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第19話:取引 作:チュウ
「ギュンター?どうしてここに?」
ギュンター?とフレアさんが呼んだ男性は俺達の方へ歩いてきた。
「いえ、大きな音がしましたので様子を見に来た次第です。そしたら、先程クレア様が走って何処かへ行ってしまわれたのが遠目で見えまして、こちらに歩いてきたのですよ」
「そうだったの……ごめんなさい、何でもないから」
「そうですか?ならば良いのですが……私にできる事でしたら言ってください」
凄く感じがいいし、渋くてイケおじって人だなぁ……
「おっとこれは、申し遅れましたね!私はこの赤の国の宰相をしています。名をギュンター・フォン・ウェンリッヒと申します。以後お見知りおきを……」
一礼した姿はまさに優雅の一言だった。
男として正直憧れるような存在に俺は思った。
「初めまして!白井遊輝と言います!」
「ユウキ様で宜しいですかね?フレア様のお客人と小耳に挟んでおります。それと、精霊様も今後ともよろしくお願い申し上げます」
この城内ではもう、俺が着ている事が知れ渡っているようだ。どんな風に知られているかはあんまり想像したくはないな……
「シャイニーよ。まぁ、よろしくお願いします……」
シャイニーも流石に礼儀正しい相手には何も言わないか。
「ギュンターはここに来て5年程かしら?卓越した手腕を持って、閉鎖的だった青の国との国交を開いた凄い人なんです!他にも宰相として様々な……」
「フレア様、あまり言われるとこっ恥ずかしいものですので、その辺でご容赦を……それとここに来て8年ですよフレア様」
「あら、そうだったかしら?ごめんなさい勘違いしていたわ」
「無理もありませんよ。来たばかりは特に目立って何かをした訳ではありませんからね。知っていなくても不思議ではありません」
随分と謙虚な人だな……ここに来て殆どの人が傲慢な感じだったから凄い違和感を覚えるがこれが普通な対応だよな。
「すみません……俺、凄い人ってくらいしか分からなくて……」
「ははは!いいんですよ、それくらいで。私は自分の仕事をしているだけです。評価して頂けるのは有難いですが、まだまだやるべき事が山積ですので」
「お父様……国王様はどうですか?ギュンター」
「なんとか手を尽くしているのですが……」
なんだ?フレアのお父さん?
「何かあったのか?フレア」
俺は立ち入った事とは思ったが、気になってしまいフレアに聞いた。
「ご病気になられているんです……」
病気!?
「治療方法が見つからず、対処療法しかできないのが現状です……申し訳ありません、このギュンターの力が足りないばかりに!」
「ギュンターはよくやっています!他のお仕事もあるでしょうに、お父様の治療法の模索まで取り仕切って貰っているのです。誰も貴方を責める事などできません」
「なんともならないのか……」
「一つ宛てがあります……」
ギュンターさんが提案をしてきた。
「エルフの住まう森にエーテルと言う薬があると、とある文献に書かれていました。万病に効く万能薬とされていますが、エルフの住まう森にしかないのです」
「それは本当なの!?」
「絶対……とは申し上げられませんが、現状これに賭けるしかないかと」
「それなら私が行ってきます!」
「なりません!赤の国の第2王女とも在られるお方が、あの危険なエルフの森に行くなど!」
エルフがいる事にも驚きだが、そんなに危険なのか?
「なにが危険なんですか?」
「エルフの森周辺には野良精霊が多数目撃されています。襲われでもしたら事ですし、そもそもの話し、エルフ達は我々人間に対して良く思っていないのは周知の事実でしょう条約があるとはいえ、無暗に近づくのは危険です」
そ、そうなのか……ていうか、俺が異世界人なのはフレアとメイドのメイさんだけだから、話しを合わせないと。
「そ、そうですよね~」
自分ながらなんとも気の抜けた返事だ。
「とにかく!私は行きます。そもそも行ける人材も他にいないでしょう……」
そんなに人不足なのか?できるなら俺もフレアの力になりたい。俺を守るためにお姉さんとまでデュエルをしてくれたんだから、今度は俺が助ける番だよな!
「あ、あの!」
「ユウキ!ダメです!」
シャイニーから急に言葉を遮られてしまった。
「な、なんで!?まだ何も言ってないだろ?」
「言わなくても分かります!いいですか!ユウキは貴族じゃないんです!私達の目的を忘れたんですか?これ以上首を突っ込むと面倒が増えます!」
た、確かに……俺達はモディファーの打倒に司や闇の妖精の救出もあるんだ。道草を食っている場合じゃないのは分かっている……だが、ここでフレアに協力しないのは俺的にはなんだか嫌んだよ!この世界でシャイニーを除けば良くしてくれたのはフレアさんが最初だ。だったらこの繋がりを大切にしたいと思うのは変なんだろうか……
「ユウキ様達はなにか目的があるのですか?」
ギュンターさんに質問をされた。疑問に思うのは当然かもだけど、何処まで話していいもんか。
「私達は闇の尖兵の謎を追う旅をしているんです」
ありがとうシャイニー!俺の代わりに答えてくれて!
