」(アキラライフ6400→3900)(アキラ墓地11→12)
「きゃあっ、でも、モンスターの攻撃は続行します!」(カリンライフ3700→1200)
「む……」(アキラライフ3900→1400)(アキラ墓地12→13)
攻撃が続行され、ダメージを受けるアキラ。しかし……。
「まだだ、まだ負ける訳にはいかねえよ」
「……私はカードを1枚伏せて、ターンエンド。このエンドフェイズ、サフィラのモンスター効果が発動されます。サフィラは儀式召喚された時、もしくは光属性モンスターが手札・デッキから墓地へ送られた時、3つの効果から1つを選択して発動できます。1つは、2枚ドローし手札から1枚捨てる、2つ目は相手の手札を1枚ランダムに捨てる、3つ目は墓地の光属性モンスターを手札に加えられます。私は2枚ドローして、1枚捨てます」(カリン手札0→2→1)(カリン墓地7→8)
(手札に加えたこのカード……このまま何も考えずサフィラに攻撃するようなら、引導火力となりそうですね……)
カリン
ライフポイント1200
手札枚数1枚
モンスター1体
『竜姫神サフィラ』(攻撃表示・攻撃力3500・レベル6)
魔法・罠ゾーンのカード1枚
発動しているカード0枚
墓地の枚数8枚
除外されているカード1枚
7・アキラのターン
「俺のターン、ドロー」(アキラ手札1→2)
「俺は手札から、魔法カード『トレード・イン』を発動。手札のレベル8モンスターを墓地へ送り、2枚ドローする。俺はさっき手札に加えた『青眼の白龍』を墓地へ送り2枚ドロー!」(アキラ墓地12→14)
「……カリン、てめえはさっき俺のブルーアイズを全然脅威じゃあねえと言った。けれど、それは間違いだったってことに、気づかせてやる。デュエルはここで終わらせる!」
「……何かあるのですか?」
「俺は手札から、魔法カード『フォース』を発動!」
魔法カードから、何やら波動のようなものが出て、サフィラとブルーアイズを包み込む。それにより、ブルーアイズの攻撃力は5500に、サフィラの攻撃力は2500となってしまった。
「『フォース』の効果は、フィールドのモンスターの攻撃力半分を俺のモンスターに加え、対象のモンスターの攻撃力を半分にする。これによって、俺のブルーアイズの攻撃力分のダメージを、与えられるようになった訳だが?」(アキラ手札2→1)(アキラ墓地14→15)
「別に何も驚くことはありません、早く攻撃してきてはどうですか?」
(……随分余裕だな、恐らく、手札に何らかの防御札でも持っているのだろうが……いや、恐らくブラフかもしれない。だが、ここで終わらせられる引導火力が、俺にはある! 俺は絶対に負けねえ!)
(俺は、勝つ!)
「……」
カリンに鋭い眼光を見せるアキラ。それを見て、カリンは少し何かを考えた。
「行け、『青眼の白龍』! 攻撃だ! 滅びの爆裂疾走!」
ブルーアイズの鋭い光線が、サフィラに向かって飛んでいく! それを見て、カリンは手札にある1枚のカードを使おうとするが……。
(サフィラ、ゴメンね。アキラ君あの様子では、ここで負かしたらアキラ君には悪いことになりそう。だから……ゴメンね?)
(な、なにっ!?)
