第3戦：舞い踊る武具　作：名無しのゴーレム

「……さてさて！ 第2戦、ゴースの勝利により1対1の振り出し状態に！ これはまだまだ先が分からないねぇ〜！ 第3戦、組み合わせを発表しまーす！」


ﾃﾞﾝ、ﾃﾞｹﾃﾞｹﾃﾞｹﾃﾞｹ…………ﾃﾞﾝ!!


「第3戦……虎徹vs、プリカ！」





〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜





「……私の出番か」
「頼んだぜ、虎徹！ 今までの武者修行の成果を見せてやれ！」
「言われずとも。……では、行ってくる」
「おう、応援してるぜ〜！」





〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜





「…………む？」

「…………」


……やはり、何とも面妖な雰囲気を漂わせる少女だな……


「……私は虎徹と申す。そちらは……」
「…………♪」（うちはプリカ。改めてよろしくな♪）
「……以前から思っていたが……貴様、まさか物の怪の類か！？」
「…………」（失礼な人やなぁ。ウチはれっきとした人間やって、ちゃんと言ったやろ？）
「そんなこと信じられるか！ ……まあいい。例え何者が相手であろうが、私がやることに変わりはない。……戦い、勝つ！」
「…………！」（……それは、ウチも同じやな。みんなのためにも、お兄さんには負けへんで！）






「デュエル！」（デュエル！）





虎徹 LP8000 手札5
プリカ LP8000 手札5


「私のターンだ！ ……『武具装備 名槍十文字槍』を召喚する。十文字槍の効果により、デッキから『武具装備 名弓矢走り』を手札に加える。これで私は番を終える」


虎徹 LP8000 手札5 モンスターゾーン 武具装備 名槍十文字槍
プリカ LP8000 手札5


「…………？」（……へぇ、自分で武器持って戦うん？）
「無論。武具というのはそういうものだろう」
「…………」（……えっと、ウチのターンやな。ウチのフィールドにモンスターが存在しないことにより、手札から『偽銘器ランス』を特殊召喚。さらに『偽銘器バイオリン』を召喚するで）
「……宙に舞う槍と楽器とは、異様な光景だな」
「…………」（お兄さんにはあんまり言われたくないなぁ……バイオリンの効果発動。デッキから『偽銘器ワンド』を手札に加えるな。さて、と……レベル3のランスとバイオリンでオーバレイネットワークを構築、エクシーズ召喚！ 『偽銘器―黒の魔導書』！）


……エクシーズモンスターか。しかしその攻撃力は900、一体どのような効果を備えている……？


「…………！」（黒の魔導書の効果発動！ このカードのオーバレイユニットを1つ取り除いて、デッキから3枚の偽銘器を相手に見せる。それで相手が選んだ1枚を手札に、残りは墓地に送るで。ウチが見せるのはこの3枚や！）
「……右のカードを手札に加えろ」
「…………」（オッケー。……墓地のランスの効果を発動。このカードを除外して今手札に加えた『偽銘器タルワール』を捨てて1枚ドローするで）


……墓地に送られてもなお効果を発揮するモンスター、か。それならば、先ほど墓地に送られたモンスターたちも恐らくは……


「…………」（永続魔法、『主との約束』発動。このカードの効果で除外されてるランスを墓地に戻すな。カードを1枚セットして、ターンエンドや）


虎徹 LP8000 手札5 モンスターゾーン 武具装備 名槍十文字槍
プリカ LP8000 手札4 モンスターゾーン 偽銘器―黒の魔導書（表側守備表示） 魔法・罠ゾーン 主との約束 伏せカード1枚


「……私のターン！ 名弓矢走りを召喚！ 名弓矢走りの効果発動、手札の武具装備モンスター1体を特殊召喚する。現われよ、我が愛刀！ 『武具装備 宝刀雪月花』！」
「…………」（……うわぁ、綺麗な剣やなぁ）
「剣ではない、刀だ！」
「…………」（そうなん？ ……黒の魔導書の効果発動！ 相手がモンスターを特殊召喚した時、ウチのライフをそのレベル×300回復する！）


プリカ LP8000→10400


「……バトルフェイズに移行する際、雪月花の効果を発動。黒の魔導書を破壊する！ ……切り捨てる！」
「…………！」（させへんで！ 主との約束のもう1つの効果発動！ 1ターンに1度だけ、効果による破壊を無効にする！）
「くっ……！」


