44 その名はマイティ！脅威の罠コンボ！　作：ギガプラント

（ジェネシック・スタジアム選手控え室）


控え室に帰ってくるロバート。


ロバート「うぃ～お疲れさん…ってまだそっちは戦ってねえか。」


夏武斗「ロバート！やったじゃんか！格好良かったぜ！」


ロバート「おいおいまだ一勝だぜ？労いは嬉しいがよ。お前の方の準備は大丈夫か？」


夏武斗「勿論！もういつだってデュエル始められらぁ！」


天音「相変わらず張り切ってますねぇ夏武斗君…。ロバートさんおめでとうございます。」


ロバート「あいよどーも。…お？仁も見てやがったか。」


仁「…」


ロバート「あーお前もあれか？憧れのプロを久々に見られたと思ったらそれが偽物でがっくしって玉だろ。」


仁「…一緒にするな。そもそも俺は奴の顔すら覚えていない。」


ロバート「おいおいそりゃねーだろうよ。昔はよく俺と一緒に盛り上がってたろうに。」


仁「お前が一人で盛り上がるところに無理矢理つき合わされただけだ。」


ロバート「またまたそんなこと言っちゃって～。ホントは好きだったんだろ～？」


仁「…はぁ、お前と話すと無駄に疲れる。」


夏武斗「ほえ～…」


天音「あはは…幼馴染というだけあってやっぱり仲良しさんですね。」


仁「…誰が。」


ロバート「照れんな照れんなって。」



震えだす夏武斗のdPhone



夏武斗「お！？よっしゃ来たあああ！！試合の通知だぜ！！」


夏武斗「よっしゃあ！！俺入ってんじゃんか！！」


ロバート「早速来たか。こいつぁ見てやんねえとな。」


天音「夏武斗君。ファイトです！」


夏武斗「おう！こいつに誓って勝ってくるぜ！」

バングルを見せつける夏武斗。


天音「ふふ……」


ロバート「仁と姉ちゃんは…まだみてえだな。おいちっこいの、３人で見ててやっから醜態さらすんじゃねーぞ。」


夏武斗「誰がちっこいのだ！俺は楠夏武斗だ！」


ロバート「あれま怒られちまったｗま、その元気がありゃ大丈夫だろ。」


天音「夏武斗君、どちらのフィールドですか？」


夏武斗「えーっと…ロバートのとこと一緒みたいだな。」


天音「分かりました。それじゃ、頑張ってください！」


夏武斗「おう！いってっきま～す！」


控え室を後にする夏武斗。




ロバート「元気元気。元気なことは良き事かな…と。案外あの調子でサクッと終わらせてくるかもな。」


仁「…それはどうだろうな。」


天音「仁君？」


モニターから目を逸らさない仁。
それにつられて二人もモニターを見やる。




ロバート「……おいおい、マジかよ。」



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夏武斗「うっわぁ…！やっぱり凄い数の人だなぁ！」


細身の男「あ、どーもこんにちは～。」


夏武斗「お！もしかしなくても俺の相手か！？俺は楠夏武斗！宜しくな！」


細身の男「あ、僕はマイティと申します。こちらこそ～。」


マイティ（…いやはや、こんなに早くぶつかるのはちょっと予定外でしたね。）


マイティ（でも、まぁ…）


マイティ「実はですね。僕、楠さんの予選でのデュエル少しですけど見させてもらったんですよ～。」


夏武斗「えっホントか！？」


マイティ「あ、驚きました？驚きました？？いやぁ凄かったなぁ。まさに嵐を呼ぶ男、とでも言うんでしょうかねぇ。」


夏武斗「全然気が付かなかったぜ。お前すげえ背高えし、一度見たら忘れなさそうなんだけどなぁ。」


マイティ「あっはは～よく言われます。でも楠さんあの時はデュエルのクライマックスでしたから。周りに目が向かないのも無理ないですよ。」


夏武斗「あー俺もデュエル中に周りが見えなくなるってよく言われるわｗ」


マイティ「あははは～！」

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天音「予選全てをノーダメージ勝利って…本当ですか？」


ロバート「あぁ残念ながらな。まぁそれで相手が皆大したことない連中だったってんなら納得も出来るんだが…」


仁「…初戦の相手は元プロデュエリスト。」


ロバート「あぁ。…こっちは間違いなく本物だ。なんせ俺が以前から目をつけてた奴だったからな。」


仁「………」


天音「…成程。」

会話する夏武斗達をモニター越しに見やる。


ロバート「…知らぬが仏ってか？楽しそうに喋りやがって。」


天音「それを知っていたとしても、夏武斗君ならあの調子だったと思いますよ？」


仁「…あの万年能天気のことだ。」


ロバート「あれまぁ…心配するだけ無駄か。」


ロバート（けどま…本当に勝てたりするんだったらこんな面白え事は無えなぁ。）


ロバート（さぁ見せてくれよぉちっこいの…。）


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（ジェネシック・スタジアム客席）


初「光輝兄…やっぱり凄いなぁ。」


竜太「本戦でも関係なしか。圧勝だったな。」


初「うん…！」


初「あっ！あれ夏武斗兄ちゃんだ！」


竜太「…次の組だったのか。」


初「か、夏武斗兄ちゃん頑張ってぇ！」


竜太「いやこっからじゃ聞こえねえし…ってか聞こえねえのになんで声裏返るんだよ…。」


初「…うぅ、やっぱりこういうの苦手で。」


竜太「ったくお前は…。」


竜太（普段こんなんなのにデュエルの腕は俺とどっこいどっこいなんだもんな…。）


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マイティ「おっと…つい話し込んじゃいましたね。それじゃそろそろ…」


