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第六話「戦いの幕開け」 作:イクス
第六話「戦いの幕開け」
プラクサス小学校5年B組。既に放課後になり、教室の中にいる生徒達は、既に帰宅ムードであった。だがしかし、一人だけ帰り支度をしていない人間がいた。
六道遊太である。机に頬杖をついて、何か考え事をしているようであった。
「なんで、ロベルトさんは僕に『ロードナイト』を……?」
そう、ロードナイトの事である。遊太がロベルト・フランシスから貰ったロードナイトのカードは、どうも普通じゃないからだ。
デュエル中に聞こえる声、夢で見た『イクスロードナイト・アルファ』との会話、カリンから聞いた精霊の話。これらを聞くと、あのロードナイトには何かあるのではないのかと、考えてしまう。
そして、そのカード達を何故あのロベルトさんは自分に渡したのか。そういったことも、考えずにはいられなかった。
「ホントに、なんであのカードを?」
「おーい遊太、一緒に帰ろうじゃん? 今日は菊姫が俺達を凄い所に連れて行くって言うから、一緒に行こうじゃん?」
「ホントになんで……」
「おーい遊太、何を考えているんだ? もしもーし?」
「……」
知多の呼びかけも、全く耳に入らない程考え込む遊太。それを見かねてか、知多はしびれを切らして。
「おい、遊太! 俺の話聞いているのかよ!」
「あっ、うう!?」
いきなり後ろで大声を出されたものだから、びっくりする遊太。そばかすがある顔が、遊太の目に入る。
「なあ、どうしたんだよ遊太? 何か思いつめたような顔して……何かあったのかじゃん?」
「いや……ちょっとね。僕の持っているカードについて、考えていただけ」
「ふーん? 持っているカードについて……ねえ?」
「実を言うと、僕の持っているカードは普通のカードじゃないんだ。恐らく、君達からすれば凄く羨ましく思うカード……だから、秘密にしておいたけど……」
「なんだよ、そんなこと? そんなことより、菊姫が俺達に伝えたいことがあるそうだから行こうぜ! そんな辛気臭いこと考えているより、明るく楽しく行こうじゃん? ほら、行こうぜ!」
「あ、うん……行こうか」
遊太が少し暗い顔をしていたようなので、知多に連れて行かれた。遊太は、少し乗り気ではないようだが、とりあえず、知多についていくことにしたのであった。
そして、知多に連れられて来た遊太は今、菊姫に連れられている最中であった。その隣には、真薄や知多、菊姫の取り巻きもいる。
「ねえ、菊姫。今日は僕達を一体何処へ連れて行くのさ?」
「ああ? それは来てからのお楽しみ。まあ、行けばわかるさ。とりあえずはついて来いよ」
「いやー、楽しみじゃん?」
「一体、何を見せてくれるんでしょうねえ」
そうして、菊姫に連れられて来た場所はというと……。
「とうちゃ~く」
「うわあ、大きな建物だなあ。プラクサスシティって、こんなところもあるの?」
「ああ、ここはプラクサスアリーナと言って、プラクサスシティにおける最大のイベント施設だな。プラクサスでイベントと言ったら、大体ここと言っても過言じゃない。最大5万人も観客が収容できる」
「で、ここで何かイベントでもあるの?」
「そう、ここでアタシたちデュエリストにとっての重大イベントの開催が、発表されるのさ」
「俺達デュエリストにとっての?」
「重大発表、ですか」
「そうだ、知多や真薄、アタシに遊太とデュエリストにとっては、凄く重要な発表なんだぞ」
「そんなに重要な発表なの?」
「まあ、とりあえず来てみろって」
そう言われて、中へと入った遊太達。中は、既に人でいっぱいであったが、どうにも違和感があった。
「ねえ、菊姫。この中にいる人達って、全員僕達とそんなに年の変わらない子供達ばっかりだね」
「当たり前だろ、なんせこの発表は、アタシ達ぐらいの子供を対象に発表を行うらしいからな」
「そうなの?」
「何はともあれ、楽しみじゃん?」
「ええ、あの人も出てくるらしいですしね」
「あの人?」
「デュエリストなら、知らない人はいない、あの人ッスよね、アネゴ」
