32話　忍びの流儀　作：名無しのゴーレム

「「デュエル！！」」












プリンセス　LP8000　手札5
スクアーロ　LP8000　手札5



「先攻は私が貰うわ。私のターン……モンスターを1体セットして、ターンエンドよ」



プリンセス　LP8000　手札4　モンスターゾーン　伏せモンスター
スクアーロ　LP8000　手札5



「随分慎重なスタートだな」
「うるさいわね。あなたのターンよ、さっさと進めなさい」
「……はいはい。俺のターン、ドロー。俺は手札から『潜咬忍者「鋸」』を召喚。さらに装備魔法『潜咬忍具 孵化鱶』を鋸に装備。そして鋸の効果発動。自身を除外することで、相手フィールドにセットされたカード1枚を破壊する。その伏せモンスターを破壊するぜ」



プリンセスさんのモンスターには伏せモンスターが1体のみ。このままだとフィールドががら空きに……！



「っ、破壊された『姫騎士マグダレナ』の効果発動。デッキから『姫騎士コークル』を特殊召喚するわ」
「チッ、面倒くさいな……墓地に送られた孵化鱶の効果発動。除外された鋸よりもレベルの低い潜咬忍者モンスター1体をデッキから特殊召喚する。さあ来い、『潜咬忍者「猫」「縞猫」』！」
「……レベル1のモンスターを出したところで、コークルを倒せるわけじゃないわ。これなら次のターンに……」
「まあそう慌てるな。カードを1枚セットしてターンエンド。そしてこのタイミングで、自身の効果で除外された鋸をフィールドに戻す。そして鋸の効果発動、手札を1枚墓地に送り、1枚ドローする」
「！？」



除外しても、ターンの終了時にフィールドへ戻ってくる……対処の難しい、かなり厄介なモンスターだ。



プリンセス　LP8000　手札4　モンスターゾーン　姫騎士コークル
スクアーロ　LP8000　手札3　潜咬忍者「鋸」、潜咬忍者「猫」「縞猫」　魔法・罠ゾーン　伏せカード



「私のターン、ドロー。自分のフィールドに姫騎士が存在することにより、手札から『姫騎士アメリア』を特殊召喚。レベル3のアメリアにレベル4のコークルをチューニング！ 恵愛の姫騎士よ、仲間を導く光となれ！ シンクロ召喚、『聖姫騎士ニニアン』！」
「……さっそくのシンクロ召喚か」
「ニニアンの効果発動！ このカードのシンクロ召喚成功時、墓地の姫騎士1体を手札に加える。続けてニニアンの効果発動、墓地のアメリアをデッキに戻して1枚ドロー。さらにニニアンの効果発動！ デッキから姫騎士1体を墓地に送るわ。手札から『姫騎士サーシャ』を召喚、そして効果発動。墓地のマグダレナを特殊召喚。そして手札のアメリアを特殊召喚！」



再びチューナーモンスターとそれ以外のモンスターが並んだ、ということは……！



「レベル3のアメリアとマグダレナに、レベル2のサーシャをチューニング！ 熾烈なる姫騎士よ、勝利への道を切り拓け！ シンクロ召喚、『姫騎士将フローラ』！ フローラの効果発動、あなたの伏せカード1枚を手札に戻すわ！」
「なっ……！？」
「バトル！ ニニアンで鋸を攻撃！」


スクアーロ　LP8000→7600


「フローラで猫を攻撃！」
「おっと、それは通せないな。猫の効果発動！ 自身をターン終了時まで除外することで、フローラの攻撃を無効化する！」
「……バトル終了。カードを1枚セットして、ターンエンド」
「なら猫をフィールドに戻し、効果発動。墓地の鋸を手札に戻す」



プリンセス　LP8000　手札3　モンスターゾーン　姫騎士将フローラ、聖姫騎士ニニアン　魔法・罠ゾーン　伏せカード
スクアーロ　LP7600　手札5　潜咬忍者「猫」「縞猫」　



