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HOME > 遊戯王SS一覧 > 第90話:五人五色な決闘者

第90話:五人五色な決闘者 作:光芒



第90話(番外編第9話):五人五色な決闘者



 歩美の要望により、3時からはおやつの時間と決まったため、今から2時間ほどそれぞれ別れて個別指導という形になった。皆ロッジのあちこちで自分が受け持つ参加者たちの指導にあたる。遊希は結衣をロッジのベランダにあたる箇所で屋外に設置されている椅子に座りながら結衣のデッキを確認する。

「なるほど……私は水精鱗デッキを使ったことがないけれど、デッキはしっかりと練られているわね」

 遊希が見る限り、結衣のデッキに不備はなかった。エースモンスターの“水精鱗-メガロアビス”に展開の軸となる“水精鱗-アビスリンデ”などの下級水精鱗、そしてサーチや除去を担当する【海皇】の下級モンスターに欠けはない。

「そうですか……」
「まあ除去や妨害のための魔法・罠カードがないのは気になるわね。でも水精鱗はだいたい魔法・罠は少なめでモンスターに多く枠を割く傾向にある。だから少しだけデッキ内容を弄ればきっとより使いやすくなると思うわ」
「わかりました。妨害用のカードとなるとどのようなカードがいいでしょうか?」
「モンスターならエフェクト・ヴェーラーや幽鬼うさぎ、魔法・罠なら神の宣告のようなカウンターかしらね。さっきの虚無空間に対処するならサイクロンでもいいけど」

 結衣は遊希から聞いた言葉を忘れないようにメモ帳に記入する。彼女はやはりその性格上勉強熱心なのはわかった。しかし、問題は別のところにあることを遊希は気づいていた。

「ただ、デッキの内容は正直どうでもいいの」
「どうでもいい、とは……」
「さっきあなたは自分で自分の弱点を言っていたじゃない。想定外の事態に弱くてパニックになってしまう、って。どれだけデッキの完成度が高くても、その域に達していないデュエリストが使ってしまえばただの紙束になってしまう。あなたがそのデッキを使いこなすためには、あなた自身が強くならなきゃいけないのよ」
「……」

 そう言われて俯く結衣を見て、ちょっと厳しく言い過ぎたかなと反省する遊希。彼女は手持ちのバックから普段使っていないカードを入れたケースを4個ほど取り出した。

「これは……凄い量のカードです」
「今から少しだけ時間をあげるわ。この中から好きなカードを選んで必要ならデッキに入れてみて。そのデッキで私とデュエルをしましょう」

 遊希はその場に結衣だけを残し、自分は自分の荷物が置いてある場所に向かった。あのカードの中から結衣がどのようなカードを選び、どのようなデュエルをするかを見てみたかったのだ。

(……ちょっと意地悪かな)
―――現実を教える、というためにはいいんじゃないか?

 数分して戻った遊希を待っていたのは遊希が持ってきたカードをデッキに加えてデッキ改造を終えた結衣だった。


結衣 LP4000 手札:5枚
デッキ:37 モンスター:0 魔法・罠:0 墓地:0 除外:0
遊希 LP4000 手札:5枚
デッキ:35 モンスター:0 魔法・罠:0 墓地:0 除外:0


☆TURN01


「先攻は私です。私はモンスターをセット、カードを2枚セットしてターンエンドです!」

 先攻を取った結衣はモンスターを1体、魔法・罠ゾーンにカードを2枚セットしてターンを終えた。


結衣 LP4000 手札:2枚
デッキ:37 モンスター:1 魔法・罠:2 墓地:0 除外:0
遊希 LP4000 手札:5枚
デッキ:35 モンスター:0 魔法・罠:0 墓地:0 除外:0


☆TURN02


「私のターン、ドロー」
「このドローフェイズ時にリバースカードを発動します! 永続罠“閃光を吸い込むマジック・ミラー”!」


※閃光を吸い込むマジック・ミラー
永続罠
このカードがフィールド上に存在する限り、フィールド上・墓地で発動する光属性モンスターの効果は無効化される。


「……そう来たか」

 遊希の使うデッキである【ギャラクシー】【表サイバー】は共に光属性がメインのデッキである。そのため閃光を吸い込むマジック・ミラーを最初に発動されてしまうと遊希は除去カードを引かない限り一気に不利になってしまうのだ。

