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第七十一話「デートじゃん!」 作:イクス
第七十一話「デートじゃん!」
遊太が元気になってしばらくした後。学校を終えた遊太と知多は学校から歩いて下校していた。
「ねえ、もうすぐ夏休みだね。夏休みになったら何しようか?」
夏休みに対していろいろ考えていた遊太だったが、知多の様子がおかしい。
「…………」
「ねえ、どうしたの知多君? 顔を赤くして」
「おかしいじゃん……?」
「何が?」
「とってもおかしいじゃん……」
「だから何が?」
「だ、だってえ……あのリトルバードの二人が俺んちの電話番号を知ってて、今日会おうって言うなんて……」
「ええ~!? それマジで!?」
「本当じゃん! 本人の声で、本人から直接家に電話がかかって来たじゃん! なんでこうなってるじゃ~ん!」
「そんなの、電話帳でも見たんでしょ? 大騒ぎすることじゃないでしょ」
「あ、そうじゃん……でも、会おうなんて……」
「ふーん、デート? やることやってたんだね~。じゃ、僕帰るとここっちだから」
「ま、待ってくれじゃん!」
「何?」
「一緒に来てほしいじゃん」
「なんで? ファンなら独り占めしたいとか思わないの?」
「なんか、その……一人だといろいろ恥ずかしいじゃん……」
「ええ~……ファンなのに?」
「ファンだから! とにかくついてくるじゃん!」
「ああちょっと! 手を引っ張らないでよ!」
そうして、たどり着いた先には、この間会ったアイドルユニット『リトルバード』の二人。アオイとヒカリの二人がいた。
「おーい、知多くーん! こっちこっちー!」
「ほらほら遊太、こっちじゃん!」
「わわわ~」
「やっほ~、知多君」
「ごめんな~、コイツが遅いから~」
「僕は来るつもりじゃなかったのに……」
「ふ~ん、この間の遊太君? ま、何人増えても別に困る用でもないからね~」
「あ、あははは……で、二人ともなんなのじゃん? こんな所に呼び出して」
「えへへ……この間ヒカリちゃんがお世話になったから、そのお礼も兼ねて知多くんとデートしよっかな~って、思っちゃって!」
「で、デートォ!?」
それは、あまりにも大きすぎる声。その声を聞くのは、すごくたやすいことだった。この日たまたま近くにいた菊姫にも聞こえるくらいに。
「何ぃっ!?」
本屋で立ち読みしていたデュエル雑誌を落としそうになりながら、知多と同じくらい大きな声でびっくりした。
そうして、向こう側を見てみると、知多が顔を赤くしながらリトルバードの二人に連れられて行くのが見えた。遊太も一緒に。
それを見て、おもむろにスマホを取り出し、友人に連絡するのであった。
「もしもし、真薄か?」
「あ、菊姫さん。いきなり電話してなんですか?」
「デートだよ……」
「ほえ?」
「あの知多が、リトルバードの二人に連れられデートだってよ……!」
「ええっ!?」
「それに、遊太も一緒にいたんだよ……!」
「なんですかそれ?」
「なあ、気になるだろ? 詳しい場所は後で連絡するから、一緒に見に来ねえ?」
「あ、はい……気になります。じゃあ、また後で……」
「わかった。よーし、なんとか突き止めてやるぜ!」
そうして、知多が二人に連れられ(遊太もいるが)やってきたのは。
「ストリートデュエル場?」
「な~んじゃん……結局デュエルなんじゃん……」
「違うよ~。デュエルでデート!」
「デュエルでデート……?」
「ささっ、いこいこ!」
そうして中に入ってみると、すでに先客がいた。
「え、えっと……『ゴーストリックの駄天使』で、ダイレクトアタック!」
「おお~っ……!」(誰かライフ1400→0)
「デュエル終了。ライフが無くなったため静の勝ち」
「や、やったぁ~っ……!」
「あれれ? アレは、静ちゃん? 審判やってるのは……誰?」
「やったよ、マコト君!」
「おめでとー、静ちゃん」
そこにはデュエルをやりに来た誰かと、以前ダークネスカードの一件で遊太たちと面識のある静であった。
「あの恥ずかしがりだった静ちゃんが、普通に友達作って他人とデュエルしてる……」
「あれれ~? ひょっとして、知り合い?」
「あ、うん。一応。おーい静ちゃん!」
「あっ、あっと……遊太、くん?」
「うん、僕だよ。この間カリンちゃんと一緒にいた……」
「あっと……この間は、ありがとねっ!」
「いやいや、やったのはカリンちゃんだから。僕はただ一緒にいただけ。それに……ユイだって」
「ででで、でも、でもっ! あれのおかげで、みんなに面と向かって話せるようになったしっ、それにっ、マコト君とも出会えたしっ!」
顔を赤くしながら、遊太にたどたどしくも喋る静。その後ろから、同じくらいの男の子が話しかける。
「まあまあ静ちゃん、それぐらいにして良いんじゃない?」
「君、誰?」
「僕はマコト。静ちゃんと……コンビを組んでいる人さ!」
「コンビ?」
「ああっ……マコト君。それ以上はまだ言っちゃダメ~」
「??????」
その様子を、遠巻きに眺める知多とアオイとヒカリ。
「なんよ、いつの間にかあっちで勝手に盛り上がってるよ~」
「まあまあ、人数いた方が楽しいって!」
「そ、そうじゃんそうじゃん!」
こっちでも盛り上がっていたが、奥で静が知多の方にいたヒカリとアオイに気づく。
「えっ……うきゃああああ! り、リトルバードの二人~!?」
「え、どうしたの静ちゃん」
「わ、私、ファンなんです~! サインくださ……あっ、色紙がないです~……」
「マジ?」
一方こちらは、ストリートデュエル場の下。菊姫は誰かを待っていた。
「菊姫さ~ん!」
「おお、来たか真薄!」
「『リトルバード』の二人が、知多君だけじゃなく遊太君と一緒だなんて……一体どうなっているんですか?」
「わからん。ダブルデートなのか否かはわからんが……とにかくなんか大変なんだよ!」
「そんなに焦ることですか?」
「焦るんだよ……ここにいい女が一人いるってーのに」
「菊姫さんは二人にとって、ただのデュエル友達でしかないからでしょうか……?」
「んだとぉ!?」
「ほら、そういう所もですよ~!」
真薄が菊姫につかみかかられている所に、更にやってくる人間たち。
「アネゴ~!」
走ってきた菊姫の取り巻き二人、岩ノ井と鏡山。大分焦っていたようで、汗と息切れが激しい。
「遊太と知多がデートして大変って、どういうことッスかアネゴ!」
「一体何が起こっているんだよ~……」
「ええっ!? 何を二人に言ったんですか菊姫さん!」
「いや、慌てていたから、ちょっと言葉選びが……」
「だとしても、それは無いですよ!」
ややこしい解釈によって、来てしまった人が二人。更に場を混乱させる人間も、ここにやってくる。
「皆サーン!」
「ええっ!?」
カタコト声を響かせながら、自転車に乗ってやってきたのはユイ。こちらも相当急いでいたららしく、急ブレーキの金切り音が響く。
「遊太サンと知多サンがデートを賭けてデュエルって、一体何事なんデスか!?」
「ええ~っ!?」
「ダメデスよ、そんなことでデュエルなんて! そんなデュエルなんて、どっちが勝っても傷つくじゃないデスかぁ~!」
「菊姫さん……?」
「い、いや……慌てていたから言葉が……な」
そうしてデュエル場。静がリトルバードの二人に夢中になっていた。
「な、なんでこんな所にお二方が~!?」
「ん~? デートだよ?」
「デートですか~!? 誰と?」
「知多君とだよ」
「え~! うらやましいよぉ~!」
「僕もいるんだけど……」
「アハハ、コンビなのにまだまだ知らない一面があるじゃん」
きゃあきゃあと騒ぐ声は隣まで聞こえたのか、隣のデュエル場から人が来た。
「おいおい、隣のコートうるせーよ! なんだよ一体……って、あー! 遊太!」
「今度はヒロシ君まで!?」
「僕もいるよ」
「君は……誰?」
「僕かい? 僕は鹿野ルイ、カリンちゃんやアキラ君と同じ、花園学園に通っているのさ~。にしても、有名人が二人も来るなんて」
「リトルバードのこと?」
「いや、君だよ遊太君。プラクサスじゃ有名なデュエリストだから」
「ええ~? そんなに?」
「ま、これも見えてたことだけど……」
「え?」
「ああいやいや、こっちの話」
そうしてデュエル場の下。菊姫のいい加減な説明で誤解が誤解を生み、取り返しのつかなさそうな所にまで来てしまったかと思いきや、真薄がなんとか誤解を解いたところであった。
