87 一人じゃないから　作：ギガプラント

ヴァルト「ニダヴェリア・アーツの攻撃ヲ耐えタノは素直に称賛致しマす。」


ヴァルト「デすが私達の『界精』はあらユる効果を受ケ付けマせン。」


アリス「つまリ！アンタに勝チ目なんテ無イってコとよ！」


アリス「もう防御手段モ無いでショう、これガアンタのラストターンよ！」


アリス「界精の攻撃ヲ受ケレば数か月は眠ったマま！アンタが起きルより先に人間皆消エちゃッテるわね！！きゃッハは！！」


光輝「君はまたそんなことを！」



アリス「うっさいウッサイうっさいウッサイうっさい！！！イラつくノよ！アンタ達ミたいな大人も！！コンな世界も！！」



アリス「誰もあたしを愛してクれない世界なんていらなイ！！」


アリス「皆ミンな居なクなッチャえバいいンだ！！！」


アリス「消しテやる！！皆消エて無くナッチゃエ！！」


光輝「そんな事ない！本当に誰からも愛されない人なんて、この世にはいない！」


光輝「ヴァルトさん！貴方なら分かるんじゃないんですか！」


ヴァルト「…愛すル物を自ら亡くシた私に、そんナ事を説く道理はアりまセン。」


ヴァルト（それニ…私ニできる事はもう贖罪のミ。）


ヴァルト「行いが正しイカどうかはもう関係ない！！私は命アル限りアリス様に仕えルのみ！！」


光輝「…貴方達は。」


奏「…可哀想。」


光輝「どうしても聞く耳を持たないなら仕方ない。僕は………このデュエルに勝って君達も世界も守る！！」



光輝「僕のターン！！」


奏（お願い…！）



光輝「よし！僕はチューナーモンスター『Ｒ・Ｆ－プチオペレーター』を召喚！」星２・ＡＴＫ５００


アリス「チューナーモンスター！！？」


光輝「行くぞ！これが最後の賭けだ！」


光輝「僕はレベル８のゴールド・ヴィクトリーにレベル２のプチオペレーターをチューニング！」





燃え上がれ、絶対王者の魂！！完全勝利の雄叫びよ！その輝きを世界中へ示せ！！



シンクロ召喚！



光り輝け！！『Ｒ・Ｆ－アルティメット・ジャスティス』！！星１０・ＡＴＫ３０００





ヴァルト「更に上位ノシンクロモンスターを…！」


光輝「光輝球体の効果で攻撃力は５００アップ！」ＡＴＫ３０００→３５００


アリス「ふン！それデモたッタの３５００ジゃない！スヴァルティア・ダークにハ全然足りなイわ！！」


奏「いいえ…。」


光輝「まだまだ…これからさ！！」


光輝「僕はアルティメット・ジャスティスの効果発動！」


光輝「ターン終了時まで、フィールド上に攻撃表示で存在するモンスター１体につき、攻撃力を５００ポイントアップする！」


アリス「！！？」


ヴァルト「そンな効果、コノ状況デ使わレたラ…！！」


光輝「アルティメット・ゴールデン・フォース！！」ＡＴＫ３５００→６５００


奏「よし！これで攻撃力は上回った！」


光輝「まだだ！このターンでライフを削りきる！」


光輝「僕は更に永続魔法『光輝球体』を墓地へ送って効果発動！」


光輝「Ｒ・Ｆモンスターの攻撃力をターン終了時まで１０００アップする！」ＡＴＫ６５００→６０００→７０００


光輝「そして永続魔法の数が減った事により、スヴァルティア・ダークの攻撃力もダウンする！」


アリス「っ！」ＡＴＫ６０００→５０００


光輝「最後にもう一枚！」


ヴァルト（まだ上がるというのか…このままではアリス様が…！）


光輝「魔法カード『我が身を賭して』発動！」


ヴァルト「………………」


光輝「自分のモンスター１体は、このターンのエンドフェイズに破壊される代わりに、攻撃力がそのモンスターの元々の攻撃力分アップする！」ＡＴＫ７０００→１００００


アリス「攻撃力……１００００…。」


奏「まさか……ここまでやるなんて…。」


奏（ホント……凄いんだから。）



光輝「行くぞ！！バトルフェイズ！！！」


アリス「あ………あぁ…！」


光輝「Ｒ・Ｆ－アルティメット・ジャスティスで、幻界精スヴァルティア・ダークに攻撃！！」



光輝「ゴールデン・アルティメットフィストオオオオオオォォォォォォ！！！！！！」



アリス「っ！！！？」







ヴァルト「アリス様！！」







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アリサ「それに、何かあったらヴァルトが守ってくれるもんね！」




