47 戦う理由　作：ギガプラント

仁「…俺のターン。ドロー。」


大駕「夜見原よ！まさかお前もここで終わりではあるまい！」


仁「…当然。」


仁「永続罠発動。『悪魔の憑代』」


仁「このカードが存在する限り、俺はレベル５以上の悪魔族モンスターを召喚する場合、リリースなしで召喚できる。」


茶ノ畑「上級モンスターのリリースを踏み倒すカードぉ！これは強力だ！」


仁「…俺は悪魔の憑代の効果を使用し、レベル６の『先陣の魔妖兵』をリリースなしで召喚！」星６・ＡＴＫ２４００


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ロバート「あれまぁ…随分と洒落たカード使うようになったのね。」


ロバート（これでレベル６のモンスターが２体か…。）


ロバート（深怨の魔妖兵は破壊から逃れつつレベル調整もしてたってわけね。）

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仁「更に俺は魔法カード『星降りの宝札』を発動。」


仁「フィールドに存在するモンスターのレベル合計が２０以上の時、デッキからカードを２枚ドローする。」


大駕「レベル合計は…２１か。」


仁「俺はレベル６の深怨の魔妖兵と先陣の魔妖兵でオーバーレイ！」


仁「２体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築！」



エクシーズ召喚！


現れよ！闇を総べる高貴なる覇者！ランク６！『冥獄公爵 アシュタロード』！ランク６・ＡＴＫ２６００



茶ノ畑「２体目のエクシーズモンスター！乾く暇なく次のモンスターが出てきます！」


大駕「そうこなくては面白くないわい！！」


仁「装備魔法発動。『エクシーズ・リバイバル』」


仁「墓地のエクシーズモンスター１体を特殊召喚しこのカードを装備する。」


仁「…蘇れ！『冥獄の猛将 ナイトメア・エッジ』！」ランク５・ＡＴＫ２５００


大駕「ぬっ！？」


仁「更に俺は冥獄公爵アシュタロードのモンスター効果を発動。」


仁「１ターンに１度、オーバーレイユニットを１つ使う事で、自分フィールド上の闇属性エクシーズモンスターの数までフィールドのカードを破壊する！」


仁「俺のフィールドに闇属性エクシーズモンスターは２体。」


仁「武装闘鬼スクラマサクスと武装闘鬼ファルシオンの２枚を破壊する…！」


仁「マジェスティ・バースト…！」

２体の鬼が闇の力の前に倒れる。


大駕「２体同時に…！」


仁「…バトルフェイズ！ナイトメア・エッジで武装闘鬼ハルパーを攻撃！デモニック・ランス！」


大駕「ぐっ…すまぬ儂のモンスター達よ！！」ＬＰ２８００→２１００


仁「…モンスターより自分の心配をするべきじゃないのか？まだ攻撃は残っている！」


仁「冥獄公爵アシュタロードでプレイヤーへダイレクトアタック！」


仁「…散れ、デス・サンクション！」


大駕「ここで終わってたまるかぁ！！罠発動！『英雄への兆し』！」


大駕「相手のダイレクトアタック宣言時、手札のモンスター１体を攻撃表示で特殊召喚し、攻撃対象をそのモンスターに移し替える！」


大駕「来い！『武装闘鬼 ファルクス』！」星３・ＡＴＫ１２００


大鎌の一撃がファルクスを襲う。


大駕「そしてその戦闘で発生するダメージは半分となる………ぐぉ！」ＬＰ２１００→１４００


仁「…モンスターを盾にしたか。」


大駕「盾じゃと？違うのぉ…これは身を護る盾ではない！お前を倒す剣となるんじゃ！！」


大駕「墓地へ送られた武装闘鬼ファルクスのモンスター効果発動！」


大駕「このカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、墓地からファルクス以外の武装闘鬼モンスター１体を特殊召喚する！！」


大駕「もう一度来い！『武装闘鬼 ファルシオン』！」星５・ＡＴＫ１８００


大駕「ファルシオンがバトルフェイズ中に特殊召喚された為、闘鬼門の効果発動じゃ！」


大駕「デッキから攻撃力１７００の『武装闘鬼 シャムシール』を手札に加える！」


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ロバート「またサーチか…おいおいこれでアイツのモンスター何体目だよ…。」


