21 村の生き残り、ロバート・バーンズ　作：ギガプラント

店主「さぁ俺のターンだ！ドロー！」


店主「何を伏せたか知らねえが…このターンで終わりにしてやる！」


店主「さぁ龍さん！ツケを払う準備を始めときな！」


龍さん「バッキャロー！まだデュエルは終わってねえ！」


夏武斗「そうだぜおっさん！まだ俺のライフは残ってる。油断してると足元すくわれちまうぜ？」


店主「ふん…スタンバイフェイズ時、白酒豪鬼ヴァイツェンと黒酒豪鬼スタウトの酔いカウンターは１つずつ消える。」ヴァイツェンＡＴＫ２１００→１８００　スタウトＡＴＫ２４００→２１００


店主「だがそれも関係ねえ…俺はヴァイツェンとスタウトをリリース！」


店主「アドバンス召喚！来い！『酒豪獣人（しゅごうじゅうじん）－ランビッグ・フット』！」星８・ＡＴＫ２０００

５、６個の巨大な酒樽を携えた全身毛むくじゃらの大男モンスター。


店主「駆け付け三杯の効果発動！こいつもダウンが逆転して攻撃力９００ポイントアップだあ！」ＡＴＫ２０００→２９００


店主「そして更に俺は魔法カード『鬼殺し』を発動！」


店主「こいつはフィールドのモンスター１体に酔いカウンターを更に３つ乗せる事ができる！さぁもっともっと飲みなぁ！！」ＡＴＫ２９００→３８００


龍さん（攻撃力３８００か…こいつぁ流石に厳しいか。くそっ大将め…本気で倒しに来てやがるなぁ？）


夏武斗「更に攻撃力を…面白えじゃんか！」


龍さん（こいつ…まだ諦めちゃいねえ！）


店主「バトルだ！ランビッグ・フットでその綺麗な蝶々を攻撃だ！ドリンクネス・バレルプレッシャー！！」

樽ごと一気に酒を飲みほし、中身の無くなった巨大な樽を思い切り投げつける。


夏武斗「よし来た！この瞬間フェニックス・バタフライの効果発動！」


夏武斗「このカードが攻撃対象に選択された時、自分のモンスター１体を選択して破壊し、その攻撃を無効にする！」


夏武斗「俺はフェニックス・バタフライ自身を破壊する！ブレイズライフ・シールド！」


店主「へへっ！だが酔いカウンターが３つ以上乗ったランビッグ・フットは、自分自身と駆け付け三杯以外の効果を受けねえ！残念だがそれも無駄よ！」


夏武斗「それはどうかな？」


店主「なにぃ？」


夏武斗「今だ！この瞬間俺は速攻魔法発動！『バタフライ・エフェクト』！」


夏武斗「自分の昆虫族モンスターが効果によって破壊された時、相手フィールド上の魔法罠カードを全て破壊する！」


店主「！？」


龍さん「でかした！これで駆け付け三杯は破壊される！」


店主「くうう…！」


夏武斗「カウンターが乗ってるのはモンスターだけど、攻撃力を下げてるのは駆け付け三杯の効果。」


夏武斗「つまりそのカードさえ無くなれば、モンスターの攻撃力は元に戻るって事だ！」


店主「畜生！ランビッグ・フットの攻撃力が…！」ＡＴＫ３８００→２０００


龍さん「これで大将の酔っ払い戦法は封じたぜ！」


店主「だ、だが攻撃は無効になっちゃいねえ！こいつで終わりだ！ランビッグ・フットでダイレクトアタック！」


店主「最後の一撃を喰らえ！ドリンクネス・バレルプレッシャー！」

大きな樽が夏武斗めがけて投げつけられる。


夏武斗「もういっちょ罠発動！『スペリオル・ガッツ』！」


夏武斗「ライフポイントを半分払う事で、このターン自分が受ける全てのダメージを無効にする！」ＬＰ６００→３００


店主「なんだってええ！！？」


龍さん「へっ！ちゃんと防御札も持ってやがったか！！」


夏武斗「へへ～ん！さぁどうするおっさん？」


店主「くっ…！このターンで倒す事はできなかったが、まだ俺のライフは無傷だ！こっちの有利は変わらねえ！」


店主「俺はこれでターンエンド！」


夏武斗「この瞬間！煌翅蝶－フェニックス・バタフライの効果発動！」


夏武斗「このカードがこのカード自身の効果で破壊された場合、エンドフェイズに墓地から特殊召喚する！」星７・ＡＴＫ２４００


