第四十九話「救いと絶望」　作：イクス

第四十九話「救いと絶望」


・ダークゾーンエリア

「うう……いててて……」
「だ、大丈夫か、皆……！」
「あー、まだちょっと頭がクラクラするじゃん？」
「今の所大丈夫です……」
ダークゾーンにて、ブラックマスクにやられたアキラ、菊姫、知多、真薄。しばらく気絶していたようである。しかし、腕のスターポイントは、全て奪われている。
「やられちまったのか、アタシら……」
「ああ、そうみたいだな……」
「菊姫さん……遊太君とカリンさんは、大丈夫ですかね？」
「まあ、遊太に限ってそんなことはそんなことは……ないと思いたいじゃん……」
「なにしろ、あの仮面の下はロベルトさんだからな……遊太の奴は前に一回勝ったことがあるが……」
「いや、菊姫。あの時のロベルトさんは手加減をしていた。本気なら……むしろもうやられちまっているんじゃねえか？」
「……やべえかもしれねえ。行こうぜ皆！　城へ！」
「あ、はい。わかりました！　行きましょう！」
「ああ、行くか……」
そうして、倒れていた菊姫達も遊太達の元へと向かって行った。


・竜魂の城（門外）

そして、現在ロベルト、今はブラックマスクとデュエルしている遊太とカリン。現在は劣勢であり、終始ブラックマスクが主導権を握っている。
遊太はというと。
（なんてこった……、まさか助けるはずのロベルトさんと、こうして戦うことになるなんて……！）
（どうすれば……どうすれば、ロベルトさんのことを、正気に戻せるんだ……？）
遊太は心の中で悩む。


６・ブラックマスクのターン

「私のターン、ドロー」（ブラックマスク手札0→1）
「私はセットされているスケールで、ペンデュラム召喚！　レベル４『ＥＭオッドアイズ・ミノタウロス』！　『ＥＭドクロバット・ジョーカー』！」（ロベルトエクストラ5→3）
「そして、闇属性レベル４Ｐモンスター２体で、エクシーズ召喚！　現れろ『覇王眷竜ダーク・リベリオン』！」
現れたのは、ダークリベリオン・エクシーズ・ドラゴンに緑線が加わったようなモンスター。攻撃力は2500。
「では、『覇王眷竜スターヴ・ヴェノム』の効果発動。フィールド・墓地からモンスター１体の効果をコピーする。お前の墓地に存在する、ディアナの効果を得る。そして、1000ライフを支払い、お前のウェイカーの攻守を０にする！」（ブラックマスクライフ3500→2500）
「行くぞ、バトルだ。『オッドアイズ・ランサー・ドラゴン』で、ウェイカーを攻撃！　ランサー・ドラゴンは攻撃を行う時、相手の魔法・罠を封じることができる！　さらに、『覇王眷竜スターヴ・ヴェノム』が効果コピーを発動した時、自身のモンスターが守備モンスターを攻撃した時、貫通ダメージを与えることができる！」
「ううっ……」（カリンライフ7250→4250）（カリン墓地7→8）
「そして、『覇王眷竜ダーク・リベリオン』で攻撃！　さらに、『覇王眷竜ダーク・リベリオン』は、戦闘を行う時、エクシーズ素材を１つ取り除くことで、相手モンスターの攻撃力を０にして、その元々の攻撃力分このモンスターの攻撃力を上げる！」（ブラックマスク墓地3→4）
「……カリンちゃん！」
「ええ、罠カード発動！　『聖なるバリア－ミラーフォース－』！　相手モンスターの攻撃宣言時、相手モンスターを全て破壊しますわ！」（カリン墓地8→9）
「な、何！？　そんな伏せカードを、１ターン目から隠していただと！？」
「ええ、これは遊太君が隠していたカードですわ」
（本来、ランサー・ドラゴンは『オッドアイズ』が破壊される時、オッドアイズカードを身代わりにすることができるが……ここはやらんでもいい）
聖なるバリアが、ブラックマスクのモンスターを全て破壊する。だが。（ブラックマスク墓地4→10）
「『オッドアイズ』モンスターが破壊された時、Ｐスケールのアークペンデュラムの効果が発動し、デッキから『オッドアイズ』モンスターである『覇王眷竜オッドアイズ』を特殊召喚し、Ｘ召喚されたアブソリュート・ドラゴンは、エクストラデッキから『オッドアイズ』モンスターを特殊召喚できる！　エクストラデッキから、レベル８融合モンスターの『ＥＭオッドアイズ・メタル・クロウ』を特殊召喚する！」
「『覇王眷竜オッドアイズ』は、Ｐモンスターがモンスターと戦闘を行う時、相手が受けるダメージは倍となる！　オッドアイズで、那沙帝弥へと攻撃！　破滅のストリームバースト！　1000の那沙帝弥に対し、攻撃力2500のオッドアイズによって発生するダメージは3000となる！」
「那沙帝弥のモンスター効果発動ですわ！　儀式モンスターが攻撃された時、その攻撃を無効化しますわ！」
「……私はカードを１枚セットして、ターンエンド」（ブラックマスク手札1→0）

