96 ライバルタッグ！蘇りし欲望　作：ギガプラント

夏武斗「漆原…！？それって…」


フードの男「おや？やはり貴方には分かってしまいましたか。」


男はゆっくりとフードを外す。


夏武斗「っ！？お前！！」


漆原「あまり人前に出る方では無いのですが……短い期間とはいえ私は貴方の雇い主でしたからねぇ。」


仁「………」


夏武斗「てんめぇ…！！」


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漆原「店にいる妹から連絡がありましたよ…なにやら怪しいお客様が居たってね。」


天音「じゃああなたが…！」


漆原「ご名答お嬢さん。私…カードショップのオーナーをしています。漆原という者です。」


仁「………」


天音「やっぱり…あそこのカード屋さんが黒幕だったんですね…！」


夏武斗「くそっ…本当にそうだったっていうのかよ。」


漆原「おやそちらの君は…確か昆虫使いの坊やでしたね。」


夏武斗「！？」


漆原「全く瓶田君には困ったものですよ…せっかく私が対昆虫カードを提供してあげたのに…。情報収集側はともかく、襲撃側が負けてしまってはお話にならない…。」


漆原「かなりの強者と聞いていたのでお願いしたのですが………夜見原君と役割を逆にするべきでしたかね。」


夏武斗「てっめぇ…！」


漆原「驚きましたよ。君はカードを購入しなかったので、あくまでノーマークの予定でしたが…まさかヴィクトリー・ビートルなどという素晴らしい物を見せて下さるとは。」


漆原「早速人を向かわせたのですが…歓迎役に少々欠陥があったようですね。申し訳ありません。」


天音「欠陥…って。」


夏武斗「おまえ！人を何だと思って…！」


漆原「彼は雇われデュエリストですよ？雇い主の機械のように動くのがお仕事です。それができなければ欠陥品に他なりません。」


夏武斗「こいつ……！」



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夏武斗「お前あの時セキュリティに逮捕されたんじゃなかったのかよ！！」