「これで遊希さんのモンスターの大半は無力になります!」
「そうね、私は光属性のモンスターをたくさん使うからね。個別メタとしてサイドデッキから仕込むカードとしては有効。でもね……」
「……はい?」
「私のデッキが【光属性】のデッキ、と思い込むのはよくないわね。私は手札から魔法カード、竜の霊廟を発動」
「竜の霊廟!? サイバーデッキじゃない……!」
「私が墓地に送るのは通常モンスターの“ハウンド・ドラゴン”。そしてドラゴン族の通常モンスターを墓地に送ったため、さらにライトパルサー・ドラゴンを墓地に送るわ」

 デッキから墓地に送られたのは2体のドラゴン族モンスター。この時点で遊希のデッキは【ギャラクシー】とも【表サイバー】とも違うというのは明らかだった。

(闇属性と光属性のドラゴン……【カオスドラゴン】でしょうか? でもカオスドラゴンならマジック・ミラーの影響を受ける……じゃあ遊希さんのデッキは……?)
「さらに私はこのカードを手札から発動する。魔法カード“サイバー・ダーク・インパクト!”」

※サイバー・ダーク・インパクト!
通常魔法
自分の手札・フィールド上・墓地から、「サイバー・ダーク・ホーン」「サイバー・ダーク・エッジ」「サイバー・ダーク・キール」をそれぞれ1体ずつデッキに戻し、「鎧黒竜-サイバー・ダーク・ドラゴン」1体を融合召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。


「サイバー・ダーク・インパクト!……まさか【サイバー・ダーク】デッキ!?」
「手札の“サイバー・ダーク・エッジ”“サイバー・ダーク・キール”“サイバー・ダーク・ホーン”をデッキに戻し、エクストラデッキからこのモンスターを融合召喚するわ。“漆黒の鎧を纏いし機甲の竜よ、死せる竜の躯を纏いその力を奮え!” 融合召喚! 吠えなさい、“鎧黒竜-サイバー・ダーク・ドラゴン”!!」


※鎧黒竜-サイバー・ダーク・ドラゴン
融合・効果モンスター
星8/闇属性/機械族/攻1000/守1000
「サイバー・ダーク・ホーン」+「サイバー・ダーク・エッジ」+「サイバー・ダーク・キール」
このカードは融合召喚でしか特殊召喚できない。
このカードが特殊召喚に成功した時、自分の墓地のドラゴン族モンスター1体を選択し、装備カード扱いとしてこのカードに装備する。このカードの攻撃力は、この効果で装備したモンスターの攻撃力分アップする。
また、このカードの攻撃力は自分の墓地のモンスターの数×100ポイントアップする。
このカードが戦闘によって破壊される場合、代わりにこのカードの効果で装備したモンスターを破壊する。


「っ……!?」











「そっかぁ、インヴォーカーを持っていなかったのね。もしインヴォーカーがあったら歩美ちゃんは私に勝ってたかもね」

 綾香は先ほどのデュエルの感想を歩美に求められ、素直にそう答えた。もっとも仮に歩美がインヴォーカーを所持しており、クィーンマドルチェ・ティアラミスを召喚していたとしてもセットカードの竜魂の幻泉と強化蘇生という2つのカードでシュンゲイを耐えず蘇生させていたため、あのターンで勝利を手にすることは実際には不可能だったのだが。

「やっぱりつよくなるためにはいいカードをもってなきゃいけないのかなぁ……」
「うーん、確かにいいカードはどれもレアリティが高くて手に入れにくいカードが多いからね……小学生の歩美ちゃんには手が届きにくいカードかも」
「そうなんだぁ……」
「でもインヴォーカーが無くても歩美ちゃんはデュエルできてたじゃない! 初めてのデュエルであんなにマドルチェデッキを使いこなせるなんてすごいと思うわ」

 褒められた歩美は「うう……」と恥ずかしそうに両手を頬に当てる。それを見た綾香もまた胸がキュンキュンとして赤面し両手を頬に当てた。

「小学校とかではデュエルしないの? クラスの子はやらないとか?」
「ううん。クラスでははやってるんだけど、わたしはずかしがりやだしかんじゃうから……」
「そっか、でも大丈夫。勇気を出して話しかけてごらん? きっと歩美ちゃんはみんなともっと仲良くなれるよ。だって今こうして歳上の私と普通に喋ってるんだから!」











「私は2体の陽炎獣ヒュドラーでオーバーレイ! 2体の恐竜族モンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築! エクシーズ召喚! “太古の恐竜は永き時を経て進化する。炎を纏い竜となりて転生せよ!”ランク6! “エヴォルカイザー・ソルデ”!!」


※エヴォルカイザー・ソルデ
エクシーズ・効果モンスター
ランク6/炎属性/ドラゴン族/攻2600/守1000
恐竜族レベル6モンスター×2
エクシーズ素材を持っているこのカードはカードの効果では破壊されない。
相手がモンスターの特殊召喚に成功した時、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除く事で、そのモンスターを破壊する。


