第176話　限界を越えた力　ＤＬＩＶＥ　作：ター坊

~ユイ サイド~

「おっしゃあ！行くぜユイ！！」
「来い」
「「デュエル！！」」

遊馬:LP 8000
ユイ:LP 8000

朝、太陽がそこそこ昇ってきた頃、俺は遊馬と対峙していた。


というのも事の発端は城之内の一言であった。
「こん中で一番強いのって誰だ？」
それは最もらしい疑問であった。遊戯・十代・遊星・遊馬・遊矢達のそれぞれの世界、遊月達が来た戦国時代の世界、メアリーが渡る次元の海、そして俺と美羽が住んでいたこの新横浜の世界。生まれた世界は違えど同じデュエリストならば自身の強さはどれくらいか気になるのが人情というものだ。そこで、もうじき来る別れの前にトーナメント形式のデュエル大会をやろうという話になったのだ。そして今、くじ引きで決まったトーナメント第１回戦、俺VS遊馬の火蓋が切って落とされたのだ。
「俺のターン、『金環の救世者-シエラ∞』を召喚。コイントス判定」

ﾁﾘｰﾝ…裏！

「デッキから２枚ドロー…そして１枚を墓地へ。これでターンエンド」
「行くぜ！オレのターン、ドロー！」
「ユイにしては守りが薄い…。事故か…それとも罠か…」
「アストラル。どっちにしたってやることはひとつだぜ！まずは魔法カード『オノマト連携』を発動！！手札を１枚墓地に送ってデッキから『ガガガマンサー』と『ドドドバスター』を手札に加えるぜ！『ガガガマンサー』を召喚してその召喚に成功した事で手札から『カゲトカゲ』を特殊召喚！！」
モンスターが２体…だが。
「さらに『ガガガマンサー』の効果で墓地から『ガガガマジシャン』を特殊召喚！！」
なるほど…。さっきの『オノマト連携』の発動コストで仕込んでいたか。
「オレはレベル４の『ガガガマンサー』と『カゲトカゲ』でオーバーレイ！２体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築！エクシーズ召喚！現れろ！『ガガガザムライ』！！早速『ガガガザムライ』のオーバーレイユニットを１つ使って、このターン、『ガガガザムライ』の連続攻撃を可能にする！オーバーレイユニットとして墓地に送られた『ガガガマンサー』の効果で『ガガガザムライ』の攻撃力をターン終了時まで５００アップ！！」
遊馬はこのターン『ガガガマンサー』の制約でガガガモンスターしか特殊召喚できないが…。余っている『カゲトカゲ』を放置するとも考えられない。…まだ続くぞ。
「まだ終わらないぜ！オレはさらに装備魔法『ガガガリベンジ』を発動！これで墓地からオーバレイユニットとして墓地に送った『ガガガマンサー』を再び特殊召喚！今度は『ガガガマンサー』と『カゲトカゲ』でオーバーレイ！２体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築！来い、『ガガガガンマン』！！」
１ターン目からエクシーズモンスターを２体並べて来るか…。この展開にデュエルを観戦する仲間達も盛り上がる。

「いきなり連続エクシーズとはな。ノリが良いぜ遊馬！！」
「遊馬！押し切れ！！」
「ユイも負けないで！！」

「やるな。遊馬、アストラル」
「へへっ。行くぜユイ！『ガガガリベンジ』の効果でフィールドのエクシーズモンスターの攻撃力は３００アップだ！まずは『ガガガザムライ』で『金環の救世者-シエラ∞』に攻撃！！」
「だが戦う以上、俺も負けはしない！自分フィールドにモンスターが存在する時に相手が攻撃した場合、手札から『銀麗の救世者-ミスリル・メイド∞』を特殊召喚！さらにコイントス判定」