仁「…脱獄だ。」


夏武斗「えっ？」


仁「前にジェネシックのアストベリーから聞いた話だ。恐らく間違いないだろう。」


仁「コイツがここに立っている事がなによりの証拠だ。」


漆原「おおぅ！ジェネシックの会長さんと親しくなったのですか、羨ましいことですねぇ…。貴方も私同様違法な商売人の一人に過ぎないというのに。」


仁「………」


夏武斗「違う！お前が仁を騙して加担させてたんだろうが！！お前なんかと一緒にすんな！！」


漆原「おやおや、君も私達の被害者の一人だというのに彼の事は擁護するのですか。悲しい…これは悲しいですねぇ、誰も私には優しい言葉をかけてくれない。」


夏武斗「ざっけんな！！誰がお前なんかに…！」


仁「待て夏武斗。」


夏武斗「仁！！」


仁「口先で煽るのはあの手の奴の得意分野だ。易々と買ってやる必要はない。」


漆原「…大した洞察力です夜見原君。やはり君は優秀な人材のようだ。どうです？また私に雇われてみませんか。今度はもっと大きな事ができますよ。」


仁「生憎稼ぎ先は間に合っている。…それに貴様のような愚図コレクターの下にいては、どれだけ稼ごうとすぐに組織ごとセキュリティに捕まるのがオチだろう。」


漆原「…この私を愚図コレクターと？」


夏武斗「そうだ！他人のもん盗んで何がコレクターだ！んなもんケツ吹いた便所紙以下だぜ！」


漆原「………」


夏武斗「んなことよりお前！俺のヴィクトリー・ビートル返しやがれ！！」


仁「…それだけじゃない。Ｍ.Ｃ.Ｃのスタッフやその他大勢から奪い取ったカード。今この場で全て返してもらおうか。」



漆原「………ふふふ。」


漆原「貴方方、自分の置かれた状況が分かっているのですか？まさか、２対１だから自分たちの方が有利…だなんて考えてはいませんよねえええ！！？？」


再び暴れ出した結界が３人を包み込む。


夏武斗「くっ……また！」


仁「落ち着け。…ここ周辺は人気が少ない。」


仁「俺達から逃げ回っていたアイツを奴も追っていたとすれば、手駒にした人間が近くにいるとは考えにくい。」


夏武斗「つまりこのあいだみたいなインチキはできないってことか！」


漆原「インチキとは心外ですねぇ…私はただ効率の良い方法をとっただけ。それに…」



漆原「今の私はあの時の私とは違う！！ここ最近で非常に素晴らしいカードが手に入りましたからねえ。」


仁「奪ったカードでデッキ強化か。どこまでも見下げはてた奴だな。」


夏武斗「…こんの屑野郎が！」



漆原「夜見原君。そういえば貴方のカードはまだ私のコレクションにはありません。」


漆原「丁度良い機会です。ここで我が芸術に新たな一枚を加えるとしましょう！！」


夏武斗「うっせえ！そんなことさせっかよ！！」


漆原「もはややることは一つ！二人纏めてかかって来なさい！！」


仁「……行くぞ！」





dPhoneモードチェンジ！Ｄパッドモード！



ターゲットロックＯＫ！



ビジョンリンクＯＫ！



ファーストディールＯＫ！



デュエル！！






漆原「先ずは私のターン。」


漆原「私は『ダメージ・デプター』を召喚します。」星４・ＡＴＫ１５００


夏武斗「あのモンスターは…！」


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夏武斗「これで終わりだ！ヴィクトリー・ビートルで………」
フードの男「ダメージ・デプターの更なる効果発動。」


夏武斗「何っ！？」


フードの男「このカードが破壊された時、このカードに乗っていたダメージカウンターの数×５００ポイントのダメージを相手ライフに与える。」


夏武斗「！！」


フードの男「…言ったでしょう？勝機を感じていた事自体限りなく滑稽なのですよ。」


フィールドに散らばっていた書類から３つのエネルギー弾が放出され、夏武斗に襲い掛かる。


夏武斗「っ！！」


夏武斗「うわあああぁぁぁ！！！」ＬＰ６００→０



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夏武斗「効果ダメージを吸収して相手に跳ね返すモンスター…！」


漆原「エクセレント。覚えておいででしたか。」


漆原「一度自分を負かした相手の事はしっかりと覚えて次に生かす。私もそうありたいものです。」


夏武斗「くそっ…あんにゃろぉ…！！」


仁「夏武斗、忘れたか。一々奴の戯言に反応するな。」


漆原「エクセレント！ですが時期に反応する余裕も無くなる事でしょう！私はフィールド魔法『バトルギルド』を発動！」


夏武斗「フィールド魔法っ！？」


漆原「バトルギルドが存在する限り、全てのプレイヤーは１０００ポイントのライフを支払わなければ攻撃宣言が行えません。」


漆原「ただし戦闘で相手モンスターを破壊し墓地へ送った場合、そのモンスターのプレイヤーはライフを１０００ポイント回復できます。」


仁（つまり普通に戦闘を行い墓地へ送った場合、ライフの変動はプラスマイナス０だが…何らかの方法で攻撃や破壊を妨害された場合は１０００ポイントの払い損という事になるという事か。）