「なるほど、ヒュドラーは恐竜族だから無理なくエヴォルカイザー・ソルデを出せるのね!」
「ええ、でもってヒュドラー2体の効果で墓地の陽炎獣2体をオーバーレイユニットにすればオーバーレイユニット4つのソルデが完成するんですよ」
「ターン内の発動制限のない特殊召喚モンスターを破壊する……確かにさっきのデュエルで先攻を取られてたら私は負けてたかもね」
「それで相手の特殊召喚を妨害して動けなくなった相手を“真炎の爆発”からのバジリコックでトドメ!……っていうのがあたしのデュエルの理想なんですけどねー」

 陽炎獣は皆レベルが6なので、普通召喚するなら1体のリリースが必要となる。その重さを陽炎柱のようなサポートカードで軽減したり、守備力200という点を活かしてフレムベル・ヘルドッグの効果で特殊召喚するなど、事故率を限りなく低くしたのが美夏のデッキである。
 ソルデで相手の特殊召喚を阻害して相手の動きを止め、ライフを削り、ソルデのオーバーレイユニットを使い切るかどうかといった形で墓地に陽炎獣が溜まったタイミングで真炎の爆発を発動、素材5体の陽炎獣バジリコックを召喚する、というのが彼女のデッキのコンセプトなのだ。戦法としては十分すぎるレベルであり、動きも理に適っている。千夏でさえもそれを聞いて素直に「よく考えられている」と思ったほどだ。

「だからこそ私が出したダーク・ロウのように墓地を使えなくするカードがきついのね」
「墓地が使えないとヒュドラー2体を出すためのペリュトンの効果も使えないですから」
「その弱点はきついわね。でも正直言うと私がアドバイスできることなんてほとんどないわ。今のままでも十分すぎるほどだもん!」
「んー……」

 指導する立場でありながら千夏は素直に美夏のデッキの完成度を褒め称える。しかし、そんな千夏とは対照的に美夏はその評価を受けてもあまり嬉しそうにはしなかった。

「あれ、どうしたのそんな怖い顔して。もしかして今の言葉が気に障ったかしら……」
「いや、そうじゃないんです。褒めてもらえるのは嬉しいんですけど、なんというか、そこで終わりたくないっていうか。あたしはもっと上を目指したいし、追いつきたい人がいるんです」

 追いつきたい、という存在は美夏にとって親友にあたるとある少女のことだった。その少女は美夏にとって小学校時代からの親友であり、掴みどころのないふわふわとした性格ながら何故か馬が合って今の今まで付き合っている。
 そんな少女はデュエルがとても強く、美夏はその親友に追いつくためにこのイベントに参加した。千夏が言うように自分はデュエルの腕はそこそこあるのだろう。しかし、そのそこそこで満足しているようではきっと、いや絶対にその親友の域まで達することはできない。

「そうなんだ。ごめんなさいね、気持ちも知らずに軽々とそんなこと言っちゃって」
「いえ。千夏さんは何も悪くないから」

 そう言いながらデュエルディスクからデッキを取り出してはパラパラとカードをめくる美夏。エクストラデッキに移り、メインデッキと同じようにカードを眺める中、とあるカードでその指が止まった。

「どうしたの?」
「いや、別に……」

 覗き込んだ千夏が見たのはまず【陽炎獣】デッキには入らないようなとあるシンクロモンスターだった。

「このカード、やっぱり抜いたほうがいいですよね?」

 美夏によると、このカードと出会ったのはその親友の依頼を受けてカードショップに行ったときに偶然見つけて購入したカードだった。それ以来、このカードはその親友のことを忘れないように、としてエクストラデッキに入れている、言わばお守り代わりのモンスターなのである。

「いくら友達のカードだからといって使いもしないのにデッキに入れておくのは……」
「あら、いいんじゃない?」
「えっ?」
「私はそういうの好きよ。その子は美夏にとって大事な友達なんでしょ? その友達と一緒に戦っているなんて燃えるじゃない!」
「……千夏さんってマジで熱いですよね。でも、その熱さは嫌いじゃないです」
「そうね、ならそんな熱い私とデュエルよ! 強くなるには場数を踏むのが一番! もっともっと熱くなるんだから!」
「えー……」










