23 激励の決戦前夜　作：ギガプラント

（上波町・とあるビル－映像モニター）

















幾多の強者をなぎ倒し！



最強の称号を掴みとれ！



さぁデュエリスト達よカードを振るう時は来た！



次の王者はおまえだ！



ジェネシック・エレクトロニクス社主催、アストベリーカップ！遂に明日開催！




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（Ｍ.Ｃ.Ｃデュエルセンター・ロビー）



夏武斗「遂に明日かぁ～！へへっ！楽しみだぜ！」


天音「私もちょっとワクワクしてきました。」


夏武斗「なんてったってアストベリー杯の為にこっちに来たんだからな！目指すは優勝あるのみだぜ！なっ！仁！」


仁「………」


夏武斗「お～い？仁？」


仁（ロバート・バーンズ…。）



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仁「…何故貴様がここに。」


ロバート「あれま、すっかり刺々しくなっちゃって……別におかしかないだろぉ？あの村の生き残りは皆散り散りなんだから。」


仁「…」


ロバート「でも敢えて言うなら…。」







ロバート「村の仇をぶっ潰す為かな…。」





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ロバート「アストベリー杯に来い仁。そこで俺に『勝てたら』教えてやる。」


仁「………」


ロバート「今度はこんなガキみたいな真似しねーよ。今はホントに時間がねーんだ。ほら急げ。」



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仁（お前は一体何を知っているというんだ…。）


仁（お前は…。）


夏武斗「お～い仁！どうしたんだよぉ？」


仁「…はぁ、少しは静かにできないのかお前は。」


夏武斗「とはいってもよぉ、明日だぜ明日？これで静かになんてしてられるかよ！」


仁「…フン。」


天音「でも仁君…どうしてまた直前になって参加する気になったんですか？」


夏武斗「あ、確かに。俺が誘った時はあんなに出ない出ない言ってたのに。」


仁「…ちょっとした所用だ。お前達には関係ない。」


天音「は、はぁ…。」


夏武斗「まぁいいや！よくわかんねえけど、闘うことになったらそん時は全力でいかせてもらうぜ！」


仁「…ふっ、せいぜい恥をかかないようにすることだ。」


夏武斗「ほぉ～。言うじゃねえか…。」


天音「ふふ…。」


天音（なんだかんだ言っても…やっぱり仲良しですね。）




涼蘭「まあまあ…皆さん張り切ってますわね。」


天音「あ、涼蘭さん。伊世さんも。」


伊世「ふぁ～あ…今日もデュエリスト諸君は元気元気。よきかなよきかな。」


涼蘭「こらっ仕事中に大欠伸しない！」


伊世「はいはい…も～しわけありませんでした社長殿。」


天音「あ、あはは…。」


夏武斗「伊世姉ちゃんは相変わらずテキトーだなぁ…。」


伊世「そういうあんたは相変わらず単細胞ね角坊主。」


涼蘭「…っ！」（無言の手刀）


伊世「あだっ！」


涼蘭「皆デッキの調整は済んでますか？どんな結果になるにせよ悔いが残らないように頑張ってください。」


天音「はい！」


夏武斗「ああ！」


涼蘭「仁君も、大会中はお仕事の事は忘れて存分に楽しんできてくださいね。ふふ…。」


仁「…何を笑っている？」


涼蘭「あらごめんなさい。ただね、私嬉しかったのよ仁君も参加するって聞いて。」


仁「………？」


涼蘭「場所を提供する側の人間としてはね。やっぱり楽しんでいって欲しいのよ。」


涼蘭「見ている側も、参加する側も…ね？」


仁「………」


伊世「…あー社長？そろそろお時間なんですが。」


涼蘭「あらいけない！それじゃ皆頑張ってね。」


伊世「明日寝坊すんじゃないわよ？」


天音「…それは伊世さんのほうが心配です。」


伊世「そいじゃあね。角坊主もむっつり小僧も天音の事宜しくね～。」


仁「むっつ…！！？」


涼蘭「こら伊世っ！！」


伊世「あ～はいはい。行きますよ～社長。」



夏武斗「…伊世姉ちゃん、よくクビになんねえな。」


天音「あはは…。」





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（Ｍ.Ｃ.Ｃデュエルセンター・フリーデュエルスペース）



光輝「バトル！Ｒ・Ｆ（レイディアント・ファイター）－ゴールド・ヴィクトリーでダイレクトアタック！」


光輝「ゴールデン・ヴィクトリーフィスト！！」


