24 アストベリーカップ開催！　作：ギガプラント

（ジェネシック・スタジアム）




司会「続きまして、上波町長による式辞です。それでは………」





夏武斗「ふぁ～あ…。」





夏武斗「式ってのはど～してこう長ったらしいのかなぁ…。」


天音「まあまあ…大きな大会ですし仕方ないですよ。」


夏武斗「それは分ってるんだけどさ…う～ん、早くデュエルがしたいぜぇ！」

夏武斗の声に驚き振り向く参加者。


天音「か、夏武斗君…もう少し静かに…。」


夏武斗「おっといけねっ…！」


天音「でも、この式が終わったらいよいよ…って思うと、やっぱりドキドキしてきちゃいますね。」


夏武斗「あぁ！」





夏武斗（大天島を出てこっちに来てから今日まで…なんだかすげえ長かったなぁ。）


夏武斗（遂に始まるんだよな…アストベリーカップ！）


夏武斗（俺の力でどこまで行けるのか…へへっ！やってやるぜ！）






司会「続きまして…ジェネシック・エレクトロニクス社会長兼、本大会の組織委員会会長アーネスト・アストベリーによる開会宣言です。」


天音「あ…」


夏武斗「アストベリーさん…。」


壇上に上がるアストベリー。




アストベリー「まずは本大会の為この場に足を運んで頂いた全ての参加者・観戦者の皆様、そしてスタッフ一同に心より深くお礼申し上げる。」


アストベリー「さて…私も思うところは多々あるのだが、ここにいる皆からすれば、そんなことよりこの後行われるデュエルの事で頭の中が占められている事だろう。」


アストベリー「故にこの場で長々と語ることはせず、早速開催宣言に移らせて頂こうと思う！」



湧き上がる歓声。



夏武斗「さっすがアストベリーさん！分かってるぜ！！」


天音「あはは…。」





アストベリー「ふっ、それでこそデュエリストというもの…！」




アストベリー「諸君！」





幾多の強者をなぎ倒し！




最強の称号を掴みとれ！





今此処に！ジェネシック・エレクトロニクス社主催！アストベリーカップの開会を宣言する！！！









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（Ｍ.Ｃ.Ｃデュエルセンター・ロビー）


dPhoneの表示を眺める二人。

天音「私の初戦は…えーっと、Ａブロックですね。」


夏武斗「俺の方はＢブロックって出てるぜ！」


天音「Ｂブロックはあっちの方ですね。多分分かりやすい看板か何かがあると思います。」


夏武斗「ありがとな天姉。…そういや前から思ってたんだけど、アストベリー杯の予選ってここでやるんだな。」


天音「はい。Ｍ.Ｃ.Ｃはジェネシックと業務提携していますし、何より開会式の会場であるジェネシック・スタジアムに近いんですよ。」


夏武斗「確かに、ちょこっと歩くだけであんなでっかいスタジアムがあるんだもんなぁ。俺びっくりしちまったよ。」


天音「ふふ、本戦になるとあそこでデュエルするんですよ。」


夏武斗「マジかよ！うっわぁ～楽しみだな～！！」


天音「夏武斗君…もう勝った気になってません…？」


夏武斗「あ、」


天音「うふふ…。」


夏武斗「でも！絶対俺は勝ち上がってみせるぜ！目指すは優勝だ！」


天音「そうですね！私も頑張らなきゃ。」



夏武斗「俺とぶつかるまで負けんなよ天姉？」


天音「あら、夏武斗君とぶつかっても負けるつもりはありませんよ？」


夏武斗「おぉ？言ったなぁ？…へへっ！」


天音「はい！私だって優勝目指してますから。…ふふ。」




天音「お互い、頑張りましょうね。」


夏武斗「あぁ！」


握手する二人。



夏武斗「そんじゃ俺はもう行くから。」


天音「はい！ご武運を。」


夏武斗「じゃ～な～！！」

走り去る夏武斗。









天音「か、夏武斗君！！Ｂブロックはそっちじゃないですよ～！！」







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（デュエルスペース・Ｂブロック）


走ってくる夏武斗。

夏武斗「はあぁはあぁ…！！」


夏武斗「あ、危ね～。もう少しで完全に真逆に行っちまうところだったぜ…。」


夏武斗「後で天姉にもう一回礼言わねえとだな…。」


？「ったく、相変わらずのうっかりボーイだな。」


夏武斗「うん？」


猪狩「ま、個性も糞も無ぇ都会の連中に染まりきっちまうよりゃマシか。」


夏武斗「あああぁぁぁ！！船んとこのおっさん！！」


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猪狩「コソ泥がいい度胸じゃねえか…とっ捕まえて御上に突き出してやる…！」