カリンは、手札のカードから手を放し、そのまま攻撃を受けるのであった。
「……」(カリンライフ1200→0)
こうして、アキラとカリンの勝負は、アキラの勝利で終わったのであった……。
「カリンちゃんが負けちゃったよ……」
「しかし、あのアキラも凄いよな。僅差に追い詰められたとはいえ、あそこであんな風に決めるとはな」
「カリンちゃんもよくやったよ……」
アキラの勝利とは言え、あそこまで食い下がったカリンにも同じくらい賞賛を浴びせる観客達。しかし、とうのアキラはというと。
「おいカリン、さっきのあの手札……本当はなんのカードだったんだ?」
「いえ、なんでもありませんよ」
「とぼけるな、さっき俺が攻撃した時、手札にあるカードを使おうとしただろ?」
「別に……貴方が勝った今では、どうでも良いことでしょう? デュエルの前にわからせてあげるとは言いましたが……わからせられたのは、どうやら私だったみたいですね」
「テメエ……何が言いたい」
「まあ、気にしないでください。後それと……六道遊太君に会ったことありますよね?」
「大会で話しかけて来たアイツか? アイツが一体何だって言うんだ?」
「まあ、この話はこれで終わりです。私は、もう行きますので……それでは」
カリンはそう言い残した後、アキラの前から去って行った。
「……何だっていうんだ、アイツは……」
カリンが何を言っているのかわからないアキラは、そのまま立ち尽くすしかなかった。
そして、会場を去って行ったカリン。カリンは人気の無い所で、先程儀式召喚した『竜姫神サフィラ』と話をしているようだった。
「ねえ、サフィラ……さっきのアキラ君のデュエルは、どうだった?」
「……そうね、アキラ君はあの時、明らかに勝ちを急いでいたと思う。あの時の私の手札にあったカードはこの『オネスト』のカード……これを使えば、はっきり勝てたとは思う」
「けれど、今のアキラ君を負かしたら……それはそれで、今のアキラ君にはダメだと思うの。だから……今は勝たせておくわ」
「全ては大会で……アキラ君に気づいて欲しいのはその時まで……」
一通り会話を終えた後、サフィラをデッキにしまい、カリンは帰って行くのであった。
第九話。終わり。
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127 | プロローグ「出会いは突然に」 | 1896 | 3 | 2018-01-27 | - | |
176 | 第一話「六道遊太、デュエルと出会う」 | 1533 | 1 | 2018-01-28 | - | |
101 | 第二話「六道遊太、デュエルスタンバイ!」 | 1411 | 3 | 2018-01-30 | - | |
147 | 第三話「ロードナイトVSC・HERO」 | 1231 | 1 | 2018-02-05 | - | |
83 | 第四話「大会にて」 | 1022 | 1 | 2018-02-11 | - | |
136 | 第五話「カリンとカードの精霊の話」 | 1139 | 1 | 2018-02-14 | - | |
124 | 第六話「戦いの幕開け」 | 1045 | 1 | 2018-02-18 | - | |
221 | 第七話「大鴉の特訓」 | 1138 | 1 | 2018-02-22 | - | |
89 | 第八話「知多泉、デュエルスタンバイ!」 | 1001 | 0 | 2018-02-25 | - | |
184 | 第九話「儀式降臨のサフィラ」 | 1059 | 0 | 2018-03-02 | - | |
96 | 第十話「驚きの予選会」 | 1163 | 1 | 2018-03-05 | - | |
84 | 第十一話「ペンデュラムと、英雄騎士達」 | 1197 | 2 | 2018-03-10 | - | |
95 | 第十二話「プラクサス大会スタート!」 | 1065 | 0 | 2018-03-13 | - | |
156 | 第十三話「恐怖のロックバーン」 | 1159 | 2 | 2018-03-17 | - | |
175 | 第十四話「カリンとサフィラ」 | 1030 | 0 | 2018-03-24 | - | |
155 | 第十五話「アキラ君の思い」 | 1184 | 2 | 2018-03-29 | - | |
77 | 第十六話「楽しむ心、やるべき心」 | 972 | 2 | 2018-04-03 | - | |
86 | 第十七話「本戦開始!」 | 964 | 0 | 2018-04-06 | - | |
143 | 第十八話「知多と遊太」 | 981 | 0 | 2018-04-13 | - | |
142 | 第十九話「僕のヒーロー」 | 1075 | 0 | 2018-04-17 | - | |
149 | 第二十話「僕のヒーローは」 | 1046 | 0 | 2018-04-21 | - | |
151 | 第二十一話「対決! 遊太VS菊姫!」 | 1134 | 2 | 2018-04-25 | - | |
138 | 第二十二話「菊姫の切り札」 | 984 | 2 | 2018-04-29 | - | |
107 | 第二十三話「覚醒を封じられた先に……!」 | 1000 | 2 | 2018-05-09 | - | |
146 | 第二十四話「プラクサス大会、決勝戦!」 | 1028 | 0 | 2018-05-12 | - | |
88 | 第二十五話「真の究極竜と、カオスMAX」 | 1047 | 2 | 2018-05-16 | - | |
144 | 第二十六話「決着、そして……!」 | 1057 | 2 | 2018-05-18 | - | |
83 | 第二十七話「ロードナイトの話」 | 1030 | 0 | 2018-05-26 | - | |