「あ、始まるみたいですよ、アネゴ」
その言葉と同時に、会場がフッと暗くなる。それと同時に、放送アナウンスが鳴る。
「えー、プラクサスアリーナにお越しの少年少女の皆さん! いよいよ皆さん向けの重大発表を行います! そして、その発表を行うのは、私ことロベルト・フランシスです!」
ロベルト・フランシス。その名前が出ただけで、会場がどよめく。その声の大きさに、地震でも起きたような揺れが起こった。
しかし遊太は、ロベルト・フランシスと聞いて驚くのであった。
「ロベルト・フランシス……まさかあの人が、ここに来るなんて……!」
「おや? さしもの遊太君も、ロベルトさんには食いつくのかじゃん?」
「いや、違うよ……ただ今は、あの人に会って聞きたいだけなんだ。あの人が、ロベルトさんがなんで僕にこのカード達を渡したのかって!」
「ええええ~っ!!??」
そのことを知多、真薄、菊姫そして取り巻きの二人に語った時、五人は凄く驚いた! そして、遊太に詰め寄る。
「オイオイオイオイオイオイ! お前、あのロベルトさんからカード貰ったのかよ!?」
「嘘だろ!? マジなの!? それだとしたら、物凄く凄い事じゃん!?」
「そりゃあ僕だって気になりますよ! どうしてロベルトさんが遊太君にカードを渡したのか! 僕だって気になりますよ!」
「アネゴの言う通りッス!」
「アネゴの言う通りですよ~!」
「ま、待ってよ皆……僕だってそれが知りたくてロベルトさんに話を聞きたくて……」
「それでは、発表をしたいと思います!」
遊太はまたしてももみくちゃにされるが、ロベルトがまた話を始めると、すぐにロベルトの所に向き直った。
「今回皆さんにお伝えしたいことは、皆さん小学生に対してのイベントです! 今日から二週間後、このプラクサスシティでデュエルモンスターズの大会を行います! 参加条件は、小学生という条件を持っていれば、他の条件は無し! 予選会は、大会の前日に行います! 皆さんこぞってご参加ください! 主催は、この私、ロベルト・フランシスとミナコ社です!」
どわあああっと、またしても会場が沸き立つ。ここにいるのは、大体小学生。それらを対象にした大会が開催されるとなると、デュエリストとしては沸き立たずにはいられないだろう。
「た、大会だとおおお!? アタシ達向けに、大会が開催されるなんて、これは出るしかないじゃあないかあああ!」
「俺も、大会となったら凄く出たくなるじゃん! やってやろうじゃん? 見せてやろうじゃん!」
「ぼ、僕だって、大会にはあんまり出た事ありませんけど、ここまで大きな大会には、出たくなりますよ!」
「アネゴ~! 頑張ってくださーい!」
「俺達も、応援するッスよ~!」
(知多や真薄君、菊姫は出るとして、取り巻きの二人は応援するだけなのか……にしても、凄い盛り上がり)
そんな疑問を抱きながらも、デュエルの大会を開催するだけで、こんなにも盛り上がるものなのか……と感心する遊太。それと……。
(ひょっとしたら、ロベルトさんからあのカードの秘密を聞けるかもしれない。後で、訳を聞きに行かなきゃ!)
会場にいる皆が沸き立つ中、遊太は一人冷静だった。全ては、ロベルトから訳を聞くために。
そして発表が終わってアリーナの外に出た後、遊太は自分が持っている『ロードナイト』のカードは、作った人物があの高名なカードデザイナーであるロベルト・フランシスであり、親切にしたらそのカードを貰えたことを伝えた。
「……という訳なんだ」
「まさかあのロベルトさんが作ったカードを遊太君が貰ってたなんて……」
「いやあ、まさかそんな有名な人から貰ったカードだったなんて…凄く畏れ多いッス」
「よくわからないですが、とても有名な人から貰った…ということで良いですか?」
「けどそんな偶然ってあるのかじゃん? たまたまぶつかった人がかのロベルトさんで、しかも親切でカード全部貰っちゃうなんて……」
「事実は小説よりも奇なりって、こういう事を言うんだなあ……」
あまりの偶然の一致により、驚きを隠せない友達一同。当然だ、まさか友達が使っているカードが、有名なカードデザイナーの作ったカードだという事実。そしてそのカードを本人から貰ったということ。驚かない方がおかしいくらいだ。
