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HOME > 遊戯王SS一覧 > 73話 血断の刃

73話 血断の刃 作:コングの施し

学校に残された日暮と遊大の救出のため、阿原と竜也はすでに動き出していた。小金井が使っていたDホイールと彼らの服装、そしてましろの車を入れ替えることで、龍血組総本山を目指す小金井と龍平をカモフラージュする。組にとって優先度が高いのは当然小金井の存在であり、逆を言えば自分たちを小金井と龍平と誤認させれば、いくばくかの時間は稼げる。そう考えていた。

竜也「やはり……こちらの追手が明らかに多い…!!」

阿原「どうすんだよ!!やべえだろこれ!!!」

混み合う車の間を縫うようにして、日暮と遊大の残る学校へと進んでいく。追手と思わしい車や人影は明らかに増えている。しかしそれだけではない。明らかに学校に近づけば近づくほどに車の数が、密度が増している。そして目的地の方向の空にもうもうと体のぼる濃い煙。鼻につく焼けた匂いが、そして迫り来る龍血組の魔の手が、彼らの心の臓を掴んで離さなかった。

竜也「煙が……濃くなってきた。
このまま学校に突っ込むぞ……!!!」

阿原「運転荒すぎなんだよ!!しょうがねえ行くしかねえだろ!!!」




………ガッシャーン!!


学校のフェンスを乗り越えた先の光景に、2人の思考が一瞬止まる。そこにあったのは、数台の黒塗りの大型車に、4台の消防車。佇む男、そして横たわる2人の少年であった。赤い光が2人の顔を照らす。そして未だ消えることのない立ち上る炎が、その場を全てを紅色に塗っていた。

阿原「遊大………それに日暮……!!!」

竜也「これは一体……どういう状況だ!!!!」

燃ゆる炎に足を運ぼうとする消防隊員たちの足が止まっている。その顔に恐怖と困惑を刻みながら。その理由は、中心に佇む男の手にあるものを見れば明白であった。消防の者に取り押さえられた数人の男たち、その最後の一人が、火傷を負ったあの男であった。


荒田「全員だ!!!動くんじゃねえぞ!!!!!」


全人が焼けただれ、もはや肌の奥の肉が見えかけてしまっている男。大柄なその男が、手に拳銃を握りながらそう叫んでいる。消防も救急も機能しているのに、警察もセキュリティも出向くことがなくなっている。いわば、この状況における遊大と日暮は人質。そこにいる全員の一挙手一投足が、その人差し指に操られている状態だった。

竜也(このままでは……学校も、彼らも……!!)

状況を理解しろ、そう言わんばかりに頭を回す。組が何らかの手段を持って県警・セキュリティを止めていたとしても、この状況は長くは続かない。きっと30分もしないうちに、公安・機動隊・警視庁・犯罪勢力対策課……あらゆる国の機関が動く。しかし今、そこにいる少年たちは、彼らの命は危機に晒されている。ならば……。

阿原「……おやっさん!?」

竜也は両腕をあげて前に進む。ゆっくりと、しかし確かに。そこにいる全員の呼吸が浅くなり、彼へと手を伸ばす。いつ自分の命が射抜かれるかもわからない。そんな状況を、この地獄に風穴を開けようと試みたのは、たった1人のプロデュエリストだった。



竜也「…………丸腰だ……デュエルディスク以外はな。」

荒田「………あ?」


男はその拳銃を竜也へと向ける。フラフラとした足取りで、その狙いは定まっていない。しかし狙わずとも命中するであろう距離に、すでに彼はいた。竜也の目に映る男は全身が炎に焦がされ、今立っていることすら奇跡と言える状況。彼らはその手に掛かった遊大と日暮の命に足を取られているのであって、そこにいる全員で今から争えば、組の者に勝ち目などない。現に拘束されている数人の男たち、組の者たちがそれを物語っていた。

