42 十年前の栄光、雷のプロデュエリスト　作：ギガプラント

（ジェネシック・スタジアム）


茶ノ畑「大変長らくお待たせ致しました～！！！」


茶ノ畑「ただ今より、アストベリーカップ本戦のルール説明に入りたいと思います！」


茶ノ畑「…と言ってもぉ、やることは予選と一緒！デュエルで勝て！ただそれだけです！」


茶ノ畑「ルール説明の後、予選通過者の皆様のdPhone宛に運営から電子メールが送られますので、指定された時間・デュエルフィールドで試合を開始してください。」


茶ノ畑「尚最初の時間帯のみ、私と共に皆さん一斉でのデュエル開始宣言となりますのでどうぞお付き合いくださいませ！」


茶ノ畑「実況は引き続き我ら茶の畑一族……ではなく、私Ｍ.Ｃ茶ノ畑が担当致しまぁす！！」


茶ノ畑「それでは早速参りましょう！！メール送信！！………ﾎﾟﾁｯﾄﾅ」




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（ジェネシック・スタジアム選手控え室）



夏武斗「へっへ～まだかなまだかな～？」


天音「夏武斗君たら…試合は逃げないので大丈夫ですよ。」


夏武斗「分かってるけどさぁ～」


天音「ふふふ…あ、来たみたいです。」


夏武斗「さぁてどこのデュエルフィー……ありゃ？」


天音「最初の組には入ってないようですね。私も夏武斗君も。」


夏武斗「とほほ…まだお預けかよ…。」


天音「ま、まぁデュエルフィールドにも限りがありますし…。」


天音「それに実況の方も入るようですからね。」


夏武斗「そっかぁ…。ああっ！！なぁなぁ天姉！？俺テレビ映るかな？」

天音につめよる夏武斗

天音「え、えーっと…確か本戦からは毎年テレビ中継されていたと思うので…。」


天音「運が良ければ映るかもしれませんね。」


夏武斗「マジィ！？母ちゃん達見てっかなぁ…。」


天音「あはは………あ、あれってロバートさんじゃないですか？」

モニターの１つを指さす。


夏武斗「ホントだ！ロバートは最初の組だったのか。羨ましいぜ！」



控え室内に入ってくる仁。



天音「仁君。戻ったんですね。」


仁「…少しは静かになったからな。」


夏武斗「あ、仁！ここでロバートのデュエルが見られるぜ！ほらこっちこいよ！」


仁「…一番五月蠅いのが残ってたか。」


天音「あ、あはは…。」




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ロバート（なんとまぁ、最初っから出るとはねえ。）


ロバート（ま、順番なんていつでも一緒か。）


ロバート「…にしても。」


ロバートの正面、反対側の定位置にはフードで顔を隠した怪しげな男が立っている。


フードの男「………」


ロバート「なんだか薄気味悪ぃなぁ…。」



茶ノ畑「はい！時間となりました！！それではジェネシックスタジアムにお越しの全ての皆様！そしてテレビの前のあなた！行きますよ～？」


茶ノ畑「アストベリーカップ本戦第一組目！３…２…１………」






dPhoneモードチェンジ！Ｄパッドモード！



ターゲットロックＯＫ！



ビジョンリンクＯＫ！



ファーストディールＯＫ！



デュエル！！








ロバート「先行貰ったぜ。俺は『カノントータス』を召喚する。」星４・ＡＴＫ８００


フードの男「………」


ロバート「あれまぁ…どーも俺の周りにゃこんなんばっかみてえだな。」


ロバート「まぁいい。そんじゃ遠慮なくいかせてもらいますか！」


ロバート「カノントータスのモンスター効果発動！１ターンに１度、相手ライフに５００ポイントダメージを与える！」


ロバート「おらっ！！」

男目掛けてカノン砲が発射される。


フードの男「ﾁｯ…！」ＬＰ４０００→３５００

着弾の風圧でフードが剥がれ、その顔が露わになる。


ロバート「ん？お前……」


男「へっ！少しは骨のある奴みてえじゃねえか…。」


ロバート「！？」


茶ノ畑「先攻ロバート・バーンズ！攻撃のできない１ターン目にモンスター効果でダメージを与えてきたぁ！」


茶ノ畑「後攻ライジンに５００ポイントのダメージ！！」


ロバート「ライジン…おいまさか！」


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夏武斗「へぇ～いきなりダメージを与えるなんてやるじゃんかロバート！」