男「ぐあああ！！！」ＬＰ２０００→０


ＷＩＮ・光輝







奏「お疲れ様、光輝。」


光輝「奏、見てたのか。」


奏「まぁね。ちょっとした偵察ってとこよ。」


光輝「おおっとそういうことか…これはますます油断できないな。」


奏「悪いけど、今度は本気で行かせてもらうわよ？」


光輝「当然。今年は特に強敵揃いのようだからね…少しも油断はできないよ。」




大駕「じゃが、だからこそ燃えるというものじゃ！！」


光輝「大駕。確かに、その通りだね。」


奏「…ったくどっから出てきたのよあんたは。」


大駕「そんな些細なことはどうでもいいじゃろう。ところで光輝よ、前々から口走っておったデッキの調整とやらはもう済んでおるのだろうな？」


光輝「あぁ。思いの外随分と時間がかかってしまったけど、漸くしっくり来るデッキに仕上がったよ。」


大駕「上等じゃ！それでこそ我が宿命のライバル！本気のお前と闘えねば意味がないからの！がっはっは！」


奏「とか言って、あんたはまたエクストラデッキ忘れてたりしないでしょうね…。」


大駕「何を言う奏嬢！流石の儂とて同じ過ちを二度繰り返す事などありえんぞ！………うん？ありゃ？」


大駕「はっ！？無い！無い！！儂とした事がぁ！！」


奏「あーあ…もう知らないわよホント。」


大駕「む、むぅ…そんな筈は…。…おっ！あったあった！！ほうれあったぞ奏嬢！がっはっは！」


奏「何ががっはっはよ…まったくもう。」


光輝「はは、大駕の方の調子どうだい？」


大駕「よくぞ訊いてくれた！好調も好調、今日も連戦連勝中じゃ！」


奏「ま、そうだろうとは思ってたけどね。」


奏「でも明日最後まで勝ち上がるのは私よ。」


大駕「ほう…余裕じゃのう。」


奏「弱気でいたら勝てるデュエルも勝てないでしょ？まずは気からよ。」


光輝「へぇ、奏らしいね。」


奏「それじゃ、私はそろそろ次に行こうかしら？」


光輝「あ、そうだ。今から昼食を取ろうと思ってたんだけど良かったら一緒にどうだい？」


奏「ん……まぁ別にいいけど。」


大駕「儂は………遠慮しておこうかの。邪魔してはいかんからの。」


奏「なっ！！」


光輝「邪魔だなんて。ご飯食べるだけだよ？」


奏「そ、そうよ！何言ってんのよ！！」


大駕「がっはっは！！まぁ今はホントに用があるんでな、今回は二人で行ってきてくれぃ。」


光輝「そっか。なら残念だけどまた今度。」


大駕「それじゃあの。」

立ち去る大駕。


光輝「じゃあ、僕たちも行こうか。」


奏「う、うん……。」






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（Ｍ.Ｃ.Ｃデュエルセンター・ロビー）




夏武斗「にしても…今日は特に混んでるなぁ。」


天音「やっぱり前日ですから…皆今のうちに闘っておきたいんでしょうね。」


仁「…客足は伸びているがスタッフ数は減っている。今の人数で回せている方が奇跡的だ。」


仁「やはり俺も…」


天音「駄目ですよ仁君。」


夏武斗「そうそう。せっかく涼蘭さんが大会出場者に休みをくれてるんだ。明日の為に使わないと悪いだろ？」


仁「…この状況の方が悪いとは思わないのか。」


天音「それは確かに…ですね。でも涼蘭さんはそこもしっかり分ってると思いますよ。」


仁「………」


天音「大変なのは承知の上で、それでも参加者は大会の事を最優先で考えていてほしいって…。」


天音「せっかくの大きな大会で、悔いを残すようなことはしてほしくないんですよ。…あ、知ってます？涼蘭さんって元プロデュエリストなんですよ。」


夏武斗「えぇ！？そうだったのか！！すっげぇ～！！」


天音「ですから、仁君も今はお仕事の事は忘れてください。大丈夫ですよ、出られるスタッフはほぼ全て総動員してますから！」



仁「…分かった。後でがなられても面倒だしな。」


天音「ふふ…。」


夏武斗「やっぱり凄いんだな…涼蘭さんって。なんつうか、みんなの事ちゃんと見てるっていうか…。」


天音「はい！私の憧れなんです！」



天音「それにしても…。」


仁「………」


天音「仁君も、こんなにセンターの事を考えてくれてるなんて思ってませんでした。」


仁「……別に、職場の事を考えるのは至極当然だ。」






？「随分と丸っこくなったんだな。」





仁「…！？」


ロバート「よぉ。」


仁「お前…！」


天音「…？」


夏武斗「なんだ？仁の知り合いか…？」


仁「………」


ロバート「あれまぁ、ま～た怖い顔しやがって。紹介の一つや二つしてくれたってバチはあたんねえだろうに…。」


