62 ４倍ハンデ!?超弩級のシェンロン！　作：ギガプラント

（上波町・繁華街）



人通りの多い繁華街エリアを一人トボトボと歩く夏武斗。





夏武斗「………」




夏武斗「はぁ…。」



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爺ちゃん「おい夏武斗……いつまでもシケた面してんじゃねえ。」


夏武斗「ん……爺ちゃん。」


爺ちゃん「まぁ塞ぎこみたくなる気持ちは分からねえでもねえがよ。ずっとそんな調子で部屋に篭ってたらカビが生えちまうぞ。」


夏武斗「…んなこといっても。」


爺ちゃん「今日は行かねぇのか？あの、なんとかセンターってとこにゃあ。」


夏武斗「今日は……いいよ。」


爺ちゃん「せっかくすぐ退院できたんだ、思いっきり身体動かしゃいいだろうに……よし、行かねえってんならちょっと散歩がてらお使い行ってこい。」


夏武斗「ええっ！？俺今そんな……」
爺ちゃん「ゴチャゴチャ言うねぇ！！いいから行ってこい！！」



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夏武斗「ったく、人使いが荒いぜ…。」


夏武斗「つい先日街中で襲われたってのに、普通繁華街なんか行かせるかぁ？」


夏武斗「は～あ……」





夏武斗（爺ちゃんにも気使わせちまってんな…。）


夏武斗（けど……）


夏武斗「ヴィクトリー・ビートル……」


夏武斗（お前は……今何処にいるんだ？）











龍さん「おわあああ～！！」










夏武斗（ん？あれは…）


通りの真ん中を物凄い勢いで駆け抜けてくる龍さんと酒屋の店主。
店主は大きな竹箒を大きく振りかざしながらもスピードを維持している。
龍さんはなんとか逃げ切っているといった状態。



