第104話　救いたい仲間　作：ター坊

先攻:美羽

「私のターン。魔法カード『幻想開演』を発動！デッキの上から4枚をめくる」

ﾍﾟﾗ『幻想麗団-チェーンソー･ヴァンパイア』『幻想麗団-ジェイド･ワイバーン』『秘術演目-ファイヤーリング』『幻想麗団-アシスタント･バニー』

「私は3枚の幻想麗団をエクストラデッキに送る。そして『幻想麗団-エムシー･サキュバス』を召喚。カードを3枚伏せてターンエンド」
「私のターン、ドロー。『夜薔薇の騎士』を召喚。効果で手札から『ローンファイア･ブロッサム』を特殊召喚」
「いけない！速攻魔法『秘術演目-チェンジ』を発動！これでエムシー･サキュバスをエクストラデッキに送って、ジェイド･ワイバーンを特殊召喚！ジェイド･ワイバーンの効果で『ローン･ファイア･ブロッサム』を手札に戻す！」
「…フフ。まだ甘いわね」
「え？アキ…？」
「私は手札から『ローンファイア･ブロッサム』を捨て、『薔薇の呪術師(ローズ･シャーマン)』を特殊召喚」
「そんな…レベル3と4が……揃っちゃった…」
「レベル4の『薔薇の呪術師』にレベル3『夜薔薇の騎士』をチューニング。冷たい炎が世界の全てを包み込む。漆黒の花よ、開け！シンクロ召喚！現れよ、『ブラック･ローズ･ドラゴン』！」
「アキのエースモンスター…！」
「『ブラック･ローズ･ドラゴン』はシンクロ召喚に成功した時、フィールド上のモンスター全てを破壊する！ブラック･ローズ･ガイル！！この時手札から『薔薇の守護兵(ローズ･ガードナー)』の効果で『ブラック･ローズ･ドラゴン』の破壊は免れる！」
薔薇の花びらが舞う烈風が場を包む。
「これで貴方の場は……何！？何故だ！何故まだモンスターが！」
「私は『薔薇の守護兵』にチェーンしてこのカードを発動したんだよ。罠カード『秘術演目-カレイドスコープ･シンクロ』。これでエクストラデッキに存在する2体の幻想麗団を効果を無効にして特殊召喚し、その2体でシンクロ召喚したの。そして私はアシスタント･バニーとチェーンソー･ヴァンパイアでレベル6『幻想麗団-ドールマスター･レミィ』を出したの。このモンスターはモンスターの効果を一切受けない！」
「へぇ~。やるわね、美羽…」
「アキを取り戻すまで、簡単には負けない！負けたくないの！」
「でもそんなモンスターじゃ壁にもならないわよ？『ブラック･ローズ･ドラゴン』でレミィを攻撃！ブラック･ローズ･フレア！」
「攻撃対象となった時、レミィの効果を発動！人形トークン(機械族･地･星1･攻/守100)を2体特殊召喚し、攻撃を逸らす！」
人形達が主人であるレミィを守るように立ち塞がる。

ブラック･ローズ･ドラゴン ATK 2400 VS 人形トークン DEF 100

「簡単に終わってはつまらないものね。苦しむ顔を見せて…。私はカードを1枚伏せてターンエンドよ」
「私のターン、ドロー！レミィの効果発動！エクストラデッキに存在するチェーンソー･ヴァンパイアをデッキに戻して相手のモンスター1体のコントロールを得る！」
「墓地の『薔薇の守護兵』の効果発動。これでこのターン、『ブラック･ローズ･ドラゴン』はカードの効果を受けない！」
「…。私はカードを1枚伏せてターンエンド…」
「私のターン、ドロー。墓地の『薔薇の呪術師』の効果発動。このカードを除外して墓地の『ローンファイア･ブロッサム』を特殊召喚。さらに『ローンファイア･ブロッサム』をリリースすることでデッキから『ギガプラント』を特殊召喚。再度召喚して効果モンスターとして扱う。『ギガプラント』の効果で『ローンファイア･ブロッサム』を蘇生。再びリリースしてデッキから『凛天使クイーン･オブ･ローズ』を特殊召喚」
「モンスターが一気に…けどレミィの効果で突破は出来ないはず…」
「それはどうかしらね？リバースカードオープン、『黒薔薇の束縛』。この効果でレミィの効果を無効にするわ」
「そんな！」
伸びた茨の蔓がレミィを絡めとる。
「さぁバトルよ。まずは『凛天使クイーン･オブ･ローズ』で攻撃！」
「墓地の『秘術演目-フラワーシャワー』の効果発動。クイーン･オブ･ローズを守備表示にして、ジェイド･ワイバーンを特殊召喚！ジェイド･ワイバーンの効果で『ギガプラント』を手札に戻させる！」
「けどバトルはまだ続くわ。『ブラック･ローズ･ドラゴン』で攻撃！ブラック･･ローズ･フレア！」