「正直言って僕も驚いてる、まさかカードデザイナー本人からカードを貰うなんて思わないもの……」
しかし、遊太は引っ掛かる事を一つ述べた。
「けど、僕は考えているんだ。どうして、始めたばかりの僕にそんな大事なカードをあげたんだろう? って。カードデザイナーから直々に貰って、しかもそのカードは世界に一つしかないオリジナルのカード……」
「何故そんな重要なカードを、僕なんかにあげたのか?あげるんだったらもっと、大会に優勝した凄い人とか……と考えちゃうんだ」
「た、確かに……」
遊太がそう述べて、友達一同は考える。しかし、転機は訪れた。
「一体どうして……あっ!?」
遊太が遠目から見たのは、ロベルト・フランシス。アリーナの人と会話しているようである。
「……!」
「あっ、オイ!何処へ行くんだよ!?」
遊太はロベルトの所へ走り出した。自分に何故あの『ロードナイト』のカードを渡したのか、それを聞きたかったから。
そしていきなり走り出した遊太を追いかける友達五人。いきなり走り出したら訳を問いたくなる。友達だから、心配になったのである。
「あのっ!ロベルトさん!」
「あっ、君は……あの時の六道遊太君」
やっとの思いでロベルト・フランシスの所へ辿り着いた遊太。息切れしながらも、自己紹介をする。
「あの……ぼ、僕、あなたに聞きたいことがあるんです! それで、ここまで来ました!」
「どうしたんだい? なんでも言ってごらん?」
「なんで僕なんかに、『ロードナイト』という貴重なオリジナルで、公式からも発表されていない『ロードナイト』のカードをあげたんですか?僕なんかより、もっと相応しい人がいるんじゃ……」
「ほう、例えば?」
「大会に優勝した強い人とか…」
その言葉に、フゥッと息をついてから言う。
「あのさ、デュエルの強い人がこのオリジナルの『ロードナイト』のカードを持つ資格が、本当にあると思うのかな?」
「えっ? どういうことですか?」
「フゥ……じゃあ君、今デュエルに対してどんな事思ってる?」
「えっと…凄く楽しいです!色んな人とデュエルするのが楽しくて、もっと色んな人とデュエルしたいと思ってて……」
「……うん、それなら良いんだ」
「え?」
「遊太君、良かったら今回発表した大会に出場してみたらどうだい?」
「えっ、えっ?」
「その大会で良いデュエルをしたら、どうして君にこの『ロードナイト』を渡したのか話してあげても良いよ」
「良い……デュエル……?」
「勝ち負けは関係ない、これから行われる大会で良いデュエルが出来たら、教えてあげても良いよ」
「わ、わかりました!頑張って良いデュエルをしたいと思います!」
「じゃあ、頑張りなよ」
そう言ってロベルト・フランシスは去って行った。
菊姫達はその一部始終を聞いていたが、ロベルトが去ってから口を開いた。
「おい遊太、さっきの話アタシらも聞いてたけど……まさかアンタ!」
「うん、僕はあの大会に出場するよ、内容によっては聞けないかもしれないけど……僕は、あの大会に出場する!」
遊太のその決意に、言葉を同じくする友達全員。
「やれやれ、動機はどうあれ出場するんなら、アタシも出場させてもらうよ! どうせ大会に出場するんだったら、徹底的にやらなきゃいけないしな!」
「ぼ、僕も! 僕も一緒に参加します! 僕実は、まだ始めて日が浅いですが、僕のC・HERO達でやってみます!」
「俺も参加するじゃん! 大会にはあんまり出場したことないけど、やったろうじゃん!」
「皆……」
皆も大会に出場する事を知って、更に大会への思いを加速させた遊太。
「よし! まずは選考会に向けて特訓だ!」
「おーっ!」
ミナコ社が主催する、デュエルモンスターズのジュニアユース大会に出場することになった遊太達。はたして、遊太達は大会でどれだけ力を発揮出来るのか。
遊太は何故あの有名なカードデザイナーであるロベルト・フランシスが『ロードナイト』のオリジナルカードを遊太に渡したのかということを本人の口から聞けるのか。
そして遊太達は、大会に出場した猛者達にどこまで立ち向かえるのか!?
