50話 怠惰の殻　作：紅瑠璃

蜜柑と朱音と鈴菜は満開の桜を見るため星掴みの丘に来ていた。星掴みの丘は回りが開けてるため夜になると星がよく見えるらしい。また、星が掴む昔話発祥の地である。さて、桜を見るととてもキレイである。それに人が多い。
蜜柑「んにゃぁ～！キレイ！」
朱音「そうね。」
鈴菜「…うん。」
蜜柑個人としては鈴菜がなぜ来たのかわからなかった。いつも通りジュースを手に持ち、桜は少ししか見ない。早く帰りたそうにしていた。だが、朱音としては幼稚園からの親友。鈴菜と見たい。だと言う。
夢月「おぉ！藍野殿。」
鈴菜「ん？あぁ…暦か。早く帰りたいんだけど…」
夢月「そう言わずにほら、桜を見に行こうぞ。」
鈴菜「どうせ１年たっても二年三年たっても私たち高校生でそれこそ50年たっても私たち高校生で進級せず、消えることなく生きて…いや、紙の中に…」
朱音「レイ…それ以上はいけない…なんか、メタイよ？」
鈴菜「そうか、この世界の理を知った私は次の日黒ずくめの人たちに…」
蜜柑「やめよ？」
そんな事を話していた時、黒ずくめ…いやいや銀髪に紺の着物、腰に刀を下げた男。武蔵が現れる。
武蔵「おぉ。夢月達よ、今ここである人を待ってるのだが…」
蜜柑「んにゃ？ある人？」
武蔵「まぁ俺の村の生き残りだが…名は遥奈。緑の髪の毛に腰には刀があって」
蜜柑はその名前を昔聞いたことある。いや、夢月以外は皆知っている。ある戦いの時、悪魔と契約していた女。武蔵と刃を交わした相手。最後は武蔵と行動を共にしようとした所別の悪魔の契約人に後ろから心臓を抜かれ、命を落とした女。それを武蔵は見たはず。
鈴菜「待って…その人って確か…しんだはずじゃ…」
武蔵「何を言う。ちゃんと生きている。」
なりすまし？いや、そんな子供のイタズラに引っかかる人ではない。
朱音「ベルフェちゃんは？」
武蔵「ベルフェゴールなら奥の木陰にいるが…」
鈴菜「夢月！少しそいつを頼むわ」
夢月「？しょ、承知した。」
涼しそうな木陰で怠惰の悪魔。ベルフェゴールが寝ていた。姿は緑の髪のフードをかぶったロリっ子。そして、ボクっ子。
ベルフェゴール「んなぁ？なぁに？」
蜜柑「武蔵さんににゃにかした？」
ベルフェゴール「何もしてないよ。それよりボク眠いんだけど…」
何もしてない？そんなハズはないだって現に…
夢月「せいっ！」
武蔵「夢月！何をする！」
突然夢月が武蔵に刃を向けた。しかも本気の戦闘になってしまった。本気の夢月相手では誰も相手にならない。
蜜柑「そうだ！鈴菜！No.8とNo.58で止めてよ！」
鈴菜「まぁ私は持ってたね。」
蜜柑「にゃら！…え？持ってた？」
鈴菜「真保に渡した。」
蜜柑「にゃんと！」
その時ベルフェが周囲に眠りの霧をばらまいた。周囲の人たちは眠りについた。蜜柑、朱音、鈴菜の３人は蜜柑と契約していた嫉妬の悪魔の能力で３人は無事眠らずにすんだ。
鈴菜「ありがとう。それ、複数にも対応してるんだ…」
蜜柑「うん！さて、今のうちに犯人を…」
朱音「夢月ちゃんがいきなり武蔵さんに攻撃してきたのよね。」
鈴菜「さぁね。でもあいつはすぐに刀を抜く奴じゃない…私なら全く知らないやつが自分の後ろに立っていたら刀を抜くけどね。」
朱音「知らない…人…それじゃない？」
蜜柑「んにゃ？記憶を取られたってこと？」
鈴菜「そうかもな。」
No.52「そうや。ボクがやったんよ？」
ベルフェの体からカードが出てくる。そのカード。ダイヤモンド・クラブ・キング
No.52「人ってのはな…どうしても忘れたくても忘れられない記憶があるんだよ…それを俺が忘れさせてあげようってハナシだ」
蜜柑「でもこんにゃ風にして！ゆるさにゃい！勝負！」
No.52「おぉっと！負けるわけにいかねぇ。とんずらさせて貰おうか。」
鈴菜「まて！逃がすか！」
異様に早い。３人はNo.52の後を追う。