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第七十七話「雨が降れば蛙が鳴く」 作:イクス

第七十七話「雨が降れば蛙が鳴く」


ロカクタウンのデュエリストとデュエルをすることにした遊太たち。
意気揚々と森野熊五郎にデュエルを挑んだ知多、新デッキの威力を見せるも、相手の攻略法にて敗れてしまう。
これがプラクサスの外にいるデュエリストなのかと考えるも、次のデュエルに挑む! 


「まさか、新デッキを新調した知多君が負けるなんて……」
「それだけアイツが強かったってことだろ」
「あれほどの強さを持っているなんて……」
「でも、ポイントは3入ったから良かったじゃん……」
気落ちする遊太たちとは裏腹に、剣太郎たちは盛り上がっている。
「すごいのねクマちゃん。相変わらずしぶとい戦い方なのね」
「まったくだな! あんまし相手したくねーぜ!」
「さー、次はどいつだー!?」
「次は……ワタシデス!」
出てきたのはユイ。それに対して出てきたのは。
「今回はあたしなのね」
出てきたのはぎょろ目で黒髪の雨崎千代。互いに専用のデュエルディスクを構え、臨戦態勢を取る。
「地味子と、オシャレ女子の対決だな!」
と赤羽根が口を挟めば。
「バネちゃん、あんまりそういうことは言わないでほしいのね」
「ワタシ、そんなことないデス!」
と言い返し、デュエルが始まる。


「「ルールはマスタールール3! ライフポイントは8000!」」
「「デュエル!」」


「先攻はワタシがもらいマス!」

1・ユイのターン

「ワタシは、『水晶機巧-シストバーン』を召喚デス! 効果発動、フィールドの表側表示カード1枚を破壊シテ、デッキより『クリストロン』チューナーモンスター1体を特殊召喚デス! ワタシはデッキよりレベル1チューナー『水晶機巧-クオン』を特殊召喚デス!」(ユイ手札5→4)(ユイ墓地0→1)
「そしてワタシは手札より2枚のカードをセットして、ターンエンドデス」(ユイ手札4→2)

ユイ

ライフポイント8000
手札枚数2枚
モンスター1体
『水晶機巧-クオン』(攻撃表示・攻撃力500・水属性・レベル1)
魔法・罠ゾーンのカード2枚
発動しているカード0枚
墓地の枚数1枚
除外されているカード0枚


ユイが攻撃表示モンスター1体でターンを終えたことに、不思議がる赤羽根たち。
「なんだあ? 伏せカードとモンスターだけでターン終了かよ」
「以外と慎重なんだな」
「もしくは、こっちのターンで何かしてきたりして!」
そして、遊太たちも。
「アレの準備は整っているみたいだね」
「ユイのデッキは1回見たきりだが、アレはなかなか独特なデッキだ」
「相手ターンで動くことを中心としたデッキ、なかなか無いじゃん?」
「ところで、相手の千代さんのデッキって、一体なんなのですしょうか?」
「あのぎょろ目を見ていると……何かを思いだしますわ」
「何かって?」
「いっつも見ているような気がするのですわ……」