ブラックマスク

ライフポイント2500
手札枚数0枚
モンスター2体
『覇王眷竜オッドアイズ』（攻撃表示・攻撃力2500・闇属性・レベル８）
『ＥＭオッドアイズ・メタル・クロウ』（攻撃表示・攻撃力3000・闇属性・レベル８）
魔法・罠ゾーンのカード1枚
発動しているカード2枚
『オッドアイズ・アークペンデュラム・ドラゴン』（スケール８）
『オッドアイズ・ペルソナ・ドラゴン』（スケール１）
墓地の枚数10枚
除外されているカード0枚


７・遊太のターン

（どうすれば……どうすればいいんだ……）
悩む遊太に対し、声が聞こえる。
（遊太君……）
（ん？　この声……ウェイカーか？）
（違う……私はあの時ロベルトによってお前に託された、『アストログラフ・マジシャン』だ）
（『アストログラフ・マジシャン』……？）
（ロベルトを助けるには、私の力も必要になると思う。だから、引いてくれ……私というカードを）
（わかった……ドロー！）（遊太手札2→3）
「僕は魔法カード『英雄騎士の人員整理』を発動。手札から『ロードナイト』モンスターを任意の数だけ墓地へ送り、墓地へ送った分＋１枚だけドローできる。僕はニードラーとビットの２体を墓地へ送り、３枚ドローする！」（遊太墓地9→12）
「……きったあ！　僕は手札から、魔法カード『英雄騎士への転生』を発動！　自分の墓地から同じ属性を持つ『ロードナイト』２体を除外することで、エクストラデッキから除外した『ロードナイト』と同じ属性を持つ『イクスロードナイト』を『英雄騎士への覚醒』扱いで特殊召喚する！　除外するのは、さっき墓地へ送った闇属性の２体！　これにより、エクストラデッキから闇属性の『イクスロードナイト・アルファ』を特殊召喚できる！　来い、レベル８『イクスロードナイト・アルファ』！」（遊太手札3→2）（遊太墓地12→10→11）（遊太除外0→2）
「更に、アルファのモンスター効果発動。墓地から『ロードナイト』１体をデッキに戻すことで、デッキから『英雄騎士』魔法カード１枚を手札に加えられる。僕は『英雄騎士の剣』を手札に加える」（遊太手札2→3）（遊太墓地11→10）
「そして、剣をアルファに装備させる。これにより、アルファの攻撃力800アップ！　そして、戦闘で破壊したモンスターの攻撃力分ダメージを与える！　バトルフェイズ！　メタル・クロウを攻撃！　ブラック・ロードソード！」（遊太手札3→2）（アルファ攻撃力2500→3300）
「罠カード発動。『攻撃の無力化』。相手の攻撃を無効化し、バトルフェイズを終了させる」（ブラックマスク墓地10→11）
「……メインフェイズ２に入り、那沙帝弥の効果を発動。アルファの攻撃力の半分だけライフを回復する！　そしてカードを１枚伏せて、ターンエンド！」（遊太ライフ4250→5500）（遊太手札2→1）