魔導書へと放った斬撃は、しかし見えない力によりかき消された。


「ならば、直接切り伏せるまで！ 雪月花で黒の魔導書を攻撃！」
「…………！」（墓地の『偽銘器シールド』を除外して、効果発動！ 偽銘器モンスター以外のすべてのモンスターを守備表示にする！）
「無駄だ！ 武具装備モンスターは守備表示にならない！」


渾身の一振りの元に、魔導書は両断された。


「そしてこの瞬間、雪月花の効果発動！ カードを1枚ドローする！ 続けて名弓矢走りで直接攻撃！」
「…………！」（リバースカードオープン！ 通常罠、エクシーズ・リボーン！ 黒の魔導書を特殊召喚して、このカードをオーバレイユニットにする！）
「それで防いだつもりか！ 名弓矢走りは相手フィールドにモンスターが存在しようと直接攻撃が可能！ ……射抜く！」


プリカ LP10400→8900


「っ…………」（いったいわぁ〜……）
「カードを1枚伏せて、番を終える」


虎徹 LP8000 手札4 モンスターゾーン 武具装備 名槍十文字槍 武具装備 名弓矢走り 武具装備 雪月花 魔法・罠ゾーン 伏せカード1枚
プリカ LP8900 手札4 モンスターゾーン 偽銘器―黒の魔導書（表側守備表示） 魔法・罠ゾーン 主との約束


「…………」（ウチのターン。通常魔法、騒霊宴会を発動。デッキの上から5枚を墓地に送るで。……墓地の『新しい本当の名前』の効果発動。手札を2枚捨てて、このカードを手札に加えるな）


手札を減らしてまで手札に加えた魔法カード……恐らく、切り札となるカードなのだろう。


「…………」（主との約束の効果で、除外されてるシールドを墓地に。ワンドを召喚。墓地のタルワールを除外して効果発動。墓地のシールドを手札に加えるで。ワンドの効果発動。墓地のバイオリンを特殊召喚。バイオリンの効果でデッキから『偽銘器ポット』を手札に加える。さらに偽銘器モンスターの特殊召喚に成功したことにより、手札のシールドを特殊召喚）


レベル3のモンスターを3体……来るか。


「…………！」（レベル3のワンド、バイオリン、シールドでオーバレイネットワークを構築、エクシーズ召喚！ 『偽銘器―黒の斧槍』！）
「……今度はハルバードか」
「…………」（黒の斧槍の効果発動！ このカードのオーバレイユニットをすべて取り除いて、その枚数だけ相手のカードを破壊する！ これでお兄さんのモンスターは全滅や！）
「っ……！！」


斧槍の猛攻に耐え切れず、すべての武具が破壊されてしまった。


「…………」（墓地の『偽銘器ツインソード』を除外して効果発動！ このターン、黒の斧槍は2回攻撃出来る。……バトル！ 黒の斧槍で2回連続ダイレクトアタック！）
「チィッ……手札の『武具装備ミスリルバンクル』を捨てて、効果発動！ 私が受けるダメージを1度だけ0にする！」
「…………！」（でも、2回目の攻撃は通る！）


虎徹 LP8000→5500


「…………」（カードを1枚セットして、ターンエンド）


虎徹 LP5500 手札3 魔法・罠ゾーン 伏せカード1枚
プリカ LP8900 手札2 モンスターゾーン 偽銘器―黒の魔導書（表側守備表示） 偽銘器―黒の斧槍 魔法・罠ゾーン 主との約束 伏せカード1枚


「私の番だ！ 『武具装備 虎徹』を召喚。虎徹の効果発動！ その永続魔法を破壊する！」
「…………！」（それは通せへんで！ リバースカードオープン！ カウンター罠、天罰！ 手札を1枚捨てて、モンスター効果の発動を無効にして破壊する！）
「ぬるい！ リバースカードオープン！ カウンター罠、『リベンジ・オブ・アームズ』！ 天罰の効果を無効にし、破壊！ さらにその後、墓地の武具装備モンスターを特殊召喚する！」
「…………！」（なっ……！！）
「蘇れ！ 我が愛刀、雪月花！」
「…………」（……黒の魔導書の効果発動。2400ポイント回復する！）