2・チヨのターン

「あたしのターン、ドローなのね」(チヨ手札5→6)
「あたしは手札から、水属性モンスターの『悪魂邪苦止』を墓地へ捨てて、手札の『鬼ガエル』を特殊召喚するのね」(チヨ手札6→4)(チヨ墓地0→1)
チヨの手札から出てきたのは、鬼みたいなカエルモンスター。攻撃力は1000だが、そのモンスターに遊太たちは納得する。
「ああ、やっぱり!」
「カエルモンスターか! なんとなくそんな感じがしたんだ! あの目とか!」
なんか納得した。
「『鬼ガエル』は召喚・特殊召喚・反転召喚に成功したとき、水属性・水族・レベル2モンスターを1体デッキから墓地へ送れるのね。あたしはデッキからレベル2の『粋カエル』を墓地へ送っておくのね」(チヨ墓地1→2)
「そして、あたしは『鬼ガエル』の効果をもう一回発動させるのね。自分フィールドのモンスター1体を手札に戻して、手札から『ガエル』モンスター1体を特殊召喚するのね。あたしは『鬼ガエル』を手札に戻して、もう一回召喚するのね。こうして、もう一回『鬼ガエル』の効果が発動して、もう一体『悪魂邪苦止』を墓地へ送るのね」(チヨ墓地2→3)
「召喚時の効果にターン制限ねえのかよ、アレ……」
「そして『貫ガエル』を召喚するのね。そしてバトルフェイズ! 『貫ガエル』は、相手プレイヤーをダイレクトアタックできマス!」(チヨ手札4→3)
「クオンの効果、発動デス! 相手のメインフェイズ・バトルフェイズに、手札からモンスター1体を特殊召喚して、機械族シンクロモンスターをシンクロ召喚しマス! ワタシは手札から、レベル4の『黒き森のウィッチ』を特殊召喚して、レベル4の『黒き森のウィッチ』に、レベル1のクオンをチューニング! シンクロ召喚! 現れてくだサイ! レベル5『水晶機巧-アメトリクス』!」(ユイ手札2→1)(ユイ墓地0→2)
「フィールドから墓地へ送られた、『黒き森のウィッチ』の効果が発動して、守備力1500以下のモンスター『水晶機巧-サルファフナー』を手札に加え、シンクロ召喚に成功したアメトリクスの効果で、相手モンスターをすべて守備表示にしマス!」(ユイ手札1→2)
「出たじゃーん! ユイの相手ターンシンクロ!」
「『クリストロン』の基本形だな!」
「ふ~ん、そんな感じなのね」
(『貫ガエル』は直接攻撃に成功した時、相手の魔法・罠を破壊できるけど、やらせてくれないのね)
「ならあたしは、水族・レベル2モンスター2体を素材として、エクシーズ召喚! 現れて、ランク2『餅カエル』!」
角のカエルと鬼のカエルが重なって現れたのは、鏡餅みたいに重なったカエル。攻撃力は2200。
「そして、カードを1枚セットしてターンエンドなのね」(チヨ手札3→2)

チヨ

ライフポイント8000
手札枚数2枚
モンスター1体
『餅カエル』(攻撃表示・攻撃力2200・水属性ランク2・X素材2つ)
魔法・罠ゾーンのカード1枚
発動しているカード0枚
墓地の枚数3枚
除外されているカード0枚


3・ユイのターン

「ワタシのターン、ドローデス!」(ユイ手札2→3)
「このスタンバイフェイズ時、『餅カエル』の効果発動なのね。エクシーズ素材を1つ取り除き、デッキから『ガエル』モンスター1体を特殊召喚するのね。あたしはデッキから、レベル2『魔知ガエル』を1体守備表示で特殊召喚するのね」(チヨ墓地3→4)
現れたのは、白い博士帽をかぶったカエル。守備力は2000。
「ワタシは墓地からシストバーンを除外シテ、効果発動デス! デッキよりシストバーン以外の『クリストロン』モンスター1体を手札に加えマス。ワタシはデッキより『水晶機巧‐ローズニクス』を手札に加えマス」(ユイ手札3→4)(ユイ墓地1→0)(ユイ除外0→1)
「ワタシは手札よりローズニクスを召喚シテ、効果発動デス! 自分フィールドの表側表示カードを破壊シテ、デッキより――」(ユイ手札4→3)
「そうはさせないのね! あたしは『餅カエル』の効果、発動! フィールドの水族モンスター1体を墓地へ送って、相手のモンスター・魔法・罠の発動を無効化するのね」(チヨ墓地4→5)
「くっ、やりマスね!」
「さらに。無効化したカードを、私のフィールドにセットできるのね。それはもらうのね」
「な、なんデスって!?」
『餅カエル』が舌を伸ばし、ローズニクスをチヨのフィールドに持ってきてしまう。これには遊太たちも驚く。
「無効にしただけじゃなく、自分フィールドにセットするだって!?」
「さらに、フィールドから墓地へ送られた『魔知ガエル』は、デッキ・墓地から『ガエル』を手札に加えられるのね。あたしはデッキから『デスガエル』を手札に加えるのね」(チヨ墓地5→6)(チヨ手札2→3)
「こいつは……かなりやべえ!」
「あれで自分でも使えるカードを持っていかれたら……かなり……」
「……まだ、やれマス! 手札から『クリストロン』カードである『水晶機巧‐スモーガー』を捨て、サルファフナーの効果発動デス! このカードを手札から特殊召喚デス!」(ユイ手札3→1)(ユイ墓地0→1)
「そして、自身の効果で特殊召喚されたサルファフナーの効果で、フィールドの表側表示カードを1枚破壊デス。ワタシが破壊するのは、サルファフナー!」(ユイ墓地1→2)
「自分で召喚したモンスターを破壊する? なんなのね?」
「サルファフナーは破壊された時、デッキから『クリストロン』モンスター1体を特殊召喚しマス! デッキよりレベル2チューナー『水晶機巧‐シトリィ』を特殊召喚しマス!」(ユイ墓地2→3)
「まだ展開してくるのね……」
「そして、アメトリクスで『餅カエル』を攻撃デス!」
「罠カード『和睦の使者』を発動なのね。戦闘ダメージを0にして、戦闘破壊からも守るのね」(チヨ墓地6→7)
「……防がれマシたか。ならワタシは、墓地のスモーガーを除外して、効果発動デス。デッキから『クリストロン』魔法・罠1枚罠カードの『クリストロン・インパクト』を手札に加えマス。これを伏せてターンエンド!」(ユイ墓地3→2)(ユイ除外1→2)