「なんデスか! 全然違うどころか全くわからないナンて、人騒がせもいいとこデス!」
「ホントッスよアネゴ~」
「だがなあ、いくら活動休止中とはいえ、あのリトルバードの二人がだぞ? なんかあるに決まっているだろ!」
「そうはいってもですねえ……」
「じゃあなんだっていうんだよ!」
「それは……なんなんでしょう?」
「アネゴ、そんなに言うなら直接見に行けば良いんじゃないッスか?」
「バカ言え! そんなことしたら、いつものメンツの、いつもの出来事になっちまうじゃねえか!」
「別にそれで良いんじゃないでしょうか?」
「良くねえよ! とにかく……いつものメンツのいつもの出来事じゃダメなんだ! デートじゃなきゃ!」
「何をそんなにデートにこだわるのデスか……?」
「まあともかく、このままじゃ人が足りない。カリンやアキラにも連絡だ!」
「これ以上まだ人を呼ぶのですかあ!?」
真薄が止めるのも聞かず、菊姫はアキラに電話をかける。
「あーもしもし、アタシだ、菊姫。実は知多のヤツがデートらしくて、一緒に見に来な――……アイツ切りやがった」
「アキラ君も、そこまで暇じゃなかったようですね」
「今度はカリンだ。………………でない。電源切ってるのか?」
「もうそこまでにして、直接行きましょうよ~……」
菊姫が訳のわからないことをのたまっている中、デュエル場では。
「サインがダメなら、せめて握手してください!」
「握手ならいいよ。いくらでもしてあげる!」
両手で包み込むように静の右手を包み込むアオイ。それを受けて顔が赤くなる。
「きゃああああ!」
そしてそれを、向こうから見ている遊太たち。
「良いの、コレ……?」
「良いんじゃない? 別に」
「別にって言われてもなあ……」
「いやはや、こんな風にこじれるなんて、見えてなかったなあ」
「見えた……って何? ルイ君。さっきも言っていたけれど……」
「ああいやいや、こっちの話だよ遊太君。にしても、大分人が増えてきたね~」
「ああ~、俺よりもすごいファンがリトルバードを独り占めしているじゃん!」
「独り占めしたいなら、僕を連れてこなきゃ良かったのに」
「それはそれ、これはこれじゃん!」
「やれやれ、コンビ結成したばかりなのに、リトルバードの二人に夢中だなんて……」
「だから、マコト君も何言っているの?」
「こっちもこっちの話。にしても、静ちゃんってあんなにリトルバードのファンだったのか~……知らないことばっかりだよ」
「……?」
「ちょっとちょっと~! 最初に誘われたのは俺じゃん! だから俺にやらせるじゃ~ん!」
「わ、私だって、こんな千載一遇のチャンス滅多にないのですから~!」
「あ、そうだ。遊太、ちょっと俺とデュエルしてくれないか?」
「そういえばヒロシ君も、デュエルするようになったんだったね」
「始めたばかりだから相手がいなくて……」
「大丈夫?」
「うん、ルールは大体覚えたから大丈夫!」
こんな風に、わちゃわちゃと遊太たちが入り乱れている様子を、遠目から眺めている人物がいた。
「あら……? 今日はやけに、人が多いですわねえ……?」
腰まで届く長髪に、カチューシャの女の子。カリンであった。
「静に、リトルバードのお二人、遊太君に知多君……?」
スマホをチェックして見ると、着信アリというメッセージが出ていた。
「あら……?」
電話をかけ直してみると……。
まだ下にいる菊姫の所に、電話がかかってきた。
「おお、カリン! さっき電話してたんだけど、でなくて……どうしたんだよ?」
「移動中でしたので……。今はストリートデュエル場にいるのですが。なにやら今日は騒がしいですわね?」
「おお、遊太たちがいるんだろ? どうなってる?」
「なんというか……すごく騒がしいことになってますわ」
「ええ? 騒がしいことって、どういうことなんだ!?」
「リトルバードの二人が静に握手をせがまれていて、それを止めようとしている知多君。そして遠目から眺めている遊太君ともう一人と……あら?」
「あっ、おーい! カリンちゃ~ん!」
「ルイ君! 知っている人もいましたので、これで……」
そうしてカリンは電話を切った。
「な、なんだっていうんだ? カリンにも男がいたのか?」
「どういうことなんですか……?」
そうして、遊太たちのところに入っていったカリン。
「こんにちは、遊太さん」
「カリンちゃん。ルイ君と知り合いなの?」
「ええ、この間少しありまして……」
「少し?」
「ええ、少し。それにしても、ずいぶん大所帯ですわね」
「最初は僕と知多君と、リトルバードの二人だったのに、最初に静ちゃんとマコト君がいて、静ちゃんがとなりからやってきて……こんな具合に。そして、リトルバードを取り合って二人が……」
「あらあら……」
そうして、知多と静がもめている中に割って入るカリン。
「お二人とも、リトルバードは二人いるのですから、二人で二人を分け合ってはいかがでしょうか?」
「で、でも~。それなら一人で二人を~」
「私もです~!」
「……わかりました。それならデュエルで決めてはいかがでしょう?」
「「デュエル!?」」
「聞いた話によると、リトルバードのお二人はデュエルでデートと言っていましたし、ここはデュエルで決めてはいかがかと」
「な、なるほど……」
「なになに? デュエル? じゃあ僕もやらせてよ~!」
「あ、俺も俺も! 実は、『ヴェンデット』を組んだはいいけど相手がルイ君くらいしかいなくて……」
「僕も一緒に……」
「ええ~!? こ、これは俺と静ちゃんのデュエルなのに……」
「あらあら、ずいぶんと騒がしいことに……くじでも作って決めましょうか?」
「ええ~!? なんでこんなことに~!?」
そうして、即興でくじを作ってデュエルする相手を決めることとなった。しかも、デュエルは……タッグデュエルで。
「せーのっ!」
くじを引いた結果、デュエルすることになったのは……。
「知多・アオイペアVS静・マコトペア! ルールはマスタールール3、ライフポイントは8000だよ。静ちゃん先攻! 後攻はアオイちゃん!」
ルイがジャッジとなり、コートをまたいでディスクを構える。
「じゃあ始めるよ!」
「「デュエル!」」
1・静のターン
「私は手札より『ゴーストリック・ハウス』を発動させて、モンスターとリバースカードを1枚伏せて、ターンエンド!」(静手札5→2)
静
ライフポイント8000
手札枚数2枚
モンスター1体
(裏守備表示)
魔法・罠ゾーンのカード1枚
発動しているカード1枚
『ゴーストリック・ハウス』(フィールド魔法)
墓地の枚数1枚
除外されているカード0枚
2・アオイのターン
「あたしのターン、ドロー!」(アオイ手札5→6)
「あたしは手札から、モンスターを1体セット。そしてリバースカードを2枚セットして、ターンエンド!」(アオイ手札6→3)
アオイ
ライフポイント8000
手札枚数3枚
モンスター1体
(裏守備表示)
魔法・罠ゾーンのカード2枚
発動しているカード0枚
墓地の枚数0枚
除外されているカード0枚
この様子を観戦しているカリンや遊太たち。
「お互いに初手はこんなもんか」
「タッグデュエルだから、初手から飛ばしても返しのターンが4ターン後やからね~。まずは安定重視ってとこかな~」
「タッグデュエルは、1人でやるデュエルとは違いますからね。だから、私もこんなだと思いますわ」
3・マコトのターン
「僕のターン、ドロー!」(マコト手札5→6)
「僕は手札から……」
(タッグだと、フィールド魔法を共有できないから、静ちゃんのカードをそう簡単に張り替えられないな……となると、このフィールドは使えないや。となると、こっちかな)
「僕はモンスター1体をセットして、リバースカードを1枚セットしてターンエンド!」(マコト手札6→4)
「今僕ができるのはこれくらいかな。まあ、後は任せたよ静ちゃん」
「うん……」
「あれ? やっぱりデュエルはアオイちゃんかヒカリちゃんとペアを組みたかった?」
「うん……」
「大丈夫大丈夫。僕だって無策でやってる訳じゃないけどね」
マコト
ライフポイント8000
手札枚数4枚
モンスター2体
(裏守備表示)
(裏守備表示)
魔法・罠ゾーンのカード2枚
発動しているカード1枚
『ゴーストリック・ハウス』(フィールド魔法)
墓地の枚数0枚
除外されているカード0枚
4・知多のターン
「俺のターン、ドローじゃん!」(知多手札5→6)
(アオイちゃんとペア……良いところ見せてやるじゃん!)