100 | 第二十八話「カリンと遊太」 | 1011 | 2 | 2018-05-28 | - | |
97 | 第二十九話「日傘の女の子」 | 952 | 0 | 2018-06-07 | - | |
161 | 第三十話「ヒーローショーを見に行こう!」 | 992 | 0 | 2018-06-11 | - | |
130 | 第三十一話「忍び寄る侵略の影」 | 986 | 0 | 2018-06-23 | - | |
109 | 第三十二話「侵略の一手」 | 834 | 0 | 2018-06-24 | - | |
168 | 第三十三話「帝国への招待状」 | 1086 | 0 | 2018-07-03 | - | |
131 | 第三十四話「いざ、帝国へ!」 | 976 | 0 | 2018-07-12 | - | |
237 | 遊戯王EXSキャラ紹介 その1 | 1425 | 2 | 2018-07-14 | - | |
134 | 第三十五話「GAME START」 | 945 | 0 | 2018-07-22 | - | |
84 | 決闘者の帝国における、特殊ルール | 919 | 2 | 2018-07-22 | - | |
170 | 第三十六話「まずは一つ」 | 1061 | 0 | 2018-07-29 | - | |
97 | 第三十七話「菊姫とアキラ」 | 1003 | 0 | 2018-08-05 | - | |
100 | 第三十八話「実力勝負!」 | 943 | 0 | 2018-08-12 | - | |
138 | 第三十九話「エンジョイデュエル!」 | 1045 | 0 | 2018-08-23 | - | |
90 | 第四十話「プレイヤーキラー、動く!」 | 856 | 0 | 2018-09-07 | - | |
80 | 第四十一話「闇を打ち砕け、遊太!」 | 928 | 0 | 2018-09-15 | - | |
117 | 第四十二話「ユニオンロボ&宇宙のヒーロー | 937 | 0 | 2018-09-29 | - | |
88 | 第四十三話「侵攻するワーム」 | 1002 | 0 | 2018-10-06 | - | |
133 | 第四十四話「ヒーロー覚醒!?」 | 958 | 2 | 2018-10-14 | - | |
213 | 第四十五話「血の刻印」 | 1146 | 2 | 2018-10-27 | - | |
72 | 第四十六話「二つの竜」 | 839 | 2 | 2018-11-08 | - | |
172 | 第四十七話「共鳴、そして目醒め」 | 1023 | 2 | 2018-11-19 | - | |
138 | 第四十八話「思わぬ敵」 | 972 | 2 | 2018-12-02 | - | |
102 | 第四十九話「救いと絶望」 | 948 | 0 | 2018-12-09 | - | |
149 | 第五十話「ロベルトを救う者」 | 988 | 0 | 2018-12-17 | - | |
135 | 第五十一話「決戦! 闇の王と遊太」 | 997 | 0 | 2019-01-17 | - | |
101 | 作者よりお知らせ | 826 | 0 | 2019-01-27 | - | |
83 | 第五十二話「突き抜ける意志」 | 781 | 0 | 2019-02-05 | - | |
99 | 第五十三話「神帝現る」 | 948 | 0 | 2019-02-12 | - | |
96 | 第五十四話「帝国の終焉」 | 854 | 0 | 2019-02-22 | - | |
115 | 特別編『超次元! 世界を越えた絆』1 | 1025 | 0 | 2019-03-07 | - | |
144 | 特別編『超次元! 世界を越えた絆』2 | 894 | 0 | 2019-03-14 | - | |
90 | 特別編『超次元! 世界を越えた絆』3 | 912 | 0 | 2019-03-22 | - | |
82 | 第五十五話「休息の時」 | 803 | 0 | 2019-04-07 | - | |
79 | 第五十六話「彼女との再会」 | 746 | 0 | 2019-04-20 | - | |
102 | 第五十七話「マダムの危ない罠」 | 764 | 0 | 2019-05-01 | - | |
70 | 第五十八話「ストアブレーカー」 | 791 | 0 | 2019-05-19 | - | |
74 | 第五十九話「闇のカード」 | 839 | 0 | 2019-06-04 | - | |
111 | 第六十話「変わり始める生活」 | 792 | 0 | 2019-07-18 | - | |
70 | 第六十一話「ユイのデュエル」 | 725 | 0 | 2019-08-04 | - | |
76 | 作者よりお知らせ2 | 733 | 0 | 2019-08-11 | - | |
93 | 第六十二話「プラクサスの怪人」 | 727 | 0 | 2019-09-11 | - | |
69 | お詫びとお知らせ | 493 | 0 | 2020-02-19 | - | |
147 | 第六十三話「暴走! 怪人クロウリー」 | 779 | 0 | 2020-02-19 | - | |
84 | 特別編『ブルーアイズVSブルーアイズ』 | 846 | 0 | 2020-02-22 | - | |
91 | 第六十四話「闇に落ちる小鳥」 | 786 | 0 | 2020-03-22 | - | |
70 | 第六十五話「鳥人を食う邪竜」 | 673 | 0 | 2020-04-18 | - | |
91 | 第六十六話「ダークヒーロー!ヴェンデット | 696 | 0 | 2020-05-09 | - | |