店主「なっ！？」


龍さん「おっと！あっさり破壊したと思ったらこういう事か！これで次のターン、ランビッグ・フットをぶっ倒せるぜ！」


龍さん「やるじゃねえか夏武斗、どうだい？勝算はあんのかい？」


夏武斗「そんなのわかんねぇよ。けど…諦めるつもりはさらさらねえぜ？」


龍さん「へっ！気に入った！よしやっちまえ！」



夏武斗「俺のターン！」


夏武斗「よし！いっくぜえええ！笑顔１００倍突き進む！」





夏武斗「笑う門には………ヴィクトリイイイィィィ！！！」








夏武斗「よし！」


夏武斗「俺は『次元ボタル』を召喚！」星２・ＡＴＫ８００


夏武斗「そのまま次元ボタルの効果発動！」


夏武斗「自分フィールド上のカード１枚を墓地へ送る事で、除外されている昆虫族モンスター１体を特殊召喚する！」


夏武斗「俺はこの効果で次元ボタルを墓地へ送る！現れろ！クレストウィング・フェアリー！」星１・ＡＴＫ５００


店主「ありゃさっきのチューナーモンスター…まさか！？」


エクストラデッキから１枚のカードが輝く。


龍さん「そういうことか…！」


夏武斗「いくぜ！俺はレベル７の煌翅蝶－フェニックス・バタフライにレベル１のクレストウィング・フェアリーをチューニング！」





密林の王者よ！燃えたぎる闘志をその身に宿し、猛き一撃で勝利を掴め！



シンクロ召喚！



出でよ！『ヴィクトリー・ビートル』！星８・ＡＴＫ２５００




龍さん「ここで更にシンクロ召喚するって……ぐっ！！」


龍さん（な、なんだこりゃ…突風か…？）


龍さん（いくらなんでもこんな風…カードだけで起こるわけが…！！）


夏武斗「墓地のクレストウィング・フェアリーの効果発動！今度はヴィクトリー・ビートルの攻撃力を５００ポイントアップだ！」ＡＴＫ２５００→３０００


店主「攻撃力…３０００…！」


夏武斗「バトルだ！俺はヴィクトリー・ビートルで酒豪獣人－ランビッグ・フットを攻撃！」


夏武斗「ヴィクトリーホーン・ストライクウウウゥゥゥ！！！」


店主「ぐわあああ！！」ＬＰ４０００→３０００


店主「くぅ…ランビッグ・フット…。」


夏武斗「そしてヴィクトリー・ビートルは戦闘で相手モンスターを破壊した場合、もう一度だけ続けて攻撃できる！」


店主「そんなっ！？そいつの攻撃力は……！！」


夏武斗「これで最後だ！ヴィクトリー・ビートルでおっさんにダイレクトアタック！」


夏武斗「ヴィクトリーホーン…ストライクウウウゥゥゥ！！！」


店主「ぐわあああぁぁぁ！！」ＬＰ３０００→０




ＷＩＮ・夏武斗







夏武斗「よっしゃ～！俺の勝ちだぜ！」


店主「…はぁ、なかなかいいとこまで行ったんだがなぁ。」


店主「まぁ約束は約束だ、仕方ない。龍さん、次来た時にキチンと返しておくれよ。ウチだって裕福じゃないんだから…。」


龍さん「………」


店主「…龍さん？」


夏武斗「お～い？おっさん？」


龍さん「…！」


龍さん「あぁすまねえすまねえ。なんでもない。」


龍さん「そうそう！何はともあれ夏武斗が勝ったんだ、ツケはチャラって事でいいな大将？」


店主「何をちゃっかりチャラにしようとしてんだい！！もう少し待ってやるってだけだからね！…まったくこの人は。」


龍さん「はっはっは…っと夏武斗、すまねえな。いきなり巻き込んじまって。」


夏武斗「ううん。最初はびっくりしたけど、すっげえ楽しいデュエルだった！そっちのおっさんもありがとな。」


店主「はは。俺もデュエルなら結構自信あったんだがな。負けちまったけどこっちも久し振りに楽しめたぜ！」


店主「おまえさん、でっかくなったら家の店に来な。サービスするぜ。」


夏武斗「ははは…いつかね。」


夏武斗「そうだ！俺お使いの最中だったんだ！…なぁおっさん！えーっと………ここの店ってどこだかわかるか？」