「なるほど……凛さんのデッキですが、チェーンバーンの完成形に近いものと言っていいでしょうね」

 詩織もまた凛と心のデッキを確認していた。凛のデッキは【チェーンバーン】を称するだけあってチェーンを重ねて相手にダメージを与え、そのバーンダメージのみで勝つことに特化したデッキとなっていた。
 必要なカードを早めに揃えることができれば、先ほどの心とのデュエルの時のように相手に何もさせずに勝つことだって可能なポテンシャルを秘めている。

「へへっ、褒められちゃった。さすがボク」
「しかしそのデッキにも欠点はあります。凛さん、あなたはこのカードを出された場合はどうしますか?」

 そう言って詩織が真面目な顔をしてみせたのは“王宮のお触れ”だった。王宮のお触れはこのカードがフィールドに存在する限り、このカード以外の罠カードの効果を全て無効にしてしまうカードだ。
 一時期は魔法カードの発動を許さない“ホルスの黒炎竜”とのコンボで一世を風靡したカードであり、時代が進んだ今でも対罠カードメインのデッキに対するメタカードとして機能している。

「相手が先攻を取り、1ターン目にこのカードを引き当ててセットしてターンを凛さんに回します。凛さんがドローしたタイミングでこのカードを発動されてしまえば凛さんのデッキはほぼ手詰まりと言っていいでしょう」
「確かに……」

 アカデミアでのデュエルや今回のイベントでは基本シングル制のデュエルだが、大会ではマッチ制を取り入れているところもたくさん存在する。その場合、1戦目で相手のデッキを見極め、2戦目以降でサイドデッキに入れてあるこのカードを入れて来ることが予想される。
そうなった場合の対処カードを入れておかなければ凛に勝ち目はまずないだろう。そう言った駆け引きの巧さもまたデュエリストには求められるスキルなのだ。

「そうだなぁ……サイクロンとかは積んでおくとして……まあもしサイクロンが引けなかったらスパッと諦めちゃいます!」
「ええ……そ、そんなところで思い切りの良さを発揮しないでくださいね。えっと、次は心さんのデッキですが……爬虫類族が好きとだけあって爬虫類族のオンパレードですね」

 心は人形を肌身離さず持つなど【ワーム】がお気に入りなのは見て取れるが、彼女のデッキにはワームのみではなく【ヴェノム】【エーリアン】のカードも投入されていた。

「爬虫類族は比較的マイナーな種族とだけあって強力なサポートカードは多いですが……さすがに雑多と言わざるを得ないですね」
「……では、私のデッキはどうすれば……」
「もう少しモンスターの数を絞って戦術を特化してみましょうか。幸い勝ち筋は見えていますから……」











 一方で詩織と同じくデッキを見ていたエヴァは悩んでいた。ベアトリスのデッキであるが、デッキを見た限り心以上に雑多なデッキとなってしまっていた。もちろんエヴァにもベアトリスがやりたいことはわかっているのだが、実際にデッキをシャッフルしてドローしてみると、下級モンスターならびにチューナーモンスターの数がだいぶ少ない印象を受けた。

(元々【ジェネクス】というカテゴリーはそれ自体をメインに組むカテゴリーではありまセン。他のカテゴリーのサポート役として徹して本領を発揮するデッキと言えマス)

 現役プロデュエリストのエヴァが言えば、ベアトリスはデッキ改造に異を唱えることはないだろう。しかし、デッキというものは作ったデュエリストの魂が、想いが込められているものである。
 それをあくまで他人でしかないエヴァが手出しして変えてしまっていいものなのか。プロとして活躍するエヴァだからこその悩みであった。

「あの、エヴァさん……?」
「アッ、アア、なんですかベアトリスサン!」
「何か私のデッキに問題でも……」
「いっ、イヤ! そんなことはないデスヨ!」
「……エヴァさん」

 ベアトリスは無理やり笑顔を繕うエヴァのおでこをツンと突く。エヴァはよくわからない奇妙な声を上げて驚いた。

「エヴァさんは優しいんですね。こんな私のことを気遣ってくれて……」
「ベアトリスサン……私は酷いデュエリストデス。デュエリストの想いが込められているデッキにメスを入れようと……」
「ですがエヴァさんは指導する立場なんですよ? もし私に至らない点があったら言ってください。エヴァさんの言葉には力がありますし、私はエヴァさんを信じていますから」
「……ごめんなさい、そうデスネ。私、頑張りマス!」











