66 動物園の罠!？変則バトルロワイアル　作：ギガプラント

（上波動物園）




天音「ミミさん……何処へ行ったんでしょう？」


香子「うーん、よく変なとこに隠れてたりするから、毎度困るのよね。」


天音「早く見つけないと…動物の檻の中に入りでもしたら…。」


香子「あぁそこは大丈夫。あの子臆病で大きな動物とかに近づかないから。」


香子「でもなんにせよ早く見つけなくっちゃね。」


天音「はい。」


香子「ごめんね天音さん、また手伝わせちゃって。」


天音「いえ、気にしないでください。」




香子「ミミー！！出てきなさーい！！」

天音「ミミさーん！」


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夏武斗「あーミミに悪いことしちまったな。」


宇佐美「何、説明しとらんかったこっちの責任でもある。気にするでない。」


夏武斗「ああ……けど男だけ怖がるって、ウサギもちゃんと人間の事見てんだなぁ。」


宇佐美「ウサギに限った事ではない。全ての生き物が人間を見ておる。人間がそうなのと同じように。」


宇佐美「…一番周りが見えていないのは、人間なのかもしれんの。」


夏武斗「爺ちゃん…？」




ｷｰｷｰ!
ｳﾎｰ!
ｳﾞｫｵｵｵ!




夏武斗「…にしても皆元気だなぁ。前に来た時はあんなに動き回ってたかなぁ？」


宇佐美「…元気か。そう言えば聞こえはよく思えるが。」


宇佐美「あれは……そう、『怒り』なのやもしれん。」


夏武斗「怒り…？」


宇佐美「なんともおこがましいことよ。森や山から動物を捕らえ、檻に閉じ込め見せ物にするなど。」


夏武斗「そうなのかな…。俺にはよく分かんないや。なんか楽しそうにもみえるし。」


宇佐美「生きて皆の前に姿を表せば、食べ物も寝床もなんでも手に入る世界じゃからの。」


宇佐美「此処に居る動物の殆どは既にある種の『生』は失っているのやもな。」


宇佐美「彼等はもう、本来生きるべき世界では生きられない…。」


夏武斗「………」


宇佐美「生を奪われた動物に生を感じに来る人間…か。」


夏武斗「…やっぱり、よく分かんないよ。」


宇佐美「かっかっか。年寄りの戯言じゃ。気にするでない。」



宇佐美「気にしても仕方がないのじゃ……」









宇佐美「もう……な。」


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天音「中々見つかりませんね…。」


香子「うーん、もしかしたら飼育員の人が捕まえてくれたのかも。」


天音「成程。確かに…。」


香子「私…ちょっと訊いてみる。」




香子「ん…？」




天音「香子さん……どうかしたんですか？」


香子「あ、ごめんなさいちょっとね。」


天音「？」


香子「なんだか……人が全然いないなって。」


天音「オープン前ですからね。実質的に貸し切り状た…」
香子「そうじゃないの。」


香子「さっきまでスタッフや飼育員の人も歩いてたじゃない？それがいつの間にか全然見えなくなっちゃった。」


天音「あ、そういえば…皆さん休憩中なんでしょうか。」


香子「こんなに急に？なんだか不思議………っあ！」


やや離れた場所に人影を見つける





香子「あの！すみませ………ん？」




こちらを振り返る飼育員。




天音「香子さ……っ！？」



逆方向、そして死角になっていた物陰からも次々と飼育員が姿を現す。

彼等は焦点の合わない目でゆっくりと二人に近づいてくる。



香子「な、なんですか…！？」


天音「この人たち……！」



飼育員「………」


香子「ひぃ…！」


天音（４人……囲まれている！？）



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フードの男「ふふ…。」


フードの男「単体では屑レベルのデュエリストも、数さえ揃えれば立派な戦力…ですよねぇ。」


フードの男「せいぜい役に立って頂きますよ。」


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飼育員達の腕に黒い影がリング状に纏わりつく。
影はみるみるうちに形を変え、黒いデュエルディスクに変形する。