ユイ

ライフポイント8000
手札枚数1枚
モンスター2体
『水晶機巧-アメトリクス』(攻撃表示・攻撃力2500・水属性・レベル5)
『水晶機巧-シトリィ』(攻撃表示・攻撃力・500・水属性・レベル2)
魔法・罠ゾーンのカード2枚
発動しているカード0枚
墓地の枚数2枚
除外されているカード2枚


4・チヨのターン

「あたしのターン、ドローなのね」(チヨ手札3→4)
「この瞬間、『餅カエル』の効果発動。エクシーズ素材を1つ取り除き、デッキから再び『魔知ガエル』を守備表示で特殊召喚するのね」(チヨ墓地7→8)
(……準備はできたのね)
「あたしはさっきセットしたローズニクスをリリースして、手札のレベル5『デスガエル』をアドバンス召喚するのね!」(チヨ手札4→3)(チヨ墓地2→3)
現れたのは、普通のアマガエルだがどこか不気味な印象を受けるカエル。攻撃力は1900。
「アドバンス召喚に成功した『デスガエル』は自分墓地の『悪魂邪苦止』の数だけデッキ・手札から同名カードを特殊召喚できるのね。今墓地にいるのは2体。よってデッキから、2体特殊召喚するのね!」
池から飛び出たように、デッキから現れる『デスガエル』。これで、チヨのフィールドに5体モンスターが並ぶ。
「いきなりモンスターを、5体もそろえるなんて!」
「ここから何をしようって言うんだ!?」
「行くのね。魔法カード『死の合唱』を発動なのね!」(チヨ手札3→2)(チヨ墓地8→9)
このカードを見て、熊五郎や赤羽根は。
「来たか、あのカードが!」
「んだな!」
「このカードは、自分フィールドに3体『デスガエル』がいる時、相手フィールドのカードを全て破壊するのね!」
「ええっ!?」
「なんてカードを持っているんだアイツ!?」
菊姫と遊太が驚く間にも、『デスガエル』のコーラスが始まる! だが、ユイは落ち着いていた。
「やりマスね。ですけど、ワタシもその程度ではやられないデスよ!」
「えっ」
「罠カード『戦線復帰』を発動させて、墓地からサルファフナーを特殊召喚しマス!」
「なら、『餅カエル』の効果発動なのね。フィールドの水族モンスターである自身をリリースして、効果を無効化して自分フィールドにセットするのね!」(チヨ墓地9→10)
「それは囮デスよ! シトリィの効果、発動デス! 墓地のモンスター1体を特殊召喚シテ、そのモンスターを素材とシテ機械族モンスターをシンクロ召喚しマス! ワタシはレベル5のサルファフナーを特殊召喚しマス!」
「しまったのね……」
「更に罠カード『クリストロン・インパクト』を発動させマス! 除外されている『クリストロン』モンスターを1体特殊召喚しマス! ワタシはシストバーンを特殊召喚して、相手の守備力を0にしマス!」(ユイ除外2→1)(ユイ墓地2→3)
「……逆処理が入って、シストバーンが特殊召喚され、その後!」
「そして、レベル5サルファフナーに、レベル2シトリィチューニング! シンクロ召喚! 現れろレベル7『鬼動武者』! シトリィの効果で特殊召喚したモンスターは、除外されマス」(ユイ墓地3→4)(ユイ除外1→2)
「だ、だけど、これであなたのフィールドは全壊するのね!」(ユイ墓地3→9)
破壊され、ユイのフィールドは0になる。だが! 
「破壊され墓地へ送られた『鬼動武者』とアメトリクスの効果、発動デス! 破壊され墓地へ送られたアメトリクスは、墓地より『クリストロン』1体を特殊召喚して、『鬼動武者』は墓地から機械族モンスター1体を特殊召喚できマス! ワタシはアメトリクスの効果でクオンを特殊召喚して、『鬼動武者』の効果で墓地からアメトリクスを特殊召喚シマス!」(ユイ墓地9→7)
「ぐっ、まさかこんなことになるなんて……でも、私は平気なのね! 墓地へ送られた『餅カエル』の効果で、このカードが墓地へ送られたことによって墓地の水属性モンスター1体を手札に加える。あたしは『餅カエル』をエクストラに戻すのね」(チヨ墓地10→9)
「手札から永続魔法『一族の結束』を発動なのね! このカードは自分墓地に1種類の種族しかいない時、その1種類の種族のモンスターの攻撃力は800アップするのね!」(チヨ手札2→1)
「800アップデスって!?」
「ええ、これであなたのモンスターを倒すくらいなんでもないのね!」(デスガエル攻撃力1900→2700)
「……!」
いきなり攻撃力800アップしたことにより、フィールドの攻撃力は変動する。普通これでは、到底耐えれないが……? 
「バトルフェイズ! ワタシはクオンの効果を発動して、手札から2体目のサルファフナー1体を特殊召喚して、レベル5のサルファフナーに、レベル1のクオンをチューニング! シンクロ召喚! 現れてクダサイ! レベル6『強化鎧骨格』!」(ユイ墓地7→9)(ユイ手札1→0)
そして現れた、アーマーみたいなモンスター。攻撃力は2500と、及ばないがバリアが張られる。
「『強化鎧骨格』がシンクロ召喚に成功した時、ターン終了時までワタシが受けるすべてのダメージは0となり、このカードは戦闘・効果で破壊されマセン!」
「ダメージが0だなんて……これじゃ仕留められないのね! とりあえず『デスガエル』1体でアメトリクスは破壊しておくのね」(ユイ墓地9→10)
「ひとまずはこれで、ターンエンドなのね」
(攻撃はできなかったけど、相手から『戦線復帰』をもらえただけ、まだマシなのね~)