プリカ LP8900→11300


「……バトルフェイズに移行する際、雪月花の効果発動！ 黒の魔導書を破壊！ 雪月花で黒の斧槍を攻撃する！」


プリカ LP11300→10600


「さらに虎徹で直接攻撃！」


プリカ LP10600→8700


「…………」
「……カードを1枚伏せる、これで私の番を終える」


虎徹 LP5500 手札3 モンスターゾーン 武具装備 雪月花 武具装備 虎徹 魔法・罠ゾーン 伏せカード1枚
プリカ LP8700 手札1


「…………」（ウチのターン。墓地のランスを除外して、手札のポットを捨てて1枚ドロー。墓地のポットを除外して、除外されているタルワールを墓地に戻すで。タルワールを除外して墓地のワンドを手札に加えて、ワンドを召喚。ワンドの効果で墓地のバイオリンを特殊召喚。2体のモンスターでオーバレイネットワークを構築、エクシーズ召喚！ 『偽銘器―黒の弓』！ そして通常魔法、『新しい本当の名前』発動！ 黒の弓でオーバレイネットワークを再構築！）
「……この気配、何が来る……！？」
「…………！！」（伝説を受け継ぎし贋作が、今時を越えて新たなる名と共に歴史を紡ぐ！ 再誕せよ、『真銘器―奇跡叶え命煌めく蒼海の魔導書』！！）


……なるほど。一目見ただけで、その圧倒的な力が伝わって来る。


「……いいぞ。相手にとって、不足はない！」
「…………」（カードを1枚セットしてターンエンド。さあお兄さん、こっからがウチの本気やで！）


虎徹 LP5500 手札3 モンスターゾーン 武具装備 雪月花 武具装備 虎徹 魔法・罠ゾーン 伏せカード1枚
プリカ LP8700 手札0 モンスターゾーン 真銘器―奇跡叶え命煌めく蒼海の魔導書（表側守備表示） 魔法・罠ゾーン 伏せカード1枚


「……私の番だ。……バトルフェイズ移行時、雪月花の効果発動。蒼海の魔導書を……」
「…………」（蒼海の魔導書はカード効果の対象にはならへんで？）
「それでも、雪月花の効果は強制的に発動するのだ。虎徹を破壊して、雪月花で……」
「…………」（残念やけど、それは止めさせてもらうで。蒼海の魔導書の効果発動！ オーバレイユニットを1つ取り除いて、効果の発動を無効にして破壊する！）
「カウンター効果、だとっ……バトル終了。速攻魔法、烈旋の帝王発動。これで……」
「…………」（蒼海の魔導書の効果は1ターンに2回まで発動出来る！ そのカードも無効や！）
「！？」


……毎ターン2度のカウンターに、対象への耐性……これ以上なく厄介なモンスターだな。



「……しかし、どれほど強大な壁であろうとただそびえ立つだけでは私に傷をつけることは出来ない。……カードを1枚伏せて、番を終える」


虎徹 LP5500 手札2 モンスターゾーン 武具装備 虎徹 魔法・罠ゾーン 伏せカード2枚
プリカ LP8700 手札0 モンスターゾーン 真銘器―奇跡叶え命煌めく蒼海の魔導書（表側守備表示） 魔法・罠ゾーン 伏せカード1枚


「…………！」（ウチのターンや！ スタンバイフェイズ、蒼海の魔導書の効果発動！ 手札が5枚になるようにカードをドローして、ドローした枚数×500ポイントライフを回復する！）
「なんだと！？」


プリカ LP8700→10700


「…………」（通常魔法、オーバレイ・ジェネレートを発動。このカードを蒼海の魔導書のオーバレイユニットにする。さらに墓地のポットを除外して効果発動。除外されてるランスとタルワールを蒼海の魔導書のオーバレイユニットにするで）
「手札のみならず、オーバレイユニットまで補充するか……！」
「…………」（通常魔法、死者蘇生発動。墓地の黒の斧槍を特殊召喚。そして通常魔法、魔法石の採掘を発動。手札を2枚捨てて、墓地のこのカードを手札に加える……『新しい本当の名前』発動！ 黒の斧槍でオーバレイネットワークを再構築！ 再誕せよ、『真銘器―希望託されし天翔る流星の弓』！！）