第六話。終わり。
プラクサス小学校5年B組。既に放課後になり、教室の中にいる生徒達は、既に帰宅ムードであった。だがしかし、一人だけ帰り支度をしていない人間がいた。
六道遊太である。机に頬杖をついて、何か考え事をしているようであった。
「なんで、ロベルトさんは僕に『ロードナイト』を……?」
そう、ロードナイトの事である。遊太がロベルト・フランシスから貰ったロードナイトのカードは、どうも普通じゃないからだ。
デュエル中に聞こえる声、夢で見た『イクスロードナイト・アルファ』との会話、カリンから聞いた精霊の話。これらを聞くと、あのロードナイトには何かあるのではないのかと、考えてしまう。
そして、そのカード達を何故あのロベルトさんは自分に渡したのか。そういったことも、考えずにはいられなかった。
「ホントに、なんであのカードを?」
「おーい遊太、一緒に帰ろうじゃん? 今日は菊姫が俺達を凄い所に連れて行くって言うから、一緒に行こうじゃん?」
「ホントになんで……」
「おーい遊太、何を考えているんだ? もしもーし?」
「……」
知多の呼びかけも、全く耳に入らない程考え込む遊太。それを見かねてか、知多はしびれを切らして。
「おい、遊太! 俺の話聞いているのかよ!」
「あっ、うう!?」
いきなり後ろで大声を出されたものだから、びっくりする遊太。そばかすがある顔が、遊太の目に入る。
「なあ、どうしたんだよ遊太? 何か思いつめたような顔して……何かあったのかじゃん?」
「いや……ちょっとね。僕の持っているカードについて、考えていただけ」
「ふーん? 持っているカードについて……ねえ?」
「実を言うと、僕の持っているカードは普通のカードじゃないんだ。恐らく、君達からすれば凄く羨ましく思うカード……だから、秘密にしておいたけど……」
「なんだよ、そんなこと? そんなことより、菊姫が俺達に伝えたいことがあるそうだから行こうぜ! そんな辛気臭いこと考えているより、明るく楽しく行こうじゃん? ほら、行こうぜ!」
「あ、うん……行こうか」
遊太が少し暗い顔をしていたようなので、知多に連れて行かれた。遊太は、少し乗り気ではないようだが、とりあえず、知多についていくことにしたのであった。
そして、知多に連れられて来た遊太は今、菊姫に連れられている最中であった。その隣には、真薄や知多、菊姫の取り巻きもいる。
「ねえ、菊姫。今日は僕達を一体何処へ連れて行くのさ?」
「ああ? それは来てからのお楽しみ。まあ、行けばわかるさ。とりあえずはついて来いよ」
「いやー、楽しみじゃん?」
「一体、何を見せてくれるんでしょうねえ」
そうして、菊姫に連れられて来た場所はというと……。
「とうちゃ~く」
「うわあ、大きな建物だなあ。プラクサスシティって、こんなところもあるの?」
「ああ、ここはプラクサスアリーナと言って、プラクサスシティにおける最大のイベント施設だな。プラクサスでイベントと言ったら、大体ここと言っても過言じゃない。最大5万人も観客が収容できる」
「で、ここで何かイベントでもあるの?」
「そう、ここでアタシたちデュエリストにとっての重大イベントの開催が、発表されるのさ」
「俺達デュエリストにとっての?」
「重大発表、ですか」
「そうだ、知多や真薄、アタシに遊太とデュエリストにとっては、凄く重要な発表なんだぞ」
「そんなに重要な発表なの?」
「まあ、とりあえず来てみろって」
そう言われて、中へと入った遊太達。中は、既に人でいっぱいであったが、どうにも違和感があった。
「ねえ、菊姫。この中にいる人達って、全員僕達とそんなに年の変わらない子供達ばっかりだね」
「当たり前だろ、なんせこの発表は、アタシ達ぐらいの子供を対象に発表を行うらしいからな」
「そうなの?」
「何はともあれ、楽しみじゃん?」
「ええ、あの人も出てくるらしいですしね」
「あの人?」
「デュエリストなら、知らない人はいない、あの人ッスよね、アネゴ」
「あ、始まるみたいですよ、アネゴ」
その言葉と同時に、会場がフッと暗くなる。それと同時に、放送アナウンスが鳴る。
「えー、プラクサスアリーナにお越しの少年少女の皆さん! いよいよ皆さん向けの重大発表を行います! そして、その発表を行うのは、私ことロベルト・フランシスです!」
ロベルト・フランシス。その名前が出ただけで、会場がどよめく。その声の大きさに、地震でも起きたような揺れが起こった。
しかし遊太は、ロベルト・フランシスと聞いて驚くのであった。
「ロベルト・フランシス……まさかあの人が、ここに来るなんて……!」
「おや? さしもの遊太君も、ロベルトさんには食いつくのかじゃん?」
「いや、違うよ……ただ今は、あの人に会って聞きたいだけなんだ。あの人が、ロベルトさんがなんで僕にこのカード達を渡したのかって!」
「ええええ~っ!!??」
そのことを知多、真薄、菊姫そして取り巻きの二人に語った時、五人は凄く驚いた! そして、遊太に詰め寄る。
「オイオイオイオイオイオイ! お前、あのロベルトさんからカード貰ったのかよ!?」
「嘘だろ!? マジなの!? それだとしたら、物凄く凄い事じゃん!?」
「そりゃあ僕だって気になりますよ! どうしてロベルトさんが遊太君にカードを渡したのか! 僕だって気になりますよ!」
「アネゴの言う通りッス!」
「アネゴの言う通りですよ~!」
「ま、待ってよ皆……僕だってそれが知りたくてロベルトさんに話を聞きたくて……」
「それでは、発表をしたいと思います!」
遊太はまたしてももみくちゃにされるが、ロベルトがまた話を始めると、すぐにロベルトの所に向き直った。
「今回皆さんにお伝えしたいことは、皆さん小学生に対してのイベントです! 今日から二週間後、このプラクサスシティでデュエルモンスターズの大会を行います! 参加条件は、小学生という条件を持っていれば、他の条件は無し! 予選会は、大会の前日に行います! 皆さんこぞってご参加ください! 主催は、この私、ロベルト・フランシスとミナコ社です!」
どわあああっと、またしても会場が沸き立つ。ここにいるのは、大体小学生。それらを対象にした大会が開催されるとなると、デュエリストとしては沸き立たずにはいられないだろう。
「た、大会だとおおお!? アタシ達向けに、大会が開催されるなんて、これは出るしかないじゃあないかあああ!」
「俺も、大会となったら凄く出たくなるじゃん! やってやろうじゃん? 見せてやろうじゃん!」
「ぼ、僕だって、大会にはあんまり出た事ありませんけど、ここまで大きな大会には、出たくなりますよ!」
「アネゴ~! 頑張ってくださーい!」
「俺達も、応援するッスよ~!」
(知多や真薄君、菊姫は出るとして、取り巻きの二人は応援するだけなのか……にしても、凄い盛り上がり)
そんな疑問を抱きながらも、デュエルの大会を開催するだけで、こんなにも盛り上がるものなのか……と感心する遊太。それと……。
(ひょっとしたら、ロベルトさんからあのカードの秘密を聞けるかもしれない。後で、訳を聞きに行かなきゃ!)