竜也「この状況は長くは続かない。
貴様らが県警を止めていようが、公安に根回しをしようが、もはや揉み消せる範疇を大きく超えてるのはわかるはずだ。」

荒田「だったらなんだア?何をしにきたよ、『暴竜』大石?
まさかデュエルしろとかほざくんじゃねえだろうな」

竜也「………。」

男が、彼の頭を殴りつける。校庭の砂浜にピシャッと赤い雫が飛び散った。よろめく竜也に振り注ぐ黒い拳、しかしそれは、荒田の左腕によってあっさりと防がれた。

竜也「デュエルで決着をつけよう……今、警察も公安もセキュリティも動いていない。
逆に、貴様らが逃がれることができるのは、今しかないんだ。」

荒田「だったらなんだ、って聞いたよなア!?
てめえのどこに、俺らを逃す権利と力があるってんだア!?!」

目の前の男は、全身を炎に侵されたこの男は、どれほど世界を憎んでいるんだろうと、そう思えた。降り注ぐ拳が、踵が、まるでこの社会への憎しみのように鈍く、痛々しく思えた。だからこそその様が哀れで、物悲しくて、彼らをそうさせた世界すら色褪せてみえた。

竜也「貴様らは……!!
自分で信じた生き方もできない。少年少女の命を手に掛けてまで生きたいとほざく哀れな子羊だ!!
______生きたいんだろう!?彼らを傷つけてまで!!!」

その声と同時に遠い空から「バババババ……」と鈍い風切り音が鳴り響く。それは地獄の終了が近いことを告げていた。上空を舞うヘリコプターがここに到着すれば、男たちの逃げ場などなくなる。奇しくも、残された龍血組の男と竜也たち、その精神的な優劣が並んでしまった。

荒田「何度も……何度も何度も……!!!
同じ手ばかり使いやがる!!!そうやっててめえらは!!!」

男は血を指先に塗りつけながら、その頭を焼けた腕でかきむしる。右手に携えた銃口を竜也の額に押し付け、がらがらと痛々しく喉を鳴らしながら叫んだ。

荒田「乗るわけがねえだろうが!!!殺す!!殺す殺す!!!今、殺すッ!!!」

竜也「死ぬのは貴様だ……わかってるはずだろう。
………今貴様らの突破口は、目の前にいる俺しかいないんだぞッ!!!!」

命が惜しい。『殺せる』と言って一度引き金を引いたその手だからこそ、その一発が自分の身を焦がしたからこそ、荒田にはそのトリガーに指をかけることができなかった。こんな姿になっても、生きたいからこそ足掻いている。だったら……だったら……

荒田「くっっそォがぁぁあああああああーーーーーー!!!!」

竜也「条件は、貴様ら龍血組の逃走経路と、人質の解放!!
…………勝者がこの場を制し、その命を得る!!!」




『『デュエル!!!』』







時は、少し遡る。
今ここに、デュエリストとして構えているのが運命付けられているような、義父親から奪ったこの組の全員と、自分の体に織り交ぜた竜の血がこの身を縛り付けているような、そんな気がした。未だ、自分の心に対しての問いの答えは見つかっていなかった。自分の血を呪った花奈と、その血を欲した自分。その2人の間に生を受けた、娘の嬢。ならば自分にできることは、自分が押し通さねばならない大義は……。


栄咲「………この戦いが終わった時、立っている奴がこの組を継ぐ。
………そういうことだろ?………来いよ。」

嬢「行きます……、私の……ターンッ!!!」



ーTURN1ー

龍剛院 嬢  (ターンプレイヤー)
LP   :8000
手札   :5
モンスター:
魔法罠  :
フィールド:

龍剛院 栄咲
LP   :8000
手札   :5
モンスター:
魔法罠  :
フィールド:



彼らと、龍平と出会って、何よりもデュエルが好きになった。でもそんな折に、自分が握っていた《ドラグニティ》のデッキに込められた意味を知った。倒さなければいけない。そこに意味を求めて良いのか、自分にはわからない。龍平と小金井の2人が来るまで、ずっと胸の中は不安でいっぱいだった。でも、今は違う。

嬢「私は、手札から《おろかな埋葬》を発動!!
この効果でデッキから墓地に送るのは……《覇王眷竜ダークヴルム》!!」

そう言って発動された《おろかな埋葬》。そして墓地に送られた《覇王眷竜ダークヴルム》のカードに、栄咲は目を剥いた。大石 龍平 によってリレーのバトンの要領で託されたデッキ。今まで嬢が使ったことのないはずのデッキが、その中身が、たった1体のモンスターによって明瞭になる。

