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第6話:赤の国のお姫様 作:チュウ
「なんだあれは?」
「なんでしょうかね?」
俺とシャイニーは同じような感想を述べながら、遠くに見える馬車らしきものを見ていた。
よく見てみるとその馬車の周りには人影が幾つか見えた。
「なんか変じゃないか?」
「そうですね……襲われてるように見えますね」
その人影は複数人で誰かを取り囲んでいるように見えた。
俺とシャイニーは草陰に隠れながら様子を見る事にした。
「どうやら貴族……それも何処かいい所のお姫様みたいですね」
ドレスの様な如何にも高貴でお金持ちって恰好は、確かにいい所のお姫様って感じに見えるな。
「だけど多勢に無勢だろ……お姫様側3人しかいないのに、囲んでる奴ら7人くらいいるぞ?」
俺が颯爽と主人公の如く助けに入って行きたいところだが、現実は甘くない。あれじゃ返り討ちに合うだけだろうな。
「これはいいかもしれないですねぇ〜貴族に恩を売ればリスクはありますが、この先少しは楽かもしれないです」
「いや、分かって言ってるのか!?向こうの人数じゃ俺が助けに入っても……」
「いいですか?この世界の強さというのは、どれだけ沢山の精霊と契約しているかです。しかもその質が良ければ更に鬼に金棒です!いいから行きますよ!」
マジかよ!?大丈夫かよ本当に……だけどシャイニーだけじゃ心配だし行くしかないか!
※時刻はほんの少し遡る(お姫様視点)
こんな所で私は終わってしまうのかしら……
「姫様!お逃げください!ここは我々だけで食い止めて見せます!」
そう息巻いたのは私を護衛する騎士団長だ。いつも大きな声で話す彼だが、今日の彼の声は何処か不安そうだった。それもそうだ……私を逃すために自分が犠牲になろうとしているのだから……
「私も壁くらいにはなります!」
今度は私のお世話係のメイドが自己犠牲をこれからしますと説明しているかの如く私を案じてくれている。
「今日が契約の儀式の日ではなかったらこんな事にはならずに済んだのに……」
そう、今日は精霊との契約の日。儀式場に赴いてこれから帰るところだったのだ。
契約した日は魔力がなくなってしまうため、精霊を呼び出す事ができない。そんな無防備な日に野盗に襲われてしまったのだ。
「奴ら、いったい何処で今日の契約の儀式の日取りを知ったのやら……」
外部に漏れる筈のない極秘情報だ。何故野盗がこの事を知っているのか私にも分からない。
「ケッケッケッ!無駄だぜ赤の国のお姫様よぉ。俺らの依頼主からコイツを受け取っているんだ、万全のアンタでもそう簡単にはこの状況を覆す事はできねぇーぜ!」
そう言いながらその男の手に持っている物を見て私は驚いた。
「それはデュエルモンスターズ!しかもデッキを!?何故野盗風情がそのような物を!」
「野盗風情とはご挨拶だねぇ〜まぁ、それだけ太い依頼主って事だ」
迂闊だった……今回の事は用意周到に準備された事だったようね……
「待ちやがれ!」
私が諦めかけていたその時だった。何処からともなく1人の青年と1匹の妖精が現れた。
※時刻が元に戻ります(ユウキ視点)
勢いで来たが、この男達人相悪過ぎだろ……かなり怖いんだが……
「なんだテメェ!文句あんのか!」
「あ、あるからに決まってんだろ!その人達を解放しろ!」
カードのあるなしがこの世界での強さなら、俺は今強い筈なんだよな。実感はないが、シャイニーの言葉を信じるしかない。
「行けません!そこの貴方早くこの場から離れなさい!」
お姫様っぽい人に逃げろと言われてしまったが、この状況でその言葉を聞いて逃げるような男じゃないんだよ!シャイニーが恩を売るなんて言ってたが、そもそもそんな理由がなくてもここで逃げたら絶対後悔する。だったらやって後悔したいに決まってるじゃないか!