ブラック･ローズ･ドラゴン ATK 2400 VS 幻想麗団-ドールマスター･レミィ DEF 2200

「きゃっ！」
「私は魔法カード『マジック･プランター』を発動。対象がいなくなった『黒薔薇の束縛』を発動墓地に送り、2枚ドロー。カードを2枚伏せてターンエンド」
「私のターン…ドロー！」

『幻想麗団-フレイム･キマイラ』

…エクストラデッキにいれば頼もしいけど今は特殊召喚する手がない。まだライフは無傷…後のペンデュラム召喚を狙うために取っておこう。
「私はこのままターンエンド…」
「もう諦めちゃったのかしら？私のターン、ドロー。スタンバイフェイズ時、クイーン･オブ･ローズの効果で攻撃力が最も低い人形トークンを破壊するわ。クイーン･オブ･ローズをリリースして『ローズ･テンタクル』をアドバンス召喚！さらに永続罠『アイヴィ･シャックル』を発動して私のターンの間だけ植物族として扱う。そして『ブラック･ローズ･ドラゴン』の効果発動。墓地のクイーン･オブ･ローズを除外してジェイド･ワイバーンを攻撃表示にして攻撃力を0にする。ローズ･リストリクション！」
「しまった…！」
「さあ。美羽…貴女の苦しむ顔を見せてちょうだい。まずは『ローズ･テンタクル』で攻撃！相手フィールド上の植物族モンスターの数だけ攻撃できるわ。ソーン･ウィップ･ワン！」

ローズ･テンタクル ATK 2200 VS 幻想麗団-ジェイド･ワイバーン ATK 0

「っ！」
なんだろう…。ホントに痛い…。
「まだ行くわよ。ソーン･ウィップ･ツー！！」

ローズ･テンタクル ATK 2200　直接攻撃

「あああぁぁ！」
打ち下ろされる蔦の一撃が私を捉える。ホントに叩かれたように痛い…。
「さらに効果で300ダメージを与える。行け！『ブラック･ローズ･ドラゴン』！」

ブラック･ローズ･ドラゴン ATK 2400　直接攻撃

「きゃああぁぁああぁぁ！」
ブラック･ローズの尾の一撃で私は吹っ飛ばされる。痛さのあまり、目が霞んでくる。
「痛っ！」
飛ばされた拍子に周りの蔓の棘が腕を掠れ、擦り傷を作ったようだ。
「はぁ…。這いつくばった姿…。もっと痛みを、苦しみを与えてあげるわ。私はこれでターンエンド」

美羽:LP 1100
アキ:LP 8000

お願い…ペンデュラム召喚できるスケールのカード…来て！
「私のターン、ドロー！」

『幻想麗団-チェーンソー･ヴァンパイア』

これでペンデュラム召喚できる！シンクロ召喚出来ればまだ…
「罠カードオープン『シンクロ･ジャマー･ハウリング』。このカードを発動した時に、私のフィールドに存在するシンクロモンスターのレベル以下のシンクロモンスターはこのターン特殊召喚出来なくなる」
「そんな…！」
アキの『ブラック･ローズ･ドラゴン』のレベルは7…。私の幻想麗団は最大のレベルでも同じレベル7のジル･ザ･リッパー…。つまりこのターンのシンクロは出来ない…。かと言ってペンデュラム召喚をしてもジェイド･ワイバーンで除去出来るのは1体だけ…。『ローズ･テンタクル』を残せば全体攻撃で負ける。『ブラック･ローズ･ドラゴン』を残してもアキの墓地にはまだ『ローンファイア･ブロッサム』がいるから効果で負けてしまう。私は…仲間を、初めて私を認めてくれた人を救えないまま、負けちゃうのかな……。
「焦燥、不安、苦悶、絶望…私はそんな顔を見たかったのよ！」
不適で冷たい笑みを浮かべるアキ…。もう一度…アキの本当の笑顔、見たかったな…。