63 神龍演舞　作：ギガプラント

店主「さぁ龍さん！！覚悟しなあああ！！」


夏武斗（３回攻撃が来る……！）


店主「俺は酒豪魔獣－ドゥンケルベロスで、神鳴雷光龍－ライトニングシェンロンを攻撃ぃ！！」


店主「ドリンクネス・バイトォ！！」



龍さん「そう簡単に貰ってやるわきゃねえだろ！！罠発動！『星神力』！」


龍さん「自分のモンスター１体のレベルを任意の数だけ下げ、下げた数×２００ポイント自分のライフを回復する！」


龍さん「そしてそのモンスターはこのターン戦闘では破壊されない！！」


龍さん「俺はライトニングシェンロンのレベルを６つ下げ、１２００のライフを得る！！」星１０→４　ＬＰ１０００→２２００


店主「ふん！でもダメージは受けてもらうよ！！」


龍さん「ちっ！少しくらいくれてやらぁ！」ＬＰ２２００→１５００


店主「まだまだ！ドゥンケルベロスはこのターン３回攻撃できるって言ったろ！」


店主「まだ攻撃は残ってるんだよ龍さん！！２回目！ドゥンケルベロスでライトニングシェンロンを攻撃だ！！」


龍さん「ぐおっ！！」ＬＰ１５００→８００


夏武斗「おっさん！！」


龍さん「けっ！この程度か大将！！」


店主「これを食らっても同じ事が言えるかい！？三回目ぇ！！」


龍さん「ぐおお……！！」ＬＰ８００→１００



店主「なんとか首の皮一枚ってところかい！命拾いしたね龍さん。」


店主「けどそいつのレベルは１０なんだろう？ならレベル１まで下げればもっと回復できたじゃないか。この状況で更に手加減かい！舐められたもんだね。」


龍さん「更に手加減だぁ？悪いな大将、俺はそこまで優しかぁねえ！！」


夏武斗（ライフが少ないこの状況で最低限しかライフを回復しないなんて…。）


夏武斗「一体…。」


店主「ふんっ！俺はカードを１枚伏せてターンエンドだ。さぁ、どうする？」



龍さん「おっしゃ！俺のターン！ドロー！！」


店主（流石に何かを企んでるみたいだね龍さん…けどこっちのライフは８０００、そう簡単には削れないよ！）


店主「この瞬間ターンプレイヤーのモンスターから酔いカウンターが１つ取り除かれる。」


龍さん「攻撃力が３００アップ…だが、もうそんなこたぁ関係ねえ。」ＡＴＫ２２００→２５００


龍さん「俺は！『超自然気龍－エレメンタルシェンロン』を通常召喚！」星１・ＡＴＫ０
霊気を纏う白い幼龍。


店主「そんなちっこいのに何ができるってんだい！駆け付け三杯発動！」


３つの盃が飛んでくる。


龍さん「こいつも元々攻撃力が０だから変わらねえよ。」


龍さん「ちっこいからって甘く見てんなよ？俺はエレメンタルシェンロンのモンスター効果発動！」


龍さん「こいつのレベルを自分フィールドのドラゴン族モンスター１体と同じにする！ライトニングシェンロンを選択するぜ！」星１→４


店主「レベル４が２体に…！」


夏武斗「これを狙っていたのか！」


夏武斗（モンスターを守りつつ次のターンの布石を打っていたのか…。）


店主「同じレベルのモンスターって事は…エクシーズ召喚ってやつかい！？」


龍さん「いんや、エレメンタルシェンロンはエクシーズには使えねえ効果がある。」


龍さん「それにそういうの性に合わなくってなぁ。俺は昔からこれ一本って決めてんのよ！」




龍さん「俺は！レベル４のライトニングシェンロンにレベル４のエレメンタルシェンロンをチューニング！！」


店主「チューニングだって！？」


夏武斗「あのモンスター、チューナーだったのか！」





