第123話　リーダーと呼ばれる理由　作：ター坊

~万丈目サイド~

果たしてユイが召喚した『輪廻の救世者 ソル･ReBフェニックス』の効果とは一体？
「フェニックスの効果発動！オーバーレイユニットを1つ取り除き、コイントスを3回行う」

ﾁﾘｰﾝ…表！裏！表！

「これで表が出た数だけフィールド上に存在するモンスターを選択する。俺はアユの場にいるアロワナとグッピーを選択」
すると不死鳥の翼が燃え盛る。
「これにより次の俺のターンを迎えるまでの間、選択したモンスターの攻撃力の合計分、このカードの攻撃力をアップする！」
アロワナとグッピーは『水舞台装置』によって強化されそれぞれ2600と1200…よって攻撃力3800の強化となる。
「さらにこの時の表の数だけ、通常の攻撃に加えて連続攻撃できる。まずはグッピーとテトラに攻撃」
『水照明』で倍加されるがフェニックスの前では無力だ。

輪廻の救世者 ソル･ReBフェニックス ATK 4800 VS アクアアクトレス･グッピー ATK 2400　アクアアクトレス･テトラ ATK 1800

「きゃああぁぁ！！」
「アユ。厳しいかもしれないけど食べ物の好き嫌いはいけないんだ。分かってくれ。それに…」
ユイの視線がⅣに向く。
「みんな当番があるんだ！一日だけとかならまだしも無くすわけにはいかないな！行け！Ⅳにダイレクトアタック！」
この一撃が決まればⅣは脱落となるが
「させるかよ！罠カード！『ギミック･ボックス』！！これでダメージを無効にし、その攻撃力分のモンスターとして特殊召喚する！」
くっ！よりにもよって攻撃力4800のモンスターが2体…。
「俺はこのままターンエンド」

万丈目:LP 6900
Ⅳ:LP 4000
アユ:LP 2500
ユイ:LP 6800

「俺のターン、ドロー！モンスターをセットしてターン終了」
ちっ！あのカードが来れば！
「俺様のターン、ドロー！墓地の『ギミック･パペット-ネクロ･ドール』の効果でボム･エッグを除外して特殊召喚！さらに速攻魔法『サイクロン』で『水照明』を破壊！」
「そんなぁ…。『水照明』が破壊されたことで墓地からテトラを特殊召喚…」
アユの声に元気がない。小さいとは言え、デュエリストとしてここまでと察してるのであろう。
「まずは一人をゲームオーバーにしてやるぜ！『ギミック･ボックス』で攻撃！」
とりあいずこれで競争は3人に
「それはどうかな？」
「何！？」
「罠カード『次元幽閉』を発動して『ギミック･ボックス』を除外する」
攻撃しようとしたがユイがそれを阻止する。『ギミック･ボックス』が次元の裂け目に吸い込まれる。
「テ、テメェ！俺様に気持ち良くデュエルさせろ！」
「ユイお兄ちゃん…」
「アユの望みもⅣの望みも感心しないけど、どっちかと言えばアユの方がマシだからな。みんな頑張ってるんだから掃除当番なくせは無しだろう」
「ならテメェのモンスターをぶっ潰してやるぜ！俺様は手札より魔法カード『ジャンク･パペット』を発動！これによりマグネ･ドールを特殊召喚。ネクロ･ドールとマグネ･ドールでオーバーレイ！エクシーズ召喚！『No.15ギミック･パペット-ジャイアント･キラー』！！」
あのモンスターは…！エクシーズキラーとも言えるカードだ。ユイのフェニックスがやられる。
「ユイ。テメェには特別なファンサービスを受けて貰うぜ！デストラクション･キャノン！！」
不死鳥がジャイアント･キラーに絡め取られ、引き込まれ、破砕され、砲弾となってユイに放たれる。
「…」
しかし、ユイは動揺する様子がない。
「何余裕ぶっこいてやがる！俺様の求めてるのはそんな顔じゃねぇ！」
「…それはどうかな？」
「何？……なっ！」
それは誰もが驚いた。効果を使用した後、ジャイアント･キラーは音もなく切り刻まれ、砂塵を上げて崩れ去る。
「馬鹿な…！テメェ何をしやがった！？」
「ソル･ReBフェニックスは墓地に送られた時、エクストラデッキに存在する別のモンスターに次を託す。俺が召喚したのは…『剣聖の救世者 ボルガラッドVG(ヴァンガード)』」
砂塵を払い、現れたのは白銀の鎧を纏った剣士だった。
「ボルガラッドVGが特殊召喚に成功した時、フィールド上のカードを1枚除外し、1000ダメージを与える」
「ちっ！…ターンエンドだ…」
Ⅳは先程の勢いがなくなっていた。実力者として、あと3ターン分、無防備の自分はもたないと悟ったのだろう。

