116話 戦いの始まり　作：紅瑠璃

俺は…体が跳ね上がるほどの揺れに起こされた。ついつい寝てしまった…。部屋にはまだ夢月の荷物が置いてある。

「おい、見てみろよ。」

俺はもう一人の自分…黒伊月の言葉で窓を見た。そこには驚きが隠せないような景色が広がっていた。

「No.6…のような怪異？」
「早く宇佐美に！」

俺は宇佐美真奈子に連絡をとったが…コレを確認したのは俺が最後らしい…。何とも情けない。他にもNo.19やNo.61等確認されているようだ。

～朱音の家～

外ではNo.モンスター達が実体を持ち人に危害を与えていた。何十、何百と家が破壊されていき、どこに逃げるかわからず悲しみを、絶望を表す人々。

「カードがいきなり飛んでいったかと思ったら…今度はモンスターが…。蜜柑…出るよ！」
「ふにゃ！？う、宇佐美さんの指示を待った方が…。」
「この街を守る。それがアストライアーよ。指示を待ってたら遅いわ！」

弧山朱音がめずらしく真面目な事を言うものだから驚いた。すると朱音は外に飛び出し、町の人を誘導していった。

～コンポレーションの前～

「何が…起きている。」

町を破壊していくモンスターを見てタカミネが驚く。タカミネは社員を連れまだモンスターが現れてない場所に連れていく。そんなとき彼は思い出した。渚高校の事件を救ったアストライアーとその組織の一員に猫山蜜柑が居たことを…。猫山蜜柑に会わなければ…この被害を止めるために…。

～アストライアー本部～

「京子…。あんたどんだけ暴れたいのよ…。」

京子が暴れたい様子だったのを宇佐美真奈子が止めた。宇佐美はアストライアーのメンバー等に住民の避難…モンスターの殲滅…首謀者の確保を命じた。

～No.管理室～

「再起動成功だ。しかしまたカード達は飛び去ってしまったが？」
「安心しな。ああやって町を破壊していってる。平和を作るには破壊も必要だ…。」
「アストライアーと言う奴等は？」
「それもだ…No.はつよい。安心してなよ…。」

～伊月の家の周り～

「皆さん！こちらです！」
「シャドータウンを使うわけか。良いかんがえだ。ここは任せてお前は他の人を連れてきな。」

伊月は影を操る能力でシャドータウンに穴を開け、人々を避難させている。それを宇佐美、他のメンバーにも伝えると皆はここに人を誘導していくようだ。町の人を全員避難させる事は簡単だが狙われると危険であった。

「ほーらおいでなすった…。No.42 の戦闘機が…。」

ここにいる人を全員避難させるまででも良い…伊月十夜は影から武器を取りだし、戦う。

～桐谷の付近～

「キリがない…弓矢がもうそろそろなくなるし、私の刀…まだアストライアーにあるし人を伊月さんのとこまで連れていくとか…リーダーシップないよぉ。私…。」
「桐谷！大丈夫？」
「か、風那ちゃん…。」

今にも泣きそうな桐谷真澄…。人とのコミュニケーションが苦手と言うかトラウマだから誘導していくと言うのは苦手なのだろう。

「仕方ない…。これぐらいなら殻蜻蛉で連れてけるよ…とりあえずアストライアー本部に連れていこう。」
「待て！」

後ろから声をかけられたから振り替えると複数人いるがどうやら声をかけたのは…きっとその団体のお偉いさんだろうか高そうなスーツを着ている。

「君、アストライアーの人か？」
「んやぁ～？そうですが何か？」
「猫山蜜柑はいるか？」
「んやぁ～？ストーカー的な何かですか？つか、誰です？」


その男は答えた。なんと、タカミネコンポレーション社長のタカミネだった。話をチラッと聞くと彼はこの事件に関わっているそうだ。私…神無月風那はその社長をアストライアー本部に連れていくことにした。もちろん周りの人々もだ。

「天風乱れし天津の衣、吹き行く風は我が伊吹！鬼門殻蜻蛉！…皆さんのって！」

本当はあれを使いたいが…あれを使用するためにはまだ早すぎる。町ひとつを破壊しかねないその刀…殻蜻蛉はまだ進化する。私は数分かけてアストライアー本部まで殻蜻蛉を飛ばした。そして、みんなを避難させた後、宇佐美さんに会いに行った。タカミネの話を私も桐谷も聞かされてないが30分は話をしていただろう。その間に桐谷は弓矢の補充と札のような置物を取りに行き、戻ってきた。タカミネ社長は私たちに礼すると宇佐美さんと共に別の部屋に行った。私たちには「この施設で待機」と言い残して…。

「猫山さんが何かあるのかな…。」
「さぁねぇ。」
「またその飲み物…スコールモンスター…。美味しいの？臭いがキツいよ…。」
「臭くないよ！それに美味しいよ。飲む？」

風那は桐谷に好きな飲み物を進めるが臭いは最悪なので飲む気はないのでやんわりと断った。だが美味しそうに飲みほす。本当はおいしいのか？いつまで待機していればよいのか…。

～宮野家の前～

「空！避難するよ！」

真保が空を連れて避難しようとしていた。まだモンスターが来ていない内に逃げようとしていた。が、何かが駆り立てる。自分の行き先は避難場所じゃない…あの場所だと。

「え？あの…場所？何でタカミネコンポレーションに行きたがってるの？」

この感覚は…押さえられない。希に出る破壊衝動のようだ。気がつけば私一人、そこに向かっていた。

「おねーちゃん？また置いてかれた…。いっつも私一人おいてけぼり。」

空はとぼとぼと歩き始めた。

～夢月が入院している病院～

私は病室から抜け出し廊下を歩いていた。患者や医師があたふたしている。右足は動くようになったが左手がまだ痺れる。しかしそんなことは言ってられない。

「夢月さんこちらで避難させます！」
「私はいかなせればならぬ！世話になった。」

私を止める医師を振り切りこの夢月暦は愛刀…「永華」を手に戦場へ向かう。