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第八十二話「強き者」 作:イクス
第八十二話「強き者」
遊太がJ4と戦った翌日。異変が起きていた。
「おおーい遊太! いねえのか!」
遊太の家のドアをドンドンと連打する菊姫。隣には、知多と真薄もいた。(ついでに菊姫の取り巻きやコジローも)
「昨日なんかあったのか? 今日一緒にポイント集めに行こうって行ってたのに、なんで来ねえんだよ!」
ドアを乱暴に連打する菊姫。それに耐えかねたのか、ドアが開いてユイが出てきた。
「ドアをそんなに叩かないでくだサイ……聞こえてマス」
「いるんなら出てきてくれよ。遊太なんでいねえの?」
「ええ~っと……遊太サンは昨日、J4の一人と戦って、負けたそうデス……」
「負けたのか!? あの遊太が!?」
「それも、一切文句なしの完敗だそうデス……」
「マジかよ……あの遊太でさえ、そんな風になんのかよ!」
「J4、おして知るべしですね……」
「そんなヤツと、戦わなきゃいけないってことかじゃん!? ヤバイじゃん!」
「遊太でさえあんな風に……かよ!」
「そのショックのせいか、今朝もあまりご飯を食べてないのデス……」
「ウッソだろ……」
「デスから、昨夜はお父さんがいろいろと……」
「あー……ともかくアタシらはアイツを探して来るから、ユイも手伝ってくれな!」
「ハイ!」
そうして、菊姫たちは遊太を探すことにした。
一方その頃、遊太はというと。
「ハァ……」
公園のベンチで、うなだれていた。
「まさか、僕のデュエルが全然通用しないなんて……」
前回戦った、J4こと明石慎之介とのデュエル。かつて帝国のデュエルはおろかプラクサスの大会も征した、うぬぼれていたわけではないが、それでも……ショックを受けるには十分すぎた。
自分よりも、遙かに強い。D1グランプリには、あんなレベルのデュエリストがたくさんいると言うのか……。
打ち砕かれた自信、プライド。そんな喪失感が、遊太の中にあった。
「勝つための、勝つデュエル……あの人からはそれを感じた……。なら、僕のデュエルは一体……?」
思い悩んでいると、前から――。
「探したぜ、遊太」
声が聞こえた。声の主は、キャップに黒髪、アキラであった。
「お前の友達から聞いたぜ、なんでもJ4にコテンパンにやられて、ショック受けたんだってな?」
「う、うん……恥ずかしながら……」
「そんで、こんなとこでジメジメしていたって訳か。ハッ、かつてのプラクサスチャンピオンも形無しだな」
「笑いたければ、笑って良いよ」
「あ? 誰が笑うかよ。それに、お前の気持ちはよくわかるんだぜ?」
「え?」
「俺も、同じだからさ」
アキラは語り始めた。それは、昨日のプラクサスの某所。
「な~んだ。プロって言っても、下位クラスは案外たいしたこと無いヤツばっかだな」
「つ、強い……これが、小学生の実力なのか!?」
プロデュエリストが集まってポイントを集めている中、そこに乱入して勝ちまくっている少年がいた。
「八神アキラ……これ程とは!」
そう、アキラである。下位クラスとはいえ、プロデュエリスト相手に物怖じせずデュエルする、相当の実力を持つデュエリスト。遊太たちとは別行動で、彼もまたD1グランプリへと出場しようとしていた。
「プロデュエリスト……ならもうちょい強いかと思ってたのに、下位クラスはこんなもんか~。期待外れだぜ。やっぱプロなら……あの人とかの方が、グランプリクラスなんじゃねえの?」
「ほ~、いつの間にか前みたいにデカイ口叩くようになってんじゃん」
その声が聞こえた時、会場が一瞬静まりかえる。そして、ざわざわとどよめく。
「アイツらだ……」
「日本プロランクトップ3の3人だ……」
「2位の北海千歳(きたうみちとせ)、3位の河合美里(かわいみり)、そして1位の……才羽亮(さいばりょう)……! 日本トッププロの3人が、なぜここに!?」
入ってきたのは、多い髪の毛をツインテールにしている、人形のようなドレスを着た若い女性と、いかめしい顔をしたコートの男、そしてタンクトップに長ズボンのモサモサした髪の毛の緩い男だった。
「キャハッ! 下位クラスがみんなで集まってポイント稼ぎしてる~。30ポイントの1次予選を、みんなで固まって稼ごうなんて、プライドなさ過ぎでしょ!」
「たわけ美里、彼の言ったことをもう忘れたのか。門戸は広く、本戦は狭く。それがあの大会の理念だ。出場に選手生命をかけているヤツもいるのだろう。だからあまり他選手を茶化すな」
「はいはーい。相変わらず1位様は言うことがお堅いことで」
美里が亮にたしなめられている時、アキラはモサモサ頭の方に視線を向けていた。
「千歳さんじゃないですか」
「お~アキラ、久しいな~。ちょっと前はなんか思い詰めた顔してたのに、すっかり元に戻っちまって」
「千歳さんこそ、相変わらず緊張感ねえカッコとツラしてますね」
「千歳、この子が昔、お前がデュエルを教えたという子供か?」
「んあ~。この子が5才の頃出会って、デュエルを教えたらこの通り……ってな感じ。んま~、コイツはモノが違うもんで、あっという間に大会制するようなヤツですから。でもお前、なんかぽっと出のヤツに負けたって話だろ? 確か名前は……六道遊太だっけ?」
「もう耳に入ってたんすか、アイツのこと。ま、ひとまずはアイツにリベンジすることも予定にしてましたけど……今は、ちょっと目の前の相手も倒してみたい……なんて思ってますけどね」
「へぇ~、俺を倒すって?」
「そうですよ、千歳さん。何回やっても勝てませんでしたけど、俺だってまだまだ成長してんですからね」
「んま、挑戦なら受けて立ってやるよ。何回でもな~」
デュエルディスクを取り出し、腕につける。
「さ……行こうか!」
すると千歳の顔から緩さが消える。一瞬で勝負の目となった。
「やっぱ、千歳さんはデュエルになるとマジモードになりますね。なら、俺も!」
アキラもデュエルディスクをつけて、応戦態勢を取る。
「行きますよ!」
「おう!」
「「ルールはマスタールール3! ライフポイントは8000!」」
「「デュエル!」」
デュエルの様子を、遠巻きに見る美里と亮。
「いいの? あの子負けちゃうかもよ?」
「いや、別に良いだろう。千歳が育てたというデュエリスト、見てみたいと思った所だ」
「あ、そ……」
そして、アキラと千歳が先攻後攻を決める。
「先攻後攻は?」
「どちらでも?」
「なら、先攻を取らせてもらいますよ、千歳さん」
1・アキラのターン
「俺のターン!」
「俺は手札から、魔法カード『ドラゴン目醒めの旋律』を発動! 手札の『巨神竜フェルグラント』を墓地へ送って、デッキより攻撃力3000以上かつ守備力2500以下のドラゴン族モンスターを2体手札に加える。俺が手札に加えるのは、『青眼の白龍』と『青眼の亜白龍』」(アキラ墓地0→2)
「そして手札の『青眼の白龍』を公開し、このカードは手札から特殊召喚できる。出ろ、『青眼の亜白龍』!」(アキラ手札5→4)
「そして手札から魔法カード『トレード・イン』を発動。手札のレベル8モンスターを1体を墓地へ送って、2枚ドローする。俺は『青眼の白龍』を墓地へ送って、2枚ドローする」(アキラ墓地2→4)
「そして俺は手札から、レベル1チューナー『太古の白石』を召喚!」(アキラ手札4→3)
「レベル8の亜白龍に、レベル1の白石をチューニング! 精霊の力を身に宿し白き龍よ、今こそ天空へ飛び立て! シンクロ召喚! 現れろレベル9『青眼の精霊龍』!」(アキラ墓地4→6)
そうして現れた、透き通った体を持つ白き龍。守備力は3000。
「そして、カードを2枚伏せ、速攻魔法『超再生能力』を発動。このターンのエンドフェイズ、手札から捨てた、もしくはリリースしたドラゴン族モンスター1体につき、1枚ドローできる。このターン捨てたのは2体。よって俺はエンドフェイズに2枚ドローできる」(アキラ手札3→0)(アキラ墓地6→7)
「エンドフェイズ、俺はデッキより2枚ドローし、このターン墓地へ送られた『太古の白石』の効果で、俺はデッキから『深淵の青眼龍』を特殊召喚する!」(アキラ手札0→2)
「そして特殊召喚された『深淵の青眼龍』の効果で、俺はデッキから儀式魔法『カオス・フォーム』を手札に加え、エンドフェイズだからデッキよりレベル8以上のドラゴン族モンスター『ブルーアイズ・カオス・MAX・ドラゴン』を手札に加える」(アキラ手札2→4)
アキラ
ライフポイント8000
手札枚数4枚
モンスター2体
『青眼の精霊龍』(守備表示・守備力3000・光属性・レベル9)
『深淵の青眼龍』(守備表示・守備力2000・光属性・レベル8)
魔法・罠ゾーンのカード2枚
発動しているカード0枚
墓地の枚数7枚
除外されているカード0枚
