第1戦：爆風を駆ける獣　作：名無しのゴーレム

「……じゃあさっそく、初戦の組み合わせを発表するね！ 第1戦……」



ﾃﾞﾝ、ﾃﾞｹﾃﾞｹﾃﾞｹﾃﾞｹ…………ﾃﾞﾝ!!



「…………爆vs、ミトラ！！ おおっと、初戦から面白そうな組み合わせだねぇ！」







〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜







「へぇ、さっそく俺様の出番か」
「……ここで勝てば勢いに乗れる。責任重大だな」
「へへっ、なら俺様が当たって正解ってワケだ。……しっかり目に焼き付けな、俺様の華麗なる勝利を！！」
「……そういうの、デュエルが始まる前に言わない方がいいんじゃ……」
「ハッ、何言ってんだ？ ……なあユージ。俺、このデュエルに勝ったら故郷の恋人に自慢するんだ……」
「だからそういうのやめてよぉ！！」



「……ちょっとぉ〜、そろそろ出てきてくれない、爆君？」



「……さて、ちょっくら行ってくるぜ。俺の好きなパインサラダでも作って待ってな！」





〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜






「…………」


……あいつが俺の対戦相手か？ 確か、名前は……


「……ミトラ、だっけか？ お前も不幸だなぁ、なんたって初戦で俺様にぶつかっちまったんだからな！」
「…………関係、ない」
「ハッ、強がりのつもりか？ 俺様だって、女子供相手に手を出したくはないんだけどな……今日こそはあいつに一矢報いる時なんだよ！ だから悪いが、とっとと終わらせてやるぜ！」
「…………負けない」







「「デュエル！！」」




ミトラ LP8000 手札5
爆 LP8000 手札5


「先攻は譲ってやるよ。お前みたいなガキ相手だ、これくらいのハンデはくれてやらないとなぁ！」
「……速攻魔法、『神儀、紅蓮』発動。デッキから『幻獣の巫女ミトラ』を特殊召喚する」


デッキから特殊召喚……だが、所詮は攻撃力1000のモンスター。恐るるには足りねえな。


「……ミトラの効果発動。デッキから『聖域の幻獣、神羅』を特殊召喚する。……1枚伏せて、ターン終了」


ミトラ LP8000 手札3 モンスターゾーン 幻獣の巫女ミトラ 聖域の幻獣、神羅（表側守備表示） 魔法・罠ゾーン 伏せカード1枚
爆 LP8000 手札5


「守備力2800……面倒な相手だが、お前は1つ大きなミスをしているぜ」
「…………？」
「おいおい、分かんねえのか？ 例え壁モンスターがいようが、その横にいる弱小モンスターには攻撃し放題だ。ここで俺が一撃ぶちかませば……」
「……聖域の幻獣が場に存在する限り、ミトラは攻撃・カード効果の対象にならない」
「…………なっ、にぃ！？」


……じゃあ、あの壁モンスターを倒さなきゃ俺はミトラに手出しできねえってことかよ……！


「……神羅が存在する限り、相手はモンスターを特殊召喚する度に800ポイントのダメージを受けて、私は800ライフポイント回復する」
「っ、モンスターの展開も許さねえってことか……俺のターン！ 永続魔法、『時爆兵団補給部隊』発動！ このカードが発動した時、このカードに時爆カウンターを3つ乗せる！ そして補給部隊に乗った時爆カウンターを1つ取り除き、『時爆兵クライトロン』をリリース無しで召喚する！ クライトロンの効果発動！ このカードにも時爆カウンターを3つ乗せるぜ！」


……よし、ここまでは順調だ。だが神羅がいるこの状況、迂闊にモンスターを展開してもライフの差が開く一方……なら！


「クライトロンの効果発動！ このカードの時爆カウンターを1つ取り除いて、デッキから『時爆兵コバルト』を手札に加える。カードを1枚セットして、ターンエンドだ！ この時、補給部隊とクライトロンの時爆カウンターを1つ取り除くぜ」