ロバート「あー俺はロバート・バーンズ。仁の古いダチだ、宜しく頼むぜ。」


天音「あ、はい。宜しくお願いします。」


夏武斗「俺は楠夏武斗！仁の新しいダチだ！こっちこそ宜しくな！」


ロバート「ハハ！おもしれえ奴だなお前。流石は仁のダチだぜ！」


仁「おい、なぜここに…！」


ロバート「別におかしかねえだろぅ？今日は大会前日、デュエル施設に籠るなんざ普通じゃねえか。」


夏武斗「おお！ロバートもアストベリー杯参加すんのか！？」


ロバート「あぁ！ってこたぁお前もか。…もしかしてそっちの姉ちゃんもか？」


天音「はい。私達三人、皆出場するんです。」


ロバート「そっか、あんたら全員…。へへっ！面白くなってきたじゃねえか。なぁ仁！」


仁「………」


ロバート「あれま…。もーちょっと愛想良くなってくれてもいーと思うがねえ。」


ロバート「ま、こんな変な奴だけど仲良くしてやってくれな、二人とも。」


夏武斗「おう！」


天音「はい勿論。」




仁（何を考えている…？ロバート…。）



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（ジェネシック・エレクトロニクス本社・モニタールーム）



アストベリー「Ｄオーラの状況は？」


オペレーター「全体的に高めの数値を維持しております。ところによりファイリー級……大きなデュエル施設等ではウインディー級出力も確認しております。」


アストベリー「ふむ、大会前日とはいえ予想以上の数値だ……。」


オペレーター「これは当日の盛り上がりによってはウォーテリー級の出力も……。」


アストベリー「可能性としてはありうるな…！」




アストベリー（上波町の住人達よ……活気づけ。どこまでも強く、激しく、猛々しく…！）







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（マンションの一室）



伊世「だだいまあああぁぁぁ…。」


天音「おかえりなさい…大丈夫ですか？」


伊世「大丈夫じゃない…づがれだ。」


天音「お、お疲れ様です…何か食べますか？」


伊世「ううん…いいや。」







伊世「かぁ～！！仕事終わりにゃこの一杯よね！」


天音「あまり飲みすぎちゃ駄目ですよ…？明日はもっと忙しくなるんですから。」


伊世「そういうことは言わんでいいの！！酒がまじゅくなるわ！！」


天音「…大丈夫でしょうか。」


伊世「…そんなことより、あんたは自分の心配しときなさい。」


天音「えっ…？」


伊世「ほらもう寝た寝た！！寝坊してもしらにぃわよん！！」


天音「い、伊世さん…。」


伊世「………。」



天音「…ふふ。」


天音「そうですね。今日はもう休む事にします。…おやすみなさい。」


伊世「あいあいおやすみぃ…。」




天音「明日…か。」







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（楠家）


爺ちゃん「おい夏武斗…おめぇまだ起きてたのか。」


夏武斗「あぁ爺ちゃん。はは…なんか眠れなくって。」


爺ちゃん「そんなにカード弄り回したって急に勝てるようになるもんじゃねえだろうに…。」


夏武斗「別に不安になってるわけじゃねえよ。…たださ。」


爺ちゃん「あん？」


夏武斗「なんかワクワクっていうか…身体の奥底からなんかが湧き上がってくるような…！！」


爺ちゃん「ったく気が早えなぁこいつは…。」


夏武斗「へへ…ごめんな、もう寝るよ。」


爺ちゃん「おう、腹出して寝るんじゃねえぞ。」


夏武斗「分ってるって。おやすみー。」






爺ちゃん「…夏武斗」


夏武斗「Zzz…。」







爺ちゃん「思いっきり楽しんで来い……！」







終











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（次回予告）

夏武斗「遂に始まったぜアストベリー杯！！さぁ最初の相手は誰だ！？」


天音「どんな相手でも負けませんよ！」


夏武斗「ようし！それじゃあ行ってくるぜ！！」


天音「夏武斗君！！会場はそっちじゃないです！！」


夏武斗「次回！『アストベリーカップ開催！』」


夏武斗「あああぁぁぁ！！あんたはあの時の！！」

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・久しぶりにデュエルしなかった回。会話だけで１０KB書くのが割とキツい今日この頃。
・次回より「アストベリーカップ編」に入ります。ＯＰテーマも変わるよ！（そんなものはない）