「1ターン目から手札をほとんど減らさず、強力なモンスターを並べるとは、相変わらずやるねー」
「まだまだ俺だって……でも、千歳さんはこんぐらい難なく越えてくるんでしょう?」
「ま、それはそうかもな。見てろよ」
2・千歳のターン
「俺のターン、ドロー」(千歳手札5→6)
「俺は 手札からフィールド魔法『竜の渓谷』を発動!」(千歳手札6→5)
突如千歳のフィールドが深い谷間となる。そこは、ドラゴンが、ドラゴンに乗った者たちが飛び交っている。
「いきなり手札にそれなんて来てんじゃない?」
「あのフィールド魔法は、千歳にとっても重要なフィールド魔法だ」
だが、アキラはそれを見逃さない。
「やらせねえよ。リバースカード、オープン! 罠カード『砂塵の大竜巻』!」
「やはり、そう来たか!」
「相手フィールドの魔法・罠を1枚破壊! 俺が破壊するのは、当然『竜の渓谷』!」(アキラ墓地7→8)
吹き荒れる砂混じりの竜巻が、渓谷を破壊する。
「ま、それぐらいはやってくるよな」(千歳墓地0→1)
「『砂塵の大竜巻』の効果で、俺は手札から魔法・罠を1枚伏せる」(アキラ手札4→3)
「だけど、何も対抗策が無い訳じゃないんだぜ? 俺は手札の『ドラグニティ-レムス』の効果発動。このカードを手札から捨てて、デッキより『竜の渓谷』を手札に加える」(千歳墓地1→2)
「くっ、囮か……」
「そしてもっかい、手札から『竜の渓谷』を再び発動。効果発動。手札1枚をコストに、2つの効果から1つ選んで適用できる。1つはレベル4以下の『ドラグニティ』モンスターを1体手札に加えるか、デッキからドラゴン族モンスター1体を墓地へ送る。俺は手札の『ドラグニティ-ファランクス』を捨てて、デッキより『ドラグニティ-ドゥクス』を手札に加える」(千歳手札5→4→3→4)(千歳墓地2→3)
「手札から『ドラグニティ-ドゥクス』を召喚!」(千歳手札4→3)
現れたのは、人型の鳥獣。召喚されると同時に、口笛を吹く。
「ドゥクスは召喚された時、墓地のレベル3以下の『ドラグニティ』と名の付いたドラゴン族モンスターを1体、このカードに装備できる! 俺は墓地のレベル2チューナーファランクスをドゥクスに装備!」(千歳墓地3→2)
口笛に呼応して、墓地よりドラゴンが飛ぶ。それにドゥクスが乗る。
「出たわね! 千歳のいつもの手!」
「鳥竜一体、それが千歳の『ドラグニティ』だ」
「そしてファランクスの効果、コイツは装備状態の時、装備されているこのカードを魔法・罠ゾーンから特殊召喚できる」
ドゥクスがファランクスから飛び降り、横に並ぶ。
「行くぜ、俺はレベル4のドゥクスに、レベル2のファランクスを……」
「待った! 罠カード『無力の証明』! このカードは、自分フィールドにレベル7以上のモンスターがいる時、相手フィールドのレベル5以下のモンスターを全て破壊する! 今俺のフィールドには、レベル8と9がいるから、アンタのモンスターは破壊だ!」
「あら~、そう来る? 意外と対策してきてんのね」(千歳墓地2→4)
「そんなもん、簡単にやらせてたまるかよ」
「だが、甘いぜ。自分フィールドに『竜の渓谷』か『ドラグニティ』モンスターがある時、手札の『ドラグニティ・レガトゥス』を特殊召喚する!」(千歳手札3→2)
「更に、フィールドに『ドラグニティ』がいる時、墓地のレベル2チューナー『ドラグニティ-レムス』は特殊召喚できる!」
「立て直して来るか……なら俺は、精霊龍の効果を発動! 墓地のカードの効果発動を無効化する!」
「おっと無効化されたか。じゃあこっちだな。装備魔法『ドラグニティの神槍』をレガトゥスに装備! このカードは『ドラグニティ』の攻撃力を装備モンスターのレベル×100ポイントアップさせ、罠カードの効果を受けなくさせる」(千歳手札2→1)
「だが、神槍の効果はそれだけじゃない。デッキから『ドラグニティ』チューナーを1体装備できる。俺は墓地へ送って、レベル2の『ドラグニティ-クーゼ』を装備する」
「また、チューナーが装備された……!」
「クーゼの効果、このモンスターも装備状態からモンスターゾーンに特殊召喚できる」
「3回も止めたって言うのに、シンクロの準備をされてしまった……!」
アキラは苦々しい顔をする。それを見て美里は。
「ま、あの程度止めたぐらいじゃじゃあたしたちは止められないからね~」
「プロの上位はこれぐらいでは止められん」
「行くぞ! 俺はレベル4のレガトゥスに、レベル2のクーゼをチューニング! シンクロ召喚! 現れろ、レベル6『ドラグニティナイト-ヴァジュランダ』!」(千歳墓地4→7)
現れたのは、攻撃力1900のドラゴン……とそれに乗った鳥人。すると墓地から、ファランクスもついてくる。
「ヴァジュランダがシンクロ召喚に成功した時、墓地の『ドラグニティ』ドラゴン族チューナー1体を装備できる。俺が装備するのは、当然ファランクス」(千歳墓地7→6)
「……て、ことは……」
「そう、ファランクスの装備解除効果にターン制限は無い。よって俺はもう一度、俺はファランクスを特殊召喚する」
「そして、レベル6のヴァジュランダに、レベル2のファランクスをチューニング! シンクロ召喚! 現れろレベル8『ドラグニティナイト-バルーチャ』!」(千歳墓地6→8)
「こうも簡単に……」
「バルーチャはシンクロ召喚に成功した時、墓地から『ドラグニティ』ドラゴン族モンスターを任意の数、攻撃力300アップの装備カードとして装備できる。俺はファランクスを装備!」(千歳墓地8→7)
「そしてもう一回、ファランクスを装備状態から特殊召喚!」
「レベル8のバルーチャに、レベル2のファランクスをチューニング! 今! 竜の渓谷に風が吹く! 疾風怒涛を巻き起こし、鳥竜一体となりて氷の竜を打ち砕け! シンクロ召喚! 現れろレベル10『ドラグニティナイト-アスカロン』!」(千歳墓地7→9)
『竜の渓谷』から現れたのは、巨大な竜に乗った鳥人。攻撃力はなんと破格の3300。
これには、外野の美里と亮は。
「キター! いきなりレベル10シンクロ!」
「妨害を食らってもなお、出せるのがヤツだ……」
これにはアキラも。
「くっ……」
「行くぜ、バトルフェイズ! アラドヴァルで、精霊龍を攻撃! スーパーソニック・ストーム!」
「チッ、精霊龍の効果発動! このモンスターをリリースし、エクストラデッキから光属性・ドラゴン族・シンクロモンスターを特殊召喚する。俺はエクストラデッキから、レベル9の『蒼眼の銀龍』を特殊召喚! 守備表示! そして特殊召喚に成功したこのモンスターによって、俺のドラゴン族モンスターは効果対象とならず、カード効果によって破壊されない!」(アキラ墓地7→8)
「だが、戦闘によっては破壊できる。よって俺は銀龍を破壊だ!」
「ぐっ……」(アキラ墓地8→9)
「リバースカードを1枚伏せて、ターンエンド」(千歳手札1→0)
(本当ならアスカロンの効果で除外してやっても良いんだが……銀龍のせいで対象取れなくなってるからな……)
千歳
ライフポイント8000
手札枚数0枚
モンスター1体
『ドラグニティナイト-アスカロン』(攻撃表示・攻撃力3300・風属性・レベル10)
魔法・罠ゾーンのカード1枚
発動しているカード0枚
墓地の枚数9枚
除外されているカード0枚
3・アキラのターン
「俺のターン、ドロー!」(アキラ手札3→4)
「リバースカード、オープン! 速攻魔法『エネミーコントローラー』! このカードは2種類の効果から1つを選択して発動できる。相手フィールドのモンスター1体の表示形式を変更するか、俺のモンスターをリリースして相手モンスターのコントロールを得る。俺は……」
(へぇ、そう来るか。伏せカードは『ドラグニティ・ヴォイド』。コントロールを奪われたら、カオスMAXの直撃が来るからここは無効化だな)
「カウンター罠『ドラグニティ・ヴォイド』発動! 自分フィールド上に『ドラグニティ』シンクロモンスターがいる時、相手の魔法・罠を無効化する」(千歳墓地9→10)
「まあ、ここは無効化してくるよな……だが、ここで十分だ! 儀式魔法『カオス・フォーム』を発動! レベル8の『深淵の青眼龍』をリリースし、『カオス』儀式モンスター、レベル8『ブルーアイズ・カオス・MAX・ドラゴン』を儀式召喚する!」(アキラ手札4→2)(アキラ墓地9→11)
アキラの中で、究極竜に次ぐ攻撃力と効果を持つモンスターが現れる。攻撃力は4000と、圧倒的に高い。
「行くぞ! 混沌の、マキシマム・バーストォ!」
「全く、とんでもないモンスター出して来るよなあ。ま、ここは破壊されとくわ」(千歳ライフ8000→7300)(千歳墓地10→11)
(本当ならさっきの『エネミーコントローラー』から直撃を食らわせる予定だったが……ここは仕方ねえ!)