「俺は手札から、レベル4チューナー『ウィンドスター・クラウド』を召喚!」(知多手札6→5)
「そして、裏守備のモンスターを表側表示に! レベル3『死神鳥シムルグ』!」
「え、ちょっと……それは……」
「レベル3のシムルグに、レベル4のクラウドをチューニング! シンクロ召喚! レベル7『ウィンドスター・ドラゴン』!」(知多墓地0→2)
知多がいきなりフィールドにエースを召喚する。その攻撃力は2500。
「ウィンドスターの効果、発動! フィールドのカード1枚を手札に戻す! 更に、シンクロに使用したモンスターが全て風属性だった場合、チューナー以外のモンスターの数まで相手フィールドのカードを手札に戻せる! 俺が戻すのは、当然フィールド魔法『ゴーストリック・ハウス』!」
「あっ、うまい! タッグデュエルでは往復でターンがやってくるから、タッグパートナーのカードを別のプレイヤーの手札に戻せば、4ターンの間発動できないも同じだ!」
「これ、ターンプレイヤーのエクストラやデッキに戻しても同じだから覚えとくと良いよね~」
「罠カード『煉獄の落とし穴』! 攻撃力2000以上のモンスターの効果を無効化し、破壊する! これで効果は無効化だよ!」(マコト墓地0→1)
「ええ~!?」(知多墓地2→3)
「伏せカードは要チェックしとかなきゃね!」
「あら~。いきなりカード破壊されちゃったね~」
「タッグパートナーのカードを使ってまで召喚したのに……」
「やっちまったじゃん……!」
「ドンマイドンマイ! 次行ってみよ~!」
「あ、ありがとうじゃん……! じゃあ俺は、リバースカードを1枚セットして、ターンエンド!」(知多手札4→3)
知多
ライフポイント8000
手札枚数3枚
モンスター0体
魔法・罠ゾーンのカード2枚
発動しているカード0枚
墓地の枚数3枚
除外されているカード0枚
5・静のターン
「私のターン、ドロー!」(静手札2→3)
「裏守備のモンスターを攻撃表示に! 『ゴーストリック・キョンシー』! その効果で、デッキから『ゴーストリック』を手札に加えることができます。『ゴーストリック・マリー』を手札に」(静手札3→4)
「もう1体のモンスターを表側表示に! そして、表側表示にリバースした『ドッペルゲンガー』の効果によって、フィールドのセットカードを2枚破壊する。対象はもちろん、あなた方の伏せカード!」
「げっ、やばいじゃん!」
「知多君、リバースカード!」
「あ、そうじゃん。罠カード『戦線復帰』! 『ウィンドスター・ドラゴン』を守備表示で墓地から特殊召喚じゃん!」
「でも、破壊はされます」
「う~っ!」(知多墓地3→5)
「そして手札より、『ゴーストリックの魔女』を召喚! 効果発動。ウィンドスターを裏守備に!」(静手札4→3)
「バトルフェイズに入り、魔女とキョンシーでダイレクトアタック!」
「知多君?」
「何じゃん?」
「ここでもリバースカードだよ」
「あ、そうじゃん! 罠カード『邪神の大災害』! 相手モンスターの攻撃宣言時、フィールドの魔法・罠を全て破壊!」(知多墓地5→6)
「ああっ、『ゴーストリック・ハウス』と『ゴーストリック・ロールシフト』が……!」(静墓地1→3)
「フィールド魔法がなくなったことにより、『ゴーストリック』のダイレクトアタックが無効化される!」
「……メインフェイズ2で、リバースカードを1枚セットして、全ての『ゴーストリック』を裏守備にしてターンエンド!」(静手札3→2)
静
ライフポイント8000
手札枚数2枚
モンスター3体
『ゴーストリック・キョンシー』(裏守備表示)
『ゴーストリックの魔女』(裏守備表示)
『ドッペルゲンガー』(攻撃表示・攻撃力650・闇属性・レベル3)
魔法・罠ゾーンのカード1枚
発動しているカード0枚
墓地の枚数3枚
除外されているカード0枚
6・アオイのターン
「あたしのターン、ドロー!」(アオイ手札3→4)
「手札より魔法カード『神鳥の来寇』を発動! 手札1枚をコストに、デッキから『シムルグ』モンスター2体を手札に加えるあたしは『始祖神鳥シムルグ』と『ダークネス・シムルグ』を手札に!」(アオイ墓地6→8)
「手札より、魔法カード『サイクロン』を発動! フィールドの魔法・罠1枚を破壊する! あなたの伏せカードを破壊!」(アオイ手札4→3)(アオイ墓地8→9)
「速攻魔法『月の書』を発動! フィールドのモンスター1体を裏守備表示に! 『ドッペルゲンガー』を裏守備に!」(静墓地3→4)
「そう来るか……ならこっちはコレ! 相手の魔法・罠ゾーンにカードがない時、墓地から下級『シムルグ』モンスターは特殊召喚できる! 死神鳥を墓地から特殊召喚!」(アオイ墓地9→8)
「そして手札より、レベル1『雛神鳥シムルグ』を召喚! 効果発動。もう1回『シムルグ』モンスターを召喚できる! あたしは雛神鳥と、死神鳥の2体をリリースして、手札からレベル8『始祖神鳥シムルグ』を召喚!」(アオイ手札3→1)(アオイ墓地8→9)(アオイ除外0→1)
アオイの手札から現れたのは、黄金色に輝く巨大な怪鳥。攻撃力は2900と圧倒的。
「そして、風属性モンスターのアドバンス召喚に成功したことにより、手札の『ダークネス・シムルグ』を特殊召喚するよー!」
アオイのフィールドに、2体の神鳥が現れる。黒色の鳥も、攻撃力2900。
これを見て、観戦しているヒカリはつぶやく。
「出たわ~、アオイちゃんのエースモンスター。あれはなかなか手強いよ~」
「アオイちゃんも、ヒカリちゃんと同じ鳥獣族使いなの?」
「そだよ~。でもアオイちゃんは大型を出して叩くって戦法だから、『ハーピィ』を並べるアタシとは違うかな~」
「姉妹一人ってもここまで違うんだね~」
「でも、二人が組んだら無敵じゃない? ヒカリちゃんが『ハーピィ』をたくさん出して、それをアオイちゃんがリリースすれば……」
「……かもね」
二人の視線は、再びデュエルに戻る。
「その後、風属性をリリースしてアドバンス召喚した始祖神鳥は、相手フィールドのカードを2枚まで手札に戻せる! 伏せ守備モンスターを2体手札に戻させてもらうよ!」
「ううっ」(静手札2→4)
「ウィンドスターを攻撃表示にして、バトルフェイズ! ウィンドスターで裏守備となっている『ドッペルゲンガー』を攻撃!」(静墓地3→4)
「そして、始祖神鳥でダイレクトアタック! ウィング・ストーム!」
「んっ、だけど、ダメージを受けたことで、手札の『ゴーストリック・マリー』の効果発動! このカードを手札から捨てて、デッキから『ゴーストリック』を特殊召喚する! デッキから『ゴーストリックの妖精』を裏守備で特殊召喚」(静手札4→3)(静墓地4→5)(静ライフ8000→5100)
「じゃあ、ダークネスの方でセットされたモンスターを攻撃! ダークネス・ストーム!」
「リバースした妖精の効果。妖精はリバースした時、墓地から『ゴーストリック』カード1枚をフィールドにセットできる。私は墓地の『ゴーストリック・ハウス』をセットする。その後、フィールドにセットされているカードの数まで相手モンスターを裏にできる! ダークネスを裏側に!」
「でも、戦闘では破壊されるよ~?」
「あ、そうだった……」
「あたしはこれで、ターンエンド! さあ、どっからでもかかって来なさ~い!」
「次のターンは僕なんだけどなあ」
「マコト君、頑張って!」
アオイ
ライフポイント8000
手札枚数0枚
モンスター3体
『ウィンドスター・ドラゴン』(攻撃表示・攻撃力2500・風属性・レベル7)
『始祖神鳥シムルグ』(攻撃表示・攻撃力2900・風属性・レベル8)
『ダークネス・シムルグ』(裏守備表示・守備力2000・闇属性・レベル8)
魔法・罠ゾーンのカード0枚
発動しているカード0枚
墓地の枚数10枚
除外されているカード0枚
デュエルは次第に盛り上がっていく。その様子を、じっと見つめる遊太とヒカリ、そしてヒロシ。それを見て、遊太はヒカリに訪ねる。
「ねえ、今回のデート……だけど、これってアオイちゃんだけが言ったこと?」
「いや、アタシもちょっとは絡んでいるかな~……あんなものがあったとはいえ自分が自分でないような形でしでかしたことなんだから、そりゃあ知多君には悪いことしたなあって思うよ。その罪償いもあってね……」
「そうなんだ」
「けれど、思ったより知多君も気にしていなかったし、それにこうしてまた昔みたいにワイワイはしゃぐのもいいかなって……最近プラクサスじゃ大変なこともおこってたみたいだし」
「ありがとうね。あんなことにはなっちゃったけど、知多君にとって君はやっぱり憧れだから……」
「ふふっ、ありがと」
7・マコトのターン
「僕のターン、ドロ――」
マコトがドローを宣言した瞬間、突如着信音がデュエルコートに響き渡った。
「な、何? 誰の?」
「あ、ウチの」
ヒカリがポケットからケータイを出すと、着信に応じる。
「あーもしもし、ジャーマネ? ……えっ? 仕事? 今活動休止じゃなかったっけ。え? 上から再開していいとお達しが? で、仕事は? 今日から打ち合わせ? そんな急に言われてもな~……わかった。じゃあ今から行くから。当然、アオイちゃんも一緒にね」
「アオイちゃ~ん、仕事にお呼ばれされたよ~! というわけでこのデュエルは中止~!」
「ええ~!? やっと面白くなってきたのに~!?」
