99 託した１ターン　作：ギガプラント

漆原「そんな……ライフが１７００だとぉ……あり得ない、あり得ないいいい！！！」


漆原「どんな小細工をしやがった貴様あああ！！！」






仁「…呆れたものだな。」


仁「自分のカードの効果すら把握していないのか。やはり三流だな。」


漆原「なんだと！！」


夏武斗「自分のカード………そうか！！」




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仁「まだ終わらせない！！！罠カード発動！！『地縛霊の攪乱』」


仁「相手モンスターの攻撃対象を、自分のモンスターへと変更する！！」


仁「フェニックス・バタフライが攻撃するのは、冥獄公爵アシュタロードだ！！」


漆原「…ほう？」


夏武斗「っ！？」


仁「…この戦闘で発生するダメージは２倍となる。」


夏武斗「くっ……ぅあああ！！」ＬＰ２８００→２４００


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仁「あの時、俺のアシュタロードは夏武斗のフェニックス・バタフライを戦闘で破壊し墓地へ送った。」


仁「つまりその瞬間、貴様の張ったフィールド魔法バトルギルドの効果で俺は１０００ポイントのライフを回復していた。」



漆原「攻撃宣言を行わずに戦闘破壊のみを行っていた…だとぉ…！！」


夏武斗「へ、へっへ～ん！どうだ気づかなかったろ！！俺達の最強コンビネーション！！」


仁「気づかなかったのはお前も同じだろう。」


夏武斗「ギックゥ！？」






仁（しかしこれもこのターンで俺のライフが尽きていれば意味を為さなかった…。）


仁（どこまでも予想外な奴だな…夏武斗。）






漆原「……っふっふ。」




漆原「っはっはっはっは！！！素晴らしい！！雑魚の分際でよくもまぁ何度も奇跡を起こせたものです！！！」


漆原「だがそれがなんだ！！攻撃ができるからといってそれが何になる！！」


漆原「私のエビル・ストレングスの攻撃力は７４００！たかだか一回攻撃ができるようになった程度で超えられやしないんですよ！！」


漆原「私はカードを１枚セット！ターンエンド！！見せてやりますよ！！更なる絶望を！！！」





仁「…俺のターン！ドロー！」



漆原「邪商魔神エビル・ストレングスの効果！」


漆原「カードがドローされた事により、貴方のフィールドにエビルトークン１体を特殊召喚！」


夏武斗「っ…！」星１・ＤＥＦ１００


漆原「そしてモンスターが増えた事により、エビル・ストレングスの攻撃力は８００ポイントアップ！」ＡＴＫ７４００→８２００



仁（さて……。）


漆原「どうせお前にできる事は身を削って雑魚トークンの数を減らすことくらいでしょう！！生き恥というやつですねヒッヒッヒ！！」


夏武斗「るっせーぞ！！邪魔すんな！！」



仁（認めたくはないが奴の言っている事は凡そ正しい……だが、運良く廻ってきたこのターンをそう簡単に終わらせるつもりはない…！）


仁「魔法カード『闇の誘惑』を発動！」


仁「カードを２枚ドローし、その後手札の闇属性モンスター１体を除外する。」


漆原「この期に及んでドローカードですか！打つ手が無い事を自分自身で示しているようなものじゃないですか！これは傑作だ！」


漆原「いいでしょう！ですがドローするという事は……分かっていますよねぇ！！？」


仁「カードを２枚ドロー。そして手札から『先陣の魔妖兵』を除外する。」


漆原「エビル・ストレングスの効果発動！２枚のドローによりエビルトークンを２体特殊召喚！」


漆原「１体は私のフィールドに、そしてもう１体は勿論貴方のフィールドですよ！！」星１・ＤＥＦ１００


夏武斗「俺のフィールドが……全部トークンに…。」星１・ＤＥＦ１００


漆原「恨むなら夜見原君を恨むのですねえ！！ドローカードを使ったのは彼なのだから！」


夏武斗「てんめぇ…！」








夏武斗（いや冷静になんなきゃ…。）







夏武斗（仁がドローをしなくたって次のターンの俺のドローで結局俺のフィールドはトークンで埋められてたんだ。仁の判断は間違ってない。）


夏武斗（後は仁が……何か状況を打破できるカードを引けば…！！）



仁「……………」






















仁「……無理か。」




















夏武斗「えっ…？」





漆原「ヒャーヒャッヒャ！！！そうでしょうそうでしょうねええ！！私のエビル・ストレングスを超える手段などある筈が無いのです！！」




夏武斗「仁……。」


仁「…情けないが今の俺では奴をどうすることもできない。」


仁「だから夏武斗。」











仁「俺は………お前に託す。」











夏武斗「あっ……」







漆原「託す？託すと仰いましたか？まさか今の彼に私を倒すような手だ……」
そこまで言ってから漆原は気づく。
漆原の挑発的な言葉などまるで聞こえていないかのように、仁はただ真っ直ぐと前を見つめていた。
その瞳には一切絶望の色など無い。