「だが、相手によって破壊されたアスカロンは、エクストラからシンクロ召喚扱いで『ドラグニティ』シンクロモンスターを特殊召喚できる! 俺が特殊召喚するのは、『ドラグニティナイト-ヴァジュランダ』!」
「そしてヴァジュランダの効果で、墓地のレムスを装備」(千歳墓地11→10)
「俺はカードを1枚伏せて、ターンエンド」(アキラ手札2→1)
アキラ
ライフポイント8000
手札枚数1枚
モンスター1体
『ブルーアイズ・カオス・MAX・ドラゴン』(攻撃表示・攻撃力4000・闇属性・レベル8)
魔法・罠ゾーンのカード1枚
発動しているカード0枚
墓地の枚数11枚
除外されているカード0枚
4・千歳のターン
「俺のターン、ドロー」(千歳手札0→1)
「俺は手札から、魔法カード『アームズ・ホール』を発動。デッキの上にあるカードを1枚墓地へ送り、デッキ・墓地から装備魔法を手札に加える。俺は墓地の神槍を手札に加え、そのままヴァジュランダに装備!」(千歳墓地10→11)
「『ドラグニティの神槍』は、モンスターの攻撃力をレベル×100アップ。ヴァジュランダのレベルは6だから、600アップの2500となる」
「そして更にヴァジュランダの効果発動! このカードに装備されている装備カードを1枚墓地へ送ることで、効果発動。このモンスターの攻撃力を倍にする!」
「何っ!?」
「レムスを墓地へ送り、ヴァジュランダの攻撃力を倍の5000にアップさせる!」(千歳墓地11→12)
「バトルフェイズ! ヴァジュランダでカオス・MAXを攻撃! ドラグニティの閃光!」
「ぐっ、カオス・MAXをこんな簡単に……!」(アキラライフ8000→7000)(アキラ墓地11→12)
「強力だったが、守りがおろそかだぜ」
「なら罠カード『戦線復帰』を発動! 墓地のモンスターを守備表示で特殊召喚する。俺は『青眼の白龍』を再び特殊召喚する」
「じゃ、俺は神槍の効果でデッキからレベル2の『ドラグニティ-クーゼ』を装備。そして装備状態のクーゼを特殊召喚する」
「そしてクーゼは、シンクロ召喚に使用する時レベルを4として扱うことができる。俺はレベル6のヴァジュランダに、レベルを4としているクーゼをチューニング! シンクロ召喚! 現れろレベル10『ドラグニティナイト-アラドヴァル』!」(千歳墓地12→15)
「んじゃ、俺はこれでターンエンド」
千歳
ライフポイント7300
手札枚数0枚
モンスター1体
『ドラグニティナイト-アラドヴァル』(攻撃表示・攻撃力3300・風属性・レベル10)
魔法・罠ゾーンのカード0枚
発動しているカード1枚
『竜の渓谷』(フィールド魔法)
墓地の枚数15枚
除外されているカード0枚
5・アキラのターン
「俺のターン、ドロー!」(アキラ手札1→2)
「俺は手札から、魔法カード『復活の福音』を発動! 自分の墓地からレベル7か8のドラゴン族モンスター1体を復活させる! 俺が墓地から復活させるのは、『巨神竜フェルグラント』!」(アキラ手札2→1)
「そして、墓地から特殊召喚されたフェルグラントは、相手モンスター1体を対象としてそのモンスターを除外する! 俺が対象とするのは、アラドヴァル!」
「アラドヴァルのモンスター効果発動。モンスター効果が発動した時、墓地から『ドラグニティ』モンスター1体を除外して、無効化し破壊する! 俺はヴァジュランダを除外し、無効化!」(千歳墓地15→14)(千歳除外0→1)
「チッ、やっぱりそうなんのかよ」(アキラ墓地12→13)
(なら、こっちか!)
「速攻魔法『収縮』! モンスター1体の攻撃力を半分にする! アラドヴァルの攻守を半減させ、1650に!」(アキラ手札1→0)(アキラ墓地13→14)
「ブルーアイズを攻撃表示にして、バトルフェイズ! ブルーアイズで、アラドヴァルを攻撃! 滅びの、バーストストリーム!」
「うぅ~ん、ここは受けるしかないか」(千歳墓地14→15)(千歳ライフ7300→5950)
「ターンエンド!」
アキラ
ライフポイント7000
手札枚数0枚
モンスター1体
『青眼の白龍』(攻撃表示・攻撃力3000・レベル8・光属性)
魔法・罠ゾーンのカード0枚
発動しているカード0枚
墓地の枚数14枚
除外されているカード0枚
6・千歳のターン
「俺のターン、ドロー!」(千歳手札0→1)
「魔法カード『貪欲な壺』を発動! 墓地の5体のモンスターをデッキに戻し、2枚ドローする! 俺はヴァルーチャ、ヴァジュランダ、アラドヴァル、アスカロン、レガトゥスの5体をデッキに戻し、2枚ドロー!」(千歳手札0→2)(千歳墓地15→10→11)
「んじゃ、そろそろ行こうかね!」
(来る!?)
「俺は手札から永続魔法『ドラグニティ・ドラフト』を発動。このカードを発動した時、墓地からレベル4以下の『ドラグニティ』モンスターを手札に加えられる。俺は『ドラグニティ・ドゥクス』を手札に加える」(千歳墓地11→10)
「そして召喚! 効果によって、墓地の『ドラグニティ-ファランクス』を装備! 効果により、ファランクスを特殊召喚!」(千歳手札2→1)(千歳墓地10→9)
「レベル4のドゥクスに、レベル2のファランクスをチューニング! シンクロ召喚! 現れよ、レベル6『ドラグニティ-ガジャルグ』!」(千歳墓地9→11)
「ガジャルグのモンスター効果、自分メインフェイズに一度、デッキからレベル4以下の鳥獣族かドラゴン族を手札に加え、その後手札から鳥獣族かドラゴン族を捨てることができる。俺はデッキからレベル2鳥獣族チューナーの『霞の谷の幼怪鳥』を手札に加え、そのまま捨てる」(千歳墓地11→12)
「手札から墓地へ送られた幼怪鳥は、自身の効果によって特殊召喚できる」(千歳墓地12→11)
「……レベル6のガジャルグに、レベル2の幼怪鳥をチューニング! シンクロ召喚! 現れろレベル8『ドラグニティナイト-バルーチャ』!」(千歳墓地11→13)
「再びか……!」
「バルーチャの効果により、墓地の『ドラグニティ』チューナーを攻撃力300アップの装備カードとする。俺はレムス、ファランクス、クーゼの3体をバルーチャに装備!」(千歳墓地13→10)
「またシンクロか……!?」
「いや、俺は魔法カード『ドラグニティ・グロー』を発動。デッキ・墓地からレベル5以上の『ドラグニティ』を手札に加える。俺はデッキからレベル10の『ドラグニティアームズ-グラム』を手札に加える」(千歳墓地10→11)
「そして墓地のドラゴン族ガジャルグと、鳥獣族の幼怪鳥の2体を除外し、このカードを手札から特殊召喚! レベル10『ドラグニティアームズ-グラム』!」(アキラ手札1→0)(アキラ墓地10→8)(アキラ除外1→3)
千歳のフィールドに現れた、巨大な剣を持つドラゴン。攻撃力は2900。
「グラムの効果発動! フィールドのモンスター1体を対象に、効果を無効化して俺の装備カードの数×1000攻撃力をダウンさせる。ブルーアイズは元々効果を持ってねーけど、攻撃力は俺の装備カードファランクス、クーゼ、レムスの3つ、3000ポイント攻撃力をダウンさせる!」
「ブルーアイズ……!」(青眼の白龍攻撃力3000→0)
「装備カードとなっているファランクスを再び特殊召喚! そしてクーゼも特殊召喚!」
「更に墓地の魔法カード『ドラグニティ・グロー』を除外して、効果発動。『ドラグニティ』モンスターが装備しているモンスターを特殊召喚する! レムスを特殊召喚!」(千歳墓地8→7)(千歳除外3→4)
「これで、レベル10のシンクロが……!」
(だが、アラドヴァルやアスカロンならまだ……!)