少年「えぇ！？俺はコソ泥なんかじゃねえって！」


船員「じゃあ何が目的だ…何企んでこの船に乗り込んだ！？」


夏武斗「別に企んでなんかねえよ。俺はただじーちゃん家のある上波町に行こうとしただけで…乗船券だってちゃんと持ってるぜ？」





船員「ここは貨物船だ！乗船券なんてあるか！」



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夏武斗「確か…乗る船間違えて泥棒と間違われたんだっけ…。あん時はありがとな！」


猪狩「ふん！過ぎた事だ気にすんな。」


夏武斗「そっかぁ！おっさんもアストベリー杯に出場してたのか！！」


猪狩「ったりめえだ！この猪狩海蔵（いかりかいぞう）！幾つになっても現役のデュエリスト！」


猪狩「にしても、まさか小僧が初戦の相手たぁな…だが、あん時の借りを返すにゃ丁度いいか！」


猪狩「小僧…今回はあん時みてえにいくと思うなよ！」


夏武斗「…最初の相手はおっさんか、へへ！面白くなってきたぜ！！」


夏武斗「こっちこそ！俺は前闘った時よりずっと強くなってるからな！」


猪狩「そいつぁこっちだって同じ事よ！」


猪狩「さぁ時間だ！いくぞ小僧！」


夏武斗「おう！」






dPhoneモードチェンジ！Ｄパッドモード！



ターゲットロックＯＫ！



ビジョンリンクＯＫ！



ファーストディールＯＫ！



デュエル！！








猪狩「先攻は貰った！俺のターン！」


猪狩「俺はモンスターを裏側守備表示でセット！」


猪狩「ターンエンドだ！」


夏武斗「なんだおっさん、意外と慎重じゃん。」


猪狩「へっ！言ってな！さぁかかって来い！」



夏武斗「俺のターン！ドロー！」


夏武斗「俺は『エアリアル・ヤンマー』を召喚！」星４・ＡＴＫ１８００

高速旋回で飛び回るトンボのモンスター。


夏武斗「それじゃ遠慮なく行かせてもらうぜ！俺はエアリアル・ヤンマーでセットモンスターに攻撃！」

猛スピードの攻撃に討たれる海賊のモンスター。


猪狩「へっ！セットモンスターは『あらくれパイレーツ』！」星３・ＤＥＦ１０００


猪狩「こいつは戦闘で破壊され墓地へ送られた時、デッキからあらくれパイレーツ１体を特殊召喚する！」


猪狩「さぁ来い！特殊召喚だ！」星３・ＡＴＫ１３００


夏武斗「リクルート効果を持つ海賊…。」


夏武斗「俺はカードを１枚セットしてターンエンド！」



夏武斗「前にデュエルした時にも使ってたよな、その海賊モンスター。」


猪狩「あぁ。昔っから海賊は俺のロマンなのよ。そういう坊主も相変わらず虫モンスターばっかりみてえだな。」


夏武斗「へへっ！俺もおんなじだよ。昔っから虫が大好きなんだ！」


猪狩「そうか…それじゃこれは、俺とお前のロマン同士の闘いってわけだ！」



猪狩「いくぞ！俺のターン！ドロー！」


猪狩「次はこいつだ！『アンカー・スローマン』！」星４・ＡＴＫ２３００


猪狩「そして俺はフィールド魔法！『怒涛の海域』を発動！」

フィールドは瞬く間に大荒れの海へと変わる。


夏武斗「うわあああ！！溺れ……ってなんだこれもソリットビジョンか…。」


猪狩「怒涛の海域がフィールドに存在する時、フィールドは海となる！」


猪狩「そして水属性モンスターが攻撃を行う場合、ダメージステップの間だけ攻撃力が５００ポイントアップするぜ！」


猪狩「さぁ今度はこっちの番だ！バトルフェイズ！！」


夏武斗「おっと！この瞬間俺はエアリアル・ヤンマーのモンスター効果発動！」


夏武斗「超高速旋回！」

目にも止まらぬスピードで飛び回り、その姿を捉えられなくなる。


猪狩「なんだと！？」


夏武斗「これでこのターン！エアリアル・ヤンマーは攻撃対象にされなくなったぜ！」


猪狩「坊主…お前それがどういう意味か分かってんだろうなぁ？」


夏武斗「あぁ勿論！つまりこのターンの攻撃は全て俺へのダイレクトアタックになるってことさ！」


猪狩「…何を企んでるかは知らねえが、自分からどけてくれるってんなら遠慮なく攻撃させてもらうぜ！」


猪狩「行け！アンカー・スローマン！坊主にダイレクトアタックだ！」


夏武斗「よっしゃ！罠カード発動！『虫の知らせ』！」


夏武斗「相手がダイレクトアタックしてきた時、デッキからレベル４以下の昆虫族モンスター１体を攻撃表示で特殊召喚する！」


猪狩「！？」


夏武斗「俺はこの効果で『代打バッター』を特殊召喚！」星４・ＡＴＫ１０００


猪狩「成程…罠のトリガーを引かせる為に敢えてダイレクトアタックを誘ったって事か…！」


夏武斗「まだ攻撃は終わってないぜ？どうするおっさん？」



猪狩（あのモンスターは…。）




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夏武斗「代打バッターが破壊された時、手札から昆虫族モンスター１体を特殊召喚できる！」