漆原「なんだよ……だからなんなんだよその目はぁ！！！気に入らない！気に入らないんだよぉ！！！」


漆原「もっと泣きわめけよ……絶望しろ……地に頭を擦り付けて命乞いでもしてみろおおお！！」


仁「俺は『呪契約の魔妖兵』を召喚。」星４・ＡＴＫ１４００


仁「更に墓地の『誘いの魔妖兵』の効果を発動！墓地のこのカードを除外する事で、墓地からレベル５以上の悪魔族モンスター１体を守備表示で特殊召喚する！」


仁「蘇れ！『豪気の魔妖兵』！」星５・ＤＥＦ０


漆原「私を無視するんじゃあない！！！絶望しろ！！！」


漆原「この瞬間罠カード発動！『ホーリーエルフの祝福』！フィールドのモンスターの数×３００ポイントのライフを回復する！！」


漆原「今フィールドに存在するモンスターは合計１３体！よって私は３９００ポイントのライフを得る！！」ＬＰ３０００→６９００


夏武斗「いぃっ！３９００ぅ！？」


漆原「どうだどうだどうだ！！！これでもまだ絶望しないか？その憎たらしいすまし顔を歪めろ夜見原ァ！！」


仁「呪契約の魔妖兵の効果発動。ライフを３００払う事でモンスター１体のレベルを１つ上げる。」


仁「俺はライフを３００払い、呪契約の魔妖兵のレベルを１つ上げる。」ＬＰ１７００→１４００　星４→５


漆原「よみはらああああ！！！」


仁「俺はレベル５となった呪契約の魔妖兵とレベル５の豪気の魔妖兵でオーバーレイ！」





深淵を駆ける冷たき騎士の魂よ！今此処に冥府の門より来たれ！



エクシーズ召喚！



現れよ！ランク５！『冥獄の猛将 ナイトメア・エッジ』！ランク５・ＡＴＫ２５００





仁「そして俺は冥獄公爵アシュタロードの効果発動。自分フィールドの闇属性エクシーズモンスターの数だけフィールドのカードを破壊する！」


仁「俺のフィールドの闇属性エクシーズモンスターはアシュタロードどナイトメア・エッジの２体、よって２枚のカードを破壊する。」


漆原「やってみろ！！その雑魚の効果で私のエビル・ストレングスを破壊するか？？」


漆原「私のフィールドにはエビルトークンが４体いる！つまり４回まで破壊には耐えられるんだよ！焼け石に水だ！！」



仁「俺が破壊するのは……」











仁「夏武斗のフィールドのエビルトークン２体だ。」






夏武斗「仁…！」





漆原「なんだと……？？」








仁「マジェスティ・バースト！！」


２体のトークンが闇の中に消え去る。



仁「バトルギルドの効果により俺はライフを１０００払い……冥獄の猛将ナイトメア・エッジで更に夏武斗のフィールドのトークンを攻撃！！デモニック・ランス！！」ＬＰ１４００→４００


続けて更に１体トークンが大槍に貫かれ消滅する。








仁「カードを１枚伏せ……ターンエンド。」












仁「夏武斗。今の俺にできるのは最低限お前の場を掃除する事だけだ。」


仁「あとは……任せた。」







夏武斗（仁……ライフを削ってまで俺のフィールドを…。）



夏武斗（まったく………いつもいつも助けられてばっかだな…俺。）







夏武斗「仁……サンキューな、俺……俺……。」


夏武斗「さっきから大事なとこでお前に助けてもらってばっかで…その……」






仁「何を情けない面をしている……。」





仁「勝利を運んでくるのは『笑顔』じゃなかったのか？」


夏武斗「あ……。」





漆原「んなんだよおおぉぉぉ……なんなんだよお前等はあああアああああ！！！！」


漆原「歪め歪め歪め歪め！！！！その顏を歪ませろおおお！！！」








夏武斗「………」






夏武斗「おう！！」

パシパシと自分の頬を強めに叩く。



夏武斗「仁に助けてもらって、そのお陰で仁を助けられて……そしてその仁にまた助けてもらった。」


夏武斗「そうして何度も助け合って繋いできたこのチャンスだ！！何が何でも勝利を掴みとってやるぜえええ！！！」


漆原「何を！！何を笑っているクソガキ！！！」




夏武斗「笑顔は勝利を………運んでくる！！」









夏武斗「笑う門には………ヴィクトリイイイィィィ！！！」








夏武斗「俺のターン！ドロー！」







仁「ﾌｯ…。」


漆原「ヘラヘラするなと言っている！！！餓鬼共が揃って私を無視しやがって！！！」



漆原「邪商魔神エビル・ストレングスの効果！」


漆原「カードがドローされた事により、お前のフィールドにエビルトークン１体を特殊召喚！」星１・ＤＥＦ１００


漆原「そしてエビル・ストレングスの攻撃力は８００ポイントアップ！」ＡＴＫ８２００→９０００



夏武斗「俺は罠カード！『シンクロ・スピリッツ』を発動！」


夏武斗「墓地のシンクロモンスター１体をゲームから除外し、そのモンスターのシンクロ召喚に使用したモンスター一組を墓地から特殊召喚する！」


夏武斗「俺は墓地のフェニックス・バタフライを除外し、そのシンクロ召喚に使用した『センチネルピード』と『クレストウィング・フェアリー』を特殊召喚！」ピード星６・ＤＥＦ２０００　クレスト星１・ＤＥＦ１００