ランク12のエクシーズモンスターが、2体……！！


「…………！！」（蒼海の魔導書を攻撃表示に変更。バトル！ 流星の弓で虎徹を攻撃！）
「くうっ……ぐぁぁ！！」


虎徹 LP5500→4300


「…………！」（蒼海の魔導書でダイレクトアタックや！）
「ッッ！！！」


虎徹 LP4300→1800


「……か、ハッ……」
「…………？」（だ、大丈夫……？）
「心配は、必要ない……っ、久しぶりだな……ここまでの強敵と、刃を交えるのも！！」
「…………」（……ウチのターンはこれで終わりや）


虎徹 LP1800 手札1 魔法・罠ゾーン 伏せカード2枚
プリカ LP8700 手札0 モンスターゾーン 真銘器―希望託されし天翔る流星の弓 真銘器―奇跡叶え命煌めく蒼海の魔導書 魔法・罠ゾーン 伏せカード1枚


「……ここが、勝負所か……」


これ以上デュエルを長引かせれば、もう追いつけないほどの圧倒的な差が出来るだろう。それをさせないためにも……


「…………私の、ターン！！」
「…………！」（この瞬間、流星の弓の効果発動！ このカードのオーバレイユニットを1つ取り除いて、相手のドローフェイズ前に手札をすべて裏側で除外する！）
「……構わん！ リバースカードオープン！ 永続罠、『ルーラー・オブ・アームズ』！ お前の流星の弓のコントロールを得る！」
「…………」（蒼海の魔導書の効果発動！ オーバレイユニットを1つ取り除いて、効果を無効にして破壊や！）
「続けてリバースカードオープンだ！ 通常罠、『マスター・オブ・アームズ』！ 墓地のレベル4以下の武具装備モンスターを任意の枚数特殊召喚する！ ……どうだ、カウンターするか？」
「…………」（……うん！ 蒼海の魔導書の効果発動！）
「……かかったな。墓地のマスター・オブ・アームズの効果発動！ 私の墓地に5種類以上武具装備モンスターが存在するとき、このカードを除外することでデッキから神龍刀モンスター1体を特殊召喚する！ 数多の伝説を築きし無双の武具が、今我が元に現れる！ 来い、『武具装備 神龍刀赤竜』！！」
「…………！？」（まさか……カウンターされるのを計算に入れてたん！？）


……綱渡りであったことは否定しない。だが、ここから先は私の独壇場だぞ……！！


「赤竜の効果発動！ このカードの特殊召喚に成功したとき、このカード以外のすべてのモンスターを破壊してその枚数×500のダメージをお前に与える！」
「…………！！」（リバースカードオープン！ 速攻魔法、我が身を盾に！ 1500ライフを支払って、赤竜の効果を無効化するで！）


プリカ LP8700→7200


「…………ああ、それも読んでいた！！ 赤竜が場を離れたことにより、効果発動！ デッキから『武具装備 青龍』を特殊召喚！ 青龍の効果発動！ 相手モンスターすべてを墓地に送り、その枚数だけカードをドローする！ 2体を墓地に送り、2枚ドロー！！」
「…………！！」（そ、そんなぁ……！！）
「青龍の効果発動！ 墓地の雪月花を特殊召喚だ！ バトル！ 青龍、雪月花で直接攻撃……これで終わりだ！！」
「…………っ！！」




プリカ LP7200→0










「…………ふぅ」



……ここまで死力を尽くした闘いも、ずいぶんしていなかったな……



「…………」（あ〜あ、負けてもうた……）
「……しかし、お前は紛れもない強者であった。もう一度闘えば、今度は私が負けるかもしれないな……いい闘いだった。願わくば、またいつか刃を交わしたいものだ」
「…………！」（いいなぁ、それ！ お兄さん、確か旅人なんやろ？ 何時でもええからウチのとこにも遊びに来てえな！）
「……ああ、約束しよう。その時まで、私もより腕を磨いておくとしよう」
「…………」（……楽しみやわぁ、お兄さんともう1回デュエル出来んの。……今度は負けへんからな！）
「フッ。こちらとて、そう易々と負けてやるつもりもない。……さて、そろそろ戻るとするか」
「…………♪」（そうやな。……あー、楽しかった♪）
「ああ……まったく、その通りだ」