97 邪商魔神爆誕！絶望のトークン地獄！　作：ギガプラント

漆原「私は魔法カード『融合』を発動！」


漆原「フィールドの『邪商神 エビルスター』と『ダメージ・デプター』を素材に融合召喚を行う！！」


数多の欲望に染まりし魔神よ！更なる闇の力を飲み込み、真の力を現せ！



融合召喚！！



御出でなさい！『邪商魔神 エビル・ストレングス』！星１０・ＡＴＫ１０００




全身がどす黒い邪気に覆われ、殺意を剥き出しにしたエビルスター。


夏武斗「シンクロモンスターを素材に、更に上位の融合モンスターにしやがった…！」


仁「くっ…！」


漆原「エビル・ストレングスの攻撃力は、フィールド上のモンスター１体につき８００ポイントアップする！」ＡＴＫ１０００→４２００


夏武斗「一気に攻撃力４２００！？」


仁（融合態は攻撃的なモンスターなのか…！？）


仁「いや…コイツがただ攻撃力の高いモンスターを使うとは思えん……夏武斗！何かあるぞ…！」


漆原「エクセレント！流石は夜見原君！その通り、このモンスターが貴方方に与えるのは圧倒的な力！そして絶望！」


漆原「見せてあげましょう！！私の力！！魔法カード『マジック・プランター』発動！」


漆原「この効果により私は永続罠『王宮の飢餓』を墓地へ送り、２枚ドローする！」


仁「王宮の飢餓を捨てるだと！？」


仁（じわじわと効果ダメージで攻め立てるのが奴の戦術だった……だが。）


仁「本当に攻撃方針を変えたという事か…！」


漆原「ククｸｸクｸｸｸクククｸｸ！！この瞬間！邪商魔神エビル・ストレングスの効果発動！」


漆原「自分または相手がカードをドローした時！そのカードの数だけフィールド上にエビルトークン１体を守備表示で特殊召喚する！」星１・ＤＥＦ１００

人型をした影のようなモンスターが漆原のフィールドに２体現れる。


漆原「ご安心ください。エビルトークンは攻守たったの１００でリリースもシンクロ素材にもできない役立たずの雑魚モンスター……ですが！モンスターが増えた事でエビル・ストレングスの攻撃力は更にアップ！」ＡＴＫ４２００→５８００


夏武斗「っ！」


漆原「まだまだお楽しみはこれからです！私は更に魔法カード『暗黒界の取引』を発動！」


漆原「全てのプレイヤーはカードを１枚ドローし、その後１枚捨てる！」


夏武斗「全てのプレイヤーがドローするって事は…！」


仁「ﾁｯ…！」


仁（コイツ…２対１という不利な状況下で、多人数である事を利用した戦術をとってきたのか…！）


全員が１枚引き１枚捨てる。
それに反応し怒号を上げたエビル・ストレングスは、手にした杖を乱暴に振り回す。


漆原「エビル・ストレングスの効果！エビルトークンを３体特殊召喚！」


漆原「おっと…？これは困りましたねえ。私のフィールドには空きスペースがもう２つしか残っていません…。」


漆原「商品の発注数をミスするなんて商人にあるまじき失態…いやお恥ずかしい。」


夏武斗「な、なんだ…？」


漆原「ではこちらはサービスです！！これらはタダで貴方に差し上げましょう！！」


夏武斗「何っ！？」星１・ＤＥＦ１００


夏武斗のフィールドに３体のトークンが現れる。


夏武斗「俺のフィールドにトークンが召喚された！？」


漆原「はははは！幸運なお客様だ！！エビル・ストレングスの攻撃力は更に上昇する！」ＡＴＫ５８００→８２００


仁「攻撃力８２００…！」


漆原「さぁ残念ながら貴方はここまでです夜見原君。私はバトルギルドの効果により１０００ライフポイントを払い、邪商邪神エビル・ストレングスで豪気の魔妖兵を攻撃！！」ＬＰ４０００→３０００


