42話　万物焼き尽くす業火　作：名無しのゴーレム

フラム　LP8000　手札5
ウルフ　LP8000　手札5



「先攻は妾がもらうぞ」
「ハンッ、好きにしやがれ」
「では始めるぞ……妾のターン。手札の『紅牙焔の猟狼カゼマル』の効果発動。手札から『紅牙焔の火花パチパチソウ』を公開し、このカードを特殊召喚する。そしてパチパチソウを召喚」



あっという間に、フィールドにレベル3のモンスターが2体並んだ。



「レベル3のカゼマルとパチパチソウでオーバーレイネットワークを構築！ 荒れ狂う業火の中より顕現せよ、愛らしき仔竜！エクシーズ召喚、『紅牙焔の姫竜プラーミャ』！」
「さっそくのエクシーズ召喚かよ……」
「X素材を持ったプラーミャが存在する限り、お主はデッキからカードを手札に加える度に800のダメージを受ける。迂闊に動けば、あっという間にライフを焼き付くしてくれようぞ」
「ケッ、面倒なモンスターだ」
「これにて妾はターンエンド。さあ、お主の力を見せてみよ」



フラム　LP8000　手札3　モンスターゾーン　紅牙焔の姫竜プラーミャ
ウルフ　LP8000　手札5



「俺のターン、ドロー！」
「この瞬間、プラーミャの効果発動。お主に800のダメージを与える」



ウルフ　LP8000→7200



「ぐっ……俺は手札から『狼兵士ホニン』をペンデュラムスケールにセット。そして『狼兵士ロシオ』を召喚。ロシオの効果発動、手札を1枚捨てることでデッキからレベル4以下の狼兵士モンスター1体を手札に加える」
「なら、再びプラーミャの効果が発動する」



ウルフ　LP7200→6400



「ホニンのペンデュラム効果発動。俺のフィールドに狼兵士が召喚・特殊召喚された時、カードを1枚ドローする」



ウルフ　LP6400→5600



「……お主、このまま自滅するつもりか？」
「まさか。続けるぜ……『狼兵士キョク』をペンデュラムスケールにセット。キョクのペンデュラム効果で、俺の獣戦士族モンスターの攻撃力は400アップする……そして自分フィールドにチューナー以外の狼兵士が存在するとき、手札のこのカードを特殊召喚できる。来い、『狼兵士キシコ』。キシコの効果発動、手札を1枚捨ててデッキからレベル3以下の獣戦士族モンスター1体を手札に加える」



ウルフ　LP5600→4800



「さらにホニンのペンデュラム効果、1枚ドロー。そしてキョクの効果発動、相手の手札をランダムに1枚選び、墓地に送る！」
「……ほぅ」



ウルフ　LP4800→4000



……ついに、プラーミャの効果だけでウルフさんのライフが半分まで削れてしまった。しかし、未だにそのフィールドには低ステータスの下級モンスターだけ……一体、何を狙っているんだ？



「続けて墓地の『狼兵士レート』の効果発動！ フィールドのロシオのレベルを1つ下げて、このカードを特殊召喚する！」
「させるか！ プラーミャの効果発動、自身のオーバーレイユニットを1つ墓地に送り、お主の墓地からカードを3枚まで除外し、その枚数×200だけ自身の攻撃力をアップする。お主の墓地にカードは2枚しかない、よってその2枚を除外する！」



紅牙焔の姫竜プラーミャ　攻撃力1900→2300



「チッ……除外されたことでレートの効果は不発だ。レベル4のロシオにレベル1のキシコをチューニング！ シンクロ召喚、『狼兵士エゾ』！ キョクの効果、手札を1枚墓地に送ってもらうぜ」
「……墓地に送られた『紅牙焔の貢ぎ物』の効果発動。デッキから紅牙焔モンスター1体を手札に加える」
「さらにエゾの効果発動。このカードのシンクロ召喚に成功したとき、手札を1枚捨てることでデッキからレベル3以下の獣戦士族チューナーを特殊召喚する。来い、『狼兵士シン』！……ちょいと経費は高くついたが、これで準備は完了だ。キョクのペンデュラム効果で俺の狼兵士モンスターの攻撃力は400アップされる」



