第７話　共闘　作：ター坊

悲鳴が聞こえた方向へ駆けていくと小学生くらいの女の子が黒タイツ団員に囲まれてるではないか。女の子をよく見るとデュエルディスクが付いている。あの子もデュエリストだろうか？
「ヒャッハー！捕縛だぁー！」
「ぶひ。ぶひひ。幼女、幼女」
そう言って女の子に迫ってくる黒タイツ団員。
「あんた達！ちょっと待ちな！」
舞が啖呵を切る。振り向く団員達。
「ぶひ？なんだてめぇらは？」
「ヒャッハー！てめぇらも捕縛されてぇか？」
「ふん！貴様ら程度の雑魚に捕まるほどマヌケではないさ」
万丈目も加わる。それにしてもヒャッハー団員の言葉や今までの状況からすると、黒タイツ軍団はデュエリストを捕まえることが目的のようだ。
「おい、ユイ。ここはタッグマッチといかないか？雑魚をひとりひとり相手にするのは面倒だからな！」
タッグマッチか。デュエルの授業の一環でもやったことはあるが…
「すまん。実はあまり慣れてないんだ。上手く連携できるかどうか…」
「気にするな。あの時のデュエルを見る限り、訳の分からんカードも使うがかなりの腕前のようだしな。あの程度の雑魚なら、俺達の力でねじ伏せてやればいい」
「ぶっひー！さっきから雑魚雑魚うるさい！」
「ヒャッハー！俺様たちの強さを見せてやるぜー！」
「そうだ。舞。俺達がデュエルしてる間、あの子を頼む」
「えぇ。分かったわ」
こうしてタッグマッチが始まった。

ターン順は　ぶひひ団員→万丈目→ヒャッハー団員→俺となった。

「ぶっひー！ボクちゃんのターン。ボクちゃんは『憑依装着-エリア』たんを召喚！1枚伏せターンエンド」
「ふん。その程度の雑魚、蹴散らしてくれる！」
「エリアたんは雑魚じゃない！ボクちゃんの嫁だ！」
「ほざいてろ。俺のターン、ドロー。俺は魔法カード『デビルズ･サンクチュアリ』発動！メタルデビル･トークンを特殊召喚する。コイツを生け贄に捧げ、『アームド･ドラゴンLv5』を召喚！バトルだ！」
「ぶひひ。リバースカード、オープン！永続罠『憑依解放』を発動！」
「何！？」

憑依装着-エリア ATK1850　VS　アームド･ドラゴンLv5 ATK2400　

「ぶひひ。エリアたんがいなくなったのは寂しいけど、ボクちゃんには次の嫁がいるのさ！ボクちゃんは『憑依解放』の効果でデッキから『風霊使いウィン』たんを裏側守備表示で特殊召喚！」
「クッ！俺はカードを1枚伏せ、エンドフェイズ時！戦闘破壊に成功した『アームド･ドラゴンLv5』はレベルアップする！来い！『アームド･ドラゴンLv7』！」

ユイ･万丈目　LP8000
ぶひひ･ヒャッハー　LP7450

「ヒャッハー！俺様のターン、ドロー!！俺様は相棒が残したモンスターを反転召喚！『風霊使いウィン』の効果で『アームド･ドラゴンLv7』を奪うぜー！」
「クソッ！」
「更に魔法カード『強欲で謙虚な壺』を発動！これで俺様は『聖なるバリア-ミラーフォース-』を加えるぜー！さぁお楽しみのバトルだ！ヒャッハー！!！」

風霊使いウィン ATK500 + アームド･ドラゴンLv7 ATK2800　直接攻撃

「ぐあぁ！」
「ヒャッハー！思い知ったか？俺様はカードを2枚伏せてターンエンドだー！」

ユイ･万丈目　LP4700
ぶひひ･ヒャッハー　LP7450

「こら、万丈目！何やってんのよ！」
舞のヤジが飛ぶ。
「うるさい！少し油断しただけだ！」
「…大丈夫だ万丈目。俺がひっくり返してみせる」
「…。すまん。デュエル前に言っておいてこのザマだ」
「気にすんな。俺のターン、ドロー。俺は『聖刻龍-トフェニドラゴン』を特殊召喚！」
(ヒャッハー！…待てよ？相手はまだ召喚権を残している。まだ『神の警告』は使うべきではないな)
「更に魔法カード『巨竜の羽ばたき』を発動！」
「!？」
「これでトフェニを戻し、全ての魔法･罠を破壊する！」
「ぶ、ぶひひ。いいのか？てめえの相棒のカードも破壊しちまうなんて…」
「問題ない。俺が伏せていたのは『おジャマジック』！このカードが墓地へ送られた時、デッキからおジャマ三兄弟を手札に加える！」
「な、何!？」
「さぁいくぞ。俺はトフェニを再び特殊召喚。トフェニをリリースし、『邪帝ガイウス』をアドバンス召喚。効果で『風霊使いウィン』を除外！」
「ぶひー！ボクちゃんのウィンたんがぁ~!！」
「これにより『アームド･ドラゴンLv7』のコントロールが戻る。更にトフェニがリリースされたことでデッキから『ギャラクシー･サーペント』を特殊召喚。俺はレベル6『邪帝ガイウス』にレベル2『ギャラクシー･サーペント』をチューニング。シンクロ召喚！」


~舞サイド~
「えぇ。分かったわ」
アタシはユイに言われて女の子に駆け寄る。
「あなた、大丈夫？」
「はい。ありがとうございます。私、龍可って言います」
なんて礼儀正しい子なんでしょ。
「そう。アタシは孔雀舞。よろしくね龍可ちゃん」
あいさつもそこそこに、アタシと龍可ちゃんはデュエルを見守ることにした。
「ところでさ。どうして龍可ちゃんは一人でこんな所にいるの？」
「………。私にも分からないんです。急に雷が落ちたと思ったら見たこともないこの街にいて、それであの人達に追いかけられて…」
「そう…」
アタシと同じだ。私もデュエル大会が終わった帰り、雨の中で雷に遭って、いつの間にか別の場所にいて、変な連中に追い回され今に至る。ユイの言葉を借りるならこの子も世界を越えたデュエリストなのだろうか？
「ヒャッハー！さぁお楽しみのバトルだ！」
「ぐあぁ！」
万丈目が直接攻撃を受けたようだ。
「こら、万丈目！何やってんのよ！」
「うるさい！少し油断しただけだ！」
「…ふふふ」
龍可ちゃんが笑った？
「どうしたの？龍可ちゃん」
「あ、すいません。とっても楽しそうだッたから、いい仲間だなぁって」
「いや、龍可ちゃん、いい？あいつらは別に仲間ってわけじゃなくって…協力者、そう！協力者なのよ！だからそんなに馴れ合いはないのよ」
「そう、なんですか…」
そう。事実、あいつらと会ってまだ半日も経ってない。今のところは協力者程度の関係だろう。
「俺はレベル6の『邪帝ガイウス』にレベル2『ギャラクシー･サーペント』をチューニング。シンクロ召喚！」
シンクロ召喚？聞き慣れない召喚方法だ。融合でも儀式でもない、全く知らないものだ。
「あのモンスターは！？」
龍可ちゃんはシンクロ召喚よりも出てきたモンスターの方に驚きを隠せない様子だった。