dPhoneを見せる夏武斗。


龍さん「んん？知ってるも何もここ大将の店じゃねえか。」


夏武斗「えっホントか！！ラッキ～！！ちょっと爺ちゃんから酒のつまみ買って来いって言われてきたんだ。」


店主「なんでえ！面白え偶然もあったもんだな。んで？何を買ってくんで？」


夏武斗「なんかよく分かんねえけど……『楠の孫』って言えば分かるって言ってた…。」


店主「楠ｨ！？あんた楠さんの孫かい！！」


夏武斗「えっ？あぁ…うん。」


店主「なるほどねえ…そりゃ強え訳だ。おまえさん将来大物になるよ、うん。」


夏武斗「んん…？」


店主「そいじゃあんまり長く店空けてもいけねえ、さっさと戻るかい。」


店主「おまえさんもついて来な。なんか冷たいもんでも飲んでけ。」


夏武斗「いいのか！？サンキュー！」


龍さん「ようし！このままもう一回飲みなおすとすっか！」


店主「龍さんは早くツケを払ってくれ！！」


夏武斗「ははは…。」









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（ジェネシック・エレクトロニクス本社・モニタールーム）




オペレーター「高出力のＤオーラ反応を確認！」


アストベリー「出力の計測を。」


オペレーター「これは大きい…ウインディー級です！」


アストベリー（ウインディー級…来たか…！）


アストベリー「場所は特定できているか？」


オペレーター「上波エリアＴ３４…繁華街方面です！」


アストベリー「Ｔ３４…速やかに映像を…。」


オペレーター「はい！」


アストベリー（さぁ何が来る…？）


モニターに映し出される夏武斗と店主のデュエル。
ヴィクトリー・ビートルがランビッグ・フットに攻撃を仕掛ける。



オペレーター「これは…この間と同じ…。」


アストベリー（楠夏武斗……。）


アストベリー「君は一体…。」





ロケット・ペンダントを開けるアストベリー。
写真には男性の姿。




アストベリー（少しずつだが……前に進めそうだよ。）



アストベリー（ダグラス…。）






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（Ｍ.Ｃ.Ｃデュエルセンター・ロビー）



夏武斗「…な～んてことがあってさぁ。」


天音「なんだか凄い事に巻き込まれちゃいましたね…。」


夏武斗「まぁおっさん達２人とも良い奴だったけどな。」


夏武斗「あ、でも店の方に行ったらなんか２人して酒飲み出してさあ、その後がまた色々大変だったぜ…。」


天音「あはは……こう言っては難ですけど、お爺さんもよくそんな事頼みますねぇ…。」


夏武斗「だよなぁ！普通１４歳を飲み屋にお使いになんて行かせるかよ。」


天音（というより…夏武斗君を初めていく所にお使いに行かせること自体…。）


夏武斗「ん？何か言った？」


天音「いえ、なんでもないです…あはは。」


夏武斗「まぁでも大会前に強い奴と闘えて良かったよ。」


天音「アストベリー杯も近づいてきましたね。……おや？あれは」

包装された荷物を運び出す仁。


夏武斗「お？ありゃ仁じゃんか！おーい仁！！」

近づく２人。




仁「…またお前か。」


夏武斗「いい加減その『お前』ってのやめろよなぁ。ダチなんだしさ！」


仁「…はあ」


夏武斗「何だよため息なんてついて。なんか嫌なことでもあったのか？」


仁「…今、正にな。」


夏武斗「…？」


天音「あはは…。」


夏武斗「にしても仁、最近ますます忙しそうだな。」


仁「…大会が近付いているんだ。当然だろう。」


天音「あ、大会と言えば仁君は大会には出場するんですか？」


夏武斗「おっ！そうそう！勿論出るよな？」


仁「俺は出場しない。そもそも俺に出場する理由などない。」