会場にいる皆が沸き立つ中、遊太は一人冷静だった。全ては、ロベルトから訳を聞くために。
そして発表が終わってアリーナの外に出た後、遊太は自分が持っている『ロードナイト』のカードは、作った人物があの高名なカードデザイナーであるロベルト・フランシスであり、親切にしたらそのカードを貰えたことを伝えた。
「……という訳なんだ」
「まさかあのロベルトさんが作ったカードを遊太君が貰ってたなんて……」
「いやあ、まさかそんな有名な人から貰ったカードだったなんて…凄く畏れ多いッス」
「よくわからないですが、とても有名な人から貰った…ということで良いですか?」
「けどそんな偶然ってあるのかじゃん? たまたまぶつかった人がかのロベルトさんで、しかも親切でカード全部貰っちゃうなんて……」
「事実は小説よりも奇なりって、こういう事を言うんだなあ……」
あまりの偶然の一致により、驚きを隠せない友達一同。当然だ、まさか友達が使っているカードが、有名なカードデザイナーの作ったカードだという事実。そしてそのカードを本人から貰ったということ。驚かない方がおかしいくらいだ。
「正直言って僕も驚いてる、まさかカードデザイナー本人からカードを貰うなんて思わないもの……」
しかし、遊太は引っ掛かる事を一つ述べた。
「けど、僕は考えているんだ。どうして、始めたばかりの僕にそんな大事なカードをあげたんだろう? って。カードデザイナーから直々に貰って、しかもそのカードは世界に一つしかないオリジナルのカード……」
「何故そんな重要なカードを、僕なんかにあげたのか?あげるんだったらもっと、大会に優勝した凄い人とか……と考えちゃうんだ」
「た、確かに……」
遊太がそう述べて、友達一同は考える。しかし、転機は訪れた。
「一体どうして……あっ!?」
遊太が遠目から見たのは、ロベルト・フランシス。アリーナの人と会話しているようである。
「……!」
「あっ、オイ!何処へ行くんだよ!?」
遊太はロベルトの所へ走り出した。自分に何故あの『ロードナイト』のカードを渡したのか、それを聞きたかったから。
そしていきなり走り出した遊太を追いかける友達五人。いきなり走り出したら訳を問いたくなる。友達だから、心配になったのである。
「あのっ!ロベルトさん!」
「あっ、君は……あの時の六道遊太君」
やっとの思いでロベルト・フランシスの所へ辿り着いた遊太。息切れしながらも、自己紹介をする。
「あの……ぼ、僕、あなたに聞きたいことがあるんです! それで、ここまで来ました!」
「どうしたんだい? なんでも言ってごらん?」
「なんで僕なんかに、『ロードナイト』という貴重なオリジナルで、公式からも発表されていない『ロードナイト』のカードをあげたんですか?僕なんかより、もっと相応しい人がいるんじゃ……」
「ほう、例えば?」
「大会に優勝した強い人とか…」
その言葉に、フゥッと息をついてから言う。
「あのさ、デュエルの強い人がこのオリジナルの『ロードナイト』のカードを持つ資格が、本当にあると思うのかな?」
「えっ? どういうことですか?」
「フゥ……じゃあ君、今デュエルに対してどんな事思ってる?」
「えっと…凄く楽しいです!色んな人とデュエルするのが楽しくて、もっと色んな人とデュエルしたいと思ってて……」
「……うん、それなら良いんだ」
「え?」
「遊太君、良かったら今回発表した大会に出場してみたらどうだい?」
「えっ、えっ?」
「その大会で良いデュエルをしたら、どうして君にこの『ロードナイト』を渡したのか話してあげても良いよ」
「良い……デュエル……?」
「勝ち負けは関係ない、これから行われる大会で良いデュエルが出来たら、教えてあげても良いよ」
「わ、わかりました!頑張って良いデュエルをしたいと思います!」
「じゃあ、頑張りなよ」
そう言ってロベルト・フランシスは去って行った。
菊姫達はその一部始終を聞いていたが、ロベルトが去ってから口を開いた。
「おい遊太、さっきの話アタシらも聞いてたけど……まさかアンタ!」
「うん、僕はあの大会に出場するよ、内容によっては聞けないかもしれないけど……僕は、あの大会に出場する!」
遊太のその決意に、言葉を同じくする友達全員。
「やれやれ、動機はどうあれ出場するんなら、アタシも出場させてもらうよ! どうせ大会に出場するんだったら、徹底的にやらなきゃいけないしな!」
「ぼ、僕も! 僕も一緒に参加します! 僕実は、まだ始めて日が浅いですが、僕のC・HERO達でやってみます!」
「俺も参加するじゃん! 大会にはあんまり出場したことないけど、やったろうじゃん!」
「皆……」
皆も大会に出場する事を知って、更に大会への思いを加速させた遊太。
「よし! まずは選考会に向けて特訓だ!」
「おーっ!」
ミナコ社が主催する、デュエルモンスターズのジュニアユース大会に出場することになった遊太達。はたして、遊太達は大会でどれだけ力を発揮出来るのか。
