38 謎の窃盗集団　作：ギガプラント

アリス「先攻頂き！あたしのターン！！」


アリス「あたしは『御伽現影（おとぎげんえい） トランプ・ソルジャー』を召喚！」星４・ＡＴＫ１９００


夏武斗「あれは……本？」


召喚と共に現れた大きめの本が開き、槍を携える手足の生えたトランプが飛び出す。


アリス「更にあたしは魔法カード『メルヘン・プロローグ』を発動！」


アリス「手札の御伽現影モンスター２体を、魔法＆罠ゾーンに設置する！」


アリス「私が選ぶ物語は『御伽現影 ヘンゼル』！そして『御伽現影 レッドフード』！」


アリスのフィールドに二種類の本が現れる。


夏武斗（あれがモンスター？…あのトランプみたいに中からなんか出てくんのか？）


アリス「あたしはこれでターンエンド！さ、とっととかかってきなさいガキんちょ！」


夏武斗「んな！誰がガキんちょだ！お前も大して変わんねえだろ！」


アリス「うっさいうっさい！とっととドローしなさいよバーカ！！」


夏武斗（な、なんだこいつ…。）





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ヴァルト「私のターン。」


ヴァルト「私は『ツインソードナイト』を召喚します。」星４・ＡＴＫ１７００
二刀流を振り回す騎士モンスター。


ヴァルト「更に私は永続魔法カード『怯まぬ刃』を発動します。」


ヴァルト「このカードの効果により、自分フィールドの戦士族モンスターの攻撃力は３００ポイントアップします。」ツインソードＡＴＫ１７００→２０００


ヴァルト「ターンエンド…。」


ヴァルト（アリス様はともかく……今は双葉を抑えられる訳にはいかない…！）


天音（何重もの防衛装置が設置してあるジェネシック本社にたった３人で乗り込むなんて…。）


天音「あなた達は…一体…！」


ヴァルト「それが答えられるなら、こうしてカードを交えていることもないでしょう。」


天音「くっ…！」






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双葉「いくよ！私のターン！」


仁「…大人しく投降する気は。」


双葉「悪いけど私だけは捕まるわけにいかないの！」



双葉が背負った金属製の箱を見る。

仁（盗品はあれだけか…中身は一体…。）


仁（あれだけの雇われを使ってまでジェネシックから盗み出した物…ただの金品という訳ではなさそうだが…。）


双葉「私は『デュアル・トルーパー』を召喚！」星４・ＡＴＫ１８００
様々な武器を隠し持つ、甲冑に身を包んだ戦士。


仁「デュアル……？」


双葉「更にカードを１枚セット！ターンエンド！」


双葉「さぁ！かかってきなさい！」



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（ジェネシック・エレクトロニクス本社・１階ロビー受付）


「くっ…逃げられたか！」
「我が社のセキュリティシステムを軒並み破壊していくとは…！」
「一つくらい残っていないのか！一瞬でも顔が写っていれば……」
「駄目さ…襲撃前にコンピューターが突如クラックされたんだ……破壊されてなくてもそもそも動いちゃいない。」
「ジェネシックのコンピューターにクラック！？」
「ちくしょお！！」


柱の陰から様子を伺うロバート。


ロバート「………」


ロバート（こっそりと入ってきたはいいが……やっぱりそう簡単に行きゃしねえか…。）


ロバート「…ここらで退散と致しますかね。」



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（ジェネシック・エレクトロニクス本社・研究室）


アストベリー（くっ…完全に見失ったか。）


アストベリー（しかし奴の人間離れした身体能力…一体。）



アストベリー「静まれ！！怪我人は居るか！？」


研究員「いえ、せいぜい皆すり傷や軽い打ち身程度です…。」


アストベリー「そうか……アブソーバー以外に盗られた物は？」


研究員「あ、ありません……どうも最初からあれが狙いだったようで…。」


アストベリー「…オットー。」


アストベリー（何を考えている…！？）



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夏武斗「くっそ！そっちがその気ならこっちだってやってやる！売られた喧嘩は買ってやらぁ！！」