チヨ

ライフポイント8000
手札枚数1枚
モンスター4体
『デスガエル』(攻撃表示・攻撃力2700・水属性・レベル5)×3
『魔知ガエル』(守備表示・守備力2000・水属性・レベル2)
魔法・罠ゾーンのカード2枚
『戦線復帰』(通常罠)
発動しているカード1枚
『一族の結束』(永続魔法)
墓地の枚数9枚
除外されているカード0枚


5・ユイのターン

「ワタシのターン、ドローデス!」(ユイ手札0→1)
「ここであたしは、さっき奪った罠カード『戦線復帰』を発動して、墓地から『魔知ガエル』を守備表示で特殊召喚するのね! 『魔知ガエル』は、フィールドに存在する時このモンスター以外攻撃できなくなるのね。それが2体ってことは……わかるのね?」
「攻撃対象を限定するモンスターが2体場にそろった時、攻撃ができなくなる……デスか」
「簡単におっそろしいことやってくるなああいつ。これじゃあ攻撃できないんだろ? 効果で除去するしかねーじゃねえか」
「ですが、すでに手はずは整っていマス! 手札から、魔法カード『サンダー・ボルト』! 相手のモンスターを全て、破壊しマス!」(ユイ手札1→0)(ユイ墓地10→11)
チヨのフィールドにいきなり落ちた、一筋の雷。それによってチヨのフィールドは全壊してしまった。
「……やられたのね。でも『魔知ガエル』の効果で、デッキから『未知ガエル』を、墓地から『鬼ガエル』を手札に!」(チヨ手札1→3)(チヨ墓地9→13)
「それでも、ワタシはとことん止まりマセン! 墓地のシストバーンを除外シテ、デッキから『水晶機巧-ローズニクス』を手札に! そして召喚!」(ユイ墓地11→10)(ユイ除外2→3)
「行きマス! バトルフェイズ! 『強化鎧骨格』とローズニクスで、ダイレクトアタックデス!」
「ううっ……!」(チヨライフ8000→3700)
「メインフェイズ2に入って、ローズニクスの効果、発動デス! フィールドの表側表示カード、ローズニクスを破壊して、デッキより『クリストロン』チューナー、レベル3の『水晶機巧-リオン』を特殊召喚デス! これで、ターンエンドデス!」(ユイ墓地10→11)