夏武斗「おう！全力で行くぜ！」


マイティ（まぁ今回の目的は別にあるんですが…）


マイティ（…実は僕も結構負けず嫌いなんですよねぇ。）


マイティ「ではでは～行かせてもらいます。」






dPhoneモードチェンジ！Ｄパッドモード！



ターゲットロックＯＫ！



ビジョンリンクＯＫ！



ファーストディールＯＫ！



デュエル！！






マイティ「それでは先攻頂きます。僕のターン。」


茶ノ畑「さぁ始まって参りました！先攻はマイティ！これからどんなデュエルを見せてくれるのか！？」


マイティ「えーっと…僕はカードを５枚セット。ターンエンドです。」


夏武斗「５枚ィ！？？」


茶ノ畑「なんと！先攻マイティモンスターを出さない！しかし代わりに手札を全てセットした！…これは手札事故という奴なのでしょうか。」


マイティ「１枚くらい来てくれると助かるんですけどねぇ。まぁ引けなかったものはしかたないです。」


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初「…モンスターはいないけど。」


竜太「ありゃなんかありますって言ってるようなもんだな。」

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夏武斗「俺のターン！ドロー！」


夏武斗「いきなり伏せカードが５枚…だけどそんなんで怯む俺じゃないぜ！」


夏武斗「俺はチューナーモンスター『ブルズアイ・フェアリー』を召喚！」星３・ＡＴＫ１０００


夏武斗「ブルズアイ・フェアリーのモンスター効果発動！手札から昆虫族モンスターを墓地へ送り、１枚ドロー！」

タッグ・スタッグビートルを墓地へと送る。


夏武斗「よっしゃツイてる！俺はドローした『ハイスピード・センチピード』の効果発動！」


夏武斗「このカードをドローした時、このカードを特殊召喚できる！」星２・ＤＥＦ５００


夏武斗「俺はレベル２のハイスピード・センチピードにレベル３のブルズアイ・フェアリーをチューニング！」





鋼をも断ち切る一対の刃振りかざし！大地の果てまで突き進め！



シンクロ召喚！



来い！『突甲戦士 ギラファイター』！星５・ＡＴＫ２０００




マイティ「おおう…！いきなり来ましたねぇ！」


夏武斗「自身の効果で特殊召喚されたハイスピード・センチピードがシンクロ素材として墓地へ送られた時、デッキからカードを１枚ドローする！」


茶ノ畑「どうやら楠選手はシンクロ使いのようだぁ！運を味方につけた素晴らしいプレイングです！」


夏武斗「よし！このまま行くぜ！バトル！」


夏武斗「突甲戦士ギラファイターでダイレクトアタック！クラッシャーダイブ！！」


マイティ「永続罠！『ＳＧ（サプライズ・ギミック）－トリモチキャノン』を発動！」

丸みを帯びた砲台が設置され、ギラファイターに向けてトリモチの塊を発射する。


夏武斗「うっわぁ！！なんだぁ！！？」


マイティ「ははは！驚きました？驚きました？」