狼兵士エゾ　攻撃力2250→2650

狼兵士シン　攻撃力850→1250



「バトル、エゾでプラーミャを攻撃！」



フラム　LP8000→7650



「……プラーミャの効果発動、デッキから『紅牙焔の竜王フラムルート』を特殊召喚する。さらに墓地に送られたカゼマルの効果発動、墓地からパチパチソウを手札に加える」



戦闘破壊したはずなのに、フィールドに最上級モンスターを並べつつ手札まで補充して見せた。さっきのデュエルでも感じていたけれど、フラムさんのデッキは継戦能力が並外れている。



「ほんの僅かなダメージだけで、手札もフィールドも大した被害はない……どうした、お主の本気はこの程度か？」
「いいや、プラーミャを破壊したここからが本番だ……バトル終了。永続魔法、『炎舞－天枢』を発動。このカードが存在する限り、俺の獣戦士族モンスターの攻撃力は100アップし、通常召喚に加えて1度だけ獣戦士族モンスターを召喚できる」



狼兵士エゾ　攻撃力2650→2750



「そして『狼兵士ベリア』を召喚。ベリアの効果発動、手札を1枚捨ててレベル4以下の狼兵士モンスター1体を手札に加える。ホニンの効果で1枚ドロー、キョクの効果であんたの手札を1枚墓地に送る。自分フィールドに獣戦士族モンスターが2体以上存在することにより、手札から『狼兵士リン』を特殊召喚。再びホニンとキョクの効果発動！」



……みるみるうちにフラムさんの手札が消え去っていく。まさか、ウルフさんの狙いは……！？



「……墓地に送られたパチパチソウの効果発動。お主のフィールドのホニンを破壊する」
「っ、手札補充を潰してきたか……だが、もう遅い。お前の手札はもう0だ……俺はレベル4のベリアとレベル2のリンにレベル2のシンをチューニング！ シンクロ召喚、『狼兵士ウウト』！ この瞬間、キョクの効果発動。加えてシン、エゾの効果発動。シンの効果でフィールドの天枢を破壊してこのカードを手札に戻し、エゾの効果であんたに800ダメージを与えてデッキの上から3枚を墓地に送る」



フラム　LP7650→6850



「墓地に送られた『紅牙焔の大蛇マグコンダ』の効果発動。相手フィールドのモンスター1体を破壊する。妾はウウトを……」
「無駄だ。ウウトは戦闘・効果で破壊されず、効果の対象にもならない」
「なら、エゾを破壊する！」
「ハッ、無駄だ無駄！ エゾはシンクロペンデュラムモンスター、よってペンデュラムスケールさえ整えば何度でも復活する！ ついでに言えばウウトの守備力は3500、そしてバトルの際、守備表示のまま攻撃できる！ お前のフラムルートじゃ、俺のライフに傷をつけることもできねぇ！ カードを1枚セットして、ターンエンド。さ、徹底的に追い詰めてやるぜ」



フラム　LP6850　手札0　モンスターゾーン　紅牙焔の竜王フラムルート
ウルフ　LP4000　手札3　ペンデュラムゾーン　狼兵士キョク　モンスターゾーン　狼兵士ウウト（表側守備表示）　魔法・罠ゾーン　伏せカード1枚



「妾のターン、ドロー」
「リバースカードオープン！ 通常罠『戦線復帰』！ 墓地からリンを守備表示で特殊召喚する！ キョクの効果、今ドローしたカードを墓地に送ってもらおうか！」
「っ……」