87 | 第六十七話「堕ちたヒーロー」 | 719 | 0 | 2020-05-23 | - | |
79 | 第六十八話「視える未来(ビジョン)」 | 855 | 0 | 2020-05-30 | - | |
97 | 第六十九話「突入、アポカリプトのアジト」 | 759 | 0 | 2020-06-12 | - | |
65 | 第七十話「登場! 世界チャンピオン!」 | 731 | 0 | 2020-06-14 | - | |
63 | 第七十一話「デートじゃん!」 | 677 | 0 | 2020-06-27 | - | |
77 | 第七十二話「不死者は少年を好く」 | 777 | 0 | 2020-06-28 | - | |
64 | 第七十三話「最強デュエリストのいとこ」 | 671 | 0 | 2020-07-07 | - | |
76 | 第七十四話「D1グランプリ、開催決定!」 | 637 | 0 | 2020-07-13 | - | |
78 | 遊戯王EXS キャラ紹介その2 | 751 | 0 | 2020-07-13 | - | |
74 | 特別編「VSサイコ・ショッカー!?」 | 608 | 0 | 2020-07-26 | - | |
89 | 第七十五話「D1グランプリへの道しるべ」 | 685 | 0 | 2020-08-06 | - | |
64 | 第七十六話「不死と再生、イモータル」 | 669 | 0 | 2020-08-15 | - | |
63 | 第七十七話「雨が降れば蛙が鳴く」 | 601 | 0 | 2020-08-30 | - | |
75 | 第七十八話「噴火寸前のヴォルケーノ」 | 686 | 0 | 2020-09-13 | - | |
72 | 第七十九話「燃えろ遊太!」 | 642 | 0 | 2020-09-27 | - | |
120 | 作者よりお知らせ3 | 627 | 0 | 2020-10-02 | - | |
69 | 第八十話「燃えるデュエル!」 | 626 | 0 | 2020-10-18 | - | |
74 | 特別編「乙女の対決、ブラマジガール!」 | 707 | 0 | 2020-11-05 | - | |
68 | 第八十一話「高き壁」 | 666 | 0 | 2020-11-22 | - | |
76 | 第八十二話「強き者」 | 746 | 0 | 2020-12-05 | - | |
59 | 第八十三話「エキシビションマッチ」 | 682 | 0 | 2021-01-01 | - | |
78 | 第八十四話「二次予選開始!」 | 738 | 0 | 2021-01-11 | - | |
59 | 第八十五話「タッグメイクデュエル」 | 524 | 0 | 2021-02-20 | - | |
66 | 第八十六話「タッグメイクデュエル②」 | 482 | 0 | 2021-04-04 | - | |
70 | 第八十七話「タッグメイクデュエル③」 | 436 | 0 | 2021-04-25 | - | |
71 | 第八十八話「タッグメイクデュエル④」 | 590 | 0 | 2021-05-04 | - | |
54 | 第八十九話「チーム結成!」 | 503 | 0 | 2021-05-08 | - | |
62 | 第九十話「J4の実力 輝く竜の星」 | 454 | 0 | 2021-06-02 | - | |
60 | 第九十一話「超弩級のパワー」 | 583 | 0 | 2021-06-12 | - | |
78 | 第九十二話「空飛ぶケモノたち」 | 457 | 0 | 2021-07-08 | - | |
69 | 第九十三話「雷と未来」 | 428 | 0 | 2021-07-18 | - | |
66 | 第九十四話「大トリ、明石慎之介」 | 647 | 0 | 2021-09-04 | - | |
59 | 作者からお知らせ4 | 463 | 0 | 2021-09-17 | - | |
75 | 特別編「冥界の王(ファラオ)と決闘!?」 | 554 | 2 | 2021-10-17 | - | |
60 | 第九十五話「最終予選1 友達VS友達」 | 489 | 0 | 2021-12-18 | - | |
65 | 第九十六話「最終予選2 竜姫神と青眼」 | 468 | 0 | 2022-01-04 | - | |
70 | 第九十七話『最終予選3 約束のために』 | 566 | 0 | 2022-01-10 | - | |
62 | 第九十八話「最終予選4 VSJ4最強」 | 672 | 0 | 2022-02-01 | - | |
54 | 第九十九話「異変」 | 517 | 0 | 2022-02-27 | - | |
72 | 第百話「D1グランプリ、本戦開始!」 | 413 | 0 | 2022-04-09 | - | |
75 | 第百一話「プロの実力」 | 427 | 0 | 2022-05-07 | - | |
62 | 第百二話「デストーイ・デコレーション」 | 516 | 0 | 2022-06-04 | - | |
46 | 第百三話「アマゾネスの首領」 | 376 | 0 | 2022-07-10 | - | |
41 | 第百四話「プロ辞めます!」 | 462 | 0 | 2022-08-28 | - | |
40 | 第百五話「強襲! 梁山泊デュエル!」 | 340 | 0 | 2022-10-16 | - | |
49 | 第百六話「鉄屑と星屑」 | 556 | 0 | 2022-11-27 | - |
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