第178話　ドラゴン対決！可能性VS究極　作：ター坊

トーナメント戦は進んでいく。
「さて、続いてのデュエルは…！」
「海馬瀬人さんVS天上院吹雪さんです！」
司会を担当するレイと玲子が次のデュエルの対戦カードを発表した。
「兄さん…。気を付けて」
「ハハッ。大丈夫だよ明日香」
吹雪は明日香に微笑みながら前へと出た。



対戦する二人が相対する。
「こんな茶番に付き合うのは癪だが、この俺が全ての次元に於いて最強であるという事を証明してくれる！」
「…いいえ。たとえ茶番でも最強のデュエリストと戦えること、光栄に思えますよ。ひとつお手柔らかに」
吹雪はお調子者の印象が強いが、今回に限ってはかなり真面目な態度でデュエルに臨む。デュエルアカデミアの生徒からしてみれば、海馬は遊戯と同じくらい有名で数多くの武勇伝が残る憧れのデュエリストの一人だ。そんな憧れのデュエリストと生でデュエル出来るとはまさに夢と言ったところであろう。
「「デュエル！！」」
そして吹雪にとっては夢の、海馬にとっては最強を証明する第一歩のデュエルが始まった。
「僕の先攻。僕は『伝説の黒石』を召喚！そして『伝説の黒石』を生け贄に捧げデッキから『真紅眼の黒竜』を特殊召喚します！来い、レッドアイズ！！」
赤く光る黒石が割れると中から生まれたように紅き眼の黒竜が咆哮と共に降臨する。
「さらに魔法カード『黒炎弾』を発動し、場の『真紅眼の黒竜』の攻撃力分のダメージを受けて貰います！行け、レッドアイズ！！」
「くっ！小賢しい真似を…！」

海馬:LP 8000→5600

観客も１ターン目からの吹雪の攻撃に盛り上がる。
「さっすが吹雪さんだ！！」
「おっしゃあ！いいぞレッドアイズ！海馬なんかぶっ飛ばせ！！」
「ったく。アレはアンタのレッドアイズじゃないでしょ？」

「僕はカードを２枚伏せてターンエンド」
第１ターンは吹雪が海馬に大ダメージの先制を与える形で終わった。
「俺のターン！」
海馬はカードを力強くドローする。
「俺は魔法カード発動！『ドラゴン・目覚めの旋律』！！手札１枚をコストにデッキから攻撃力３０００以上・守備力２５００以下のドラゴン族モンスター２枚を手札に加える事が出来る！」
「攻撃力３０００以上、守備力２５００以下…まさか！」
「我が手中に来い、『青眼の白龍』！！さらに『ロード・オブ・ドラゴン-ドラゴンの支配者-』を召喚し魔法カード『ドラゴンを呼ぶ笛』を発動！これにより、手札のブルーアイズを２体特殊召喚する！」
「来るか…！」
吹雪は固唾を飲む。ロード・オブ・ドラゴンが笛を吹き鳴らすと咆哮と共に２体のブルーアイズが並び立つ。

「勝負は見えたな…」
「本物のブルーアイズ…。兄さんには悪いけど荘厳ね」
「綺麗…」

「行くぞ！俺は第一のブルーアイズでレッドアイズを攻撃！滅びのバーストストリーム！！」

青眼の白龍 ATK 3000 VS 真紅眼の黒竜 ATK 2400

「くぅっ！」

吹雪:LP 8000→7400

「まだ続くぞ！ロード・オブ・ドラゴン、第二のブルーアイズでダイレクトアタァァック！」

ロード・オブ・ドラゴン-ドラゴンの支配者- ATK 1200 + 青眼の白龍 ATK 3000　直接攻撃

「ううぅっ！！」

吹雪:LP 7400→3200

「フゥン。俺はカードを１枚セットしてターンエn」
「おっと…すいません。エンドフェイズ時に僕は罠カード『レッドアイズ・スピリッツ』を発動。これで僕はさっき倒されたレッドアイズを墓地から特殊召喚します！舞い戻れ、レッドアイズ！！」
不屈の闘志をみなぎらせながら紅き眼の黒竜は復活を果たした。
「悪あがきを…まぁ良い。改めてターンエンドだ」
こうして海馬の返しのターンはブルーアイズの猛攻撃によって吹雪のＬＰを半分以上奪う形となった。