これで、本当にフラムさんの手札は尽きてしまった。



「……フラム、お前は確かに強い。真っ向からやり合えば勝ち目は薄いだろう。だから、搦め手を使わせてもらった。いくらテメェでも、そのフィールドで出来ることはない！ 次の俺のターンで、一気にケリをつけてやるぜ！」
「…………ハハハッ！！ 笑わせてくれる……まさかお主、手札を全て墓地に送った程度で勝ったつもりになっておるのか？」
「……強がってんじゃねえ。あんたの使うカードは墓地に送られた時に効果を発動するカードが多いが、既に墓地にある以上恐れる必要もない。フラムルートにしても、ステータスで上回るウウトが居る以上ただの通常モンスター……ほら、どこに打つ手があると？」
「ならば見せてやろう。お主がどれほどの思い違いをしているのかを……墓地の『紅牙焔の狩人アグリア』の効果発動。妾のフィールドにフラムルートが存在するとき、このカードを手札に加える。さらに墓地の『紅蓮祭名物―太刀喰い―』の効果発動。このカードを除外して、カードを1枚ドロー……さらにドローしたカードが紅牙焔モンスターだった場合、そのカードを公開することで相手は自身のフィールドからカードを1枚選んで墓地に送らなければならない。妾がドローしたのは『紅牙焔の侍エンジ』じゃ」
「……なら、キョクを墓地に送るぜ」
「続けてエンジを召喚。エンジの効果発動、デッキから『紅牙焔の巫女モミジ』を墓地に送る。そして墓地のパチパチソウの効果発動。自分フィールドに紅牙焔モンスターが存在するとき、このカードを特殊召喚して妾のライフに800ダメージを与える」



フラム　LP6850→6050



「墓地のモミジの効果発動。パチパチソウの攻撃力・守備力を半分にすることで自身を特殊召喚。レベル3のパチパチソウにレベル3のモミジをチューニング！ シンクロ召喚、『紅牙焔の妖狐ダッキ』！」
「手札も使わずにシンクロ召喚かよっ……！？」
「……ダッキがフィールドに存在する限り、相手モンスターの攻撃力・守備力は妾の墓地に存在する紅牙焔モンスター1体につき100ダウンする。妾の墓地に眠るモンスターは7体、よって700ダウン！」



狼兵士ウウト　守備力3500→2800



「バトル、フラムルートでリンを攻撃」
「だが、守備表示のリンを破壊したところでダメージは入らない。さらにウウトは戦闘・効果で破壊されない……さあ、まだ手はあるのか？」
「……バトル終了、そのままターンエンド」
「なら、墓地の通常罠『狼兵は死なず』の効果発動。このカードを除外し、墓地のリンを特殊召喚。そしてリンの効果発動。手札を1枚捨てて、デッキから『狼兵士キシコ』を特殊召喚」



フラムさんに負けず劣らず、ウルフさんも自身のモンスターの効果で発生する手札コストを有効に活用している。今のところ、盤面だけ見れば両者の戦力はほぼ拮抗しているようにうかがえる……



フラム　LP6050　手札1　モンスターゾーン　紅牙焔の竜王フラムルート、紅牙焔の妖狐ダッキ、紅牙焔の侍エンジ
ウルフ　LP4000　手札2　モンスターゾーン　狼兵士ウウト（表側守備表示）、狼兵士リン（表側守備表示）、狼兵士キシコ（表側守備表示）



「俺のターン、ドロー。『狼兵士タリア』を召喚。レベル4のタリアにレベル2のリンをチューニング！ シンクロ召喚、『狼兵士アセナ』！ アセナの効果発動。手札を1枚捨てて、墓地のシンを特殊召喚。レベル6のアセナにレベル1のキシコをチューニング。シンクロ召喚、『狼兵士フェン』！ さらにレベル7のフェンにレベル2のシンをチューニング！シンクロ召喚、『狼兵士コルン！』」



狼兵士コルン　攻撃力3000→2300



「流れるような連続シンクロ召喚……見事じゃのう」
「そうやって余裕ぶってられるのもここまでだぜ。バトル、コルンでエンジを攻撃！」
「何……？」



ウウトでダッキを攻撃してからコルンで攻撃した方が、発生するダメージは大きかったはず。一体どうして……



フラム　LP6050→5450



「コルンが戦闘で相手モンスターを破壊したことにより、効果発動！ 手札を1枚捨てて、相手のフィールド・手札からランダムに3枚を除外する！」



フラムさんのフィールドにはモンスター2体、そして手札は1枚。ということは……



「お前のフィールド、そして手札全てを除外だぁ！！」
「っ……墓地に送られたエンジの効果発動、墓地からマグコンダを攻撃表示で特殊召喚する！」
「なら、続けてウウトでマグコンダを攻撃だ！」