「召喚するのは……アスカロンかアラドヴァルって思ってただろ? だけど、俺はこのターンで決めさせてもらうぜ?」
「……!」
「レベル8のバルーチャに、レベル2のファランクスをチューニング! シンクロ召喚! 現れろ、レベル10『トライデント・ドラギオン』!」(千歳墓地7→9)
現れたのは、攻撃力3000の三つ首ドラゴン! そのあふれんばかりの炎は、まさにフィールドを焼き尽くすように。
「マジかよ……ここでそれって……!」
「『トライデント・ドラギオン』の効果! このカードのシンクロ召喚に成功した時、自分フィールドのカードを2枚まで破壊することで、このカードは通常攻撃に加えて破壊したカードの数まで攻撃できる! 俺はレムスとクーゼの2体を破壊して、3回の攻撃を可能に!」(千歳墓地9→11)
「ウッソだろおい……!」
三つ首の左右の首がモンスターを食い、攻撃準備が整う。
「コイツで、決まりだな。まずはグラムで、ブルーアイズを攻撃! ドラグニティの神槍!」
「ぐっ……!」(アキラライフ7000→4100)
「あ、ついでにグラムの効果で、戦闘で破壊したお前のブルーアイズをグラムの装備カードにするわ」
「えっ」
「そして『トライデント・ドラギオン』の3連続攻撃! トライデント・バーストォ!」
「ぐああああっ!」(アキラライフ4100→0)
「俺の勝ち。お前もよく頑張ったけどな、アキラ」
このデュエル、千歳の勝ちで終わった。
「ぐうぅぅっ……!」
アキラは膝をつき、うなだれていた。
「やっぱ悔しいか。そりゃそうだよな。あそこまでやって俺を止められなかったんだから」
千歳はいつもの緩い表情に戻っていた。
「だが、初ターンを止められなければ、もっと酷い状況になっていたはずだ。止めきれなかったとはいえ、あそこまで粘るのはたいした物だ」
「でも負けちゃったね! キャハハ!」
「茶化すなと言っただろう、美里。このたわけが」
「はいはーい」
そして、千歳の方は。
「どうしたアキラ? 悔しくて立てないか?」
「千歳さん……やっぱ俺は、アンタに勝ってみせる……! 絶対に!」
「……それが言えるんなら、大丈夫だな。んじゃ、またな~」
「なんだ千歳、もう帰るのか?」
「一応、見たい物は見れたし、本戦出場お前らと一緒にできたし帰るわ。んじゃーな」
そうして千歳は帰って行った。
「なら、俺もそろそろ帰らせてもらうぞ」
「あたしもー帰っちゃおーかな。かわいいヌイちゃんとかが寂しがってそうだし」
そうして、帰って行ったトップ3。下位プロデュエリストは、その状況を黙って見ているだけだった。
アキラは、立ち上がってその場を後にした。
「とまあ、こんな感じのことが俺もあったわけさ」
「へぇ~……!」
「実力の差を感じて打ちひしがれていたのは、お前だけじゃねえってことだ」
「そ、そうだったんだ……」
「だからこそ、俺たちはもっと強くなんなきゃいけねえ。新しい目標ができちまったな、俺ら」
「うん。そだね。なんか……こんなとこでこんなことしてる場合じゃないかも……」
「そうだ、それでいい。んじゃ、予選でまた会おうぜ」
そうして、アキラは去って行った。遊太も、ベンチから立ち上がった。
「さて、行こうか」
と思った時、
「おぉ~い! 遊太ぁ~!」
菊姫がいつものメンツをつれて、やってきた。
「僕も、行くしかないよね」
遊太はみんなの所へ戻っていった。
第八十二話。終わり。
遊太がJ4と戦った翌日。異変が起きていた。
「おおーい遊太! いねえのか!」
遊太の家のドアをドンドンと連打する菊姫。隣には、知多と真薄もいた。(ついでに菊姫の取り巻きやコジローも)
「昨日なんかあったのか? 今日一緒にポイント集めに行こうって行ってたのに、なんで来ねえんだよ!」
ドアを乱暴に連打する菊姫。それに耐えかねたのか、ドアが開いてユイが出てきた。
「ドアをそんなに叩かないでくだサイ……聞こえてマス」
「いるんなら出てきてくれよ。遊太なんでいねえの?」
「ええ~っと……遊太サンは昨日、J4の一人と戦って、負けたそうデス……」
「負けたのか!? あの遊太が!?」
「それも、一切文句なしの完敗だそうデス……」
「マジかよ……あの遊太でさえ、そんな風になんのかよ!」
「J4、おして知るべしですね……」
「そんなヤツと、戦わなきゃいけないってことかじゃん!? ヤバイじゃん!」
「遊太でさえあんな風に……かよ!」
「そのショックのせいか、今朝もあまりご飯を食べてないのデス……」
「ウッソだろ……」
「デスから、昨夜はお父さんがいろいろと……」
「あー……ともかくアタシらはアイツを探して来るから、ユイも手伝ってくれな!」
「ハイ!」
そうして、菊姫たちは遊太を探すことにした。
一方その頃、遊太はというと。
「ハァ……」
公園のベンチで、うなだれていた。
「まさか、僕のデュエルが全然通用しないなんて……」
前回戦った、J4こと明石慎之介とのデュエル。かつて帝国のデュエルはおろかプラクサスの大会も征した、うぬぼれていたわけではないが、それでも……ショックを受けるには十分すぎた。
自分よりも、遙かに強い。D1グランプリには、あんなレベルのデュエリストがたくさんいると言うのか……。
打ち砕かれた自信、プライド。そんな喪失感が、遊太の中にあった。
「勝つための、勝つデュエル……あの人からはそれを感じた……。なら、僕のデュエルは一体……?」
思い悩んでいると、前から――。
「探したぜ、遊太」
声が聞こえた。声の主は、キャップに黒髪、アキラであった。
「お前の友達から聞いたぜ、なんでもJ4にコテンパンにやられて、ショック受けたんだってな?」
「う、うん……恥ずかしながら……」
「そんで、こんなとこでジメジメしていたって訳か。ハッ、かつてのプラクサスチャンピオンも形無しだな」
「笑いたければ、笑って良いよ」
「あ? 誰が笑うかよ。それに、お前の気持ちはよくわかるんだぜ?」
「え?」
「俺も、同じだからさ」
アキラは語り始めた。それは、昨日のプラクサスの某所。
「な~んだ。プロって言っても、下位クラスは案外たいしたこと無いヤツばっかだな」
「つ、強い……これが、小学生の実力なのか!?」
プロデュエリストが集まってポイントを集めている中、そこに乱入して勝ちまくっている少年がいた。
「八神アキラ……これ程とは!」
そう、アキラである。下位クラスとはいえ、プロデュエリスト相手に物怖じせずデュエルする、相当の実力を持つデュエリスト。遊太たちとは別行動で、彼もまたD1グランプリへと出場しようとしていた。
「プロデュエリスト……ならもうちょい強いかと思ってたのに、下位クラスはこんなもんか~。期待外れだぜ。やっぱプロなら……あの人とかの方が、グランプリクラスなんじゃねえの?」
「ほ~、いつの間にか前みたいにデカイ口叩くようになってんじゃん」
その声が聞こえた時、会場が一瞬静まりかえる。そして、ざわざわとどよめく。
「アイツらだ……」
「日本プロランクトップ3の3人だ……」
「2位の北海千歳(きたうみちとせ)、3位の河合美里(かわいみり)、そして1位の……才羽亮(さいばりょう)……! 日本トッププロの3人が、なぜここに!?」
入ってきたのは、多い髪の毛をツインテールにしている、人形のようなドレスを着た若い女性と、いかめしい顔をしたコートの男、そしてタンクトップに長ズボンのモサモサした髪の毛の緩い男だった。
「キャハッ! 下位クラスがみんなで集まってポイント稼ぎしてる~。30ポイントの1次予選を、みんなで固まって稼ごうなんて、プライドなさ過ぎでしょ!」
「たわけ美里、彼の言ったことをもう忘れたのか。門戸は広く、本戦は狭く。それがあの大会の理念だ。出場に選手生命をかけているヤツもいるのだろう。だからあまり他選手を茶化すな」
「はいはーい。相変わらず1位様は言うことがお堅いことで」
美里が亮にたしなめられている時、アキラはモサモサ頭の方に視線を向けていた。
「千歳さんじゃないですか」
「お~アキラ、久しいな~。ちょっと前はなんか思い詰めた顔してたのに、すっかり元に戻っちまって」
「千歳さんこそ、相変わらず緊張感ねえカッコとツラしてますね」
「千歳、この子が昔、お前がデュエルを教えたという子供か?」
「んあ~。この子が5才の頃出会って、デュエルを教えたらこの通り……ってな感じ。んま~、コイツはモノが違うもんで、あっという間に大会制するようなヤツですから。でもお前、なんかぽっと出のヤツに負けたって話だろ? 確か名前は……六道遊太だっけ?」
「もう耳に入ってたんすか、アイツのこと。ま、ひとまずはアイツにリベンジすることも予定にしてましたけど……今は、ちょっと目の前の相手も倒してみたい……なんて思ってますけどね」
「へぇ~、俺を倒すって?」
「そうですよ、千歳さん。何回やっても勝てませんでしたけど、俺だってまだまだ成長してんですからね」
「んま、挑戦なら受けて立ってやるよ。何回でもな~」
デュエルディスクを取り出し、腕につける。
「さ……行こうか!」
すると千歳の顔から緩さが消える。一瞬で勝負の目となった。
「やっぱ、千歳さんはデュエルになるとマジモードになりますね。なら、俺も!」
アキラもデュエルディスクをつけて、応戦態勢を取る。
「行きますよ!」
「おう!」
「「ルールはマスタールール3! ライフポイントは8000!」」
「「デュエル!」」
デュエルの様子を、遠巻きに見る美里と亮。
「いいの? あの子負けちゃうかもよ?」
「いや、別に良いだろう。千歳が育てたというデュエリスト、見てみたいと思った所だ」
「あ、そ……」
そして、アキラと千歳が先攻後攻を決める。
「先攻後攻は?」
「どちらでも?」
「なら、先攻を取らせてもらいますよ、千歳さん」
1・アキラのターン
「俺のターン!」
「俺は手札から、魔法カード『ドラゴン目醒めの旋律』を発動! 手札の『巨神竜フェルグラント』を墓地へ送って、デッキより攻撃力3000以上かつ守備力2500以下のドラゴン族モンスターを2体手札に加える。俺が手札に加えるのは、『青眼の白龍』と『青眼の亜白龍』」(アキラ墓地0→2)
「そして手札の『青眼の白龍』を公開し、このカードは手札から特殊召喚できる。出ろ、『青眼の亜白龍』!」(アキラ手札5→4)
「そして手札から魔法カード『トレード・イン』を発動。手札のレベル8モンスターを1体を墓地へ送って、2枚ドローする。俺は『青眼の白龍』を墓地へ送って、2枚ドローする」(アキラ墓地2→4)