漆原「アンダーマインド・ディザイア！！」


振り回した杖の先から禍々しい光線が放たれる。


夏武斗「仁！！？」


仁「永続罠『アンチシェイクフィールド』の更なる効果発動！」


仁「自分が１０００ポイント以上のダメージを受ける時、発動中のこのカードを墓地へ送る事で、そのダメージを半分にする！」


仁「っああああ！！」ＬＰ３８００→７００　　エビルＡＴＫ８２００→７４００


夏武斗「大丈夫か！仁！」


弾き飛ばされるも直ぐに立ち上がる。


仁「…見ての通りだ。まだライフは残っている。」


仁「俺は罠カード『フォロウィング・コール』を発動。」


仁「自分のモンスターが戦闘破壊された時、そのモンスターと同じ種族・属性でレベル４以下のモンスター１体をデッキから表側守備表示で特殊召喚する！」


仁「俺は闇属性・悪魔族のレベル４モンスター『忠誠の魔妖兵』を特殊召喚。」星４・ＤＥＦ１２００


漆原「ほう、ですがモンスターが増えた事によりエビル・ストレングスの攻撃力は戻ります。」エビルＡＴＫ７４００→８２００


漆原「そしてバトルギルドの効果、相手を戦闘で破壊し墓地へ送った為私はライフを１０００回復します。」ＬＰ３０００→４０００


漆原「エクセレント！よく耐えました！いやはややはり貴方は素晴らしいデュエリストだ。」


漆原「私はこれでターンエンド。」


仁「…相変わらず不快な賞賛だな。」


夏武斗「さっきから余裕ぶっこきやがって！見てろよ悪徳店長野郎！」


夏武斗「仁！こっからだ！一気に巻き返すぞ！タコ殴りにしてやらぁ！」


夏武斗（滅茶苦茶強力なモンスターだけど、こっからは２ターン連続でこっちが動ける…！）


漆原「巻き返す…ねぇ。」


漆原「その希望に満ちた瞳、とても美しいですが…。」



漆原「生き残った事に気を取られて、大事な事を見落としていなければ良いのですが…ね。」



仁「………。」


仁（確かにあのエビル・ストレングスがいる以上、現状奴が有利な事は間違いないが…。）


仁（それにしてもなんだ…あの薄気味悪い余裕は。）


夏武斗「仁！あんな言葉気にすんな！」




仁「俺のターン、ドロー。」




漆原「この瞬間、邪商魔神エビル・ストレングスの効果発動！」


仁「……！」


漆原「カードがドローされた事により、エビルトークン１体を私のフィールドに特殊召喚する！！」

漆原「うーむ賑やかなのは良いのですが所詮は何もできない木偶人形のようなモンスター…こんなに居ても困りますねぇ。」星１・ＤＥＦ１００



仁「……木偶人形。」













仁「…そういう、ことか。」


漆原「…ｸｯｸｯｸ、漸く状況が飲み込めましたか。」


仁（ｸｿｯ…今になって気づくとは、間抜けさに腹が立つな。）


夏武斗「……仁？」




漆原「モンスターが増えた事によりエビル・ストレングスの攻撃力アップ！」ＡＴＫ８２００→９０００


夏武斗「あ～もう！こんなトークン要らないってのに！！」


夏武斗「こんなにワラワラ出てこられたら他のモンスターが…………ってまさか！」





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漆原「ご安心ください。エビルトークンは攻守１００でリリースもシンクロ素材にもできない役立たずの雑魚モンスター……」


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夏武斗（リリースできなくてシンクロ素材にもできない……。）