龍さん「ちょっ！待て大将！落ち着け！とりあえずその箒を下ろせ！！」


店主「今日という今日はもう待たないよ！！さぁ有り金全部出してもらおうかい！」


龍さん「そんな借金の取り立てみてぇな事！！」


店主「ツケも借金も同じようなもんさ！さぁ観念しな！！」


龍さん「くそぉ！なんか手は……おっ！！」


夏武斗「へっ？」



龍さん「おおっ！いつかのあんちゃん！丁度良かった！」


夏武斗「おっさんまた…っておわ！」


夏武斗の肩を両手でがっしりと掴み、盾にするように店主に向き直る。


龍さん「ようし大将！またデュエルで勝負ってのはどうだい！こいつが勝ったら…」
夏武斗「待て！待てって！」


店主「おまえさんは楠さんとこの……なんてタイミングだい。」


龍さん「えーと…お前名前はなんてった？」


夏武斗「…夏武斗だけど。」


龍さん「そうだった！よし夏武斗！悪いけどこないだみたくまたデュエルを…」
夏武斗「悪いけど今日は…」


龍さん「まぁそう言わずに頼むぜ！人助けだと思ってよぉ！！」


店主「どう考えてもツケを払わない龍さんの方が悪人じゃないか！人助けならこっちの味方だろう！！」


龍さん「ええい惑わされるな夏武斗！耳を傾けるな！今はとにかくこっちについてデュエルを…」
夏武斗「駄目だって！！」


夏武斗「今日は俺そんな気分じゃないし……それに」




夏武斗「今は…デッキ持ってきてないから。」


龍さん「…！」


夏武斗「だから…悪いけど…。」




龍さん（なんか訳ありってか…。）


龍さん「おい夏武斗。なんかの縁だ。なんかあったんなら俺に…」
店主「龍さん！！」


龍さん「おおっと！？やべっ忘れてた！！」


店主「忘れるのはツケだけにしてもらいたいね！といっても龍さんのツケは全部帳簿に書き込んであるからこっちは忘れないがね！！」


龍さん「かぁ～チマチマしてんなぁアンタは…。あんまり細けえことばっか気にしてっと、禿げちまうぜ？」


店主「アンタのツケが返ってくるならいくらだって禿げてやろうじゃないか！」


夏武斗「…なぁ、俺もう」





龍さん「…いや、やっぱちょい付き合えや。」


夏武斗「………？」




龍さん「大将。今回は男らしく一対一。俺とデュエルだ。」


店主「はぁ！？何言ってんだい！！そんなことして……」
龍さん「あぁ分かってる。普通にやったら俺が勝つだろうさ。安心しな、何も普通にやりあおうなんて言わねえよ。」


龍さん「俺のライフはあんたの半分、２０００でいい。」


夏武斗「半分…！？」


龍さん「どうだい、なかなか良いハンディキャップだと思わねえか？」


店主「………」


夏武斗（ライフが半分なんて圧倒的に不利だ。あのおっさん強かったし、そんなルールで勝てるってのか…？）












店主「……８０００だ。」


夏武斗＆龍さん「「８０００？」」


店主「龍さんのライフが半分に加え、俺のライフは二倍の８０００だ！！それなら受けてやる！」


夏武斗「は、はぁ～！！？そんな無茶苦茶な！」


龍さん「…大将、この期に及んで足元見やがって。」


店主「アンタが出してきた条件だ。つまり勝てる見込みがあるんだろ？」


店主「悪いがそう簡単にそんな手には乗らないよ。やるなら８０００だ。」


店主「勿論俺が勝ったら今までのツケはぜ～んぶ支払ってもらう！！いや、利子をつけてもらっても罰は当たらないね！！」


龍さん「…あーもうわかったわかった。ったく食えねえなぁアンタは。」


夏武斗「お、おっさん受けんのかよ！？」


龍さん「元は俺が捲いた種だ。大将がああいうなら仕方ない。」


龍さん「ちょいと手間だが、勝ちゃいいって事にゃあ変わりねえ。」


龍さん「夏武斗。お前さんはそこで見ててくんな。勿論公平な目でな。」


店主「ふん！ホントに受けるのかい。今謝れば利子だけは許してあげるよ！！」


龍さん「馬鹿言え！自分から申し込んだデュエルで引き下がれるもんかよ！」


夏武斗「………」


夏武斗（ライフ２０００対８０００って……いくら強くたって４倍のライフの相手と戦うなんて…。）


夏武斗「………。」




店主「今日こそは全額払って貰うからね！！」





dPhoneモードチェンジ！Ｄパッドモード！



ターゲットロックＯＫ！



ビジョンリンクＯＫ！



ファーストディールＯＫ！



デュエル！！




店主「先攻は貰ったよ！俺はモンスターと魔法＆罠ゾーンにカードを１枚ずつセットしたターンエンドだ！」


龍さん「ほう…そんじゃあ俺のターンだ！！ドロー！！」


夏武斗（こんなデュエル初めてだ…。）



店主「ふん！！永続罠発動！『駆け付け三杯』！」


店主「こいつの効果で龍さんのモンスターにはたっぷりと飲んで貰うよ！」


龍さん「へっ！タダ飲みとは嬉しい限りだぜ！！」


龍さん「それじゃあ先ずは…こいつからだ！」


龍さん「自分フィールドにモンスターが存在しない時、手札から『空覇疾風龍－ヴァーテクスシェンロン』をリリースなしで通常召喚！！」星８・ＡＴＫ２５００
突風を身体に纏ったとても大きな龍モンスター。


どこからか三つの盃が飛んでくる。
三杯の酒を一気に飲み干すヴァーテクスシェンロン。


店主「駆け付け三杯の効果発動だ！モンスターが召喚・反転召喚・特殊召喚された時、そのモンスターに酔いカウンターを３つ乗せる！！」


店主「そしてこのカードが存在する限り、酔いカウンターの乗ったモンスターの攻撃力は、その数×３００ポイントダウンする！！」


龍さん「へん！この方法で召喚したこいつは攻撃力が０になるんでぇ！！これ以上攻撃は下がんねえよ！！」ＡＴＫ２５００→０


龍さん「更に！俺はこいつをリリース！！」


夏武斗「いきなり！？」


店主「リリース…！？」


龍さん「こいつは自分フィールドのドラゴン族モンスター１体をリリースして手札から特殊召喚できんのよ！来い！『神鳴雷光龍－ライトニングシェンロン』！！」星１０・ＡＴＫ１５００
雷雲を纏い、稲光を発する白銀の龍。