飼育員「…デュエル。」


飼育員「……デュエル。」


飼育員「………デュエル。」




天音「これって夏武斗君が言っていたのと同じ…！」


香子「ちょっと…皆どうしちゃったの…？」


天音「香子さん！デュエルで彼等を抑えてださい！」


dPhoneを構える天音。


香子「えっ！？一体何が…」


天音「話は後です！今はこの状況をどうにかしないと…。」


香子「う、うん…。」

同じくdPhoneを構える。




飼育員Ａ「俺のターン…。」


飼育員Ａ「『メカレオン』を召喚…ターンエンド。」星２・ＡＴＫ８００


香子「通常モンスター…？」


飼育員Ｂ「俺のターン…。」


飼育員Ｂ「『キラーパンダ』を召喚…ターンエンド。」星４・ＡＴＫ１２００


飼育員Ｃ「俺のターン…。」


飼育員Ｃ「『クロコダイラス』を召喚…ターンエンド。」星４・ＡＴＫ１１００



天音（この人達が夏武斗君の言っていた人達と同じなら…。）


飼育員達「………」


天音（どこかに怪しい人が…。）


天音「私のターン！自分フィールドにモンスターが存在しない時、手札から『天上の使者』を特殊召喚！」星１・ＤＥＦ１００
太陽を模した短い杖を持つ小さな天使。天使だが妖精に近い容貌をしている。


天音「そしてそのまま天上の使者をリリース！『ミスト・ミストレス』をアドバンス召喚！」星６・ＡＴＫ２４００


天音「更にこの瞬間、天上の使者の効果発動！」


天音「フィールドのこのカードが戦闘以外の方法によって墓地へ送られた時、デッキから守備力０の天使族モンスターを特殊召喚できる！」


天音「『炎天使バニング』を特殊召喚！」星６・ＡＴＫ２２００


天音「私はレベル６のミスト・ミストレスと炎天使バニングでオーバーレイ！」




その煌びやかなる翼はためかせ！天光の海を翔けよ！



エクシーズ召喚！



現れよ！『晴天竜 クリアースカイ・ドラゴン』！！ランク６・ＡＴＫ２８００




香子「１ターン目からエクシーズ召喚が決まった！」


天音「私はこれでターンエンドです。」



香子「私のターン！」


香子「天音さん！この人達どうしちゃったの！？なんだか寝ぼけてるみたい…！」


天音「普通じゃないことは確かです。恐らく元通りにするにはデュエルで勝つしか…。」


香子「なんなのよ一体…私は『レスキューラビット』を召喚！」星４・ＡＴＫ３００


香子「レスキューラビットのモンスター効果発動！レスキューゲート！！」


香子「デッキより２体の『ウィルミー』を特殊召喚！」星４・ＡＴＫ１０００


香子「更に手札から魔法カード『融合』を発動！２体のウィルミーを素材に融合！」



野を駆ける野生の狩人よ、その鉤爪を交え新たな刃を振るえ！



融合召喚！



現れよ！『妖獣－ルナティック・ラビット』星８・ＡＴＫ２８００




香子（通常モンスターを出しておしまいなんて…一体何をするつもり？）


香子「でも…通常モンスターだからって油断しちゃいけないのは誰より私が分かってる！」


香子「ルナティック・ラビットのモンスター効果発動！」


香子「１ターンに１度、デッキから通常モンスター１体を墓地へ送り、相手フィールド上のカード１枚を破壊する！」


香子「『ラビードラゴン』を墓地へ送って、キラーパンダを破壊する！」


ルナティック・ラビットの妖術がキラーパンダを襲う。


飼育員Ｂ「………」


香子「…気味が悪いわね。カードを１枚セットしてターンエンドよ。」



飼育員Ｄ「俺のターン…。」


飼育員Ｄ「魔法カード『融合』を発動…」


香子「あっちも！？」
天音「融合！？」


飼育員Ｄ「手札の『百獣王 ベヒーモス』と『デーモン・テイマー』を素材に融合。」



融合召喚。



『魔獣使いの女王（クィーン・ビーストテイマー）』星６・ＤＥＦ２４００





サーカスの猛獣使いのような恰好の女性。その手には非常に長い鞭が握られている。


飼育員Ｄ「魔獣使いの女王の効果発動…２０００ライフを払い、デッキからレベル４以下の獣族同名モンスター３体を効果を無効にして守備表示で特殊召喚する…」　ＬＰ４０００→２０００


