06 シンクロ対決！不死蝶と武闘皇帝　作：ギガプラント

（Ｍ.Ｃ.Ｃデュエルセンター）





男「わざわざ社長自ら出向いて頂いて申し訳ない。」


ＭＣＣ社長「いえいえ、会長自ら視察にいらっしゃるというのにご挨拶なしという訳にはいきませんわ。」


男「そう硬くならなくとも…今の私は一研究開発部員と大して変わりませぬよ。」


ＭＣＣ社長「でもまさか会長が機器のメンテナンスをしてくださるなんて思いませんでしたわ。」


男「ソリッドビジョンシステムの技術関連は直接私が見た方が手っ取り早いものでね。」


ＭＣＣ社長「流石世界のアストベリー、ですわね。」


男「ははは…からかわないでくれたまえ。」


ＭＣＣ社長「では参りましょうか。本日も宜しくお願いします。」


男「うむ。」




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伊世「ほい、登録完了っと。」


夏武斗「わぁ…！これでさっきのすっげーのでデュエルできんだな！！？」


天音「はい。もう使い放題ですよ。」


夏武斗「よっしゃ！ありがとな伊世さん！」


伊世「はいはいどーいたしまして…。あいっかわらずのテンションねぇ…。」


夏武斗「なあなあ天姉！デュエルしようぜデュエル！」


天音「は、はい…了解です。」


伊世「あんたが主導権握られてどーすんのよ…。」


天音「あ、あはは…。」


楯山「ぐぬぬ…心なしか前よりも親しげになっているような…。」


夏武斗「おお！楯山居たのか！」


楯山「さっきから居たさ！！」




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（Ｍ.Ｃ.Ｃデュエルセンター。フリーデュエルスペース）




夏武斗「早く行かねえとデュエルフィールド取られちまうぜ！」


楯山「ったく…子供は元気ですねぇ…。」


天音「あ、あはは……元気なのは良い事ですよ…。」


夏武斗「お？あそこ空いてんじゃん！あそこ行こうぜえ！」


楯山「やれやれ…。」











青年「すまないな…もう少しだけ待ってくれ。」

デュエルフィールド前に立つ青年。


青年「もう少しで調整が終わるみたいだからね。」


夏武斗「うん？」


楯山「まぁ…そうでもなきゃとっくに誰かが使ってますよね。」


天音「なるほど…機器の調整中だったんですね。」




ＭＣＣ社長「あら？天音ちゃん？」


天音「えっ？あ、涼蘭さん。」


楯山「なっ！この人って…！」


夏武斗「？」


ＭＣＣ社長「あらあら皆さんどうも。私、百瀬川コミュニケーションカンパニー（Ｍ.Ｃ.Ｃ）社長の百瀬川涼蘭（ももせがわりょうらん）と申します。」


楯山「やっぱり…！ＭＣＣの女社長…！」


天音「こっちの方に来るのは…珍しいですね。あ、今日は視察って伊世さんが……」


涼蘭「そうなの。そしたら会長さんがデュエルフィールドのメンテナンスもして下さるっていうから。ここ時々ビジョンが上手く表示されない事があるのよね。」


楯山「会長って…！」


夏武斗「うん？」


天音「そういえば聞いたような気がします。ここのフィールドだったんですね。」


青年「社長…お知り合いですか？」


涼蘭「ええ。こちらが天音ちゃんよ。あ、こちらはスタッフの光輝君よ。」


青年「上原光輝（うえはらこうき）です。宜しくみなさん。」




男「恐らくこれでもう大丈夫でしょう。一部パーツの劣化があっただけのようだ。」


涼蘭「あらお早い。本当にどうもありがとうございます会長。」


男「いえいえ、Ｍ.Ｃ.Ｃには毎度世話になっておりますから。一応試運転を行い、それで問題がなければ大丈夫でしょう。」


楯山「ほ、本物…！」


夏武斗「なぁ、どうしたんだ？」


耳元で
楯山「ジェネシックのアストベリー会長だ！ジェネシック製品の殆どを開発した天才技術者だよ。僕もこんな近くで見るのは初めてだ…。」


夏武斗「ん？アストベリーって……」


