14 意外な結末!?タッグデュエル決着！　作：ギガプラント

「容疑者を確認！」

路地裏に入り込んでくる複数のセキュリティ


天音「えっ？」


漆原「なっ！？」


セキュリティ「漆原康克（うるしはらやすかつ）！署の方まで同行願おうか。」


夏武斗「な、なんだなんだ！？どうしたってんだ？」


仁「…！」


漆原「これはこれはセキュリティの皆さん…どうもお疲れ様です。」


漆原（あの小娘…やってくれたな…！）


天音（なんでここにセキュリティがここに…？一体誰が…！？）


セキュリティ「挨拶などどうでもいい。速やかに投降しろ。」


漆原「一体なんの権限があってこの私を…？私が何か…？」


セキュリティ「身に覚えがないかぁ？お前自身が一番よく分かってると思うがなぁ。」


セキュリティ「お前が人を雇って、売ったカードをカツアゲしてる事はもう分かってんだ！いいから黙って投降しろぉ！！」


漆原「なっ！？」


漆原「いつ私がそのような事を…馬鹿馬鹿しい！」


夏武斗「おまえ！さっき自分で……！」


漆原「身に覚えがありませんねええ！！大体どこにそんな証拠が！」


セキュリティ「ふん…お前の妹が全部吐いたぞ。」


天音「…妹？」


セキュリティ「ほら！こっち来い！」

セキュリティに引っ張られ現れるカードショップの女性店員。


夏武斗「あ～！姉ちゃんはさっきの！？」


女店員「ぐっ………兄さん。」


漆原「………」


セキュリティ「妹は潔く付いてきたぞ…さぁおまえも！今すぐデュエルをやめて投降しろ！！」







漆原「………知りませんよ。」


夏武斗「なっ！？」


天音「えっ！？」


仁「………！」


女店員「えっ…？兄さん…？」


漆原「勝手にいらぬ事をやらかして…兄である私に罪を被せようと…全く誰に似たんだか。酷い妹を持ったものです。」


セキュリティ「ああん！！すっとぼける気かぁ！！？」


漆原「すっとぼけるも何も…私は何も知りません。そのカツアゲとやらも妹が勝手にやったことでしょう。」


女店員「兄さん！！何でっ！！？」


漆原「五月蝿いですねぇ…潔く罪を認めなさい。私まで巻き込むなどなんと醜い…。」


女店員「待って兄さん！！見捨てないで！！」


夏武斗「おい！！こいつあんたの妹なんだろ！！？見捨てんのかよ！！」


漆原「…見捨てる？罪人の妹などに差し伸べる手はありません！」


仁「…！！」


女店員「ま、待って…兄さ…！！」


天音「家族まで切り捨てるなんて……！」


夏武斗「くそっ…完全に人間腐ってやがる…！！」


セキュリティ「おい漆原ァ！てめぇあまり調子こいてると………！」


漆原「私がやった証拠でも？そのチンピラとやらが私に雇われたとでも証言しましたか？どうせそこの女がコソコソと一人でやった事でしょう。」


女店員「だって………それは兄さんが…！」


漆原「私が……なにか？」


天音「最初から…いざという時に切り捨てやすいよう手を打っていたんですね…。」


夏武斗「てんめぇ…！！いい加減にしやがれ！！」


漆原「おやおや暴力沙汰は嫌ですよ？セキュリティの前だと言うのに…。」


漆原「さあさあセキュリティの皆さん…私が首謀者などというのはその女の妄言に過ぎません。とっとと連行してくださいよ。妹の風評被害を喰らうのは御免だ。」


女店員「兄さんっ！！！」


仁「っ！！！」


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（どこかの村）


少女「お兄ちゃん！！」

崩れ落ちた家の瓦礫の下敷きになった少女。上半身が辛うじて無事だが殆ど動かす事ができない。


仁「亜三（あみ）ィ！！」

瓦礫を退かそうとする幼い仁。しかし子供の力ではびくともしない。


仁「くそっ！！待ってろ、直ぐに人を呼んでくるからな！」


亜三「ううぅ…お兄ちゃん。」


仁「誰かぁ！！」


亜三「ああ！！お兄ちゃん！！」


亜三「おに………！！！」


何かが崩れるような轟音。





仁「亜三…？」





仁が振り向いた先…家は完全に崩れ去っている。



仁「嘘…だろ…？」


仁「亜三……亜三……。」


仁「父さん！母さん！……亜美が…亜美が…」


仁「ふたりとも…どこ……どこだよ………！」


仁「あ……あ……。」




仁「うわあああぁあああぁあああぁあああぁあああぁあああ！！！」



～～～ ～～～ ～～～ ～～～ ～～～ ～～～



仁「！！！」


漆原「全く…できの悪い妹を持ったものです…ねぇ？」


仁「………」


夏武斗「仁！！もうやめろ！こんな奴に……こんな奴に従う意味なんてほんとにあんのかよ！！」


夏武斗「俺にはおまえがどんな理由で雇われデュエリストやってるかなんて知らねえ！！けどこんなやつに従ってまでやんなきゃいけないのか！！？」