仁「…ライジン」


天音「仁君…もしかしてお知り合いなんですか？」


仁「いや、精々テレビで見た程度だ。」


夏武斗「えぇ！？テレビって……」




仁「奴は……元プロデュエリストだ。」


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ロバート「ホントにあのライジンだってのかよ！？」


ライジン「…てめぇ、俺の事覚えてやがんのか？」


ロバート「あ、あぁ…なんてったってアンタは…。」


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夏武斗「プロデュエリスト！？ホントかよ！？」


天音「うーん…私も知りませんでした。」


仁「…知らなくても無理はない。奴がプロとして活躍していたのは１０年も前の話だ。」


天音「成程…仁君お詳しいんですね。」


仁「俺は名前くらいしか知らん……むしろ」



仁「誰より奴に詳しいのはあいつの方だろう…。」


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（１０年前・邑咲村）


ロバート「おい仁！始まったぞ！こっち来いって！」


仁「俺はいいって…。」


ロバート「いいからいいから！お前もデュエリストになんならプロのデュエルは見といた方がいいって！」


ロバート「それにこのライジンは超絶格好良いんだぜ？」


仁「分かったから引っ張るなって…。」


テレビ内のライジン「てめえのライフ全部頂くぜ！！おらおらあああ！！」


ロバート「かぁ～痺れるぜぇ！」


仁「はぁ……。」

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仁「だが奴はある日唐突にプロデュエル界から姿を消した。」


夏武斗「へぇ～」


仁「…その後どうなったかは誰も知らないらしいが。」


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ロバート「すっげぇ！！まさかこんなとこであんたに逢えるなんて思わなかったぜ！」


ロバート「俺超ファンだったんだ。あんたのパフォーマンス最高に痺れてたぜ！」


ライジン「………」


ロバート「１０年前にフラッとテレビに出なくなっちまった時はどうしたのかと思ったぜまったく。」


ライジン「……！」


ライジン「けっ！てめぇもその口か！」


ロバート「？」


ライジン「何がファンだ……くっだらねえぇ…！」


ライジン「ぐだぐだ喋ってる暇があったらとっととターンエンドしなぁ！！」


ロバート「！？」


ロバート「何だってんだよ……俺は永続魔法『サプライ・プレパレーション』を発動！」


ロバート「このカードが存在する限り、相手のカード効果によって自分のカードが破壊される度にデッキからカードを１枚ドローする！」


ロバート「更にカードを１枚セット。ターンエンドだ。」



茶ノ畑「おお～っと！今の会話から察するに、ライジン選手は１０年前プロデュエル界に新風を巻き起こしたプロデュエリスト『ライジン』その人のようだ！！」


茶ノ畑「これは面白い事になってまいりました！！知ってる人も知らない人もこれからの展開にご期待ください！」

「ライジンって誰だ？」
「あぁ…俺昔見たことあるわ。なんかすっげえ奴だった。」
「てめえのライフ全部頂くぜ！って奴だよね！あたし好きだった！」
「なんかすっげぇ！もっと近くで見ようぜ！」