仁（あの男がやりそうな戦い方だ…。）


漆原「更に！ターン終了時、ターンプレイヤーがフィールド上に攻撃表示モンスターをコントロールしていなかった場合、１０００ポイントのダメージを受けてもらいます。」


漆原「まさに戦いの為のフィールド！実に素晴らしいと思いませんか！」


夏武斗「まともに戦ってない奴の言う台詞じゃねーっつーの！」


漆原「私はカードを１枚伏せ、ターンエンドです。」




仁「俺のターン！」
漆原「この瞬間！永続罠発動！『王宮の飢餓』！」


夏武斗「何っ！？」


仁「早速仕掛けてきたか…。」


仁「…自分フィールドにモンスターが存在しない場合、このカードはリリースなしで召喚できる。俺は『豪気の魔妖兵』を召喚！」星５・ＡＴＫ２０００


漆原「王宮の飢餓の効果発動！」


漆原「このカードが存在し相手プレイヤーが手札からモンスターを召喚・特殊召喚する度に、このカードにカウンターを１つ置きます。」


仁（プレイヤーの人数が多いが故にカウンターも溜まりやすい…か。何を企んでいるかは分からないが、奴の性格上あのカードは…。）


仁「俺はカードを２枚セットしてターンエンド。」


漆原「この瞬間！王宮の飢餓の効果が発動します！」


漆原「エンドフェイズ時、全てのプレイヤーにこのカードに乗っているカウンターの数×２００ポイントのダメージを与える！」


夏武斗「くっ…！」ＬＰ４０００→３８００


仁「………」ＬＰ４０００→３８００


仁（やはり効果ダメージ…！）

漆原「私はダメージ・デプターのモンスター効果を発動！」


漆原「カードの効果によって自分がダメージを受ける場合、そのダメージを無効にし、代わりにこのカードにダメージカウンターを１つ乗せます。」


夏武斗「にゃろう！相変わらず一人で涼しい顏しやがって…！今度は顔が見えるだけに余計に腹が立つぜ！」


漆原「以前にも申したとおり、複数人を相手にする場合これが一番手っ取り早く効率的というだけです。フフ…。」


夏武斗「そう何度も同じ手が通じると思うなよ……俺のターン！」


夏武斗「俺は『黒き森のウィッチ』を召喚！」星４・ＡＴＫ１１００


漆原「王宮の飢餓の効果、カウンターが更に１つ乗ります。」


漆原「そう、そのとおり！攻撃力の低い下級モンスターも攻撃表示で出さなくてはバトルギルドの効果でダメージを受けてしまいますからね。賢明な判断です。」


夏武斗「お前なんかに褒められても嬉しかねーよ！俺はカードを１枚セット！エンドフェイズだ！」



漆原「はっはっは！！どれだけ威勢の良い事を言ってもまだ１ターン目、攻撃もできませんからねえ残念な事です！」


漆原「王宮の飢餓の効果発動！全てのプレイヤーにこのカードに乗っているカウンターの数×２００ポイントのダメージを与える！」


夏武斗「っ！…まだまだ！」ＬＰ３８００→３４００


夏武斗「何度も同じ手は喰わないって言ってんだろ！！俺は手札の『センチネルピード』の効果発動！」


夏武斗「自分がダメージを受けた時、手札のこのカードを攻撃表示で特殊召喚する！」星６・ＡＴＫ２８００
全身が鎧のような鱗に覆われた大ムカデモンスター。一対だけ長く伸びた腕があり、それぞれ槍と盾を持っている。