遊太

ライフポイント5500
手札枚数1枚
モンスター2体
『イクスロードナイト・アルファ』（攻撃表示・攻撃力3300・闇属性・レベル８）
魔法・罠ゾーンのカード3枚
発動しているカード2枚
『昇華する魂』（永続魔法）
『英雄騎士の剣』（装備魔法）
墓地の枚数11枚
除外されているカード2枚


８・ブラックマスクのターン

「私のターン、ドロー」（ブラックマスク手札0→1）
「手札に存在する『貴竜の魔術師』の効果発動。フィールドの『オッドアイズ』モンスター１体のレベルを３つ下げ、このモンスターを特殊召喚する。『覇王眷竜オッドアイズ』のレベルは８。よって、レベル５にしてレベル３チューナーのこのモンスターを特殊召喚する」（ブラックマスク手札1→0）（覇王眷竜オッドアイズレベル8→5）
「そして、闇属性Ｐモンスターである、レベル５の『覇王眷竜オッドアイズ』に、レベル３『貴竜の魔術師』をチューニング！　シンクロ召喚！　レベル８『覇王眷竜クリアウィング』！」（ブラックマスクエクストラ3→5）
４体目の『覇王眷竜』は白と青の体に、緑線が混じるドラゴン。攻撃力は2500。
「『覇王眷竜クリアウィング』がシンクロ召喚に成功した時、相手の表側表示モンスターを全て破壊する！　散れ、忌まわしいモンスター共よ！」
クリアウィングの光線により、遊太のフィールドにいるモンスターは一斉に破壊されてしまう。
「くぅっ……！」（遊太墓地11→14）
「これでフィールドは消えた。２体のダイレクトアタックが決まれば、私の勝ちだ」
「……まだ勝負はついていない！　手札より、モンスター効果発動！　自分フィールドのカードが戦闘・効果で破壊された時、手札の『アストログラフ・マジシャン』は特殊召喚できる！　出ろ、『アストログラフ・マジシャン』！　守備表示だ！」（遊太手札1→0）
「な、なに……？」
遊太のフィールドに、宇宙のような外套を身に纏い、その手には宇宙を測るためにあるような杖を持ったモンスターが現れる。守備力は2000。
「そ、そのモンスターは……」
「あの時、あなたから手渡されたカードです。ロベルトさん！　どうか、思い出してください！　僕にこのカードを渡した、あの時の気持ちを！」
この言葉に、カリンは。
（遊太君……あなたは、ロベルトさんから託されたこのカードで、ロベルトさんの気持ちを取り戻そうとしているのですか……！）
そして、『イクスロードナイト』達も。
（遊太の奴……！　心に直接訴えかけようというのか、ロベルトの心に……！）
（遊太の奴……！）
その効果が現れたのか。
「ううっ……バトルフェイズに、入る……。『覇王眷竜クリアウィング』で、『アストログラフ・マジシャン』を、攻撃……！　この、瞬間、クリアウィングの……効果が発動し、相手モンスターを破壊して、そのモンスターの攻撃力分のダメージを……！」
「させない！　永続罠『ディメンション・ガーディアン』を発動！　アストログラフを対象として、効果を適用させる。これにより、アストログラフは戦闘・効果では破壊されない！　よって、クリアウィングの効果は無効化される！」
「ぐっ……！　ターン、エンドだ……」

ブラックマスク

ライフポイント2500
手札枚数0枚
モンスター2体
『覇王眷竜クリアウィング』（攻撃表示・攻撃力2500・闇属性・レベル８）
『ＥＭオッドアイズ・メタル・クロウ』（攻撃表示・攻撃力3000・闇属性・レベル８）
魔法・罠ゾーンのカード0枚
発動しているカード2枚
『オッドアイズ・アークペンデュラム・ドラゴン』（スケール８）
『オッドアイズ・ペルソナ・ドラゴン』（スケール１）
墓地の枚数10枚
除外されているカード0枚