ユイ

ライフポイント8000
手札枚数0枚
モンスター2体
『強化鎧骨格』(攻撃表示・攻撃力2500・地属性・レベル6)
『水晶機巧-リオン』(攻撃表示・攻撃力500・水属性・レベル3)
魔法・罠ゾーンのカード0枚
発動しているカード0枚
墓地の枚数11枚
除外されているカード3枚


膠着していた状況を、一気に自分の流れにしたユイ。思わず遊太たちも顔がほころぶ。
「流れを一気に自分のものにしたぞ!」
「こりゃ、いけるんじゃねえのか? このまま勝っちまうっていうのが」
「そうかな」
それに反論をする剣太郎。赤羽根もうんうんとうなずく。
「だってチヨさん、まだ自分の動きを全然やってないんだもの。ね、バネさん」
「ああ、アイツのデュエルはここからだぜ?」
「え、そうなの?」
「まだ、本来のやり方をしてないんだな」
「??????」


6・チヨのターン

「あたしのターン、ドローなのね」(チヨ手札3→4)
「魔法カード『貪欲な壺』を発動なのね。墓地の『デスガエル』3体と、『魔知ガエル』と『鬼ガエル』をデッキに戻して2枚ドローなのね」(チヨ手札3→5)(チヨ墓地13→9)
「……来た! カエルにふさわしいカードが!」
「あたしはフィールド魔法『湿地草原』を発動なのね!」(チヨ手札5→4)
「『湿地草原』!?」
チヨのフィールドに雨が降る。周りには田んぼや山と、まるで田舎の風景のようだった。
「なんだこのフィールドは!?」
「雨が降ったら、ロカクタウンもこんな風になるのかなあ?」
「確かに、カエルには似合いすぎだぜ」
「このフィールド魔法が発動している時、フィールドの水属性・水族・レベル2以下のモンスターの攻撃力は、1200ポイントアップするのね」
「1200!? そんなに!?」
「対象が限定的過ぎるとはいえ、これは驚異的じゃん……!」
「ね、言ったとおりでしょ?」
「それと、永続魔法の『一族の結束』で攻撃力が800上がるから……」
「合計2000の攻撃力アップ!?」
「あれじゃあちみっこいカエルでも、恐ろしい攻撃力になっちまう!?」
「あたしは手札から、魔法カード『サルベージ』を発動させるのね。墓地から攻撃力1500以下の水属性モンスター2体を手札に加えるのね。あたしは墓地から『粋カエル』と『魔知ガエル』を手札に加えるのね」(チヨ手札4→6)(チヨ墓地9→8)
「魔法カード『死者蘇生』を発動させるのね。墓地からモンスター1体を復活させるのね。あたしが墓地から復活させるのは、レベル2の『貫ガエル』!」(チヨ手札6→5)
チヨの墓地から現れたのは、最初に召喚されたカエル。攻撃力は400だが、2つの魔法の効果で攻撃力は2400に! 
「手札から水属性モンスターの『粋カエル』を捨てて、手札の『鬼ガエル』を特殊召喚なのね! そして墓地へ『引きガエル』を墓地へ」(チヨ手札5→3)(チヨ墓地8→10)
「更に手札から『未知ガエル』を召喚!」(チヨ手札3→2)
『鬼ガエル』も『未知ガエル』も、攻撃力は1000と1200ぐらいなのに、3000と3200にアップする! 
「ええっ!? そんなにデスかあ!?」
「バトルフェイズ! 『鬼ガエル』で、『強化鎧骨格』を攻撃!」
「ぐうううっ! やられマシた……」(ユイ手札8000→7500)(ユイ墓地11→12)
「さらに、『貫ガエル』で攻撃なのね!」
「リオンの効果、発動デス! 除外されているモンスターを特殊召喚シテ、シンクロ召喚しマス! ワタシはレベル4の『黒き森のウィッチ』を特殊召喚して、レベル4のウィッチに、レベル3のリオンをチューニング! シンクロ召喚! レベル7『驀進装甲ライノセイバー』! そして、リオンのシンクロに特殊召喚したモンスターは、デッキに戻りマス」(ユイ墓地12→13)
そして現れたサイのような戦車。守備力は2100。
「関係ないのね。『貫ガエル』は相手プレイヤーへダイレクトアタックできるのね!」
「えっ!?」
水辺から飛び出た角ガエルがユイを貫く! 2400のダメージが直撃する! 
「うううっ……」(ユイライフ7500→5100)
「いきなりあんな攻撃を……!」
「そして『未知ガエル』で、ライノセイバーを攻撃なのね! 『未知ガエル』は守備表示モンスターを攻撃したとき、攻撃力が守備力越えていれば、その分の戦闘ダメージを与えるのね!」
「うっ……!」(ユイライフ5100→4000)(ユイ墓地13→14)
「す、すげえ……! 一気にデュエルの流れを引き戻した……!」
「あのカードがある限り、攻撃力は上がったままだ……! あんな小さいカエルたちが、攻撃力は最低でも800は上がる……やばいぜこりゃあ……!」
「メインフェイズ2に入って、墓地の『粋カエル』の効果発動なのね。墓地の『ガエル』モンスターの『デスガエル』を除外して、墓地からこのカードを特殊召喚するのね。そしてレベル2水族モンスター2体『鬼ガエル』と『粋カエル』で、エクシーズ召喚! ランク2『餅カエル』! そしてカードを1枚伏せて、ターンエンドなのね」(チヨ手札2→1)(チヨ墓地12→11)(チヨ除外0→1)