夏武斗「そして受けたダメージ分だけ自分のライフを回復し、このカードの攻撃力はダウンする！」ＬＰ３４００→３８００　ＡＴＫ２８００→２４００


夏武斗「更にセンチネルピードはダメージが発生した時、その数値分このカードの攻撃力を下げる事でダメージを無効にできる効果がある！」


夏武斗「ちっこい効果ダメージなんてもう怖くないぜ！！」


漆原「ﾁｯ…だが夜見原君、君には……なっ！？」


漆原（何故だ…何故ライフが減っていない…！）


仁「俺は永続罠『アンチシェイクフィールド』を発動した。」


仁「このカードが存在する限り、俺が受ける１０００ポイント以下のダメージは全て０になる。」


漆原「っ！？…私はダメージ・デプターのモンスター効果発動！」


漆原「カードの効果によって自分がダメージを受ける場合、そのダメージを無効にし、代わりにこのカードにダメージカウンターを１つ乗せる！」



夏武斗「どうだ！俺達に同じ手は通じないぜ！！」


仁「…貴様が効果ダメージを多用する戦術を使う事は分かっている。ならばそれに対策を施すのは至極当然だ。」


漆原「………」


漆原「…成程、流石は私の見込んだレアカードを持っているだけの事はありますね。」


仁「…レアカードを持つかどうかで格を決めているのか。歪んだ観察眼だな。」


漆原「夜見原……私の手を噛んだ愚かな野良犬が…。」





漆原「エクセレント！！！素晴らしい！！」



漆原「私の戦術の上を行く！これは私も少しばかり危険かもしれませんねええ！」


漆原「仕方ありません。私も少し本気でいかせてもらいましょう！！！」


夏武斗「っ！」


漆原「私のターン！ドロー！！」


漆原「私は魔法カード！『カウンター・サモン』を発動！」


漆原「自分フィールドに存在するカウンターを全て取り除く！！！」


仁「なんだと！？」


夏武斗「自分のカウンターを取り除くってのか！？」


仁（奴の戦術はダメージを与えるのが肝……ここでダメージの素となるカウンターを取り除くだと…！一体何を…。）


漆原「そして取り除いたカウンターの数以下のレベルを持つモンスター１体をデッキから特殊召喚する！！」


漆原「取り除いたカウンターは合計で５つ！私はデッキからレベル３のチューナーモンスター『コイン・ジャグラー』を特殊召喚！」星３・ＤＥＦ１００


夏武斗「チューナー…！」


漆原「コイン・ジャグラーが特殊召喚に成功した時、カードを１枚ドローする！！」

力強くカードを引き抜く。


漆原「更に私は『プロフェット・マーチャント』を通常召喚！」星４・ＡＴＫ８００


漆原「プロフェット・マーチャントの効果発動！このカードが召喚された時、デッキの上から５枚を確認して順番を自由に入れ替える事ができる！」


漆原「…エクセレント。これは素晴らしい！」

めくったカードを元に戻す。


漆原「私はレベル４のプロフェット・マーチャントにレベル３のコイン・ジャグラーをチューニング！」




果てる事無き数多の欲望、悪しき魔神の元に集え！




シンクロ召喚！




御出でなさい！『邪商神 エビルスター』！星７・ＤＥＦ２６００




仁「…来たか。」


夏武斗「あのモンスターは…。」



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漆原「カードを２枚ドロー。…そしてこの瞬間、邪商神エビルスターの効果発動。」


漆原「効果によってカードがドローされた時、ドローされたカードの数×２００ポイントのダメージを相手ライフに与える！」

エビルスターの掌から上空に向かって黒い光が放たれる。


漆原「さぁ！４００ポイントのダメージです！」

上空から雨のように光が降りそそぐ。


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夏武斗「ドローに反応してダメージを与えるシンクロモンスター…けど効果ダメージなら…！」

漆原「まあまあそう慌てないで下さい。」


夏武斗「何っ！？」


漆原「貴方方に今まで通りの戦術が通用しない事は分かりました。……ですので。」




漆原「私もプランを変えさせて頂きます！！私は魔法カード『融合』を発動！」


漆原「フィールドの『邪商神 エビルスター』と『ダメージ・デプター』を素材に融合召喚を行う！！」


夏武斗「今度は融合だって！？」


仁「シンクロモンスターを素材に融合召喚を行うだと！？」



仁（俺の知らない戦術で来るということか…！？）












仁（だとすれば…このデュエル……毛ほどの油断も許されない…！！）





終










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（次回予告）


仁「シンクロモンスターを素材に使う融合だと…。」


夏武斗「ただでさえ凄いシンクロモンスターをまた素材にするって…なんか贅沢な使い方だよな。」


仁「…贅沢、というのか？？」


夏武斗「例えば、トンカツとカレーが一緒になったカツカレーとか！ゲームも漫画もカードも全部買える大型ゲーム店とか！」


仁「次回、『邪商魔神爆誕！絶望のトークン地獄！』」


仁「一緒にするものじゃないと思うぞ…。」
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・漆原登場回は１２話～１４話です。