15 ジュニアスペースのエクシーズ対決！　作：ギガプラント

（Ｍ.Ｃ.Ｃデュエルセンター）






スタッフ「そこのは全部１階の倉庫に運ぶぞぉ～」


仁「了解。」


スタッフ「あ、椅子を先に出しとかないとマズイか…やっぱり椅子を出してくれ！」


仁「早急に取り掛かる。」


スタッフ「お～い！そっちで手空いてるのが居たら何人か手伝って欲しいんだが！」


仁「こちらの作業が終わり次第合流する！５～６分程時間を…！」



伊世「あいつ…よぉく働くわねぇ。」


天音「はい…まさかここまでやってくれるとは思いませんでした。」


伊世「凄いの拾ってきたわねアンタ。…でもいくらなんでも働き過ぎじゃないあれ？もうちょっと肩の力抜けばいいのに。」


夏武斗「なんか、雇われの血が…とか言ってたぜ？一度引き受けた仕事はきっちりやんなきゃ気が済まないんだってさ。」


天音「し、仕事人なんですね…連れてきて正解だったみたいです。」


伊世「まぁ大会前の忙しい時期に有能なのが入ってくれて嬉しい限りね。ピンチの時のセブンスワンってとこかしら。」



涼蘭「そうねえ…彼、あなたの数倍は働いてるんじゃなくて？」


伊世「げ、涼…あんたいつからそこに…。」


涼蘭「だから社長と呼びなさい社長と…休憩もそろそろ終わりよ？あなたも速やかに持ち場に戻るように。」


伊世「へーい…。」

とぼとぼと歩いて行く伊世。



涼蘭「ごめんなさいね天音ちゃん。大会前なのに無理言っちゃって。」


天音「いえそんな…お世話になっている身ですし、お手伝いできる事があるならいつでも言ってください。」


涼蘭「ホントにありがとうね……伊世にも見習って欲しいものだわ。」


天音「あ、あはは…伊世さんやる時はしっかりやる人ですから…大丈夫ですよ。…多分。」


夏武斗「多分かよ…。」


涼蘭「…ホントに困ったものね。あ、そうそう天音ちゃん。今日はジュニアスペースの方を手伝って貰いたいの。」


天音「ジュニアスペース…ですか？」


涼蘭「うん。どうしても他に人を回さなきゃいけなくなっちゃってね…。」


天音「成程…分かりました。」



天音「では夏武斗君。私は行ってきますね。」


夏武斗「あぁ、頑張ってな。」


天音「はい。ありがとうございます。」

歩き出す天音と涼蘭。






涼蘭「…ところで天音ちゃん、子供は好きよね？」


天音「え？えぇまぁ…別段嫌いではないですが…」
涼蘭「そうよね好きよね！！天音ちゃんは子供好きなんだものね！！そうよねそうよねぇ、良いお姉さんだわあ！！」


天音「あ、あの…。」


涼蘭「今日も夏武斗君と一緒だったものね。子供好きの天音ちゃんなら大丈夫！ジュニアスペースでもやっていけるわ！」


天音「…流石にジュニアスペースに来る子供達と同列に並べるのは可哀想な気がするんですが。夏武斗君そこまで子供じゃ…。」


涼蘭「細かい事はいいじゃない！さ、行きましょ～。」


天音「は、はい…。」



涼蘭（そうそう考え過ぎよ！夏武斗君はまだ子供だもの！天音ちゃんに限ってそんな……うん！あるわけないわ！）






伊世「…な～んか変なスイッチ入ってるわねあれは。」


夏武斗「ん？伊世姉ちゃんまだ居たのか？」




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（Ｍ.Ｃ.Ｃデュエルセンター・ジュニアスペース）


デュエルに勤しむ子供たちで賑わっている。



天音（ジュニアスペース…こっちの方に来るのは初めてですね。）


涼蘭「奏（かなで）ちゃ～ん！」


お姉さん「あ、社長！」


涼蘭「ご苦労様。昨日話した天音ちゃん連れてきたから。宜しくね。」


お姉さん「え？もうですか？」


涼蘭「ごめんなさい。今しか時間が取れなくて、私はこれから直ぐに出てくるから……じゃ、宜しくね天音ちゃん！」

そそくさと去っていく涼蘭。


お姉さん「えーっと、花田さん…だったかしら？」


天音「はい、花田天音といいます。宜しくお願いします。」


お姉さん「ふーん、社長が言ってたとおり可愛い娘じゃない。」


天音「いえ、そんな…」


お姉さん「あ、私は対嶋奏（つしまかなで）。とりあえず宜しくね。」


奏「にしても早かったわね。まだ結構時間あるわよ。」


天音「え、そうなんですか？」


奏「子供達のデュエル教室のサポートをしてもらう予定なんだけど…ほら」

dPhoneの時計を見せる。

天音「あ、本当ですね。」


奏「まぁ時期が時期だし社長も大変なのね。」


天音「紹介した以上最初くらいは自分も行かないと締まらないからって…忙しいのにわざわざついてきてくださったんです。」


奏「やっぱり凄いわねあの人。…じゃあせっかく時間がある事だし、あなたの腕前でも見せて貰おうかしら？」