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ヴァルト（アリサ様……）






ヴァルト（私は…また守れないのか？）



ヴァルト「また………。」








ヴァルト「っ！まだ……まだ間に合う！！！」




アリスの前へと駆けだし、両手を広げ仁王立ちするヴァルト。


奏「えっ！？」


光輝「何をっ！！？」


アリス「ヴァ……ルト？」



ヴァルト「ニダヴェリア・アーツのモンスター効果発動！！！」


ヴァルト「相手モンスターの攻撃宣言時！攻撃対象をこのカードに変更する！！」


光輝「なっ！？」


アルティメット・ジャスティスの輝く鉄拳が、ニダヴェリア・アーツごとヴァルトの身体を大きく吹き飛ばす。



ヴァルト「っああああああぁぁぁぁぁぁ！！！！！！」ＬＰ３５００→０


ホールの壁に大きく叩きつけられる。


ヴァルト「っぐ………ｶﾊｯ！！」




奏「そ、そんな……アリスちゃんを庇って…。」


光輝「ヴァルトさん…。」





アリス「ヴァルト……？」


何が起きたか分からないといった様子で、弾き飛ばされたヴァルトに近づくアリス。


アリス「ちょっと………何、寝てんのよ？早く起きなさいよ…？」


アリス「アンタ、あたしの執事でしょ？使用人でしょ？あたしの言う事なんでも聞くんでしょ……？」


アリス「ほら……何、して……ねぇ…ヴァル……。」


アリス「ヴァルト……ヴァルトオオ！」



奏「………。」


光輝「………。」




奏「アリスちゃん。」


奏「もう、やめよう？これ以上はもっと悲しくなるだけよ。」


光輝「奏…。」


奏「ヴァルトさんも早く手当しな……」
アリス「ユルさなイ…。」


奏「っ！？」


アリス「アンた達、二人とモ！！！」



アリス「あタシのターン！！！」


光輝「！！！」


奏「アリスちゃん！！！」


奏（今の光輝にはもうカードが…！）


アリス「今度こソ終わリ！！！スヴァルティア・ダーク！！！ダイレクトアタック！！！」


アリス「消シ飛べエええエえエエええエえ！！！！」


光輝「っ！？」


奏「待って！！！」


光輝の下へ駆けだす。




光輝（奏！？）





光輝「駄目だ！来るなああああ！！！」


奏「っ！」


光輝の声に驚き、立ちすくむ。



光輝「がああああああぁああああああぁあああ！！！！」ＬＰ９００→０



奏「あぁ……光輝いいいいいいぃぃぃぃぃぃ！！！！」


その場でゆっくりと倒れる。


奏「そんな………なんでこんな…。」


アリス「あハははハはハハはっはハハはッはっはハッハはハは！！！！！！」


アリス「悲しイ？悲しい！！？ざまアミろッつ－ノ！！！安心しナさい！！アンタもスぐにお寝ンネさセてアゲルわよ！！！」


奏「貴女…！！」


アリス「誰かラモ愛サれナい人ナンテ、この世ニはいナい？？？寝言言っテんじゃないワヨ！！！」


アリス「ソンナノアンタ達大人の綺麗事ジャない！！！無様過ギるッツーの！！！」


アリス「あたシは誰も愛したりしナい……誰カらも愛さレナいなら全部壊しテやる！！！ハハハハッハハッハハッハ！！！！」










奏「…嘘つき。」










アリス「はぁ？何言ってンノあんタ？ついニおかシクなッちゃっタ？きゃハハ！！」


奏「誰も愛さない？誰にも愛されない……？」


奏「じゃあ、」






奏「なんで貴女、泣いてるのよ！！！」


アリス「！？」


いつのまにかアリスの両目から大粒の涙が零れ落ちている。


奏「ヴァルトさんが貴女を庇った時、何も感じなかったの！？」


奏「贖罪だかなんだか知らないけど、そんな理由で自分を犠牲にしてまで飛び出せるわけないじゃない！！」


奏「そこまで思われてて、自分は誰からも愛されない？笑わせんな！！」


アリス「な、な………。」


奏「貴女だって、そんな彼がやられたから悲しいんじゃないの？」


奏「誰も愛さない人は、他人の為に涙を流したりしない。」




奏「貴女は……一人じゃないの！」




アリス「あぁ……アァあア……っ！」


アリス「…るさい」


アリス「うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい！！！！！」


アリス「ターンエンド！！」


奏「くっ…！」


アリス「これがアンタの最後のターンよ！」


アリス「言っとくけどスヴァルティア・ダークには貫通効果があるわ！守備表示で時間稼ぎも無駄よ！」


アリス「もう終ワり…終ワりなノよ！！」


奏（駄目だ……もう聞く耳を持っていない。）


奏（でも私のデッキにあのモンスターを倒せるカードなんて……。）




奏「……いや、諦めちゃ駄目。」