夏武斗「このトークン……エビル・ストレングスの攻撃力を上げる為だけじゃなくて、俺達の邪魔をする為に出したのか！？」


漆原「ふふ……善意ですよ善意。貴方方に敬意を表してお送りしたのです。邪魔などととんでもない。」


夏武斗（ヤバい……モンスターゾーンが埋まっちまってる。これじゃあ俺のターンになってもチューナーが出せない。）


夏武斗（チューナーが出せなきゃシンクロ召喚も…。）



漆原「おやおや気に入りませんか…これは失礼。でしたら破壊して頂いても構いませんよ？」


漆原「そちらはタッグとはいえ味方への攻撃は有りですからね。ふふふふ……！」



夏武斗（戦闘で破壊してもらう……って、あっ！！）



仁「…俺のライフは残り７００。バトルギルドの効果により攻撃に１０００ポイントのライフコストがある以上、俺は攻撃ができない。」


夏武斗「そんな…！」


漆原「おっや！これは失礼！君は攻撃資金も払えない貧乏人でしたね！駄目ですよ？資金（ライフ）は大事にしないと。」


夏武斗「にゃっろう…！！」




仁（俺は実質攻撃を封じられ、夏武斗もモンスターの展開を著しく制限されている状態…。）


仁（夏武斗の場にモンスターが２体いる事がせめてもの救いか。）




夏武斗（クソッ！仁が攻撃できないなら俺がなんとかするしかない！けどなんとかする為のモンスターが出せないなんて…。）


夏武斗（こうなったら、フィールドが空けられるようになるまで凌ぐしか…！）



漆原「因みに！バトルギルドのもう一つの効果をお忘れ無きように。」


漆原「ターン終了時、ターンプレイヤーがフィールド上に攻撃表示モンスターをコントロールしていなかった場合、１０００ポイントのダメージが発生しますので。」



夏武斗「そんなっ！？」


夏武斗（それじゃ結局ダメージを喰らっちまう…！）


夏武斗「守備表示で耐えようとすれば効果ダメージが襲ってくる……かといって攻撃表示でターンを渡せばあの馬鹿デカい火力の餌食だ…。」


夏武斗（タコ殴りどころか二人そろって大ピンチじゃんか…！）






仁「………」


仁（腐ってもあの漆原……抜け目は無いか…。）



仁「だが…甘く見るな！！」


仁（どの道このライフでは守り入る余力も無い…！）


仁「俺は忠誠の魔妖兵をリリースし『終末の魔妖兵』をアドバンス召喚！」星６・ＡＴＫ２４００
紅いスカーフにゴーグルを着けた騎士のモンスター


仁「終末の魔妖兵の効果！このカードが召喚に成功した時、デッキから闇属性モンスター１体を墓地へ送る。」


仁「俺は『誘いの魔妖兵』を墓地へ送る。」


仁「更にリリースした忠誠の魔妖兵の効果発動！このカードが闇属性モンスターをアドバンス召喚する為にリリースされた場合、墓地のこのカードを表側守備表示で特殊召喚する！」星４・ＤＥＦ１２００


仁「そしてこの効果で特殊召喚されたこのカードのレベルは、アドバンス召喚したモンスターと同じになる。」星４→６


仁「俺はレベル６の終末の魔妖兵と忠誠の魔妖兵でオーバーレイ！」



闇を総べる高貴なる覇者よ、その威光、数多の愚物に示せ！！



エクシーズ召喚！



現れよ！ランク６！『冥獄公爵 アシュタロード』！ランク６・ＡＴＫ２６００





仁「冥獄公爵アシュタロードの効果発動！！」


仁「オーバーレイユニットを１つ使う事で、自分フィールド上の闇属性エクシーズモンスターの数までフィールドのカードを破壊する！」


漆原「…破壊。」


夏武斗「よし！これなら！」


仁「俺のフィールドの闇属性エクシーズは１体。破壊するのは邪商魔神エビル・ストレングス！」


仁「消えろ！マジェスティ・バースト！！」


アシュタロードの掌から見えない闇の波動が放たれる。



漆原「っ！！」


エビル・ストレングスの身体が内側から爆散する。






仁「やったか！？」









漆原「エクセレント」


漆原「圧倒的火力のモンスターは効果によって除去する。実に効率的です。」


漆原「ですが残念！！エビル・ストレングスは自身の代わりに自分フィールドのトークンを破壊できるのです！」ＡＴＫ９０００→８２００


仁「ﾁｯ……！」


夏武斗「そんな…！」


仁「俺は……カードを１枚伏せてターンエンド。」



漆原「いやはやしかしよく頑張りました…。ライフは風前の灯火、攻撃もできない、そしてフィールドが浸食されつつあるこの絶望的状況。」


漆原「その中で足掻き、もがき、せめて一撃報いようとする弱者のプライド。」


漆原「汚らしく醜くい…しかしだからこそ素晴らしい！！」


夏武斗「て、てめぇ…！」


漆原「そう！その顏！！手足をへし折られながらも強がり続けるその表情！いや素晴らしい！！」


漆原「カードを譲って頂く際に何人もの人がそんな顏をしていました！これぞ上に立つ者の特権！頂点だからこそ見据える事ができる世界！ﾋﾋｯ!」


夏武斗「まだ手も足も折れちゃいねえ！！勝手に勝った気になってんじゃねーよ！！」


仁「…ほんの少し軌道に乗った程度で、勝ちを確信するその浅はかさ。何も成長していないようだな。」


漆原「…なんだと？」


仁「…分からないか？貴様はセキュリティに捕まる前と何一つ変わっていないただの雑魚デュエリストと言っている。」




漆原「調子に乗るなよクソガキ！！！」



漆原「何もできず無様にターンを終えた弱者が偉そうに…。」


漆原「負け犬は潔く地面を這いずり回っていれば宜しい！」



漆原「さぁ次は貴方のターンですよ！！」


漆原「雑魚２匹と役立たずのトークンで精々足掻いてみなさい！！」


夏武斗「くっ…！」


漆原「できるのもならねえええええ！！！！アーヒャッヒャッヒャッヒャ！！！」


夏武斗（次のターンで……意地でもなんとかしてやる…！）


夏武斗（絶対に…！！）








夏武斗「いくぞ！！俺のターン！！！」




終









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（次回予告）


夏武斗「くそっ…！トークンが邪魔でモンスターが出せない…。」


仁「落ち着け、全てがトークンで埋まったわけじゃない。」


仁「考えろ、奴のトークンはどけられなくてもお前のモンスターならなんとかできる筈だ。」


夏武斗「そっか！よし…今に見てろよ泥棒野郎…！どんな馬鹿デカい融合モンスターだって……！！」


夏武斗「シンクロモンスターさえいれば俺のデッキに超えられないもんは何も無いんだああああ！！！」


夏武斗「次回！『最後の攻撃』」


漆原「嘘だ！！！！こんなモンスター如きに私のモンスターが！！
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・もう珍しくもないけど…１話で２ターンしか進んでない…。