ライジン「ギャラリーが湧きだしやがった…まぁ予想通りってとこか。」


ライジン「それじゃあお望み通り…俺様のパフォーマンスで痺れさせてやらあよ！！」


ライジン「てめえのライフ全部頂くぜ！俺のターン！！ドロー！！」


ロバート「………！！」


ライジン「俺はチューナーモンスター『マ・ドンナー』を召喚する！！」星１・ＡＴＫ３００
雷を纏った妖艶な美女。


ライジン「マ・ドンナーを素材としてシンクロ召喚する場合、手札のチューナー以外の雷族モンスター１体を素材にできる！」


ライジン「俺は手札のレベル５モンスター『雷帝ザボルグ』にレベル１のマ・ドンナーをチューニング。」



雷光よ！悪鬼の如く世を荒らせ！！


シンクロ召喚！！


ぶちのめせ！！『武雷神（ぶらいかん）ボルーファン』！星６・ＡＴＫ２４００



全身に雷を纏った巨体のチンピラ風モンスター


茶ノ畑「ブラボオオオ！！いきなりシンクロ召喚が決まったああ！！しかも手札とフィールドでの特殊シンクロです！流石元プロ！魅せてくれます！！」


ライジン「バトルだぁ！！武雷神ボルーファンでカノントータスを攻撃ぃ！！」


ロバート「させっかよ！永続罠発動！『拷問車輪』！」


ロバート「このカードがフィールドに存在する限り、指定した相手モンスターは攻撃と表示形式の変更ができなくなる！」

大きな車輪がボルーファンの上にのしかかり動きを封じる。


茶ノ畑「おおっとロバート永続罠でうまく攻撃をかわしました！更に拷問車輪は自分ターンに５００ポイントダメージを与える効果もあります！これは美味しい！」


ライジン「ﾁｯ！」


ライジン（あんなもん直ぐにでも破壊してやれるが……今はまだその時じゃねえ。）


ライジン「カードを２枚セットだ！ターンエンド！」


ロバート「俺のターン！ドロー！」


ロバート「スタンバイフェイズ時、拷問車輪の効果で５００ポイントのダメージだ！」　ＬＰ３５００→３０００


ロバート「更にカノントータスの効果も発動！更に５００ダメージを与える！」　ＬＰ３０００→２５００


ライジン「ぐっ！ちまちまと……！」


茶ノ畑「バーンエンドバーン！！ロバートの連続バーンがライジンを襲います！」


ロバート「俺は魔法カード『融合』を発動！」


ロバート「俺は手札の『マシンガン・ソルジャー』と『カラミティ・バルカン』で融合！」




撃ち鳴らせ、交わる２つの銃撃音！無慈悲なる火薬の雨にて、眼下の大地を焼き尽くせ！




融合召喚！




殲滅せよ！『ガトリング・スローター』！星８・ＡＴＫ２８００




ライジン「融合召喚だと！？」


茶ノ畑「融合召喚が決まったあああ！！そしてその攻撃力は２８００！ライジンのモンスターを上回っているぞ！！」


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夏武斗「すっげぇ…連続でダメージを与えて更に融合召喚するなんて…！」


天音「これでこのターン更なるダメージが期待できますね。」


仁「…これがあいつのデュエルだ。」


夏武斗「え？」


仁「相手のライフを削り取ることを優先し一気に決着をつける速攻型デッキ。」


仁「１０年前…ライジンのデュエルを素に編み出した戦いだ。」


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ロバート「バトル！ガトリング・スローターで武雷神ボルーファンに攻撃！！デス・ハニーコム！！」