「ライトパルサー・ドラゴンでダイレクトアタック! “ライトパルス・バースト”!!」

ライトパルサー・ドラゴン ATK2500

結衣 LP1200→0

「っ……!!」

 あの後、墓地のライトパルサー・ドラゴンを装備して攻撃力を3500までアップさせた鎧黒竜-サイバー・ダーク・ドラゴンをなんとか除去した結衣であったが、破壊されたライトパルサー・ドラゴンの効果で墓地に送られていたレッドアイズ・ダークネス・メタルドラゴンの蘇生を許してしまった。
 互いが互いを蘇生しあうレッドアイズとライトパルサーという2体のドラゴンが織りなすコンボの前に最初のデュエルの時よりかは善戦したものの、結果力尽きてしまった。

「今回は私の勝ちね。ごめんなさい、不意打ちだったかしら? でも1人のデュエリストがデッキを複数個持ってはいけない、というルールは基本的には存在しないわ」
「私は遊希さんといえば光属性のデッキという固定概念を捨てきれませんでした。なので閃光を吸い込むマジック・ミラーを出しただけで慢心していた一面があったと思います」
「そうね。メタカードはハマれば有効だけど、外した時はフィールドを圧迫するだけのカードになる。その辺りの使いどころは重要よ。ただ……」

 遊希は今回「光属性のデッキを使ってくる」という結衣の読みを逆手にとって闇属性メインの【サイバー・ダーク】デッキを使った。不意を突く形となったが、遊希は最初のデュエルの時も今のデュエルも常に結衣の弱点を常に見ていた。

「でもデュエルの勝ち負けより大事なことがあなたにはあるわ」
「勝ち負けより……大事なこと?」
「あなたは感情や表情が思っている以上に顔に出やすいのよ。私がサイバー・ダーク・インパクト!を発動した時、ひどく動揺していたわ。デュエルは心理戦でもある。自分の予測が外れたからといっていちいち動揺していたらあなたはいつまで経っても勝ち続けることはできない」
「っ!」
「言葉は悪いけど言わせてもらうわ。結衣、今のあなたはそのデッキを使いこなせていない。あなたはデッキに使われている。それでは本当の意味で強くなれない」
「……」

 遊希のその言葉にがっくりと肩を落とす結衣。遊希はそんな彼女の肩に手を置いて隣に座った。

「ごめん、やっぱり私教えるの下手よね。口も悪いし、でも……私はあなたを決して見捨てない」
「遊希さん……」
「私は今までデュエリストとして学んできたことを精一杯教えるから。だから、いっしょに頑張りましょう?」


 十人十色ならぬ五人五色の教え方で自分たちの学んできたことを伝える遊希たち。2時間はあっという間に過ぎていった。






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光芒
第90話(番外編第9話):五人五色な決闘者


サブタイトルの「五人五色」は造語であり「十人十色」の捩りとなっております。
今回は遊希・綾香・千夏・詩織・エヴァの5人がどんな形で指導するか、ということを描ければと思っています。

・厳しいながらも的確なアドバイスを送る遊希
・目標に向かって共に歩んでいこうとする綾香
・とにかく実戦あるのみ、まっすぐな千夏
・自分の経験と知識を元に足りないものを補おうとする詩織
・相手の意志を尊重し、一緒に作り上げていこうとするエヴァ

5人の指導スタイルはだいたいこんな感じでしょうか。
遊希と千夏、綾香とエヴァは結構似てると思いますが。 (2016-03-14 12:17)
Ales(from SP)
おおー、皆真面目に指導してる!遊希さんの熱い一面が垣間見えてますね。これはスキルアップした面々が楽しみです。
ところで、千夏に松○修造がインストールされているようn### このコメントはダークロウに除外されました### (2016-03-14 12:56)
ター坊
ロリ乃さんの汚名返上なるか?
裏サイバー流(?)の第3のデッキを持ち出す辺り、遊希のガチさが伝わります。
私だったら…熱血の千夏かやんわりな詩織に教えて欲しいかも。 (2016-03-14 15:10)
クトゥルフ大好きな人
いよいよ本格的に指導が始まりましたね。人に何かを教えるなれば、その3倍の知識がいるとか何とか聞いたような記憶が(´・ω・`)俺には無理ですわ←おい
この数日で5人がどんなに成長していくのか楽しみです! (2016-03-14 15:14)
名無しのゴーレム
頑張れ結衣。彼女の問題だけは経験を重ねるしかないですから、天然の鬼教官っぽさを醸し出す遊希先生の元で、どこまで成長出来るか……楽しみですね。 (2016-03-14 18:59)
光芒
>Alesさん
3日間、という設定なのでこの限られた時間でどのように成長したかを描ければいいんですけどね。ただせっかく応募して頂いたキャラなので物語の都合上勝敗が出てしまうのが少し辛いところです。

