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HOME > 遊戯王SS一覧 > 第28話:最悪の再会

第28話:最悪の再会 作:チュウ

 バーン効果を得意とする爆撃デッキ使いの大圓寺正義(だいえんじまさよし)に勝利をした俺とシャイニーはデュエルのアンティルールにより、俺達が探している人物であるモディファーの居場所を聞き出していた。

 「マジで知らねーんだよ!アイツが普段いる場所なんて知ってる奴いるのかも分かんねーよ!」

 本当に知らないみたいだな……

 「アンティルールまで使ってますから信用していいでしょうね……では、最後に見たのは何処ですか?」

 「ぐっ!……あ、青の国の領地内だ……正確な場所は俺も地理に詳しくねーから分かんねーけど、確か首都にかなり近い場所の村だった」

 青の国……そこにモディファーが!

 パキン!

 強制決闘とアンティルールの魔法がかけられていた鎖が砕けた。

 「鎖が……」

 「効果が切れましたね」

 鎖が砕けた理由をシャイニーが説明をしてくれた。
 それを見るなり大圓寺正義は一目散に逃げ出した。

 「あ!おい!!逃げんな!!この火事なんとかしろ!!」

 「ここまで広がった火をどうにかできる訳ねーだろ!!てか、来るんじゃねー!」

 コイツ!無責任過ぎるだろ!ここで逃がしたら、また何を仕出かすか分かったもんじゃない!

 「あれは!?」

 シャイニーが驚いた先に見ていたのは、フレア達だった。

 「フレア!」

 「……ユウキ、ごめんなさい」

 なんだ?急に誤って……

 「はぁ……はぁ……た、助けてくれよ!ここまで仕事はやったんだが、アイツに邪魔されてよ!な、なぁ!俺ちゃんと仕事したって報告してくれるよな!俺、処罰は簡便だぜ?」

 さっきまで威勢がよかった大圓寺正義が急にしおらしく言い訳を黒いフード付きの丈の長いマントを着た人物にしていた。

 「誰だ?」

 俺の位置からでは顔が良く見えなかった。

 「ユウキ!気を付けて!私もエルミアもあの人に負けてしまって……」

 なんだって!?