遊太は何故あの有名なカードデザイナーであるロベルト・フランシスが『ロードナイト』のオリジナルカードを遊太に渡したのかということを本人の口から聞けるのか。
そして遊太達は、大会に出場した猛者達にどこまで立ち向かえるのか!?
第六話。終わり。
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127 | プロローグ「出会いは突然に」 | 1896 | 3 | 2018-01-27 | - | |
177 | 第一話「六道遊太、デュエルと出会う」 | 1535 | 1 | 2018-01-28 | - | |
102 | 第二話「六道遊太、デュエルスタンバイ!」 | 1413 | 3 | 2018-01-30 | - | |
148 | 第三話「ロードナイトVSC・HERO」 | 1233 | 1 | 2018-02-05 | - | |
84 | 第四話「大会にて」 | 1024 | 1 | 2018-02-11 | - | |
137 | 第五話「カリンとカードの精霊の話」 | 1140 | 1 | 2018-02-14 | - | |
125 | 第六話「戦いの幕開け」 | 1046 | 1 | 2018-02-18 | - | |
221 | 第七話「大鴉の特訓」 | 1138 | 1 | 2018-02-22 | - | |
90 | 第八話「知多泉、デュエルスタンバイ!」 | 1003 | 0 | 2018-02-25 | - | |
184 | 第九話「儀式降臨のサフィラ」 | 1060 | 0 | 2018-03-02 | - | |
96 | 第十話「驚きの予選会」 | 1163 | 1 | 2018-03-05 | - | |
85 | 第十一話「ペンデュラムと、英雄騎士達」 | 1199 | 2 | 2018-03-10 | - | |
95 | 第十二話「プラクサス大会スタート!」 | 1065 | 0 | 2018-03-13 | - | |
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175 | 第十四話「カリンとサフィラ」 | 1030 | 0 | 2018-03-24 | - | |
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168 | 第三十三話「帝国への招待状」 | 1086 | 0 | 2018-07-03 | - | |
131 | 第三十四話「いざ、帝国へ!」 | 976 | 0 | 2018-07-12 | - | |
237 | 遊戯王EXSキャラ紹介 その1 | 1425 | 2 | 2018-07-14 | - | |
134 | 第三十五話「GAME START」 | 945 | 0 | 2018-07-22 | - | |
84 | 決闘者の帝国における、特殊ルール | 919 | 2 | 2018-07-22 | - | |
170 | 第三十六話「まずは一つ」 | 1061 | 0 | 2018-07-29 | - | |
97 | 第三十七話「菊姫とアキラ」 | 1003 | 0 | 2018-08-05 | - | |
100 | 第三十八話「実力勝負!」 | 943 | 0 | 2018-08-12 | - | |
139 | 第三十九話「エンジョイデュエル!」 | 1047 | 0 | 2018-08-23 | - | |
90 | 第四十話「プレイヤーキラー、動く!」 | 856 | 0 | 2018-09-07 | - | |
80 | 第四十一話「闇を打ち砕け、遊太!」 | 928 | 0 | 2018-09-15 | - | |
117 | 第四十二話「ユニオンロボ&宇宙のヒーロー | 937 | 0 | 2018-09-29 | - | |
88 | 第四十三話「侵攻するワーム」 | 1002 | 0 | 2018-10-06 | - | |
133 | 第四十四話「ヒーロー覚醒!?」 | 958 | 2 | 2018-10-14 | - | |
213 | 第四十五話「血の刻印」 | 1146 | 2 | 2018-10-27 | - | |
72 | 第四十六話「二つの竜」 | 839 | 2 | 2018-11-08 | - | |
172 | 第四十七話「共鳴、そして目醒め」 | 1023 | 2 | 2018-11-19 | - | |
138 | 第四十八話「思わぬ敵」 | 972 | 2 | 2018-12-02 | - | |
102 | 第四十九話「救いと絶望」 | 948 | 0 | 2018-12-09 | - | |
150 | 第五十話「ロベルトを救う者」 | 990 | 0 | 2018-12-17 | - | |