９・カリンのターン

「私のターン、ドローですわ！」（カリン手札1→2）
（遊太君……あなたがやろうとしていることは、大体わかりましたわ。このアストログラフを守り、ロベルトさんを闇の王の呪縛から解き放とうとしているのですね。でしたら、私がやることは……！）
「魔法カード『弱者の贈与』を発動させますわ。手札からレベル３以下のモンスター１体を墓地に送り、デッキから２枚ドローしますわ。レベル２『サイバー・プチ・エンジェル』を除外して、２枚ドローしますわ」（カリン墓地14→16）
「装備魔法『契約の履行』を発動させますわ！　800ポイントライフを支払い、墓地から儀式モンスター１体を特殊召喚させますわ。私は墓地から、『竜姫神サフィラ』を守備表示で特殊召喚させますわ！　出でよ、サフィラ！」（カリンライフ5500→4700）（カリン墓地16→15）
墓地より蘇る、カリンのエースモンスターサフィラ。そしてサフィラは、ロベルトに言葉を投げかける。
（ロベルトさん……あなたは闇のデュエルに負けたと言います。ですが、あなたの魂は完全に闇に沈んだ訳ではありません。解き放つのです。闇の王の呪縛から……！）
「う、うう……！」
「更に、私はカードを１枚伏せて、ターンエンド致しますわ」（カリン手札1→0）
（どうやら、効いているようですわね）

カリン

ライフポイント4700
手札枚数0枚
モンスター2体
『アストログラフ・マジシャン』（守備表示・守備力2000・闇属性・レベル７）
『竜姫神サフィラ』（守備表示・守備力2400・光属性・レベル６）
魔法・罠ゾーンのカード4枚
発動しているカード3枚
『昇華する魂』（永続魔法）
『ディメンション・ガーディアン』（永続罠）
『契約の履行』（装備魔法）
墓地の枚数15枚
除外されているカード2枚


１０・ブラックマスクのターン

「私の、ターン……ドロー……」（ブラックマスク手札0→1）
ブラックマスクの手つきは震え、体はよろめく。どうやら、精神に訴えかける攻撃は成功しているようだった。
「カリンちゃん……！」
「ええ、どうやら、効いているようですわね」
「バトルフェイズ、クリアウィングで、サフィラを、攻撃……！　殲滅の――」
「罠カードを発動させますわ！　『ブレイクスルー・スキル』！　相手モンスター１体の効果を無効化しますわ！　これで、クリアウィングの効果を無効化して、破壊効果を適用させませんわ！」（カリン墓地15→16）
「……だが、クリアウィングの方が攻撃力が上……！」
「その破壊効果は、墓地の『機械天使の儀式』を除外することで、受け付けなくなりますわ！」（カリン墓地16→15）（カリン除外2→3）
「くっ……。私はカードを１枚セットして、ターンエンド」（ブラックマスク手札1→0）

ブラックマスク

ライフポイント4500
手札枚数0枚
モンスター2体
『覇王眷竜クリアウィング』（攻撃表示・攻撃力2500・闇属性・レベル８）
『ＥＭオッドアイズ・メタル・クロウ』（攻撃表示・攻撃力3000・闇属性・レベル８）
魔法・罠ゾーンのカード1枚
発動しているカード2枚
『オッドアイズ・アークペンデュラム・ドラゴン』（スケール８）
『オッドアイズ・ペルソナ・ドラゴン』（スケール１）
墓地の枚数10枚
除外されているカード0枚