「仕事やからしょうが無いでしょ~。ほら、さっさと行く!」
「ちぇっ! というわけで、急なお仕事が入っちゃったから、デュエルはまたこんどね~!」
「「そ、そんな~!」」
ディスクを片付け、さっさと行ってしまったヒカリとアオイ。
「あ~……行っちゃったね」
「いきなり呼び出しといて、いきなり帰るなんて、全く勝手な人たち……」
「まったくじゃん!」
「やっぱ、なんでもいいからサインもらっとけばよかったかな……?」
「相手がいなくなっちゃったから、ここからは僕たちだけでデートしようか? 静ちゃん」
「うん、それが良いね。って、デート?」
「なんか大変なことになったとはいえ、俺はアオイちゃんと一緒にデュエルできて良かったじゃん!」
と、おのおのが考えている中、ここに人が現れた。
「知多ぁ~! 遊太ぁ~! 女とデートとは一体何事だぁ~!」
菊姫一同がやっと来た。しかし、もうすでに後の祭り状態であった。
「あれ? リトルバードの二人は?」
「もう帰っちゃったよ?」
「何ーぃ!?」
「菊姫さんがもたもたしてたから……」
「ホントっすよねえ」
「全くデス!」
「な、なんだったんだ今回は……」
その頃、リトルバードの二人はというと。
「えっ!? あたしたちが、そんな大きな大会のマスコットガールに!?」
「ホントにいいの? やっと復帰したばかりのアタシたちが……」
「復帰直後だからいいんですよ! リバイバルの最初の仕事にふさわしいと考えて、この仕事を斡旋したんです!」
「ホントにこんな大役もらって良いの!?」
「世界規模のデュエル大会、D1グランプリに!?」
そして、こちらの方も。紅い月に照らされた、古城の庭にて、白いドレスの少女は苦虫を噛みつぶしたような顔をしていた。
「知多君……何やってるのよあなた……」
「あらシェリル、またのぞき見? 趣味が悪いわねえ」
「そろそろわからせてやらなきゃ。誰があの子にふさわしいのか。それに……奴らも動き出すみたいだし、アレも渡しておかないとね」
第七十一話。終わり。
遊太が元気になってしばらくした後。学校を終えた遊太と知多は学校から歩いて下校していた。
「ねえ、もうすぐ夏休みだね。夏休みになったら何しようか?」
夏休みに対していろいろ考えていた遊太だったが、知多の様子がおかしい。
「…………」
「ねえ、どうしたの知多君? 顔を赤くして」
「おかしいじゃん……?」
「何が?」
「とってもおかしいじゃん……」
「だから何が?」
「だ、だってえ……あのリトルバードの二人が俺んちの電話番号を知ってて、今日会おうって言うなんて……」
「ええ~!? それマジで!?」
「本当じゃん! 本人の声で、本人から直接家に電話がかかって来たじゃん! なんでこうなってるじゃ~ん!」
「そんなの、電話帳でも見たんでしょ? 大騒ぎすることじゃないでしょ」
「あ、そうじゃん……でも、会おうなんて……」
「ふーん、デート? やることやってたんだね~。じゃ、僕帰るとここっちだから」
「ま、待ってくれじゃん!」
「何?」
「一緒に来てほしいじゃん」
「なんで? ファンなら独り占めしたいとか思わないの?」
「なんか、その……一人だといろいろ恥ずかしいじゃん……」
「ええ~……ファンなのに?」
「ファンだから! とにかくついてくるじゃん!」
「ああちょっと! 手を引っ張らないでよ!」
そうして、たどり着いた先には、この間会ったアイドルユニット『リトルバード』の二人。アオイとヒカリの二人がいた。
「おーい、知多くーん! こっちこっちー!」
「ほらほら遊太、こっちじゃん!」
「わわわ~」
「やっほ~、知多君」
「ごめんな~、コイツが遅いから~」
「僕は来るつもりじゃなかったのに……」
「ふ~ん、この間の遊太君? ま、何人増えても別に困る用でもないからね~」
「あ、あははは……で、二人ともなんなのじゃん? こんな所に呼び出して」
「えへへ……この間ヒカリちゃんがお世話になったから、そのお礼も兼ねて知多くんとデートしよっかな~って、思っちゃって!」
「で、デートォ!?」
それは、あまりにも大きすぎる声。その声を聞くのは、すごくたやすいことだった。この日たまたま近くにいた菊姫にも聞こえるくらいに。
「何ぃっ!?」
本屋で立ち読みしていたデュエル雑誌を落としそうになりながら、知多と同じくらい大きな声でびっくりした。
そうして、向こう側を見てみると、知多が顔を赤くしながらリトルバードの二人に連れられて行くのが見えた。遊太も一緒に。
それを見て、おもむろにスマホを取り出し、友人に連絡するのであった。
「もしもし、真薄か?」
「あ、菊姫さん。いきなり電話してなんですか?」
「デートだよ……」
「ほえ?」
「あの知多が、リトルバードの二人に連れられデートだってよ……!」
「ええっ!?」
「それに、遊太も一緒にいたんだよ……!」
「なんですかそれ?」
「なあ、気になるだろ? 詳しい場所は後で連絡するから、一緒に見に来ねえ?」
「あ、はい……気になります。じゃあ、また後で……」
「わかった。よーし、なんとか突き止めてやるぜ!」
そうして、知多が二人に連れられ(遊太もいるが)やってきたのは。
「ストリートデュエル場?」
「な~んじゃん……結局デュエルなんじゃん……」
「違うよ~。デュエルでデート!」
「デュエルでデート……?」
「ささっ、いこいこ!」
そうして中に入ってみると、すでに先客がいた。
「え、えっと……『ゴーストリックの駄天使』で、ダイレクトアタック!」
「おお~っ……!」(誰かライフ1400→0)
「デュエル終了。ライフが無くなったため静の勝ち」
「や、やったぁ~っ……!」
「あれれ? アレは、静ちゃん? 審判やってるのは……誰?」
「やったよ、マコト君!」
「おめでとー、静ちゃん」
そこにはデュエルをやりに来た誰かと、以前ダークネスカードの一件で遊太たちと面識のある静であった。
「あの恥ずかしがりだった静ちゃんが、普通に友達作って他人とデュエルしてる……」
「あれれ~? ひょっとして、知り合い?」
「あ、うん。一応。おーい静ちゃん!」
「あっ、あっと……遊太、くん?」
「うん、僕だよ。この間カリンちゃんと一緒にいた……」
「あっと……この間は、ありがとねっ!」
「いやいや、やったのはカリンちゃんだから。僕はただ一緒にいただけ。それに……ユイだって」
「ででで、でも、でもっ! あれのおかげで、みんなに面と向かって話せるようになったしっ、それにっ、マコト君とも出会えたしっ!」
顔を赤くしながら、遊太にたどたどしくも喋る静。その後ろから、同じくらいの男の子が話しかける。
「まあまあ静ちゃん、それぐらいにして良いんじゃない?」
「君、誰?」
「僕はマコト。静ちゃんと……コンビを組んでいる人さ!」
「コンビ?」
「ああっ……マコト君。それ以上はまだ言っちゃダメ~」
「??????」
その様子を、遠巻きに眺める知多とアオイとヒカリ。
「なんよ、いつの間にかあっちで勝手に盛り上がってるよ~」
「まあまあ、人数いた方が楽しいって!」
「そ、そうじゃんそうじゃん!」
こっちでも盛り上がっていたが、奥で静が知多の方にいたヒカリとアオイに気づく。
「えっ……うきゃああああ! り、リトルバードの二人~!?」
「え、どうしたの静ちゃん」
「わ、私、ファンなんです~! サインくださ……あっ、色紙がないです~……」
「マジ?」
一方こちらは、ストリートデュエル場の下。菊姫は誰かを待っていた。
「菊姫さ~ん!」
「おお、来たか真薄!」
「『リトルバード』の二人が、知多君だけじゃなく遊太君と一緒だなんて……一体どうなっているんですか?」
「わからん。ダブルデートなのか否かはわからんが……とにかくなんか大変なんだよ!」
「そんなに焦ることですか?」
「焦るんだよ……ここにいい女が一人いるってーのに」
「菊姫さんは二人にとって、ただのデュエル友達でしかないからでしょうか……?」
「んだとぉ!?」
「ほら、そういう所もですよ~!」
真薄が菊姫につかみかかられている所に、更にやってくる人間たち。
「アネゴ~!」
走ってきた菊姫の取り巻き二人、岩ノ井と鏡山。大分焦っていたようで、汗と息切れが激しい。
「遊太と知多がデートして大変って、どういうことッスかアネゴ!」
「一体何が起こっているんだよ~……」
「ええっ!? 何を二人に言ったんですか菊姫さん!」
「いや、慌てていたから、ちょっと言葉選びが……」
「だとしても、それは無いですよ!」
ややこしい解釈によって、来てしまった人が二人。更に場を混乱させる人間も、ここにやってくる。
「皆サーン!」
「ええっ!?」
カタコト声を響かせながら、自転車に乗ってやってきたのはユイ。こちらも相当急いでいたららしく、急ブレーキの金切り音が響く。
「遊太サンと知多サンがデートを賭けてデュエルって、一体何事なんデスか!?」
「ええ~っ!?」
「ダメデスよ、そんなことでデュエルなんて! そんなデュエルなんて、どっちが勝っても傷つくじゃないデスかぁ~!」
「菊姫さん……?」
「い、いや……慌てていたから言葉が……な」
そうしてデュエル場。静がリトルバードの二人に夢中になっていた。
「な、なんでこんな所にお二方が~!?」
「ん~? デートだよ?」
「デートですか~!? 誰と?」
「知多君とだよ」
「え~! うらやましいよぉ~!」
「僕もいるんだけど……」
