18 闇夜の挑戦者　作：ギガプラント

（Ｍ.Ｃ.Ｃデュエルセンター）


「本日もお疲れさまでしたぁ！！」

「よーし！終わり終わりっと！」

「あぁ疲れた疲れた…。」

「そういえば昨日の客がよぉ…。」

「帰りに飲みにでもいきますか先輩！」



まばらに散らばるスタッフ達。



仁「………」


スタッフ「おーい新入り！お疲れさん！」


仁「………」


スタッフ「かぁー！相変わらずクールだねぇ！はっはっは！」


仁「………」

スタスタと出入り口へと歩き去る仁。



天音「あれ？仁君ですか…？」


仁「……お前は、」


天音「天音です。花田天音。」


仁「今日はあいつと一緒じゃないんだな。」


天音「夏武斗君ですか…？流石にもうセンターの営業時間が終わっていますからね。今日はもうお帰りになりました。」


天音「今日はジュニアスペースの方に来てたんですけど、初心者の男の子にデュエルを教えてあげたりして大活躍だったんですよ。」


仁「…そうか。」


天音「ふふ、やっぱり気にかけてはいるんですね。夏武斗君の事。」


仁「…何を言っている。」


天音「いえ、すっかりお友達なんだなぁと。」


仁「…勝手に言っていろ。」


天音「仁君はもうお帰りですか？」


仁「ああ、それがどうかしたか。」


天音「あ、そういえばＭ.Ｃ.Ｃの社員寮に入れて貰えたんですよね。場所はもうご存知ですか？」


仁「…問題ない。」


天音「でも行くのは初めてですよね。良かったらご案内しましょうか？場所くらいなら私も……」


仁「問題ないと言っている。余計な気遣いは無用だ。」


天音「そうですか…。ではお気をつけて。」



仁「………」

歩き出す仁。




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（上波町・社員寮まで続く道）


仁「………」


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天音「ふふ、やっぱり気にかけてはいるんですね。夏武斗君の事。」