ロバート「ん、待てよ？武装闘鬼ファルシオン！？あのモンスターの効果って…」

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大駕「このカードがバトルフェイズ中に特殊召喚された時、手札または墓地の武装闘鬼モンスター１体を特殊できる！！」


大駕「墓地より『武装闘鬼 ククリ』を特殊召喚！！」星４・ＡＴＫ１６００


仁「……！」


茶ノ畑「ファルクスからのファルシオン！そしてククリィ！！そしてククリの次は………」


大駕「ククリがバトルフェイズ中に特殊召喚された時、デッキから３体目のククリを効果を無効にして特殊召喚！」星４・ＡＴＫ１６００」


茶ノ畑「これまた両者一歩も引きませえええん！！またも攻撃宣言時からモンスターが３体も増えましたああ！！」


仁「…またモンスターがぞろぞろと。」


仁（このままターンを返すのは…正直かなり厳しいが…。）


仁「…俺はカードを１枚セット。ターンエンドだ。」



大駕「儂の…ターン！！ドロー！」


大駕「儂はぁ！！魔法カード『闘鬼の目の涙（オーガスティアーズ）』を発動！」


大駕「自分フィールドの武装闘鬼モンスターを２体まで選択しそのモンスターの攻撃を封じる事で、その枚数分デッキからドローする！」


大駕「２体のククリを選択し、２枚ドロー！！」


仁「攻撃は封じられたが…２体ともレベル４のモンスター…。」


大駕「そのままエクシーズに繋げるのなら攻撃できないデメリットなど無いも同じ！儂はレベル４のククリ２体でオーバーレイ！」



エクシーズ召喚！


再び現れよ！『武装闘鬼 スクラマサクス』！ランク４・ＡＴＫ２４００



茶ノ畑「２体目のスクラマサクスが召喚されました！なんだこのエクシーズ合戦はあああ！？」


大駕「まだまだ終わらんぞ！？このカードは効果を無効にすることでリリースなしで召喚できる！」


大駕「来い！『武装闘鬼 シャムシール』！」星５・ＡＴＫ１７００


仁「くっ！レベル５が２体に…！」


大駕「儂はあああ！！レベル５のファルシオンとシャムシールでオーバーレイ！」


大駕「２体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築！！」



エクシーズ召喚！


現れよ！無慈悲なる慈悲の刃！『武装闘鬼 ミセリコルデ』！！ランク５・ＡＴＫ２５００



十字の短剣を構えた長身の美形鬼モンスター。


大駕「武装闘鬼ミセリコルデのモンスター効果発動！オーバーレイユニットを１つ使い、このターン中相手モンスター１体は攻撃力が半分となり戦闘では破壊されなくなる！」


大駕「対象はナイトメア・エッジじゃ！！」ＡＴＫ２５００→１２５０


仁「戦闘破壊されなくなる…正に慈悲か…。」


茶ノ畑「またまた新たなエクシーズ！このデュエル一瞬たりとも目が離せません！」


大駕「夜見原よ！お前の熱い魂、儂に見せてみろ！！バトル！」


大駕「武装闘鬼スクラマサクスでナイトメア・エッジを攻撃！鮮血双乱麻！」


仁「っ！！…だが戦闘では破壊されない。」ＬＰ３２５０→２１００


大駕「そうじゃ！まだ倒れられては困る！！儂はまだまだ足りんぞ！」


大駕「次はミセリコルデでナイトメア・エッジに攻撃いいい！」


仁「くっ……かはっ！！」ＬＰ２１００→８５０


大駕「ミセリコルデの更なる効果発動！このカードが戦闘を行った時、デッキからレベル４以下の武装闘鬼モンスター１体を攻撃表示で特殊召喚できる！」


仁「ﾁｯ!…オーバーレイユニットを使わずに…！」


大駕「さぁ来い！『武装闘鬼 ハルパー』！バトルフェイズ中に特殊召喚された事により攻撃力１２００アップ！！」星４・ＡＴＫ１５００→２７００


大駕「ハルパー！冥獄公爵アシュタロードを攻撃じゃあ！！」


仁「………」ＬＰ８５０→７５０


大駕「１つ勘違いしているようじゃな……ミセリコルデの『慈悲』は相手モンスターを倒さぬ事ではない。」


大駕「相手プレイヤーが苦しまぬうちに一気に斬り落とす！それが真の『慈悲』よ！儂はカードを１枚伏せてターンエンド」


仁「………！」


大駕「どうした夜見原！噛みついてきたのは最初だけか！？」


大駕「断言しよう！そんな腑抜けた調子が続くのなら、次のターンで儂の刃がお前を一気に貫く！！」


大駕「己の信念を思い出せ！！お前は何を求めて…何を目指してここに居る！」


仁「俺の……求める物。」


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ロバート「あれま、すっかり刺々しくなっちゃって……別におかしかないだろぉ？あの村の生き残りは皆散り散りなんだから。」