135 | 第五十一話「決戦! 闇の王と遊太」 | 997 | 0 | 2019-01-17 | - | |
101 | 作者よりお知らせ | 826 | 0 | 2019-01-27 | - | |
84 | 第五十二話「突き抜ける意志」 | 783 | 0 | 2019-02-05 | - | |
99 | 第五十三話「神帝現る」 | 948 | 0 | 2019-02-12 | - | |
96 | 第五十四話「帝国の終焉」 | 854 | 0 | 2019-02-22 | - | |
115 | 特別編『超次元! 世界を越えた絆』1 | 1025 | 0 | 2019-03-07 | - | |
144 | 特別編『超次元! 世界を越えた絆』2 | 894 | 0 | 2019-03-14 | - | |
90 | 特別編『超次元! 世界を越えた絆』3 | 912 | 0 | 2019-03-22 | - | |
82 | 第五十五話「休息の時」 | 803 | 0 | 2019-04-07 | - | |
79 | 第五十六話「彼女との再会」 | 746 | 0 | 2019-04-20 | - | |
102 | 第五十七話「マダムの危ない罠」 | 764 | 0 | 2019-05-01 | - | |
70 | 第五十八話「ストアブレーカー」 | 791 | 0 | 2019-05-19 | - | |
74 | 第五十九話「闇のカード」 | 839 | 0 | 2019-06-04 | - | |
111 | 第六十話「変わり始める生活」 | 792 | 0 | 2019-07-18 | - | |
70 | 第六十一話「ユイのデュエル」 | 725 | 0 | 2019-08-04 | - | |
76 | 作者よりお知らせ2 | 733 | 0 | 2019-08-11 | - | |
94 | 第六十二話「プラクサスの怪人」 | 729 | 0 | 2019-09-11 | - | |
70 | お詫びとお知らせ | 495 | 0 | 2020-02-19 | - | |
148 | 第六十三話「暴走! 怪人クロウリー」 | 780 | 0 | 2020-02-19 | - | |
84 | 特別編『ブルーアイズVSブルーアイズ』 | 846 | 0 | 2020-02-22 | - | |
91 | 第六十四話「闇に落ちる小鳥」 | 786 | 0 | 2020-03-22 | - | |
70 | 第六十五話「鳥人を食う邪竜」 | 673 | 0 | 2020-04-18 | - | |
91 | 第六十六話「ダークヒーロー!ヴェンデット | 696 | 0 | 2020-05-09 | - | |
87 | 第六十七話「堕ちたヒーロー」 | 719 | 0 | 2020-05-23 | - | |
79 | 第六十八話「視える未来(ビジョン)」 | 855 | 0 | 2020-05-30 | - | |
97 | 第六十九話「突入、アポカリプトのアジト」 | 759 | 0 | 2020-06-12 | - | |
65 | 第七十話「登場! 世界チャンピオン!」 | 731 | 0 | 2020-06-14 | - | |
63 | 第七十一話「デートじゃん!」 | 677 | 0 | 2020-06-27 | - | |
77 | 第七十二話「不死者は少年を好く」 | 777 | 0 | 2020-06-28 | - | |
64 | 第七十三話「最強デュエリストのいとこ」 | 671 | 0 | 2020-07-07 | - | |
76 | 第七十四話「D1グランプリ、開催決定!」 | 637 | 0 | 2020-07-13 | - | |
78 | 遊戯王EXS キャラ紹介その2 | 751 | 0 | 2020-07-13 | - | |
74 | 特別編「VSサイコ・ショッカー!?」 | 608 | 0 | 2020-07-26 | - | |
89 | 第七十五話「D1グランプリへの道しるべ」 | 685 | 0 | 2020-08-06 | - | |
64 | 第七十六話「不死と再生、イモータル」 | 669 | 0 | 2020-08-15 | - | |
64 | 第七十七話「雨が降れば蛙が鳴く」 | 603 | 0 | 2020-08-30 | - | |
75 | 第七十八話「噴火寸前のヴォルケーノ」 | 686 | 0 | 2020-09-13 | - | |
73 | 第七十九話「燃えろ遊太!」 | 644 | 0 | 2020-09-27 | - | |
120 | 作者よりお知らせ3 | 627 | 0 | 2020-10-02 | - | |