アリス「喧嘩なんか売ってないっつーの！！あんたみたいなガキンチョにはカード１枚売ってやんないわよ～だ！！」


夏武斗「またガキンチョっつったなぁ！！？」


夏武斗「こんにゃろおおお！！俺のターン！ドロー！！」


夏武斗「よっしゃ！！このカードはドローされた時、手札から特殊召喚できる！」


夏武斗「現れろ！『ハイスピード・センチピード』！！」星２・ＤＥＦ８００
虫の限界を遥かに超えた超スピードで走る、ジェット機能を備えた大ムカデ。


アリス「うわっキモッ！！そんなの出すなっつーの！！」


夏武斗「うっせぇ！！俺のモンスターをキモいとか言うな！！」


夏武斗「メインフェイズ！俺は『ビートルーパー』を召喚するぜ！！」星３・ＡＴＫ１５００


夏武斗「ビートルーパーのモンスター効果発動！！このカードが召喚に成功した時、手札か墓地からレベル３以下の昆虫族モンスター１体を特殊召喚できる！」


夏武斗「来い！『ブルズアイ・フェアリー』！」星３・ＤＥＦ８００


アリス「ぞろぞろ面倒！！とっととターンエンドしなさいよ！！」


夏武斗「さっきから一々口出してくんじゃねえええ！！」


夏武斗「俺はレベル２のハイスピード・センチピードとレベル３のビートルーパーにレベル３のブルズアイ・フェアリーをチューニング！」




密林の王者よ！燃えたぎる闘志をその身に宿し、猛き一撃で勝利を掴め！



シンクロ召喚！



出でよ！『ヴィクトリー・ビートル』！星８・ＡＴＫ２５００




アリス「シンクロ使い！？やだなんであんたみたいなガキンチョがあたしと一緒なのよ！！」


夏武斗「このままバトルだ！！ヴィクトリー・ビートルで、御伽現影トランプ・ソルジャーを攻撃！」


夏武斗「ヴィクトリーホーン・ストライク！！」


トランプの身体は大きな角に貫かれる。


アリス「っ…！！いった～い！！」ＬＰ４０００→３４００


夏武斗「まだまだ！ヴィクトリー・ビートルはモンスターを戦闘破壊した時、もう一度だけ続けて攻撃できる！！」


アリス「はぁぁ！！？」


夏武斗「もう一発いけええ！！ヴィクトリー・ビートルでダイレクトアタック！！」


アリス「っきゃあああ！！！」ＬＰ３４００→９００


夏武斗「っしゃあああ！！先制攻撃だぜ！！」




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天音「私のターン！ドロー！！」


天音「こんな大事になってしまって…ただじゃ済みませんよ！」


ヴァルト「元よりその覚悟で参りました。お気遣いなきよう…。」


天音「っ！！」


ヴァルト「アリス様に遅れを取るわけには参りません…。話す事はない…戦う気が無いのなら速やかにサレンダーを……」


天音「だったら無理矢理にでも話を聞かせてもらいます！！私は『荒天使 ストーミィ』を召喚！」星４・ＡＴＫ１６００
暴風を纏う新たなお天気エンジェル。


天音「荒天使ストーミィのモンスター効果発動！このカードを手札に戻し、更に手札１枚を墓地へ送ることで、このターン自分はもう一度通常召喚ができる！」

手札のカードを墓地へ捨てる天音。


ヴァルト「ですがそれでは結果的に手札を１枚捨てただけ……それに一体何の意味が」


天音「ありますよ！私は『曇天使 ヴェルクト』を召喚！」星３・ＡＴＫ１２００


天音「曇天使ヴェルクトのモンスター効果発動！このカードが召喚に成功した時、墓地から守備力０の天使族モンスター１体を特殊召喚できる！」


天音「私は先程墓地へ送った『炎天使 バニング』を特殊召喚！！」星６・ＡＴＫ２２００


ヴァルト「成程……そう来ましたか。」


天音「更に私は魔法カード『倍雨前線（ダブルレイン・フロント）』を発動！」


天音「自分フィールド上のモンスター１体は、このターンエクシーズ召喚に使用する場合２倍のレベルとして扱う事ができる！」


天音「これで曇天使ヴェルクトは、このターンレベル６としてエクシーズ素材にできます！」


ヴァルト「エクシーズ……。」


天音「私はレベル６扱いの曇天使ヴェルクトとレベル６の炎天使バニングでオーバーレイ！」


天音「２体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築！」



エクシーズ召喚！


現れよ！天光の海を翔る優しき翼！『晴天竜 クリアースカイ・ドラゴン』！ランク６・ＡＴＫ２８００



ヴァルト（ただの通りすがりかと思いましたが……この方々、ただのヒーロー気取りではなさそうですね。）


天音「バトルフェイズです！！クリアースカイ・ドラゴンで、ツインソードナイトに攻撃！」


天音「サンライズ・ノヴァ！！」