ライジン「通すかよ！！永続罠発動！『ライトニング・シールド』！」


ライジン「雷族モンスターは１ターンに１度戦闘では破壊されない！」

ボルーファンの中心に半球形のシールドが展開される。


ロバート「だがダメージは受けてもらうぜ！」


ライジン「ぐっ…！へっ！かすり傷だ！」　ＬＰ２５００→２１００


茶ノ畑「耐えた！耐えました！ダメージを受けたもののシンクロモンスターを護りました！」


ロバート「俺はカノントータスを守備表示に変更。ターンエンドだ。」



ライジン「俺のターン！ドロー！」


ライジン（よし！）


ライジン「ちょっとでけえモンスター１体出したくらいで調子のんなよ？攻撃力だけがデュエルじゃねえって教えてやらぁ！！」


ライジン「魔法カード発動！『サンダー・ショート』！」


ライジン「相手フィールドのモンスター１体につき４００ポイントのダメージを与える！」


ロバート「ぐっ…！流石はライジンだぜ…！」　ＬＰ４０００→３２００


茶ノ畑「戦闘を介さず直接ダメージを与えてきた！これぞライジン！１０年前の戦いを思い出します！」


ライジン「更に俺は手札より『サンダー・シーホース』の効果を発動！」


ライジン「デッキからサンダー・シーホース２体を手札に加える！」


ライジン「さぁ先ずはその邪魔な車輪に消えてもらおうか！俺は武雷神ボルーファンのモンスター効果発動！」


ライジン「互いのフィールドから魔法罠カードを１枚ずつ破壊する！」


ライジン「俺が破壊するのは拷問車輪とライトニング・シールドだ！」

ボルーファンが両腕を振り回し、二つの稲妻が２枚のカードに直撃する。


ライジン「そしてライトニング・シールドの更なる効果発動！このカードがカードの効果で破壊された時、墓地の雷族モンスター１体を回収する！」


ライジン「俺はマ・ドンナーを手札に戻すぜ！」


ロバート「だがこっちもサプライ・プレパレーションの効果発動！効果によって自分のカードが破壊された時、デッキからカードを１枚ドロー！」


ライジン「これで再び攻撃可能だ！バトル！」


ライジン「ボルーファンでカノントータスを攻撃ぃ！いいいやっはあああ！！！！」

トータスの砲台が稲妻に撃たれる。


「痺れさせるぜ！」
「いーぞー！もっとやれぇ！！」
「どっちも頑張ってぇ！」


茶ノ畑「ライジンなんとか体勢を立て直したか！だがロバートのガトリング・スローターは未だ無傷！どうする！？」


ライジン「はん！瞬殺じゃあつまんねえだろぉ？お楽しみはとっときなああ！！」


ライジン「ターンエンドだぁ！」


ロバート（こいつ、なんだか…。）



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夏武斗「すっげぇ盛り上がってんなぁ…！」


天音「やっぱり元プロというだけあって…ギャラリーの盛り上げ方も凄いですね。」


夏武斗「あんな中でデュエルしたら気持ちいいだろうなぁ…なぁ仁？」


仁「………」

別のモニターに目を向けている仁


夏武斗「仁？そっちのデュエルは……あ！光輝さんだ！」


天音「光輝さんも最初の組だったんですね。」


夏武斗「あ～もう、どっちも見たいぜ～！」


天音「ふふ…。」





終










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（次回予告）


夏武斗「ロバートあいつのファンだったのか！良かったなそんな人とデュエルできて！」


ロバート「あ、あぁ。まぁな。」


天音「それにしてもあの人……相当に個性的というかなんというか…。」


仁「…無駄に怒鳴り散らして五月蠅いばかり。あのキンキンした声だけは今でも記憶に残っている。」


天音「あはは……。」


夏武斗「でも流石プロだなぁ！みんな熱狂してるぜ！」


仁「…あれに熱狂する感覚が理解できん。」


ロバート「あの感じが良いんじゃねえか！なんつーかこっちまで燃えてくるって感じがさ！………まぁ、だがアイツは」


夏武斗「次回『大ファンの意地！放て！弾丸融合！』」


ロバート「…あーあ、ぬか喜びさせやがって。」
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◇ジェネシック・スタジアム……Ｍ.Ｃ.Ｃデュエルセンターの近場に作られた大型の競技場。８つの大型デュエルフィールドを有しており、競技場全体を使った超特大ソリットビジョンの投影も可能。