フラム　LP5450→3550



「墓地に送られたマグコンダの効果発動、コルンを破壊する！」
「コルンは相手の戦闘・効果では破壊されねぇよ！！ これで詰みだ、フラム！！」



……盤面の状況は、前のウルフさんのターンが終了した時よりも遥かに悪化している。今度はフラムさんのフィールドにモンスターが存在せず、何もできなければ総攻撃でライフが尽きる……まさに、絶体絶命だ。



「……じゃから、早まるなと言っておるじゃろうに。お主が勝ちを宣言していいのは、妾のライフが尽きたときだけじゃ」
「抜かせよ。あんたのデッキの中核たるフラムルートも除外した……もはやろくに展開することも出来ねぇあんたが、どうやって俺のモンスターを倒すってんだ！」
「ならばそれを見せてやろう。ほれ、もうやることがなければターンエンドをするがよい」
「っ……俺は、これでターンエンドだ」



誰の目から見ても、追い詰められているのはフラムさんのはず。なのに、どうして彼女はあそこまで余裕を崩さずにいられるんだ……？



フラム　LP3550　手札0
ウルフ　LP4000　手札0　モンスターゾーン　狼兵士ウウト（表側守備表示）、狼兵士コルン



「妾のターン、ドロー……通常魔法、『紅蓮祭名物―万両華炎―』発動。墓地からプラーミャを特殊召喚する」
「……おいおい、悪あがきにしても酷いんじゃねえか？ 今さらモンスターを、それもオーバーレイユニットも持たないエクシーズモンスターを蘇らせたところで……」
「この効果でシンクロ・あるいはエクシーズモンスターを特殊召喚したとき、3つの効果から1つを選び適用することができる。妾が選ぶのは……お互いのプレイヤーが、手札が6枚になるようドローする効果！！」
「なっ、んだとぉぉ！！？」



…………たった1枚の魔法カードで、6枚もの手札補充……あまりにも無茶苦茶だが、この局面でこのカードを引いたフラムさんの引きの強さこそが最も恐ろしい。



「まあ、このカードを発動した次のターンまでお互いにダメージは与えられなくなるのだがな。しかし、6枚も手札があればこの状況を打破する程度は容易いことじゃ。まずは速攻魔法『大欲な壺』発動。除外されているフラムルート、ダッキ、アグリアをデッキに戻して1枚ドロー。『紅牙焔の孝行娘アズサ』を召喚。そして墓地のパチパチソウの効果発動、自身を特殊召喚して800のダメージを受ける」



フラム　LP3550→2750



「レベル3のパチパチソウにレベル2のアズサをチューニング。シンクロ召喚、『紅牙焔の神楽巫女カエデ』！ カエデの効果発動！ このモンスターの特殊召喚に成功したとき、フィールドのカード1枚を選んで持ち主の手札に戻す！ 妾はウウトを選択！」
「クソッ……！」
「アズサの効果で1枚ドロー。フィールド魔法『繁栄の祈り―紅蓮祭』を発動。さらに通常魔法『ブラック・ホール』発動。フィールドのモンスターを全て破壊する」
「……コルンは効果では破壊されない。テメェ、まさか……」
「妾のプラーミャとカエデは破壊される。この時紅蓮祭の効果発動。紅牙焔モンスターが破壊されたとき、カードを1枚ドローしてライフを1000回復する」



フラム　LP2750→3750



「そしてプラーミャの効果で、デッキからフラムルートを特殊召喚。通常魔法『死者転生』発動。手札を1枚捨てて、墓地のカゼマルを手札に戻す。手札のカゼマルの効果発動。手札から『紅牙焔の剣豪アカネ』を公開し、自身を特殊召喚。墓地のカエデの効果発動。フィールドのカゼマルを破壊して、自身を特殊召喚する。カエデの効果発動、コルンをエクストラデッキに戻す！」



……絶望的だったはずのフィールドが、あっという間に塗り替えられてしまった。これが、フラムさんの実力……！！



「再び紅蓮祭の効果発動。カードを1枚ドローし、ライフを1000回復する」



フラム　LP3750→4750



「速攻魔法『炎王炎環』発動。フィールドのカエデを破壊し、墓地のアズサを特殊召喚。さらに墓地のモミジの効果発動、フラムルートの攻撃力・守備力を半分にすることで自身を特殊召喚する。そして紅蓮祭の効果発動