「俺のターン、ドロー……俺の手札に鋸が居ることを知りながら、カードをセットする、か。そんな見え見えの罠に引っ掛かってやる必要はねぇな」



鋸の効果は消費無しでセットカードを破壊できるものの、代わりに攻め手を失ってしまう。プリンセスさんはそれを狙ってカードを伏せたのか……



「手札から『潜咬忍者「達磨」』を召喚。そのままバトル、達磨でニニアンを攻撃！」



攻撃力1300の達磨で、攻撃力2000のニニアンを攻撃……？



「……何か企んでいるようね。リバースカードオープン。速攻魔法、『白銀に輝く羽根』！ デッキから天使族の姫騎士モンスターを手札に加えるわ」
「そっちこそ何か準備してるじゃねえか。手札の『潜咬忍者「白鰐」』の効果発動！ このカードを除外し、達磨の攻撃力を1000アップする！」


潜咬忍者「達磨」　攻撃力1300→2300


「そんなこと、見切っているわ！ 手札の『姫騎士チルル』の効果発動！ このカードを墓地に送り、ニニアンの攻撃力を1000アップ！」


聖姫騎士ニニアン　攻撃力2000→3000


「クソっ……！！」


スクアーロ　LP7600→6900


「私を出し抜こうとしたみたいだけど、甘かったわね。小細工なんて通用しない、すぐに終わらせてあげる！」
「……随分な自信だな。まだデュエルも序盤だってのに……カードを2枚セットして、ターンエンドだ」
「ターン終了時、ニニアンの攻撃力は元に戻るわ」


聖姫騎士ニニアン　攻撃力3000→2000



プリンセス　LP8000　手札3　モンスターゾーン　姫騎士将フローラ、聖姫騎士ニニアン
スクアーロ　LP6900　手札2　潜咬忍者「猫」「縞猫」　魔法・罠ゾーン　伏せカード2枚



「私のターン、ドロー。ニニアンの効果発動。墓地のチルルをデッキに戻して1枚ドロー。『姫騎士リリィ』を召喚。そして墓地の『姫騎士ヴァニラ』の効果発動！ このカードを除外し、墓地のマグダレナを特殊召喚。レベル3のマグダレナにレベル3のリリィをチューニング！ 炎を纏いし姫騎士よ、今こそ敵を焼き払え！ シンクロ召喚、『聖姫騎士アライブ』！」
「3体目の、シンクロモンスターか……！」
「アライブの効果発動！ デッキの上から3枚を墓地に送る。そして墓地に送られた姫騎士1枚につき、500のダメージを相手に与えるわ。……私が墓地に送った姫騎士は2体、よって1000ダメージ！」


スクアーロ　LP6900→5900


「バトル、ニニアンで猫を攻撃！」
「猫の効果発動、自身を除外して攻撃を無効にする！」



これで相手のフィールドにモンスターはいない。このままフローラとアライブの攻撃が通れば……



「この瞬間、ダブルリバースカードオープン！ 永続罠、『潜咬忍法 渦中拘縛』、『潜咬忍法 追狙の印』！」
「永続罠を、2枚！？」
「渦中拘縛の効果発動！ 潜咬忍者が除外された時、相手モンスターをターン終了時まで除外する。アライブを除外だ！ さらに追狙の印の効果発動。潜咬忍者が除外され自分フィールドのモンスターが存在しなくなった場合、デッキから潜咬忍者を特殊召喚できる。来い、『潜咬忍者「葦切」』！ 葦切の効果発動、自身を除外することでニニアンの攻撃力を600ダウンする」


聖姫騎士ニニアン　攻撃力2000→1400


「そして渦中拘縛の効果、フローラを除外！」



そんな……一瞬で、プリンセスさんの攻撃を凌ぎきるなんて。



「っ……ターン、エンドよ」
「なら除外されていた猫、葦切、そしてアライブとフローラはフィールドに戻る。この時、猫と葦切の効果発動！ 猫の効果で墓地の達磨を手札に戻す。葦切の効果で自身の攻撃力よりも低い攻撃力または守備力を持つモンスター1体を破壊する。葦切の攻撃力は1500、そしてフローラの守備力は1400……俺は、フローラを破壊する！」