ﾁﾘｰﾝ…表！

「これでミスリル・メイドは戦闘破壊耐性を得る。そして『ガガガザムライ』はこのカードと強制的にバトルする」

ガガガザムライ ATK 2700 VS 銀麗の救世者-ミスリル・メイド∞ DEF 2000

「くっ。さすがユイ…。抜かりはないか…」
「そうだな。オレはカードを２枚セットして、ターンエンド！」
「俺のターン、ドロー」
早速…出してみるか。
「俺はスケール１３の『未来の真救世者-スキュルート Eternal Ace』とスケール５の『決意の救世者-ラドー∞』でペンデュラムスケールをセッティング。スキュルートのペンデュラム効果で自身のスケールを０に」

「これでユイはレベル1~4のモンスターが同時に召喚可能になったか…」
「ユイ君の反撃開始ってところだね」

「ペンデュラム召喚！『奏笛の救世者-アルル∞』、『誠実の救世者-タリス∞』！！さらにアルルのコイントス判定」

ﾁﾘｰﾝ…裏！

「これで俺はこのターン、通常召喚を２回行う事ができる」
「これでユイのフィールドにはレベル４のモンスターが４体…」
「しかもシエラとタリスはチューナーモンスター。シンクロモンスターもあり得る…」
「遊馬、アストラル。それはどうかな？」
「えっ？それってどういうことだよ？」
「俺はこの世界で戦い抜いて、絆の力というものを学んだ…。大切な人の為に戦おうという強い想いが俺に限界を越えさせる…」
「限界を…越える？」
「見せてやる！限界の先で得た新しい力！！俺はこのターン、魔法カードを１枚以上発動した後、アルルの効果を発動したことでドライヴ条件を達成！」

「ドライヴ条件！？なんだそりゃ！？」
「ユイ様。やはりあのカードを…」

俺はエクストラデッキからあの未知の赤いカードを引き抜き、アルルの上に重ね、カードの名を告げる。




「清廉なる笛吹きの天使よ。



新たなる祝福と加護の光を得て限界を越えた高みへと導け！



ドライヴ召喚！！


『純愛の真救世者（ラブハート・トゥルーメシア）-メルティエル』！！」
アルルの足元に赤い魔法陣が広がり光に包まれる。光が消えると、薄い桃色の翼、白の法衣、束ねられた空色の髪―アルルは別のモンスターに姿を変えて現れた。
「ドライヴ…召喚」
「エクシーズでも融合でもシンクロでもペンデュラムでもない…。文字通りユイが限界を越えた事で生み出された新たな召喚方法とモンスターということか！！」
「そうだ。俺は大切な物を守るために限界を何度でも越えてみせる！メルティエルが天使族の救世者をドライヴ素材としてドライヴ召喚に成功した場合、効果発動。サイコロを２回振る」

ｺﾛｺﾛｺﾛ…2・５

「サイコロの大きい目から小さい目を引いた差の数までデッキからドロー」
「なっ！３枚もドロー！？」
「いや。この効果でドローできる枚数は２枚が上限だ」
「ふぅ…」
「だがサイコロの目の差が３以上の場合、さらに相手のフィールドからカードを１枚選んで手札に戻す」
「なんだって！？」
「俺が戻すのは右のセットカードだ」
「くぅっ…」
遊馬は悔しそうにカードを戻す。
「続いてタリスのコイントス判定」

ﾁﾘｰﾝ…表！

「これで相手に１５００ダメージを与える」
「うわっ！」

遊馬:LP 8000→6500

「そして、救世者がモンスター同士のバトルまたは効果によって相手に１０００以上のダメージを与えた事でドライヴ条件を達成」
「な、なんだって！？」
「ドライヴ召喚は通常召喚の扱いだから基本的に１ターンに１回しかできないが、さっきのアルルの効果で俺は通常召喚を２回行える状態にある。よって２回目のドライヴ召喚が可能になるのさ！」
先程と同じ赤い魔法陣がタリスを囲い、光で包まれる。
「若き弓の戦士よ。心の剣を煌めかせ、勝利を掴むために限界を突破せよ！ドライヴ召喚！！『勝利の真救世者（ビクトリー・トゥルーメシア）-レヴァンディオン』！！」
２回目のドライヴ召喚。若くも王者の気風漂う剣士が降臨する。
「遊馬、アストラル。これで終わると思うなよ？」