天音「腕前…ですか？」


奏「一応デュエル教室の先生だしね。ある程度の実力が伴ってないと舐められちゃうのよ。」


奏「社長の紹介だから大丈夫とは思うけど……一応ね。」


天音「成程、分かりました。それでどうすれば…」


奏「あら？デュエルの腕を見るならデュエルする以外にないと思わない？」

デュエルフィールドを差す。


天音「ふふ…それもそうですね。全力でお相手させて頂きます！」







dPhoneモードチェンジ！Ｄパッドモード！



ターゲットロックＯＫ！



ビジョンリンクＯＫ！



ファーストディールＯＫ！



デュエル！！




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（Ｍ.Ｃ.Ｃデュエルセンター）



夏武斗「さてと、仁も天姉も忙しそうだしフリースペースに行くか。」


夏武斗「ん…あれは」

独りキョロキョロとしながら落ち着かない様子の小さな少年。


少年「えーっと…。」


夏武斗「よおっ！どうした？迷子か？」


少年「え？あの僕…えーっと…。」


夏武斗「？」


少年「いえ……その、なんでもない…です！僕失礼しま…あっ！！」

躓く少年。その拍子にカードが散らばる。


夏武斗「うおっ！集めねえと！！」


少年「あ…ごめんなさい。」

カードをかき集める２人。




夏武斗「ほら、こいつで最後か？」


少年「えと……うん、全部ある。………あ、ありがとう、ございます。」


夏武斗「な～にこんくらい大した事ねえよ。それより、どっか行くところだったんじゃねえか？」


少年「あ…えと、その…スタッフやってる…親戚の、お兄さんに………忘れ物を届けに来たんだけど…ここ広くて…それで…。」


夏武斗「あぁ～！だよなぁ！俺も広すぎてよく迷子になっちまうぜ。」


少年「…お兄ちゃんも？」


夏武斗「っへへ…あぁ！俺は楠夏武斗。おまえは？」


少年「えと…あ、は…初（はじめ）。」


夏武斗「よし、じゃあ初！俺も一緒に兄ちゃん探すの手伝うぜ！」





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奏「先攻は貰うわよ！私のターン！」


奏「私は騎楽士（インスター）カンタービレを召喚！」星３・ＡＴＫ１０００

不思議な楽器を携えた騎士。手に持つのはヴァイオリン。


奏「そして永続魔法カード『連合軍』を発動しておこうかしら。」


奏「連合軍の効果により、私の場に戦士族・魔法使い族モンスターが増える毎に、戦士族モンスターの攻撃力は２００ポイントアップするわ。」ＡＴＫ１２００


奏「これでターンエンド。さぁどんなデュエルを見せてくれるのかしら？」



天音「私のターン！ドロー！」


天音（攻撃力は１２００…強化したと言ってもあまり高いとは言えませんね。）


天音（攻撃を誘っている…んでしょうか？）


天音「ですがセットカードはなし、ここは一気に攻めさせてもらいます！」


天音「スタンバイフェイズ時、手札の『朝凪の精霊』の効果発動！」


天音「このカードを手札から特殊召喚する！」星３・ＤＥＦ０

神秘的な雰囲気を持つ半透明の精霊モンスター。


天音「続いてメインフェイズ！このカードは、レベルと攻撃力を半分にする事でリリースなしで召喚できる！」


天音「『炎天使 バニング』を召喚！」星６→３・ＡＴＫ２２００→１１００


奏「同じレベルのモンスターが２体…成程ね。」


天音「私はレベル３の朝凪の精霊と炎天使バニングでオーバーレイ！」


天音「２体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築！」



エクシーズ召喚！


現れよ！『アプリコット・レイニー』！ランク３・ＡＴＫ１６００


奏「へぇ…１ターン目からエクシーズ召喚なんてやるじゃない。」


天音「ありがとうございます。私はアプリコット・レイニーの効果発動！」


天音「オーバーレイユニットを１つ使う事で、相手モンスター１体の攻守を８００ポイントダウンさせます！」


天音「私はこの効果で、騎楽士カンタービレを選択します！レイン・ドレイン！」


奏「攻撃力は勝っていても弱体化を使うって事は…ダメージを稼ぐのが目的ね。」ＡＴＫ１２００→４００


天音「行きますよ！バトルフェイズ！」


奏「の、前に。」


天音「！？」


奏「私は手札から『騎楽士（インスター）ダカーポ』の効果を発動！」


奏「このカードはメインフェイズに手札から墓地へ送り、自分のインスターモンスター１体をターゲットにして発動するわ。」


奏「この効果のターゲットとなったモンスターは、そのターン戦闘によって破壊されなくなる。」

管楽器を持った少年がそれを吹き鳴らす。