漆原「チイイィ！前のターンでトークンが破壊されていなければ…！」


夏武斗「そして俺は……この２体をリリース！！」


漆原「何っ！？」


仁「リリース…？」





夏武斗「アドバンス召喚！！我が身に応えよ覚醒の灯！チューナーモンスター『VALKYRIE AURA（ヴァルキリー・オーラ）』！」星１０・ＡＴＫ０






仁「レベル１０の……チューナーだと…？」


仁（これがお前の新たな力なのか？夏武斗…。）






漆原「な、なんだそれは……。」





漆原「最上級モンスターのチューナー！！？？なんだそれは聞いたことが無い！！！お前はまだ私の知らぬレアカードを持っていたのか！！！」


漆原「良いぞ良いぞ素晴らしいエェクセレントだ！！！そのカードも私のコレクションに加えるとしようか！！！」


夏武斗「コイツは…蘇芳から貰った大事なカード。死んでもお前なんかに渡すもんか！！」


夏武斗「更に！このカードは墓地の昆虫族モンスター１体を除外する事で手札から特殊召喚できる。」


夏武斗「俺は墓地のセンチネルピードを除外して『リトルツインシャーマン』を特殊召喚！」星１・ＤＥＦ０
淡く金色の光を放つ双子の妖精。


夏武斗「次はリトツインシャーマンの効果だ！このカードをリリースし手札または墓地の昆虫族モンスター１体を特殊召喚する！蘇れ！『次元ボタル』！」星２・ＤＥＦ２００


夏武斗「次元ボタルの効果発動！自分フィールドのカード１枚を墓地へ送り、除外された昆虫族モンスター１体を特殊召喚する！」


夏武斗「俺は次元ボタルを墓地へ送り……戻ってこい！煌翅蝶－フェニックス・バタフライ！！」星７・ＡＴＫ２４００


漆原「またシンクロモンスター……それで一体何を！？」


夏武斗「VALKYRIE AURAのモンスター効果発動！」


夏武斗「このカードのレベルを、フェニックス・バタフライのレベル分だけ下げる！」星１０→３


仁（まさか…！）



夏武斗「いくぞ！！これが勝利に繋がる俺達の切り札だ！！」





夏武斗「俺はレベル７の煌翅蝶－フェニックス・バタフライにレベル３のVALKYRIE AURAをチューニング！！！」




呼び覚ませ！我が身に眠りし真価の光！！深き闇の帳を焼き払い、未来永劫光り輝け！！



シンクロ召喚！！



覚醒せよ！『覚醒翅蝶（かくせいしちょう）－リザレクション・バタフライ』！！星１０・ＡＴＫ２８００





黄金色に光り輝く翅を手に入れたフェニックス・バタフライ。燃え盛る火の粉が鱗粉のように舞う。




仁「なっ………！」


仁（新たなシンクロ…！？）


夏武斗「バトルギルドのライフが払えないから、俺は攻撃できない。これでターンエンドだ。」


漆原「………」



仁（なんだこのモンスターは……凄まじい気迫を感じる……！！）


仁（夏武斗……これがお前の……。）




漆原「覚醒翅蝶－リザレクション・バタフライだと…？」


漆原「素晴らしい！！！レベル１０のチューナーに続き更に見たことのない超レアカード！！」


漆原「欲しい！！！欲しい欲しい欲しい！！！エエエェェェェェェクセエレン！！！」



漆原「私のターン！ドロー！！」


漆原「お前の場にエビルトークン１体を特殊召喚！」星１・ＤＥＦ１００　エビルＡＴＫ９８００→１０６００


漆原「最高だ！！最高の気分だよおおおお！！！そのカード！！！私が奪ってあげよう愛でてあげようコレクションに加えてやろおおおう！！！！」







漆原「さあああ！！！そいつをよこせええええええ！！！」





終










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（次回予告）


夏武斗「コイツが俺の…俺達の切り札だ！！」


仁「…どうした？腰でも抜かしたか。」


漆原「糞餓鬼があああぁぁぁ！！！身の程というものをその身に叩き込んでやる！！！」


漆原「そしてお前等のカードも！！この私の手中に収めてやりますよ！！！さぁ覚悟しろ！！！まずは貴様からだ！夜見原あああぁぁぁ！！！」


夏武斗「次回！『覚醒の不死蝶』」


仁「夏武斗。一つ良い事を教えてやる。」


夏武斗「…えっ？」
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・『シンクロ・スピリッツ』はファイブディーズにて遊星が使用したカードです。
・ドローの度にエビル・ストレングスの効果の描写してるのが自分でも面白くなってきた…。