第6戦：開演、スペースエンタメデュエル　作：名無しのゴーレム

「おおっと、まさかまさかの織姫組大ピ〜ンチ！ ここで負けたら私が出る前に勝敗が決しちゃう緊急事態！ お願い、絶対に勝ってね！ ……というわけで、第6戦は……」



ﾃﾞﾝ、ﾃﾞｹﾃﾞｹﾃﾞｹﾃﾞｹ…………ﾃﾞﾝ!!



「マスクドドラグーンvsソラ！ ソラ、任せたよ！！」





〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜



「…………」
「……責任重大ね、ソラ」
「申し訳ございません、私が勝てていれば……」
「いいや、サキさんは気にしないでほしい。……必ず勝つさ。みんなのためにも……」
「本当に任せたからね！ 絶対私に繋いでよ！」
「勿論だ……では、行くとしようか」




〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜




……彼が、私の対戦相手か……


「……私がソラだ。よろしく」
「こちらこそ。……マスクドドラグーンという。楽しいデュエルにしよう」
「ああ……しかし、こちらも負けられない。全力で勝ちに行かせてもらう」
「それは俺も同じことさ。その上でみんなに笑顔を届ける……それが、俺のエンタメデュエルだ！」


エンタメデュエル……それがどんなものかは知らないが、私は私のデュエルをするだけだ……







「「デュエル！！」」





ソラ LP8000 手札5
マスクドドラグーン LP8000 手札5


「私のターンだ。手札の『プラネット・D（ダスト） アクア』を除外して、効果発動。デッキから『惑星の導き』を手札に加える。通常魔法、惑星の導きを発動。手札の『プラネット・D（ドラゴン） Jupiter』を捨てて、3枚ドロー。その後、手札を1枚除外する。除外されているアクアと『プラネット・D（ドラゴン） Tellus』を墓地に戻して、手札から『プラネット・D（ドラゴン） Sol』を特殊召喚する！」
「攻撃力2900……相手としては不足はないな」
「それだけではないさ。Solは相手の効果を受けない……こいつを倒すには、純粋な火力が必要になるぞ？」


相手によってはこのカード1枚で制圧も容易いが……彼はどうだ？


「カードを1枚捨てて、ターンエンドだ」


ソラ LP8000 手札3 モンスターゾーン プラネット・D Sol 魔法・罠ゾーン 伏せカード1枚
マスクドドラグーン LP8000 手札5


「……私のターンか」


…………『私』？


「私は『DTアシスタントサニー』を召喚。サニーの効果発動。デッキから『DT火吹きのジョー』を手札に加える……そしてフィールドにDTモンスターが存在するとき、このカードは手札から特殊召喚できる。来い、火吹きのジョー！ ジョーの効果発動。相手は自身の手札の枚数×100のダメージを受ける！」


ソラ LP8000→7700


先制ダメージをもらったか……しかしその数値はごく微量。これが目的ではないとすれば……


「2体のモンスターを並べた……しかし、チューナーモンスターもいなければレベルも異なる。何を狙っている……？」
「今、私のイリュージョンをご覧に入れよう。……通常魔法、『奇術 トランプスランプ』を発動！ DTモンスター2体を選択し、いずれか1体のレベルに合わせる。サニーのレベルをジョーと同じ4に変更する！」


DTアシスタントサニー レベル3→4


「レベル4が、2体……！！」
「察していただけたかな？ ……私はレベル4のサニーとジョーで、オーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚！ すべてを欺く20もの顔を持つ怪人、『DTマスクド20』！！」
「…………攻撃力、2200。それではSolは……」
「いいや、まだイリュージョンは終わっていない！ マスクド20の効果発動！ このカードのオーバーレイユニットを1つ取り除き、ターンの終了時まで相手モンスターのステータスと名前をコピーする！」


コピー……だと！？


マスクド20 攻撃力2200→2900


「さあ、バトルだ！ マスクド20でSolを攻撃！」
「くっ……相打ち狙いか！」
「まさか！ マスクド20は同名モンスターとの戦闘では破壊されない！」
「っ、それはつまり……！？」
「ああそうだ、君のモンスターだけが破壊される！」