万丈目:LP 6900
Ⅳ:LP 3000
アユ:LP 2500
ユイ:LP 5800

「わたしのターン！テトラの効果でデッキから『水舞台装置』をてふだにくわえて発動！さらにグッピーを再び召喚！バトルだよ！アロワナでⅣお兄ちゃんにダイレクトアタック！」

アクアアクトレス･アロワナ ATK 3200　Ⅳに直接攻撃

「グアアァァ！」
こうして最初の脱落者はⅣとなった。
「掃除当番、これからもよろしくなⅣ」
ユイはそう付け加えた。
「そしてグッピーとテトラでボルガラッドVGに攻撃！」
何？勝てる算段はないように思えるが
「アユどうしてだ？」
「反省したっていうか…ユイお兄ちゃんの言うとおり、みんな色んなことがんばってるから、わたしもピーマン食べるのがんばる！」
「そっか。偉いぞアユ」

「アユちゃん立派ですわ。…凌牙も見習いなさい」
「…うるせぇ」

「だからわたしがバトルロイヤルをする理由もないから良いや、っておもったの！だからこれで最後だよ！」

アクアアクトレス･グッピー ATK 1800　アクアアクトレス･テトラ ATK 1500　VS 剣聖の救世者 ボルガラッドVG ATK 3000

こうして自動的に一騎討ちとなった。

万丈目:LP 6900
ユイ:LP 5800
Ⅳ･アユ:脱落

「俺のターン、ドロー！『勇気の救世者 シグナム』を召喚。コイントス判定」

ﾁﾘｰﾝ…表！

「これで万丈目のセットモンスターを破壊」
やられたモンスターは『仮面竜』。リクルートの壁が無くなったのは痛い。しかし2体のダイレクトアタックを受けてもライフにまだ余裕が。
「ボルガラッドVGは他の救世者がいる場合、すべての救世者の攻撃力･守備力を300アップする」
「何！だが、俺のライフはまだ残る！」
「そう。確かにまだ倒せない。ボルガラッドVGの更なる効果発動！」
「まだ何かあるのか！」
「俺のデッキトップのカードをめくり、その種類で効果が決定する！モンスターならこのターン2回連続攻撃が可能になり、魔法なら自分フィールド上のモンスターすべての攻撃力を1000アップさせ、罠なら相手モンスターの攻撃力･守備力をレベル･ランク×100ダウンさせる」
「つまり、その効果でモンスターか魔法を引き当てられたら…」
「そういうことだ。いくぞ！」
俺の命運が分かれる瞬間だ。俺はリーダーになる！

ﾍﾟﾗ







『激流葬』

「え？」
「ユイ様が…外した？」
俺の運はまだ尽きていないようだな！
「ボルガラッドVGとシグナムで攻撃」

剣聖の救世者 ボルガラッドVG ATK 3300 + 勇気の救世者 シグナム ATK 2100　万丈目に直接攻撃

「まだ、残っている！」
「俺はこのままターンエンド」

万丈目:LP 1500
ユイ:LP 5800

「俺の、ターン！ドロー！！」
「万丈目の奴、気迫が違う！」
「俺は永続魔法『異次元格納庫』発動！これでデッキからユニオンモンスター3枚除外する！『W-ウィング･カタパルト』『Y-ドラゴン･ヘッド』『Z-メタル･キャタピラ』を除外！さらにリバースカード『リビングデッドの呼び声』を発動！これで蘇れ『X-ヘッド･キャノン』！ここで『異次元格納庫』の効果発動！召喚･特殊召喚されたモンスターに装備可能なユニオンモンスターを除外から特殊召喚できる」
「何！」
「さらに手札から『V-タイガー･ジェット』を召喚し、『W-ウィング･カタパルト』を特殊召喚」
「一気にモンスターが5体…！」
「まずはX･Y･Zを合体！『XYZ-ドラゴン･キャノン』！さらにV･Wを合体！『VW-タイガー･カタパルト』！そして2体で最終合体！！『VWXYZ-ドラゴン･カタパルトキャノン』！」
「お、おお…」
「行くぞ！VWXYZでボルガラッドVGを除外！」
「くっ！」
「そしてVWXYZでシグナムを攻撃！アルティメット･デストラクション！」