ミトラ LP8000 手札3 モンスターゾーン 幻獣の巫女ミトラ 聖域の幻獣、神羅（表側守備表示） 魔法・罠ゾーン 伏せカード1枚
爆 LP8000 手札4 モンスターゾーン 時爆兵クライトロン 魔法・罠ゾーン 時爆兵団補給部隊 伏せカード1枚


……俺が伏せたカードは『時爆兵団開発部隊』、この状況では何の役にも立たないブラフだ。だがあのガキは、このカードを警戒して動きも慎重になるはず……！


「……私のターン。……リバースカードオープン。速攻魔法、『神儀、流水の舞』。ミトラを手札に戻して、1枚ドロー」
「ハッ、わざわざ自分のモンスターを手札に戻して何がしたいんだよ……」
「……ミトラを召喚。ミトラの効果発動。デッキから『聖域の幻獣、魔迦』を特殊召喚。……魔迦の効果発動。クライトロンと、その伏せカードを手札に戻す」
「！？ クライトロンの効果発動！ 時爆カウンターを1つ取り除いて、デッキから『時爆兵団改修部隊』を手札に加える！」


……こいつ、ミトラの効果を使うために一度手札に戻したってのか……！


「……神羅を攻撃表示に変更。……ミトラで直接攻撃」


くっ……防御手段がねえ！！


「ぐはぁっ！！」


爆 LP8000→7000


「……魔迦で直接攻撃」
「ぎゃがっ！？」


爆 LP7000→5100


「……神羅で直接攻撃」
「がっ……！！」


爆 LP5100→2600


「はぁ、はぁ……俺様としたことが、だいぶダメージを受けちまったなぁ……！」
「…………弱い」
「……アァ！？」


……こいつ、今俺のことを弱いっつったのか……！！


「テメェ、俺様に大ダメージを与えて思い上がってるみたいだがな……いいことを教えてやるぜ！ デュエルってのはな、油断した方が負けるんだよ！」
「……それは、こっちの台詞」
「ハッ、俺様のは油断じゃなくて確信だ！ ……さあ、まだお前のターンだぜ！」
「……2枚セット。ターン、終了……」
「時爆兵団補給部隊の効果発動！ このカードの時爆カウンターを1つ取り除く！ そして時爆カウンターを失ったこのカードは、自爆する！」


ミトラ LP8000 手札3 モンスターゾーン 幻獣の巫女ミトラ 聖域の幻獣、神羅 聖域の幻獣、魔迦 魔法・罠ゾーン 伏せカード2枚
爆 LP2600 手札7


「行くぜ、俺のターン！！」


……チッ、これだけ手札があっても神羅をどうにかするカードが1枚もねえとはな……！


「……仕方ねえ。『時爆兵コバルト』を召喚！ コバルトに時爆カウンターを3つ乗せる！ そしてコバルトの効果発動！ 時爆カウンターを1つ取り除いて、手札のクライトロンを特殊召喚する！ クライトロンに時爆カウンターを3つ乗せて、そのままクライトロンの効果発動だ！ デッキから『時爆兵団進路変更』を手札に加え、そして発動！ コバルトの時爆カウンターを1つ取り除いて、レベルを2つ上げる！」


時爆兵コバルト レベル3→5


「……神羅の効果発動」
「ッ！！」


爆 LP2600→1800

ミトラ LP8000→8800


「……まだだ！ レベル5のコバルトとクライトロンでオーバレイ！ 2体のモンスターでオーバレイネットワークを構築、エクシーズ召喚！ 宿命付けられた終わりへと駆け抜けろ！ 来い、『時爆兵コロネロ・マイン』！！」
「……再び、神羅の効果発動」


爆 LP1800→1000

ミトラ LP8800→9600


「……へっ、澄ました顔でいられるのも今の内だけだ！ コロネロ・マインの効果発動！ このカードのオーバレイユニットとなったモンスターに乗っていた時爆カウンター、つまり3つの時爆カウンターをこのカードに乗せる！ そしてコロネロ・マインのもう1つの効果発動！ オーバレイユニットを2つ取り除き、相手モンスターすべての攻撃力を0にする！」
「…………！！」