……何ともトリッキーな攻略法だ。こんな相手は初めてだが……


「……プラネット・D（ドラゴン）はフィールドを離れるとき、除外される」
「マスクド20によるイリュージョンが終わったところで、バトルを終了。次のイリュージョンの準備に取り掛かるとしようか……『DTアルセーヌ・アサルト』をペンデュラムゾーンにセット。私はこれにてターンエンド……そしてアルセーヌ・アサルトのペンデュラム効果発動。このカードを破壊して、デッキから予告状1枚を手札に加える」


ソラ LP7700 手札3 魔法・罠ゾーン 伏せカード1枚
マスクドドラグーン LP8000 手札4 モンスターゾーン DTマスクド20


「……私のターン。『プラネット・D（ダスト） ライト』を召喚する。リバースカードオープン。通常罠、『竜の転生』発動。ライトを除外して、墓地のJupiterを特殊召喚する。Jupiterの効果発動。このカードをリリースして、除外されているSolを特殊召喚」


先ほどの攻略法は一時的なもの。再びSolを出せば、もう通用しない……！


「Solでマスクド20を攻撃だ！」


マスクドドラグーン LP8000→7300


「っ、ここまでの力押しにはイリュージョンも通用しないな……」
「さあ、再びSolを越えられるか……私はこれでターンエンドだ！」


ソラ LP7700 手札3 モンスターゾーン プラネット・D Sol
マスクドドラグーン LP7300 手札4


「私のターンだな。……ふむ、このターンも仕込みに回るとしよう。モンスターをセット、さらにカードを2枚セットしてターンエンドだ」


ソラ LP7700 手札3 モンスターゾーン プラネット・D Sol
マスクドドラグーン LP7300 手札2 モンスターゾーン 伏せモンスター1体 魔法・罠ゾーン 伏せカード2枚


「……もう手詰まりか？ 私のターン！ 『プラネット・D（ダスト） ウィング』を召喚！ そしてウィングを除外して、墓地のTellusを特殊召喚！ 手札の『プラネット・D（ダスト） グラインド』を除外して効果発動。除外されているJupiterを手札に加える。Tellusの効果発動。手札を1枚捨てて、デッキからプラネットと名の付くカード1枚を手札に加える。……バトルだ。Solで伏せモンスターを攻撃」
「……この瞬間、リバースカードオープン！ 通常罠、『マジックアーム・シールド』！ これによりTellusのコントロールを得て、この2体で戦闘を行う！」


マスクドドラグーン LP7300→7000


「っ、と……まあ、ダメージを受けることに変わりはないがな」
「……防戦に徹しているように見せて、罠を潜ませていたとはな……ターンエンド」


ソラ LP7700 手札3 モンスターゾーン プラネット・D Sol
マスクドドラグーン LP7000 手札2 モンスターゾーン 伏せモンスター1枚


「私のターン……よし、これからショーの第二幕を始めるとしよう。『DTセイント・ツインテール』を召喚。セイント・ツインテールの効果発動。このカードとエクストラデッキに表側表示で存在するレベル5以上のDTを墓地に送り、融合召喚を行う！」
「融合を使わずに融合召喚……どこまでも、読めない戦略だ」
「先が見えているショーなどつまらないだろう？ ……真のショーではアシスタントすら光り輝く！ 融合召喚、『DTアシスタントレインボー』！！ レインボーの効果発動！ デッキから『DTブラックキャット』と『DTホワイトキャット』を手札に加える。スケール3のブラックキャットとスケール8のホワイトキャットでペンデュラムスケールをセットする」