１１・遊太のターン

「僕のターン、ドロー！」（遊太手札1→2）
（あそこまでやれているなら、もう一押しでいけるかもしれない！）
「僕は手札から、魔法カード『死者蘇生』を発動！　墓地から、モンスターカード１体を特殊召喚する！　僕の墓地から、『イクスロードナイト・アルファ』を特殊召喚する！」（遊太手札2→1）
再び現れた、遊太のエースモンスター。そして、アルファもロベルトに語り掛ける。
（ロベルト……！　お前の心は、闇に沈んでしまったのか？　否！　お前の心は、まだ闇には沈んでいない！　どうか、思い出してくれ！　私達と出会った、あの時のことを！）
アルファの掛け声と同時に、遊太のデッキに眠る『イクスロードナイト』達も、口々に声を響かせる。
（そうだ、ロベルト！　お前は清く正しいデュエリストだ！　闇の王の洗脳に負けるんじゃねえっ！）
（僕達は、あなたを信じています！）
（我も、お前の心を解き放つために言葉を送ろう！）
「イクス……ロードナイト……？　ううっ！」
「ロベルトさん……！　アルファのモンスター効果発動！　墓地の『ロードナイト』１体をデッキに戻し、デッキ・墓地から『英雄騎士』魔法１枚を手札に加える！　僕はクリスティをデッキに戻し、デッキから『英雄騎士の突進攻撃』を手札に加える」（遊太墓地15→14）（遊太手札1→2）
「墓地の『ブレイクスルー・スキル』は、除外することでモンスター１体の効果を無効化できる！　クリアウィングの効果は、これで無効化される！」（遊太墓地14→13）（遊太除外3→4）
「そして、僕のフィールドのモンスター全てを攻撃表示にして、手札から速攻魔法『英雄騎士の突進攻撃』を発動！　自分フィールドの全ての『ロードナイト』の攻撃力を700アップさせ、貫通効果を付与させる！」（遊太手札2→1）（遊太墓地14→15）（アルファ攻撃力2500→3200）
「バトルフェイズ！　アルファで、メタル・クロウを攻撃！　ブラック・ロードソード！」
「ぐうっ……！」（ブラックマスクライフ2500→2200）（ブラックマスク墓地10→11）
「速攻魔法『英雄騎士交代』を発動！　自分フィールドの『イクスロードナイト』１体をエクストラデッキに戻し、戻したモンスターと違う『イクスロードナイト』１体を『英雄騎士への覚醒』扱いで特殊召喚できる！　僕はデッキから『イクスロードナイト・デューク』を特殊召喚する！」（遊太墓地15→16）
そして現れた、炎状のマントと紅いマントを持ち、炎の槍を持つ騎士！　攻撃力は2800と、今は大丈夫。
「デュークで、クリアウィングを攻撃！　フレイム・スピア！」
「ぐうっ」（ブラックマスクライフ2200→1900）（ブラクマスク墓地11→12）
「そして……『アストログラフ・マジシャン』で、ダイレクトアタック！　ロベルトさん！　僕の心を受け止めてください！　アストロ・ブラスター！」
『アストログラフ・マジシャン』の杖から放たれた、星空のビーム。それと同時に、アストログラフの声も放たれる。
（ロベルト……あなたの心は、遊太達の思いによって届けられたはずだ。だから……お前の心は既に闇の王から脱出できるはずだ！　さあ、解き放ってくれ！　お前の心を！）
（アストログラフ……？　それに、遊太君に、カリンちゃん、それにサフィラに『イクスロードナイト』達も……！　私は、君達を――）
遊太は気づく。ひょっとしたら、ロベルトを救い出せるかもしれない！　その一手を、今、打てることに……！　
だが。
「そこまでだ」
「ぐっ、ぐああああ！」
「なんだって！？」
「ロベルトさん！」
ロベルトの隣に、闇の王と思しき黒い影が現れる。それは、ロベルトを包み込む。
「一瞬でも、お前達はこのロベルトを助けられると思っただろう。だが、早々上手くいくと思ったのか！？　私はお前達の、そんな所が見たかった。希望を与えられ、そして奪われる。その時、生き物は一番美しい顔をする。お前達がコイツを元に戻そうと躍起になっている姿は、中々に滑稽だったぞ。だが、それももうお終いだ！」
闇の強さが増す。それにより、苦しがっていたロベルトも、元に戻ってしまう。
「……！」
「そ、そんな……！」
「罠カード『攻撃の無敵化』を発動。バトルフェイズ中に受けるダメージを０にする」（ブラックマスク墓地12→13）
「う、嘘でしょ……！」
「さあ、何もすることが無いのならターンエンドすると良い」
「……ターンエンド……！」

遊太

ライフポイント4700
手札枚数0枚
モンスター3体
『イクスロードナイト・デューク』（攻撃表示・攻撃力2800・炎属性・レベル８）
『竜姫神サフィラ』（攻撃表示・攻撃力2500・光属性・レベル６）
『アストログラフ・マジシャン』（攻撃表示・攻撃力2500・闇属性・レベル７）
魔法・罠ゾーンのカード3枚
発動しているカード3枚
『昇華する魂』（永続魔法）
『ディメンション・ガーディアン』（永続罠）
『契約の履行』（装備魔法）
墓地の枚数16枚
除外されているカード4枚


