95話 真保フラスコ　作：紅瑠璃

青い空…鳥の鳴き声…空がせんべいを食べる音…おねーちゃんが何かを落とした音…。普段なら集中が削がれる中、緑の髪の毛して黒縁眼鏡をかけて白い白衣を着た宮野真保が何やら薬を作っていた。辺りには緑や、青、赤といったさまざまな色をした液体がフラスコの中に保管してあった。

「おねーちゃん？入るよ。」
「あら？空。何か？」

真保の部屋に空が入ってきた。そりゃぁ姉が自分の部屋にこもって怪しいことをしていたら気になるだろう。

「おねーちゃん。これ何？」

すぐそこの注射器に目を向ける。

「それはね、ハッピーシリンジよ。快楽を与える薬よ。試してみる？」
「え！？そ、それ危ない薬なんじゃ…？」
「んー近い…かしらね。使いすぎると快楽を与える続けられ、自我が崩壊するわ。」

怖いと思いながらも辺りを見回す。次に緑色の液体を空は見つけた。それに対して真保は「惚れ薬」と答えた。誰かに頼まれて作ったらしいが、誰が頼んだかは空であろうとも理解した。ショタっこに襲いかかる黄色い髪の人だ。

「今ね、京子おねーちゃんのために強化剤を作ってるのよ。」
「もはや、趣味を越してるね…」
「抹茶さえあればこんなの余裕よ。あら。もうお昼か。さて、ご飯にしましょっか。」

一度昼食をとるために１階に下りる。今日の昼は卵焼きだが、見た目が酷いものだった。京子が作ったらしい。…卵の殻も入ってる。

「けど、普通に美味しい…」
「絶品じゃないんだ…。」
「ぇ、あ、あぁ～…。絶品！」

とっさの思いつき。そのときはそれでよかった。食べ終えて、自分の部屋にこもる。京子おねーちゃんのために薬を作る…。喉が乾く。

「そうだった…ここに抹茶ラテを置いてたんだった」

それを勢いよく飲み干す。ビーカーに入った緑色の飲み物を…。

「おねーちゃん？お菓子…食べる？」

暇だからかまってほしい宮野空が入る。どのような状況になっているか知らずに…。真保が飲み干した飲み物は抹茶ラテではなかった。しかし、抹茶ラテは確かにあった…惚れ薬の隣に。真保は抹茶ラテと惚れ薬を間違えて飲んでしまったのだ。同じようなビーカーに入れていたせいだ。それを空が気づくのに10秒もいらなかった。何せ、空の目を見るなりベッドの上に押し倒されてしまったからだ。どうやら惚れ薬の効果は強すぎるほどだ。しかし、今はそんなことよりこの危機的状況をどう突破するか…何て考えていたら真保がとある注射器を持ってきた。

「ハ、ハッピーシリンジ…」
「快楽を与えるのよぉ～♪」
「いやっ…来ないで…おねーちゃん…」

真保は空にその注射器を刺す。そして、流し込む。空の体はﾋﾞｸﾝ…ﾋﾞｸﾝと動き、見せられないような顔をしている…。

～宮野家の前～

ある黄色の髪の毛の人は宮野家のあの前で立っていた。とある約束をしていたからだ。インターホンを押す。出てきたのは宮野京子…事情を言わず、それっぽい事を言って中にはいるのは藍野鈴菜。そして、真保の部屋のドアノブに手をかけ、開ける…すぐに閉める…。

「あ、あれ。こんな昼間っからハッスルしてる…。」
「何か…あった？」
「う、うわ！？京子さん。えっと…なにもないです！」
「嘘…。」

藍野鈴菜を押し退け、ドアを開ける。そこには抱き合う二人がいた。しかも服を着ていない。これは姉である京子がショックだっただろう。
片方は惚れ薬を、もう片方は自作の快楽剤を盛られている。二人を直す方法はあるのか。