VWXYZ-ドラゴン･カタパルトキャノン ATK 3000 VS 勇気の救世者 シグナム ATK 1800

「俺はこれでターン終了だ！」

万丈目:LP 1500
ユイ:LP 4600

「…万丈目。やるな」
「俺はそれだけ必死ということ。俺はお前を打ち破って、ナンバー1になる！」
「……嬉しいな」
「何？」
「誰かの目標になれるくらいの強さってことだろ？今までそんなことなかったから、ちょっと自分に自信がつくな」
「フン。そう言うことを言ってられるのも今のうちだ」
「それは全部このドローで決めるさ。……ドロー！」
何を引いた？
「俺はスケール9の『赤薔薇の救世者 ラブリ』とスケール3の『白薔薇の救世者 ピュアリー』でペンデュラムスケールをセッティング！ペンデュラム召喚！『未来の救世者 スキュルートEP』！！墓地のシグナムを除外してコイントス判定」

ﾁﾘｰﾝ…表！裏！裏！

「これでVWXYZをデッキに戻す」
「ちっ！」
「スキュルートEPでトドメだ！」

未来の救世者 スキュルート ATK 2500　直接攻撃





俺は負けてしまった。が、周りからは惜しみない拍手が聞こえる。
「万丈目！良いぞ！」
「名勝負だった！」
拍手に混じる歓声。それだけで負けたのに清々しい気分になる。
「万丈目。いい勝負だった」
ユイが手を差し伸べる。
「ああ。だが、次はこうは行かないぞ！いつか必ずお前に勝つ！」
「それでこそ万丈目だ」
俺はユイとがっしりと手を握り合う。『次元幽閉』でアユを守ったような優しさや、当番の責任をⅣに説く厳しさ、これこそユイがリーダーと呼ばれる理由かも知れんな。
「それでさ、万丈目」
「なんだ？」
「俺は最初からリーダーじゃないと言ってるから変に聴こえるかも知れないけど、良かったら明日1日、俺の代わりをやってみないか？」
ん？なんだその提案は？
「つまり、1日リーダーと言うわけか？」
「そうそう。お互いの明日の当番を交替ってことだ」
「なるほど…」
悪くは無さそうだ。1日だけだが、そこで俺が如何にリーダーとして優秀かを示せば支持する声が増えるかもしれない。
「…良いだろう！俺が明日のリーダーだ！」
「良かった。じゃあ明日頼むね」
「任せておけ」
「昼食･夕食作りと、ここ(=船のデッキ)と風呂の掃除、頑張れよ」
「ん？」
…確か、俺の明日の当番は…朝食作り……だけのハズ…。はっ！
「待て！」
「やだ！待たない！言っただろ？駆け引きも出来てこそのリーダーだって」
「コイツ！いい感じの雰囲気を作っておいて！」
完全にユイのペースに呑まれていた。今冷静に考えれば仕事が増える分、こっちが不利だ。
「でもいいんじゃない？ユイお兄ちゃん勝ったんだし、お願いを聞いてあげなきゃズルいよ」
「確かにそうね。元々ユイさんに勝った人の願いを叶えるって主旨で始めたんだから、ユイさんが勝って、何も無しじゃ可哀想かも」
「そうですわね。当番の仕事を一人でやれという訳でもありませんし。交代くらい、Ⅳの掃除当番を無くせというのに比べたら控え目で良いと思いますわ」
「だが…！」
「万丈目。男に二言はないぞ」
「諦めるんだな…」
…完全にしてやられた。




~遊月サイド~

こうして真りーだー決定戦は幕を閉じました。笑顔で終わって、良かったです。ユイ様は万丈目様と話し終えるとこちらに来ました。
「遊月、美羽」
「ユイ様、如何なさいました？」
「さっき話し合ってな、明日はほぼ休み状態になったんだ」
「はい。普段からユイ様は頑張っていますからそのくらいの恩恵は」
「それと明後日は何も当番がない休みなんだ」
「ユイって二連休なんだ」
「そっ。…確か遊月が明日休みで、明後日は美羽が休み…だよな」
「う、うん」
「そう…ですね」
「それでさ…」
ユイ様は少し気恥ずかしそうに躊躇いながらも口を開きました。




「それぞれの休みの日に、デート…みたいなの、どうかな？」