１２・ブラックマスクのターン

「私のターン、ドロー」（ブラックマスク手札0→1）
「さあ、ブラックマスク、トドメを刺してやれ！」
「イエッサー。私は手札より、魔法カード『貪欲な壺』を発動。墓地から５体モンスターを選択して、デッキに戻す。その後２枚ドローする。私は『覇王眷竜』２体と、『オッドアイズ・アブソリュート・ドラゴン』、『オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』、『オッドアイズ・ファントム・ドラゴン』をデッキに戻し、２枚ドローする」（ブラックマスク墓地13→8→9）（ブラックマスク手札0→2）
「更に、相手フィールドに特殊召喚されたモンスターが存在し、自分フィールドにモンスターがいない時、『逆境の宝札』を発動できる！　その効果で、２枚ドローする！」（ブラックマスク手札1→3）（ブラックマスク墓地9→10）
「手札よりフィールド魔法『天空の虹彩』を発動させる！　このフィールド魔法は、自分フィールドのカード１枚を破壊することで、『オッドアイズ』カード１枚を手札に加えられる。Ｐスケールのペルソナ・ドラゴンを破壊し、デッキから『オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』を手札に加える。更に、アークペンデュラムの効果で、『オッドアイズ』カードが破壊されたことで、デッキから『オッドアイズ』モンスターの『オッドアイズ・ファントム・ドラゴン』を特殊召喚する」（ブラックマスク手札3→2→3）
「更に、手札よりスケール３の『相克の魔術師』をフィールドにセットする！　そして、ペンデュラム召喚！　フィールドに現れろ、『オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』！　『オッドアイズ・セイバー・ドラゴン』！」（ブラックマスク手札3→0）
「エクシーズ召喚！　ランク７『オッドアイズ・アブソリュート・ドラゴン』！　さらに、Ｐスケールの『相克の魔術師』の効果を発動！　エクシーズモンスターに、ランクと同じ分だけのレベルを付与する！　これにより、ランク７はレベル７として扱える！」
「これにより、再びエクシーズ召喚！　ランク７！　『覇王烈竜オッドアイズ・レイジング・ドラゴン』！」
現れ出たのは、紅き体に巨大な翼を持つ、荒々しき竜！　攻撃力は、なんと3000！　
「レイジング・ドラゴンが、Ｘモンスターを素材としてエクシーズ召喚された時、Ｘ素材を１つ取り除き、相手フィールドのカードを全て破壊する！　斬滅のレイジングブラスト！」
レイジング・ドラゴンの、強烈な衝撃波が遊太達の　フィールドを襲う！　これにより、遊太のフィールドは一瞬にして焦土と化した……！　
「な、こんな……！」（遊太墓地16→22）
「更に、この効果と同時に、破壊したカードの×200ポイント攻撃力を上げ、相手への２回攻撃も付与される！　喰らえ！　殲滅のレイジング・バースト！」（フェイジング・ドラゴン攻撃力3000→4200）
「う、うわあああっ！」（遊太ライフ4700→0）
遊太とカリンは、負けた。このデュエルに……。


「そ、そんな……！」
「では、スターポイントは全て奪っていくぞ」
「う、うう……！」（遊太スターポイント10→0）（カリンスターポイント10→0）
ブラックマスクは、二人のスターポイントを奪って行った。ただそれだけ。遊太達への言葉など無く、ただひたすらに仕事をこなすだけの人間として。
そして、闇の王の言葉が突き刺さる。
「コイツを助けたいのなら、私を倒さねばならない。それは決まり切ったことだ。最も、スターポイントが１０個あればの話だがな……フハハハハハ！」
「ううっ……！」
遊太はただただ、地面に這いつくばるだけだった。くやしさとやりきれなさ、全部を抱いて。
そこへ。
「オイ遊太！　大丈夫だったか！？」
「遊太……！」
菊姫やアキラ達が、そこへやって来た。しかし、遊太は。
「オイ、遊太……！　お前……」
「僕は、また救えなかった……！　うわあああっ！」
遊太の叫びは、帝国にこだました。


第四十九話。終わり。