覚醒せし無限の力！！天を統べ、地を統べ、最たる者の威光を示せ！！



シンクロ召喚！！



現れろ！レベル８！！『超越神輝龍－トランセンデンスシェンロン』！星８・ＡＴＫ２０００






金や銀、様々な光を放つ神々しき神龍。


店主「ふ、ふん！駆け付け三杯の効果発動だ！！攻撃力を下げさせてもらうよ！」ＡＴＫ２０００→１１００


店主「その攻撃力じゃあ俺のドゥンケルベロスには全然足りない！！シンクロモンスターが来たからってこっちの有利は変わらないよ！」


龍さん「さぁ…そいつはどうかねぇ。バトルだ！！」


夏武斗「！？」


龍さん「トライセンデンスシェンロンで酒豪魔獣－ドゥンケルベロスを攻撃ぃ！！」


店主「なんだって！？攻撃力はこっちの方がずっとずっと高いじゃないか！！」


龍さん「慌てんな大将！！この瞬間！トライセンデンスシェンロンのモンスター効果発動！！」


龍さん「コイツが相手モンスターに攻撃する場合、バトルフェイズ終了時までこのカードの攻撃力は２０００ポイントアップする！！」


店主「に、２０００ポイントだってぇ～！！？」


龍さん「ほら、これなら届くだろ！！」ＡＴＫ１１００→３１００


店主「のわあああ！！！」ＬＰ８０００→７８００


夏武斗「す、すげえ…！」


龍さん「どうでい大将！！まいったか？」


店主「馬鹿言うんじゃないよ！罠カード『飲み直し』を発動！」


店主「酔いカウンターの乗ったモンスターが破壊された時、そのモンスターを墓地から特殊召喚する！」


店主「もう一度ドゥンケルベロスを特殊召喚だ！！」星８・ＡＴＫ２０００


龍さん「ははっ！そうこなくっちゃなああ！！」


店主「駆け付け三杯の効果発動！さあさあ飲み直しだ！！」ＡＴＫ２０００→２９００


夏武斗「ドゥンケルベロスが蘇った！？」


龍さん「バトルフェイズ終了時、トライセンデンスシェンロンの攻撃力は元に戻る。」ＡＴＫ３１００→１１００


龍さん「俺はカードを１枚セット、ターンエンドだ。」



店主「俺のターンだ！ドロー！」


店主「まずはドゥンケルベロスの酔いカウンターが１つ取り除かれる！」ＡＴＫ２９００→２６００


店主「だが本当の酔いはこれからだ！！魔法カード『鬼殺し』を発動！」


店主「ドゥンケルベロスに酔いカウンターを更に３つ乗せる！さぁたんと飲みなぁ！」ＡＴＫ２６００→３５００


龍さん「ひゅ～♪羨ましいねえ。」


店主「更にドゥンケルベロスの効果も発動だ！このターンコイツは乗っている酔いカウンターの数だけ攻撃できる！！」


夏武斗「今乗ってるカウンターは…５つ！？」


龍さん「５回攻撃か……こりゃマズいかもなぁ。」


店主「そいつの攻撃力増強効果は自分から攻撃する時だけ！ならこっちから攻撃するなら問題ないね！！」


店主「さぁ観念しな！俺はドゥンケルベロスで、トライセンデンスシェンロンを攻撃！」


龍さん「おおう…！怖ぇ怖ぇ。」



夏武斗（おっさん……こんな状況でも笑ってる。いや楽しんでる…！？）



ドゥンケルベロスが３つの首でそれぞれ牙を光らせながら襲い掛かる。


夏武斗（どうして……。）









龍さん「夏武斗。」


夏武斗「っ！？」


龍さん「何驚いてやがる。」


龍さん「このピンチでどうして笑ってんだコイツ。って顔してるぜ？」


夏武斗「だって…！」


龍さん「こないだの時のてめぇもそうだったじゃねえか。何を驚く事があんだよ。」


夏武斗「っ！」