龍さん「そしてこいつの攻撃力は、リリースしたドラゴン族モンスターのレベル×２００ポイントアップする！！」ＡＴＫ１５００→３１００


店主「だがそいつにも駆け付け三杯の効果を受けてもらうよ！！たぁんと飲みねぇ！！」


龍さん「うひょおタダ酒だ。羨ましいねぇ！」ＡＴＫ３１００→２２００


夏武斗「あの罠カードか…。」


夏武斗（あのおっさんのデッキは相手を酔っぱらわせて弱らせ、自分は逆に酔うことで強くなるモンスターを使う戦術だったな。）


夏武斗（でもこっちもいきなり最上級モンスターを出してくるなんて……。）


夏武斗「…こっちのおっさんも強いのかな。」



龍さん「さぁ先ずは俺の方から攻めさせて貰うぜ！！俺はライトニングシェンロンでセットモンスターに攻撃！！」


口から稲妻を放出し、セットされていた白い鬼モンスターを襲う。


店主「ふんっ！破壊された『白酒豪鬼 ヴァイツェン』のモンスター効果発動！」


店主「このカードが破壊されたエンドフェイズに、デッキから相棒『黒酒豪鬼 スタウト』を特殊召喚する！」


龍さん「ほおぅ？相棒の登場か。面白えじゃねえか。」


店主「そんな口が叩けるのも今のうちさ！さぁ龍さん早くターンエンドしておくれ。」


龍さん「まあまあそう慌てんなって。俺はカードを１枚伏せてターンエンドだ。」


店主「エンドフェイズ時、デッキから『黒酒豪鬼 スタウト』を特殊召喚！」星４・ＡＴＫ１５００


店主「この瞬間駆け付け三杯の効果発動だ！飲め飲めぃ！！」


店主「これで黒酒豪鬼スタウトにも酔いカウンターが３つ乗る！だけどこいつの効果により、駆け付け三杯の効果によって攻撃力は下がらず、逆にその数値分アップする！」ＡＴＫ１５００→２４００


夏武斗（次のターンからあっちも攻撃ができる。）


夏武斗（こっちには攻撃力２２００のモンスターがいるけど、相手にも２４００のモンスターが１体…。）


夏武斗（ライフがたったの２０００しかないこの状態じゃ、次のターンで一気にライフを削り取られる事だってありうる。）


夏武斗「なのに…。」


夏武斗（どうしてあんなに余裕な顔してんだろう。）



店主「俺のターンだ！！さぁ覚悟してもらうよ！」


店主「魔法カード『鬼の酒盛り』を発動！」


店主「自分の場に黒酒豪鬼スタウトが存在する時、墓地から白酒豪鬼ヴァイツェンを特殊召喚する！」星３・ＡＴＫ１２００


店主「そしてまた駆け付け三杯の効果発動だよ！こいつにもどんどん酔ってもらおうかい！」


店主「勿論こいつも酔った分だけ強くなる！カウンター１つにつき攻撃力３００アップだ！」ＡＴＫ１２００→２１００


夏武斗「攻撃力が２１００に…！」


夏武斗（これじゃ…。）


龍さん「おい夏武斗。何情けない顔してやがる？」


夏武斗「………！」


龍さん「お前さん前に会った時は追い詰められてる時こそニコニコヘラヘラしてたじゃねえか。」


龍さん「何があったかは知らねえがよ。てめえの芯までぶらすんじゃねえ。」


龍さん「たとえ手足がもがれたって……前向いて歩かねえとやってらんねぇってもんだぜ！！」


夏武斗「お、おっさん…。」


龍さん「たかだか６０００程度のライフ差がなんでぇ！俺にはそんなもん関係ねえってとこ、お前に見せてやる！！」


店主「こいつを見てもまだそんなことが言えるかね龍さん！！」


店主「俺はヴァイツェンとスタウトをリリース！！」


龍さん「…！？」


夏武斗「あっちもリリース…！？」


店主「さぁ行くよ！！こいつで終わらせてやる！！アドバンス召喚！！『酒豪魔獣－ドゥンケルベロス』！！」星８・ＡＴＫ２０００
３つの首を持つ大きな犬。何故か大きな酒樽を背負っている。


店主「駆け付け三杯だ！！グイグイいきなぁ！！」


３つの盃が３つの頭それぞれに行きわたり、それぞれが物凄い勢いで酒を飲み始める。



夏武斗「犬って酒飲むのか…？」


龍さん「…まぁあれ見る限り飲むんだろうな。犬にやる酒があんなら俺にも分けてほしいぜ。」


店主「今までどんだけ分けてやったと思ってるんだい！！まったく！！」


店主「ドゥンケルベロスも当然酔い潰れたりしねえ！！カウンター１つにつき攻撃力３００アップ！！」ＡＴＫ２０００→２９００


龍さん「自分ばっか気持ちよく飲みやがって！！ズルいぜ大将！！」


夏武斗「いやそっちじゃないだろ…。」


店主「ドゥンケルベロスのモンスター効果発動だ！！このカードに酔いカウンターが乗っている時、このカードはこのターン、乗っている酔いカウンターの数だけ攻撃できる！！」


夏武斗「って事は…３回攻撃！！？」



店主「さぁ龍さん！！覚悟しなあああ！！」




終










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（次回予告）


夏武斗「ライフ８０００対２０００ホントにこんなんで勝てるのかよ…。」


店主「龍さん！アンタが強いのは知ってる！けどこっちのライフはそっちの４倍だ！これなら負けたりしないよ！！」


龍さん「かぁ～！俺様も舐められたもんだねぇ！！どんなにライフがあったって、０にすりゃいいのはおんなじよ！」


夏武斗「そんな簡単に言うけど…。」


龍さん「おい夏武斗。お前さん一体どうしちまったんだぁ？」


夏武斗「次回！『神龍演舞』！」


龍さん「前に会った時は、お前そんなんじゃなかったぜ？」
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・実際に犬にお酒を与えるのはやめましょう。