「闇の尖兵……あの存在ですか」
「そういえば、ユウキ達が何をしたいか聞いてなかったですね?ギュンターはその闇の尖兵がなにか知っているの?」
「えぇ、闇の尖兵と名前を呼んだ者がいたそうで各国でもその呼び名が浸透はしています」
「ど!?何処にいたの!その名乗った奴は!」
「シャイニー食ってかかり過ぎだ!」
焦る気持ちは分かるが流石に失礼じゃないのか?
「……ふむ、では取引と行きませんか?シャイニー様」
取引?ギュンターさんがシャイニーにそんな事を急に持ちかけた。
「……人間が私を使うつもり?」
「その脅しには屈しませんよ?我々も国のために必死なのです。取り分け、国王の病は一刻も早く治療しなければ命の危機となります。お互いに目的があるようですし、ここは協力するのが得策かと思いますがね?」
ここは乗るべきじゃないのか?現状俺達にはなんの手がかりもないんだし……情報が手に入るのなら、当てもなく彷徨うよりずっと効率的だと思うが。
「分かったわ……どうやらやるしかないようね。こちらとしても情報は欲しい」
「ご理解して頂きありがとうございます……」
ギュンターさんは深々と頭を下げた。
「私からもありがとうございます、シャイニー様……それにユウキも」
「俺はまだ何も言ってなかったんだけどな」
「ふふ……何を言うかは分かっていましたよ?ユウキは顔に出やすいですね」
ま、また顔に出てたのか……シャイニーにも言われてたし、恥ずかしいな。
「では……こちらからの要求はフレア様と協力してエルフの森へ赴き、万能薬のエーテルを手に入れる事。その報酬として情報提供を致しますが如何でしょうか?」
「分かったわ、その条件を呑みましょう」
如何やら纏まったみたいだな……エルフの森か。どんな場所なんだろうか?それにファンタジー異世界といえばエルフなんて定番だし、会えるのがちょっと楽しみだな。
ギュンター?とフレアさんが呼んだ男性は俺達の方へ歩いてきた。
「いえ、大きな音がしましたので様子を見に来た次第です。そしたら、先程クレア様が走って何処かへ行ってしまわれたのが遠目で見えまして、こちらに歩いてきたのですよ」
「そうだったの……ごめんなさい、何でもないから」
「そうですか?ならば良いのですが……私にできる事でしたら言ってください」
凄く感じがいいし、渋くてイケおじって人だなぁ……
「おっとこれは、申し遅れましたね!私はこの赤の国の宰相をしています。名をギュンター・フォン・ウェンリッヒと申します。以後お見知りおきを……」
一礼した姿はまさに優雅の一言だった。
男として正直憧れるような存在に俺は思った。
「初めまして!白井遊輝と言います!」
「ユウキ様で宜しいですかね?フレア様のお客人と小耳に挟んでおります。それと、精霊様も今後ともよろしくお願い申し上げます」
この城内ではもう、俺が着ている事が知れ渡っているようだ。どんな風に知られているかはあんまり想像したくはないな……
「シャイニーよ。まぁ、よろしくお願いします……」
シャイニーも流石に礼儀正しい相手には何も言わないか。
「ギュンターはここに来て5年程かしら?卓越した手腕を持って、閉鎖的だった青の国との国交を開いた凄い人なんです!他にも宰相として様々な……」
「フレア様、あまり言われるとこっ恥ずかしいものですので、その辺でご容赦を……それとここに来て8年ですよフレア様」
「あら、そうだったかしら?ごめんなさい勘違いしていたわ」
「無理もありませんよ。来たばかりは特に目立って何かをした訳ではありませんからね。知っていなくても不思議ではありません」
随分と謙虚な人だな……ここに来て殆どの人が傲慢な感じだったから凄い違和感を覚えるがこれが普通な対応だよな。
「すみません……俺、凄い人ってくらいしか分からなくて……」
「ははは!いいんですよ、それくらいで。私は自分の仕事をしているだけです。評価して頂けるのは有難いですが、まだまだやるべき事が山積ですので」
「お父様……国王様はどうですか?ギュンター」
「なんとか手を尽くしているのですが……」
なんだ?フレアのお父さん?