「そして俺は手札から、レベル1チューナー『太古の白石』を召喚!」(アキラ手札4→3)
「レベル8の亜白龍に、レベル1の白石をチューニング! 精霊の力を身に宿し白き龍よ、今こそ天空へ飛び立て! シンクロ召喚! 現れろレベル9『青眼の精霊龍』!」(アキラ墓地4→6)
そうして現れた、透き通った体を持つ白き龍。守備力は3000。
「そして、カードを2枚伏せ、速攻魔法『超再生能力』を発動。このターンのエンドフェイズ、手札から捨てた、もしくはリリースしたドラゴン族モンスター1体につき、1枚ドローできる。このターン捨てたのは2体。よって俺はエンドフェイズに2枚ドローできる」(アキラ手札3→0)(アキラ墓地6→7)
「エンドフェイズ、俺はデッキより2枚ドローし、このターン墓地へ送られた『太古の白石』の効果で、俺はデッキから『深淵の青眼龍』を特殊召喚する!」(アキラ手札0→2)
「そして特殊召喚された『深淵の青眼龍』の効果で、俺はデッキから儀式魔法『カオス・フォーム』を手札に加え、エンドフェイズだからデッキよりレベル8以上のドラゴン族モンスター『ブルーアイズ・カオス・MAX・ドラゴン』を手札に加える」(アキラ手札2→4)
アキラ
ライフポイント8000
手札枚数4枚
モンスター2体
『青眼の精霊龍』(守備表示・守備力3000・光属性・レベル9)
『深淵の青眼龍』(守備表示・守備力2000・光属性・レベル8)
魔法・罠ゾーンのカード2枚
発動しているカード0枚
墓地の枚数7枚
除外されているカード0枚
「1ターン目から手札をほとんど減らさず、強力なモンスターを並べるとは、相変わらずやるねー」
「まだまだ俺だって……でも、千歳さんはこんぐらい難なく越えてくるんでしょう?」
「ま、それはそうかもな。見てろよ」
2・千歳のターン
「俺のターン、ドロー」(千歳手札5→6)
「俺は 手札からフィールド魔法『竜の渓谷』を発動!」(千歳手札6→5)
突如千歳のフィールドが深い谷間となる。そこは、ドラゴンが、ドラゴンに乗った者たちが飛び交っている。
「いきなり手札にそれなんて来てんじゃない?」
「あのフィールド魔法は、千歳にとっても重要なフィールド魔法だ」
だが、アキラはそれを見逃さない。
「やらせねえよ。リバースカード、オープン! 罠カード『砂塵の大竜巻』!」
「やはり、そう来たか!」
「相手フィールドの魔法・罠を1枚破壊! 俺が破壊するのは、当然『竜の渓谷』!」(アキラ墓地7→8)
吹き荒れる砂混じりの竜巻が、渓谷を破壊する。
「ま、それぐらいはやってくるよな」(千歳墓地0→1)
「『砂塵の大竜巻』の効果で、俺は手札から魔法・罠を1枚伏せる」(アキラ手札4→3)
「だけど、何も対抗策が無い訳じゃないんだぜ? 俺は手札の『ドラグニティ-レムス』の効果発動。このカードを手札から捨てて、デッキより『竜の渓谷』を手札に加える」(千歳墓地1→2)
「くっ、囮か……」
「そしてもっかい、手札から『竜の渓谷』を再び発動。効果発動。手札1枚をコストに、2つの効果から1つ選んで適用できる。1つはレベル4以下の『ドラグニティ』モンスターを1体手札に加えるか、デッキからドラゴン族モンスター1体を墓地へ送る。俺は手札の『ドラグニティ-ファランクス』を捨てて、デッキより『ドラグニティ-ドゥクス』を手札に加える」(千歳手札5→4→3→4)(千歳墓地2→3)
「手札から『ドラグニティ-ドゥクス』を召喚!」(千歳手札4→3)
現れたのは、人型の鳥獣。召喚されると同時に、口笛を吹く。
「ドゥクスは召喚された時、墓地のレベル3以下の『ドラグニティ』と名の付いたドラゴン族モンスターを1体、このカードに装備できる! 俺は墓地のレベル2チューナーファランクスをドゥクスに装備!」(千歳墓地3→2)
口笛に呼応して、墓地よりドラゴンが飛ぶ。それにドゥクスが乗る。
「出たわね! 千歳のいつもの手!」
「鳥竜一体、それが千歳の『ドラグニティ』だ」
「そしてファランクスの効果、コイツは装備状態の時、装備されているこのカードを魔法・罠ゾーンから特殊召喚できる」
ドゥクスがファランクスから飛び降り、横に並ぶ。
「行くぜ、俺はレベル4のドゥクスに、レベル2のファランクスを……」
「待った! 罠カード『無力の証明』! このカードは、自分フィールドにレベル7以上のモンスターがいる時、相手フィールドのレベル5以下のモンスターを全て破壊する! 今俺のフィールドには、レベル8と9がいるから、アンタのモンスターは破壊だ!」
「あら~、そう来る? 意外と対策してきてんのね」(千歳墓地2→4)
「そんなもん、簡単にやらせてたまるかよ」
「だが、甘いぜ。自分フィールドに『竜の渓谷』か『ドラグニティ』モンスターがある時、手札の『ドラグニティ・レガトゥス』を特殊召喚する!」(千歳手札3→2)
「更に、フィールドに『ドラグニティ』がいる時、墓地のレベル2チューナー『ドラグニティ-レムス』は特殊召喚できる!」
「立て直して来るか……なら俺は、精霊龍の効果を発動! 墓地のカードの効果発動を無効化する!」
「おっと無効化されたか。じゃあこっちだな。装備魔法『ドラグニティの神槍』をレガトゥスに装備! このカードは『ドラグニティ』の攻撃力を装備モンスターのレベル×100ポイントアップさせ、罠カードの効果を受けなくさせる」(千歳手札2→1)
「だが、神槍の効果はそれだけじゃない。デッキから『ドラグニティ』チューナーを1体装備できる。俺は墓地へ送って、レベル2の『ドラグニティ-クーゼ』を装備する」
「また、チューナーが装備された……!」
「クーゼの効果、このモンスターも装備状態からモンスターゾーンに特殊召喚できる」
「3回も止めたって言うのに、シンクロの準備をされてしまった……!」
アキラは苦々しい顔をする。それを見て美里は。
「ま、あの程度止めたぐらいじゃじゃあたしたちは止められないからね~」
「プロの上位はこれぐらいでは止められん」
「行くぞ! 俺はレベル4のレガトゥスに、レベル2のクーゼをチューニング! シンクロ召喚! 現れろ、レベル6『ドラグニティナイト-ヴァジュランダ』!」(千歳墓地4→7)
現れたのは、攻撃力1900のドラゴン……とそれに乗った鳥人。すると墓地から、ファランクスもついてくる。
「ヴァジュランダがシンクロ召喚に成功した時、墓地の『ドラグニティ』ドラゴン族チューナー1体を装備できる。俺が装備するのは、当然ファランクス」(千歳墓地7→6)
「……て、ことは……」
「そう、ファランクスの装備解除効果にターン制限は無い。よって俺はもう一度、俺はファランクスを特殊召喚する」
「そして、レベル6のヴァジュランダに、レベル2のファランクスをチューニング! シンクロ召喚! 現れろレベル8『ドラグニティナイト-バルーチャ』!」(千歳墓地6→8)
「こうも簡単に……」
「バルーチャはシンクロ召喚に成功した時、墓地から『ドラグニティ』ドラゴン族モンスターを任意の数、攻撃力300アップの装備カードとして装備できる。俺はファランクスを装備!」(千歳墓地8→7)
「そしてもう一回、ファランクスを装備状態から特殊召喚!」
「レベル8のバルーチャに、レベル2のファランクスをチューニング! 今! 竜の渓谷に風が吹く! 疾風怒涛を巻き起こし、鳥竜一体となりて氷の竜を打ち砕け! シンクロ召喚! 現れろレベル10『ドラグニティナイト-アスカロン』!」(千歳墓地7→9)
『竜の渓谷』から現れたのは、巨大な竜に乗った鳥人。攻撃力はなんと破格の3300。
これには、外野の美里と亮は。
「キター! いきなりレベル10シンクロ!」
「妨害を食らってもなお、出せるのがヤツだ……」
これにはアキラも。
「くっ……」
「行くぜ、バトルフェイズ! アラドヴァルで、精霊龍を攻撃! スーパーソニック・ストーム!」
「チッ、精霊龍の効果発動! このモンスターをリリースし、エクストラデッキから光属性・ドラゴン族・シンクロモンスターを特殊召喚する。俺はエクストラデッキから、レベル9の『蒼眼の銀龍』を特殊召喚! 守備表示! そして特殊召喚に成功したこのモンスターによって、俺のドラゴン族モンスターは効果対象とならず、カード効果によって破壊されない!」(アキラ墓地7→8)
「だが、戦闘によっては破壊できる。よって俺は銀龍を破壊だ!」
「ぐっ……」(アキラ墓地8→9)
「リバースカードを1枚伏せて、ターンエンド」(千歳手札1→0)
(本当ならアスカロンの効果で除外してやっても良いんだが……銀龍のせいで対象取れなくなってるからな……)
千歳
ライフポイント8000
手札枚数0枚
モンスター1体
『ドラグニティナイト-アスカロン』(攻撃表示・攻撃力3300・風属性・レベル10)
魔法・罠ゾーンのカード1枚
発動しているカード0枚
墓地の枚数9枚
除外されているカード0枚
3・アキラのターン
「俺のターン、ドロー!」(アキラ手札3→4)
「リバースカード、オープン! 速攻魔法『エネミーコントローラー』! このカードは2種類の効果から1つを選択して発動できる。相手フィールドのモンスター1体の表示形式を変更するか、俺のモンスターをリリースして相手モンスターのコントロールを得る。俺は……」
(へぇ、そう来るか。伏せカードは『ドラグニティ・ヴォイド』。コントロールを奪われたら、カオスMAXの直撃が来るからここは無効化だな)
「カウンター罠『ドラグニティ・ヴォイド』発動! 自分フィールド上に『ドラグニティ』シンクロモンスターがいる時、相手の魔法・罠を無効化する」(千歳墓地9→10)
「まあ、ここは無効化してくるよな……だが、ここで十分だ! 儀式魔法『カオス・フォーム』を発動! レベル8の『深淵の青眼龍』をリリースし、『カオス』儀式モンスター、レベル8『ブルーアイズ・カオス・MAX・ドラゴン』を儀式召喚する!」(アキラ手札4→2)(アキラ墓地9→11)
アキラの中で、究極竜に次ぐ攻撃力と効果を持つモンスターが現れる。攻撃力は4000と、圧倒的に高い。
「行くぞ! 混沌の、マキシマム・バーストォ!」
「全く、とんでもないモンスター出して来るよなあ。ま、ここは破壊されとくわ」(千歳ライフ8000→7300)(千歳墓地10→11)
(本当ならさっきの『エネミーコントローラー』から直撃を食らわせる予定だったが……ここは仕方ねえ!)
