第39話 約束を果たすとき　作：ター坊

最強リーダー決定戦

クロウの一言から始まってしまった大会である。俺はリーダーの器ではないと言って辞退しようとしたが小鳥とアユの推薦に押し切られ、まだ手に入れたばかりのデッキのため、調整という名目で参加することを渋々了承した。当の本人たちは実力不足ということで辞退し、アキと龍可は最初から興味がなく参加しなかった。よって参加者は俺を含めて8人のみで行われることとなった。大会はトーナメント制で対戦の組み合わせは次の通りだ。

第1デュエル　Aブロック　ユイVS舞
第2デュエル　Aブロック　ゴーシュVSクロノス
第3デュエル　Bブロック　クロウVS権現坂
第4デュエル　Bブロック　城之内VS万丈目

「では~、最強リーダー決定戦！」
「はっじまるよー！」
小鳥とアユの元気な掛け声で大会の火蓋は切って落とされた。


「フフフ、ユイ。まさかあの時の約束、こんな形で果たせるなんてね」
「そうだな。あの時の勝負、ここで着ける！」
「デュエル！」

先攻:舞

「アタシのターン。『ハーピィ･レディ 1』を召喚！カードを1枚伏せてターン終了よ」
「俺のターン、ドロー。魔法カード『増援』でデッキから『赤薔薇の救世者 ラブリ』を加える。そしてPゾーンにラブリをセッティング。さらに俺は『奏笛の救世者 アルル』を召喚する」

「変ね」
「あ、十六夜名人！」
「どういうことなの？」
「アルルは墓地のモンスターを蘇生させるカード…。どうしてこの状態で？」
参加しない組は司会や解説役にまわっている。

「俺はアルルの効果発動時、ラブリの効果で800LP支払い、裏の効果を適用させる！これで手札から『救世者』をもう１体召喚する。俺は『勇気の救世者 シグナム』を召喚！」
純白のマントを羽織る青年の剣士が現れる。
「シグナムの効果！コイントスを行う」

ﾁﾘｰﾝ…裏！

「シグナムの効果で魔法･罠を1枚破壊する！」
シグナムの斬撃から放たれる衝撃波が伏せカードを切り裂く！
「『銀幕の鏡壁』が！」
「バトル！」

勇気の救世者 シグナム ATK 1800 VS ハーピィ･レディ 1 ATK 1600

「さらに追撃！」

奏笛の救世者 アルル ATK 700　直接攻撃

「きゃあ！」
「俺はカードを1枚伏せてターンエンド」

ユイ:LP 7200
舞:LP 7100

「アタシのターン、ドロー！フィールド魔法『ハーピィの狩場』発動！そして手札から『ハーピィ･チャネラー』を召喚し、狩場の効果で…」
「させるか！速攻魔法『救世の聖火』発動！アルルをリリースして『ハーピィの狩場』を破壊！さらに1ドロー！」
「フフフ。やっぱりラブリを守りに来たわね」
「何？」
「これで除去カードを警戒しなくていいわ！魔法カード『万華鏡-華麗なる分身』でデッキから『ハーピィ･レディ 三姉妹』を特殊召喚！さらに魔法カード『X-クィーン･ボンテージ』発動！三姉妹を『ハーピィ･シスターズ X-クィーン』に変化させる！」
「しまった！」

「どういうことでしょうか、十六夜名人？」
「ユイにとってラブリは『救世者』を安定して使うためには欠かせないカード…。舞さんはそれを読んでラブリを守らせるように仕向けて、安全に切り札を召喚できる状況を作ったのよ」
「X-クィーン…。私もあのモンスターに負けたのよ…」