千夏「もっと熱くなりなさいよ!」
千夏「お米食べなさい!」

あれ、意外とハマってる(殴


>ター坊さん
ロリ乃さん(by遊希)の汚名返上の時はいつになるのか……このまま汚名着せたままの方が面白いかもしれないと思ってしまう私。
遊希はいつだってガチですね。デュエルにおいては空気は読まない主義なので。まあデッキ内容的に表サイバーもサイバー・ダークも海皇水精鱗の足元にも及ばないのですが;

やっぱり千夏か詩織大人気ですね。主役じゃない分こういうところで人気が出ると嬉しいです。

>クトゥルフ大好きな人さん
「人に何かを教えるなれば、その3倍の知識がいる」
それよく言われますよね……自分にはそれだけの知識がないから教え下手なのかも。
この番外編でみんなの成長を描ききれるかどうか不安ですが、最後まで頑張って走りぬきます。

>名無しのゴーレムさん
結衣は結衣で強くなりたい、という気持ちが折れない限り遊希にはついていけると思っています。
遊希と組ませたのはそのためですし……あとは遊希との好感度アップイベントも挟みたいです。

次話更新は3/15夜~3/16の予定です。
(2016-03-15 12:11)

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50 第64話:激突! 青眼VS真紅眼! 1406 3 2016-01-21 -
107 第65話:光の導き 1316 2 2016-01-24 -
104 第66話:立ち上がる時 1354 4 2016-01-27 -
86 第67話:不滅の戦士! 幻影騎士団 1414 2 2016-01-30 -
121 第68話:不可解なこと 1462 2 2016-02-02 -
77 第69話:千夏との誓い 1300 3 2016-02-05 -
70 第70話:あの日、あの時 1374 4 2016-02-08 -
123 第71話:黒幕との接触 1568 3 2016-02-10 -
138 第72話:決別の時 1651 3 2016-02-12 -
101 第73話:思いを一つに 1380 3 2016-02-15 -
98 第74話:邪なる同調 1459 2 2016-02-17 -
43 第75話:精霊の奇跡 1382 4 2016-02-19 -
108 第76話:星天の再会 1384 2 2016-02-22 -
111 第77話:ペンデュラムの脅威! 1432 4 2016-02-24 -
118 第78話:渾身のドロー 1628 2 2016-02-26 -
99 1万アクセス突破記念企画開催! 1843 0 2016-02-26 -
50 第79話:覇王黒竜の目覚め 1392 4 2016-02-28 -
43 第80話:進化する銀河龍 1478 2 2016-03-01 -
130 第81話:変わらぬ友情 1455 7 2016-03-03 -
106 第82話:集う決闘者 1688 6 2016-03-04 -
131 第83話:小さくたって決闘者 1703 7 2016-03-05 -
96 第84話:決意を秘めた決闘者 1427 9 2016-03-07 -
73 第85話:歩み始めた決闘者 1515 13 2016-03-08 -
114 第86話:真意を告げた決闘者 1571 7 2016-03-09 -
102 第87話:ポンコツ揃いな決闘者 1595 7 2016-03-10 -
61 第88話:とにかく可愛い決闘者・1 1497 10 2016-03-11 -
91 第89話:とにかく可愛い決闘者・2 1535 8 2016-03-13 -
89 第90話:五人五色な決闘者 1434 6 2016-03-14 -
125 遊希たちが4月改訂を語るようです 1469 8 2016-03-16 -
70 第91話:夕刻迎えし決闘者 1371 6 2016-03-16 -
87 第92話:解き放たれた決闘者 1612 6 2016-03-18 -
70 第93話:秘密を打ち明けた決闘者 1734 7 2016-03-20 -
64 第94話:一計案じる決闘者 1256 8 2016-03-22 -
75 第95話:絆深める決闘者 1436 10 2016-03-23 -
73 第96話:矛を交える決闘者・1 1386 9 2016-03-25 -
114 第97話:矛を交える決闘者・2 1311 6 2016-03-27 -
110 第98話:矛を交える決闘者・3 1407 7 2016-03-29 -
70 第99話:矛を交える決闘者・4 1390 7 2016-03-31 -
83 第100話:熱戦の決闘者・1 1366 6 2016-04-02 -
118 第101話:熱戦の決闘者・2 1408 10 2016-04-05 -
77 第102話:熱戦の決闘者・3 1420 11 2016-04-07 -
70 第103話:熱戦の決闘者・4 1375 6 2016-04-09 -
102 第104話:熱戦の決闘者・5 1503 6 2016-04-11 -
94 第105話:熱戦の決闘者・6 1442 6 2016-04-13 -
58 第106話:決戦に臨む決闘者・1 1374 6 2016-04-15 -
117 第107話:決戦に臨む決闘者・2 1446 11 2016-04-18 -