幻獣の巫女ミトラ 攻撃力1000→0

聖域の幻獣、神羅 攻撃力2500→0

聖域の幻獣、魔迦 攻撃力1900→0


「そして通常魔法、鬼神の連撃発動！ コロネロ・マインのオーバレイユニットをすべて取り除いて、このカードの2回攻撃を可能にする！」
「……？ そのモンスターのオーバレイユニットは……」
「無いって言いたいのか？ ……残念だったな！ このカードに乗っている時爆カウンターは、オーバレイユニットとしても扱えるんだよ！ バトルだ！ コロネロ・マインで神羅を攻撃！」
「ッ……」


ミトラ LP9600→7000


「続けてコロネロ・マインで魔迦を攻撃だぁ！！」
「……リバースカードオープン。儀式魔法、『神儀、地神祭』。魔迦とミトラをリリースして、手札のこのカードを特殊召喚する。……ヒトガタの幻獣よ、今こそ高尚なる魂を宿し昇華せん。現れよ、『神霊憑依、激情のミトラ』」
「……相手ターンに、儀式召喚だと……！？ だが、攻撃力2400ならコロネロ・マインの敵じゃねえ！ バトル続行だ、行け！」
「……激情のミトラの効果発動。手札の『神霊憑依、憎悪のミトラ』を捨てることで、このカードの攻撃力を1000アップする」


神霊憑依、激情のミトラ 攻撃力2400→3400


「！？ しまった、これじゃあ……ぐうぅっ！！」


爆 LP1000→200


「……ヤッ、ベエなぁ、こりゃあ……！！」
「……やっぱり、弱い」
「！！ まだ終わっちゃいねえ！ カードを3枚セットして、ターン終了だ！！」


ミトラ LP7000 手札1 モンスターゾーン 神霊憑依、激情のミトラ 魔法・罠ゾーン 伏せカード1枚
爆 LP200 手札2 魔法・罠ゾーン 伏せカード3枚


「……私のターン。リバースカードオープン。永続罠、『リミット・リバース』。墓地のミトラを蘇生する。ミトラの効果発動、デッキから『聖域の幻獣、暁月』を特殊召喚。……速攻魔法、『神儀、風神息吹』を発動。暁月とミトラを融合する」
「っ……今度は、融合かよ……！！」
「ヒトガタの幻獣よ、高尚なる魂と交じりて一つとなれ。融合召喚、『魂威融合、閃光のミトラ』。……閃光のミトラが攻撃する時、相手はカード効果を発動できない」
「……なら、今の内に使わせてもらうとするか。リバースカード、ダブルオープン！ 通常罠、『時爆兵団改修部隊』、永続罠、『時爆兵団開発部隊』！ 改修部隊の効果で墓地のコロネロ・マインを特殊召喚して、このカードを2つ分のオーバレイユニットとする！ さらに開発部隊の効果で、時爆兵エクシーズモンスターの効果を相手ターンにも発動できる！ コロネロ・マインの効果発動！ お前のすべてのモンスターの攻撃力を、0にする！」


魂威融合、閃光のミトラ 攻撃力3700→0

神霊憑依、激情のミトラ 攻撃力2400→0


「…………ターン終了」
「ターン終了時に、お前のモンスターの攻撃力は元に戻る。そして開発部隊の時爆カウンターを1つ取り除き、オーバレイユニットを持たないコロネロ・マインは自爆する……だが、ここでリバースカードオープンだ！ 通常罠、ワンダー・エクシーズ！ この場で俺は、さらなるエクシーズ召喚を行う！」
「…………？」
「おおっと、言いたいことは分かるぜ。俺様のフィールドにエクシーズ召喚の素材となるモンスターなんていない……甘いな！ 俺はランク5のコロネロ・マインでオーバレイネットワークを再構築！ エクシーズ召喚！ これぞ時爆兵団の最終兵器、とくとその目に焼き付けろ！ ランク6、『時爆兵器ジェネラル・パンツァー』！！ ……ジェネラル・パンツァーのオーバレイユニットを1つ取り除くぜ」