攻撃をかわしながらモンスターを除去される……モンスターを主体としたプリンセスさんのデッキでは、あの布陣の突破は困難だ。



プリンセス　LP8000　手札4　モンスターゾーン　聖姫騎士アライブ、聖姫騎士ニニアン
スクアーロ　LP5900　手札3　潜咬忍者「葦切」、潜咬忍者「猫」「縞猫」　魔法・罠ゾーン　潜咬忍法 渦中拘縛、潜咬忍法 追狙の印



「俺のターン、ドロー。再び達磨を召喚。葦切の効果発動、自身を除外し、ニニアンの攻撃力を600下げる」


聖姫騎士ニニアン　攻撃力1400→800


「バトル、達磨でニニアンを攻撃！」


プリンセス　LP8000→7500


「くっ……」
「俺はこれでターンエンド、葦切をフィールドに戻して、アライブを破壊するぜ」



プリンセス　LP7500　手札4
スクアーロ　LP5900　手札3　潜咬忍者「達磨」、潜咬忍者「葦切」、潜咬忍者「猫」「縞猫」　魔法・罠ゾーン　潜咬忍法 渦中拘縛、潜咬忍法 追狙の印



「……私のターン、ドロー」



さっきまで、確かにプリンセスさんが優勢だった……そのはずなのに、今では明らかに盤面がひっくり返っている。3体のシンクロモンスターは全滅、対する相手のフィールドには着実にモンスターが並べられている……このままだと敗北は免れない。



「手札から速攻魔法『ツインツイスター』発動。手札を1枚捨てて、あなたの永続罠2枚を破壊するわ」
「おっと。しかし、引くのが1ターン遅かったんじゃないか？」



相手の言う通り、1ターン早くツインツイスターをドロー出来ていればここまでの劣勢にはなっていなかった。ここから巻き返せるのか……？



「遅かった、ですって？ いいえ、ここからでも逆転なんて簡単よ。通常魔法『未来への思い』発動！ 自分の墓地からレベルの異なる3体のモンスターを特殊召喚する。蘇りなさい、ニニアン、フローラ、そして『姫騎士フルメリア』！ この効果で特殊召喚したモンスターは攻撃力が0になり、効果も無効化される。さらにこのターン、私はエクシーズ召喚以外の特殊召喚を行えず、エクシーズ召喚しなかった場合ライフポイントを4000失う」
「リスキーなカードだな。しかしお前のフィールドにはレベル4のフルメリア……やりたいことは大体分かるがな」
「『姫騎士パトリシア』を召喚。レベル4のフルメリアとパトリシアでオーバーレイ！ 2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築！ 大地を司る姫騎士よ、仲間を護る盾となれ！ エクシーズ召喚、『月姫騎士クーラン』！」
「やっぱり、ランク4のエクシーズモンスターか」
「なら、これは予想できるかしら？ 私はニニアンとフローラの2体でオーバーレイ！ オーバーレイネットワークを構築！」



レベルの違うシンクロモンスター2体で……エクシーズ召喚！？



「伝説の姫皇よ、姫騎士たちの祈りに応え戦場へ馳せ参じよ！ エクシーズ召喚、『姫騎士皇ステラ』！」
「連続シンクロ召喚の次は連続エクシーズ召喚か……派手なこった」
「その軽口を叩けないようにしてあげる。ステラの効果発動、オーバーレイユニットを1つ取り除き、あなたのフィールドの猫を破壊！ さらにカードを1枚ドローするわ」
「それは通せねぇな。達磨の効果発動！ 自身を除外し、ステラの効果を無効化する！」
「無駄よ！ クーランの効果発動！ …オーバーレイユニットを1つ取り除き、姫騎士を対象とする効果を無効化、そして破壊する！」
「何ぃっ！？」