楯山「アストベリー杯は彼の名前から来ているんだよ…ってお前そんな事も知らなかったのか。」


夏武斗「へぇ～」


楯山「にしてもＭ.Ｃ.Ｃとジェネシックのトップだなんて…凄い場面に出くわしたな…。」




涼蘭「じゃあ光輝君。試運転お願いできるかしら？」


光輝「はい勿論。直ぐに取り掛かります。」


夏武斗「もうちょっとかかるか…じゃあ他を探すっきゃねーかな。」






男（ん？）


男（この少年は…！？）


男（間違いない…まさかこちらが探し当てる前に見つける事になろうとは…。）


男（ふむ…。）




男「良かったら…手伝って貰えるかね？」


夏武斗「え？」


男「申し遅れてすまない。私はジェネシック・エレクトロニクス社会長、アーネスト・アストベリー。」


アストベリー「試運転とは言うがあくまで確認の為であって、正直な所もう使用可能といって差し支えない。」


アストベリー「君は今すぐにでも闘いたくてウズウズしている…そんな風に見受けられる。ならばどうだろう、今この場でデュエルを行ってもらうというのは。」


涼蘭「デュエル…ですか？」


アストベリー「これはデュエルを行う為の道具…ならばデュエルを行うことが何よりの試運転と言えよう。」


アストベリー「それにセンターを利用してくれている彼らをあまり長々と待たせるのは忍びない。」


涼蘭「それもそうですね…ではお願いしてもいいかしら？…えっと」


夏武斗「夏武斗！俺は楠夏武斗！良いのか！？ここでデュエルしても！」


涼蘭「お願いします夏武斗君。……そういうわけなので、光輝君もいいかしら？」


光輝「勿論。僕もデュエリストですから。但し、僕も手加減なしで行くからね。」


夏武斗「勿論！それじゃ行くぜ！」






dPhoneモードチェンジ！Ｄパッドモード！



ターゲットロックＯＫ！



ビジョンリンクＯＫ！



ファーストディールＯＫ！



デュエル！！






アストベリー「………私だ。」


アストベリー「…今から言う場所のＤオーラを観測しろ。」


アストベリー（さぁ見せてもらうぞ…楠夏武斗…。）




光輝「僕の先攻で行かせて貰うよ！」


光輝「僕はチューナーモンスター『Ｒ・Ｆ（レイディアント・ファイター）－ノヴァキッド』を召喚！」ＡＴＫ５００

チビッ子魔法使いＲ・Ｆ


夏武斗「すっげええ！やっぱり超リアルゥ！」


光輝「ビジョンに問題はなさそうですね…。」


光輝「っと、カードを１枚セットしてターンエンドだ。」


楯山「チューナー…ってことはシンクロ使いか…。」


天音「私もお会いしたのが初めてなので詳しくは分かりませんが…」


涼蘭「あら、彼も天音ちゃんと同じくアストベリー杯に出場予定よ。」


天音「そうだったんですか？」


涼蘭「ええ。彼は…良いデュエリストよ。目に光が宿ってるもの。」


天音「光…ですか。」


楯山「光でしたら！天音さんも常日頃から太陽のように輝いていらっしゃ……」


天音「そういえば夏武斗君のデュエルをしっかり見るのも初めてですね…。」


楯山「ガクッ！！……確かにそうですね。あいつ、強いんですかねぇ？」



夏武斗「俺のターン！ドロー！」


夏武斗「ようし…！俺は『クロスソード・ハンター』を召喚！」星４・ＡＴＫ１８００

映し出されるモンスターのソリッドビジョン。



夏武斗「かぁ～！やっぱ自分のモンスターが出てくると興奮するぜ！！」


夏武斗「よっしゃあ！そのままバトルだ！クロスソード・ハンターでＲ・Ｆ－ノヴァキッドを攻撃！」


光輝「させないよ！速攻魔法発動！『虚栄巨影』！」


光輝「モンスターの攻撃宣言時、モンスター１体の攻撃力をバトルフェイズ終了時まで１０００ポイントアップする！」


光輝「僕が選択するのはノヴァキッド！」星３・ＡＴＫ５００→１５００


夏武斗「だけど攻撃力はまだこっちの方が上だぜ！」


光輝「ああ、残念ながらね。」


光輝「だがノヴァキッドは攻撃力１５００以上の場合、戦闘では破壊されず、発生する戦闘ダメージも０になる。」