「さぁ、行くわよ！」

ハーピィ･シスターズ X-クィーン ATK 3150 VS 勇気の救世者 シグナム ATK 1800

「さらにX-クィーンは攻撃力を1000下げて追撃よ！」

ハーピィ･シスターズ X-クィーン ATK 2150 +ハーピィ･チャネラー ATK 1400

「うわっ！」
「アタシはこれでターンエンドにしてあげる」

ユイ:LP 2300
舞:LP 7100

「俺のターン、ドロー！（来たか！）俺は『白薔薇の救世者 ピュアリー』をPゾーンにセッティング！」
「ペンデュラム召喚はさせないわよ？X-クィーンの効果で墓地の三姉妹を除外し、発動を無効にするわ」
「ちぃっ！」
「ペンデュラムカードのセッティングは魔法カードの発動として扱うのよね？」
「まだだ！俺はスケール10の『未来の救世者 スキュルート』をPゾーンにセッティング！」
「え！」
「どうした？」
「ふ、ふん！それも無効よ！」
「…掛かったな」
「え？」
「お前なら徹底的にペンデュラム召喚を潰してくると思った。俺は『礼弦の救世者 アリア』を召喚し、コイントス効果！ラブリのP効果で裏の効果を適用させ、デッキから『錬成の救世者 オリハルコン･クロック』を特殊召喚！」
ヴァイオリンを持つ少女の天使が音色を奏でると不思議な輝きを放つ置時計型の小さなロボットがポコンと現れた。
「オリハルコン･クロックは特殊召喚時、コイントスを行う」

ﾁｬﾘｰﾝ…表！

「オリハルコン･クロックの効果発動！このカードとアリアをリリースし、融合召喚を行う！」
「なんですって！？」

「そんな！」
「『救世者』は4つの召喚方法を同時に使えるデッキだというの…？」

「弦楽を奏でる天使よ、時を紡ぐ機械よ。今交わりて新たな救世者を降臨させよ！融合召喚！『剣聖の救世者 ボルガラッド』！」
輝く渦から現れたのは大剣を携える老練な戦士だった。
「ボルガラッドの効果発動！融合召喚に成功した場合、相手フィールド上の表側表示のモンスターを1体を墓地に送り、そのモンスターの攻撃力と守備力のどちらかを選択し、その数値の半分のダメージを与える！！」
ボルガラッドはその重厚そうな鎧からは想像できない俊敏さでハーピィたちに肉薄し、一瞬のうちに切り伏せた。その衝撃の余波が舞を襲う。
「さらに効果発動！サイコロを振り、その目だけデッキの一番上からカードをめくり、その中に存在する『救世者』モンスターの数だけこのターン通常攻撃に加え、追加攻撃できる！ダイスロール！」

コロコロコロ…4！

「よって4枚めくる！」

ﾍﾟﾗ…『エフェクト･ヴェーラー』、ﾍﾟﾗ…『金管の救世者 シエラ』、ﾍﾟﾗ…『奈落の落とし穴』、ﾍﾟﾗ…『輝翼の救世者 プラチナ･フェザー』

「さ、3回連続攻撃！？」
「さらに手札から魔法カード『無限の可能性（アンリミテッド･フューチャー）』発動！これで俺はフィールド･墓地のカードから2枚を選択してそれでできるモンスターを特殊召喚する！俺は墓地の『奏笛の救世者 アルル』と『錬成の救世者 オリハルコン･クロック』を選択し、この2体でオーバーレイ！エクシーズ召喚！『闘魂の救世者 ダイブレード』！バトルだ！」

剣聖の救世者 ボルガラッド ATK 2800 VS ハーピィ･チャネラー ATK 1400

「さらに追加攻撃だ！」

剣聖の救世者 ボルガラッド ATK2800×2(ただし戦闘ダメージ半分) + 闘魂の救世者 ダイブレード ATK 2600　直接攻撃

「きゃあぁあ！」


大会１回戦は俺が勝った。
「…やるわね、ユイ…」
「舞だって。それにただ今回は…」
「運が良かった？」
「…」
「でも昔から言うでしょ？運も実力の内って。アンタの実力がカードの流れを掴んだのよ」
「…そうだな。お前に勝てて自信が付いた」
「ならよし！でも次は負かせてみせるわよ？アタシはこの負けで強くなるからね」
「あぁ！楽しみにしてる」

「ユイさん、舞さん！お疲れさまでした！」
「それでは、だい2デュエルを…」
次のデュエルまでまだあるしな、トイレ行ってこよ。