飼育員Ｄ「３体の『隻眼のホワイトタイガー』を特殊召喚。」星３・ＤＥＦ５００


天音「一気に展開を…！」


飼育員Ａ「隻眼のホワイトタイガー２体をリリース…『精霊獣 エメラルドヒポポタマス』をアドバンス召喚。」星１０・ＡＴＫ０
宝石のような緑色をした非常に大きなカバのモンスター。


香子「レベル１０！？」


飼育員Ｄ「召喚されたエメラルドヒポポタマスは守備表示になる。」ＤＥＦ４０００


天音（守備力４０００…これは強敵ですね…。）


飼育員Ｄ「ターンエンド…。」



飼育員Ａ「俺のターン…ドロー。」


飼育員Ａ「『メカレオン』を召喚…バトル」星２・ＡＴＫ８００


香子「バトルですって…！？」


天音「攻撃力８００の通常モンスターで一体何を…」


飼育員Ｄ「エメラルドヒポポタマスが存在する限り、全ての通常モンスターは、通常モンスターをコントロールしていないプレイヤーに直接攻撃ができる…。」


天音「直接攻撃！？」


香子「ひどい！」


飼育員Ａ「２体のメカレオンでダイレクトアタック…」


２体交互に香子に飛び掛かる。


香子「きゃあ！！」ＬＰ４０００→２４００


天音「香子さん！」


香子「大丈夫、平気…。」


飼育員Ｂ「俺のターン…『キラーパンダ』を召喚。」星４・ＡＴＫ１２００


飼育委Ｂ「キラーパンダでダイレクトアタック…」


香子「くうぅ…！」ＬＰ２４００→１２００


飼育員Ｃ「俺のターン…」


天音（まずい…！）


飼育員Ｃ「『クロコダイラス』を召喚…」星４・ＡＴＫ１１００


飼育員Ｃ「クロコダイラスでダイレクトアタック…」


香子「っ！罠カード発動！『月天回帰』！！」


香子「自分フィールド上の融合・シンクロ・エクシーズモンスターの内１体をエクストラデッキに戻す事で、そのモンスターの攻撃力分のライフを回復しバトルフェイズを終了させる！」