クロスソード・ハンターは４本の角でノヴァキッドを挟みこもうとするが、球状のバリアに守られる。


涼蘭「光輝く～ん、一応言っときますけどお仕事中ですからねぇ～。ビジョンのチェックも忘れちゃだめですよ～。」


光輝「承知してますよ社長。ふむ…魔法カードも問題なし…と。」


夏武斗「成程…返り討ちにする為じゃなくて守るために使ったのか。」


夏武斗「カードを１枚セットしてターンエンドだ。」





光輝「僕のターン！ドロー！」


光輝「では早速行かせてもらうよ！僕は『Ｒ・Ｆ－バリアグレア』を召喚！」星４・ＡＴＫ１００

両手に半透明のバリアを装着したＲ・Ｆ


光輝「僕はレベル４のバリアグレアにレベル３のノヴァキッドをチューニング！」



鮮烈なる闘志よ、全てを砕く拳に宿れ！



シンクロ召喚！



『Ｒ・Ｆ－エクストリーム・カイゼル』！ＡＴＫ２１００





王者の風格を備えた武闘家Ｒ・Ｆ


夏武斗「シンクロモンスターか！格好良いぜぇ！！」


光輝「エクストリーム・カイゼルが存在する時、フィールド上のＲ・Ｆモンスターの攻撃力は、その数×３００ポイントアップする！」


楯山「つまり今は１体だから…。」


天音「３００ポイントアップですね。」ＡＴＫ２１００→２４００


光輝「このままバトルに移行する！エクストリーム・カイゼルでクロスソード・ハンターに攻撃！」


光輝「エクストリーム・ナックル！！」


夏武斗「よし！罠発動！『ヒーリング・アタック』！」


夏武斗「この戦闘によってモンスターは破壊されず、ダメージを受ける代わりにその数値分だけライフを回復する。」

緑色の光がエクストリーム・カイゼルを包む、鉄拳を受けたクロスソード・ハンターはびくともしない。


夏武斗「この戦闘で発生する６００ポイント分、俺のライフを回復するぜ！」ＬＰ４０００→４６００


光輝「へぇ…そちらも防御札を持っていたという訳か。」


夏武斗「こっちもそう簡単にはやられないぜ！」


光輝「罠カードも大丈夫…と。ソリッドビジョン関連は大体問題なさそうだね。」



涼蘭「あの子…なんだか面白そうですね。お友達ですか？」


天音「はい。といっても知り合ったのは昨日ですけど。」


涼蘭「あらそうだったの。どんなデュエルを見せてくれるか楽しみだわぁ。」



光輝「僕はカードを１枚セットして、ターンエンドだ。」


夏武斗「俺のターン！ドロー！」


光輝「さぁ僕のモンスターをどう乗り越えてくるのか、見せて貰うよ夏武斗君！」


夏武斗「ああ！俺はチューナーモンスター『ブルズアイ・フェアリー』を召喚！」ＡＴＫ１０００


光輝「チューナーか…。」


楯山「あいつもシンクロ使いなのか…！？」


涼蘭「へぇ…シンクロですかぁ。」


夏武斗「俺はレベル４のクロスソード・ハンターにレベル３のブルズアイ・フェアリーをチューニング！」



燃え上がる命の焔よ！鮮麗なる羽音響かせ、深き夜天を照らしだせ！



シンクロ召喚！



羽ばたけ！『煌翅蝶（こうしちょう）－フェニックス・バタフライ』星７・ＡＴＫ２３００





炎を纏った羽を持つ不死蝶。

光輝「攻撃力２３００…？それじゃ僕のモンスターには届かないよ。」


夏武斗「だったらこいつでどうだ！装備魔法発動！『アブソーブ・ウィップ』！」


夏武斗「これを装備したモンスターが、自分より高い攻撃力を持つモンスターを攻撃する時、その相手から攻撃力を１０００ポイント吸収する！」


楯山「装備魔法！？あいつ中々やるじないか！！」


光輝「ふむ、そう来たか…ならば僕も手を打たせてもらう！」


光輝「永続罠発動！『フェアリー・リフト』！」


光輝「この効果により自分の墓地からレベル４以下のモンスターを特殊召喚する！」


光輝「Ｒ・Ｆ－バリアグレアを守備表示で特殊召喚！」ＤＥＦ２０００


光輝「Ｒ・Ｆモンスターが増えた事により、エクストリーム・カイゼルの効果で更に攻撃力がアップする！」カイゼルＡＴＫ２４００→２７００　バリアグレアＡＴＫ１００→７００