猪狩「また壁を増やす気か？どんな雑魚を並べたところで…！」


夏武斗「おおっと？果たしてコイツが『雑魚』かな？」


猪狩「あん？」


夏武斗「現れろ！雄々しき巨体に雄々しきパワー！ドン・ヘラクレス！」


猪狩「攻撃力２７００だと！？」




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猪狩「攻撃は止めだ…。」


夏武斗「あれ？攻撃しないのか…。」


猪狩「２度も同じ手に引っかかってやると思うなよ！？」


猪狩「あらくれパイレーツを守備表示に変更する！」


猪狩（坊主…）


猪狩（このカードで…今度は俺が勝たせてもらう…！）


猪狩「俺はカードを１枚セットしてターンエンドだ！」



夏武斗「それじゃ俺のターンだ！ドロー！」


夏武斗「俺は『スワローテイル・フェアリー』を召喚！」星２・ＡＴＫ８００


猪狩「そいつは確か……チューナーモンスター。」


夏武斗「そうさ！だったら次にやることは分かるよな？」



夏武斗「俺はレベル４のエアリアル・ヤンマーにレベル２のスワローテイル・フェアリーをチューニング！」




逆巻く怒号の嵐！空を裂くこの腕に宿れ！



シンクロ召喚！



切り裂け！『裂刃（れつじん）ストームシックル』！星６・ＡＴＫ２２００





両腕に大鎌を装着したカマキリ戦士。

猪狩「シンクロか…！」


夏武斗「裂刃ストームシックルのモンスター効果発動！」


夏武斗「１ターンに１度、このカードより低い攻撃力のモンスター１体を破壊できる！」


猪狩「ちっ…。」


夏武斗「俺はこの効果で、あらくれパイレーツを破壊する！」


夏武斗「いっけえ！！シェーバースフィア！」

球体の鎌鼬が海賊の全身を切り裂く。


猪狩「くっ…！だが良かったのかい？そのシンクロモンスターじゃ俺のモンスターを倒せないぜ？」


夏武斗「まだまだ！俺は装備魔法『イエロージャケット』を発動！」

黄色と黒の装甲がストームシックルに装着される。


夏武斗「イエロージャケットを装備したモンスターの攻撃力・守備力は５００ポイントアップする！」ＡＴＫ２２００→２７００


猪狩「装備魔法で攻撃力を上げてきたか…。」


夏武斗「バトル！裂刃ストームシックルでアンカースローマンを攻撃！」


夏武斗「サイクロンスウィング！」

２つの大鎌で豪快に切り裂く。


猪狩「アンカースローマンが…！」


夏武斗「効果を使ったストームシックルはそのターン相手に戦闘ダメージを与えられない。」


夏武斗「だがこの瞬間、装備されたイエロージャケットの効果が発動するぜ！」


夏武斗「装備モンスターが戦闘を行った時、装備モンスターのレベル×２００ポイントダメージを相手ライフに与える！」


夏武斗「１２００ポイントのダメージだぜ！」


猪狩「ぐうぅ…！！」ＬＰ４０００→２８００


夏武斗「ガンガン行くぜ！！代打バッターでおっさんにダイレクトアタック！」



空高くジャンプし顎を突き出しながら襲い掛かるバッター。


夏武斗「いっけえええ！！！」


猪狩「！？」








突如激しく巻き上がる巨大な水しぶき。




夏武斗「うわああ！！？」










水しぶきの奥に巨大な海賊船が浮かび上がる。



夏武斗「いっ…！！」


夏武斗「一体なんなんだあああぁぁぁ！！！？？？」




終











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（次回予告）

夏武斗「うわぁでっけえええぇぇぇ！！！なんだあの船！！？」


初「あんなモンスター見たことないよ！？」


夏武斗「船のおっさんやるじゃねえか！前闘った時よりずっと強えぇ！」


初「ふ、船からどんどん海賊が…！！」


夏武斗「強力なカードだけど…だったらそれごと乗り越えるまでだ！！」


夏武斗「次回！『不沈の海賊船！サンダー・カタリナ！』」


初「えぇ！？あれ罠カードなの！？」

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・地味に初フィールド魔法回だったりします。