フラム　LP4750→5750



「……これで、全ての準備は整った」
「準備、だと……？」
「よく見ておくがいい、妾の本気というものを！！ 妾は、レベル7のフラムルートにレベル3のモミジとレベル2のアズサを、ダブルチューニング！！」
「ダブルチューニング、だと……！？」









……いつからか、理由の分からない熱気が周囲を包んでいた。気付けば汗が額に滲み出て、床に滴り落ちているほどに…………いや、理由はすでに分かっている。ただ僕が信じられないだけだ……



「……なあユージ。俺の目がおかしくなった訳じゃないよな……？」
「たぶん……僕にも、フラムさんが……揺らいで見える」
「やっぱり、全員そう見えてるのよね。陽炎とでも言うのかしら……」



……一瞬フラムさんが使うモンスターが関係しているのかとも考えたが、フラムさんの周辺のみに起きている異常がそれを否定する。この熱気の原因……それは、フラムさん自身だ。ただそこに居るだけで超常現象を引き起こす……これが、フラムさんの本気なのか……！？












「神話に記されし大いなる力が、今現世へと舞い降りる！ 荒れ狂う炎を従え、万象全てを灰へと還せ！ シンクロ召喚、『紅牙焔神竜フラムオリジンTHEEND』！！」








フラムさんのフィールドに現れた、フラムルートを進化させたような巨大な焔竜。モンスターでありながら、その威圧感はまるで……神の存在をも連想させる。






「……トンデモねぇ迫力だな。これが、お前の切り札ってわけか」
「ああ、その通りじゃ。フラムオリジンは戦闘・効果では破壊されず、炎属性以外のモンスターの効果、そして罠カードの効果を受けない。ついでに相手が魔法カードを発動すれば2000のダメージを与える効果も持っている。妾はこれにてターンエンドじゃ。フラムオリジンを前にどれだけ足掻くか、じっくりと見させてもらおうかのう」



フラム　LP5750　手札4　モンスターゾーン　紅牙焔神竜フラムオリジンTHEEND　フィールド魔法　繁栄の祈り―紅蓮祭
ウルフ　LP4000　手札6



「……俺のターン、ドロー。万両華炎の効果でこのターンもお互いに一切のダメージは発生しない……だから、存分に暴れさせてもらうぜ。速攻魔法、『狼兵式陣形術の入門書』発動。デッキから狼兵式陣形術1枚を手札に加える。そして永続魔法『狼兵式陣形術-守』を発動。このカードが存在する限り、俺のフィールドに表側守備表示で存在する獣戦士族モンスターの守備力は1000アップし、1ターンに1度だけ戦闘では破壊されない。そして手札から『狼兵士タリア』と『狼兵士長エイヌ』をペンデュラムスケールにセット！ 天空に吠えよ、誇り高き獣戦士たち！ ペンデュラム召喚！ 来い、ホニン、キョク、エゾ、アセナ、ベリア！」
「一気にモンスターを5体並べたか……しかし、どれもフラムオリジンには遠く及ばんぞ？」
「んなことは分かってる。どうせこのターンはダメージを与えられない以上、守りを固めるしかない……だが、あんたのおかげで手札は十分潤った。次の俺のターンになれば、その喉元に食らいついてやるさ……カードを1枚セットしてターンエンドだ」



フラム　LP5750　手札4　モンスターゾーン　紅牙焔神竜フラムオリジンTHEEND　フィールド魔法　繁栄の祈り―紅蓮祭
ウルフ　LP4000　手札3　ペンデュラムゾーン　狼兵士タリア、狼兵士長エイヌ　モンスターゾーン　狼兵士ホニン（表側守備表示）、狼兵士キョク（表側守備表示）、狼兵士エゾ（表側守備表示）、狼兵士アセナ（表側守備表示）、狼兵士ベリア（表側守備表示）　魔法・罠ゾーン　狼兵式陣形術-守、伏せカード