閃光がツインソードナイトの身体を包み込む。


ヴァルト「くっ……！」ＬＰ４０００→２９００





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仁「俺のターン…ドロー。」


仁「俺は永続魔法『悪夢のミラーゲート』を発動。」


仁「この効果により相手フィールド上のモンスター１体と同じレベルの闇属性モンスター１体を手札から特殊召喚する。」


仁「俺はレベル４のデュアル・トルーパーを選択。」


デュアル・トルーパーを映した鏡が黒く曇っていく。


一切の光を通さぬほど暗くなった後、中からモンスターが飛び出す。


仁「そしてレベル４の『忠誠の魔妖兵』を特殊召喚。」星４・ＤＥＦ１２００


仁「そして俺は忠誠の魔妖兵をリリース…。」


仁「『豪気の魔妖兵』をアドバンス召喚する…！」星５・ＡＴＫ２０００


双葉「１ターンで上級モンスターを…！」


仁「更にこの瞬間、忠誠の魔妖兵のモンスター効果が発動する。」


仁「このカードが闇属性モンスターをアドバンス召喚する為にリリースされた場合、墓地のこのカードを表側守備表示で特殊召喚する！」星４・ＤＥＦ１２００


仁「そしてこの効果で特殊召喚されたこのカードのレベルは、アドバンス召喚したモンスターと同じになる。」星４→５


双葉「レベル５のモンスターが２体並んだ…！」



仁「俺はレベル５の忠誠の魔妖兵と豪気の魔妖兵でオーバーレイ！」



仁「２体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築！」



エクシーズ召喚！


現れよ！深淵を駆ける瞬速の槍！ランク５！『冥獄の猛将 ナイトメア・エッジ』！ランク５・ＡＴＫ２５００



双葉「……この人、そう簡単には倒せそうにないみたい。」


仁「冥獄の猛将 ナイトメア・エッジの効果発動！」


仁「１ターンに１度、オーバーレイユニットを１つ使う事で、手札の闇属性モンスター１体を特殊召喚する！」


仁「俺は手札より『深怨の魔妖兵』を特殊召喚！」星７・ＡＴＫ５００
どす黒い武装で全身を覆った大型の魔人


双葉「最上級モンスターまで！？」



双葉（あぁもう…ツいてないなぁ…！）



仁「深怨の魔妖兵の攻撃力はそのレベル×３００ポイントアップする。」ＡＴＫ５００→２６００


仁「…バトルフェイズ！ナイトメア・エッジでデュアル・トルーパーを攻撃！」


仁「デモニックランス！」


双葉「くううぅ！！」ＬＰ４０００→３３００




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（ジェネシック・エレクトロニクス本社・１階ロビー受付）




「もう一人居たぞ！！追えええ！！」
「おい……アイツ…！！」
「まさか…嘘だろ！？」
「な、なんだ…！？うわああっ！！」


ビル中央の吹き抜け部分。
ガラス窓を素手で破壊するマヘル。




ロバート「ん？……って、なんだありゃ！？」



ロバート「お、おいまさか…」



１１階部分よりビル内の吹き抜けを一気に飛び降りる。

驚愕する大勢の社員に見向きもせず急速に落下していく。

数秒の内に急加速したその身体は１階の床タイルに叩きつけられる。







爆音と砂煙で周辺の視界が一瞬閉ざされる。


「ほ、ホントに落ちたぞ！！」
「……と、とりあえず確保だそいつを…」
「な、なんなんだ一体……。」






砂煙に咳込む社員たち。

ロバート「げほげほ！………んな！？」



砂煙が晴れる直前、ロバートの真横を猛スピードで駆けていくマヘル。


「に、にに、逃げたぞおお！！」
「おい！あいつパラシュートとか着けてなかったぞ！！？」
「とても生きているわけ…！！」
「連絡を！とにかく連絡だ！！こういうときはえーっと…」







ロバート「に……」


ロバート「人間かよ…？…あれ」




終











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（次回予告）


仁「豪快にビルに乗り込んだと思えば…盗んだのはあの機材だけ、一体何を。」


夏武斗「そんなもんとっ捕まえりゃ分かるって！今はデュエルだぜ！」


天音「夏武斗君気を付けて！この人達…只物ではなさそうです！」


仁「ﾁｯ…今はそんなこと考えている場合ではないか。」


仁「次回『交わる刃』」


夏武斗「あああ！！バカって言った！アイツ俺の事バカって言った！」

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・今更ながら３つ同時進行はやや分かりにくかったかもしれません……。