仁「…何を言っている。」


天音「いえ、すっかりお友達なんだなぁと。」

～～～ ～～～ ～～～ ～～～ ～～～ ～～～

仁「…ふぅ。」


仁（どうも楠夏武斗に関わって以来…碌なことにならんな。）


仁「…」


仁（考えても仕方ない…か。）







？「待たれい！！」






仁「！！」


大男「お前じゃな？お前じゃろう！？いやお前に決まっておる！！」


大男「見つけたぞぅ！！夜見原仁！！」


仁「…何者だ！？」


大男「儂の名は八取大駕（はとりたいが）！今ここでお前にデュエルを申し込む！！」


仁「…何故、と訊いて答えるような輩じゃないか。」


大駕「がっはっは！話が早くて助かるのう！では早速やりあうとするかい！！」


仁「ﾁｯ、言った傍から碌な事がない…！」





dPhoneモードチェンジ！Ｄパッドモード！



ターゲットロックＯＫ！



ビジョンリンクＯＫ！



ファーストディールＯＫ！



デュエル！！





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（Ｍ.Ｃ.Ｃデュエルセンター）


光輝「へぇ～それで彼女と闘ったってわけか。」


奏「そ、結構面白かったわよ。」


光輝「確かに。奏を負かす程の実力なら強力なライバルになりそうだね。」


奏「ちょっと…私負けたなんて一言も言ってないんだけど？あの娘に聞いたの？」


光輝「いや、君の顔を見ればなんとなくわかるさ。」


奏「…何よそれ、なんか腹立つわね。」


光輝「彼女もアストベリー杯に出場するそうだよ。それなりに実力が伴っているのは当然なのかもね。」


奏「…言っとくけど負けたっていっても本気じゃないわよ？あの娘の先生としての力量を量るためのデュエルなんだから。」


光輝「ははっ、分かってるよ。…だけど、やっぱり僕等もうかうかしていられないな。」


奏「相変わらずねアンタは…ニューフェイス相手に負けるような実力じゃあないでしょうに。」


光輝「それは分からないよ？つい最近苦い黒星を貰ったばかりだしね。」


奏「あぁ今日来てた…夏武斗君だっけ？あの子も大会出場者なのかしら。」


光輝「ああ。何でも大会に出る為に上波町まで越してきたらしい。」


奏「最近の男の子って活発なのねぇ…。」


光輝「活発なだけじゃないさ。少なくとも並のデュエリストじゃあないと思う。」


奏「…光輝がそこまで言うなんて珍しいわね。」


光輝「そうかな？…彼からは何かもっと特別な物を感じるんだ。大駕の力強さや奏の美しさとも違う、何か不思議な…」


奏「は、はああ！！？う、美しいとか、何言ってんのよ！！？」


光輝「謙遜する事ないんじゃないか？君の精練された戦術の美しさは誰もが認めると思うよ。」


奏「あ……戦術…。…あぁはいはい、ありがとうございますぅ！」


光輝「な、何怒っているんだ？」


奏「別に怒ってないわよ！」


光輝「そ、そうかい…？…あぁもうこんな時間か。割と遅くなっちゃったね。」


奏「…まぁ時期が時期だしねぇ…私達も当日はお休み貰えるんだから文句は言えないけどね。あー肩凝った。」


光輝「そっちももう上がりだろ？寮まで送っていくよ。」



奏「…勝手にすれば？」





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大駕「先攻は儂じゃあ！」


大駕「儂は『武装闘鬼（アームドオーガス） クファンジャル』を召喚じゃ！」星４・ＡＴＫ１４００

湾曲した剣を構えた鬼のモンスター。


大駕「更にカードを１枚セット！これでターンエンドじゃ！」


大駕「さぁ！おまえの実力を見せてみるがいい！」


仁（…暑苦しい奴）



仁「俺のターン、ドロー。」


仁「自分フィールドにモンスターが存在しない時、このカードはリリースなしで召喚できる。」


仁「俺は『豪気の魔妖兵』を召喚。」星５・ＡＴＫ２０００

筋骨隆々とした悪魔の兵士。大型のメイスを構える。


大駕「いきなり攻撃力２０００か！中々上等じゃのう！」


仁「ふん…。バトル、豪気の魔妖兵で武装闘鬼 クファンジャルを攻撃。」


大駕「おおっと！速攻魔法発動！『ハーフ・シャット』！」


大駕「モンスター１体はこのターン戦闘で破壊されなくなり、更に攻撃力が半減する！」


大駕「これでおまえのモンスターの攻撃力は１０００、儂のモンスターを下回る！」ＡＴＫ２０００→１０００


仁「くっ…！」ＬＰ４０００→３６００


大駕「それだけじゃあないわい！儂は更に武装闘鬼 クファンジャルのモンスター効果発動！」


大駕「このモンスターが戦闘を行った場合、そのダメージステップ終了時に手札から武装闘鬼モンスター１体を特殊召喚できる！」


大駕「儂はレベル４の『武装闘鬼 ハルパー』を特殊召喚する！」星４・ＡＴＫ１５００

鎌のような剣を２つ持った身軽な鬼。


大駕「バトルフェイズ中に特殊召喚されたハルパーはそのターンのみ攻撃力が１２００ポイント上昇する！…儂のターンじゃなくてちと残念じゃわい。」ＡＴＫ１５００→２７００