龍さん「絶体絶命のピンチで、逆転のカードをドローしてお前は大将に勝った。」


龍さん「前のお前さんは何処行っちまったんだよ？何があったか知らねえが、てめぇはそんな玉じゃねえだろ！！？」


夏武斗「………！」





店主「これで終わりだあああ！！！」





龍さん「ははっ！永続罠発動！！『竜皇の眼力』！」


龍さん「自分フィールドにレベル５以上のドラゴン族モンスターが存在する限り、対象とした相手フィールドのカード１枚の効果を無効にする！」


店主「何だって！？」


龍さん「無効にすんのは当然駆け付け三杯だ！」



トライセンデンスシェンロンの眼光が駆け付け三杯のカードを捉える。



龍さん「そいつさえどうにかしちまえばカウンターがどんなに乗ってたって変わらねえ！前もそうだったよなぁ大将！」


店主「しまった！ドゥンケルベロスの攻撃力が…！」ＡＴＫ３５００→２０００


龍さん「こっちの攻撃力も元通りだぜ！」ＡＴＫ１１００→２０００



双方のモンスターが共に力尽きる。



夏武斗「あ、相打ち…！」


龍さん「おおう！派手にドンパチしたなぁ！さぁこれで終わりかい？」


店主「くううう！！」



店主（くそぅ…！流石龍さんってところだね。ライフを８０００貰ってなかったらもう絶体絶命の大ピンチだったよ。）


店主（だけどまだこっちのライフは７８００もある……体制を立て直すには充分間に合う。）


店主「ターンエンドだ！！」







龍さん「さぁこっからが本番だ！！！俺のターン！ドロオオオォォォ！！」


店主「…！」


龍さん「お！いいもん引いたぜ！俺は魔法カード『復活の龍脈』を発動！！」


龍さん「この効果で墓地の『超越神輝龍－トランセンデンスシェンロン』を復活させる！！」星８・ＡＴＫ２０００


龍さん「レベル５以上のドラゴン族モンスターが召喚された事により、駆け付け三杯の効果はまた無効になる！」


店主「くっ…！」


龍さん「そして復活の龍脈の効果により、大将は自分の墓地からモンスターを３体特殊召喚しなきゃならねえ。さぁ好きなのを選びな。」


夏武斗「３体も…！？」


店主「デメリットって訳か。俺は『白酒豪鬼 ヴァイツェン』『黒酒豪鬼 スタウト』『酒豪魔獣－ドゥンケルベロス』を全て守備表示で特殊召喚！」ヴァイツェン星３・ＤＥＦ１０００　スタウト星４・ＤＥＦ１２００　ドゥンケルベロス星８・ＡＴＫ１８００


店主（壁になるモンスターは３体いる。まだ次のターンで…！）






龍さん「次のターンで……とか考えてんのか大将？」


店主「っ！！？」


夏武斗「えっ！？」


龍さん「やっぱデュエルで俺に勝つにゃあまだまだだなぁ！！」


龍さん「速攻魔法『竜の闘志』を発動！」


龍さん「このターン特殊召喚されたドラゴン族モンスター１体は、このターン相手フィールドの特殊召喚されたモンスターの数まで追加攻撃ができる！！」


店主「つ、追加攻撃だって～！！？」


龍さん「このターン特殊召喚されたのは３体！！よってトライセンデンスシェンロンは、このターン４回攻撃ができる！！」


龍さん「さぁバトルだ！！トライセンデンスシェンロンで、白酒豪鬼ヴァイツェンを攻撃！！」


店主「でもこっちのモンスターは全て守備表示だ！まだ俺のライフは…」
龍さん「おいおい大将もう忘れちまったのか？」


店主「な、なにを…。」


龍さん「トライセンデンスシェンロンのモンスター効果発動！このカードが攻撃する時、バトルフェイズ終了時まで攻撃力が２０００ポイントアップする！」ＡＴＫ２０００→４０００