……ハッ、まさかこんなガキ相手に俺様の切り札を使うことになるとはな。しかし、このカードを出したからには俺様に負けは無い。全部ぶっ潰してやるぜ！


ミトラ LP7000 手札1 モンスターゾーン 魂威融合、閃光のミトラ 神霊憑依、激情のミトラ
爆 LP200 手札2 モンスターゾーン 時爆兵器ジェネラル・パンツァー 魔法・罠ゾーン 時爆兵団開発部隊


「俺の……ターンッ！！ 速攻魔法、『時爆兵団作戦変更』発動！ 開発部隊に乗っている時爆カウンターをすべてジェネラル・パンツァーに乗せる！ これで開発部隊は自爆するが……装備魔法、ストイック・チャレンジをジェネラル・パンツァーに装備！ これにより、ジェネラル・パンツァーの攻撃力はこのカードのオーバレイユニットの数×600アップだ！ ジェネラル・パンツァーに乗っている時爆カウンターはオーバレイユニットとしても扱う、つまり1200アップだ！」


時爆兵器ジェネラル・パンツァー 攻撃力2800→4000


「さらにストイック・チャレンジを装備しているモンスターは効果を発動できない代わりに、相手に与える戦闘ダメージを倍にする効果を持っている！ 行け、ジェネラル・パンツァーで閃光のミトラを攻撃！！」


ミトラ LP7000→6400


「……閃光のミトラの効果発動。このカードを除外して、墓地の『神儀、風神息吹』を手札に加える」
「俺はカードを1枚セットして、ターンエンドだ。ジェネラル・パンツァーの効果発動は封じられているから、オーバレイユニットを取り除く効果も発動しない！」


ミトラ LP6400 手札2 モンスターゾーン 神霊憑依、激情のミトラ
爆 LP200 手札0 モンスターゾーン 時爆兵器ジェネラル・パンツァー 魔法・罠ゾーン ストイック・チャレンジ（ジェネラル・パンツァー装備） 伏せカード1枚


俺の伏せカードは罠カード、『エクシーズ・リフレクト』。攻撃力4000のジェネラル・パンツァーを戦闘で破壊するのは至難の技だ。だからあいつは間違いなく効果での除去を狙ってくる……それを、このカードで封じる！ ハッハッハ、これで俺の勝ちだ！


「……私のターン。手札の『聖域の幻獣、八汰』の効果発動。このカードを捨てて、墓地のミトラ、憎悪のミトラをデッキに戻す。さらに手札の『聖域の幻獣、神威』の効果発動。このカードを捨ててデッキからミトラを手札に加える」


……ハッ、読めたぞ。ミトラを召喚して墓地の魔迦を特殊召喚、そしてその効果でジェネラル・パンツァーを手札に戻すって算段だな？ そんなのお見通しだ。さあ、来いよ！


「…………ミトラを召喚。ミトラの効果発動。デッキから『聖域の幻獣、八汰』を特殊召喚する」
「…………何だとぉっ！？」
「……風神息吹を発動。八汰とミトラを融合する。融合召喚、『魂威融合、闇月のミトラ』」


……なんでだ。なんであいつは、魔迦を出してこなかった……！？


「……闇月のミトラは直接攻撃できる。闇月のミトラで直接攻撃」
「…………！？」


……あいつ、俺の伏せカードを読みやがったのか……！？


「…………クソッ、せっかくの復讐の機会がぁぁぁぁ！！」



爆 LP200→0








ﾊﾞｧｧｧｧﾝ!!!







「…………やっぱり、弱かった」
「ク、ソッ……テメェ、なんで俺様の伏せカードが分かったんだ……？」
「……顔に、書いてあった」
「！？」





……ハハハ。俺様としたことが、とんだヘマをしちまったモンだ……








「……あー、チクショウ。負けちまったなぁ…………」