仁「…防御と同時に展開してきたか。」


仁「カードを１枚セット。ターンを終了する。」豪気ＡＴＫ１０００→２０００　ハルパーＡＴＫ２７００→１２００




大駕「ふふぅん！儂のターンじゃ！ドロゥ！！」


仁（レベル４が２体揃った…か。）


大駕「では早速…行かせてもらうとするかい！」


大駕「儂はレベル４の武装闘鬼 クファンジャルと武装闘鬼 ハルパーで、オーバー………！！！」








大駕「！！」








大駕（無いっ！無いっ！！）


大駕（し、しまったあああぁぁぁ～！！）


大駕（儂としたことが！！エクストラデッキを忘れてきてしまったあああ～！！）


大駕（ぐぐぅ…じゃが儂も漢じゃ！今更退くわけにはいかぬ！！）


大駕（上等じゃ！エクシーズモンスター無しで闘ってやるわい！！）


大駕「わ、儂は！武装闘鬼 ハルパーをリリース！！」


仁「！？」


大駕「武装闘鬼 ショーテルをアドバンス召喚じゃ！」星５・ＡＴＫ２３００

Ｓ字型の変わった剣を持った武装闘鬼。


仁（…？エクシーズ召喚してこないのか？）


大駕「バトルじゃ！儂は武装闘鬼 ショーテルで豪気の魔妖兵を攻撃！！」


仁「罠発動！『マジックアーム・シールド』！」


大駕「なんじゃとお～！？」


仁「攻撃モンスター以外の相手モンスター１体のコントロールを得て、攻撃対象をそのモンスターに変更する！」


仁「攻撃対象を武装闘鬼 クファンジャルに変更！」


大駕「ぐぅ…！じゃが戦闘ダメージはおまえじゃ！そのまま喰らえぃ！」


仁「………」ＬＰ３６００→２７００


大駕「更に！ショーテルが戦闘によって相手モンスターを破壊した時、効果が発動する！」


大駕「デッキから武装闘鬼モンスター１体を手札に加える事ができるんじゃ！」


大駕「儂は『武装闘鬼 フランヴェルジェ』を手札に加える！」


大駕（があああ！エクシーズさえできていれば罠も無効化できたもののぉ！！）


大駕「…カードを１枚伏せてターンエンドじゃ。」



仁「…俺のターン、ドロー。」


仁「俺は『デッド・プランドラー』を召喚！」星４・ＡＴＫ１５００


仁「デッド・プランドラーの効果発動。」


仁「フィールド上のレベル５以上のモンスター１体のレベルを１つ下げ、このカードのレベルを１つ上げる。」


仁「この効果により、お前のフィールドの武装闘鬼 ショーテルのレベルを１つ下げる。」ショーテル星５→４　プランドラー星４→５


大駕「儂のモンスターからレベルを奪い取るとは…上等じゃ！くれてやる！」


大駕（こっちはエクシーズができんしの…。）


仁「俺はレベル５の豪気の魔妖兵とデッド・プランドラーでオーバーレイ」


仁「２体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築！」



エクシーズ召喚！


現れよ！深淵を駆ける瞬速の槍！ランク５！『冥獄の猛将 ナイトメア・エッジ』！ランク５・ＡＴＫ２５００



大駕「ほう…！お前もエクシーズ使いか！上等じゃ！かかって来い！」


仁（お前『も』…ということはやはりこいつも…？）


仁「…冥獄の猛将 ナイトメア・エッジの効果発動。」


仁「オーバーレイユニットを１つ使い、手札の闇属性モンスター１体を特殊召喚する。」


仁「現れろ『先陣の魔妖兵』！」星６・ＡＴＫ２４００


大駕「む…更にモンスターを…。」


仁「バトルフェイズ！先陣の魔妖兵で武装闘鬼 ショーテルを攻撃。」


大駕「ぐ…じゃがダメージはたったの１００！痛くも痒くもないわい！！」ＬＰ４０００→３９００


仁「…ならばこれならどうだ、ナイトメア・エッジでダイレクトアタック…！」


大駕「そいつは貰えんのう！罠発動！『ピンポイント・ガード』！」


大駕「相手の攻撃宣言時、墓地からレベル４以下のモンスター１体を守備表示で特殊召喚する！」


大駕「さぁ蘇るんじゃ！武装闘鬼 クファンジャル！」星４・ＤＥＦ７００


大駕「更に！この効果で特殊召喚したモンスターはこのターン破壊されない！」


仁「ﾁｯ……攻撃は中止する。」


大駕「ふふ…それが賢明じゃな。」


仁「俺はこれでターンを終了する。」



大駕「儂のターン！ドロゥ！！」


大駕「夜見原仁…上等な実力じゃ、噂通りのようじゃな。」


仁「噂？…何のことを言っている？」


大駕「噂はただの噂じゃよ！儂は武装闘鬼 クファンジャルを攻撃表示に変更！」ＡＴＫ１４００


大駕「このままバトルフェイズ！！」


仁「バトルフェイズ…？お前…！」


大駕「その通りじゃ！攻撃力は劣っているが、クファンジャルにはモンスター効果がある！」


大駕「喧嘩上等！たとえ相手が自分より上手な奴じゃとしても！」


大駕「儂は武装闘鬼 クファンジャルで先陣の魔妖兵を攻撃！！」

剣を片手に特攻していくクファンジャル。しかし魔妖兵の片手剣で薙ぎ払い返される。


大駕「ぐぅぅ！！この瞬間クファンジャルのモンスター効果発動！！」ＬＰ３９００→２９００


大駕「このカードが戦闘を行ったダメージステップ終了時、手札から武装闘鬼モンスター１体を特殊召喚できる！！」


大駕「さぁ真打登場じゃ！！来い！『武装闘鬼 フランヴェルジェ』！！」星７・ＡＴＫ２４００

波打つ刃の大剣を抱えた大型の鬼。


仁「くっ…！」


大駕「武装闘鬼 フランヴェルジェの効果発動！！」


大駕「このカードがバトルフェイズ中に召喚または手札から特殊召喚された時！手札１枚を捨てる事でフィールド上のカードを２枚まで破壊できる！」


仁「何っ！？」


大駕「さっきのお返しじゃあ！！儂はナイトメア・エッジと先陣の魔妖兵の２体を破壊する！」


大駕「ブレイジング・バースト！！」

大きな剣を振りかざすと共に、闘気の衝撃波が襲い掛かる。


仁「くっ…！！」


大駕「これでお前は丸裸じゃ！そのままフランヴェルジェでダイレクトアタック！！」


仁「ぐうううっ…！！」ＬＰ２７００→３００


大駕「ふうん！！形勢逆転じゃな。」


仁（頭の悪そうな奴だとは思ったが……デュエルの腕はかなり高い、か。）


大駕「カードを１枚セット！儂はこれでターンエンドじゃ！！」


大駕「さぁ！かかって来んかいぃ！！」




終











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（次回予告）


大駕「楽しいのう夜見原仁！こんなに楽しいデュエルは久し振りじゃ！」


仁「…一体お前は誰なんだ。」


大駕「そういえばお前大会にはでるのか？その実力があれば良い戦績を残せるじゃろう！」


仁「そんなものに興味はない。それより俺の話を…」


大駕「じゃが儂も負けん！全力でぶつからせてもらうぞ！！」


仁「次回『喧嘩上等！武装闘鬼の底力』」


仁「…どうして人の話を聞かない奴等ばかりなんだ」



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・地味に初めての主人公未登場回だったりします。
・デュエルを２分割しようとすると１話が短くなりがち…。だからデュエル以外のパートをちょっと引き延ばしたりする事があるのですが、今回は書いててちょっと楽しかったですｗ
・そういえば「バタフライ・エフェクト」と「朝凪の精霊」をイラスト付きで投稿しました。宜しければご覧ください。