「だが、相手によって破壊されたアスカロンは、エクストラからシンクロ召喚扱いで『ドラグニティ』シンクロモンスターを特殊召喚できる! 俺が特殊召喚するのは、『ドラグニティナイト-ヴァジュランダ』!」
「そしてヴァジュランダの効果で、墓地のレムスを装備」(千歳墓地11→10)
「俺はカードを1枚伏せて、ターンエンド」(アキラ手札2→1)
アキラ
ライフポイント8000
手札枚数1枚
モンスター1体
『ブルーアイズ・カオス・MAX・ドラゴン』(攻撃表示・攻撃力4000・闇属性・レベル8)
魔法・罠ゾーンのカード1枚
発動しているカード0枚
墓地の枚数11枚
除外されているカード0枚
4・千歳のターン
「俺のターン、ドロー」(千歳手札0→1)
「俺は手札から、魔法カード『アームズ・ホール』を発動。デッキの上にあるカードを1枚墓地へ送り、デッキ・墓地から装備魔法を手札に加える。俺は墓地の神槍を手札に加え、そのままヴァジュランダに装備!」(千歳墓地10→11)
「『ドラグニティの神槍』は、モンスターの攻撃力をレベル×100アップ。ヴァジュランダのレベルは6だから、600アップの2500となる」
「そして更にヴァジュランダの効果発動! このカードに装備されている装備カードを1枚墓地へ送ることで、効果発動。このモンスターの攻撃力を倍にする!」
「何っ!?」
「レムスを墓地へ送り、ヴァジュランダの攻撃力を倍の5000にアップさせる!」(千歳墓地11→12)
「バトルフェイズ! ヴァジュランダでカオス・MAXを攻撃! ドラグニティの閃光!」
「ぐっ、カオス・MAXをこんな簡単に……!」(アキラライフ8000→7000)(アキラ墓地11→12)
「強力だったが、守りがおろそかだぜ」
「なら罠カード『戦線復帰』を発動! 墓地のモンスターを守備表示で特殊召喚する。俺は『青眼の白龍』を再び特殊召喚する」
「じゃ、俺は神槍の効果でデッキからレベル2の『ドラグニティ-クーゼ』を装備。そして装備状態のクーゼを特殊召喚する」
「そしてクーゼは、シンクロ召喚に使用する時レベルを4として扱うことができる。俺はレベル6のヴァジュランダに、レベルを4としているクーゼをチューニング! シンクロ召喚! 現れろレベル10『ドラグニティナイト-アラドヴァル』!」(千歳墓地12→15)
「んじゃ、俺はこれでターンエンド」
千歳
ライフポイント7300
手札枚数0枚
モンスター1体
『ドラグニティナイト-アラドヴァル』(攻撃表示・攻撃力3300・風属性・レベル10)
魔法・罠ゾーンのカード0枚
発動しているカード1枚
『竜の渓谷』(フィールド魔法)
墓地の枚数15枚
除外されているカード0枚
5・アキラのターン
「俺のターン、ドロー!」(アキラ手札1→2)
「俺は手札から、魔法カード『復活の福音』を発動! 自分の墓地からレベル7か8のドラゴン族モンスター1体を復活させる! 俺が墓地から復活させるのは、『巨神竜フェルグラント』!」(アキラ手札2→1)
「そして、墓地から特殊召喚されたフェルグラントは、相手モンスター1体を対象としてそのモンスターを除外する! 俺が対象とするのは、アラドヴァル!」
「アラドヴァルのモンスター効果発動。モンスター効果が発動した時、墓地から『ドラグニティ』モンスター1体を除外して、無効化し破壊する! 俺はヴァジュランダを除外し、無効化!」(千歳墓地15→14)(千歳除外0→1)
「チッ、やっぱりそうなんのかよ」(アキラ墓地12→13)
(なら、こっちか!)
「速攻魔法『収縮』! モンスター1体の攻撃力を半分にする! アラドヴァルの攻守を半減させ、1650に!」(アキラ手札1→0)(アキラ墓地13→14)
「ブルーアイズを攻撃表示にして、バトルフェイズ! ブルーアイズで、アラドヴァルを攻撃! 滅びの、バーストストリーム!」
「うぅ~ん、ここは受けるしかないか」(千歳墓地14→15)(千歳ライフ7300→5950)
「ターンエンド!」
アキラ
ライフポイント7000
手札枚数0枚
モンスター1体
『青眼の白龍』(攻撃表示・攻撃力3000・レベル8・光属性)
魔法・罠ゾーンのカード0枚
発動しているカード0枚
墓地の枚数14枚
除外されているカード0枚
6・千歳のターン
「俺のターン、ドロー!」(千歳手札0→1)
「魔法カード『貪欲な壺』を発動! 墓地の5体のモンスターをデッキに戻し、2枚ドローする! 俺はヴァルーチャ、ヴァジュランダ、アラドヴァル、アスカロン、レガトゥスの5体をデッキに戻し、2枚ドロー!」(千歳手札0→2)(千歳墓地15→10→11)
「んじゃ、そろそろ行こうかね!」
(来る!?)