「アハハ、コンビなのにまだまだ知らない一面があるじゃん」
きゃあきゃあと騒ぐ声は隣まで聞こえたのか、隣のデュエル場から人が来た。
「おいおい、隣のコートうるせーよ! なんだよ一体……って、あー! 遊太!」
「今度はヒロシ君まで!?」
「僕もいるよ」
「君は……誰?」
「僕かい? 僕は鹿野ルイ、カリンちゃんやアキラ君と同じ、花園学園に通っているのさ~。にしても、有名人が二人も来るなんて」
「リトルバードのこと?」
「いや、君だよ遊太君。プラクサスじゃ有名なデュエリストだから」
「ええ~? そんなに?」
「ま、これも見えてたことだけど……」
「え?」
「ああいやいや、こっちの話」
そうしてデュエル場の下。菊姫のいい加減な説明で誤解が誤解を生み、取り返しのつかなさそうな所にまで来てしまったかと思いきや、真薄がなんとか誤解を解いたところであった。
「なんデスか! 全然違うどころか全くわからないナンて、人騒がせもいいとこデス!」
「ホントッスよアネゴ~」
「だがなあ、いくら活動休止中とはいえ、あのリトルバードの二人がだぞ? なんかあるに決まっているだろ!」
「そうはいってもですねえ……」
「じゃあなんだっていうんだよ!」
「それは……なんなんでしょう?」
「アネゴ、そんなに言うなら直接見に行けば良いんじゃないッスか?」
「バカ言え! そんなことしたら、いつものメンツの、いつもの出来事になっちまうじゃねえか!」
「別にそれで良いんじゃないでしょうか?」
「良くねえよ! とにかく……いつものメンツのいつもの出来事じゃダメなんだ! デートじゃなきゃ!」
「何をそんなにデートにこだわるのデスか……?」
「まあともかく、このままじゃ人が足りない。カリンやアキラにも連絡だ!」
「これ以上まだ人を呼ぶのですかあ!?」
真薄が止めるのも聞かず、菊姫はアキラに電話をかける。
「あーもしもし、アタシだ、菊姫。実は知多のヤツがデートらしくて、一緒に見に来な――……アイツ切りやがった」
「アキラ君も、そこまで暇じゃなかったようですね」
「今度はカリンだ。………………でない。電源切ってるのか?」
「もうそこまでにして、直接行きましょうよ~……」
菊姫が訳のわからないことをのたまっている中、デュエル場では。
「サインがダメなら、せめて握手してください!」
「握手ならいいよ。いくらでもしてあげる!」
両手で包み込むように静の右手を包み込むアオイ。それを受けて顔が赤くなる。
「きゃああああ!」
そしてそれを、向こうから見ている遊太たち。
「良いの、コレ……?」
「良いんじゃない? 別に」
「別にって言われてもなあ……」
「いやはや、こんな風にこじれるなんて、見えてなかったなあ」
「見えた……って何? ルイ君。さっきも言っていたけれど……」
「ああいやいや、こっちの話だよ遊太君。にしても、大分人が増えてきたね~」
「ああ~、俺よりもすごいファンがリトルバードを独り占めしているじゃん!」
「独り占めしたいなら、僕を連れてこなきゃ良かったのに」
「それはそれ、これはこれじゃん!」
「やれやれ、コンビ結成したばかりなのに、リトルバードの二人に夢中だなんて……」
「だから、マコト君も何言っているの?」
「こっちもこっちの話。にしても、静ちゃんってあんなにリトルバードのファンだったのか~……知らないことばっかりだよ」
「……?」
「ちょっとちょっと~! 最初に誘われたのは俺じゃん! だから俺にやらせるじゃ~ん!」
「わ、私だって、こんな千載一遇のチャンス滅多にないのですから~!」
「あ、そうだ。遊太、ちょっと俺とデュエルしてくれないか?」
「そういえばヒロシ君も、デュエルするようになったんだったね」
「始めたばかりだから相手がいなくて……」
「大丈夫?」
「うん、ルールは大体覚えたから大丈夫!」
こんな風に、わちゃわちゃと遊太たちが入り乱れている様子を、遠目から眺めている人物がいた。
「あら……? 今日はやけに、人が多いですわねえ……?」
腰まで届く長髪に、カチューシャの女の子。カリンであった。
「静に、リトルバードのお二人、遊太君に知多君……?」
スマホをチェックして見ると、着信アリというメッセージが出ていた。
「あら……?」
電話をかけ直してみると……。
まだ下にいる菊姫の所に、電話がかかってきた。
「おお、カリン! さっき電話してたんだけど、でなくて……どうしたんだよ?」
「移動中でしたので……。今はストリートデュエル場にいるのですが。なにやら今日は騒がしいですわね?」
「おお、遊太たちがいるんだろ? どうなってる?」
「なんというか……すごく騒がしいことになってますわ」
「ええ? 騒がしいことって、どういうことなんだ!?」
「リトルバードの二人が静に握手をせがまれていて、それを止めようとしている知多君。そして遠目から眺めている遊太君ともう一人と……あら?」
「あっ、おーい! カリンちゃ~ん!」
「ルイ君! 知っている人もいましたので、これで……」
そうしてカリンは電話を切った。
「な、なんだっていうんだ? カリンにも男がいたのか?」
「どういうことなんですか……?」
そうして、遊太たちのところに入っていったカリン。
「こんにちは、遊太さん」
「カリンちゃん。ルイ君と知り合いなの?」
「ええ、この間少しありまして……」
「少し?」
「ええ、少し。それにしても、ずいぶん大所帯ですわね」
「最初は僕と知多君と、リトルバードの二人だったのに、最初に静ちゃんとマコト君がいて、静ちゃんがとなりからやってきて……こんな具合に。そして、リトルバードを取り合って二人が……」
「あらあら……」
そうして、知多と静がもめている中に割って入るカリン。
「お二人とも、リトルバードは二人いるのですから、二人で二人を分け合ってはいかがでしょうか?」
「で、でも~。それなら一人で二人を~」
「私もです~!」
「……わかりました。それならデュエルで決めてはいかがでしょう?」
「「デュエル!?」」
「聞いた話によると、リトルバードのお二人はデュエルでデートと言っていましたし、ここはデュエルで決めてはいかがかと」
「な、なるほど……」
「なになに? デュエル? じゃあ僕もやらせてよ~!」
「あ、俺も俺も! 実は、『ヴェンデット』を組んだはいいけど相手がルイ君くらいしかいなくて……」
「僕も一緒に……」
「ええ~!? こ、これは俺と静ちゃんのデュエルなのに……」
「あらあら、ずいぶんと騒がしいことに……くじでも作って決めましょうか?」
「ええ~!? なんでこんなことに~!?」
そうして、即興でくじを作ってデュエルする相手を決めることとなった。しかも、デュエルは……タッグデュエルで。
「せーのっ!」
くじを引いた結果、デュエルすることになったのは……。
「知多・アオイペアVS静・マコトペア! ルールはマスタールール3、ライフポイントは8000だよ。静ちゃん先攻! 後攻はアオイちゃん!」
ルイがジャッジとなり、コートをまたいでディスクを構える。
「じゃあ始めるよ!」
「「デュエル!」」
1・静のターン
「私は手札より『ゴーストリック・ハウス』を発動させて、モンスターとリバースカードを1枚伏せて、ターンエンド!」(静手札5→2)
静
ライフポイント8000
手札枚数2枚
モンスター1体
(裏守備表示)
魔法・罠ゾーンのカード1枚
発動しているカード1枚
『ゴーストリック・ハウス』(フィールド魔法)
墓地の枚数1枚
除外されているカード0枚
2・アオイのターン
「あたしのターン、ドロー!」(アオイ手札5→6)
「あたしは手札から、モンスターを1体セット。そしてリバースカードを2枚セットして、ターンエンド!」(アオイ手札6→3)
アオイ
ライフポイント8000
手札枚数3枚
モンスター1体
(裏守備表示)
魔法・罠ゾーンのカード2枚
発動しているカード0枚
墓地の枚数0枚
除外されているカード0枚
この様子を観戦しているカリンや遊太たち。
「お互いに初手はこんなもんか」
「タッグデュエルだから、初手から飛ばしても返しのターンが4ターン後やからね~。まずは安定重視ってとこかな~」
「タッグデュエルは、1人でやるデュエルとは違いますからね。だから、私もこんなだと思いますわ」
3・マコトのターン
「僕のターン、ドロー!」(マコト手札5→6)
「僕は手札から……」
(タッグだと、フィールド魔法を共有できないから、静ちゃんのカードをそう簡単に張り替えられないな……となると、このフィールドは使えないや。となると、こっちかな)
「僕はモンスター1体をセットして、リバースカードを1枚セットしてターンエンド!」(マコト手札6→4)
「今僕ができるのはこれくらいかな。まあ、後は任せたよ静ちゃん」
「うん……」
「あれ? やっぱりデュエルはアオイちゃんかヒカリちゃんとペアを組みたかった?」
「うん……」
「大丈夫大丈夫。僕だって無策でやってる訳じゃないけどね」
マコト
ライフポイント8000
手札枚数4枚
モンスター2体
(裏守備表示)
(裏守備表示)
魔法・罠ゾーンのカード2枚
発動しているカード1枚
『ゴーストリック・ハウス』(フィールド魔法)
墓地の枚数0枚
除外されているカード0枚
4・知多のターン
「俺のターン、ドローじゃん!」(知多手札5→6)
(アオイちゃんとペア……良いところ見せてやるじゃん!)