対象をとる効果を無効化するクーランなら、潜咬忍者の効果を封殺できる。このまま一気に攻め込めば……！



「バトル、クーランで葦切を攻撃！」


スクアーロ　LP5900→5000


「ステラでダイレクトアタック！」


スクアーロ　LP5000→2000


「……痛ってえな」
「私はこれでターンエンド。さあ、このまま終わらせてあげるわ！」



プリンセス　LP7500　手札2　モンスターゾーン　月姫騎士クーラン、姫騎士皇ステラ
スクアーロ　LP2000　手札3



「……さて、ここが正念場だな。俺のターン、ドロー。俺は『潜咬忍者ノ姫「神楽」』を召喚。神楽の効果発動、自身を除外してデッキから『潜咬忍者「鼬」』を特殊召喚する。そして通常魔法『潜咬忍法 転骸輪生』発動。墓地の達磨、猫、鋸、葦切、そして除外されている白鰐をデッキに戻すことで、デッキから猫を特殊召喚。さらに装備魔法『D・D・R』発動。手札を1枚捨てて、除外されている神楽を特殊召喚。さらに神楽の効果発動。自身を除外してデッキから達磨を特殊召喚する」



相手フィールドにモンスターが3体。手札を切らしてでも展開した、その理由は一体……？



「行くぜ。このカードはフィールドの潜咬忍者3体を除外することで融合無しに融合召喚を行える。俺は鼬、猫、達磨の3体を除外！ 仄暗い影より現れろ、雄々しき牙持つ偉大なる忍び！ 融合召喚、『潜咬忍者祖「冥奴」』！」
「融合召喚……！？」
「冥奴の効果発動！ 自身を除外してクーランを破壊する！」
「っ、クーランの効果……」
「いいや、冥奴の効果は対象をとらない。よってクーランの効果は効かない！」
「そんな！？」



プリンセスさんの起死回生の一手であったクーランも、あっけなく情報されてしまった。しかも、あの融合モンスターが他の潜咬忍者と同じなら……！



「忍びの戦いに派手な切り札なんて必要ない。一手一手着実に相手を追い詰め、勝利を掴む。それが忍びの流儀だ……俺はこれでターンエンド。そしてこの瞬間、除外されている神楽と冥奴をフィールドに戻す。神楽の効果でデッキから潜咬と名の付く魔法・罠カード1枚を手札に加える。さらに冥奴の効果で1枚ドローだ」



プリンセス　LP7500　手札2　モンスターゾーン　姫騎士皇ステラ
スクアーロ　LP2000　手札2　モンスターゾーン　潜咬忍者祖「冥奴」、潜咬忍者ノ姫「神楽」



「私のターン、ドロー」
「この瞬間、再び冥奴の効果発動！ 自身を除外して、ステラを破壊する！」



……これで再び、プリンセスさんのフィールドからモンスターは消え去ってしまった。



「……自分フィールドにモンスターが存在しないことにより、手札から『姫騎士リルニカ』を特殊召喚。さらに『姫騎士ハルカディア』を召喚。ハルカディアの効果発動、手札を1枚捨てて神楽を破壊するわ」
「なら神楽の効果発動だ。自身を除外してデッキから『潜咬忍者「撞木」』を守備表示で特殊召喚する」
「くっ……バトル。ハルカディアで撞木を攻撃。さらにリルニカでダイレクトアタック！」


スクアーロ　LP2000→1000


……駄目だ。ライフを削りきれなかった……！！



「……ターン、エンド」
「なら冥奴をフィールドに戻し、カードを1枚ドローするぜ」



プリンセス　LP7500　手札0　モンスターゾーン　姫騎士ハルカディア、姫騎士リルニカ
スクアーロ　LP1000　手札3　モンスターゾーン　潜咬忍者祖「冥奴」



「俺のターン、ドロー。『潜咬忍者 尾長』を召喚。さらに装備魔法『潜咬忍具 青薙』を冥奴に装備。青薙を装備したモンスターは2回攻撃が可能になる。バトル、冥奴でハルカディアとリルニカを攻撃！」