「それにしても吹雪お兄ちゃんはどうしてバトルフェイズが終わったあとに復活させたのかな？」
アユの素朴な疑問であるが、何人かのデュエリストも同じ疑問を抱いていた。
「確かにそうだよね…」
「間違えたってことは…」
「ヌッフッフッ。それはナノーネ…」
クロノス先生が解説しようとした時だった。
「それはね」
「あっ。十六夜名人！」
どこから持ってきたのか、眼鏡を掛けたアキが首を傾げるアユ・レイ・遊馬に解説を始める。
「次のターンで吹雪さんが反撃に出るためよ」
「え！？反撃？」
「そ、そうナn」
クロノス先生が割り込もうとするが
「確かに先程の攻防、バトルフェイズ中に『真紅眼の黒竜』を復活させていればダメージは最小限に抑えられましたわね」
「だがそうしなかったのは反撃に出る際、レッドアイズの力も必要だからだ。そこでブルーアイズに倒されるのを避ける為に敢えて多くのダメージを受ける…鉄の意志と鋼の強さを感じるぞ…！」
「マンマ・ミーア！！」
璃緒と黒咲も解説に加わり言いたい事を全部取られたクロノス先生は涙目になるしかなかった。


そんな解説の通り、吹雪は大きく動く。
「僕のターン、ドロー！魔法カード『真紅眼融合』を発動してデッキの『真紅眼の黒竜』と『真紅眼の凶星竜-メテオ・ドラゴン』を融合！レッドアイズは更なる進化を果たす！新たな可能性を示せ『流星竜-メテオ・ブラック・ドラゴン』！！」
ブルーアイズが神々しいと言うならば、こちらは猛々しいと言うべきであろう。レッドアイズは赤黒く燃える焔を纏う黒竜に昇華した。
「メテオ・ブラックが融合召喚に成功した事で効果発動！これにより僕はデッキから『真紅眼の闇竜』を墓地に送り、その攻撃力の半分…１２００ダメージを与えます！！ダークネス・メテオ・フレア！」
「ぐっ！おのれ…」

海馬:LP 5600→4400

「バトルだ！まずはレッドアイズでロード・オブ・ドラゴンを攻撃！ダークネス・メガ・フレア！」

真紅眼の黒竜 ATK 2400 VS ロード・オブ・ドラゴン-ドラゴンの支配者- ATK 1200

「くっ！」

海馬:LP 4400→3200

「そしてメテオ・ブラックで攻撃する際、僕は罠カード『鎖付き真紅眼牙』をメテオ・ブラックに装備！メテオ・ブラックは２回攻撃が可能になる！行け、メテオレイン・フレア！！ブルーアイズ達を蹴散らせ！」

流星竜-メテオ・ブラック・ドラゴン ATK 3500 VS 青眼の白龍×２ ATK 3000

海馬:LP 3200→2200

「海馬のブルーアイズが全滅…。吹雪さん…やるな…！」
「このまま押し切れるかもね」
「ええ…。ですが、あの海馬様です。このままやられるとはとても…」

「僕はカードを１枚セットしてターンエンドです」
まさに一進一退の攻防。白と黒の竜の対決は絵的にも美しく、観る者のテンションは否応なしに上がっていく。
「俺のターン、ドロー！…フハハハハッ！所詮百獣の王たる俺に勝とうなど、夢のまた夢であると言う現実を教えてくれる！！俺は魔法カード『龍の鏡』を発動！これによって墓地のブルーアイズ３体を除外！」
「３体…！？僕が倒したブルーアイズはさっきの２体…はっ！」
この時、吹雪は思い出した。第三の『青眼の白龍』が何処にいたのかを。
「最初の海馬さんのターン…『ドラゴン・目覚めの旋律』のコストの時に…もう既に墓地に送っていたのか…！」
「いでよ！史上最強にして華麗なる殺戮兵器（モンスター）、『青眼の究極竜』！！」
海馬のデュエルディスクの墓地から３体のブルーアイズが混じり合い、１体の巨大な竜へと姿を変えた。
「そしてこのデュエルに引導を渡してくれる。魔法カード『アルティメット・バースト』を発動！これにより、『青眼の究極竜』はこのターン３回攻撃が可能になり、その攻撃時にはあらゆるカードで阻むことはできない！」
「妨害できない…！なら、僕は永続罠『真紅眼の鎧旋』を発動！僕の場にレッドアイズが存在する時、墓地から通常モンスターを特殊召喚できる！これで僕は墓地で通常モンスター扱いになっている『真紅眼の凶星竜-メテオ・ドラゴン』を守備表示で特殊召喚！」

「うまい！」
「あれならギリギリだがＬＰは１００残る」

しかし海馬がそれを逃す筈が無かった。
「甘い！永続罠発動！『竜の逆鱗』！！これで貴様に貫通ダメージを与えて終わりにしてくれる！行け、ハイパー・アルティメット・バァァストストリィィム！！！」

青眼の究極竜 ATK 4500 ×３(貫通付加) VS 流星竜-メテオ・ブラック・ドラゴン ATK 3500 + 真紅眼の黒竜 ATK 2400 + 真紅眼の凶星竜-メテオ・ドラゴン DEF 2000

「うわあぁっ！！」

吹雪:LP 3200→0

「強靭！無敵！！最強ォ！！！粉砕！玉砕！！大喝采ィ！！！勝利こそが俺の闘いのロード、それが重なり未来となるのだ！フハハハハッ！！」