「妾のターン、ドロー」
「この瞬間、リバースカードオープン！ 永続罠『狼兵式陣形術-幻』！ このカードが存在する限り、あんたは俺の狼兵士モンスターを攻撃対象に選択できない！」



5体の壁モンスターに戦闘耐性を与える永続魔法、加えて攻撃対象にさせない永続罠……まさに鉄壁の布陣だ。いくらフラムさんのモンスターが強力だといっても、ここまで圧倒的な物量の差では……



「……おい、ウルフ。お主、ふざけておるのか？」
「ふざける……だと？」
「まさか、この程度の布陣で妾の攻撃を凌げると思っているのかと聞いているのだ。どうなのじゃ？」
「っ……やれるもんならやってみやがれ、神代の怪物めっ！！」
「……ならば、望み通りにしてやろう。まずは墓地のパチパチソウの効果発動。自身を特殊召喚して800のダメージを受ける」



フラム　LP5750→4950



「そして墓地のカエデの効果発動。パチパチソウを破壊し、自身を特殊召喚。墓地に送られたパチパチソウの効果、幻を破壊する」
「クッ……まだまだ、俺の守りは健在だぜっ！」
「パチパチソウが破壊されたことにより紅蓮祭の効果発動」



フラム　LP4950→5950



「そしてカエデの効果発動。守を手札に戻す。バトル、フラムオリジンでホニンを攻撃！」
「グゥッ……！！」



……フラムオリジンの攻撃。ただのモンスター同士のバトルのはずなのに、その衝撃は少し離れた場所で観戦している僕たちにも及ぶほど強烈だった。



「……ハァッ、ハァ……へっ、どうした。これでフラムオリジンの攻撃は終わったぜ？ まだ俺にはモンスターが4体も居る、どうやったって俺の守りは……」
「攻撃は終わった、じゃと？ 面白いことを言うのう……攻撃は、まだ始まったばかりじゃと言うのに」
「？ 何を、言って……」
「フラムオリジンの効果発動！ このカードのバトル終了時、手札を1枚捨てることで攻撃力を500アップし、再度攻撃を行う！」



紅牙焔神竜フラムオリジンTHEEND　攻撃力4000→4500



「…………まさか、嘘だろっ！！？」
「フラムオリジンでキョクを攻撃！」



さらに威力の増したフラムオリジンの攻撃がウルフさんを襲う。ライフにダメージはないのに、ただ衝撃の余波だけで肉体的なダメージを受けていく……



「フラムオリジンの効果発動、手札を1枚捨てる！ 続けてエゾを攻撃！」



紅牙焔神竜フラムオリジンTHEEND　攻撃力4500→5000



「ガハッ……！！」



さらに威力の増した一撃、その破壊力に耐えきれず壁まで吹き飛ばされたウルフさん。……しかし、まだ攻撃は残っている。



「フラムオリジンの効果発動、手札を1枚捨て、アセナを攻撃！」



紅牙焔神竜フラムオリジンTHEEND　攻撃力5000→5500



4度目の攻撃……そのさらなる衝撃が部屋中を駆け巡る。



「フラムオリジンの効果発動、手札を1枚捨て、ベリアを攻撃！」



紅牙焔神竜フラムオリジンTHEEND　攻撃力5500→6000






5度目の攻撃……ついに、壁となるモンスターは全て居なくなった。そしてフラムさんには、まだ手札が……









「……フラムオリジンの効果発動！！ 手札を1枚捨て、ダイレクトアタック！！」



紅牙焔神竜フラムオリジンTHEEND　攻撃力6000→6500









…………6度目の攻撃。すでにフラムオリジンは、存在するだけでこの空間全てを支配していた。金縛りにあったかのように全身がピクリとも動かせず、フラムさんを止める言葉すら紡げない。5度の攻撃を受けたウルフさんは地面に倒れ伏し、最後の攻撃に対処することなど不可能……もう、誰にもフラムさんを止められなかった。






「………まっ……て…！！」






何とか言葉を絞りだしても、もう遅かった。フラムオリジンによる止めの火球が放たれ、一直線にウルフさんへと襲いかかる。





















「…………ハハッ。これで、俺も終わりか……」






































ウルフ　LP4000→0