栄咲「……………!!!!」

嬢「力を借ります……日暮さん。
………墓地から現れよ、《覇王眷竜ダークヴルム》!!」


《覇王眷竜ダークヴルム》(守)
☆4 闇属性・ドラゴン族/ペンデュラム/効果
ATK:1800/DEF:1200[◆5◇]


黒い翼の竜が墓地から飛び上がる。甲高い咆哮はかつての『覇王』の名を冠するペンデュラム使いのデュエリストを思い出させる。小さな体からとは思えない威圧感が走り、その声は嬢のデッキから1枚のカードを抜き出させた。

嬢「特殊召喚時に、《ダークヴルム》の効果を発動!!
………デッキから《覇王門無限》を手札に!!」

栄咲「………そうか、そういうことか…。」

一人でに口を開く栄咲を前にしても、嬢のデッキは止まらない。そのデッキの本質、それは反逆の意を介した団結と、嬢の目指した《竜破壊》の力。根幹を成すそのカードが、嬢の手札で産声を上げる。

嬢「このカードたち、回収してくれたんですね…。
通常召喚ですっ!!………《破壊剣士の伴竜》!!!!」


《破壊剣士の伴竜》(攻)
☆1 光属性・ドラゴン族/チューナー/効果
ATK:400/DEF:300


白い翼をはためかせ、青黒い瞳を光らせる小さな竜がフィールドへと降り立つ。フィールドに舞い散った羽の一枚一枚がカードを描き、そのうちの1枚、《破壊剣士の揺籃》がひらひらと嬢の手札に加わった。《破壊剣》のカードたち。栄咲はじめとする龍血組が嬢の搬送先の病院で処分したはずのカードたち。しかしそのカードを使い勝利することこそが、嬢のここにいる大義なのだと否応なく理解させられる。

嬢「…………私は、レベル4の《覇王眷竜ダークヴルム》に、レベル1、《破壊剣士の伴竜》をチューニング!!」

栄咲「……!!」

嬢「_____シンクロ召喚、レベル5、《星杯の神子イヴ》!!」


《星杯の神子イヴ》(守)
☆5 水属性・魔法使い族/シンクロ/チューナー/効果
ATK:1800/DEF:2100

2体のドラゴンが織りなした光の道筋。その光は青白く染まり、1人の少女を模ったモンスターへと姿を昇華させた。《星杯》の名を冠したモンスター、そのカードに託された意思と携えられた力は……。

嬢「………律歌さん、龍平くん、《星遺物》の力お借りします!!
《星杯の神子イヴ》のS召喚に成功した時、デッキから《星遺物の守護竜》を手札に加え……これを発動っ!!」

フィールドへと叩きつけられる《星遺物の守護竜》のカード。かつて龍平が《聖刻龍−ドラゴンヌート》と共に使用したそのカードが、律歌から託された《星杯の神子イヴ》によって超動する。墓地から《破壊剣士の伴竜》のカードが宙へと舞い、今一度ソリッドヴィジョンによって映し出された。


《破壊剣士の伴竜》(守)
☆1 光属性・ドラゴン族/チューナー/効果
ATK:400/DEF:300


栄咲(フィールドに存在するのは2体のチューナー……レベルもバラバラ……何が狙いだ?
2体のモンスターを用意するだけなら、わざわざシンクロを挟む意味が……)

嬢「現れて、絆を繋ぐサーキット!!」

嬢が指差す空の先に、電光を伴った蒼色のサーキットが形成される。嬢が従える2体のモンスターがそれぞれの属性を示す光を放ち、真っ直ぐに空へ浮かぶサーキットに吸い込まれていく。モンスターの魂が示した鏃によって新たに生み出される命は……

嬢「召喚条件は、モンスター2体!!
_____リンク召喚、リンク2、《破壊剣士の守護絆竜》!!!」


《破壊剣士の守護絆竜》(攻)
L2 光属性・ドラゴン族/リンク/効果
ATK:400[↙︎・↘︎]


今しがた姿を消したはずの《破壊剣士の伴竜》。さらなる輝きを放ち、リンクモンスターへと転生したその竜の姿が、そこにはあった。そして栄咲が抱いた疑念は、この瞬間に拭われることとなる。