夏武斗「こんな腐った奴の機械で…ホントにそんな生き方じゃなきゃダメなのかよおおお！！！」


夏武斗「もうやめてくれえええ！！仁！！」


天音「夏武斗君…。」





仁「……まだだ。」


夏武斗「仁！！」


仁「…まだ俺にも、つけるべき『けじめ』がある。」


天音「…！？」



仁「俺のターン！ドロー！！」


セキュリティ「おい！今すぐデュエルを…！！」


仁「俺は『忠誠の魔妖兵』を召喚！！」星４・ＡＴＫ１４００


仁「そして俺は、レベル４の壮麗なる騒霊と忠誠の魔妖兵でオーバーレイ！！」


仁「２体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築！！」




エクシーズ召喚！




現れよ！ランク４！『怨霊術師 ネクロサモナー』！ランク４・ＤＥＦ１９００




漆原「ほほう…ここでエクシーズに繋げるとは、流石夜見原君です！」


セキュリティ「くそっ…無視しやがって…。」


漆原「さぁ！そのままねじ伏せてやりなさい！！」




仁「…ねじ伏せられるのは、貴様の方だ！」


漆原「！！？」


仁「怨霊術師ネクロサモナーの効果発動！！」


仁「オーバーレイユニットを１つ使う事で、相手の墓地からレベル４以下のモンスター１体を特殊召喚する！！！」


仁「俺のフィールドに蘇れ！火樽（バレル・フライ）！！」星３・ＡＴＫ１２００


夏武斗「…！」


仁「バトルフェイズ！火樽で……邪商神エビルスターを攻撃！！」


夏武斗「タッグパートナーのモンスターを！！？」


天音「攻撃…！？」


漆原「ははっ！！君もあの女に騙されてトチ狂いましたか！！自爆特攻してくるなどなんとも哀れな！！」


仁「言ったはずだ…ねじ伏せられるのは貴様の方だと！！」


漆原「なっ…！？」


仁「忘れたか！！火樽が行う戦闘によって発生するダメージは、相手も共に受ける！！」


漆原「はっ！？なあああ！！そんな！！自爆する気ですか！！？」


仁「貴様の御守にもほとほと飽きた！！さあ消えろ屑が！！！」

エビルスターに特攻していく火樽。


天音「攻撃力と守備力の差は……４０００…。」


仁「失せろ！！！」




漆原「があああぁぁぁ！！！」ＬＰ４０００→０


仁「ぐっっ！！！」ＬＰ3００→０





ＷＩＮ・夏武斗＆天音





女店員「…兄さん。」


漆原「…やってくれましたね夜見原君。これは酷い契約違反だ。」


仁「ふん、まだ契約などと抜かすか。おめでたい…。」


セキュリティ「さぁ漆原！とっとと署まで…。」


漆原「黙れぇ！！」


漆原「さっきも言ったはずだああ！！私があああ！俺がやった証拠がどこにあるぅぅぅ！！？」


漆原「何処にも無いんだよそんなものはあああ！！！憶測だけで人を罪人扱いするなああ！！！」


夏武斗「こ、こいつ…！」


天音「夏武斗君やめて……こんな人、相手をする価値もありません。」


漆原「誰が言ったァ！？その女の言葉が妄言でない証拠など何処にもなあああい！！！」







？「他人の証言が無くとも、君自身の言葉ならどうかな？」


天音「えっ？」


夏武斗「この声って…！」




セキュリティの間を抜けてくるアストベリー。




夏武斗「アストベリーさん！？」


アストベリー「やあ夏武斗君に天音君。まさかこんなところで会うとはね。」


天音「ま、まさか…セキュリティを呼んだのは…。」


アストベリー「お察しの通り私だ。連続襲撃犯の黒幕がはっきりしたのでね。」


漆原「だ、誰だ貴様ああ！！！」


アストベリー「私はジェネシック・エレクトロニクス社会長、アーネスト・アストベリー。上波町ではほんの少しだけ名が知れているそうなのだがな。」


漆原「なっ！ジェネシックの……！だ、だからなんだ！その会長がどうした！！！一体なんの関係がある！！」


アストベリー「…ジェネシックでは上波町内の防犯装置の管理も行っていてね…私共が認知していない不明な監視カメラの存在に気付いたのだよ。」


仁「………！」


アストベリー「大体あのあたりか…ちょうどこちらに立ったプレイヤーの手札が見える位置にあたる。」


漆原「！！！？」


アストベリー「上波町内で我々の認知しないセキュリティシステムは捜査の対象だからな。我が社のオペレーターにクラッキングを命じてみたのだよ。」


夏武斗「くらっ…きんぐ？」


アストベリー「一般的にはハッキングと言った方が分かりやすいかな。とにかくその結果面白い映像と音声が得られたよ。」


アストベリー「事前に襲撃用のカードを提供…雇われデュエリストは雇い主の機械のように働く…カードは商品ではなく商売道具…。」


天音「あ……さっきの。」


アストベリー「貴方自身の言葉なら、何より立派な証拠になると思いませぬか。」



漆原「そん……な…。」