ロバート「俺の弟も…お前の妹も…。」


ロバート「助かった『筈』なんだよ…。」


ロバート「アストベリー杯に来い仁。そこで俺に『勝てたら』教えてやる。」

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大駕「見据えるもののない者に、真の勝利は掴めん！」





仁「………」




仁「俺のターン……ドロー！」


茶ノ畑「さぁここまで続いてきた決死の攻防戦！現在夜見原選手の手札は０！たった１枚のドローカードでは切り返せるかああ！！？」




仁「……永続罠、悪魔の憑代の効果発動。」


仁「手札より、レベル８の『魔界狼 マルコキアス』をリリースなしで召喚！」星８・ＡＴＫ２７００
禍々しい気を放つ、翼の生えた狼。


大駕「さ、最上級モンスター…！」


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ロバート「へへっ！そうこなくっちゃな。」


ロバート「お前はこんなとこで負けるような奴じゃあねえ…今なら分かる。」

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仁「魔界狼マルコキアスのモンスター効果発動！そのターン中相手モンスター１体の効果を無効にし、その攻撃力は１０００ポイントダウンする！」

身の毛もよだつような咆哮と共に邪悪な力がミセリコルデを包んでいく。


大駕「ぐっ！そちらも攻撃力を……上等じゃ！」ミセリＡＴＫ２５００→１２５０


仁「バトル！魔界狼マルコキアスで武装闘鬼ミセリコルデを攻撃！！」


茶ノ畑「最上級モンスターの攻撃！！これが通れば夜見原選手の勝………」

鋭い眼光を光らせ、獲物に向かって一気に襲い掛かる。
しかしマルコキアスの獅子程もあるその身体をミセリコルデは片手で受け止め、もう片方の手に握った剣で思い切り殴りつける。