夏武斗「えーっ！！参加しないのかよぉ！！なぁ仁も出ようぜぇ！！」


仁「何故わざわざ俺が出なければならない。」


夏武斗「理由なんて後から考えりゃいいじゃねえか。デュエリストとしての…えっと、その…なんつうか…サガ？」


仁「…訳の分からん理屈に付き合うつもりはない。仕事に戻る。」


天音「でも仁君、確か今日はもう上がりですよね？」


夏武斗「そうなのか！？じゃあさ仁！また俺とデュエルしようぜ！」


仁「…余計な事を。」

はぁ、と大きなため息をつく仁。


仁「いいからそこを退け。仕事の邪魔だ。」

スタスタと歩き去ってしまう仁。



夏武斗「あ、お～い仁！！」










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（Ｍ.Ｃ.Ｃデュエルセンター・通路）
















青年「な～んだ、おまえアストベリー杯には出場しないのか。」














壁に寄りかかったまま話す青年。


仁「………」


青年「すっかり元気でやってるようだったから、てっきりお前も出るもんだと思ってたぜ。」


仁「…誰だ貴様は。」


青年「あれま、忘れちゃった～？村にいた頃はよく遊んでたってのに。」


仁「村…だと…！？」


青年「流石に故郷の村の事までは忘れちゃいねえよな仁。」


仁「………お前。」


青年「ロバートだ。ロバート・バーンズ。」


ロバート「まさか本気で忘れてないだろうなぁ？」


仁「…何故貴様がここに。」


ロバート「あれま、すっかり刺々しくなっちゃって……別におかしかないだろぉ？あの村の生き残りは皆散り散りなんだから。」


仁「…」


ロバート「でも敢えて言うなら…。」









ロバート「村のガキ共の仇をぶっ潰す為かな…。」





仁「何だと…？」


仁「あれは社（やしろ）内で起きた何らかの事故だろう…仇などとっくに…。」


ロバート「あぁ分かってる……だが…。」


ロバート「俺の弟も…お前の妹も…。」


ロバート「助かった『筈』なんだよ…。」


仁「……どういう事だ！？」


ロバート「………」


ロバート「…どの道お前には教えとくつもりだったが、」


ロバート「気が変わった。お前が俺のライフを全部削れたら教えてやるよ。」


仁「何だと…？」


ロバート「デュエルだよデュエル。久し振りにお前とやってみたかったところだし…！」


仁「何を…。」


ロバート「知りたいんだろ？あの日の村の事。」


仁「わかった………いいだろう。」


ロバート「へへっ！そうこなくっちゃな…！」





終











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（次回予告）

仁「ロバート…どういうことだ！答えろ！」


ロバート「言った筈だぜ？知りたかったら俺のライフを全部削ってみな！」


ロバート「お前とのデュエルはちっこい時以来だな！さぁ強くなったか俺が確かめてやる！」


仁「御託はいい…始めるぞ。」


ロバート「あれま冷てぇ…それじゃ、ぶっ飛ばしてきますか！」


仁「次回『仁VSロバート！怒涛の弾丸』」


ロバート「お前がエクシーズなら…俺はこいつだ！」

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・『駆け付け三杯』の攻撃力ダウンとカウンターの関係は、エーリアンとＡカウンターの関係と同じです。
・三回もシンクロしてる割に今回新規カード出してないんだなぁ…。
・最近新キャラばかりな気がする…そしてだんだんこいつ誰だっけってなるような気がする…。
・色々な意味で仁君がシャークさんに近づいてるような気がする…。
・なんか夏武斗君のキメ台詞…凄く久し振りな気がする…。
・気が付けば「気がする」ばかり言ってるような気がする…。