74 第108話:別れの時を迎える決闘者 1444 10 2016-04-20 -
66 番外編前編について遊希たちが語るようです 1471 6 2016-04-21 -
96 第109話:2通の手紙 1555 11 2016-04-23 -
92 第110話:青き眼のアトラクション 1477 6 2016-04-25 -
121 第111話:新時代のデュエル 1426 6 2016-04-27 -
80 第112話:ドラグーン 1341 6 2016-05-01 -
104 第113話:アクセラレーション! 1420 7 2016-05-03 -
105 第114話:熱気溢れしサーキット 1233 6 2016-05-06 -
128 第115話:新たなるブラックフェザー 1291 5 2016-05-10 -
128 第116話:疾走の果てに 1494 7 2016-05-12 -
48 第117話:ノンストップ・ガールズ 1520 6 2016-05-14 -
67 第118話:夏の終わり 1443 9 2016-05-16 -
111 第119話:謎の美少女 1496 4 2016-05-19 -
80 第120話:真・究極 1364 8 2016-05-21 -
54 第121話:遊希の動揺、遊望の微笑 1324 4 2016-05-23 -
58 第122話:聖夜の悲劇 1289 6 2016-05-25 -
51 30000アクセス記念企画を少々。 1214 5 2016-05-27 -
74 第123話:姉として 1333 3 2016-05-29 -
65 第124話:対峙する竜と龍 1373 3 2016-06-01 -
54 第125話:顕現せし遊望の精霊 1408 5 2016-06-03 -
57 第126話:No.(ナンバーズ) 1429 4 2016-06-06 -
101 第127話:届かぬ言葉 1406 7 2016-06-08 -
69 30000アクセス記念企画 1613 4 2016-06-10 -
60 第128話:白紙のカード 1345 6 2016-06-14 -
116 第129話:青空の下で 1239 3 2016-06-17 -
124 第130話:白いドラゴンとの邂逅 1503 4 2016-06-20 -
66 第131話:試練のデュエル 1340 4 2016-06-23 -
60 第132話:第四の精霊 1264 5 2016-06-26 -
106 第133話:舞い降りる閃珖竜 1394 4 2016-06-29 -
62 第134話:親友に託された力 1258 3 2016-07-02 -
96 第135話:涙の誓い 1318 4 2016-07-06 -
96 第136話:次元転送装置 1274 3 2016-07-09 -
91 第137話:新たなる竜星 1430 5 2016-07-12 -
54 第138話:綾香の忘れたもの 1255 4 2016-07-15 -
131 第139話:決闘者たちの選択 1225 5 2016-07-19 -
99 第140話:2人の真意 1282 7 2016-07-24 -
63 第141話:精霊界への旅立ち 1316 4 2016-07-28 -
59 第142話:黒き魔術師と弟子 1260 3 2016-08-02 -
116 第143話:七星将軍の襲撃 1320 3 2016-08-05 -
87 精霊界 登場キャラクター(9/14更新) 1340 0 2016-08-07 -
65 第144話:英雄と炎拳・1 1237 5 2016-08-10 -
70 第145話:英雄と炎拳・2 1208 4 2016-08-14 -
62 第146話:騎士王の覚醒 1215 6 2016-08-17 -
74 第147話:竜姫神と岩の合成獣・1 1291 3 2016-08-21 -
70 第148話:竜姫神と岩の合成獣・2 1256 2 2016-08-23 -
46 第149話:過去への鎮魂歌 1303 7 2016-08-26 -
86 50000アクセス記念企画~短編集・1~ 1327 3 2016-08-28 -
82 第150話:機械の身体に宿る心 1136 0 2016-08-31 -
52 第151話:空を超えて 1107 0 2016-09-03 -
113 第152話:竜と機械の大会戦 1185 0 2016-09-08 -
55 第153話:竜領域のナンバーズ 1209 0 2016-09-13 -
78 50000アクセス記念企画~短編集・2~ 1458 7 2016-09-17 -
102 遊希たちが10月改訂を語るようです 1285 4 2016-09-19 -
78 第154話:望まぬ戦い 1167 2 2016-09-23 -
65 第155話:正しさと過ち 1151 4 2016-09-27 -
55 第156話:少女の決意 1260 2 2016-10-01 -
116 第157話:遊希に起きた異変 1345 4 2016-10-05 -
110 第158話:未知なるデッキ 玻星光 1290 3 2016-10-08 -
111 第159話:玻璃の如く純粋に 1287 2 2016-10-12 -