「オメーら落ち着け。コイツを見せればコイツも少しは冷静になるんじゃねーかな」
男が見せたのはカードデッキだった。
「それはデュエルモンスターズのカード!しかもデッキ持ちって……」
明らかに動揺しているシャイニーを俺は横目に怯むもんかと張り合う事にした。
「それなら俺だって持ってるぜ!」
「な、なに!?デッキ持ちだとぉ!」
「お、お頭どうしやすか……」
下っ端がデッキを持っていた男に指示を仰いでいた。アイツがリーダーか。
「ケッケッケッ!これはチャンスだよ!おい小僧、俺とデュエルだ!テメェが負けたらそのデッキをよこしな!」
デッキを賭けるだって!?だが、ここで勝てば全てが丸く収まる筈だ。
「いいぜ!そのデュエル受けて立つ!俺が勝ったらその人達に手を出すのを止めろ!」
「やっぱりそうなりますよねぇ……まさかデッキを持っていたとは……これは私が欲をかいたミスですね。いいでしょう!サポートしますよユウキ!」
この世界に来てからの2回目のデュエルが始まった。
「なんでしょうかね?」
俺とシャイニーは同じような感想を述べながら、遠くに見える馬車らしきものを見ていた。
よく見てみるとその馬車の周りには人影が幾つか見えた。
「なんか変じゃないか?」
「そうですね……襲われてるように見えますね」
その人影は複数人で誰かを取り囲んでいるように見えた。
俺とシャイニーは草陰に隠れながら様子を見る事にした。
「どうやら貴族……それも何処かいい所のお姫様みたいですね」
ドレスの様な如何にも高貴でお金持ちって恰好は、確かにいい所のお姫様って感じに見えるな。
「だけど多勢に無勢だろ……お姫様側3人しかいないのに、囲んでる奴ら7人くらいいるぞ?」
俺が颯爽と主人公の如く助けに入って行きたいところだが、現実は甘くない。あれじゃ返り討ちに合うだけだろうな。
「これはいいかもしれないですねぇ〜貴族に恩を売ればリスクはありますが、この先少しは楽かもしれないです」
「いや、分かって言ってるのか!?向こうの人数じゃ俺が助けに入っても……」
「いいですか?この世界の強さというのは、どれだけ沢山の精霊と契約しているかです。しかもその質が良ければ更に鬼に金棒です!いいから行きますよ!」
マジかよ!?大丈夫かよ本当に……だけどシャイニーだけじゃ心配だし行くしかないか!
※時刻はほんの少し遡る(お姫様視点)
こんな所で私は終わってしまうのかしら……
「姫様!お逃げください!ここは我々だけで食い止めて見せます!」
そう息巻いたのは私を護衛する騎士団長だ。いつも大きな声で話す彼だが、今日の彼の声は何処か不安そうだった。それもそうだ……私を逃すために自分が犠牲になろうとしているのだから……
「私も壁くらいにはなります!」
今度は私のお世話係のメイドが自己犠牲をこれからしますと説明しているかの如く私を案じてくれている。
「今日が契約の儀式の日ではなかったらこんな事にはならずに済んだのに……」
そう、今日は精霊との契約の日。儀式場に赴いてこれから帰るところだったのだ。
契約した日は魔力がなくなってしまうため、精霊を呼び出す事ができない。そんな無防備な日に野盗に襲われてしまったのだ。
「奴ら、いったい何処で今日の契約の儀式の日取りを知ったのやら……」
外部に漏れる筈のない極秘情報だ。何故野盗がこの事を知っているのか私にも分からない。
「ケッケッケッ!無駄だぜ赤の国のお姫様よぉ。俺らの依頼主からコイツを受け取っているんだ、万全のアンタでもそう簡単にはこの状況を覆す事はできねぇーぜ!」
そう言いながらその男の手に持っている物を見て私は驚いた。
「それはデュエルモンスターズ!しかもデッキを!?何故野盗風情がそのような物を!」
「野盗風情とはご挨拶だねぇ〜まぁ、それだけ太い依頼主って事だ」
迂闊だった……今回の事は用意周到に準備された事だったようね……
「待ちやがれ!」
私が諦めかけていたその時だった。何処からともなく1人の青年と1匹の妖精が現れた。
※時刻が元に戻ります(ユウキ視点)
勢いで来たが、この男達人相悪過ぎだろ……かなり怖いんだが……
「なんだテメェ!文句あんのか!」
「あ、あるからに決まってんだろ!その人達を解放しろ!」
カードのあるなしがこの世界での強さなら、俺は今強い筈なんだよな。実感はないが、シャイニーの言葉を信じるしかない。
「行けません!そこの貴方早くこの場から離れなさい!」
お姫様っぽい人に逃げろと言われてしまったが、この状況でその言葉を聞いて逃げるような男じゃないんだよ!シャイニーが恩を売るなんて言ってたが、そもそもそんな理由がなくてもここで逃げたら絶対後悔する。だったらやって後悔したいに決まってるじゃないか!
「オメーら落ち着け。コイツを見せればコイツも少しは冷静になるんじゃねーかな」
男が見せたのはカードデッキだった。
「それはデュエルモンスターズのカード!しかもデッキ持ちって……」
明らかに動揺しているシャイニーを俺は横目に怯むもんかと張り合う事にした。
「それなら俺だって持ってるぜ!」
「な、なに!?デッキ持ちだとぉ!」
「お、お頭どうしやすか……」
下っ端がデッキを持っていた男に指示を仰いでいた。アイツがリーダーか。
「ケッケッケッ!これはチャンスだよ!おい小僧、俺とデュエルだ!テメェが負けたらそのデッキをよこしな!」
デッキを賭けるだって!?だが、ここで勝てば全てが丸く収まる筈だ。
「いいぜ!そのデュエル受けて立つ!俺が勝ったらその人達に手を出すのを止めろ!」
「やっぱりそうなりますよねぇ……まさかデッキを持っていたとは……これは私が欲をかいたミスですね。いいでしょう!サポートしますよユウキ!」
この世界に来てからの2回目のデュエルが始まった。
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