「何かあったのか?フレア」
俺は立ち入った事とは思ったが、気になってしまいフレアに聞いた。
「ご病気になられているんです……」
病気!?
「治療方法が見つからず、対処療法しかできないのが現状です……申し訳ありません、このギュンターの力が足りないばかりに!」
「ギュンターはよくやっています!他のお仕事もあるでしょうに、お父様の治療法の模索まで取り仕切って貰っているのです。誰も貴方を責める事などできません」
「なんともならないのか……」
「一つ宛てがあります……」
ギュンターさんが提案をしてきた。
「エルフの住まう森にエーテルと言う薬があると、とある文献に書かれていました。万病に効く万能薬とされていますが、エルフの住まう森にしかないのです」
「それは本当なの!?」
「絶対……とは申し上げられませんが、現状これに賭けるしかないかと」
「それなら私が行ってきます!」
「なりません!赤の国の第2王女とも在られるお方が、あの危険なエルフの森に行くなど!」
エルフがいる事にも驚きだが、そんなに危険なのか?
「なにが危険なんですか?」
「エルフの森周辺には野良精霊が多数目撃されています。襲われでもしたら事ですし、そもそもの話し、エルフ達は我々人間に対して良く思っていないのは周知の事実でしょう条約があるとはいえ、無暗に近づくのは危険です」
そ、そうなのか……ていうか、俺が異世界人なのはフレアとメイドのメイさんだけだから、話しを合わせないと。
「そ、そうですよね~」
自分ながらなんとも気の抜けた返事だ。
「とにかく!私は行きます。そもそも行ける人材も他にいないでしょう……」
そんなに人不足なのか?できるなら俺もフレアの力になりたい。俺を守るためにお姉さんとまでデュエルをしてくれたんだから、今度は俺が助ける番だよな!
「あ、あの!」
「ユウキ!ダメです!」
シャイニーから急に言葉を遮られてしまった。
「な、なんで!?まだ何も言ってないだろ?」
「言わなくても分かります!いいですか!ユウキは貴族じゃないんです!私達の目的を忘れたんですか?これ以上首を突っ込むと面倒が増えます!」
た、確かに……俺達はモディファーの打倒に司や闇の妖精の救出もあるんだ。道草を食っている場合じゃないのは分かっている……だが、ここでフレアに協力しないのは俺的にはなんだか嫌んだよ!この世界でシャイニーを除けば良くしてくれたのはフレアさんが最初だ。だったらこの繋がりを大切にしたいと思うのは変なんだろうか……
「ユウキ様達はなにか目的があるのですか?」
ギュンターさんに質問をされた。疑問に思うのは当然かもだけど、何処まで話していいもんか。
「私達は闇の尖兵の謎を追う旅をしているんです」
ありがとうシャイニー!俺の代わりに答えてくれて!
「闇の尖兵……あの存在ですか」
「そういえば、ユウキ達が何をしたいか聞いてなかったですね?ギュンターはその闇の尖兵がなにか知っているの?」
「えぇ、闇の尖兵と名前を呼んだ者がいたそうで各国でもその呼び名が浸透はしています」
「ど!?何処にいたの!その名乗った奴は!」
「シャイニー食ってかかり過ぎだ!」
焦る気持ちは分かるが流石に失礼じゃないのか?
「……ふむ、では取引と行きませんか?シャイニー様」
取引?ギュンターさんがシャイニーにそんな事を急に持ちかけた。
「……人間が私を使うつもり?」
「その脅しには屈しませんよ?我々も国のために必死なのです。取り分け、国王の病は一刻も早く治療しなければ命の危機となります。お互いに目的があるようですし、ここは協力するのが得策かと思いますがね?」
ここは乗るべきじゃないのか?現状俺達にはなんの手がかりもないんだし……情報が手に入るのなら、当てもなく彷徨うよりずっと効率的だと思うが。
「分かったわ……どうやらやるしかないようね。こちらとしても情報は欲しい」
「ご理解して頂きありがとうございます……」
ギュンターさんは深々と頭を下げた。
「私からもありがとうございます、シャイニー様……それにユウキも」
「俺はまだ何も言ってなかったんだけどな」
「ふふ……何を言うかは分かっていましたよ?ユウキは顔に出やすいですね」
ま、また顔に出てたのか……シャイニーにも言われてたし、恥ずかしいな。
「では……こちらからの要求はフレア様と協力してエルフの森へ赴き、万能薬のエーテルを手に入れる事。その報酬として情報提供を致しますが如何でしょうか?」
「分かったわ、その条件を呑みましょう」
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