第167話Believable Mate　作：ター坊

復活したユイは早々に巨人達に繋がれ、圧倒的不利な状況でデュエルを開始することになった。


巨人A:LP:7500
モンスター:ＴＧハルバード・キャノン
クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン
星態龍
魔法＆罠カード：伏せ１枚

巨人B:LP 7000
モンスター:サイバー・ドラゴン・インフィニティ
超弩級砲塔列車グスタフ・マックス
迅雷の騎士ガイアドラグーン
魔法＆罠カード：伏せ１枚

後攻扱いでユイから始まるものの、初手５枚＋１枚ドローでこの盤面を崩せるのか。
「俺のターン、ドロー」
その答えはドローし、６枚の手札を眺めるユイの口許に現れていた。
「俺はまず、ペンデュラムゾーンに『黄薔薇の救世者-フレンディ∞（インフィニオン）』をセッティング」
ペンデュラム特有の青い光の柱が天高く伸び、その中に黄色の薔薇のドレスの姫騎士の姿が浮かぶ。
「イン…フィニオン？」
「ユイのカード…変わったの？」
遊月と美羽は不思議そうに見つめる。
「１０００ＬＰを払い、フレンディ∞の効果発動！」

ユイ:LP 4000→3000

「ウォォ！『サイバー・ドラゴン・インフィニティ』！！」
「させるか！」
『サイバー・ドラゴン・インフィニティ』はあらゆるカードの効果の発動を無効にしてしまう恐ろしい効果がある。巨人はその効果を発動させようと叫ぶが

ﾋﾟﾀｯ

『サイバー・ドラゴン・インフィニティ』はまるで人形のように固まってしまった。
「ッ！？」
「『錬成の救世者-オリハルコン・クロック∞』の効果。相手がフィールドのモンスター効果を発動した時、手札からコイツを捨てることでその発動と効果を無効にする。よってフレンディの効果は有効！フレンディを破壊し、デッキからスケール９の『赤薔薇の救世者-ラブリ∞』とスケール３の『白薔薇の救世者-ピュアリー∞』をセッティング！！」
青い光の柱が割れたかと思えば今度は２本伸び、赤き薔薇の姫騎士と白き薔薇の魔術師の少女が浮かぶ。
「これでレベル４～８のモンスターが同時に召喚可能！運命のペンデュラム、俺の未来を導け！ペンデュラム召喚！」
天空に魔法陣が現れ、そこから流れ星のように輝く光の塊が三筋降り注ぐ。
「『誠実の救世者-タリス∞』、『友愛の救世者-エミュリン∞』、そして『未来の真救世者-スキュルート Eternal Ace』！！」
ペンデュラム召喚によって現れた救世者。インフィニオンと新たに付いたカードはカード名・効果が変化しただけではない。新たにペンデュラムの性質を備えているのだ。
「ヌォォ！『ＴＧ ハルバード・キャノン』！！」
「無駄だ。スキュルート Eternal Ace のペンデュラム召喚は無効にできない」
ハルバード・キャノンの砲撃をスキュルートが光のカーテンで弾く。
「エクストラデッキに表側表示で存在するフレンディ∞をデッキに戻してスキュルート Eternal Ace の効果発動！」
「グォォ！『クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン』！！」
「ラブリ∞のペンデュラム効果！救世者をペンデュラム召喚したターン、相手は救世者の効果の発動を無効にできない！」
クリスタルウィングから放たれた光の奔流が赤薔薇の花吹雪にかき消される。
「じゃあ改めてスキュルート Eternal Ace の効果。コイントスを三回行う」

ﾁﾘｰﾝ

ユイはポケットからコインを取り出し、宙高く指で跳ね上げる。

表！

そして結果を見ると同じことを繰り返す。

表！表！

「コイントスによって出た表の数だけフィールドのカードをデッキに戻し、この効果でフィールドから離れたカードの枚数分、ドローする。俺はハルバード・キャノンとセットカード２枚をデッキに戻し、３枚ドロー」
召喚無効を持つハルバード・キャノンと攻撃の障害となり得るセットカードを除去できたのはユイの目指した通りだった。
「さらに俺は『金環の救世者-シエラ∞』を召喚。召喚成功時にコイントスを行う」

ﾁﾘｰﾝ…表！

「これで俺は『護法の救世者-ゴールド・ゴーレム∞』を手札に加える。そしてシエラ・エミュリン・タリスの３体でオーバーレイ！！輪廻を司る不死鳥よ。新たな無限の煌めきを翼に宿し、聖なる紅蓮で悪しき心を焼き尽くし来世へ導け！エクシーズ召喚！！ランク４『輪廻の真救世者-ソル・ＲｅＢ（リ・バース）フェニックス』！！」
光の渦に３体のモンスターが吸い込まれ現れたのは、燦然と輝く炎の翼を羽ばたかせる生まれ変わった不死鳥。
「オーバレイユニットを１つ使い、ソル・ＲｅＢフェニックスの効果発動！サイコロを１回振る」