 「ご、ごめんなさい……私が弱いから……」

 エルフのエルミアさんが弱音を吐いた。

 「そんなに自分を責めるなよ。誰もそんな事思ってないから」

 俺はエルミアさんにそう言った後、もう一度黒いマントを着た人物を見た。

 「なぁ!頼むよ!何とか言ってくれよ!お前が一番異世界人の中でモディファーに気に入られてるだろ司!」

 は?今なんて……

 「煩いわよ!人間!クロリム傍で騒がないでくれる?」

 その黒いマントを着た人物の後ろから黒い妖精のようなものが飛び出してきた。何処となくシャイニーを思わせる見た目だった。

 「クロリム!?どうしてここにいるんですか!?」

 「シャイニー?まさかあの黒い妖精みたいなのって……」

 「まさかもないでしょ?闇の妖精のクロリムちゃんとは私の事よ!」

 そう元気よく少し生意気にも聞こえる話し方をしたのはシャイニーが探していた闇の妖精だったみたいだ。

 「久しぶりだな……遊輝」

 「司!?やっぱり司だったのか!無事だったんだな!」

 深く被っていたフードを取りながらその人物はそう言った。
 本当に司だった……よかった……待てよ。

 「なぁ司、なんで大圓寺正義と一緒にいるんだ?」

 「……」

 司は沈黙したままだった。
 いや、まさかそんな事……それに大圓寺正義が言っていたモディファーに気に入られているって。

 「……クロリムどういう事ですか?」

 「かくかくしかじか色々あって~」

 「ちゃんと説明しなさい!」

 「うぅ……今は言えない……」

 「クロリム!!」

 シャイニーがクロリムを問い詰めているが、どうにも話してくれない。なにか理由がありそうだが……

 「はぁ……クロリム下がっていろ。シャイニー……さんでいいかな?」

 司が闇の妖精のクロリムを下げさせて代わりに話してきた。

 「貴方がユウキの探し人ですね?さん付けも敬語もいりません。説明してくれますか?」

 「シャイニー……こちらにも事情があるんだ。だが、それは言えない……只言えるのは、今の俺達は……敵って事だ!」

 司がデュエルディスクを構えそう言った。
 なんでだ……どうして。

 「どうしてだ!この森を焼く事も知ってたんだろ!それに加担するお前じゃないだろ!」

 「…………」

 無言じゃ分からないだろ……

 「話す気がないってなら、俺とデュエルしろ司!俺が勝ったら洗いざらい話して貰う!」

 「いいだろう……俺が勝ったらこの場から見逃して貰う……行くぞ遊輝!」

 「「デュエル!!」」


ユウキ:LP8000

ツカサ:LP8000


 「俺の先攻だ、クロリム頼むぞ」

 「もちろん!ツカサはいつも通り大船に乗ったつもりでいなさいなのよ!」

 「……はいはい、行くぞ。手札からフィールド魔法発動!《闇黒世界-シャドウ・ディストピア-》!」

 司が発動したのはフィールド魔法か?辺りが一気に暗くなって、足元全体が真っ黒に染まりやがったぞ。

 「……ユウキ、かなり不味いです」

 「な、なんだよいきなり……まだフィールド魔法出ただけだぞ?」

 あのカードそんなにヤバいのか?

 「分かってないわね!このカードはフィールドのモンスターを全て闇属性に変えてしまうのよ?シャイニーがなにを司っているか分かっているのかな?」

 闇属性に変える……シャイニーは光を司って……!?

 「待てよ!なら俺のモンスターの効果は……」

 「全部ではないですが、属性を指定している効果は発動できないです」

 それってかなり不味いんじゃないか……

 「……クロリム、私の対策のために幾つカード入れました?」

 「色々事情が嵩んでるけど、デッキを作り始めてから割と意識はしてたから結構入ってるのよ?シャイニーとはいつか何処かで戦う事になるって思ってたからね」

 「そう、ですか……」

 「シャイニー、どうしたんだ?」

 いつもならそんな対策なんて意に返さないくらいの勢いがあるのに、今日は随分と大人しく感じる……

 「ユウキ、最善を尽くしましょう」

 「お、おう!いつだって勝つ気でいるぜ!」

 シャイニーの元気がないように感じるが気のせいか?

 「……続けるぞ。俺は手札から魔法カード《おろかな埋葬》を発動!デッキからモンスター1体を墓地へ送る……俺は《闇黒の魔王ディアボロス》を墓地へ送る」

 《闇黒の魔王ディアボロス》……俺が知らないカードだが、随分な名前のカードだな。というか、司ってデュエルモンスターズの事、そんなに知らなかった気がするんだが……あのクロリムって妖精のサポートがあるとはいえ、だいぶ慣れているように感じるな。

 「更に俺は手札から《悪魔嬢リリス》を召喚!」

《悪魔嬢リリス》
効果モンスター
星3/闇属性/悪魔族/攻2000/守0

 「召喚した《悪魔嬢リリス》の元々の攻撃力は1000になる……俺はカードを2枚セットしてターンエンドだ」

《悪魔嬢リリス》
攻2000→攻1000

 「行くぜ俺のターン!ドロー!」

 まずはフィールド魔法をどうにかしないとな……

 「俺は手札から《スターブライト・シスター》を召喚!」

《スターブライト・シスター》
効果モンスター
星4/光属性/魔法使い族/攻700/守1900
このカード名の②③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:このカードが召喚した場合に発動できる。このカードを守備表示にし、自分は700LP回復する。
②:このカードが守備表示で存在する場合に発動できる。デッキから「スターブライト」のカード名が記された魔法・罠カード1枚を手札に加える。
③:このカードが光属性SモンスターのS素材として墓地へ送られた場合に発動できる。自分の墓地から「スターブライト・シスター」以外の「スターブライト」モンスター1体を特殊召喚する。

 「この召喚時にこのカードを守備表示にして俺は700LP回復する」

ユウキ:LP8000→LP8700

 「《スターブライト・シスター》が守備表示で存在する場合その②の効果を発動!デッキからスターブライトのカード名が記された魔法・罠カード1枚を手札に加える……俺は《輝く七芒星》を手札に加え、そのまま発動!デッキからスターブライトモンスターを1体手札に加える……俺は《スターブライト・ブレイダー》を手札に加える!」

《輝く七芒星》(スターブライト・へプタグラム)
通常魔法
このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:デッキから「スターブライト」モンスター1体を手札に加える。
②:墓地のこのカードを除外して発動できる。自分の墓地・除外状態から光属性Sモンスター及び「スターブライト」モンスターを合計2体までデッキに戻し、自分はそのカードの数×700LPを回復する。この効果はこのカードが墓地へ送られたターンには発動できない。

 これであのフィールド魔法を!