天音「手札からモンスター効果で防いできましたか…！」


奏「それだけじゃないわ。更に私は騎楽士カンタービレの効果を発動！」


奏「このカードが自分モンスターの効果のターゲットとなった時、デッキからカードを１枚ドローする！」

管楽器の音に呼応するようにカンタービレがヴァイオリンを奏でる。


天音「効果を連鎖させた…！」


奏「素敵な音色でしょ？さぁあなたのバトルフェイズよ、どうぞ。」


天音「バトルフェイズ！私はアプリコット・レイニーで騎楽士カンタービレを攻撃！ドロップ・マジック！」


奏「でもカンタービレはダカーポの効果により破壊されない！」


天音「ですがダメージは受けてもらいます！」ＬＰ４０００→２８００


奏「くっ！流石にちょっと大きいわね。」


天音「私はこれで…ターンエンドです。」



奏「私のターン！ドロー！」


奏「私は騎楽士（インスター）モデラートを召喚！」星３・ＡＴＫ１０００→１４００　カンタービレＡＴＫ４００→６００

横笛を携えた青年の騎楽士。


奏「少しはやるみたいね天音ちゃん。じゃあ次は、こんなモンスターはどうかしら？」


奏「私はレベル３のカンタービレとモデラートでオーバーレイ！」


奏「２体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築！」



エクシーズ召喚！


現れよ！『騎楽極士（プレインスター）パストラーレ！』！ランク３・ＤＥＦ１６００



吟遊詩人のような風貌の騎楽士モンスター。

天音「エクシーズモンスターですか…。」


奏「そう、私もエクシーズ使いなの。お仲間ね。」


奏「私はこれでターンエンドよ。さぁ、次はどう攻めてくる？天音ちゃん。」


天音（特に効果を使ってくる様子もなく守備表示でターンエンドですか…。うーん、なんか最近似たような相手と闘ったような…。）


奏「ん？どうかした？」


天音「い、いえ、私のターン！ドロー！」


天音（先ずはあのモンスターを知る必要がありますね…。）


天音「私は『雨天使レーゲン』を召喚！」星３・ＡＴＫ１５００


天音「そしてアプリコット・レイニーの効果発動！オーバーレイユニットを１つ使い、騎楽極士パストラーレの攻守を８００ポイントダウンさせます！レイン・ドレイン！」


奏「でもこれでオーバーレイユニットは無くなったわね。」ＤＥＦ１６００→８００


天音「バトルです！私は雨天使レーゲンで騎楽極士パストラーレに攻撃！」


奏「ふふっ！私はオーバーレイユニットを１つ使い、騎楽極士パストラーレのモンスター効果発動！」


奏「自分のモンスター１体をターゲットにし、このターンそのモンスターと戦闘を行った相手モンスターをダメージ計算後に破壊する！」


天音「そんな効果が…ですがこれで相討ちです！」


奏「それはどうかしら？私は騎楽極士パストラーレの更なる効果発動！」


天音「もう一つ効果が！？」


奏「このカードが自分モンスターの効果のターゲットとなった時、このカードの守備力をそのターンのみ１０００ポイントアップする！」ＤＥＦ８００→１８００


天音「くっ！」ＬＰ４０００→３７００


奏「さぁ残念ながらパストラーレの効果であなたの天使ちゃんは破壊よ。」


奏「悲劇の調べ！」

竪琴から響き渡る不思議な波動を至近距離で浴び、破壊されるレーゲン。


天音「自分自身を対象に取る事で単体で効果を連鎖させるなんて…。」


奏「ふふふ…素敵でしょ？」


天音（あのモンスター…中々に厄介ですね。）


天音（あれを乗り越えるなら……。）


天音「カードを１枚セット。私はこれでターンエンドです。」




終











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（次回予告）


夏武斗「えーっと、ここにも居ないのか…どこだぁ？」


天音「効果を連鎖させるモンスター達…これは強敵です。」


夏武斗「初！きっとこっちだ！……って行き止まり？」


天音「あれは…！新しいエクシーズモンスター！？」


夏武斗「あっれぇ？ここさっきも通ったような…？」


天音「だったら私も…次のエクシーズで闘います！」


天音「次回！『騎楽士の猛攻！戦いのコンチェルト！』」


夏武斗「だあああ！なんで見つかんねえんだよおおお！」


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・多分お分かりかと思いますが、「ターゲットになった＝対象となった」です。
◇ジュニアスペース……その名の通り小学生程度の年代用に作られたスペース。デュエル教室やジュニア用のデュエルテーブル等が設置してある。子供達は良くも悪くも反応が素直な為、先生役の人気の差が露骨に出るらしくある意味でちょっと恐ろしいらしい。