ｺﾛｺﾛｺﾛ…６！

「このサイコロの目で出た数だけこのカード以外の表側表示のモンスターを可能な限り選択し、次のターン終了時までその攻撃力の合計分、このカードの攻撃力をアップする」
「つまり６体分も…？」
「ユイ様と巨人の式霊達の数も丁度６体…」

未来の真救世者-スキュルート Eternal Ace　ATK 2500
クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン　ATK 3000
星態龍　ATK 3200
サイバー・ドラゴン・インフィニティ　ATK 2700
超弩級砲塔列車グスタフ・マックス ATK 3000
迅雷の騎士ガイアドラグーン ATK 2600

輪廻の真救世者-ソル・ＲｅＢフェニックス ATK 1000→18000


「さらにソル・ＲｅＢフェニックスは自分フィールドのコイツ以外の救世者カードの枚数だけモンスターに攻撃できる。俺のフィールドにはスキュルート・ラブリ・ピュアリーの３枚が存在するため、３体のモンスターとのバトルが可能となる。バトル！」
翼の炎はその輝きをさらに増し、不死鳥は空高く舞い上がる。
「戦闘ダメージ半分のデメリットがあるが、これでＴｈｅ Ｅｎｄだ」

輪廻の真救世者-ソル・ＲｅＢフェニックス ATK 18000 VS クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン ATK 3000 + 星態龍 ATK 3200 + 迅雷の騎士ガイアドラグーン ATK 2600

「切り裂け！」
不死鳥の体は巨大な炎の刃となって相手のフィールドのモンスター達に襲い掛かり、その灼熱の翼で強豪モンスター達を焼き斬った。

巨人A:LP 7500→0

巨人B:LP 7000→0



デュエルが終わり、ユイは遊月と美羽の方を振り返り、話し掛ける。
「遊月、美羽」
「はい」
「うん」
「俺も無事に帰ってきたことだし、これからディヴァインとの決着だ。もう少しで全部終わる。だから…」

ﾋｭﾝﾋｭﾝ

「っ！！させません！」
「私だって！」

ｶｼﾝ、ｶｼﾝ

「遊月！美羽！」
巨人の鎖が放たれた瞬間、遊月と美羽はユイを守るように立ち塞がり、ユイを庇った。
「ユイ様！ここは私達で足止めしますのでお先に！」
「ユイ！今度は絶対勝てるって信じてるから！行って！！」
二人の少女の瞳。そこには愛する人に守られるだけじゃなく、逆に愛する人を守り支えてみせるという揺るがぬ決意が宿っていた。その決意を汲み取ったユイは
「…ああ！行ってくる！！」
自分の全てを信じて送り出してくれるのだから、こちらも全てを信じてこの場を任せよう―。
ユイはそう思って、心残りが無いように見せるために敢えて頑張れとか気を付けろ等の気遣う言葉を省き、一言だけ言い残して駆けて行った。


そして他のデュエリストも―




ﾋｭﾝﾋｭﾝ
「させっかよ！」
「城之内くん！！」
「遊戯！ここは俺達に任せて敵の親玉をぶっ飛ばしてこいよ！」
「…城之内くん、すまない。頼んだぜ！」
「おう！…デカブデュエリストかかってこい！このパーフェクト城之内様が相手してやるぜ！！」


ﾋｭﾝﾋｭﾝ
「ふん！」
「万丈目！」
「十代！本来ならば俺が行くべきだがお前に花を持たせてやる！行ってこい！」
「またまたぁ。ダンナってば照れちゃって～」
「うるさい！」
「あ～ん」
「ハハハッ。じゃあ万丈目、おジャマ・イエロー。ぶっ飛ばしてくるぜ！」


ﾋｭﾝﾋｭﾝ
「させない！」
「おおっと！」
「アキ！鬼柳！」
「遊星行って！ディヴァインの暴走を止められるのは貴方だけだから」
「遊星！ここは俺達に任せておけ。お前は敵の大将をぶっ潰して満足してこい！」
「…すまない！」


ﾋｭﾝﾋｭﾝ
「鬱陶しいんだよ！」
「へっ！まだ来やがるか」
「シャーク！ゴーシュ！」
「気にすんな遊馬。これもノリってやつだ」
「ここは俺達が抑えてるからよ。遊馬、アストラル！！お前らはディヴァインをぶっ潰せ！」
「行こう遊馬。この場にいる仲間の想い、無駄にはできない」
「そうだな。行くぜ、アストラル！かっとビングだぁっ！俺ぇっ！」


ﾋｭﾝﾋｭﾝ
「ぬおおおぉぉっ！」
「絶対、通さないんだから…！」
「権現坂！柚子！」
「早く行け！ディヴァインに引導を渡すのだ！！」
「行って遊矢！ディヴァインの計画が実行されたらそこにはきっと本当の笑顔がないから！」
「権現坂、柚子…！分かった。みんなで絶対帰ろう！遊勝塾へ！！」




こうして、信じる仲間の熱い想いを受け、最強の６人のデュエリストはディヴァインを倒すため、最終決戦の場へと向かうのであった。



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