ルナティック・ラビットが光の球体に包まれ、遥か上空へと消えていく。


香子「２８００のライフを回復！」香子ＬＰ１２００→４０００


香子「そしてバトルフェイズ終了によって攻撃は中止される！」


飼育員Ｃ「ターンエンド…」



香子「ふぅ…。」


香子「よってたかってダイレクトアタックなんて卑怯よぉ！」


天音「良かった…無事で。」



天音「私のターン！ドロー！」


天音（あの巨大なモンスターの効果でダイレクトアタックしているのなら…！）


天音「私は『晴天使 サニー』を召喚！」星４・ＡＴＫ１８００


天音「バトルフェイズ！晴天竜クリアースカイ・ドラゴンで、キラーパンダを攻撃！サンライズ・ノヴァ！」


飼育員Ｂ「………」ＬＰ４０００→２４００


天音「この瞬間！速攻魔法『セカンドウェーブ』を発動！」


天音「相手モンスターを戦闘で破壊した時！破壊したモンスターより低い攻撃力の相手モンスター１体を破壊する！」


香子「そうか！エメラルドヒポポタマスの攻撃力は０！」


天音「エメラルドヒポポタマスを破壊！」


飼育員Ｄ「魔獣使いの女王のモンスター効果発動。獣族を対象とするカードの効果を無効にする…」


魔獣使いの女王が鞭を大きく振るう。



天音「っ！？」


香子「そんな…。」



天音「…晴天使サニーでクロコダイラスを攻撃。」


飼育員Ｃ「………」ＬＰ４０００→３３００


天音「晴天使サニーのモンスター効果により、デッキから『雨天使レーゲン』を手札に加えます。」


天音「…カードを１枚セットしてターンエンドです。」


天音（くっ、中々突破できない…早く夏武斗君達にこの事を伝えなきゃいけないのに…！）



香子「私のターン！ドロー！」


香子「『ウィルミー』を召喚！」星４・ＡＴＫ１０００


香子「更に装備魔法『戦線復活の代償』を発動！ウィルミーを墓地へ送り、墓地から『ラビードラゴン』を特殊召喚！」星８・ＡＴＫ２９５０


香子「そしてこのカードはラビードラゴンに装備される！」


香子（通常モンスターを出しておけば私は攻撃されない筈……だけど。）


天音（私のデッキに通常モンスターは入っていない…。）



香子「バトルよ！ラビードラゴンでクロコダイラスを攻撃！」


飼育員Ｃ「………」ＬＰ３３００→１４５０


香子「…顔色一つ変えないなんて。」


香子（今はこれくらいしか…。）


香子「カードを１枚セットしてターンエンド…。」



飼育員Ｄ「俺のターン…ドロー。」


飼育員Ｄ「『闇の量産工場』を発動。墓地の『隻眼のホワイトタイガー』２体を手札に戻す。」


飼育員Ｄ「『隻眼のホワイトタイガー』を召喚。」星３・ＡＴＫ１３００


飼育員Ｄ「もう一体のホワイトタイガーを攻撃表示に変更、バトルフェイズ…」


天音「…！」


飼育員Ｄ「隻眼のホワイトタイガーでダイレクトアタック…」


天音「っ！罠発動！『モンスターン』！」


天音「相手モンスターの攻撃を無効にして、そのモンスターより低い攻撃力の相手モンスター１体を破壊する！」


天音（くっ…エメラルドヒポポタマスを対象にすればまた無効化される…。）


天音「メカレオンを破壊します！」

強風で飛ばされた白虎がメカレオンに背中でのしかかる形になる。


飼育員Ｄ「２体目のホワイトタイガーでダイレクトアタック…」


天音「くっ……！」ＬＰ４０００→２７００


飼育員Ｄ「ターンエンド…」


天音（後何回耐えられる…？何回防げば……）


香子（どうしよう…このままじゃ…。）



飼育員Ａ「俺のターン…『メカレオン』を召喚。」星２・ＡＴＫ８００


飼育員Ａ「メカレオン…攻撃。」


２体のメカレオンが襲い掛かる。


天音「きゃあ…！！」ＬＰ２７００→１１００


天音「数が……多すぎる…！」


飼育員Ｂ「俺のターン…キラーパンダを召喚。」星４・ＡＴＫ１２００


飼育員Ｂ「攻撃」


天音「っ！！…『アンブレラ・ガーダー』の効果……発動！」


天音「手札から墓地へ送る事で…自分へのダメージを………０にする……！」


香子「天音さん！」


飼育員Ｃ「俺のターン…」


天音（もう打つ手が…！）


飼育員Ｃ「クロコダイラスを召喚…」


香子「もうやめて！皆目を覚まして！！」


飼育員Ｃ「…クロコダイラス、ダイレクトアタック。」



天音「！！」













？「『韋駄天の魔妖兵』のモンスター効果発動！」


天音「えっ…！？」


香子「誰！？」



？「相手の攻撃宣言時、手札のこのカードを攻撃表示で特殊召喚し、攻撃対象をこのカードに変更する！」星５・ＡＴＫ１０００
全身黒ずくめの忍者服を着た悪魔兵。



天音「仁君！？」





仁「……間に合ったか。」ＬＰ４０００→３９００






終










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（次回予告）


天音「仁君！どうして此処に！？」


仁「…話は後だ、こいつらを何とかするぞ。」


天音「助けに来てくれたんですか？」


仁「結果論だ。こんな状況になっているとは思いもしなかった。」


天音「やっぱり動物園来たかったんですか？」


仁「俺は興味がないと言った筈だ。」


天音「上波動物園名物、ゴリラのごんちゃんキーホルダー、いち早く欲しかったんですか？」


仁「………」


天音「次回！『ランクアップ 新たなる力』」


仁「お前は俺をからかっているのか？」


天音「えへへ…。」
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・今更ですが、ラーナ編よりエクシーズ召喚にも口上がつきました。