……今度は、ペンデュラム召喚か……！？


「ペンデュラム召喚……の前に、ブラックキャットのペンデュラム効果発動。デッキからチューナーモンスター、『DTマウスキッドG』を特殊召喚。レベル5のレインボーにレベル2のマウスキッドGをチューニング！ 弱きもののために戦う義賊よ、今この時は舞台を彩る華となれ！ シンクロ召喚、『DTネット・ケリー』！！」
「…………は。4つの召喚方を自在に操る、ということか……？」
「そしてリバースカードオープン！ 通常罠、『ペンデュラム・バック』発動！ 墓地のジョーとアルセーヌ・アサルトを手札に加える。さあ、いよいよメインショーの開始だ！ 今、奇術が飛び交うショーの幕が開かれる！ 鮮やかなる彼らのパフォーマンスを、とくとご覧あれ！ ペンデュラム召喚、ジョー、アルセーヌ・アサルト！！ ジョーの効果で、再びダメージを受けてもらう！」


ソラ LP7700→7400


「っ……」
「アルセーヌ・アサルトの効果発動！ 君の手札を確認し、魔法・罠カード1枚を私のフィールドにセットする。さあ、手札を見せてもらおうか！」
「…………」
「……ならば私は、このカードをいただくとしようか。手札から装備魔法、『魔導師の力』をケリーに装備。永続魔法、『満月満ちる予告状』を発動。バトル……といきたいところだが、セイント・ツインテールの効果を使用したターンにはバトルフェイズを行えない。これにてターンエンドだ」


ソラ LP7400 手札2 モンスターゾーン プラネット・D Sol
マスクドドラグーン LP7000 手札2 モンスターゾーン DTネット・ケリー DTアルセーヌ・アサルト（表側守備表示） DT火吹きのジョー（表側守備表示） 伏せモンスター1枚 魔法・罠ゾーン 魔導師の力（ネット・ケリー装備） 満月満ちる予告状 伏せカード1枚


「私のターン……」
「リバースカードオープン！ 永続罠、『竜の束縛』をアルセーヌ・アサルトを対象として発動！ 効果の説明は……必要ないだろう？」
「……ああ。アルセーヌ・アサルトが存在する限り、私はそれ以下の攻撃力のモンスターを召喚・特殊召喚出来ない……しかし、そんなことは問題にはならないな！ バトル、Solでアルセーヌ・アサルトを攻撃！」
「……やれやれ、さっそく破壊されてしまったか……」
「通常魔法、『アドバンス・ドロー』発動。Solをリリースして2枚ドローする。……除外されているグラインドとウィングを墓地に戻して、『プラネット・D（ドラゴン）Uranus』 を特殊召喚！ ウィングの効果発動、墓地のグラインドを特殊召喚する。グラインドを除外して、墓地のJupiterを特殊召喚！ JupiterをリリースしてSolを特殊召喚！」
「……ふぅ、同じモンスターを相手にするのは疲れるな……いや、同じモンスターだからこそ様々な方法で対処することでインパクトが得られるということもあるか……」


……まったく、彼の頭の中にはパフォーマンスのことしかないのか？


「……カードを2枚セットして、ターンエンドだ」


ソラ LP7400 手札1 モンスターゾーン プラネット・D Sol プラネット・D Uranus 魔法・罠カード 伏せカード2枚
マスクドドラグーン LP7000 手札2 モンスターゾーン DTネット・ケリー DT火吹きのジョー（表側守備表示） 伏せモンスター1枚 魔法・罠ゾーン 魔導師の力（ネット・ケリー対象） 満月満ちる予告状


「さて、私のターンだが……予告時間だ、イッツショウタイム！」
「…………？」
「満月満ちる予告状の効果発動！ このカードを破壊する……そしてこのカードが破壊された時、私のフィールドにDTが2体以上存在すれば2枚ドロー出来る！」


……その条件を満たすために、竜の束縛を利用してこちらの動きを制限したのか……


「再びアルセーヌ・アサルトをペンデュラム召喚！ 再びその効果を発動する！」
「フッ、そんなことは予測済みだ。私の手札に魔法・罠カードは存在しない！ ……さらにリバースカードオープン！ 通常罠、『バースト・ブレス』！ Solをリリースし、その攻撃力以下の守備力を持つモンスターをすべて破壊する！」