楯山「だが３００程度じゃあの装備魔法には…！」


光輝「そしてバリアグレアが存在する時、相手は攻撃力が上昇したモンスターを攻撃対象に選択できない！………まぁバリアグレア本体は例外だけどね。」


天音「これでエクストリーム・カイゼルへの攻撃はできなくなったわけですね。」


夏武斗「それなら…煌翅蝶－フェニックス・バタフライで、バリアグレアに攻撃！」


夏武斗「ルミネッセンス・フレア！」

大きく羽ばたいた羽より煌びやかな炎が生まれる。


光輝「くっ…Ｒ・Ｆモンスターが減った事によりエクストリーム・カイゼルの攻撃力はダウンする。」ＡＴＫ２７００→２４００


夏武斗「これでターンエンドだ。」


光輝「僕のターン！」


光輝「僕はＲ・Ｆ－エアランナーを召喚！」星４・ＡＴＫ１１００

空中を走り回る細身の戦士。


光輝「Ｒ・Ｆ－モンスターが増えた事により攻撃力が３００ずつアップ！」カイゼルＡＴＫ２４００→２７００　エアランナーＡＴＫ１１００→１７００


光輝「更に！エアランナーは召喚されたターンのみ、攻撃力が１０００ポイントアップする！」ＡＴＫ１７００→２７００


夏武斗「攻撃力２７００が２体も…！」


光輝「アブソーブ・ウィップの吸収効果は攻撃する時のみ有効だったね。だったらこっちからは遠慮なく攻撃できると言うわけだ！」


光輝「バトルフェイズ！エクストリーム・カイゼルで、フェニックス・バタフライを攻撃！エクストリーム・ナックル！」


夏武斗「この瞬間！フェニックス・バタフライの効果発動！」


夏武斗「このカードが攻撃対象に選択された時、自分フィールドのモンスター１体を破壊し、その攻撃を無効にする！」


夏武斗「俺はフェニックス・バタフライを破壊する！ブレイズライフ・シールド！」

燃え上がるフェニックス・バタフライ。その焔が壁となり攻撃を防ぐ。
装備者不在により破壊されるアブソーブ・ウィップ。


楯山「ああ！まだ何もしてない装備魔法がああ！！」


光輝「ダメージは防いだようだが…これで君のフィールドはがら空きだ！」


光輝「エアランナー！ダイレクトアタック！」


夏武斗「ぐううぅ！！」ＬＰ４６００→１９００


光輝「カードを１枚セットして僕はターンエンド。エアランナーの攻撃力は１０００ポイントダウンする。」ＡＴＫ２７００→１７００


光輝「残念ながら君のシンクロより僕のシンクロの方が一枚上手だったようだね。」




夏武斗「それはどうかな？」




光輝「む？」


天音「え？」


楯山「何っ！？」


夏武斗「煌翅蝶－フェニックス・バタフライの効果発動！このカードがこのカード自身の効果によって破壊された場合、エンドフェイズに墓地のこのカードを特殊召喚する！」


光輝「何っ！？」


夏武斗「ブレイジング・リボーン！」ＡＴＫ２３００

先程と同じ場所に突如炎が燃え上がり、炎の中から再誕するフェニックス・バタフライ。


アストベリー「ほう…。」


天音「これが…夏武斗君のデュエル…」


涼蘭「良いわねぇ…あの子もアストべリー杯に参加するのかしら。」




夏武斗「へへ…デュエルはまだまだこれからだぜ！」





終










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次回予告


夏武斗「いいぞいいぞ！燃えてきたぁ！」


天音「夏武斗君…気をつけて下さい！相手はどんどん攻撃力を上げていきます！……なんて言ってるうちに２体目のシンクロモンスター！？」


夏武斗「大丈夫さ天姉！どんなモンスターでも乗り越えてみせる！いくぞ！シンクロ召喚！」


天音「次回！『超強化を打ち破れ！』」


天音「あのシンクロモンスターは…あの時の…。」


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・なんか新しい名前が３つもでてきてしまった…大丈夫かな？

◇百瀬川コミュニケーションカンパニー……通称Ｍ.Ｃ.Ｃ。デュエルセンターの運営やカード製作・販売等様々なカード産業を展開している企業。会社としての歴史は比較的浅く、社長が若い女性という事もあり上波町内での知名度は高め。

◇Ｍ.Ｃ.Ｃデュエルセンター……百瀬川コミュニケーションカンパニーが運営するデュエル施設。内部はアミューズメントパークのようになっており上波町内でもかなりの敷地面積を誇る。ジェネシックと業務提携しており、最新バージョンのソリッドビジョンシステムが逸早く搬入される為、これを目当てに来る者も多い。