プリンセス　LP7500→6700→5200


「……破壊されたリルニカの効果発動。デッキから姫騎士1体を手札に加える」
「続けて尾長でダイレクトアタックだ」


プリンセス　LP5200→3900


「っ……！！」
「……バトル終了。墓地の転骸輪生の効果発動。このカードを除外し、デッキから同名カードを手札に加える。そして転骸輪生を発動。墓地の撞木、除外されている鼬、猫、達磨、神楽をデッキに戻して2枚ドロー。カードを2枚セットして、ターンエンドだ」



プリンセス　LP3900　手札1
スクアーロ　LP1000　手札2　モンスターゾーン　潜咬忍者祖「冥奴」(青薙装備)、潜咬忍者「尾長」　魔法・罠ゾーン　潜咬忍具 青薙、伏せカード2枚



「私のターン、ドロー……」
「……おい、まだ続けるのか？」



ターンを始めようとしたプリンセスさんに対し、スクアーロさんが呆れたようにしながら話しかけた。



「お前も分かっているはずだ。このまま続けてもお前に勝ち目はない……お前のデュエルには、焦りが透けて見えてるぜ。そんな状態でまだデュエルを続けるなら……俺も容赦はしない」
「…………」



スクアーロさんの投げ掛けた疑問に対し、押し黙ってしまうプリンセスさん。やっぱり、教会での一件がまだ尾を引いていたのか……



「……俺だって、お前を倒したい訳じゃない。鋼を敵に回すと俺の立場も危うくなるかもしれないからな……それで、お前はどうしたいんだ？」
「…………」



黙ったまま何も出来なくなってしまったプリンセスさん……気付けば、僕はプリンセスさんの元へと駆け寄っていた。



「……プリンセスさん！！ ……もう、止めましょう……！！」
「ユージ…………そうね。私が、間違ってたわ……」









プリンセスさんがデュエルディスクを降ろし、デュエルは終了された。そのままプリンセスさんが崩れ落ちてしまう。



「プリンセス！」
「……大丈夫よ。ちょっと、疲れただけ……」
「ふぅ、こっちも疲れたっての……」



こちらへ走ってくるマッハと鋼さん。それを見ながら、スクアーロさんはゆっくりと呟く。



「……こんな調子じゃ街の調査は無理だな。こいつを、どこかで休ませねぇと」
「じゃあ、僕も……」
「待てよ。鋼、そして……ユージだったか？ お前たちに話がある」
「話、ですか……？」
「そんな場合じゃないだろう。後で……」
「いや、こっちも時間がないんだ。このままじゃここから脱出できなくなるかもしれないからな」
「……何だと？」



ここから、脱出できなくなる……？









「……おい、何があった！！？」



突然、街中に声が響き渡る。その方角を振り替えると、息を切らした様子のダイスさんとクロノスさんが居た。



「ダイスさん……」
「どうしたって聞いてるんだ！ 彼女に何があった！？」
「え、えっと……」
「俺から説明させてもらうぜ。ついさっきの話だが……」



……これまでに見たこともないほど感情を露にしたダイスさんに、スクアーロさんが事情を説明する。話を聞くうちにダイスさんも落ち着いてきたのか、段々と冷静な表情へ戻っていく。



「……そんなことがあったのか。分かった、彼女の介抱は僕が行う。君たちは引き続き異常について調べてくれ」
「そんな、僕もプリンセスさんを……」
「駄目だ。……アルムの力を持つ君は、この事態を解決できる可能性があるかもしれない。だから、君が行くべきだ」
「……分かりました」



プリンセスさんのことは心配だ……でも、ダイスさんの言うことも理解できる。この事態を解決するためにも、僕にはやらなくちゃいけないことがあるんだ。



「……話はまとまったか？」
「はい。スクアーロさん、話をお願いします」



ダイスさんたちに付き添われ休めるところへ移動するプリンセスさんを見送りながら、スクアーロさんに問いかける。






「ああ……時間もない、移動しながら話そう」









早足で歩き出すスクアーロさんに、僕と鋼さんはついていく。早く、この異常な雪をどうにかしないと……