膝をつく漆原。




漆原「そんな馬鹿なあああぁあああぁあああぁあああぁあああ！！！」














夏武斗「仁！」


仁「………」


仁「…すまなかった。」

セキュリティの元へ自ら歩き出す。



アストベリー「おっと…君はそちらではない。」


仁「…？」


アストベリー「君には彼ら兄妹の『被害者』の一人として、別所で幾つか話を聞かせてもらう。」


夏武斗「被害者…？」


アストベリー「わざわざカメラなど設置していたくらいだ。君も漆原から事情は聞かされていなかった…違うか？」


天音「えっ！？」


仁「………」


アストベリー「恐らく君も奴の捨て駒の一つだったんだろう。何も知らずに戦わされていた雇われなら、仮に捕まっても自分は逃げやすいからな。」


夏武斗「仁！！ホントなのか！？」


仁「…俺が奴らに加担していたことは事実だ。」


アストベリー「確かに雇われデュエリストは近頃社会問題になってはいるが、ただそれだけの理由で罪に問うことはできん。」


アストベリー「仮に君が過去に何か罪を犯していたとしても…それこそ証拠などどこにもない。君を連行する事などできんよ。」


仁「…ジェネシックが本気をだせば、証拠の一つや二つ容易に見つかるだろう。」


アストベリー「たとえそうであっても我々はただの一企業だ。セキュリティではない。たった一人の為に労力を使う時間は残念ながら無いのだよ。」


仁「………」


アストベリー「さ、君はあっちだ。…あとこれは君たちに頼み事なのだが…。」


夏武斗「えっ？」


天音「私たちに…ですか？」


アストベリー「できればこの事は内密にしてもらいたい。あまり事が大きくなるのは避けたいのでね。」


天音「は、はい…分かりました。」


アストベリー「では、そろそろ私も失礼する。」

去っていく仁とアストベリー。




夏武斗「な、なんつうか…。」


天音「やっぱり凄いですね……アストベリー会長。」















アストベリー（しかし先程の青年…『夜見原仁』と言ったか。）


アストベリー（まさかあの『夜見原』か……？）







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（Ｍ.Ｃ.Ｃデュエルセンター）


仁「…で、何故こうなる。」

Ｍ.Ｃ.Ｃスタッフの制服を着ている仁。


夏武斗「おお！仁！似合ってんじゃんか！」


天音「だって雇われなんて続けてたら、今度こそ捕まっちゃいますよ？」


天音「それにセンター内のお仕事って以外と力仕事も多いんですよ。スタッフを増員したいって涼蘭さんが言っていたのを思い出しまして。」


仁「…そうじゃなくてだな。」


天音「危険な仕事を続けるよりはずっとマシですよ！それに…一度疑ってしまったお詫びという事で。」


仁「…俺はこんな事頼んだ覚えはない。」


夏武斗「いーじゃんいーじゃん！似合ってんだしさ！」


仁「…お前は少し黙れ。」


夏武斗「なんだよ～ダチに対して冷たいぜ～？」


仁「…何時からお前とダチなどに。」



夏武斗「…あのさ。」


夏武斗「俺今まで…なんかとにかくおまえの事知りたいって思ってやってきてたんだけど、なんかもういいや。無理に聞き出しても気分悪いし。」


仁「………」


夏武斗「爺ちゃんに言われたんだ。自分がどうしたいかを考えろって。」


夏武斗「だからさ。今は俺とダチになってくれよ。仁。」


仁「………」


仁「…嫌だと言ったら」


夏武斗「そんときゃ何度でもまたデュエルを挑んでやる！楽しくデュエルができればもう友達って爺ちゃんが言ってた。」


仁「………ふぅ」




仁「……考えておこう。」





終












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（次回予告）


天音「とりあえず一件落着ですね。」


夏武斗「ああ！色々あったけど、これで安心してまたデュエルできるぜ。」


夏武斗「よし！大会に向けて特訓だ！仁！デュエルしようぜ！」


仁「…今はそれどころじゃない。仕事がある。」


夏武斗「えっ？じゃあ天姉！」


天音「ごめんなさい夏武斗君。私も涼蘭さんからお仕事の手伝いを頼まれてるんです。」


夏武斗「そっかぁ…また誰か別の相手でも探すかなぁ。」


夏武斗「次回！『ジュニアスペースのエクシーズ対決！』」


天音「えっ？私が先生ですか？」

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・瓶田大作へカードや情報を渡したのも、実際に事に及んだのは妹の方だったりします。
◇セキュリティ……上波町内の警察組織。設定は大体5Dsと同じだが、Ｄホイールは普及していない。監視カメラ等の防犯機材はジェネシック社より提供されている。