マイティ「このカードは１ターンに１度、相手モンスターの攻撃宣言時に『トリモチトークン』１体を特殊召喚します。」星１・ＤＥＦ０


マイティ「そしてその攻撃対象をトリモチトークンに強制的に移し替えちゃいます。」


夏武斗「攻撃対象を強制的に…！？」


トリモチの塊を二本の角で振り払うギラファイター。意外にもあっさりと剥がれたそれは破壊され消滅する。


茶ノ畑「ここでマイティの罠カード！トークン身代わりにして攻撃をかわしました！」


夏武斗「やっぱりそう簡単には通してくんないか…俺はカードを１枚伏せてターンエンドだ。」


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初「あれ？確かギラファイターって……」


竜太「ん？どうした？」


初「相手を戦闘で倒すとダメージを与える効果があったと思うんだけど…。」


竜太「…なんかと間違えてんじゃねーの？あのひょろ長兄ちゃんなんも喰らってないみたいだし。」


楯山「説明しようチビッ子達。」


初「うわ！？」
竜太「えっ！？」


楯山「トークンモンスターというのは少々特殊な性質を持っているのさ。」


楯山「トークンはカードの効果でしかフィールドに召喚されず、フィールドでしかその存在を成せない。」


楯山「モンスターが戦闘で破壊された場合、通常ならそのまま墓地へ送られる。だがフィールドにしか存在できないトークンはそのまま消滅してしまう。」


楯山「突甲戦士ギラファイターのモンスター効果は、戦闘で相手モンスターを破壊し、更に『墓地へ送られなければ発動しない』のさ。」


楯山「つまり性質上、どれだけトークンを戦闘破壊してもギラファイターは効果を発動できないということさ。」


初「へぇ…そういうことか。」


竜太「いやまぁそれは理解したが…いきなり出てきて何なんだよあんた。」


楯山「僕は楯山英雄。あいつ…楠夏武斗とは色々な意味でのライバルなのさ。」


初「そ、そうなんですか。」


楯山「予選の最終戦…奴とは最後までギリギリのデュエルをしたものだ…あんなに白熱したのは久しぶりだったよ。」





竜太「……でもここにいるって事は、あんた負けたんだな。」


楯山「っぐ！！」



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マイティ「僕のターンですね。ドロー！」


マイティ「おぉ！モンスター来てくれました。良かった良かった。」


マイティ「僕は『物陰のグレムリン』を召喚します。」星４・ＡＴＫ７００
チラチラと透明になり物陰に隠れてしまう小悪魔。


夏武斗「モンスターが来たか…！」


マイティ「物陰のグレムリンは、相手フィールドのモンスターの有無に関わらず、相手プレイヤーにダイレクトアタックができます！」


マイティ「という訳でバトルフェイズ！物陰のグレムリンでダイレクトアタックです。」


夏武斗「くっ…！」


マイティ「そしてこの瞬間モンスター効果発動。このカードが相手にダイレクトアタックする場合、このカードの攻撃力はそのダメージ計算時のみ、フィールド上の魔法罠カード１枚につき２００ポイントアップします！」