魔導師の力を装備しているネット・ケリーはSolですら対処できない……ならば、事前に除去するまでだ！


「させないさ！ 速攻魔法、『禁じられた聖槍』発動！ ネット・ケリーの攻撃力を800下げ、このカード以外の魔法・罠カードへの耐性を付与する！」
「っ……だが、これで魔導師の力の効果も受けられはしない。さらに他のモンスターは破壊される！」
「……カードを2枚セット。これでターンエンドだ」


ソラ LP7400 手札1 モンスターゾーン プラネット・D Sol プラネット・D Uranus 魔法・罠カード 伏せカード1枚
マスクドドラグーン LP7000 手札2 モンスターゾーン DTネット・ケリー 伏せモンスター1枚 魔法・罠ゾーン 魔導師の力（ネット・ケリー対象） 伏せカード2枚


「……私のターン！ 除外されているSolとJupiterを墓地に戻し、『プラネット・D（ドラゴン） Mars』を特殊召喚！Marsの効果発動！ このカードをリリースしてネット・ケリーを破壊する！」
「…………」
「バトルだ！ Uranusで伏せモンスターを攻撃！」
「……リバースカードオープン！ 通常罠、『魔法の筒』！ 攻撃を無効にして、その攻撃力分のダメージを与える！」


ソラ LP7400→4900


「くっ……ターン、エンドだ……」


駄目だ。こちらの攻撃が、まるで通らない……！！


ソラ LP4900 手札1 モンスターゾーン プラネット・D Uranus 魔法・罠カード 伏せカード1枚
マスクドドラグーン LP7000 手札2 モンスターゾーン 伏せモンスター1枚 魔法・罠カード 伏せカード1枚


「私のターン！ ……さて、ここらで一度運試しといこうじゃあないか。通常魔法、『カップ・オブ・エース』発動！ 今から私はコイントスを行う。そして表なら私が、裏なら君が2枚ドローする……さあ、コイントス！」


ﾁｬﾘ-ﾝ…………


彼が宙へ放ったコインは、回転しながら再び彼の手元に戻っていく。そして……


「…………表だ。よって2枚ドロー！」
「運を、味方につけたというのか……！？」
「そんなに大層なものじゃないさ。……リスキーなカードが私に合っていた、ただそれだけの話だ……ペンデュラム召喚！ 3度現われよ、アルセーヌ・アサルト！ そして伏せモンスター、『DTロビン・ソックス』を反転召喚！ さらに『DT玉乗りノリー』を召喚する！……通常魔法、『強制転移』発動！ 俺はロビン・ソックスを選択する！」
「……私は、Uranusを選択する……！」
「……これで、フィナーレへの準備は整った！ バトル！ ノリーでロビン・ソックスを攻撃！」


ソラ LP4900→4400


「ノリーの効果で1枚ドロー。……続けてUranusでダイレクトアタック！」


ソラ LP4400→1900


「……追い詰められた、か……！！」
「これにて終演だ！ 行け、アルセーヌ・アサルト！」
「……いいや、まだ付き合ってもらうさ。リバースカードオープン！ 速攻魔法、『収縮』！ アルセーヌ・アサルトの攻撃力を半分にする！」


ソラ LP1900→650


「っ！！ ……た、耐えたぞ……」
「……お見事。まだ盛り上げてくれるとは、君も中々のエンターテイナーじゃないか！」
「私が、エンターテイナー……？」
「そうだ。……どのような形であれ、魅せるデュエルをするのなら私は歓迎するさ。勝敗を超えた先にあるもの……それを手にするには、私1人では力不足だ。だから……さあ、もっと君も魅せてくれ！ きっとこのデュエルの終わりに、私の求めるエンタメデュエルは存在する！」


…………なんだ。彼はやっぱり、勝敗なんて気にしてはいなかったのか…………


「……必ず勝つという、私の思いは変わらない。だが……どうせ勝つなら周りに笑顔を与えたい、確かにその通りだな……」
「カードを2枚セット、私はこれでターンエンドだ！」


ソラ LP650 手札1
マスクドドラグーン LP7000 手札1 モンスターゾーン DTアルセーヌ・アサルト DT玉乗りノリー プラネット・D Uranus 魔法・罠ゾーン 伏せカード3枚