店主「どんなに攻撃力を上げたって…。」


龍さん「次は黒酒豪鬼スタウトを攻撃ぃ！！」


龍さん「もう一度効果発動だ！このカードが攻撃する時、バトルフェイズ終了時まで攻撃力が２０００ポイントアップする！」ＡＴＫ４０００→６０００


店主「んなあああ！！まさか…！！」


龍さん「やっと気づいたか！けどもう遅いぜ！？」


龍さん「確かにダイレクトアタックできるのはたったの一発だ。だがその一発をアンタは受けきれるかなぁ？」


夏武斗「攻撃する度に……どんどん攻撃力が上がっていく…！」


龍さん「続けて酒豪魔獣－ドゥンケルベロスを攻撃だ！！」


龍さん「もう一発効果発動！！攻撃力２０００アップだああ！！」ＡＴＫ６０００→８０００


店主「そんなことが…あるってのかい…？」




龍さん「さぁ最後だ！超越神輝龍－トランセンデンスシェンロンで大将にダイレクトアタック！！！」




店主「な、なな、ぬあああぁぁぁ！！！」ＬＰ７８００→０




ＷＩＮ・龍さん









龍さん「よっしゃ！大将、約束は忘れてねえよなぁ？」


店主「くううう！！なんてこったい！」


龍さん「はっはっは！！今度はライフ１００００くらいにすっか？はっはっは！！」


店主「次は無いよ！！次こそ絶対払って貰うからね！！キィーーー！！！」


龍さん「分かった分かったそう熱くなんなって！！なぁ夏武斗………ってありゃ？」



龍さん「アイツ……いつの間に…。」











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夏武斗「すっげぇなぁ…。」


夏武斗（ホントに８０００対２０００で勝っちまった…。）


夏武斗（あのおっさん、プロデュエリストかなんかかな…。）



トボトボと歩き、ふと目についたベンチに腰を下ろす。



夏武斗（俺があれくらい強かったら……ヴィクトリー・ビートルを奪われずにすんだのかな。）


夏武斗「ハァ…。」




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龍さん「こないだの時のてめぇもそうだったじゃねえか。何を驚く事があんだよ。」


夏武斗「っ！」


龍さん「絶体絶命のピンチで、逆転のカードをドローしてお前は大将に勝った。」


龍さん「前のお前さんは何処行っちまったんだよ？何があったか知らねえが、てめぇはそんな玉じゃねえだろ！！？」



～～～ ～～～ ～～～ ～～～ ～～～ ～～～



夏武斗（俺らしくないなんて事分かってるよ…。）


夏武斗（だけど……だけどさ…。）


夏武斗（俺はずっと…アイツと一緒に……）






夏武斗「………」
















？「もし？大丈夫ですか？」


夏武斗「………ん」


修道女のような服装の女の子が夏武斗を覗き込んでいる。
身長や容貌は夏武斗とそれほど変わらないが、服装のせいか大人びた雰囲気のせいか年上であることが伺える。


夏武斗「………姉ちゃんは？」


女の子「そこの礼拝所の者です。差し出がましいとは思いましたが、近頃熱中症で倒れる方が増えてきているそうですので。」


夏武斗（礼拝所…？）


ベンチの後方、都会に似合わないこじんまりとした礼拝堂が立っている。


夏武斗（あれか。）


夏武斗「あぁごめん……俺ぼーっとしてたからか。」


女の子「宜しければ冷たいものでも飲んでいかれますか？大した物はご用意できませんが。」


夏武斗「えっ…いや別に。」


女の子「遠慮ならなさらないでください。それに少しは涼しいと思います。」


不思議と神々しい笑顔を見せる。


夏武斗「あ、ありがとう………え、と。」


女の子「あ、自己紹介がまだでしたね。」


女の子「私の事は蘇芳（すおう）。そう御呼び下さい。」



蘇芳「さぁ、どうぞ。」





終










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（次回予告）


夏武斗「なぁ天姉？れーはいじょって何だ？」


天音「礼拝所…ですか？うーんなんて言えばいいんでしょう…辞書的には『宗教的な崇敬の対象となっている場所』とありますが…」


夏武斗「…よく分かんねえな。」


天音「正直私も詳しくは解りません。神様にお祈りを捧げる場所…といった感じでしょうか。」


夏武斗「へぇ～神様かぁ。」


夏武斗「次回!『引かれ合う力』！」


夏武斗「…難しい話は、よく分かんないよ俺。」
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・竜皇の眼力は指定した一枚を対象に取り続けて効果を無効にする永続罠です。上級ドラゴンがいないと効果が適用されないという事ですね。『魔法族の里』なんかが近いか…？
・『駆け付け三杯の攻撃力減少が上昇に変わる効果』は無効にならない。…という裏設定。辻褄合わせじゃないんだからね！