夏武斗「なっ！？今フィールドには…」


マイティ「僕が５枚、そちらにも１枚あるんで６枚ですねぇ。攻撃力は１２００ポイントアップです。」ＡＴＫ７００→１９００

カードの陰からそれぞれ別のグレムリンが現れ、思い思いに物を投げつけていく。


夏武斗「うわあああ！！」ＬＰ４０００→２１００


茶ノ畑「なななんとぉ！？なんとか引き当てたモンスターはダイレクトアタッカー！しかもその攻撃力を一気に上げ、１９００ものライフを奪いました！」


マイティ「はは…良い感じに決まりましたねぇ。ターンエンドです。」



夏武斗「まだまだ！俺のターン！ドロー！」


夏武斗（攻撃の１回はトリモチトークンに誘導されちまう…だけど！）


夏武斗「もう一体モンスターがいれば問題なしだ！俺は『エアリアル・ヤンマー』を召喚！」星４・ＡＴＫ１８００


夏武斗「バトル！エアリアル・ヤンマーで物陰のグレムリンを攻撃！」


マイティ「永続罠ＳＧ－トリモチキャノンの効果発動。トリモチトークンを特殊召喚し、攻撃を誘導させます！」星１・ＤＥＦ０

トリモチを振り払うエアリアル・ヤンマー。


夏武斗（よし！予想通り！）


夏武斗「だがそれも１回だけ！続けてギラファイターで攻撃！」


夏武斗「クラッシャーダーイブ！！」


グレムリンの方向へダッシュするギラファイター。しかし突如思い切り足を滑らせ転倒する。


夏武斗「！！？」



転倒後、いつの間にか地面に撒かれていたジェル状の液体によりギラファイターの身体が滑り出される。

地面を滑り続ける身体が特定の位置に達した途端地面の一部が割れ、そのまま深い穴の中へと吸い込まれていく。



夏武斗「ギラファイター！！？」


マイティ「あは！驚きました？驚きました？実は今、更に２枚の永続罠を発動させていたんですよ～」


夏武斗「何っ！？」


マイティ「先ずは『ＳＧ－スリップロード』。このカードはそのターン中２回目以降に攻撃宣言を行ったモンスターをその場で守備表示に変更してしまう効果があります。」


マイティ「そしてもう一枚、『ＳＧ－油断の落とし穴』。このカードが存在する限り、攻撃表示から守備表示に変更されたモンスターは破壊されちゃいます。」


茶ノ畑「なんというコンボ！相手モンスターを守備表示に変更するカードとそれに伴って破壊するカードを組み合わせ、攻撃を防ぎつつ見事にモンスターを破壊して見せましたあああ！！」


夏武斗「そんなカードを仕込んでたのか…！！」


夏武斗（これは…早く何とかしないとヤバい…！！）



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天音「１回目の攻撃をトークンに誘導して防ぎ、２回目以降の攻撃は２枚の罠コンボで防ぐ…」


仁「そして奴の場には魔法罠カードによって攻撃力を上げるダイレクトアタッカー…か。」


ロバート「あれまぁ…もしかしたらいきなり事故ってくれて助かった…とか思っちまったが、流石にそう甘くはなかったみてえだな。」


ロバート「なんせどれだけモンスターを出されても関係無ぇ…ダイレクトアタック可能なモンスター１体いりゃなんとかなる。」


天音「いきなり５枚セットしたのも…事故ではなかったんですね。」


仁「攻撃を防ぐことができれば無理にモンスターに固執する必要もない…恐らく奴のデッキには元々モンスターが少ないんだろう。」


ロバート「なんとも個性的なデッキだこと。まぁ、とりあえず言える事といったら………」


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夏武斗（この人…かなり強い…！！）





終










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（次回予告）


夏武斗「つるっと滑って…穴に落ちて…くぅ～なんて戦術だ！こんなの見た事ねえ！」


ロバート「早いとこなんとかしないと…パーフェクト負けだぜ？」


天音「攻撃が全く当たらないなんて…！」


仁「…相手もコンボを崩してくる事は想定済みだろう。そう簡単にはいかない筈だ。」


夏武斗「どんなコンボだって打ち破ってやるぜ！……うわああでっかいクラッカー！？今度は頭の上から水がぁ～！うっひょ～！！」


天音「次回！『無敵のサプライズ』」


ロバート「…おい、アイツ楽しんでねえか？」
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・「発動していた！」のパターンはアニメを初めとした創作ならではですよね。「いや、ルール違反じゃね？」とかいう突っ込みは聞こえないふりをします。