「……私のターン……ドローッ！！」


このカードは……！？


「…………いいだろう。賭けになるが……このデュエル、このターンで決着をつける！」
「ほう、いいだろう……来い！！」
「通常魔法、『強欲で貪欲な壺』発動！ デッキの上から10枚を裏側表示で除外し、2枚ドロー！」


……よし、これなら！


「手札の『プラネット・D（ダスト） フレイム』を除外して、効果発動。デッキから『プラネット・D（ドラゴン） Neptune』を手札に加える。除外されているフレイムとSolを墓地に戻して、Neptuneを特殊召喚！ 通常魔法『死者蘇生』発動、Jupiterを特殊召喚！ Jupiterをリリースして、除外されているTellusを特殊召喚！ Tellusの効果で手札を1枚捨ててデッキから『プラネット・D（ドラゴン） Venus』を手札に加える。そして……永続魔法、『木星に眠る力』発動！ このカードがフィールドに存在する限り、融合素材は墓地から除外することが出来る！」


……その代わり、このカードが破壊された瞬間に私のプラネットモンスターは全滅する。だからこその賭けだ……！


「墓地のフレイムとアクアを除外して、『プラネット・HD 氷炎の超神竜』を融合召喚！ さらに墓地のウインドとSolを除外して、『プラネット・HD 風雷の撃神龍』を融合召喚！」
「瞬く間に、2体の融合モンスターを……！？」
「驚くのはまだ早い！ 除外されているMarsとライトを墓地に戻して、Venusを特殊召喚！ VenusとNeptuneをリリースして、『プラネット・HD 氷神の幻神竜』を融合召喚！ ……墓地のMars、フィールドのTellusを素材として『プラネット・HD 風炎の強神龍』を融合召喚！」
「融合モンスターを、4体も……素晴らしい！ これが君の全力なのか！」


……これで、すべての準備は整った……


「…………ああ。『ここから』が、私の全力だ……4体のプラネット・HDをリリース！ 遥かなる宇宙を巡る神竜たちが合わさりし時、銀河を統べる真なる神が姿を現わす！ 天地創造の力をここに示せ！ 融合召喚！『プラネット・HD 銀河の守護神』！！」



…………このカードは、掛け値なしに私の最強の切り札だ。そのあまりに厳しい召喚条件から、滅多に出せるものではないのだが…………



「攻撃力、8000…………」
「銀河の守護神は自身以外の効果を受けない……バトル！ 銀河の守護神で、ノリーを攻撃！！」


マスクドドラグーン LP7000→800


「グッ……ハァ！？」
「……バトル終了。銀河の守護神の効果発動！ 相手モンスター1体を除外し、そのモンスターの攻撃力の半分の数値、ダメージを与える！ 私が除外するのは、攻撃力2500のアルセーヌ・アサルトだ！！」
「…………ハハハ、参ったな。俺よりエンタメされちゃあ、たまったモンじゃあない…………」







マスクドドラグーン LP800→0








「…………私の、勝ちだな」
「……そう、だな……ああ、楽しかった！」
「……1つ、聞いてもいいか？ 最後のターン3枚の伏せカードがあったにも関わらず、その1枚も使わなかった。……一体、何を伏せていたんだ？」
「……『ペンデュラム・リボーン』、『奇術フェイスチェンジ』、『時計塔告げし予告状』。どれもあの状況では使えないカードだったよ……」


……彼とのデュエル、私は1度も露骨に展開を妨害するような行為は行っていなかった。デュエルにおいて相手の妨害は定石中の定石。なのに……


「…………認めよう。あなたは、最高のエンターテイナーだ」
「……急に言われると、照れるな……でも、これで俺も『あの人』に近付けたのなら……ここに来て良かったよ」
「私もだ。……さあ、戻ろうか。私たちのデュエルでみんながどうなっているか、気にならないか？」
「……いや、不思議とそれほどは。確信しているのかもな……今のデュエルは、どんな奴の心だって揺さぶるデュエルだと……」
「……確かに、私の心は熱くなっているよ。ああ、本当に……楽しいデュエルだった」