チヨ

ライフポイント3700
手札枚数1枚
モンスター3体
『餅カエル』(攻撃表示・攻撃力3000・水属性・ランク2・X素材2つ)
『貫ガエル』(攻撃表示・攻撃力2400・水属性・レベル2)
『未知ガエル』(攻撃表示・攻撃力3200・水属性・レベル2)
魔法・罠ゾーンのカード2枚
発動しているカード2枚
『一族の結束』(永続魔法)
『湿地草原』(フィールド魔法)
墓地の枚数11枚
除外されているカード1枚


7・ユイのターン

「ワタシのターン……ドロー」(ユイ手札0→1)
「ここで伏せカードを発動なのね。伏せたカードは……永続罠『モンスターバリア-障壁の連鎖』! これでレベル4とランク4以上のモンスターは攻撃できないのね!」
「ついでにそれかよ……ユイは高レベルシンクロを相手ターンに出していくから……攻撃できない!」
「更に、このスタンバイフェイズに『餅カエル』の効果で、エクシーズ素材を1つ取り除いて、デッキからレベル2『魔知ガエル』を守備表示で特殊召喚するのね」(チヨ墓地11→12)
「しかも相手は『デスガエル』以外はレベル・ランクともに2以下。しかもダイレクトアタックできるモンスターもいるんだろ? 一方的に殴られるだけじゃねえか! 貫通に無効もいるし!」
「これは……かなりやばいね。どうにかなりますか?」
「どうだろ……でも、ユイがこのまま終わるとは思えないよ。ほら、あの表情」
そこには、鬼気迫る表情をしたユイがいた、何かを思っていたように。
(……ワタシは、このまま負けるようではあのD1グランプリでも勝てない。となれば、ワタシの中に眠っている何かも、また……目覚めさせなければ……ワタシの中に眠る、何かを……)
「ワタシは墓地からローズニクスを除外して、効果発動デス! このカードをゲームから除外し、フィールドにレベル1の水晶機巧トークンを特殊召喚!」(ユイ墓地14→13)(ユイ除外3→4)
「そして、手札から『クリストロン』カードシストバーンを捨てて、墓地のサルファフナーの効果を発動させ、墓地から復活させ……」(ユイ墓地13→14)
「それはさすがに防ぐのね。『餅カエル』の効果で『未知ガエル』をリリースして、無効化!」(チヨ墓地12→13)
「……なら、墓地のシストバーンを除外して効果発動デス。デッキから『クリストロン』モンスター『水晶機巧-スモーガー』を手札に加えマス! そして、サルファフナーの効果を発動させ、手札のスモーガーを墓地へ送って、このカードを特殊召喚! そして破壊! その効果によって、デッキからレベル1『水晶機巧-クオン』を特殊召喚デス!」(ユイ除外4→5)
「更に、レベル1の水晶機巧トークンに、レベル1のクオンをチューニング! シンクロ召喚! 現れてくだサイ! シンクロチューナー、レベル2『フォーミュラー・シンクロン』!」(ユイ墓地14→15)
現れたのは、車に手足が生えたようなモンスター。守備力は1500とその程度だが、シンクロチューナーという、新たな要素が現れた!? 
「シンクロモンスターでありながら、チューナーモンスターだって!? ユイのヤツ、そんな上級者のモンスターをもっていたのか!?」
「ユイのヤツも、大会への意気込みは相当なものだったってことじゃん!」
「『フォーミュラ・シンクロン』がシンクロ召喚に成功したことで、ワタシはデッキから1枚ドロー!」(ユイ手札0→1)
「そして墓地のスモーガーを除外して、デッキから『クリストロン』罠の『クリストロン・インパクト』を手札に加えマス!」(ユイ墓地15→14)(ユイ除外5→6)(ユイ手札0→1)
「そして手札から、魔法カード『貧欲な壺』を発動デス! 除外されているモンスター5体をデッキに戻し、2枚ドローデス! ワタシはウィッチ・シストバーン2体スモーガー・ローズニクスをデッキに戻し、2枚ドローデス!」(ユイ除外6→1)(ユイ墓地14→15)(ユイ手札1→3)
「よし! 伏せカードを3枚セットして、ターンエンドデス!」(ユイ手札3→0)