「俺は手札から、レベル4チューナー『ウィンドスター・クラウド』を召喚!」(知多手札6→5)
「そして、裏守備のモンスターを表側表示に! レベル3『死神鳥シムルグ』!」
「え、ちょっと……それは……」
「レベル3のシムルグに、レベル4のクラウドをチューニング! シンクロ召喚! レベル7『ウィンドスター・ドラゴン』!」(知多墓地0→2)
知多がいきなりフィールドにエースを召喚する。その攻撃力は2500。
「ウィンドスターの効果、発動! フィールドのカード1枚を手札に戻す! 更に、シンクロに使用したモンスターが全て風属性だった場合、チューナー以外のモンスターの数まで相手フィールドのカードを手札に戻せる! 俺が戻すのは、当然フィールド魔法『ゴーストリック・ハウス』!」
「あっ、うまい! タッグデュエルでは往復でターンがやってくるから、タッグパートナーのカードを別のプレイヤーの手札に戻せば、4ターンの間発動できないも同じだ!」
「これ、ターンプレイヤーのエクストラやデッキに戻しても同じだから覚えとくと良いよね~」
「罠カード『煉獄の落とし穴』! 攻撃力2000以上のモンスターの効果を無効化し、破壊する! これで効果は無効化だよ!」(マコト墓地0→1)
「ええ~!?」(知多墓地2→3)
「伏せカードは要チェックしとかなきゃね!」
「あら~。いきなりカード破壊されちゃったね~」
「タッグパートナーのカードを使ってまで召喚したのに……」
「やっちまったじゃん……!」
「ドンマイドンマイ! 次行ってみよ~!」
「あ、ありがとうじゃん……! じゃあ俺は、リバースカードを1枚セットして、ターンエンド!」(知多手札4→3)
知多
ライフポイント8000
手札枚数3枚
モンスター0体
魔法・罠ゾーンのカード2枚
発動しているカード0枚
墓地の枚数3枚
除外されているカード0枚
5・静のターン
「私のターン、ドロー!」(静手札2→3)
「裏守備のモンスターを攻撃表示に! 『ゴーストリック・キョンシー』! その効果で、デッキから『ゴーストリック』を手札に加えることができます。『ゴーストリック・マリー』を手札に」(静手札3→4)
「もう1体のモンスターを表側表示に! そして、表側表示にリバースした『ドッペルゲンガー』の効果によって、フィールドのセットカードを2枚破壊する。対象はもちろん、あなた方の伏せカード!」
「げっ、やばいじゃん!」
「知多君、リバースカード!」
「あ、そうじゃん。罠カード『戦線復帰』! 『ウィンドスター・ドラゴン』を守備表示で墓地から特殊召喚じゃん!」
「でも、破壊はされます」
「う~っ!」(知多墓地3→5)
「そして手札より、『ゴーストリックの魔女』を召喚! 効果発動。ウィンドスターを裏守備に!」(静手札4→3)
「バトルフェイズに入り、魔女とキョンシーでダイレクトアタック!」
「知多君?」
「何じゃん?」
「ここでもリバースカードだよ」
「あ、そうじゃん! 罠カード『邪神の大災害』! 相手モンスターの攻撃宣言時、フィールドの魔法・罠を全て破壊!」(知多墓地5→6)
「ああっ、『ゴーストリック・ハウス』と『ゴーストリック・ロールシフト』が……!」(静墓地1→3)
「フィールド魔法がなくなったことにより、『ゴーストリック』のダイレクトアタックが無効化される!」
「……メインフェイズ2で、リバースカードを1枚セットして、全ての『ゴーストリック』を裏守備にしてターンエンド!」(静手札3→2)
静
ライフポイント8000
手札枚数2枚
モンスター3体
『ゴーストリック・キョンシー』(裏守備表示)
『ゴーストリックの魔女』(裏守備表示)
『ドッペルゲンガー』(攻撃表示・攻撃力650・闇属性・レベル3)
魔法・罠ゾーンのカード1枚
発動しているカード0枚
墓地の枚数3枚
除外されているカード0枚
6・アオイのターン
「あたしのターン、ドロー!」(アオイ手札3→4)
「手札より魔法カード『神鳥の来寇』を発動! 手札1枚をコストに、デッキから『シムルグ』モンスター2体を手札に加えるあたしは『始祖神鳥シムルグ』と『ダークネス・シムルグ』を手札に!」(アオイ墓地6→8)
「手札より、魔法カード『サイクロン』を発動! フィールドの魔法・罠1枚を破壊する! あなたの伏せカードを破壊!」(アオイ手札4→3)(アオイ墓地8→9)
「速攻魔法『月の書』を発動! フィールドのモンスター1体を裏守備表示に! 『ドッペルゲンガー』を裏守備に!」(静墓地3→4)
「そう来るか……ならこっちはコレ! 相手の魔法・罠ゾーンにカードがない時、墓地から下級『シムルグ』モンスターは特殊召喚できる! 死神鳥を墓地から特殊召喚!」(アオイ墓地9→8)
「そして手札より、レベル1『雛神鳥シムルグ』を召喚! 効果発動。もう1回『シムルグ』モンスターを召喚できる! あたしは雛神鳥と、死神鳥の2体をリリースして、手札からレベル8『始祖神鳥シムルグ』を召喚!」(アオイ手札3→1)(アオイ墓地8→9)(アオイ除外0→1)
アオイの手札から現れたのは、黄金色に輝く巨大な怪鳥。攻撃力は2900と圧倒的。
「そして、風属性モンスターのアドバンス召喚に成功したことにより、手札の『ダークネス・シムルグ』を特殊召喚するよー!」
アオイのフィールドに、2体の神鳥が現れる。黒色の鳥も、攻撃力2900。
これを見て、観戦しているヒカリはつぶやく。
「出たわ~、アオイちゃんのエースモンスター。あれはなかなか手強いよ~」
「アオイちゃんも、ヒカリちゃんと同じ鳥獣族使いなの?」
「そだよ~。でもアオイちゃんは大型を出して叩くって戦法だから、『ハーピィ』を並べるアタシとは違うかな~」
「姉妹一人ってもここまで違うんだね~」
「でも、二人が組んだら無敵じゃない? ヒカリちゃんが『ハーピィ』をたくさん出して、それをアオイちゃんがリリースすれば……」
「……かもね」
二人の視線は、再びデュエルに戻る。
「その後、風属性をリリースしてアドバンス召喚した始祖神鳥は、相手フィールドのカードを2枚まで手札に戻せる! 伏せ守備モンスターを2体手札に戻させてもらうよ!」
「ううっ」(静手札2→4)
「ウィンドスターを攻撃表示にして、バトルフェイズ! ウィンドスターで裏守備となっている『ドッペルゲンガー』を攻撃!」(静墓地3→4)
「そして、始祖神鳥でダイレクトアタック! ウィング・ストーム!」
「んっ、だけど、ダメージを受けたことで、手札の『ゴーストリック・マリー』の効果発動! このカードを手札から捨てて、デッキから『ゴーストリック』を特殊召喚する! デッキから『ゴーストリックの妖精』を裏守備で特殊召喚」(静手札4→3)(静墓地4→5)(静ライフ8000→5100)
「じゃあ、ダークネスの方でセットされたモンスターを攻撃! ダークネス・ストーム!」
「リバースした妖精の効果。妖精はリバースした時、墓地から『ゴーストリック』カード1枚をフィールドにセットできる。私は墓地の『ゴーストリック・ハウス』をセットする。その後、フィールドにセットされているカードの数まで相手モンスターを裏にできる! ダークネスを裏側に!」
「でも、戦闘では破壊されるよ~?」
「あ、そうだった……」
「あたしはこれで、ターンエンド! さあ、どっからでもかかって来なさ~い!」
「次のターンは僕なんだけどなあ」
「マコト君、頑張って!」
アオイ
ライフポイント8000
手札枚数0枚
モンスター3体
『ウィンドスター・ドラゴン』(攻撃表示・攻撃力2500・風属性・レベル7)
『始祖神鳥シムルグ』(攻撃表示・攻撃力2900・風属性・レベル8)
『ダークネス・シムルグ』(裏守備表示・守備力2000・闇属性・レベル8)
魔法・罠ゾーンのカード0枚
発動しているカード0枚
墓地の枚数10枚
除外されているカード0枚
デュエルは次第に盛り上がっていく。その様子を、じっと見つめる遊太とヒカリ、そしてヒロシ。それを見て、遊太はヒカリに訪ねる。
「ねえ、今回のデート……だけど、これってアオイちゃんだけが言ったこと?」
「いや、アタシもちょっとは絡んでいるかな~……あんなものがあったとはいえ自分が自分でないような形でしでかしたことなんだから、そりゃあ知多君には悪いことしたなあって思うよ。その罪償いもあってね……」
「そうなんだ」
「けれど、思ったより知多君も気にしていなかったし、それにこうしてまた昔みたいにワイワイはしゃぐのもいいかなって……最近プラクサスじゃ大変なこともおこってたみたいだし」
「ありがとうね。あんなことにはなっちゃったけど、知多君にとって君はやっぱり憧れだから……」
「ふふっ、ありがと」
7・マコトのターン
「僕のターン、ドロ――」
マコトがドローを宣言した瞬間、突如着信音がデュエルコートに響き渡った。
「な、何? 誰の?」
「あ、ウチの」
ヒカリがポケットからケータイを出すと、着信に応じる。
「あーもしもし、ジャーマネ? ……えっ? 仕事? 今活動休止じゃなかったっけ。え? 上から再開していいとお達しが? で、仕事は? 今日から打ち合わせ? そんな急に言われてもな~……わかった。じゃあ今から行くから。当然、アオイちゃんも一緒にね」
「アオイちゃ~ん、仕事にお呼ばれされたよ~! というわけでこのデュエルは中止~!」
「ええ~!? やっと面白くなってきたのに~!?」
「仕事やからしょうが無いでしょ~。ほら、さっさと行く!」
「ちぇっ! というわけで、急なお仕事が入っちゃったから、デュエルはまたこんどね~!」
「「そ、そんな~!」」
ディスクを片付け、さっさと行ってしまったヒカリとアオイ。
「あ~……行っちゃったね」
「いきなり呼び出しといて、いきなり帰るなんて、全く勝手な人たち……」
「まったくじゃん!」
