第12話　花は薔薇、散らすは風　作：ター坊

俺は龍可がアキさんと呼ぶこの少女とデュエルすることになったが、ナイフのように鋭い視線が突き刺さる。
「貴方を倒して、遊星を取り戻す！」
「ちょっと待て！その遊星って誰なんだ！」
「とぼけないで！スターダストを持ってるなら知ってるハズよ！」
遊星とは誰なのか？量産品である『スターダスト･ドラゴン』に何故そこまで固執するのか？すべての疑問の答えはデュエルを無事終わらせなければ聞けまい。そう覚悟してデュエルディスクを構え、デッキをセットした。

先攻:アキ

「私のターン！モンスターをセット、カードも1枚セットしターンエンド」
「俺のターン、ドロー。俺は『妖仙獣 鎌弐太刀』を召喚し、さらに効果で『妖仙獣 鎌参太刀』を追加召喚する。バトル！鎌弐太刀は相手モンスターがいても直接攻撃できる！」

妖仙獣 鎌弐太刀 ATK 1800　直接攻撃(ただし半減)

「このくらいのダメージ！」
「相手に戦闘ダメージを与えたことにより、鎌参太刀の効果でデッキから『妖仙獣 鎌壱太刀』を手札に加える！続いて鎌参太刀でセットモンスターを攻撃！」

アイヴィ･ウォール DEF 1200 VS 妖仙獣 鎌参太刀 ATK 1500

「『アイヴィ･ウォール』のリバース効果で相手の場にアイヴィトークンを特殊召喚する」
「まぁ、サーチ出来ただけでも良しとしよう。俺はカードを1枚伏せ、ターンエンド。この時、2体の妖仙獣は手札に戻る」

ユイ:LP 8000
アキ:LP 7100

「私のターン、ドロー！私はチューナーモンスター『夜薔薇の騎士』を召喚！このカードの効果で手札から『ロード･ポイズン』を特殊召喚！」
「来るか！」
「レベル4『ロード･ポイズン』にレベル3『夜薔薇の騎士』をチューニング。冷たい炎が世界の全てを包み込む。漆黒の花よ、開け。シンクロ召喚！現れよ、『ブラック･ローズ･ドラゴン』！このカードはシンクロ召喚に成功した時、場のカードを全て破壊する！ブラック･ローズ･ガイル！」
何！？確かにミラフォースは除去でき、アイヴィトークンによる300ダメージもあるが、やりすぎじゃないか？
「永続罠発動『永遠に咲き誇る一輪の薔薇(ローズ･オブ･エターナル)』！これにより、ブラック･ローズは破壊されず、カード効果の対象にもならなくなり、攻撃力が500アップする。バトル！」

ブラック･ローズ･ドラゴン ATK 2900　直接攻撃

「うわ！」
「さらに、相手に1000以上の戦闘ダメージを与えたことで1枚ドローできる。私はカードを2枚伏せてターンエンド」

ユイ:LP 4800
アキ:LP 7100

「俺のターン、ドロー！(行ける！)俺はスケール3の『妖仙獣 左鎌神柱』とスケール5の『妖仙獣 右鎌神柱』でペンデュラムスケールをセッティング！さらに右鎌神柱のP効果でPスケールを5から11に変更する！」
「ペンデュラム？」
「これでレベル4~10までのモンスターを同時に召喚可能！ペンデュラム召喚！出でよ『魔妖仙獣 大刃禍是』！こいつの特殊召喚に成功した場合、フィールド上のカード2枚を手札に戻す。俺は『永遠に咲き誇る一輪の薔薇』とセットカードを選択！」
「そうはさせない！永続罠発動『黒薔薇の束縛』！ブラック･ローズか植物族モンスターがいる場合のみ発動でき、これによりモンスター効果を無効にし、守備表示にする」
「うっ！ならば『妖仙獣 鎌壱太刀』を召喚し…」
「もう1枚の『黒薔薇の束縛』を発動！鎌壱太刀を封じる！」
「またか！…何もできない。ターンエンド」
「私のターン、ドロー！ブラック･ローズの効果発動！墓地から『アイヴィ･ウォール』を除外し、大刃禍是を攻撃表示にし、攻撃力を0にする！ローズ･リストリクション」
「ま、まずい！」
「バトル！ブラック･ローズ･フレア！」

ブラック･ローズ･ドラゴン ATK 2900 VS 魔妖仙獣 大刃禍是 ATK 0

「『黒薔薇の束縛』の対象になっているモンスターは戦闘破壊されない」
「まだだ。…まだライフは0になってない…」
「…！私は効果で1枚ドローし、このままターンエンド」(なんなの？この気迫？)

ユイ:LP 1900
アキ:LP 7100

「ﾊﾊﾊ…」
「な、何がおかしいの？」
「懐かしいな…。この感覚」
「え？」
「さぁ行くぞ！俺のターン、ドロー！(これは！？)俺は右鎌神柱のPスケールを11に変更し、ペンデュラム召喚！現れろ！『魔妖仙獣 鞍馬剣閃』！効果発動！こいつのペンデュラム召喚に成功した場合、相手のフィールド上のカードを1枚選び、そのカードと相手の手札を全てデッキに戻し、戻した枚数より2枚少ない枚数をドローさせる！対象にするのは『永遠に咲き誇る一輪の薔薇』だ！」
「しまった！」
「これでブラック･ローズの無敵状態は解除された。さらに鎌弐太刀、鎌参太刀を召喚し、バトル！」

魔妖仙獣 鞍馬剣閃 ATK 2500 VS ブラック･ローズ･ドラゴン ATK2400

「鞍馬剣閃がモンスターを戦闘破壊した場合、相手の手札の枚数×300ダメージを与える！また鎌参太刀の効果でデッキから『妖仙獣の秘技』を手札に加える。さらにブラック･ローズがいなくなったことで『黒薔薇の束縛』も破壊される。他のモンスターたちも攻撃だ！」

魔妖仙獣 大刃禍是ATK 3000 +妖仙獣 鎌弐太刀 ATK1800 +鎌参太刀 ATK 1500　直接攻撃

「きゃあぁぁ！」
「俺はカードを1枚伏せ、ターンエンド。鞍馬剣閃、鎌弐太刀、鎌参太刀は手札に戻る」

ユイLP:1900
アキ:LP 100

「…私のターン、ドロー！………ターン、エンド…」
か細い声でアキさんはそう告げた。
「…俺のターン、ドロー。大刃禍是でダイレクト･アタック」

魔妖仙獣 大刃禍是 ATK 3000　直接攻撃

「ごめんなさい…遊星…」
ライフポイントが0になった瞬間、アキさんはその場に崩れてしまった。過去に味わったことがある罪悪感を心に抱きつつ駆け寄ると、こちらをキッと睨み付けた。その瞳は少し潤んでいた。

~アキ サイド~

負けた。しかし、負けた悔しさよりも自分の不甲斐なさに憤りを感じる。遊星を助けたいという一心で戦ったのに。最後は足掻くこともできず、そんな自分が情けなく思えた。
私がその場に崩れていると、ユイが近付いてきた。遊星に何かした犯人に弱っている姿は見せられない。私はそう思って、ユイを睨み付けた。自分の情けなさに泣きじゃくりたい気持ちを押し殺しながら。