「俺は手札から永続魔法『ドラグニティ・ドラフト』を発動。このカードを発動した時、墓地からレベル4以下の『ドラグニティ』モンスターを手札に加えられる。俺は『ドラグニティ・ドゥクス』を手札に加える」(千歳墓地11→10)
「そして召喚! 効果によって、墓地の『ドラグニティ-ファランクス』を装備! 効果により、ファランクスを特殊召喚!」(千歳手札2→1)(千歳墓地10→9)
「レベル4のドゥクスに、レベル2のファランクスをチューニング! シンクロ召喚! 現れよ、レベル6『ドラグニティ-ガジャルグ』!」(千歳墓地9→11)
「ガジャルグのモンスター効果、自分メインフェイズに一度、デッキからレベル4以下の鳥獣族かドラゴン族を手札に加え、その後手札から鳥獣族かドラゴン族を捨てることができる。俺はデッキからレベル2鳥獣族チューナーの『霞の谷の幼怪鳥』を手札に加え、そのまま捨てる」(千歳墓地11→12)
「手札から墓地へ送られた幼怪鳥は、自身の効果によって特殊召喚できる」(千歳墓地12→11)
「……レベル6のガジャルグに、レベル2の幼怪鳥をチューニング! シンクロ召喚! 現れろレベル8『ドラグニティナイト-バルーチャ』!」(千歳墓地11→13)
「再びか……!」
「バルーチャの効果により、墓地の『ドラグニティ』チューナーを攻撃力300アップの装備カードとする。俺はレムス、ファランクス、クーゼの3体をバルーチャに装備!」(千歳墓地13→10)
「またシンクロか……!?」
「いや、俺は魔法カード『ドラグニティ・グロー』を発動。デッキ・墓地からレベル5以上の『ドラグニティ』を手札に加える。俺はデッキからレベル10の『ドラグニティアームズ-グラム』を手札に加える」(千歳墓地10→11)
「そして墓地のドラゴン族ガジャルグと、鳥獣族の幼怪鳥の2体を除外し、このカードを手札から特殊召喚! レベル10『ドラグニティアームズ-グラム』!」(アキラ手札1→0)(アキラ墓地10→8)(アキラ除外1→3)
千歳のフィールドに現れた、巨大な剣を持つドラゴン。攻撃力は2900。
「グラムの効果発動! フィールドのモンスター1体を対象に、効果を無効化して俺の装備カードの数×1000攻撃力をダウンさせる。ブルーアイズは元々効果を持ってねーけど、攻撃力は俺の装備カードファランクス、クーゼ、レムスの3つ、3000ポイント攻撃力をダウンさせる!」
「ブルーアイズ……!」(青眼の白龍攻撃力3000→0)
「装備カードとなっているファランクスを再び特殊召喚! そしてクーゼも特殊召喚!」
「更に墓地の魔法カード『ドラグニティ・グロー』を除外して、効果発動。『ドラグニティ』モンスターが装備しているモンスターを特殊召喚する! レムスを特殊召喚!」(千歳墓地8→7)(千歳除外3→4)
「これで、レベル10のシンクロが……!」
(だが、アラドヴァルやアスカロンならまだ……!)
「召喚するのは……アスカロンかアラドヴァルって思ってただろ? だけど、俺はこのターンで決めさせてもらうぜ?」
「……!」
「レベル8のバルーチャに、レベル2のファランクスをチューニング! シンクロ召喚! 現れろ、レベル10『トライデント・ドラギオン』!」(千歳墓地7→9)
現れたのは、攻撃力3000の三つ首ドラゴン! そのあふれんばかりの炎は、まさにフィールドを焼き尽くすように。
「マジかよ……ここでそれって……!」
「『トライデント・ドラギオン』の効果! このカードのシンクロ召喚に成功した時、自分フィールドのカードを2枚まで破壊することで、このカードは通常攻撃に加えて破壊したカードの数まで攻撃できる! 俺はレムスとクーゼの2体を破壊して、3回の攻撃を可能に!」(千歳墓地9→11)
「ウッソだろおい……!」
三つ首の左右の首がモンスターを食い、攻撃準備が整う。
「コイツで、決まりだな。まずはグラムで、ブルーアイズを攻撃! ドラグニティの神槍!」
「ぐっ……!」(アキラライフ7000→4100)
「あ、ついでにグラムの効果で、戦闘で破壊したお前のブルーアイズをグラムの装備カードにするわ」
「えっ」
「そして『トライデント・ドラギオン』の3連続攻撃! トライデント・バーストォ!」
「ぐああああっ!」(アキラライフ4100→0)
「俺の勝ち。お前もよく頑張ったけどな、アキラ」
このデュエル、千歳の勝ちで終わった。
「ぐうぅぅっ……!」
アキラは膝をつき、うなだれていた。
「やっぱ悔しいか。そりゃそうだよな。あそこまでやって俺を止められなかったんだから」
千歳はいつもの緩い表情に戻っていた。
「だが、初ターンを止められなければ、もっと酷い状況になっていたはずだ。止めきれなかったとはいえ、あそこまで粘るのはたいした物だ」
「でも負けちゃったね! キャハハ!」
「茶化すなと言っただろう、美里。このたわけが」
「はいはーい」
そして、千歳の方は。
「どうしたアキラ? 悔しくて立てないか?」
「千歳さん……やっぱ俺は、アンタに勝ってみせる……! 絶対に!」
「……それが言えるんなら、大丈夫だな。んじゃ、またな~」
「なんだ千歳、もう帰るのか?」
「一応、見たい物は見れたし、本戦出場お前らと一緒にできたし帰るわ。んじゃーな」
そうして千歳は帰って行った。
「なら、俺もそろそろ帰らせてもらうぞ」
「あたしもー帰っちゃおーかな。かわいいヌイちゃんとかが寂しがってそうだし」
そうして、帰って行ったトップ3。下位プロデュエリストは、その状況を黙って見ているだけだった。
アキラは、立ち上がってその場を後にした。
「とまあ、こんな感じのことが俺もあったわけさ」
「へぇ~……!」
「実力の差を感じて打ちひしがれていたのは、お前だけじゃねえってことだ」
「そ、そうだったんだ……」
「だからこそ、俺たちはもっと強くなんなきゃいけねえ。新しい目標ができちまったな、俺ら」
「うん。そだね。なんか……こんなとこでこんなことしてる場合じゃないかも……」
「そうだ、それでいい。んじゃ、予選でまた会おうぜ」
そうして、アキラは去って行った。遊太も、ベンチから立ち上がった。
「さて、行こうか」
と思った時、
「おぉ~い! 遊太ぁ~!」
菊姫がいつものメンツをつれて、やってきた。
「僕も、行くしかないよね」
遊太はみんなの所へ戻っていった。
第八十二話。終わり。
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同シリーズ作品
イイネ | タイトル | 閲覧数 | コメ数 | 投稿日 | 操作 | |
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127 | プロローグ「出会いは突然に」 | 1896 | 3 | 2018-01-27 | - | |
177 | 第一話「六道遊太、デュエルと出会う」 | 1535 | 1 | 2018-01-28 | - | |
102 | 第二話「六道遊太、デュエルスタンバイ!」 | 1413 | 3 | 2018-01-30 | - | |
148 | 第三話「ロードナイトVSC・HERO」 | 1233 | 1 | 2018-02-05 | - | |
84 | 第四話「大会にて」 | 1024 | 1 | 2018-02-11 | - | |
137 | 第五話「カリンとカードの精霊の話」 | 1140 | 1 | 2018-02-14 | - | |
125 | 第六話「戦いの幕開け」 | 1047 | 1 | 2018-02-18 | - | |
221 | 第七話「大鴉の特訓」 | 1138 | 1 | 2018-02-22 | - | |
90 | 第八話「知多泉、デュエルスタンバイ!」 | 1003 | 0 | 2018-02-25 | - | |
184 | 第九話「儀式降臨のサフィラ」 | 1060 | 0 | 2018-03-02 | - | |
97 | 第十話「驚きの予選会」 | 1165 | 1 | 2018-03-05 | - | |
85 | 第十一話「ペンデュラムと、英雄騎士達」 | 1199 | 2 | 2018-03-10 | - | |
95 | 第十二話「プラクサス大会スタート!」 | 1065 | 0 | 2018-03-13 | - | |
157 | 第十三話「恐怖のロックバーン」 | 1161 | 2 | 2018-03-17 | - | |
175 | 第十四話「カリンとサフィラ」 | 1030 | 0 | 2018-03-24 | - | |
155 | 第十五話「アキラ君の思い」 | 1184 | 2 | 2018-03-29 | - | |
77 | 第十六話「楽しむ心、やるべき心」 | 972 | 2 | 2018-04-03 | - | |
87 | 第十七話「本戦開始!」 | 966 | 0 | 2018-04-06 | - | |
143 | 第十八話「知多と遊太」 | 981 | 0 | 2018-04-13 | - | |
143 | 第十九話「僕のヒーロー」 | 1077 | 0 | 2018-04-17 | - | |
149 | 第二十話「僕のヒーローは」 | 1046 | 0 | 2018-04-21 | - | |
152 | 第二十一話「対決! 遊太VS菊姫!」 | 1136 | 2 | 2018-04-25 | - | |
139 | 第二十二話「菊姫の切り札」 | 986 | 2 | 2018-04-29 | - | |
108 | 第二十三話「覚醒を封じられた先に……!」 | 1002 | 2 | 2018-05-09 | - | |
146 | 第二十四話「プラクサス大会、決勝戦!」 | 1028 | 0 | 2018-05-12 | - | |
89 | 第二十五話「真の究極竜と、カオスMAX」 | 1049 | 2 | 2018-05-16 | - | |
145 | 第二十六話「決着、そして……!」 | 1059 | 2 | 2018-05-18 | - | |
83 | 第二十七話「ロードナイトの話」 | 1030 | 0 | 2018-05-26 | - | |
100 | 第二十八話「カリンと遊太」 | 1011 | 2 | 2018-05-28 | - | |
98 | 第二十九話「日傘の女の子」 | 954 | 0 | 2018-06-07 | - | |
161 | 第三十話「ヒーローショーを見に行こう!」 | 992 | 0 | 2018-06-11 | - | |
131 | 第三十一話「忍び寄る侵略の影」 | 988 | 0 | 2018-06-23 | - | |
109 | 第三十二話「侵略の一手」 | 834 | 0 | 2018-06-24 | - | |
168 | 第三十三話「帝国への招待状」 | 1086 | 0 | 2018-07-03 | - | |