嬢「私は《破壊剣士の守護絆竜》と、リンク素材となった《星杯の神子イヴ》の効果を、発動!!
デッキから《破壊剣の追憶》を墓地に送り、さらに《星遺物−『星杯』》を特殊召喚ですっ!!」


《星遺物−『星杯』》(守)
☆5 闇属性・機械族/効果
ATK:0/DEF:0


《星杯の神子イヴ》がその魂と引き換えに生み出した、光り輝く杯。それは攻守0というステータスを携えながらも、確かにそこに命を持ったモンスターとして生み出された。フィールドに出現した2体のモンスター。処分されたはずの《竜破壊》のカードと、彼女を支えたライバルたちのカード、傷ついた頬をさすり、男はそれらをじっと見つめる。


栄咲「………随分と、小癪なことをするようになったな。」

嬢「………え?」

栄咲「捨てたカードを鼠のように漁ったかと思えば、自分たちのカードを勝手に他人に託すだと?
……………そうか、そういうことなんだな。」

嬢「…………何が、言いたいんですか?」

栄咲「……弱えんだよ、お前の『おともだち』がな。
だからこそ、竜の血を引いてしまったお前に、戦う役割を押し付けた。
…………そうだろ?」

嬢「みんなが……弱い?」

栄咲「ご丁寧にお前専用のデッキまで組んで、そのディスクだってどんな細工がされてるかわかったもんじゃない。
元からお前は利用されてんだよ、お前が『おともだち』だと思ってる奴らにな。」

その言葉に、嬢は黙り込む。わかっている。戦っている自分を心を揺さぶろうとしていることなど。確かに、自分の手に託されたのはこのデッキとディスクだけ。それを望み、小金井の助力があって作られたこの状況。仲間たちは、戦友たちは、自分にどんな思いを乗せてこのデッキを託したのだろうか。


「………言い…訳、しません!!……弱いのは俺たちです……!!」


その声に、嬢は真後ろを振り返る。倒れ込み、足から赤い血を流しながら、そう叫んだ龍平の姿がそこにはあった。這いずるような姿勢になりながらも、龍平は嬢の足元まで己が体を引きずっていく。

龍平「………わかってます……!!
嬢が……いなくなったって、その事実に怒りだけ任せて……感情だけで動いて、戦う役割を押し付けたのは………俺たちだ……!!」

嬢「龍平くん……!!」

無理に立ちあがろうとする龍平の肩を、嬢はグッと押さえた。膝から流れる鮮血が血の道を作っているのがわかる。浅い呼吸と震える声が、その魂の灯火が消えかけているということを教えていた。

龍平「謝るよ……嬢…。
最後に戦う羽目になったのに……親父さんと戦うお前の気持ちも考えないで……!!」

嬢「もう……大丈夫だよ……私は……大丈夫だから!!!」

息を切らした龍平の体を、静かに地面へと横たわらせる。一瞬でも揺らいでいた。戦友たちにとって、自分がどんな存在であるのかを。揺らいでしまっていたんだ、戦友を想う気持ちが。でも今、この時、自分の背中を押してくれる人がそこにはいた。自分は、一人ではない。

嬢「お父さん……。」

栄咲「……終わったか?…泣けるシーンってやつは。」

嬢「………続けましょう。
これは私が始めたデュエルだから……!!」


嬢の手札から2枚のカードがセットされる。そこに確実にあるだろう《破壊剣士の揺籃》のカード。嬢のデッキを処分する過程で当然その効果は把握している。だからこそ、そのカードが文字通り目の上の短瘤のように鎮座していた。通ればドラゴン族を操るデッキでなくとも問答無用にねじ伏せるパワーを持ったカード。おそらくそれが、《竜破壊》のコンボが、次の栄咲のターンには炸裂することになる。眉を顰める栄咲を横目に、ターンは廻りだす。

嬢「私はカードを2枚セットし、ターンエンドです……!!」



ーTURN2ー

龍剛院 栄咲(ターンプレイヤー)
LP   :8000
手札   :5→6
モンスター:
魔法罠  :
フィールド:

龍剛院 嬢  
LP   :8000
手札   :3
モンスター:《破壊剣士の守護絆竜》・《星遺物−『星杯』》
魔法罠  :《星遺物の守護竜》・セット×2
フィールド:



栄咲「俺のターン………さア、使ってこい…《竜破壊》のカードを!!」

幕を開けた2ターン目。産声を上げるのは、研ぎ澄まされその身に流れる血を断ち切らんとする刃。決断の刃をそのデュエルに下すための必殺のコンボであった。竜と共に生き、竜を屠るためのカードたちが、その怒りを露わにする。

嬢「罠カード、《破壊剣士の揺籃》を発動ですっ!!」

オープンされたリバースカード。そこに記されたのは、《破壊剣》を携えた戦士と、屠るべき伴竜の姿であった。デッキから《バスター・ブレイダー》のカードと、《破壊剣−アームズバスターブレード》のカードが墓地へ送られ、荒れ狂う咆哮がフィールドに轟く。

嬢「デッキから《バスター・ブレイダー》、そして《破壊剣−アームズバスターブレード》を墓地に送り、このカードをEXデッキから特殊召喚しますっ!!
______現れて、レベル8《破戒蛮竜−バスター・ドラゴン》っ!!!」


《破戒蛮竜−バスター・ドラゴン》(守)
☆8 闇属性・ドラゴン族/シンクロ/効果
ATK:1200/DEF:2800


黒い翼と、闇に染まった鱗がフィールドに輝く。時を同じくして墓地から胎動する《破壊剣の追憶》のカード。1ターン前に《破壊剣士の守護絆竜》の効果によって墓地に送られたそのカードの発動条件が、この瞬間に整った。

嬢「さらに墓地の《破壊剣の追憶》を除外し、効果を発動ですっ!!
墓地のモンスター…《破壊剣士の伴竜》と《バスター・ブレイダー》を素材として除外し、このカードを……融合召喚!!!」

嬢の墓地から除外されるのは《バスター・ブレイダー》と《破壊剣士の伴竜》のカード。黒金の剣士の鎧に、白い翼が溶け込み、さらに眩く、さらに強靭に、そしてさらに勇ましくその姿を変容させていく。絆を仇することを運命付けられた竜破壊の剣士、かつての伝説の決闘者ですら到達し得なかった竜殺しのモンスターが、ここに舞い降りる。

嬢「守護の竜よ、宿命の剣士よ!!今一つとなりて、血断の刃を振り下ろさん!!
_________《竜破壊の剣士−バスター・ブレイダー》……ッ!!!」


《竜破壊の剣士−バスター・ブレイダー》(攻)
☆8 光属性・戦士族/融合/効果
ATK:2800/DEF:2500


白金の鎧に身を包み、そこにあるはずのない羽吹雪が巻き起こる。竜の鱗を携えた剣に流れるのは、透明の涙。相手のドラゴン族の攻撃・効果の発動の一切を封じ、さらにその数だけ自らの攻撃力・守備力をアップさせる、文字通りの竜を破壊するための嬢の切り札がたった2ターン、そのスタンバイフェイズに姿を現した。

嬢「《破戒蛮竜−バスター・ドラゴン》……効果発動!!」

《破戒蛮竜−バスター・ドラゴン》が黒い雄叫びを上げる。同時に空から降り注ぐ、紅剣。《破壊剣士の揺籃》によって墓地に送られた《破壊剣−アームズバスターブレード》が、竜破壊の剣士の手に握られる。そしてそれは、嬢が成し得た最高峰の制圧盤面の完成を意味していた。

栄咲「《竜破壊の剣士》………組を出る決断、いや、血断といったところかな…。」

《竜破壊の剣士−バスター・ブレイダー》によって攻撃・効果を封じられたドラゴン族、《破壊蛮竜−バスター・ドラゴン》によって問答無用でフィールドの種族はドラゴン族となり、さらにEXデッキからの特殊召喚を咎める《星遺物−『星杯』》と、表側表示の魔法・罠の効果発動を封殺する《破壊剣−アームズバスターブレード》。圧倒的な力の差を持って、このデュエルは幕を開けた。



嬢「………始めるよ、みんな。」



続く
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ランペル
軒並み生きてたぁ!