「やっぱ、なんでもいいからサインもらっとけばよかったかな……?」
「相手がいなくなっちゃったから、ここからは僕たちだけでデートしようか? 静ちゃん」
「うん、それが良いね。って、デート?」
「なんか大変なことになったとはいえ、俺はアオイちゃんと一緒にデュエルできて良かったじゃん!」
と、おのおのが考えている中、ここに人が現れた。
「知多ぁ~! 遊太ぁ~! 女とデートとは一体何事だぁ~!」
菊姫一同がやっと来た。しかし、もうすでに後の祭り状態であった。
「あれ? リトルバードの二人は?」
「もう帰っちゃったよ?」
「何ーぃ!?」
「菊姫さんがもたもたしてたから……」
「ホントっすよねえ」
「全くデス!」
「な、なんだったんだ今回は……」
その頃、リトルバードの二人はというと。
「えっ!? あたしたちが、そんな大きな大会のマスコットガールに!?」
「ホントにいいの? やっと復帰したばかりのアタシたちが……」
「復帰直後だからいいんですよ! リバイバルの最初の仕事にふさわしいと考えて、この仕事を斡旋したんです!」
「ホントにこんな大役もらって良いの!?」
「世界規模のデュエル大会、D1グランプリに!?」
そして、こちらの方も。紅い月に照らされた、古城の庭にて、白いドレスの少女は苦虫を噛みつぶしたような顔をしていた。
「知多君……何やってるのよあなた……」
「あらシェリル、またのぞき見? 趣味が悪いわねえ」
「そろそろわからせてやらなきゃ。誰があの子にふさわしいのか。それに……奴らも動き出すみたいだし、アレも渡しておかないとね」
第七十一話。終わり。
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イイネ | タイトル | 閲覧数 | コメ数 | 投稿日 | 操作 | |
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127 | プロローグ「出会いは突然に」 | 1896 | 3 | 2018-01-27 | - | |
176 | 第一話「六道遊太、デュエルと出会う」 | 1533 | 1 | 2018-01-28 | - | |
101 | 第二話「六道遊太、デュエルスタンバイ!」 | 1411 | 3 | 2018-01-30 | - | |
147 | 第三話「ロードナイトVSC・HERO」 | 1231 | 1 | 2018-02-05 | - | |
83 | 第四話「大会にて」 | 1022 | 1 | 2018-02-11 | - | |
136 | 第五話「カリンとカードの精霊の話」 | 1139 | 1 | 2018-02-14 | - | |
124 | 第六話「戦いの幕開け」 | 1045 | 1 | 2018-02-18 | - | |
220 | 第七話「大鴉の特訓」 | 1136 | 1 | 2018-02-22 | - | |
89 | 第八話「知多泉、デュエルスタンバイ!」 | 1001 | 0 | 2018-02-25 | - | |
183 | 第九話「儀式降臨のサフィラ」 | 1058 | 0 | 2018-03-02 | - | |
96 | 第十話「驚きの予選会」 | 1163 | 1 | 2018-03-05 | - | |
84 | 第十一話「ペンデュラムと、英雄騎士達」 | 1197 | 2 | 2018-03-10 | - | |
94 | 第十二話「プラクサス大会スタート!」 | 1063 | 0 | 2018-03-13 | - | |
156 | 第十三話「恐怖のロックバーン」 | 1159 | 2 | 2018-03-17 | - | |
174 | 第十四話「カリンとサフィラ」 | 1028 | 0 | 2018-03-24 | - | |
155 | 第十五話「アキラ君の思い」 | 1184 | 2 | 2018-03-29 | - | |
76 | 第十六話「楽しむ心、やるべき心」 | 970 | 2 | 2018-04-03 | - | |
86 | 第十七話「本戦開始!」 | 964 | 0 | 2018-04-06 | - | |
143 | 第十八話「知多と遊太」 | 981 | 0 | 2018-04-13 | - | |
142 | 第十九話「僕のヒーロー」 | 1075 | 0 | 2018-04-17 | - | |
148 | 第二十話「僕のヒーローは」 | 1044 | 0 | 2018-04-21 | - | |
151 | 第二十一話「対決! 遊太VS菊姫!」 | 1134 | 2 | 2018-04-25 | - | |
138 | 第二十二話「菊姫の切り札」 | 984 | 2 | 2018-04-29 | - | |
107 | 第二十三話「覚醒を封じられた先に……!」 | 1000 | 2 | 2018-05-09 | - | |
146 | 第二十四話「プラクサス大会、決勝戦!」 | 1028 | 0 | 2018-05-12 | - | |
88 | 第二十五話「真の究極竜と、カオスMAX」 | 1047 | 2 | 2018-05-16 | - | |
144 | 第二十六話「決着、そして……!」 | 1057 | 2 | 2018-05-18 | - | |
82 | 第二十七話「ロードナイトの話」 | 1028 | 0 | 2018-05-26 | - | |
99 | 第二十八話「カリンと遊太」 | 1009 | 2 | 2018-05-28 | - | |
97 | 第二十九話「日傘の女の子」 | 952 | 0 | 2018-06-07 | - | |
161 | 第三十話「ヒーローショーを見に行こう!」 | 992 | 0 | 2018-06-11 | - | |
130 | 第三十一話「忍び寄る侵略の影」 | 986 | 0 | 2018-06-23 | - | |
109 | 第三十二話「侵略の一手」 | 834 | 0 | 2018-06-24 | - | |
168 | 第三十三話「帝国への招待状」 | 1086 | 0 | 2018-07-03 | - | |
130 | 第三十四話「いざ、帝国へ!」 | 974 | 0 | 2018-07-12 | - | |
236 | 遊戯王EXSキャラ紹介 その1 | 1423 | 2 | 2018-07-14 | - | |
133 | 第三十五話「GAME START」 | 943 | 0 | 2018-07-22 | - | |
84 | 決闘者の帝国における、特殊ルール | 919 | 2 | 2018-07-22 | - | |
169 | 第三十六話「まずは一つ」 | 1059 | 0 | 2018-07-29 | - | |
97 | 第三十七話「菊姫とアキラ」 | 1003 | 0 | 2018-08-05 | - | |
99 | 第三十八話「実力勝負!」 | 941 | 0 | 2018-08-12 | - | |
138 | 第三十九話「エンジョイデュエル!」 | 1045 | 0 | 2018-08-23 | - | |
90 | 第四十話「プレイヤーキラー、動く!」 | 856 | 0 | 2018-09-07 | - | |
80 | 第四十一話「闇を打ち砕け、遊太!」 | 928 | 0 | 2018-09-15 | - | |
117 | 第四十二話「ユニオンロボ&宇宙のヒーロー | 937 | 0 | 2018-09-29 | - | |
87 | 第四十三話「侵攻するワーム」 | 999 | 0 | 2018-10-06 | - | |
132 | 第四十四話「ヒーロー覚醒!?」 | 956 | 2 | 2018-10-14 | - | |
213 | 第四十五話「血の刻印」 | 1146 | 2 | 2018-10-27 | - | |
71 | 第四十六話「二つの竜」 | 837 | 2 | 2018-11-08 | - | |
171 | 第四十七話「共鳴、そして目醒め」 | 1021 | 2 | 2018-11-19 | - | |
138 | 第四十八話「思わぬ敵」 | 972 | 2 | 2018-12-02 | - | |
101 | 第四十九話「救いと絶望」 | 946 | 0 | 2018-12-09 | - | |
149 | 第五十話「ロベルトを救う者」 | 988 | 0 | 2018-12-17 | - | |
134 | 第五十一話「決戦! 闇の王と遊太」 | 995 | 0 | 2019-01-17 | - | |
101 | 作者よりお知らせ | 826 | 0 | 2019-01-27 | - | |
83 | 第五十二話「突き抜ける意志」 | 781 | 0 | 2019-02-05 | - | |
99 | 第五十三話「神帝現る」 | 948 | 0 | 2019-02-12 | - | |
95 | 第五十四話「帝国の終焉」 | 852 | 0 | 2019-02-22 | - | |
115 | 特別編『超次元! 世界を越えた絆』1 | 1025 | 0 | 2019-03-07 | - | |
143 | 特別編『超次元! 世界を越えた絆』2 | 892 | 0 | 2019-03-14 | - | |
89 | 特別編『超次元! 世界を越えた絆』3 | 910 | 0 | 2019-03-22 | - | |
82 | 第五十五話「休息の時」 | 803 | 0 | 2019-04-07 | - | |