奏「ここまで繋いでくれた光輝の為にも……絶対、諦めないんだから！！！」



奏「私のターン！！ドロー！！」



奏「くっ……！」


奏（このカードじゃ…。）


アリス「ドう足掻いテもモウ終わリよ！ターンエンドシナさい！」


奏「嫌よ！まだ……まだ何か手があるかもしれない！」


アリス「悪アがき！！」


奏（落ち着いて……いつも子供達に言ってる事じゃない！冷静に状況を分析して…。）


奏「……！」

自分フィールドに送られていたR・F－エナジー・コンダクターに目を向ける。


奏（光輝も力を貸してくれた…！だから絶対…！）


奏「そうか…！」



奏「まだ！手はある！」


アリス「っ！？」


奏「魔法カード『戦士の生還』を発動！墓地の戦士族モンスター１体を手札に加える！」


奏「私は墓地から『騎楽士 カンタービレ』を手札に加えて召喚！」星３・ＡＴＫ１０００


奏「更に！私は魔法カード『二重奏の力（デュエット・フォース）』を発動！」


奏「自分フィールドのモンスター１体をリリースする事で、ターゲットとした別のモンスター１体の攻撃力は、リリースしたモンスターの攻撃力の半分だけアップする！」


奏「私は騎楽士ダルセーニョをリリース！エナジー・コンダクターの攻撃力は２６００の半分、１３００ポイントアップ！」ＡＴＫ２４００→３７００


アリス「だかラなんダッテノよ！ソンなンジャ全然攻撃力ハ足りなイワ！！」


奏「えぇそうよ。でも私の目的はそこじゃない！」


奏「Ｒ・Ｆ－エナジー・コンダクターの効果発動！」


奏「このカードの攻撃力が２９００以上の時、自分フィールドのモンスター１体は、このターン中カード効果では破壊されない！」


奏「ターゲットはカンタービレ！そしてカンタービレの効果も発動！」


奏「このカードが自分フィールドのモンスターの効果のターゲットとなった時、カードを１枚……ドローする！！」


アリス「何よ！！結局運頼ミじゃナイ！！！」



奏（ホントにこれが最後のチャンス！！）


奏「お願い………！ドロー！！！」




奏「…………」








奏（光輝……ありがとね。）












奏「私は魔法カード『ソリテュード・フィナーレ』を発動！」


アリス「何を…！」


奏「相手フィールドにモンスターが１体のみの時、自分のモンスター１体のコントロールを相手に移す。」


奏「コントロールを移すのは、私のエース、騎楽極士フォルティッシモ！」


アリス「な、何よ…なんダって…」



奏「大丈夫、一人じゃないから！私も………貴女も！！」



奏「そしてコントロールを移した後、相手の魔法罠カードを全て持ち主の手札に戻す！！」


アリス「っ！！」


奏「恐がらなくていい！童話の外にも！幸せは沢山あるの！！」


奏「魔法罠カードが減った事により、スヴァルティア・ダークの攻撃力もダウンする！」ＡＴＫ５０００→０


アリス「あ……あぁ…。」


奏「バトルフェイズ！騎楽士カンタービレで、幻界精スヴァルティア・ダークを攻撃！」


アリス「きゃあああああ！！！！」ＬＰ３６００→２６００


奏「ソリテュード・フィナーレの効果によってコントロールが移ったモンスターは、相手のモンスターが破壊された時、一緒に破壊される！」


身体が透明になっていくフォルティッシモ。
最後にアリスの方を振り向き、微笑みかける。


アリス「そ、そンな……。」


奏「いくわよ！！Ｒ・Ｆーエナジー・コンダクターでアリスちゃんにダイレクトアタック！！」


奏「エナジー・エミッション！」



アリス「いや……いやああああああ！！！」ＬＰ２６００→０




ＷＩＮ・奏＆光輝





奏「光輝！」


双方のバインドアンカーが外れ、身動きがとれるようになる。
すぐさま光輝の下へ駆け寄る奏。


奏（良かった……気を失っているだけみたい。）


奏「全くもう…。」




奏「心配させて……ｸﾞｽｯ。」





終










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（次回予告）


アリス「ヴァルト……アタシ達ってなんなのかな…？」


ヴァルト「…申し訳ございません。私にも分かりません。」


アリス「そっか……そうだよね。」


ヴァルト「覚悟はできております。この無能な使用人になんなりと罰を…」


アリス「ううん。もういい………もういいんだ。」


奏「二人とも……ねぇ？何よこれ？」


アリス「次回、『尽きぬ欲望、暗躍のカードコレクター』」


フードの男「エクセレント……素晴らしいカードだ。」
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・エンド宣言しないままターンが移っていますが、遊戯王ならよくある事だよね。