69 | 第八十話「燃えるデュエル!」 | 626 | 0 | 2020-10-18 | - | |
74 | 特別編「乙女の対決、ブラマジガール!」 | 707 | 0 | 2020-11-05 | - | |
68 | 第八十一話「高き壁」 | 666 | 0 | 2020-11-22 | - | |
76 | 第八十二話「強き者」 | 746 | 0 | 2020-12-05 | - | |
59 | 第八十三話「エキシビションマッチ」 | 682 | 0 | 2021-01-01 | - | |
78 | 第八十四話「二次予選開始!」 | 738 | 0 | 2021-01-11 | - | |
59 | 第八十五話「タッグメイクデュエル」 | 524 | 0 | 2021-02-20 | - | |
66 | 第八十六話「タッグメイクデュエル②」 | 482 | 0 | 2021-04-04 | - | |
70 | 第八十七話「タッグメイクデュエル③」 | 436 | 0 | 2021-04-25 | - | |
71 | 第八十八話「タッグメイクデュエル④」 | 590 | 0 | 2021-05-04 | - | |
54 | 第八十九話「チーム結成!」 | 503 | 0 | 2021-05-08 | - | |
62 | 第九十話「J4の実力 輝く竜の星」 | 454 | 0 | 2021-06-02 | - | |
61 | 第九十一話「超弩級のパワー」 | 585 | 0 | 2021-06-12 | - | |
78 | 第九十二話「空飛ぶケモノたち」 | 457 | 0 | 2021-07-08 | - | |
69 | 第九十三話「雷と未来」 | 428 | 0 | 2021-07-18 | - | |
66 | 第九十四話「大トリ、明石慎之介」 | 647 | 0 | 2021-09-04 | - | |
59 | 作者からお知らせ4 | 463 | 0 | 2021-09-17 | - | |
75 | 特別編「冥界の王(ファラオ)と決闘!?」 | 554 | 2 | 2021-10-17 | - | |
60 | 第九十五話「最終予選1 友達VS友達」 | 489 | 0 | 2021-12-18 | - | |
65 | 第九十六話「最終予選2 竜姫神と青眼」 | 468 | 0 | 2022-01-04 | - | |
70 | 第九十七話『最終予選3 約束のために』 | 566 | 0 | 2022-01-10 | - | |
62 | 第九十八話「最終予選4 VSJ4最強」 | 672 | 0 | 2022-02-01 | - | |
54 | 第九十九話「異変」 | 517 | 0 | 2022-02-27 | - | |
72 | 第百話「D1グランプリ、本戦開始!」 | 413 | 0 | 2022-04-09 | - | |
75 | 第百一話「プロの実力」 | 427 | 0 | 2022-05-07 | - | |
63 | 第百二話「デストーイ・デコレーション」 | 518 | 0 | 2022-06-04 | - | |
46 | 第百三話「アマゾネスの首領」 | 376 | 0 | 2022-07-10 | - | |
41 | 第百四話「プロ辞めます!」 | 462 | 0 | 2022-08-28 | - | |
40 | 第百五話「強襲! 梁山泊デュエル!」 | 340 | 0 | 2022-10-16 | - | |
49 | 第百六話「鉄屑と星屑」 | 556 | 0 | 2022-11-27 | - |
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- 2024/12/21 新商品 PREMIUM PACK 2025 カードリスト追加。
- 12/24 01:45 評価 7点 《聖騎士トリスタン》「総合評価:聖剣装備時の効果による破壊を狙…
- 12/24 01:36 評価 7点 《アマゾネスの急襲》「アマゾネスの生命線であり同時に命綱。 全…
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- 12/23 14:52 SS 第二十三話・1
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- 12/22 22:00 評価 10点 《深淵に潜む者》「バグースカの身代わりで禁止。墓地封殺がフリ…
- 12/22 21:54 デッキ 俺の真の最強のライゼオル
- 12/22 21:19 掲示板 オリカコンテスト投票所
Amazonのアソシエイトとして、管理人は適格販売により収入を得ています。
波乱(?)の大会編、楽しみにしてます。 (2018-02-18 20:22)