ユイ

ライフポイント4000
手札枚数0枚
モンスター1体
『フォーミュラ・シンクロン』(守備表示・守備力1500・光属性・レベル2)
魔法・罠ゾーンのカード3枚
発動しているカード0枚
墓地の枚数14枚
除外されているカード1枚


8・チヨのターン

「あたしのターン、ドローなのね。そして『餅カエル』の効果で、デッキから『魔知ガエル』を特殊召喚するのね」(チヨ手札1→2)(チヨ墓地12→13)
(あの伏せカード、ちょっとやばい気がするのね。それなら……)
「手札から魔法カード『局所的ハリケーン』を発動させるのね! フィールドのセットカードを全て、手札に戻すのね!」(チヨ手札2→1)(チヨ墓地13→14)
「リバースカード、オープンデス! 罠カード『ブレイクスルー・スキル』! これで『餅カエル』の効果を無効化しマス!」
「直撃を許す訳には……『魔知ガエル』をリリースして、無効化するのね!」(チヨ墓地14→15)
「罠カード発動! 『クリストロン・インパクト』! 除外されている『クリストロン』モンスターを特殊召喚デス! ワタシはサルファフナーを特殊召喚シテ、相手の守備力を0に!」(ユイ除外1→0)(ユイ墓地14→15)
「更に罠カード『戦線復帰』を発動させて、墓地からシトリィを復活させマス!」
「な、なんなのね……でも、ここで」
「シトリィの効果、発動デス! 墓地のレベル4のローズニクスを特殊召喚シテ、シンクロ召喚! レベル6『強化鎧骨格』! これにより、ダメージを0デス!」
「くっ、ならここは……『魔知ガエル』の効果で『裏ガエル』を手札に加えて、モンスターを裏守備表示でセットなのね」(チヨ手札1→0)
(『裏ガエル』はリバースすればフィールドの『ガエル』の数だけ裏守備にできるのね。これなら……)
「そうは行きマセン。ここでワタシは、新たなモンスターを召喚しマス」
「えっ……」
「『フォーミュラ・シンクロン』は、相手ターンのメインフェイズにシンクロ召喚を可能としマス! ワタシはレベル5のサルファフナーに、レベル2の『フォーミュラ・シンクロン』をチューニング! 黒き薔薇は、その身を竜に変え、咲き誇る……漆黒の花よ、開け! シンクロ召喚! 現れよレベル7『ブラック・ローズ・ドラゴン』!」(ユイ墓地15→17)
現れたのは、なんと黒薔薇が竜となったドラゴン。攻撃力は2400。
だが、菊姫たちは驚く。
「な、なんだあのカードは!?」
「見たこともない、ドラゴンのカードです!」
「な、なんだって言うじゃん!?」
驚いたのは、この場にいないヤツもだった。
(遊太! これは……)
(え、何アルファ!?)
(あのドラゴンは、私たちの世界で守護竜と呼ばれたドラゴンのうちの1体。なのになぜ、あの女が持っているというのだ!?)
(い、いや……知らない)
(あのカードを持っていたのは、我々の世界では、あの方しかいない……!)
(誰!?)
(イクス様、我々の主だ)
(ええっ!? じゃあ、ユイはそのイクス様ってこと!?)
(い、いや……確かにあのダークネスカードの時に感じたのは、懐かしい感じだった……だが、何かが違う。違うんだ……)
(違う? 何が違うのさ?)
(……わからない)
(……)
そしてデュエルに目を向ける。
「ブラック・ローズはシンクロ召喚に成功した時、フィールドのカードを全て破壊しマス! ブラック・ローズ・ガイル!」
「ええっ!?」
「ってことは、フィールド魔法や永続魔法も破壊されるんだな!」
「マジか! ここにきてなんてカードを出して来やがるんだ!?」
「しかも、相手のモンスターは効果破壊されないから、実質残るのは相手モンスターのみ。完璧だ……」
『ブラック・ローズ・ドラゴン』の花びら混じりの嵐が、フィールドに吹き荒れ破壊される。ユイのモンスター1体を残して。
「うっ……『魔知ガエル』の効果が発動して、デッキから『鬼ガエル』を手札に。そして『餅カエル』の効果で、自身をデッキに戻すのね」(チヨ墓地15→19)(チヨ手札1→2)
「魔法カード『浮上』を発動して、墓地から水族モンスターの『魔知ガエル』を特殊召喚するのね」(チヨ手札2→1)
「そして、墓地の『裏ガエル』を除外して、再び『粋カエル』を特殊召喚するのね!」(チヨ墓地19→18)(チヨ除外1→2)
(もう一回餅を出しても、相手に攻撃されれば終わり……ここは守りを固めるのね!)
「ターンエンド!」