仁「何っ！？」


大駕「罠発動ぅ！！『ストロングディフェンス』！！」


大駕「手札から攻撃力２０００以上のモンスター１体を墓地へ送る事で、そのモンスターの攻撃力分、攻撃対象となったモンスターの攻撃力をアップさせる！！」


大駕「儂が墓地へ送るのは『武装闘鬼 フランベルジェ』！よって攻撃力はその攻撃力分、２４００のアップじゃ！！」ＡＴＫ１５００→３９００


仁「…ぐうううっ！！」ＬＰ７５０→５０


大駕「ストロングディフェンスの効果を受けたモンスターの与える戦闘ダメージは半分となる！どうやら命拾いしたようじゃな。」


仁「……レベル５以上の悪魔族モンスターが破壊される時、代わりに悪魔の憑代を破壊。」


茶ノ畑「なんと八取選手まだ罠を隠し持っていたああ！！夜見原選手のライフは残りたったの５０ポイント！！」


仁「…俺はナイトメア・エッジでスクラマサクスを攻撃。」

先程とはうって変わってあっさりと破壊される。


大駕「ぐっ！…どうやらこれまでのようじゃな。」ＬＰ１４００→１３００


大駕「やはりお前は強い…！何度撃とうと噛みついてくるその精神！」


大駕「儂の目に狂いはなかった！流石は儂の認めた漢じゃのう！」


仁「…ターンエンド。」ミセリＡＴＫ３９００→４９００


大駕「じゃが…今回ばかりは儂の方が１つ上手だった。そういうことじゃ。」



大駕「儂のターン！！！ドロー！」


大駕「ミセリコルデの効果発動！魔界狼マルコキアスの攻撃力を半分にする！」ＡＴＫ２７００→１３５０


大駕「これが最後の慈悲じゃ。儂の最後の一撃を全身で受け止めるがいい！」



大駕「ブワァトル！！」


大駕「武装闘鬼ミセリコルデで、魔界狼マルコキアスを攻撃いいいぃぃぃ！！」






仁「…慈悲か。」






仁「そいつは」






仁「感謝しなければなるまい！！！」


大駕「！！？」


仁「罠カード発動！『オーバーレイ・ゼロ・ミラー』！」


仁「モンスター１体の攻撃力は、ターン終了時までフィールド上のオーバーレイユニットを持たないエクシーズモンスター１体と同じになる！」


仁「マルコキアスの攻撃力を…貴様のミセリコルデと同じにさせてもらう！」ＡＴＫ１３５０→４９００


大駕「ぬぁんじゃと！！？攻撃力が同じなら相討ち………」


大駕「っ！！違う！！」


仁「ミセリコルデのモンスター効果により、マルコキアスは戦闘によって破壊されない！」


仁「よって…貴様のモンスターのみが破壊される！」

強烈な刺突攻撃を気にするそぶりもなく、マルコキアスはミセリコルデの首元にその牙を突き立てる。


大駕「バ、バカな…！」



仁「…俺が此処に立つ意味。」


仁「貴様の言う信念とやらで表せる物かはどうかは分からない。」


仁「…だが俺は勝つ為にここへ来た。それだけは胸を張って答えよう。」




大駕「………」




大駕「がっはっは！！上等！！それだけ意志の強さ！しかと見せてもらった！」


大駕「さぁ来い夜見原仁よ！！漢同士の本気のデュエル！！最後まで楽しもうではないか！！ターンエンド！！」



仁「俺の…ターン！！」


茶ノ畑「八取選手…セットカードはなし、モンスターも攻撃力１５００が１体のみ、これは…！」


仁「バトル！魔界狼マルコキアスで武装闘鬼ハルパーを攻撃！」


大駕「ぐうううっ！！」ＬＰ１３００→１００


仁「これで終わりだ！冥獄の猛将ナイトメア・エッジでダイレクトアタック！」


仁「デモニック・ランス！」



大駕「見事……儂の負けじゃああ！！」ＬＰ１００→０




ＷＩＮ・仁



茶ノ畑「決まりだああ！！毎ターン戦況の変わる目まぐるしいデュエルでしたが、見事勝利したのは夜見原仁！！！」


大駕「…夜見原仁よ。お前の熱い意志、誰が分からずとも儂には分かった。」


仁「………」


大駕「そして儂自身の未熟さもな。まだまだ修行が足りんわい。」


大駕「儂に勝った以上、これからのお前の試合は全て目に焼き付けさせてもらう。」


大駕「敗者の想いを背負い…更なる高みへと昇ってゆけい！！」


大駕「そうして強くなったお前を、今度こそ儂は乗り越える！」


大駕「今よりももっともっと熱く激しいデュエルにしようぞ！」


仁「…嫌だと言っても挑んでくるんだろう。」


大駕「がっはっは！！何、嫌と言わせなければよい話じゃ！！」



仁「…気が向いたら付き合ってやる。」


歩き去ろうとする仁。


大駕「おっと…待て夜見原よ。」


仁「…？」


大駕「選別じゃ。受け取れい！」

１枚のカードを投げる。二本の指で華麗に挟み受け取る仁。


仁「………」

再び踵を返し歩き去る。









控え室が並ぶスタジアム内へと続く扉、その前で壁に背を預け仁を待ち受けるロバート。



ロバート「お疲れさん。やったじゃないの。」


仁「…当然だ。」


ロバート「あれまぁ……たまには素直に喜んだっていいだろうに。」


ロバート「ホントに堅っ苦しくなっちまったのな～！ははは。」



仁「…俺は真実を知るためにここにいる。」



ロバート「……」


仁「…お前がどれだけこの大会を楽しもうが俺は干渉しない。」


仁「だが……約束は忘れるな。」



ロバートの前を横切っていく仁。





ロバート「はいはい………分かってますって。」




終










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（次回予告）


竜太「ぜぇ…ぜぇ…はぁ」


初「はぁ…はぁ…ふぅ…」


竜太「…客席半周だけでこの距離か…広えなぁもう。」


初「竜太君…なんで僕たち走ってるの…？」


竜太「知るかよ…アイツに訊いてくれ…。」


夏武斗「天姉の相手の姉ちゃん、ジュニアスペースの先生やってた人だよな。」


夏武斗「あん時見たデュエルも凄かったなぁ…今回も楽しみだぜ！」


夏武斗「次回！『響き合う力！天音VS奏』」


楯山「こらお前達急げ！！席取りは脚が命だぞ！！！」
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・『ストロングディフェンス』は19さんより提供して頂きました。誠にありがとうございました！！