 「自分フィールドにスターブライトモンスターが存在する場合に発動!このカードは手札から特殊召喚できる……来い!《スターブライト・ブレイダー》!」

《スターブライト・ブレイダー》
効果モンスター
星4/光属性/戦士族/攻1800/守1700
このカード名の①②③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:自分フィールドに「スターブライト」モンスターまたは光属性Sモンスターが存在する場合に発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。
②:このカードが攻撃表示の場合、700LP払って相手フィールドのカード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。その後、このカードを守備表示にする。
③:このカードが光属性SモンスターのS素材として墓地へ送られた場合に発動できる。自分の墓地から「スターブライト・ブレイダー」以外の「スターブライト」モンスター1体を手札に加える。

 「俺は700LP払って攻撃表示の《スターブライト・ブレイダー》の効果発動!司!お前のフィールド魔法を破壊する!」

ユウキ:LP8700→LP8000

 「その効果にチェーン!罠カード!《無限泡影》!対象は《スターブライト・ブレイダー》!」

チェーン1:《スターブライト・ブレイダー》
チェーン2:《無限泡影》

 「その効果を無効にする!」

 なっ!?破壊できなくなっただと!?

 「随分と高価なカードを使いますねクロリム?」

 「ふふん!知識じゃあシャイニーに敵わないけど、カード生成に関しては私の方に軍配が上がるからね!ざっとこんなもんなのよ!」

 「シャイニーどういう事だ?」

 「あの子は頭はそんなに強くないけど、持ち前の魔力量と効率的な魔力運用で割と高価なカードも生成できてしまうんです……まぁ私の逆を行くって感じです」

 暗に自分は頭いいですって言ってるようなもんだぞ……

 「それでも《無限泡影》……あれ程の高価なカードを作るとなると、他のカードを作る余裕はない筈……」

 そんなに高価なカードなのか……

 「シャイニーの言葉がなんか気になるけど、まぁいいのよ!それにしても、なんで《無限抱擁》をシスターに打たなかったのよツカサ?心配しちゃったじゃないのよ!初動を止めるのは基本なのよ!」

 「……このフィールド魔法があれば有利は揺るがないって説明してたのはクロリムだろ?なら、このカードを絶対に向こうは狙って来るはずだ……こっちはそれを迎え撃つ構えさえ取ってればいい。変に他のカードを狙うと本当に狙いたい的にカードを当てられないかもしれないからな……まぁ、この辺は諸説あるだろうがな」

 「なるほど!」

 あの2人の会話を聞いていると、俺とシャイニーの立場を逆にしたみたいに聞こえてくるのは気のせいだろうか……

 「……迷いますが、ここはバトルフェイズに入りましょうユウキ」

 「分かったぜ!バトルだ!効果が無効になったから攻撃表示のままの《スターブライト・ブレイダー》で《悪魔嬢リリス》を攻撃!」

 「この瞬間!《悪魔嬢リリス》の効果!《スターブライト・ブレイダー》をリリースして発動!」

 《スターブライト・ブレイダー》が消された!?

 「フィールド魔法《闇黒世界-シャドウ・ディストピア-》の効果により、自分フィールドの闇属性モンスターをリリースする場合、代わりに相手モンスターを1体までリリースできる!」

 は!?つまり俺の場のモンスターを退かしながら効果を使えるって事か!?

 「デッキより通常罠カード3枚を選び、相手はランダムに1枚選んでそのカードをフィールドにセットし、残りはデッキに戻す……俺は、《弩弓部隊》《トラップ・トリック》×2の3枚を選ぶ。遊輝、この中からランダムに1枚選べ!」

 「なら、真ん中のカードだ!」

 「選ばれたカードをセットして残りはデッキに戻す。さぁまだ遊輝のターンだ」

 そ、そうかこっちのターンで動くから少し忘れてたぜ……

 「バトルフェイズは終了してメインフェイズ2に入る!カード1枚セットしてターンエンド!」

 「このエンドフェイズで《闇黒世界-シャドウ・ディストピア-》の効果発動!このターンにリリースされたモンスターの数まで、ターンプレイヤーのフィールドに《シャドウトークン》を守備表示で特殊召喚する」

《シャドウトークン》
トークン・通常モンスター
星3/闇属性/悪魔族/攻1000/守1000

 「なんだ!?俺の場に黒くてモヤモヤしたのが出てきたぞ?」

 わざわざモンスターを相手に送り付けるなんてどういうつもりなんだ?
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