106 第160話:限界を超えて 1254 3 2016-10-15 -
128 第161話:決戦 1263 3 2016-10-18 -
96 第162話:精神の成長 1234 2 2016-10-21 -
46 第163話:聖なる珖放つ神の竜 1267 4 2016-10-24 -
40 第164話:絆が紡いだ道 1361 6 2016-10-27 -
66 第165話:戦いの終わり 1323 4 2016-10-30 -
58 番外編 Trick or Treat 1197 5 2016-10-31 -
108 第166話:終わりの始まり 1394 9 2016-11-04 -
106 第167話:最期のワガママ 1441 4 2016-11-07 -
117 第168話:声なき再会の誓い 1311 4 2016-11-10 -
89 番外編:11月11日 1200 5 2016-11-11 -
70 第169話:七皇激突 1149 3 2016-11-15 -
48 第170話:怒りに生まれし竜 1122 3 2016-11-17 -
129 第171話:紅き新星竜 1423 5 2016-11-19 -
77 第172話:未来を賭けた戦い・1 1316 4 2016-11-22 -
116 第173話:未来を賭けた戦い・2 1225 3 2016-11-24 -
125 第174話:未来を賭けた戦い・3 1218 4 2016-11-28 -
133 第175話:神の目覚め(修正済) 1227 5 2016-11-30 -
147 第176話:ゴッド・ナンバーズ 1575 5 2016-12-02 -
99 第177話:次元を越える想い 1454 4 2016-12-05 -
138 第178話:天地創造の龍 1447 3 2016-12-07 -
106 第179話:希望への道 1361 3 2016-12-09 -
134 第180話:別れの時 1268 4 2016-12-11 -
104 第181話:少女たちの帰還 1211 5 2016-12-13 -
57 遊希たちが1月改訂を語るようです 1161 7 2016-12-15 -
121 第182話:バースデイ 1412 3 2016-12-17 -
95 第183話:星龍皇覚醒・1 1237 3 2016-12-19 -
102 第184話:星龍皇覚醒・2 1206 4 2016-12-21 -
80 第185話:星龍皇覚醒・3 1120 4 2016-12-22 -
96 番外編:一番のプレゼント 1209 5 2016-12-25 -
117 第186話:星龍皇覚醒・4(修正済) 1318 3 2016-12-26 -
98 星龍皇 設定・カード紹介 1313 0 2016-12-29 -
62 第187話:星龍皇覚醒・5 1214 4 2016-12-30 -
99 番外編:新年 1216 4 2017-01-01 -
75 第188話:星龍皇覚醒・6 1085 2 2017-01-04 -
114 第189話:星龍皇覚醒・7 1209 3 2017-01-07 -
57 第190話:神星龍皇と課せられた運命 1397 3 2017-01-09 -
126 エピローグ:未来 1666 10 2017-01-13 -
91 番外編:2月3日 1165 4 2017-02-03 -
89 番外編:愛と友情のチョコレート 1031 4 2017-02-14 -
80 番外編:桃(色)の節句 1088 4 2017-03-04 -
126 感謝とお知らせ 1258 2 2017-05-04 -
79 番外編:Gift 1109 2 2017-12-25 -
141 ゴブリンと青眼(ブルーアイズ) 1089 2 2018-01-14 -
113 アフターストーリー:星乃 綾香編・1 1746 2 2018-05-24 -
83 アフターストーリー:星乃 綾香編・2 988 2 2018-05-28 -
95 アフターストーリー:星乃 綾香編・3 910 2 2018-05-30 -
122 アフターストーリー:星乃 綾香編・4 1036 2 2018-06-03 -
114 アフターストーリー:星乃 綾香編・5 1076 4 2018-06-06 -
53 アフターストーリー:陽川 千夏編・1 835 2 2018-08-14 -
64 アフターストーリー:陽川 千夏編・2 834 3 2018-08-20 -
103 アフターストーリー:陽川 千夏編・3 865 3 2018-08-23 -
64 アフターストーリー:陽川 千夏編・4 845 2 2018-08-25 -
37 アフターストーリー:陽川 千夏編・5 767 3 2018-08-30 -
62 『雪と光竜と夢幻世界』コラボ・1 904 2 2018-09-01 -
204 『雪と光竜と夢幻世界』コラボ・2 1017 3 2018-09-07 -
94 『雪と光竜と夢幻世界』コラボ・3 741 0 2018-09-09 -
60 『雪と光竜と夢幻世界』コラボ・4 843 3 2018-09-12 -
119 番外編:願う幸福 1421 2 2018-12-25 -

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