チヨ

ライフポイント3700
手札枚数1枚
モンスター2体
『魔知ガエル』(守備表示・守備力2000・水属性・レベル2)
『粋カエル』(守備表示・守備力2000・水属性・レベル2)
魔法・罠ゾーンのカード0枚
発動しているカード0枚
墓地の枚数18枚
除外されているカード2枚


9・ユイのターン

「ワタシのターン、ドロー」(ユイ手札0→1)
「魔法カード『貪欲な壺』を発動デス。墓地のモンスター5体『鬼動武者』・アメトリクス・ライノセイバー・シトリィ・『フォーミュラ・シンクロン』をデッキに戻し、2枚ドローデス!」(ユイ手札0→2)(ユイ墓地17→13)
「装備魔法『リ・シンクロ』を発動デス! 800ライフを支払って、墓地からシンクロモンスター1体を特殊召喚し、このカードを装備しマス。ワタシが特殊召喚するのは、ブラック・ローズ!」(ユイ手札2→1)(ユイライフ4000→3200)(ユイ墓地13→12)
「そして手札より速攻魔法『攻撃の強制化』! フィールドのモンスターを全て攻撃表示にするデス!」(ユイ手札1→0)(ユイ墓地12→13)
「ええっ、それじゃあ……うちのカエル2体は攻撃力100。ということは……」
「そう、これで終わりデス! 2体のモンスターで攻撃デス!」
「負け、なのね……」(チヨライフ3700→0)


「あ~、負けちゃったのね」
「あそこであんなのやられちゃしょーがねーって!」
「よく粘ったほうだな」
と、ロカク側が話せば。
「すげえじゃんユイ! まさかあんなカードで逆転するなんてよ!」
「相手ターンにあんなカード飛んできたらそりゃあヤバイですよ」
「強いじゃん!」
といった具合に、菊姫たちがユイに向かって話す。
だが、遊太たちはというと。
「ねえ、カリンちゃん……」
「ええ、私のサフィラも、あのブラック・ローズに対して……」
「ユイ……君は一体……」
ユイの正体に対し、思うことがあるのであった。
だが、そんなことお構いなしに次のデュエルが始まろうとしていた。
「よ、よぉ~し。次は僕の番ですね……」
「これで一勝一敗。次はバネさんか!」
「よーし、いっちょ止めてくるぜ!」
次のデュエルは、赤羽根対真薄。


第七十七話。終わり。
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