78 | 第五十六話「彼女との再会」 | 744 | 0 | 2019-04-20 | - | |
102 | 第五十七話「マダムの危ない罠」 | 764 | 0 | 2019-05-01 | - | |
70 | 第五十八話「ストアブレーカー」 | 791 | 0 | 2019-05-19 | - | |
73 | 第五十九話「闇のカード」 | 837 | 0 | 2019-06-04 | - | |
111 | 第六十話「変わり始める生活」 | 792 | 0 | 2019-07-18 | - | |
70 | 第六十一話「ユイのデュエル」 | 725 | 0 | 2019-08-04 | - | |
76 | 作者よりお知らせ2 | 733 | 0 | 2019-08-11 | - | |
93 | 第六十二話「プラクサスの怪人」 | 727 | 0 | 2019-09-11 | - | |
69 | お詫びとお知らせ | 493 | 0 | 2020-02-19 | - | |
147 | 第六十三話「暴走! 怪人クロウリー」 | 779 | 0 | 2020-02-19 | - | |
84 | 特別編『ブルーアイズVSブルーアイズ』 | 846 | 0 | 2020-02-22 | - | |
90 | 第六十四話「闇に落ちる小鳥」 | 784 | 0 | 2020-03-22 | - | |
70 | 第六十五話「鳥人を食う邪竜」 | 673 | 0 | 2020-04-18 | - | |
91 | 第六十六話「ダークヒーロー!ヴェンデット | 696 | 0 | 2020-05-09 | - | |
87 | 第六十七話「堕ちたヒーロー」 | 719 | 0 | 2020-05-23 | - | |
78 | 第六十八話「視える未来(ビジョン)」 | 853 | 0 | 2020-05-30 | - | |
97 | 第六十九話「突入、アポカリプトのアジト」 | 759 | 0 | 2020-06-12 | - | |
64 | 第七十話「登場! 世界チャンピオン!」 | 729 | 0 | 2020-06-14 | - | |
63 | 第七十一話「デートじゃん!」 | 676 | 0 | 2020-06-27 | - | |
76 | 第七十二話「不死者は少年を好く」 | 775 | 0 | 2020-06-28 | - | |
64 | 第七十三話「最強デュエリストのいとこ」 | 671 | 0 | 2020-07-07 | - | |
76 | 第七十四話「D1グランプリ、開催決定!」 | 637 | 0 | 2020-07-13 | - | |
78 | 遊戯王EXS キャラ紹介その2 | 751 | 0 | 2020-07-13 | - | |
73 | 特別編「VSサイコ・ショッカー!?」 | 606 | 0 | 2020-07-26 | - | |
88 | 第七十五話「D1グランプリへの道しるべ」 | 683 | 0 | 2020-08-06 | - | |
63 | 第七十六話「不死と再生、イモータル」 | 667 | 0 | 2020-08-15 | - | |
63 | 第七十七話「雨が降れば蛙が鳴く」 | 601 | 0 | 2020-08-30 | - | |
74 | 第七十八話「噴火寸前のヴォルケーノ」 | 684 | 0 | 2020-09-13 | - | |
72 | 第七十九話「燃えろ遊太!」 | 642 | 0 | 2020-09-27 | - | |
119 | 作者よりお知らせ3 | 625 | 0 | 2020-10-02 | - | |
68 | 第八十話「燃えるデュエル!」 | 624 | 0 | 2020-10-18 | - | |
74 | 特別編「乙女の対決、ブラマジガール!」 | 707 | 0 | 2020-11-05 | - | |
67 | 第八十一話「高き壁」 | 664 | 0 | 2020-11-22 | - | |
76 | 第八十二話「強き者」 | 746 | 0 | 2020-12-05 | - | |
58 | 第八十三話「エキシビションマッチ」 | 680 | 0 | 2021-01-01 | - | |
77 | 第八十四話「二次予選開始!」 | 736 | 0 | 2021-01-11 | - | |
58 | 第八十五話「タッグメイクデュエル」 | 522 | 0 | 2021-02-20 | - | |
65 | 第八十六話「タッグメイクデュエル②」 | 480 | 0 | 2021-04-04 | - | |
69 | 第八十七話「タッグメイクデュエル③」 | 434 | 0 | 2021-04-25 | - | |
70 | 第八十八話「タッグメイクデュエル④」 | 588 | 0 | 2021-05-04 | - | |
54 | 第八十九話「チーム結成!」 | 503 | 0 | 2021-05-08 | - | |
61 | 第九十話「J4の実力 輝く竜の星」 | 452 | 0 | 2021-06-02 | - | |
60 | 第九十一話「超弩級のパワー」 | 583 | 0 | 2021-06-12 | - | |
77 | 第九十二話「空飛ぶケモノたち」 | 455 | 0 | 2021-07-08 | - | |
68 | 第九十三話「雷と未来」 | 426 | 0 | 2021-07-18 | - | |
65 | 第九十四話「大トリ、明石慎之介」 | 645 | 0 | 2021-09-04 | - | |
58 | 作者からお知らせ4 | 461 | 0 | 2021-09-17 | - | |
75 | 特別編「冥界の王(ファラオ)と決闘!?」 | 554 | 2 | 2021-10-17 | - | |
59 | 第九十五話「最終予選1 友達VS友達」 | 487 | 0 | 2021-12-18 | - | |
64 | 第九十六話「最終予選2 竜姫神と青眼」 | 466 | 0 | 2022-01-04 | - | |
69 | 第九十七話『最終予選3 約束のために』 | 564 | 0 | 2022-01-10 | - | |
61 | 第九十八話「最終予選4 VSJ4最強」 | 670 | 0 | 2022-02-01 | - | |
53 | 第九十九話「異変」 | 515 | 0 | 2022-02-27 | - | |
72 | 第百話「D1グランプリ、本戦開始!」 | 413 | 0 | 2022-04-09 | - | |
74 | 第百一話「プロの実力」 | 425 | 0 | 2022-05-07 | - | |
62 | 第百二話「デストーイ・デコレーション」 | 516 | 0 | 2022-06-04 | - | |
45 | 第百三話「アマゾネスの首領」 | 374 | 0 | 2022-07-10 | - | |
41 | 第百四話「プロ辞めます!」 | 462 | 0 | 2022-08-28 | - | |
39 | 第百五話「強襲! 梁山泊デュエル!」 | 338 | 0 | 2022-10-16 | - | |
48 | 第百六話「鉄屑と星屑」 | 554 | 0 | 2022-11-27 | - |
更新情報 - NEW -
- 2024/11/23 新商品 TERMINAL WORLD 2 カードリスト追加。
- 12/24 01:45 評価 7点 《聖騎士トリスタン》「総合評価:聖剣装備時の効果による破壊を狙…
- 12/24 01:36 評価 7点 《アマゾネスの急襲》「アマゾネスの生命線であり同時に命綱。 全…
- 12/24 00:02 コンプリート評価 asdさん ⭐LEGACY OF DESTRUCTION⭐
- 12/23 23:27 ボケ 炎斬機マグマの新規ボケ。ガンダムのおっちゃん「大阪万博に展示される…
- 12/23 23:10 デッキ 坂巻馨容疑者の企み?襲撃のクローラー!
- 12/23 23:01 ボケ No.106 巨岩掌ジャイアント・ハンドの新規ボケ。マリオ64の「あっ…
- 12/23 16:00 評価 5点 《百鬼羅刹大重畳》「自分の場にXモンスターがいること前提の罠。 …
- 12/23 15:41 評価 8点 《蛇眼の大炎魔》「主に《蛇眼神殿スネークアイ》で永続魔法扱いで…
- 12/23 14:52 SS 第二十三話・1
- 12/23 12:18 デッキ マハ速の復活?マハー・ヴァイロのパワー!
- 12/23 10:36 評価 10点 《早すぎた埋葬》「無条件で蘇生可能な装備魔法 《聖騎士の追…
- 12/23 09:15 デッキ 炎の剣士
- 12/23 08:49 SS 第40話:詰み
- 12/23 00:41 掲示板 オリカコンテスト(R)計画処
- 12/23 00:19 掲示板 オリカコンテスト(R)計画処
- 12/23 00:07 評価 9点 《鎖付き真紅眼牙》「 《天球の聖刻印》とは相性がよく、出した攻…
- 12/23 00:03 掲示板 オリカコンテスト投票所
- 12/22 22:00 評価 10点 《深淵に潜む者》「バグースカの身代わりで禁止。墓地封殺がフリ…
- 12/22 21:54 デッキ 俺の真の最強のライゼオル
- 12/22 21:19 掲示板 オリカコンテスト投票所
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