と喜びはすれども、厳密には生死が不明遊大と日暮…。そして、爆炎に巻き込まれ度もなんとか生き延びた荒田も、全身に大やけどを負っている様子…。燃え上がる学校という事態に消防と公的機関も出動し、部下の何人も囚われている状況下。そんな状況で荒田が全員の動きを封じているのは彼が握る銃に他なりません。親父からも捨てられ、自らの体は焼けただれ、自分が捕まってしまうのも時間の問題…。肉体的、精神的に追い詰められているのは間違いありませんね。だからこそ、なおさら周囲の人間は彼が銃を暴発させるか気が気じゃないでしょう。
そこで、前へ飛び出すのが竜也プロ!至近距離まで近づき、この絶体絶命の男がいつ引き金を引いてもおかしくない状況。そんな中で竜也が覚悟の元持ちかけるのはデュエル。人質の解放と、龍血組の逃走経路とを賭けたデュエルの提案。デュエルで沈んだ荒田が、再び命さえも糧に挑まれるデュエル。こんな状況に陥った元凶の一端であるはずのデュエルなんて、嫌で嫌で仕方がなさそうですが、自分自身を焼いてしまったこの引き金を引くことも出来ない……。追い詰められ捕まるのも時間の問題という中で、提案された逃げられる道。彼がそれに縋ってしまうのも仕方がないというものですなぁ…。
そんな彼の心情など知った事ではない竜也は、ただただ大人として子供たちの未来を守るべく自らの命を惜しみなく危険へ投じられるのはさすがと言ったところです…。果たして、無事にこの場を収めることは出来るのか!

そして、嬢が託されたデッキより飛び出した先方は覇王眷竜!さらにそこから破壊検、星杯、守護龍と様々な繋がりによって進められていく展開。部のみんなの力を少しずつ託し、さらには捨て去られた竜破壊を軸に組み上げられた新たなデッキ!
ですが、親父殿はそれを組み上げた嬢のおともだちが弱いと罵ります。結果的には、嬢が戦う事にはなりましたが、龍平の言葉でみんなが託してくれた想いを改めて受け止めた嬢が、渡した栄咲のターンで呼び出す破戒蛮竜とバスター・ブレイダー!
龍血組へと反旗を翻す嬢の元へ集ったのが、竜破壊とは…。己に流れる組の血を断つ決断をした嬢にぴったりのテーマですな!非常に強力な制圧盤面を築いた嬢に対し、果たして栄咲はどのような生き様を披露するのか…。

実に展開が気になる状況でございます!無理はせずに、皆の決意を執筆していただければなと思いますます! (2024-10-13 08:18)
コングの施し
ランペルさんコメントと閲覧ありがとうございます。

竜也の行動は、使命感のようなものが強いのだと思います。荒田という狂気を前に、恐れども子供たちの命を奪うことは絶対に認可できない。そしてお互いに追い詰められているからこそ、命を奪わないデュエルという選択をする。荒田目線散々な目に遭っているので辟易しているのは事実ですが、何を言っているか分かるからこそ、そのデュエルに乗るしかない。

嬢のデッキ、《バスター・ブレイダー》を中心にみんなのカードをちょっとずつ使ったものになっています。差し詰め東雲中+1グッドスタッフといったところでしょうか。竜の血を立つための刃、文字通りにドラゴン族をガンメタするデッキですが、栄咲がこの制圧盤面を前にどうするのか…。次回以降もお楽しみに!!

いつも読んでいただきありがたい限りでございます!最近ちょっとSSから離れてしまっていて投稿が一か月くらい空いてしまいました。ゆったり気長にお待ちください! (2024-10-16 14:50)

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32 合宿参加者リスト〜特別講師編〜 271 0 2024-03-31 -
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57 61話 竜を狩るもの 314 2 2024-04-22 -
38 62話 反逆の剣 202 2 2024-04-26 -
36 63話 血の鎖 278 1 2024-05-01 -
48 64話 気高き瞳 345 2 2024-06-02 -
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27 69話 血みどろの歯車 263 2 2024-08-16 -
25 70話 災禍 その① 220 2 2024-08-28 -
29 71話 災禍 その② 229 2 2024-09-01 -
24 72話 親と子 153 2 2024-09-09 -
28 73話 血断の刃 150 2 2024-10-10 -
31 74話 血威の弾丸 186 2 2024-10-17 -
24 75話 炉心 125 0 2024-11-01 -
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14 78話 天道虫 その① 111 2 2024-11-19 -
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