131 | 第三十四話「いざ、帝国へ!」 | 976 | 0 | 2018-07-12 | - | |
237 | 遊戯王EXSキャラ紹介 その1 | 1425 | 2 | 2018-07-14 | - | |
134 | 第三十五話「GAME START」 | 945 | 0 | 2018-07-22 | - | |
85 | 決闘者の帝国における、特殊ルール | 921 | 2 | 2018-07-22 | - | |
170 | 第三十六話「まずは一つ」 | 1061 | 0 | 2018-07-29 | - | |
98 | 第三十七話「菊姫とアキラ」 | 1005 | 0 | 2018-08-05 | - | |
100 | 第三十八話「実力勝負!」 | 943 | 0 | 2018-08-12 | - | |
139 | 第三十九話「エンジョイデュエル!」 | 1047 | 0 | 2018-08-23 | - | |
90 | 第四十話「プレイヤーキラー、動く!」 | 856 | 0 | 2018-09-07 | - | |
80 | 第四十一話「闇を打ち砕け、遊太!」 | 928 | 0 | 2018-09-15 | - | |
117 | 第四十二話「ユニオンロボ&宇宙のヒーロー | 937 | 0 | 2018-09-29 | - | |
88 | 第四十三話「侵攻するワーム」 | 1002 | 0 | 2018-10-06 | - | |
133 | 第四十四話「ヒーロー覚醒!?」 | 958 | 2 | 2018-10-14 | - | |
214 | 第四十五話「血の刻印」 | 1148 | 2 | 2018-10-27 | - | |
72 | 第四十六話「二つの竜」 | 839 | 2 | 2018-11-08 | - | |
172 | 第四十七話「共鳴、そして目醒め」 | 1023 | 2 | 2018-11-19 | - | |
138 | 第四十八話「思わぬ敵」 | 972 | 2 | 2018-12-02 | - | |
102 | 第四十九話「救いと絶望」 | 948 | 0 | 2018-12-09 | - | |
150 | 第五十話「ロベルトを救う者」 | 990 | 0 | 2018-12-17 | - | |
135 | 第五十一話「決戦! 闇の王と遊太」 | 997 | 0 | 2019-01-17 | - | |
102 | 作者よりお知らせ | 828 | 0 | 2019-01-27 | - | |
84 | 第五十二話「突き抜ける意志」 | 783 | 0 | 2019-02-05 | - | |
99 | 第五十三話「神帝現る」 | 948 | 0 | 2019-02-12 | - | |
96 | 第五十四話「帝国の終焉」 | 854 | 0 | 2019-02-22 | - | |
116 | 特別編『超次元! 世界を越えた絆』1 | 1027 | 0 | 2019-03-07 | - | |
144 | 特別編『超次元! 世界を越えた絆』2 | 894 | 0 | 2019-03-14 | - | |
90 | 特別編『超次元! 世界を越えた絆』3 | 912 | 0 | 2019-03-22 | - | |
82 | 第五十五話「休息の時」 | 803 | 0 | 2019-04-07 | - | |
79 | 第五十六話「彼女との再会」 | 746 | 0 | 2019-04-20 | - | |
103 | 第五十七話「マダムの危ない罠」 | 766 | 0 | 2019-05-01 | - | |
70 | 第五十八話「ストアブレーカー」 | 791 | 0 | 2019-05-19 | - | |
74 | 第五十九話「闇のカード」 | 839 | 0 | 2019-06-04 | - | |
111 | 第六十話「変わり始める生活」 | 792 | 0 | 2019-07-18 | - | |
70 | 第六十一話「ユイのデュエル」 | 725 | 0 | 2019-08-04 | - | |
76 | 作者よりお知らせ2 | 733 | 0 | 2019-08-11 | - | |
94 | 第六十二話「プラクサスの怪人」 | 729 | 0 | 2019-09-11 | - | |
70 | お詫びとお知らせ | 495 | 0 | 2020-02-19 | - | |
148 | 第六十三話「暴走! 怪人クロウリー」 | 780 | 0 | 2020-02-19 | - | |
84 | 特別編『ブルーアイズVSブルーアイズ』 | 846 | 0 | 2020-02-22 | - | |
91 | 第六十四話「闇に落ちる小鳥」 | 786 | 0 | 2020-03-22 | - | |
71 | 第六十五話「鳥人を食う邪竜」 | 675 | 0 | 2020-04-18 | - | |
92 | 第六十六話「ダークヒーロー!ヴェンデット | 698 | 0 | 2020-05-09 | - | |
88 | 第六十七話「堕ちたヒーロー」 | 721 | 0 | 2020-05-23 | - | |
79 | 第六十八話「視える未来(ビジョン)」 | 855 | 0 | 2020-05-30 | - | |
98 | 第六十九話「突入、アポカリプトのアジト」 | 761 | 0 | 2020-06-12 | - | |
65 | 第七十話「登場! 世界チャンピオン!」 | 731 | 0 | 2020-06-14 | - | |
63 | 第七十一話「デートじゃん!」 | 677 | 0 | 2020-06-27 | - | |
77 | 第七十二話「不死者は少年を好く」 | 777 | 0 | 2020-06-28 | - | |
64 | 第七十三話「最強デュエリストのいとこ」 | 671 | 0 | 2020-07-07 | - | |
77 | 第七十四話「D1グランプリ、開催決定!」 | 639 | 0 | 2020-07-13 | - | |
78 | 遊戯王EXS キャラ紹介その2 | 751 | 0 | 2020-07-13 | - | |
74 | 特別編「VSサイコ・ショッカー!?」 | 608 | 0 | 2020-07-26 | - | |
89 | 第七十五話「D1グランプリへの道しるべ」 | 685 | 0 | 2020-08-06 | - | |
64 | 第七十六話「不死と再生、イモータル」 | 669 | 0 | 2020-08-15 | - | |
64 | 第七十七話「雨が降れば蛙が鳴く」 | 603 | 0 | 2020-08-30 | - | |
75 | 第七十八話「噴火寸前のヴォルケーノ」 | 686 | 0 | 2020-09-13 | - | |
73 | 第七十九話「燃えろ遊太!」 | 644 | 0 | 2020-09-27 | - | |
120 | 作者よりお知らせ3 | 627 | 0 | 2020-10-02 | - | |
69 | 第八十話「燃えるデュエル!」 | 626 | 0 | 2020-10-18 | - | |
74 | 特別編「乙女の対決、ブラマジガール!」 | 707 | 0 | 2020-11-05 | - | |
68 | 第八十一話「高き壁」 | 666 | 0 | 2020-11-22 | - | |
77 | 第八十二話「強き者」 | 747 | 0 | 2020-12-05 | - | |
59 | 第八十三話「エキシビションマッチ」 | 682 | 0 | 2021-01-01 | - | |
78 | 第八十四話「二次予選開始!」 | 738 | 0 | 2021-01-11 | - | |
59 | 第八十五話「タッグメイクデュエル」 | 524 | 0 | 2021-02-20 | - | |
66 | 第八十六話「タッグメイクデュエル②」 | 482 | 0 | 2021-04-04 | - | |
70 | 第八十七話「タッグメイクデュエル③」 | 436 | 0 | 2021-04-25 | - | |
71 | 第八十八話「タッグメイクデュエル④」 | 590 | 0 | 2021-05-04 | - | |
54 | 第八十九話「チーム結成!」 | 503 | 0 | 2021-05-08 | - | |
62 | 第九十話「J4の実力 輝く竜の星」 | 454 | 0 | 2021-06-02 | - | |
61 | 第九十一話「超弩級のパワー」 | 585 | 0 | 2021-06-12 | - | |
78 | 第九十二話「空飛ぶケモノたち」 | 457 | 0 | 2021-07-08 | - | |
69 | 第九十三話「雷と未来」 | 428 | 0 | 2021-07-18 | - | |
66 | 第九十四話「大トリ、明石慎之介」 | 647 | 0 | 2021-09-04 | - | |
59 | 作者からお知らせ4 | 463 | 0 | 2021-09-17 | - | |
75 | 特別編「冥界の王(ファラオ)と決闘!?」 | 554 | 2 | 2021-10-17 | - | |
60 | 第九十五話「最終予選1 友達VS友達」 | 489 | 0 | 2021-12-18 | - | |
65 | 第九十六話「最終予選2 竜姫神と青眼」 | 468 | 0 | 2022-01-04 | - | |
70 | 第九十七話『最終予選3 約束のために』 | 566 | 0 | 2022-01-10 | - | |
62 | 第九十八話「最終予選4 VSJ4最強」 | 672 | 0 | 2022-02-01 | - | |
54 | 第九十九話「異変」 | 517 | 0 | 2022-02-27 | - | |
73 | 第百話「D1グランプリ、本戦開始!」 | 415 | 0 | 2022-04-09 | - | |
75 | 第百一話「プロの実力」 | 427 | 0 | 2022-05-07 | - | |
63 | 第百二話「デストーイ・デコレーション」 | 518 | 0 | 2022-06-04 | - | |
46 | 第百三話「アマゾネスの首領」 | 376 | 0 | 2022-07-10 | - | |
41 | 第百四話「プロ辞めます!」 | 462 | 0 | 2022-08-28 | - | |
40 | 第百五話「強襲! 梁山泊デュエル!」 | 340 | 0 | 2022-10-16 | - | |
49 | 第百六話「鉄屑と星屑」 | 556 | 0 | 2022-11-27 | - |
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